【売却完全ガイド】不動産査定とは?種類や流れ、依頼方法などを全解説

不動産査定とは 種類や流れ依頼方法を解説

不動産の売却価格の目安を知るには、不動産仲介会社の行う不動産査定をするのがおすすめです。不動産の査定は、車や骨董品などを売る際に行われる査定とは性質が異なるので、詳細を理解しておきましょう。

本記事では、不動産査定の概要や流れ、注意点などについて解説します。この内容を参考に、後悔のない売却を目指しましょう。

不動産の売却について基礎から詳しく知りたい方は、「不動産売却の入門書!売り方の基礎・全体像と後悔しないための知識を知ろう」もあわせてご覧ください。

「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ
  • 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
  • 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格”を見つけましょう
  • 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます
この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット

Contents

1.不動産査定とは?

不動産査定とは、該当の不動産にどの程度の価値があり、いくらくらいで売却できそうかを見積もり、推定額を算出する査定のことです。

不動産売却の査定では、類似物件の過去の成約事例をもとに「売却できそうな価格」を算出します。
車や骨董品のように「査定価格がそのまま売却金額」となるわけではないので注意しましょう。

不動産会社が算出した査定額は、購入希望者を募集するための売り出し価格の目安になります。
そして売り出し価格を基準に売却を進め、場合によっては値下げなどを経て最終的な売却金額が決まるのです。

不動産の査定額は、あくまで売却金額を「予想」した金額であるため、査定する不動産会社や担当者によって差が生じます。

実際に、複数社に査定を依頼した結果の査定額が数百万円以上異なるケースも珍しくありません。

したがって、不動産売却時の査定では複数社を比較して、より信頼できる価格を提示する不動産会社を選ぶことが重要です。

もちろん、不動産の査定は売却金額の目安を知るために行うものですが、売却を熱心にサポートしてくれる不動産会社を探す、という意味合いでも大いに役立ちます。

1-1.不動産査定に関するよくある疑問

ここでは、不動産査定に関するよくある疑問にお答えします。

Q.査定は完全に無料なの?

不動産査定は、無料で提供されるサービスです。
不動産売却においては、不動産会社と契約を結び、買主との売買契約が成立してはじめて、不動産会社への報酬である仲介手数料が発生します。

何社に査定を依頼しても費用はかからないため、複数社の査定を取り寄せて、内容をよく比較することをおすすめします。

Q.不動産会社によって査定額は異なるの?

査定額は売却金額を予想した価格であるため、査定する会社や担当者によって変動するケースは少なくありません。

例えば、「~だからこの不動産は高く売れそうだ」「~だから相場よりは低くなりそうだ」といった見方の違いはもちろん、会社・担当者の実力や実績など、査定額にばらつきが出る理由はさまざまです。不動産会社によって、「マンションの売却が得意」「都心部から離れた物件が得意」など得意な分野も異なります。

中には、媒介契約を結ぶために根拠もなく高い査定額を提示する不動産会社もあるため、複数社を比較して信頼できる査定額を提示する会社・担当者を見つけることが大切です。

Q:査定をする理由とは?

不動産会社への査定依頼は、査定額を知るために行うものですが、資金計画を立てたり、不動産会社を選んだりする際にも大変役立ちます。

前述のとおり、「査定額=売却金額」というわけではありませんが、おおまかな売却金額の目安を把握することで、今後の資金計画を立てやすくなります。

また、査定依頼時に不動産会社の担当者とやり取りをする中で、担当者の人柄や対応を確認できるでしょう。これは、不動産会社を選ぶ際の重要な判断材料になります。

Q:「売り希望価格」「売り出し価格」「買い希望価格」「成約価格」とは?

不動産会社とやり取りをしていると、「○○価格」という言葉をよく耳にします。それぞれの違いについては、以下のとおりです。

売り希望価格

売主が売りたいと考えている価格

売主の希望で自由に決めることができ、売主の事情を反映した価格になります。売り希望価格は、査定価格よりも高めの設定になることが多いでしょう。

売り出し価格

実際に市場に売り出す価格

査定価格をもとに、売主と不動産会社が話し合いによって決める価格です。
どうしても売り希望価格を譲れない場合は、売り希望価格をそのまま売り出し価格とするケースもあります。
売り出し価格が高すぎる場合は、なかなか売れないため、ある程度の期間が過ぎたら見直す必要が出てきます。

買い希望価格

買主が希望として提示する価格

具体的な購入希望が入ると、買主は「買付証明書」と呼ばれる書面に買い希望価格を記入して購入の意思表示をします。その際、買い希望価格として、売り出し価格の満額、もしくは値引後の価格が設定されます。
買い希望価格が売主の許容範囲であれば、売買契約の締結に向けて進みますが、買い希望価格を許容できない場合は契約を断り、引き続き別の購入希望者を探します。

成約価格

実際に売主と買主が合意した金額

成約価格は、売り出し価格よりも低くなる傾向にあります。これは、売り出し価格が売り希望価格によって高めに設定されることが多く、買い希望価格による値引交渉が入るケースが多いからです。

公益財団法人東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2018年)」と「首都圏不動産流通市場の動向(2021年)」で発表されている、首都圏における中古マンションの売り出し価格と成約価格の推移のデータをもとに、グラフを作成しました。

グラフ中に記載のパーセントは、売り出し価格に対する成約価格の割合です。

※公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2018年). 2019-01-22. (参照2024-03-26)」「首都圏不動産流通市場の動向(2021年). 2022-01-22. (参照2024-03-26)」をもとに、HOME4Uが独自に作成作成

2.不動産査定の種類

不動産の売却を検討する際の不動産査定の種類は、以下ように大きく4つに分けられます。

それぞれについて詳しく解説します。

2-1.匿名査定・AI査定(所要期間:最短1分)

匿名査定は、物件の簡単な情報を入力するだけで、メールアドレス以外の個人情報を入力せずに査定額を算出できるWebサービスです。

サービスの名称は会社により異なり、「査定シミュレーション」などと呼ばれることもあります。
AIを活用した匿名査定サービスも多くあり、この場合は「AI査定」とも呼ばれます。

いずれも、過去の売却事例と入力した物件情報とを照らし合わせて、査定額を算出する仕組みです。

ただし、物件の詳細情報や直近の周辺環境の変化などは考慮されないため、査定の精度は他の方法と比較すると低いといえます。

匿名査定について詳しく知りたい方は、「不動産の匿名査定とは?メリット・デメリットも解説!」もご覧ください。

2-2.机上査定(所要期間:即日~5日)

机上査定は、最短即日で査定結果がわかる査定方法で、「簡易査定」とも呼ばれます。

依頼を受けた不動産会社は、物件情報・取引実績・市場動向などをもとに、物件の査定額を算出します。

査定額の根拠になるデータや情報は不動産会社によって異なるため、査定額にも差が出ます。

例えば「A社では3,000万円だったのが、B社では3,500万円と査定される」といったことも珍しくありません。

そのため、机上査定を行う際には、複数社に査定依頼をして比較・検討することが大切です。とはいえ、一件ずつ問い合わせるには、時間も手間もかかります。

そこで、インターネットの「一括査定」サービスを利用すれば、一度にまとめて複数の不動産会社に机上査定の依頼をすることができます。

一括査定サービス

NTTデータグループが運営する不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」では、全国各地から厳選された不動産会社が約2,300社登録されています。

一括査定を利用すると、査定額を比較できるだけでなく、複数の不動産会社とコンタクトがとれます。そのため、同時に不動産会社を比較・検討する手段としても大変有効です。

スムーズな不動産売却には、信頼できる不動産会社のサポートが欠かせません。一括査定を有効活用し、売却にお役立てください。

2-3.訪問査定(所要期間:1週間~2週間)

訪問査定は、不動産会社の担当者が物件に訪問し、調査のうえで査定額を算出する方法です。結果が出るまでには、1週間~2週間程度かかるのが一般的です。

訪問査定の流れ

担当者は、物件の状態を直接目視でチェックするだけでなく、近隣との境界や付帯設備、周辺環境や立地条件も含めて詳細に物件を調べます。
したがって、机上査定の査定額と大きな差が出ることもあります。

訪問査定も机上査定と同様に、査定料金は一切かかりません。

不動産査定と似た言葉に「不動産鑑定」がありますが、こちらには料金がかかるため注意が必要です。不動産鑑定では、不動産鑑定士試験に合格した不動産鑑定士のみが行うことができ、不動産の適正な価値を算出した不動産鑑定書を作成します。

査定は、あくまで不動産会社が行う営業活動の一環です。前述したように、不動産会社への支払いは、仲介により不動産売買が成立に至ったときに発生します。

なお、不動産会社が訪問査定で物件のどのような点をチェックするかは、「5.不動産査定でよく見られるポイント」で詳しく解説しますので、併せてご確認ください。

また、不動産の査定については「不動産査定の方法と費用、査定価格アップのポイントを徹底解説!」や「家の査定をネットで依頼する3つの方法と押さえるべきポイント」でも説明しているので、こちらも参考にしてください。

不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」は、最大6社の不動産会社にまとめて査定依頼ができるため、気になる不動産会社を簡単に比較可能です。
査定依頼フォームで「机上査定」か「訪問査定」かを選択できますので、間違えないよう入力しましょう。

不動産会社の買取も検討中の方は、「不動産は【買取】では高く売れない!?後悔しない売却方法の見つけ方」をご覧ください。

2-4.不動産鑑定士による鑑定(所要期間:1週間~2週間)

不動産の価値を知る方法としては、前述した不動産会社による3つの査定方法に加えて「不動産鑑定」があります。

不動産鑑定とは、国家資格をもつ不動産鑑定士が行う、不動産の価格評価のことです。
不動産鑑定士は、国土交通省が定める「不動産鑑定評価基準」に基づいて、依頼のあった不動産を調査します。

参考:“不動産鑑定評価基準”. 国土交通省

鑑定評価方法は3種類あり、その中から鑑定する不動産に適した方法で調査・分析し、その結果をもとに鑑定評価額を算出します。

不動産鑑定士が算出する鑑定評価額は、公的な基準に沿って算出されるものです。

不動産会社による査定額と異なり、法的にも信ぴょう性の高い価格とされるため、鑑定評価結果をまとめた「不動産鑑定評価書」は裁判などでも使用できる公式文書として扱われます。

したがって、信ぴょう性の高さが求められる遺産相続などの場面では、不動産鑑定が用いられるケースが多いでしょう。

3つの不動産査定と不動産鑑定の違いをまとめると、次のようになります。

評価の種類 特徴
匿名査定・AI査定 メールアドレス以外の個人情報は不要で、簡単に査定額を確認できる
AIによって機械的に算出するため、査定の精度は高くない
所有不動産の価格目安を把握したい方向け
査定依頼は不動産会社のサービスなので原則無料
机上査定(簡易査定) 不動産会社がデータや情報に基づいて査定額を机上で計算する
会社によって査定額に差が生じやすい
一括査定サービスを利用して複数社に依頼することが重要
査定依頼は不動産会社のサービスなので原則無料
訪問査定 不動産会社の担当者が実際に物件を訪れ、詳細に調査した上で査定額を算出する
1週間~2週間程度の期間を要するが、上の2つの査定方法に比べて精度が高い
査定依頼は不動産会社のサービスなので原則無料
不動産鑑定 不動産鑑定士が不動産鑑定評価基準に基づき、現地調査を行った上で評価する
1週間以上の期間を要する
20~40万円程度の費用がかかる
鑑定評価額は信ぴょう性の高い公的なものとして扱われるため、遺産相続などでは鑑定評価が求められる

3.不動産査定の流れ

不動産売却では、売却の全体の流れを押さえておくことが重要です。

本章では、机上査定・訪問査定を受ける適切な順番と、最終的に媒介契約を結ぶまでの不動産査定の流れを解説します。

3-1.机上査定(簡易査定)を依頼

不動産を売却したいと思ったら、早めに机上査定を依頼しましょう。
査定から売却までには、半年以上かかることも少なくありません

なお、机上査定では「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」などのインターネットの一括査定で複数社にまとめて査定依頼をし、効率的に不動産会社を探す方法がおすすめです。

3-2.訪問査定を依頼・訪問日の決定

机上査定の結果をもとに不動産会社を絞り込んだら、訪問査定を依頼しましょう。
訪問査定は在宅で行う必要があるため、日程に余裕をもって進めることが大切です。

また、不動産会社は少なくとも3社以上に依頼し、査定表を比較することをおすすめします。

訪問査定も無料ですが、詳細な調査が行われることや書類の準備も必要なことを踏まえて、売却の意思がある程度固まった段階で依頼するとよいでしょう。

3-3.訪問査定前の準備

訪問査定前の準備については、必要な書類を用意する、物件のアピールポイントをまとめる、不動産のおおまかな相場を自分で調査する、といったものが挙げられます。

詳しい内容については「4.査定前の準備」で解説します。

3-4.現地調査

現地調査では、実際に不動産会社の担当者が物件や周辺環境などを詳細に調べます。
具体的には、設備の瑕疵やローンの残債、隣地との境界などが確認されます。

瑕疵については、なかなか言いづらいかもしれませんが、売却後のトラブル防止や欠陥をカバーするための提案につながることもあるので、隠さずに相談することが大切です。

3-5.査定書が完成

訪問査定後、不動産会社から査定書が届きます。各社の査定額やコメントを比較して、媒介契約を結ぶ不動産会社を決めましょう。

なお、査定書の見方とチェックポイントは「不動産査定書とは?作成方法と査定時に必要な6つの書類を解説」で紹介しています。

不動産売却全体の流れを知りたい方は「不動産売却の流れ7ステップを図解~売ると決めてから引き渡しまで」をご覧ください。

4.査定前の準備

ここでは、査定前の準備として次の3点について解説します。

4-1.査定に必要な書類を準備する

不動産の査定を受けるにあたっては、いくつかの書類が必要になります。

必要書類は不動産会社に教えてもらえますが、自分で用意できるものは早めにそろえておくと、売却をスムーズに進められるでしょう。

ここでは「必ず用意すべき書類」と「あるといい書類」に分けて、必要書類を紹介します。

4-1-1.必ず用意すべき書類

(1)登記済権利証または登記識別情報通知書

出典:“登記識別情報通知書の様式の変更等について”. 法務省

なお、登記関連手続きのオンライン化に伴い、現在では登記済権利証は廃止されています。

登記済権利証に代わる本人確認書類として、2005年(平成17年)3月7日より導入されたのが「登記識別情報通知書」です。

登記済権利証の廃止前に登記が行われた物件に関しては登記済権利証、廃止後に登記が行われた物件では登記識別情報通知書の用意が必要です。

(2)地積測量図(土地または戸建ての場合のみ)

出典:“地積測量図サンプル”. 盛岡地方法務局

4-1-2.あるといい書類

下記の書類があれば、不動産の情報を正しく伝えられるため、精度の高い査定が期待できます。

(3)リフォームの履歴がわかる資料
(4)既存住宅にかかる建設住宅性能評価書
(5)インスペクション(建物状況調査)の結果報告書
(6)瑕疵担保保険の付保証明書

不動産の査定時に必要な書類は、こちらのPDFからもご確認いただけます。

また不動産売却の必要書類について知りたい方は「不動産売却時の必要書類と取得方法を解説」をご覧ください。

4-2.物件のアピールポイントをまとめておく

査定担当者は不動産のプロですが、実際に住んでいた売主しか気付けない魅力もあるはずです。

以下のような物件の長所を、思いつく限りアピールポイントとしてまとめておきましょう。

<アピールポイントの例>

  • 電車やバスの本数が多く利便性が高い
  • 徒歩圏内に子どもを安心して遊ばせられる公園が多くある
  • 夜間でも適度な人通りがあって、女性も安心して歩ける
  • 早朝・深夜も開いているスーパーがすぐ近くにある
  • 学区内の小学校・中学校の評判がいい

また、設備などの瑕疵がある場合は、もれなく伝えるようにしましょう。
瑕疵を隠していると、購入後に契約解除や損害賠償を求められる恐れがあります。

参考:“第20回瑕疵担保責任(契約不適合責任)”. 国民生活センター

特に中古物件の売却で注意したいのが、アスベストの使用有無に関する調査結果記録です。

売却する中古物件にアスベストの使用有無に関する調査結果記録がある場合、買主へ説明しなければなりません。

2024年(令和6年)現在、アスベストの使用は全面的に禁じられていますが、2006年(平成18年)以前に建築された家には、アスベストが使われている可能性があります。

アスベストは重篤な健康被害をもたらすリスクがあるため、あらかじめ買主への説明が必要です。なお、こういった説明は、売主ではなく宅地建物取引士が担当します。

参考:
“アスベスト全面禁止”. 厚生労働省
“宅地建物取引業法”. e-Gov法令検索

4-3.自分で相場を確認しておく

前述のとおり、査定額は査定をする不動産会社や担当者によって変動します。
そのため、本来の価値よりも高すぎたり、低すぎたりすることもあるでしょう。

そこで、事前に売却相場を調べることで相場観をつかめば、妥当な査定額を判断できるようになります。

本章では、自分で売却相場を調べる3つの方法を紹介します。

4-3-1.レインズ(不動産流通標準情報システム)で調べる

レインズ(Real Estate Information Network System)とは、国土交通省が指定した不動産流通機構が運営するネットワークシステムで、日本中の物件情報を調べることができます。

レインズの内容は登録会員である不動産会社のみに開示されており、一般には非公開ですが、一部の情報は「レインズ・マーケット・インフォメーション」で閲覧可能です。

レインズ・マーケット・インフォメーションでは、全国の成約したマンション・戸建ての情報を検索できるので、類似物件がいくらで売れたのかを簡単に調べることができます。

4-3-2.公示地価(公示価格)で調べる

公示地価(公示価格)とは、毎年国土交通省から発表される土地の価格です。
地価公示法に基づいて国土交通省土地鑑定委員会が価格を判定し、住宅地や商業地、工業地などに分けて発表します。

参考:“地価公示法”. e-Gov法令検索

公示地価は、土地の取引や金融機関の担保評価に利用されるほか、相続税や固定資産税の目安になるなど、広く土地の評価として参考にされる数値です。

国土交通省の検索システム「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」から、売却したい土地の公示地価を確認できるので活用してみましょう。

公示地価について、さらに詳しく知りたい方は「【2023年最新版】「公示価格」とは?近年の動向を解説します!」をご覧ください。

参考:“地価公示”. 国土交通省

4-3-3.路線価で調べる

路線価とは、毎年国税庁が公表する「道路に面する宅地1平米あたりの評価額」のことです。

国税庁の「路線価図・評価倍率表」のほか、資産評価システム研究センター提供の「全国地価マップ」でも確認できます。

出典:“令和3年東京都中央区銀座1丁目路線価図”. 国税庁

国家資格である不動産鑑定士が綿密に調査した評価額や公示地価、取引価格を根拠に作成されているため、土地の適正価格を知る際の良い判断基準になります。

なお、路線価は不動産に対する相続税や固定資産税を算出する際の基準であり、公示地価の80%程度とされています。

路線価の詳細については、「【2023年最新版】不動産売却でよく耳にする「路線価」とは?直近5年分の傾向も解説!」を、相場を自分で調べる方法については、「不動産相場をじぶんで調べる方法」をご覧ください。

5.不動産査定でよく見られるポイント

不動産査定(訪問査定)でチェックされるポイント訪問査定の際、不動産会社の担当者はどのような点をチェックするのでしょうか。

ここでは、担当者が現場で確認するポイントを、以下3つのシーンに分けて見ていきましょう。

5-1.ヒアリング│売却理由・物件状況・ローンの残債等

ヒアリング調査により、物件状況や周辺環境に関して売主のみが知る情報が判明することもあります。

ヒアリングの詳細は不動産会社によって異なりますが、主に以下の内容について質問されることが多いでしょう。

5-1-1.売却理由

売却理由によって販売戦略が異なるため、必ず率直に伝えてください。
例えば、住居の住み替えでは、契約書に引き渡し猶予特約をつけられる可能性があります。また、相続などで早期売却を望んでいる場合もその旨を相談しましょう。

5-1-2.物件状況(リフォームや設備交換、雨漏りなどの欠陥の有無)

インスペクション(専門家による建物調査)やリフォーム、設備交換などを実施していれば、売却時にアピールできます。

また、売却後のトラブルを避けるために、建物の傾き・雨漏り・亀裂・シロアリ被害などの瑕疵も隠さずに報告しましょう。

5-1-3.ローンの残債

原則として、住宅ローンを完済しなければ不動産を売却することはできないため、ローンの返済状況は必ず確認されます。

ローンの残債があり、物件を売却しても完済できないオーバーローンの場合、住み替えローンや預貯金からの支払い、任意売却などの検討が必要です。

オーバーローンとは

5-1-4.近隣、周辺環境の情報

近隣住人のリアルな意見も重要な情報です。

実際の治安や学区内の学校の学力レベル、近所付き合いのしやすさなど、アピールできるポイントをまとめておきましょう。

5-2.現地調査│接道・隣地境界・立地

幅員が4m以上の道路に2m以上接していない」など、建築基準法に抵触している場合は再建築不可となります。

そのため、接道は必ず確認されるポイントです。

参考:“建築基準法”. e-Gov法令検索

また、隣地との境界があいまいだったり越境したりしていると、トラブルが生じるリスクがあるため、入念にチェックされます。

このほかに、土地が傾斜していないか、整形地か、採光がしっかりできるか、車の出し入れはしやすいかなど、立地条件も確認されるポイントです。

2020年(令和2年)からは、不動産取引における水害ハザードマップの説明が義務化されたため、災害リスクについても調査される可能性があります。

参考:“不動産取引時において、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明を義務化~宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する命令の公布等について~”. 国土交通省. 2020-07-17

5-3.周辺環境調査│嫌悪施設・騒音・ゴミ置き場等

嫌悪施設とは、墓地・下水処理場・工場など、周囲にあることを嫌がられる施設を指します。このような嫌悪施設が近隣にある場合は、買主への説明が必要になるため、査定の調査対象になります。

その他、騒音や臭気などを発生させるものの有無やゴミ置き場の位置なども、買い手にとって重要な情報であるため調査の対象です。

6.不動産査定の注意点

2.不動産査定の種類」で紹介したとおり、不動産査定の方法には3種類あります。それぞれ異なるメリット・デメリットがあるので、状況に応じて使い分けましょう。

この章では、以下の5つの注意点について解説します。

6-1.各査定のメリット・デメリットを把握しておく

「匿名査定・AI査定」「机上査定(簡易査定)」「訪問査定」には、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

6-1-1.匿名査定・AI査定のメリット

匿名査定・AI査定では、メールアドレス以外の個人情報を入力する必要がなく、インターネット上で簡単に査定することができます。最短1分で査定結果がわかるサービスもあり、スピード感は大きなメリットといえるでしょう。

6-1-2.匿名査定・AI査定のデメリット

匿名査定・AI査定では、入力されたデータと過去の取引データをベースにAIが機械的に計算するため、最新の取引状況や個別の事情などは価格に反映されません。
したがって、査定の精度はそれほど高くないでしょう。

6-1-3.机上査定(簡易査定)のメリット

机上査定の依頼もインターネットや電話で完結するため、時間がない方でも簡単に利用できる点がメリットです。

また、不動産会社に直接査定を依頼することになるので、不動産会社とのやり取りの中で担当者の対応の良し悪しを判断することもできます。

6-1-4.机上査定(簡易査定)のデメリット

査定結果は早ければ即日で出ますが、不動産会社によっては数日かかることもあります。

また、訪問査定のように現地で物件調査を行うわけではないため、物件の詳細な状態や周辺環境などは査定額に反映されません。

6-1-5.訪問査定のメリット

訪問査定では、担当者が直接物件を訪問し、周辺環境や物件の状態などを詳細に調査します。

そのため、最も物件の状態に適した査定額を提示してもらえるでしょう。

6-1-6.訪問査定のデメリット

訪問査定では、訪問日の日程調整や書類準備、査定書の確認など、さまざまな作業が必要になります。

また、信頼できる担当者を見つけるには、少なくとも3社の不動産会社に査定依頼を出すのがおすすめです。

なお、複数社にまとめて依頼できるインターネットの一括査定にもデメリットがあります。不動産査定時には利用したい便利なサービスだからこそ、デメリットについても理解して賢く使いこなしましょう。

6-2.査定価格は売却を保証する価格ではない

机上査定はもちろん、物件を直接調査する訪問査定でも、査定価格はその価格での売却を保証するものではありません。

査定価格は「助言価格」や「意見価格」とも呼ばれるように、あくまで意見の一つに過ぎないということを理解しておきましょう。

そのため、不動産会社によって査定価格はバラバラで、高めの査定価格を出すところもあれば、逆に保守的な査定価格を出すところもあります。

査定時に不動産会社がどこを見ているかは、「戸建ての査定は何を見られているの?価格の決まり方も解説」をご確認ください。

6-3.不動産査定には営業的側面がある

不動産会社が査定を行う目的は、売主に適切な査定額を提示することではなく、仲介の仕事をもらうことにあります。

つまり、査定は営業手段の一つなのです。

査定を依頼する側からすると、安い価格を提示する不動産会社よりも、高い価格を提示する不動産会社のほうが高く売ってくれそうだと期待して、依頼したくなるでしょう。
不動産会社の中には、それを見越してあえて高い査定価格を出すところもあります。

しかし、売主にとって査定価格は資金計画を左右する重要な要素の一つです。
高めに出された査定価格のみを信用して資金計画を組んでしまうと、あとで住宅ローンを返せなくなる、といった計画の狂いが生じることになりかねません。

したがって、保守的な査定価格を参考に資金計画を立てるのが無難でしょう。

6-4.査定前にリフォームやハウスクリーニングなどをしない

査定前に家をリフォームする必要はありません。中古住宅の購入希望者は、自分でリフォームやリノベーションをしたいと考える方も少なくないからです。

また設備交換などをしても、交換費用と売却金額が見合わないこともあります。掃除やハウスクリーニングも、査定額に直接影響することはないため、査定前に行う必要はありません。

下手に動いても結果的に損をすることになりかねないため、必ず不動産会社に相談してください。

ただし、内覧前にはできる限りの掃除を行いましょう。
特に、水回りなど見栄えに大きく関わる箇所は重点的に掃除することをおすすめします。

6-5.査定は必ず複数の不動産会社に依頼する

不動産査定は、必ず複数の不動産会社に依頼しましょう。

これは、不動産会社や担当者によって、査定額に違いが出るからです。
1社に依頼するだけでは、相場を正確に把握できません。そこで、複数社に依頼して査定額を比較することで、妥当な価格がどれくらいなのかをつかめるようになります。

また、各社の担当者とやり取りをすることで、さまざまな情報収集に役立ちます。さらに、担当者の対応の良し悪しや、専門性の高さを確認できれば、より良い不動産会社を選ぶことができるでしょう。

複数の不動産会社に査定を依頼するなら、「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」の一括査定をご活用ください。

7.査定書の概要と見方

訪問査定完了から1週間程度を目安に、不動産査定書が届きます。ここでは、査定書の概要とその見方を解説します。

7-1.査定書とは

査定書には、不動産会社作成のものと不動産鑑定士作成のものがあります。不動産会社が作成する査定書は、物件の査定結果が記載されている資料です。

決まった書式などはないため、不動産会社によって記載内容は異なりますが、主に「物件概要」「査定額」「売り出し方の提案」などが記載されています。査定書の作成に料金は発生しません。

査定書の一例

なお、不動産鑑定士が作成する査定書は「不動産鑑定評価書」とも呼ばれます。こちらは、国が規定した不動産鑑定評価基準をもとに、不動産鑑定士が有料で作成します。

参考:“不動産鑑定評価基準等”. 国土交通省

7-2.査定書の見方

不動産会社から査定書を受け取ったら、以下の4つのポイントに沿って確認を進めます。
査定書の見方を知って、不動産会社の力量や信頼性をチェックしましょう。

7-2-1.査定額を比較する

査定書の総額を確認し、所有する不動産の評価がどれくらいなのか相場感をつかみましょう。

このとき、1社に絞って査定額を見るのではなく、他社の査定書や自分で調べた周辺相場と比較することが大切です。

査定額を比較する際には、どこの会社が最も高値を提示しているかという点に目が行きがちですが、最低額もしっかりと確認しておきましょう。

不動産の売却では、売却代金で住宅ローン残債を完済することが求められるため、仮に最低額で売ることになっても、完済できるか確認しておくと安心です。

また、相場や中央値よりも高い、もしくは安い査定額を提示する会社については、「なぜ高いのか、安いのか」という根拠も忘れずにチェックしましょう。

7-2-2.売り出し事例を比較する

査定書には、近隣の類似物件の売り出し事例が記載されているケースがあります。

不動産会社が査定価格を算出する際は、売り出し事例の状況も参考にしています。
したがって、類似物件の売り出し価格から、大まかな相場感をつかんでおくのがおすすめです。

ただし、査定書に売り出し事例が記載されていないことも少なくありません。
記載されていなくても、価格算出時には類似物件の取引事例を参考にしているはずなので、可能な範囲で共有してもらうよう依頼しましょう。

7-2-3.伝えたセールスポイントが反映されているか確認する

4-2.物件のアピールポイントをまとめておく」で紹介したように、不動産会社の担当者に伝えていたアピールポイントが査定書に反映されているかどうかを確認しましょう。

不動産会社が「この要素はプラスのアピールポイントにならない」と考えた上で反映していないのであれば、仕方ありません。

しかし、単純に反映するのを忘れていた、あるいは意見を取り入れる気がなかったということであれば問題です。

アピールポイントが反映されているかどうかで、売主の目線に立って考えてくれる担当者なのかを判断できます。

また「アピールポイントを取り入れる/取り入れない」のどちらにしても、担当者が自身の考えを持って判断していることを確認しておくと安心です。

7-2-4.下限額を確認する

不動産会社の中には、「3,500万円~3,800万円」といったように、幅を持った査定額を提示するところもあります。
査定額のチェック時には、上限や平均値だけでなく、下限額もチェックしておきましょう。

下限額は、その不動産会社が考える「最低でもこれくらいの金額では売却できるだろう」という金額です。
購入希望者からこれを下回るような金額での売却を持ちかけられた場合には、慎重に検討しましょう。

不動産売買では、購入希望者から価格交渉が入るのが一般的ですが、中には、法外な値引きを要求してくる購入希望者もいます。

下限額を確認しておけば、購入希望者の要求してきた値下げが適当かどうかの判断がつくようになり、適正価格で売却できる可能性が高まるでしょう。

不動産査定書について詳しく知りたい方は、「不動産査定書とは?作成方法と査定時に必要な6つの書類を解説」もご覧ください。

8.査定依頼は一括査定がおすすめ

不動産査定を依頼するには、「不動産会社に直接訪問する」「不動産会社のホームページから依頼する」「不動産一括査定で依頼する」といった方法があります。

この中でおすすめしたいのが、不動産一括査定で依頼する方法です。

本章では、不動産一括査定の概要や、おすすめである理由などを紹介します。

8-1.不動産一括査定とは

不動産一括査定とは、一度の入力で複数の不動産会社にまとめて査定依頼ができるサービスのことです。

現在では、多くの一括査定サービスがありますが、いずれも最短1分程度の入力で、目安として6~10社の不動産会社に査定依頼ができます。

不動産一括査定がおすすめである理由は、不動産の売却を成功させる上で、複数社の査定の比較が重要だからです。

査定額は、売り出し価格や資金計画の参考になる価格ではありますが、不動産会社や担当者によってその金額は変動します。

より適切な査定額を出してくれる、信頼できる不動産会社を探すためにも、一括査定で複数社を比較検討しましょう。

8-2.一括査定サイト選びで重視すべきこと|登録社数・実績数・セキュリティ

いざ一括査定サイトを利用しようと思っても、たくさんの査定サイトがあり、迷ってしまう方もいるでしょう。
その結果、なんとなくトップにあるサイトを選んでしまうかもしれませんが、そのような選び方はNGです。

査定サイトを選ぶ際には、以下の3つを重視することをおすすめします。

1.登録社数

一口に不動産会社といっても、得意分野はそれぞれ異なります。

例えば、大手であればインターネットでの幅広い広告展開が期待でき、地域密着型であれば築年数の古い物件でも周辺環境の魅力をアピールして、効果的に売却活動ができる可能性があります。

大手から中小まで、たくさんの不動産会社が登録していれば、それだけ物件にマッチした不動産会社に出会える確率は高まります。

2.査定依頼する会社を選べるか

登録者数も大切ですが、実際にどの会社に査定依頼するかは、自分で選ぶことが重要です。
一括査定では、入力条件をもとに、候補となる不動産会社が複数表示されます。

この会社の口コミや実績をリサーチした上で、依頼先を決めれば、より納得できる会社に出会えるでしょう。

3.セキュリティ

一括査定では、名前やメールアドレス等の個人情報はもちろん、資産である不動産の状況も入力する必要があります。

そのため、セキュリティ対策が万全で情報漏洩などの不安がない、信頼性が高い会社に依頼することが重要です。

8-3.おすすめの一括査定サイト

登録者数、実績数、セキュリティの安全性などを踏まえておすすめしたいのが、NTTデータグループが運営する「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」です。

あなたの不動産いくらで売れる?

不動産売却 HOME4U」は、全国各地から厳選した約2,300社の優良不動産会社と提携しています。

個人情報の取り扱いについても、官公庁や銀行などで使用されている日本でトップクラスのセキュリティシステムを構築したNTTデータグループが運営しているため、安心して利用することができます。

最大6社にまとめて査定依頼ができ、その結果をもとに、さらに不動産会社を絞り込むことが可能です。

不動産売却を検討している方は、ぜひ「HOME4U」をお試しください。

8-4.信頼できる不動産会社選びのポイント

不動産査定では、各社の査定価格を比較することが重要です。
一社だけに査定を依頼して売却を進めてしまうと、大きく損をする可能性があります。

そのため、複数の不動産会社の査定を受けてじっくりと比較してから、最終的に依頼する会社を選んでください。

査定の段階では、不動産査定は大手か中小にこだわらず複数の会社に依頼し、査定結果を比較しながら最適なパートナーとなる会社を絞り込んでいきましょう。

比較検討の際には、下記の点を意識して比較することをおすすめします。

不動産会社比較チェックリスト
査定額は適切か
レスポンスの速さ
インターネット上の口コミの評判はどうか
販売実績はどの程度あるか
マンションや戸建て、土地活用など強みのある分野はあるか
物件のあるエリアに精通しているか
納得できる販売計画を提案してくれるか
インターネット広告はどの程度展開してくれるか
「囲い込み」をせず、販売活動をしてくれるか

「囲い込み」については、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひ併せてご覧ください。

9.【深く知りたい方向け】査定額の計算方法について

不動産会社の価格査定査定価格は、不動産会社が査定によって求める価格であり、助言価格・意見価格とも呼ばれます。
実際に売れる成約価格を見据えて算出されており、3カ月以内に売却することを想定した価格が設定されています。

つまり、1週間~2週間程度で売却できるようであれば、査定価格が安すぎることになり、半年以上経っても売却できないようであれば、高すぎることになります。

なお、査定価格の算出方法には、主に以下の3つがあります。

9-1.取引事例比較法

取引事例比較法とは、周辺にある類似物件の取引事例をもとに価格を査定する方法で、主にマンションや土地の査定で採用されます。

簡単に説明すると、「近くの似た土地が坪50万円で売れたから、この土地も坪50万円程度だろう」といったかたちで査定をします。

似たような物件の最近の売却事例から査定するため、最もわかりやすく、説得力がある査定方法といえます。

インターネットで行う不動産査定の場合は、申込者の入力した物件情報に基づき、取引事例比較法を用いて査定額が算出されます。

取引事例比較法での査定の精度を高めるには、直近の類似した事例をどれだけ集められるかがポイントになります。

したがって、この方法で適正な査定価格を得るには、エリアに精通した信頼できる不動産会社に依頼することが重要だといえます。

9-2.原価法

原価法は、不動産を査定時点で再調達する場合の原価を求め、経年等による減価の修正を行って査定価格を求める手法です。主に戸建ての建物部分の査定で用いられます。

原価法では、同じ建物を今建てたらいくらになるかを求め、次に耐用年数をもとに築年数を加味して価格を減価修正します。

木造・合成樹脂造のもの 22年
木骨モルタル造のもの 20年
軽量鉄骨造(骨格材肉厚3㎜以下) 19年
軽量鉄骨造(骨格材肉厚3㎜以上4㎜未満) 27年
鉄骨鉄筋コンクリート造 47年

出典:“耐用年数(建物/建物附属設備)”. 国税庁. (参照2024-03-15)をもとに、HOME4Uが独自に作成

例えば、住宅用の木造戸建ては、築22年で価値がゼロになります。

一例として、延床面積30坪・築15年の木造戸建てを査定するケースを考えてみましょう。

査定時点の木造戸建ての建築費が坪70万円だとすると、今新たに建てたら2,100万円(=30坪×70万円/坪)がかかる計算になります。

次に、築15年の減価修正を行います。木造戸建ての耐用年数は22年であるため、現時点では7年分の価値が存在することになり、建物価格は以下のように求められます。

建物価格=2,100万円×(22年-15年)÷22年=約668万円

このように、戸建ての建物は原価法によって求められます。

なお、土地は取引事例比較法で求められるため、戸建ての価格は「原価法で求めた建物価格」と「取引事例比較法で求めた土地価格」の合算となることが多いでしょう。

参考:“主な減価償却資産の耐用年数表”. 国税庁

9-3.収益還元法

収益還元法は、不動産の収益と利回りの関係に着目して行う査定方法です。

主にアパートや賃貸マンション、店舗、オフィスビルといった、収益物件の価格の算出に用いられます。

利回りとは、収益物件への投資に対する純収益の割合のことです。

純収益を求めるには、家賃収入から土地・建物の固定資産税、建物の保険料、管理委託料等の費用を差し引きます。

この純収益を利回りで割ると、物件価格の算出が可能になります。

例えば、月10万円の家賃(年額家賃120万円)が得られる区分ワンルームマンションがあったとしましょう。

この物件の年間維持費が20万円だとすると、純収益は年間100万円(120万円-20万円)となります。

区分ワンルームマンションに対して、一般的な投資家が期待する利回りが5%だとすると、価格は2,000万円(=100万円÷5%)と算出できます。

10.不動産査定後の流れ

不動産査定の終了後、売却・引き渡しまでは上図のような流れで進みます。

物件の引き渡しが終わるまでには、半年ほどの期間がかかることを見込んでおきましょう。

査定を依頼した不動産会社の中から仲介を依頼する会社を選び、図の「3.媒介契約の締結」を行います。

媒介契約とは、売主が不動産会社に仲介業務を依頼するための契約のことです。

ここから正式に「4.販売活動の開始」となり、不動産会社の主導で宣伝・広告活動、購入希望者の内覧対応などを進めていきます。

売却活動の結果、無事に購入希望者が現れると「5.売買契約の締結」を行います。
売買契約の成立時点で、仲介した不動産会社への仲介手数料の支払い義務が生じます。

仲介手数料は、売買契約締結時と次の決済・引き渡し時に、半額ずつ支払うのが一般的です。

売買契約締結後に、物件の片付けや新居への引越しを済ませ、「6.決済・引き渡し」を迎えます。

引き渡しが完了すれば売却活動は終了ですが、売却によって譲渡益が発生した場合や、税金に関する特例を利用したい場合には、翌年の確定申告が必要です。

11.不動産査定に関するQ&A

最後に、不動産査定に関するよくあるQ&Aを紹介します。

11-1.Q:不動産査定にはどれくらい時間がかかりますか?

査定にかかる時間は、査定の種類によって異なります。

匿名査定・AI査定であれば、最短1分で完了します。
机上査定では、最短なら即日ですが、不動産会社によっては5日程度かかる場合もあるでしょう。

訪問査定では、担当者の物件調査を経て査定を実施するため、結果が出るまでに1週間~2週間程度かかるのが一般的です。

11-2.Q:不動産査定結果に納得がいかない場合、どうすればいいですか?

不動産会社が提示する査定価格は助言価格や意見価格とも呼ばれ、不動産会社や担当者の意見の一つに過ぎません。

査定結果に納得がいかない場合には、複数の不動産会社に査定を依頼し、納得できる条件を提示する不動産会社に仲介を依頼することをおすすめします。

ただし、想定よりも低い査定価格を提示された場合にも、正当な理由があるのかもしれません。
査定価格に納得がいかないなら、担当者に査定の根拠を確認しましょう。

11-3.Q:不動産査定の際に最も重視される要素は何ですか?

不動産の査定額は一つの要素で決まるわけではなく、複合的な要素をもとに導き出されます。

匿名査定や机上査定では、データに基づいて査定額を算出します。
そのため、周辺の類似物件の売り出し価格、建物の築年数、立地、面積など、データ上で判断できる要素が査定額に影響しやすいでしょう。

上記のポイントは、訪問査定でも同様に重視されます。

訪問査定ではそれに加え、建物の内外装の劣化状態、周辺環境、日当たりや風通しなど、実際に現地に行かないとわからない要素も考慮して、査定が行われます。

まとめ

不動産査定には大きく分けて「匿名査定・AI査定」「机上査定(簡易査定)」「訪問査定」の3種類があり、状況に応じて使い分ける必要があります。

査定は、売却価格の目安を把握するために行うものですが、資金計画を立てる上でも役立ちます。

売却活動の大切なパートナーである不動産会社は、慎重に選ばなければなりません。不動産会社選びで後悔しないためにも、自分で必要最低限の不動産知識を身につけておくことをおすすめします。

不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」は、あなたの不動産売却をサポートする一括査定サービスです。
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