不動産の登記識別情報とは?基礎知識や交付方法について解説

登記識別情報とは 基礎知識や交付方法を解説

「登記識別情報」とは、12桁のアラビア数字とランダムな符号で構成されるパスワードで、不動産の登記名義人であることを公的に証明します。

本記事では、登記識別情報の基礎知識から、交付方法や紛失時の対処法までわかりやすく解説します。登記識別情報への理解を深めて、不動産の登記申請をスムーズに進めましょう。

この記事を読むと分かること
  • 登記識別情報の基礎知識
  • 登記識別情報の交付方法
  • 登記識別情報を紛失した時の対処法
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1.登記識別情報とは?

登記識別情報とは、土地や建物といった不動産の登記名義人であることを公的に証明するための情報です。登記識別情報は、12桁のアラビア数字とその他の符号がランダムに組み合わさった文字列でできています。

不動産登記を行なうことで、法務局から「登記識別情報通知」と呼ばれる書類が届き、その書類に登記識別情報が記載されています。

出典:“登記識別情報通知(見本)”. 法務局

登記識別情報は、不動産および登記名義人ごとに定められています。そして、申請人の本人に対してのみ交付されます。他人が知ることがない秘密情報であるため、この秘密を知っている方は、基本的に対象不動産の登記名義人であると判断されます。

なお、登記識別情報は、不動産および登記名義人ごとに1通ずつ発行されます。そのため、1つの不動産に複数の登記名義人が存在する場合は、各人に対して複数の通知が届くことがあります。

例えば、土地1筆・建物1棟に対してそれぞれ登記名義人が2名ずついる場合、計4通の通知が届くことがあります。

登記識別情報通知には主に以下の情報が含まれています。

  • 登記識別情報(12桁のパスワード)
  • 不動産番号
  • 受付年月日・受付番号
  • 登記の目的
  • 登記名義人の住所・氏名

1-1.登記識別情報と登記済権利証の違い

登記識別情報は、2005年(平成17年)の不動産登記法改正をきっかけに、新たに導入されたものです。改正前は、「登記済権利証」が同じ役割を担っていました。

登記済権利証とは、法務局が「登記済」の朱印を押した登記申請書の副本などのことを指します。この書類自体が法的な効力を持ち、提出を求められた場合は、原本(紙媒体)を直接渡す必要がありました。

一方、登記識別情報は、12桁のパスワードに法的効力があります。登記識別情報通知の書類自体には、特別な効力がないため、紙媒体での提出は不要です。パスワードの導入によって、オンライン申請が可能になり、申請手続きが円滑化されました。

なお、登記済権利証の効力が失われたわけではないため、改正前に取得した登記済権利証は引続き有効です。よって、新たな不動産登記がない限り、登記識別情報に変更する必要はありません。

1-2.登記識別情報が交付される場面

登記識別情報が交付されるタイミングは、主に以下の場面です。

  • 不動産を取得して所有者になった(新しい所有者に交付)
  • 住宅ローンを利用するために抵当権を設定した(借入先の金融機関に交付)
  • 土地の合筆を行なった(所有者に交付)

一方、以下のような場面では交付されません。

  • 登記名義人の住所・氏名を変更した
  • 抵当権を抹消した
  • 土地の分筆を行なった

1-3.登記識別情報はいつ使用する?

登記識別情報を使用するタイミングは、不動産の権利にまつわる登記手続きを行なう時です。例えば、以下のような登記手続きが当てはまります。

  • 不動産の売却や贈与に伴う所有権移転登記
  • 住宅ローンの契約手続きにおける抵当権設定登記
  • 住宅ローンの完済手続きにおける抵当権抹消登記

なお、相続登記を行なう際、被相続人(亡くなった方)の登記識別情報は必要ありません。

登記識別情報は、登記手続き以外では基本的に使用されないものです。そのため、紛失しないよう保管方法に注意しましょう。

2.登記識別情報の交付方法

登記識別情報

登記識別情報の受け取り方法は、選択した登記申請方法(オンラインまたは書面)によって異なります。

登記識別情報の交付方法

オンライン申請と書面申請それぞれの交付方法、注意点をまとめたので、ぜひ参考にしてください。

2-1.登記申請をオンラインで行なった場合

法務省が運営する「登記・供託オンライン申請システム」を利用した場合、通常は登記識別情報もオンライン経由で受け取りますが、必要に応じて書面での交付も可能です。

オンラインでの交付では、申請手続きで使用した上記のシステムから暗号化された登記識別情報のデータをダウンロードします。ダウンロードしたデータは、ハードディスクやUSBメモリなどに保存しましょう。なお、登記識別情報の部分には目隠しがないため、他者に盗み見られないよう、閲覧の際は注意してください。

書面での交付を希望する場合は、法務局の窓口で直接受け取るか、郵送で送付してもらいます。ただし、書面で一度受け取ると、今後オンライン上のデータはダウンロード不可となる点を押さえておきましょう。

2-2.登記申請を書面で行なった場合

書面申請の場合、登記識別情報は書面交付でのみ提供されます。受け取り方法はオンライン申請と同様に、窓口または郵送の2パターンがあり、事前に通知された登記完了日に取得可能です。

法務局の窓口での受け取りの場合、手数料はかかりませんが、登記申請書で使用した印鑑を持参する必要があります。

郵送での受け取りの場合は、申請時に送付先を記載し、切手を貼り付けた返送用封筒を前もって提出しなければなりません。送付先が申請人本人の自宅であれば「本人限定受取郵便」を、司法書士(資格者代理人)の事務所であれば「書留郵便」、もしくは「信書便」を使用します。

受け取った書類は目隠しや折り込み方式により、登記識別情報が隠されているため、使用するまで開けないようにしましょう。

3.登記識別情報を紛失したらどうする?

PCを見て悩む女性

なんらかの事情で登記識別情報を紛失したり、盗難被害に遭ったりした場合、再発行はできません。ただし、法務局で「登記識別情報の失効申出」を行なうと、情報が無効化され、悪用を未然に防げます。

失効の申し出は、オンラインまたは書面のどちらでも手続き可能です。

なお、登記識別情報の交付は任意であり、最初から通知を希望しないことも認められます。ただし、不動産売却やローン契約の手続きが複雑になりやすいため、基本的には受け取るほうが無難です。

4.登記識別情報がなくても登記申請は可能

司法書士

登記識別情報の通知を希望しない、あるいは失効の申し出を済ませたあとでも、以下の方法で登記申請が可能です。本章では、手続きの概要や注意点を解説します。

方法 概要 注意点
司法書士に依頼 司法書士に本人確認情報書類を作成してもらい、登記申請の添付書類として提出する。
  • 司法書士に報酬を支払う必要がある。
  • 紛失の経緯を詳しく伝える必要がある。
事前通知制度の利用 登記識別情報なしで登記申請を行なった際、法務局から本人確認用の書類が届くので、必要事項を記入してから返送する。
  • 通常の登記申請に比べて時間がかかる。
  • 期間内に申し出がない場合、登記申請が却下される可能性がある。
公証人による認証 公証人の目の前で登記申請書類に署名・捺印したあと、その書類で登記申請を行なう。
  • 公証役場まで足を運ぶ必要がある。
  • 公証人手数料を支払う必要がある。

万一の事態を想定し、これらの方法も覚えておきましょう。

まとめ

登記識別情報とは、不動産の登記名義人であることを公的に証明する12桁のパスワードのことです。申請人本人のみに交付され、所有権移転登記や抵当権設定登記などの登記申請に使用します。

オンラインで登記申請を行なった場合、オンラインでも書面でも受け取り可能です。一方、書面申請だと受け取りは書面に限られる点に注意しましょう。

なお、登記識別情報なしで登記申請を行なう方法もありますが、その場合は、本人確認書類の提出といった手続きが必要になります。

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