不動産の囲い込みとは?デメリットや調査方法、防止対策についても解説

不動産の囲い込み 概要と対処方法・回避方法

不動産取引では、しばしば売主に不利な「囲い込み」が見られます。囲い込みとは、不動産会社が仲介にあたり、売主・買主の双方から仲介手数料を受け取るため、意図的に売却活動を制限する行為です。

本記事では、不動産会社による囲い込みの概要やデメリットのほか、囲い込みが疑われる場合の対処法、回避方法などについて解説します。

この記事を読むと分かること
  • 囲い込みの基礎知識
  • 囲い込みのデメリット
  • 囲い込みへの対策
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1.不動産の囲い込みとは?

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囲い込みとは、不動産業界における商慣習の一つです。不動産会社が売主から不動産売却の仲介依頼を受けた際、自社のみで取引を完結できるよう、意図的に売却活動を制限することを指します。

例えば、不動産会社が売主と媒介契約を結んだあと、他社からの問い合わせを完全にシャットアウトしたり、電話やメールで「すでに申し込みが入っています」と嘘をついたりする行為などが挙げられます。

囲い込みとは

また、媒介契約を締結した場合、売却する物件の情報をレインズ(国土交通大臣指定の不動産流通機構)に登録しなければなりませんが、その登録作業を怠ることも囲い込みに該当します。

不動産の囲い込みはその性質や影響力から、売主に対する背信行為といわれています。特に自宅や土地の売却を考えている方は、あらかじめ注意しなければなりません。

1-1.囲い込みの目的

不動産会社が囲い込みを行なうと、売主と媒介契約を締結したうえで、他社を介さず自社単独で買主を探すことになります。そして、買主が見つかったら、自社1社のみで取引を完結することができ、売主・買主の双方から仲介手数料を受け取る「両手仲介」ができるのです。

売主・買主の一方を仲介し、もう一方は他社から紹介してもらう「片手仲介」の場合、仲介手数料も一方からしか受領できません。売主・買主にとっては、どちらの手法でも支払うべき手数料は変わりませんが、不動産会社は両手仲介によって実質2倍の手数料を得ることができます。

両手仲介と片手仲介

つまり、囲い込みは不動産会社の利益を優先した行為といえるでしょう。なお、不動産取引における仲介手数料の上限は、以下のとおりです。

売買価格 仲介手数料の上限(税抜)
400万円超 売買価格×3%+6万円
200万円超400万円以下 売買価格×4%+2万円
200万円以下 売買価格×5%

通常、不動産は数千万円~数億円で売買されるので、仲介手数料が2倍になれば、不動産会社が手にする利益も膨大な金額になります。

1-2.囲い込みは違法?

囲い込みは依頼者である売主に不利益を与えかねない背信行為ですが、この行為自体は宅建業法違反には該当しないとされています。実際、宅建業法の条文を一通り見ても、囲い込みに関する規約や罰則は定められていません。

ただし、囲い込みの内容によっては、民事責任や刑事責任を問われる可能性もあります。

そして、専属専任媒介契約・専任媒介契約を締結した場合、物件情報をレインズに登録する義務が発生しますが、登録せずに囲い込みを実行することは宅建業法違反です。違法性が認められた場合、不動産会社に対して罰則が適用されます。

参考:“宅地建物取引業法”. e-Gov法令検索

また、レインズの利用規定では、買主側の不動産会社から問い合わせがあれば、売主側の不動産会社は「正当な事由」がない限り、物件の紹介や内覧を断ることはできないとされています。正当な事由とは、事前に「売主の承諾」を得ている状況などが該当します。

もし売主の承諾なしに紹介や内覧を断れば、レインズの利用規定(第18条:客付業者からの物件照会等)に違反するので、是正勧告・注意・戒告などが行なわれることになります。

参考:“レインズ利用に関する規程集”. 公益社団法人西日本不動産流通機構. 2016-01

なお、アメリカでは不動産の囲い込みは「ポケットリスティング行為」という違法行為であり、違反が発覚すると、宅地建物取引業免許が剥奪されるケースもあります。

1-3.不動産業界における囲い込みの実態

囲い込みは売主のみならず、買主にとっても不利益になりやすい行為です。そのため、囲い込みの排除を目指し、レインズの利用規定は何度か改正されています。

しかし、囲い込み自体は不動産業界に古くから存在する商慣習であり、今のところ明確な違法性も認められていないのが実情です。さらに、囲い込みを成功させるための専用マニュアルを用意している不動産会社も存在します。

このような問題の背景には、囲い込みは発覚しづらい、営業担当に厳しいノルマが課せられている、といった事情があります。こうして、規制を設けても十分な効果が出ず、いたちごっこの状態が続いています。

2.不動産の囲い込みで生じるデメリット

悩む夫婦

囲い込みが行なわれることで、以下のようなデメリットが発生します。

  • 売却活動が長引きやすい
  • 値下げを迫られる

これらのデメリットは、売主・買主双方に影響するため、しっかりと理解しておきましょう。

2-1.売却活動が長引きやすい

囲い込みが行なわれた場合、問い合わせのシャットアウトやレインズへの未登録により、物件情報が他社に流れなくなってしまいます。その結果、購入希望者に物件をアピールできる機会も減るため、売却活動がどうしても長期化しやすいのです。

物件を売却できなければ、住み替えのスケジュールが遅れるなど、売主に影響が出る可能性もあります。

また、売却活動が長引けば長引くほど、「あの物件には何か問題がある」という悪いイメージを抱かれやすくなる点もデメリットです。問い合わせが減り、イメージが悪化し、さらに問い合わせが減る、という悪循環に陥ってしまうと、売却はさらに難しくなるでしょう。

2-2.値下げを迫られる

物件がなかなか売れない状況では、購入希望者からの値下げ交渉に応じざるを得なくなることも考えられます。

さらに、囲い込みを行なう不動産会社は、物件の早期の売却を望んでいるケースが多く、担当者から売主に値下げを要求してくる可能性もあります。

仲介手数料は売却価格に比例しますが、そもそも囲い込みを行った場合、両手仲介となり買主・売主から手数料を得られるため、多少値下げしても不動産会社にとって大きな痛手にはなりません。

両手仲介のデメリット

例えば、不動産の売買価格が2,000万円の場合、仲介手数料は2,000万円×3%+6万円=66万円です。これに消費税10%分の6万6,000円が加わるので、実際に売主・買主が支払う金額は、72万6,000円となります。

そして両手仲介なら、不動産会社が受け取る仲介手数料は、2倍の145万2,000円となり、その金額差は一目瞭然です。

3.不動産売却時、囲い込みが疑われる場合の対処法

囲い込みが行なわれているかどうかを、外部から判断するのは簡単ではありません。

しかし、以下のようなケースに当てはまる場合、不動産会社による囲い込みを疑ったほうが良いでしょう。

  • 媒介契約を締結してから1ヵ月経っても、問い合わせが一切来ない
  • 契約締結後、担当者からしつこく値下げを要求された

囲い込みの有無を確認するには、他の不動産会社を通じて、物件情報がレインズに登録されているか調べてもらうのがおすすめです。何も連絡を受けていないのに「商談中」となっていたり、先方から「図面を作成している途中です」といった理由で断られたりした場合、囲い込みの可能性が高いでしょう。

しかし、囲い込みの実行に関する証拠を提示できたとしても、宅建業法の罰則がないので、即座に媒介契約を解除することは難しいかもしれません。媒介契約の契約期間は最長3ヵ月なので、期間満了を待って解除するのも一案です。

なお、不動産会社に明らかな非が認められた場合、売主から無条件で媒介契約を解除できます。

4.不動産売却時の囲い込みを回避する方法

契約書

囲い込みを避けるためには、信頼できる不動産会社に仲介を依頼することが何より大切です。

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まとめ

囲い込みとは、売主から仲介依頼を受けた不動産会社が自社のみで取引を完結できるよう、意図的に売却活動を制限することです。不動産会社は両手仲介によって2倍の手数料を得られる一方、売主・買主にはデメリットしか生じない背信行為ですが、現行の法律では違法性が認められていません。

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