権利証(登記済証)とは?登記識別情報との違いや取り扱いの注意点を紹介

権利証とは 登記識別情報とは違うの?

不動産の登記名義人に通知される権利証(登記済証)は、不動産登記法の改正に伴い「登記識別情報」に変更されました。登記識別情報は不動産登記の本人確認などに利用するため、紛失しないよう注意が必要です。

本記事では、権利証の概要と廃止の理由のほか、登記識別情報との違い、取り扱い時の注意点などについて解説します。

この記事を読むと分かること
  • 権利証(登記済証)の概要、廃止の背景
  • 権利証と登記識別情報の違い、主な用途
  • 登記識別情報の取り扱いに関する注意点
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1.不動産の権利証とは?

登記済証

不動産の権利証とは、土地や建物の登記が完了したことの証明となる書類です。対象の不動産登記としては、所有権保存登記、所有権移転登記、抵当権設定登記などが挙げられます。

なお、登記名義人に対して返還される、「登記済証」を権利証と呼ぶこともあります。

権利証は、登記申請時の本人確認や、不動産の売却で登記名義が移転するときに提出を求められます。ただし、権利証はあくまでも登記に基づく所有権を第三者に証明できるものであり、権利証が第三者に渡ったとしても、所有権が移ることはありません。

参考:“新不動産登記法Q&A”. 法務省

2. 2005年(平成17年)権利証は廃止され、登記識別情報に

登記識別情報通知書

ここでは、権利証が廃止され、登記識別情報に変わった理由や、権利証と登記識別情報の違い、権利証と登記識別情報の具体的な用途などについて解説します。

2-1.不動産の権利証が廃止された理由

2005年(平成17年)の不動産登記法の改正により、権利証(権利済証)が廃止されました。権利証の廃止は、「登記事務のオンライン化」に伴うものです。

参考:“不動産登記法”.e-Gov法令検索

以後、廃止となった権利証に代わり、12桁のアラビア数字や符号からなる「登記識別情報」が通知されるようになりました。登記識別情報が書面で通知される場合、通知書の下部に12桁の番号とQRコードが記載されます。

登記識別情報通知

出典:“登記識別情報通知”. 法務局.(参照2024-03-07)

登記識別情報通知は、申請者が登記の名義人になる登記をしたときに通知されます。土地と建物を登記した場合、土地と建物それぞれについて登記識別情報が通知されます。

かつて、登記のオンライン申請と登記識別情報通知の発行は、オンライン庁として指定された法務局のみ可能でした。しかし、2008年(平成20年)7月からすべての法務局でオンライン申請に対応しています。

なお、法改正前に発行された書面の権利証は、引き続き効力を持つので注意が必要です。権利証から登記識別情報に交換・変更することはできないため、権利証はこれまでどおりに大切に保管しましょう。

参考:
“新不動産登記法Q&A”. 法務局

“○オンライン申請はすべての登記所で可能ですか?”. 法務局

2-2.登記識別情報と権利証の違い

権利証は書面であり、登記識別情報はパスワードです。このように、形式が異なるだけで基本的な役割や用途は変わりません。

従来の権利証は書面そのものに効力があるため、登記申請の際は「原本」の提出が必要でした。

一方、登記識別情報はパスワードの文字列に効力があることから、文字列を手書きしたメモや通知書のコピーでも不動産の所有権を証明できます。

ただし、登記識別情報の文字列そのものが機密情報に該当するため、他者に知られないように厳重に保管しましょう。

権利証と登記識別情報の違い

出典:
“登記識別情報通知”. 法務局.(参照2024-03-07)
“登記完了証の交付の方法について”. 法務局.(参照2024-03-07)
“○登記済証(権利証)は,廃止されたのですか?”. 法務局.(参照2024-03-07)をもとに、HOME4Uが独自に作成

また、登記識別情報と混同しやすいものに、「登記完了証」という書面もあります。登記完了証とは、法務局で登記手続きが完了したことを通知するものです。

登記完了証には権利を証明する効力はなく、決まった使い道もありません。

2-3.権利証・登記識別情報の用途

権利証および登記識別情報は、不動産の売却や抵当権の設定など、登記を変更する際に提出が必要です。登記申請の内容に不備がないかの確認となるだけでなく、所有者の意思によって登記申請した証明になります。

ただし、相続登記に関しては、登記識別情報の提出は必要ありません。そもそも不動産の相続は、所有権者の死亡で発生します。つまり、相続登記は所有権者の意思とは無関係に行なわれるものであるため、権利証や登記識別情報がなくても、全部事項証明書(戸籍謄本)や除籍謄本で手続きができます。

なお、以下のような事情で住民票を発行できない場合には、住所を確認するために権利証の提出が求められることがあるため、注意が必要です。

  • 死亡から5年を超えていて、住民票の保存期間が過ぎている場合
  • 死亡した所有権者の最終住所と、登記上の住所がつながらない場合
  • 所有権者の相続人以外に不動産を遺贈する場合

参考:“住民票の除票及び戸籍の附票の除票について”. 総務省

3.権利証・登記識別情報を取り扱う際の注意点

公証役場

最後に、権利証・登記識別情報の取り扱いに関する注意点を紹介します。

3-1.権利証・登記識別情報の再発行は不可

権利証および登記識別情報の書面を紛失したとしても、登記した不動産の権利が失われることはありません。

しかし、書面やパスワードは一度しか発行されず、紛失したとしても再発行は認められません。権利証がなければ不動産の所有権を証明できず、売却や贈与の手続きが困難になることがあります。

権利証や登記識別情報がわからない状況で登記を申請する場合、以下の方法で本人確認の手続きをしなければなりません。

本人確認の方法 注意点
司法書士に依頼 本人確認情報書類を作成し、登記申請書と一緒に提出する。司法書士に対する報酬が別途発生する。
法務局の事前通知制度の利用 登記識別情報を未記入で登記申請し、本人限定受取郵便で返送された書類に署名・捺印して返送する。登記申請に時間を要するほか、期間を過ぎると申請が却下されるので注意。
公証人による認証 公証役場において、登記名義人本人と証明する書類、または認証文を公証人に作成してもらう。公証人費用が発生する。

本人確認ができるまで時間を要するうえに、司法書士や公証人に対しては報酬を支払う必要があります。面倒な手続きを増やさないよう、登記識別情報は厳重に管理しましょう。

万一、登記識別情報が他者に盗み見られたとしても、第三者が勝手に名義を変更するなどの不正行為は起こりにくいです。登記には、登記識別情報のほかに、印鑑証明書などの書類が必要だからです。

ただし、不正使用が心配な方は、「不正登記防止申出」や「失効」を申し出るという対処法もあります。

参考:
“○登記識別情報を紛失したのですが,どうしたらよいのですか?”.法務局
“9-1 私署証書の認証”.日本公証人連合会

3-2.登記識別情報通知は原則、開封しない

不動産登記をオンライン申請すると、登記識別情報もオンラインで通知されます。一方、オンライン庁で書面申請をした場合、登記識別情報が印字された「登記識別情報通知」が交付されます。

前述のとおり、登記識別情報はパスワードでもあるため、文字列が記載されている部分はシールや折り込みなどで目隠しされています。登記識別情報書の目隠し部分は、登記申請が必要なときに開封するのが基本です。

一度開封すると元に戻らないうえに、書面の再発行も認められません。登記識別情報の確認が必要なときでない限り、文字列のある折り込みの部分を開封せず、シールが貼られている場合は剥がさないようにしましょう。

登記識別情報通知を開封してしまった場合、改めてシールで目隠しするなどの対策が必要です。

まとめ

不動産登記法の改正に伴い、不動産の権利証(登記済証)が廃止され、以後は登記識別情報が通知されるようになりました。登記識別情報は12桁の文字列であり、パスワードの役割を果たします。書面申請で交付される登記識別情報通知は、必要がない限り目隠しの部分を開かないよう注意しましょう。

不動産を第三者に売却し、所有権が移転するときに登記識別情報が必要になります。不動産の売却価格は高額であるため、少しでも高く売るには事前の査定が欠かせません。

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