更新日:2024.12.27 不動産売却の授業 レインズ(REINS)とは?仕組み・活用メリットと便利な使い方を解説! 不動産売却の際、不動産会社と媒介契約をしたタイミングで、「レインズ(REINS)」という聞きなれない言葉が登場します。 また、不動産売却の流れの中で、不動産会社から「レインズに登録しておきました」と言われ、登録済証が交付されるケースもありますが、それがどういう意味を持つのかがわからず、気になる人も多いでしょう。 そこで、本記事ではレインズについて詳しく解説いたします。 レインズ(REINS)の仕組みと目的 レインズに登録するメリットや便利な使い方 レインズと媒体契約の関係 レインズの仕組みを知ることで便利な使い方がわかり、不動産の売却や購入に活用することができます。最後までお読みいただき、ご自身の不動産売却に役立てていただけると幸いです。 「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格(※)”を見つけましょう※依頼する6社の中での最高価格 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます 完全無料一括査定依頼をスタート この記事の執筆者 竹内 英二 不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。 (株)グロープロフィット Contents1.レインズ(REINS)とは2.レインズに登録するメリット3.レインズ登録義務と不動産の媒体契約の関係4.レインズ登録後に売主が確認できる「取引状況管理機能」5. 不動産売却の成約価格を検索する方法まとめ 1.レインズ(REINS)とは レインズとは、国土交通省が指定する不動産流通機構が管理・運営している情報ネットワークシステムのことです。 正式名称である「Real Estate Information Network System」の頭文字を取って、レインズ(REINS)と称されています。Real Estateは英語で不動産を意味します。 不動産流通機構とは、不動産取引の適正化と円滑化を目的とした組織です。全国で4つの組織(東日本・中部・近畿・西日本)があります。 レインズは不動産会社の方のみが見られて、一般には非公開な部分が多いのですが、一般の方でも見ることができる部分も存在します。その線引きは以下の通りです。 不動産会社の方(登録会員)のみ: 全国の売り出し中の不動産物件を検索して見ることができる (売主のみ取引状況の確認が可能 [詳細は4章を参照] ) https://system.reins.jp/ 不動産会社の方&一般の方: 「レインズ・マーケット・インフォメーション(REINS Market Information)」 不動産売却の成約価格を検索してみることができる[詳細は5章を参照] http://www.contract.reins.or.jp/search/displayAreaConditionBLogic.do レインズでは実際に決まった成約価格を見ることができますので、不動産会社は査定にも役立てています。また、成約価格は一般の方にも検索できるため、相場を把握するツールとして活用することができます。 不動産売却の際には、不動産会社と媒介契約を締結したのち、不動産会社は売却する物件の情報をレインズに登録し、全国に公開します。レインズへの登録料は不動産仲介会社が負担する仕組みなので、レインズ利用に関する費用は売主には発生しません。 1-1.全国にある4つのレインズ レインズは国土交通省が指定した全国4つの不動産流通機構により運用されており、その事業圏域は東日本、中部、近畿、西日本の4地域に分かれています。各エリアに該当する都道府県は以下の通りです。 東日本レインズ(公益財団法人東日本不動産流通機構) 1都1道15県を事業圏域とする全国最大規模の不動産流通機構です。含まれる都道府県は以下の通りです。 北海道 東北6県(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島) 北関東3県(茨城、栃木、群馬) 首都圏1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川) 甲信越3県(山梨、長野、新潟) 中部レインズ(公益社団法人中部圏不動産流通機構) 中部、北陸の7県(愛知、静岡、三重、岐阜、富山、石川、福井) 近畿レインズ(近畿圏不動産流通機構) 近畿6府県(大阪、京都、奈良、和歌山、兵庫、滋賀) 西日本レインズ(公益社団法人西日本不動産流通機構) 中国5県(岡山、広島、山口、鳥取、島根) 四国4県(徳島、香川、愛媛、高知) 九州・沖縄8県(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄) 1-2.レインズが作られた目的は「囲い込みのリスク緩和」 「レインズ」というシステム最初に設計され始めたのは、1986年(昭和61年)からでした。当時は、インターネットは普及しておらず、不動産ポータルサイトなどももちろん存在しない時代です。 当時、「囲い込み」という不動産会社の手法が問題となっていました。囲い込みとは、売主から売却の依頼を受けた物件情報を他の不動産会社に伝えず、自分の顧客にだけ紹介して利益を多く得ようとする手法です。 一般的に、不動産会社がひとつの物件の売買で、売主・買主の両方から仲介手数料をもらうことを「両手仲介」と呼びます。一方で、買主を別の不動産会社が見つけてきた場合、買主からの仲介手数料は受け取れないため、売主のみから仲介手数料をもらいます(片手仲介)。 一部の不動産会社は「囲い込み」で両手仲介にして多くの利益を得ようとしました。しかし、これでは、売主の売却機会が減り、不利益が生じてしまいます。そこで、「レインズ」という全国の不動産流通システムを構築が始まりました。 売主と不動産会社が結ぶ媒介契約に応じてレインズに掲載する義務を法律で課す(詳細は3章)ことで、物件情報は全国で共有され、売主にとっても売却する機会を増やすことができるようになったのです。 一方、レインズの運用をしていても、囲い込みのリスクが完全になくなったわけではありません。他社からの物件の問い合わせに対して、嘘をついて断るなど、悪質な行為を行う不動産会社はゼロではありません。需要があるにも関わらず買い手が中々つかない場合は、現在でも注意するべき案件といえるでしょう。 2.レインズに登録するメリット ここからは、物件をレインズに登録する以下の3つのメリットについて詳しく解説します。 物件の早期売却が可能 複数の不動産仲介会社に物件売却を依頼する手間が省ける 売主が作成した間取り図を公開できる 2-1.物件の早期売買が可能 レインズはリアルタイムで運用されており、物件情報は登録完了と同時に全国のレインズ加盟不動産仲介会社へ公開されます。このため、市中の不動産仲介会社へ物件売却を依頼するより情報発信力が強く、それだけ物件の早期売却の可能性が高まります。実際、物件情報公開当日にその物件の購入希望者がアクセスしてくる例も少なくありません。 2-2.複数の不動産業者に問い合わせする手間が省ける レインズがサービスを開始する以前は、売主は物件を早期売却しようとすると、何社もの不動産仲介会社と媒介契約を結んで売却を依頼し、その物件の情報発信力を強めなければなりませんでした。 しかしレインズに物件情報を登録すれば、その情報が全国に発信されるので、売主は何社もの不動産仲介会社へ売却を依頼する手間が省けます。 一方、買主にとってもレインズにアクセスすれば全国の物件情報を閲覧できるので、何社もの不動産仲介会社を回って物件を探す手間が省け、希望物件も見つけやすくなります。この売主・買主双方のメリットも、物件の早期売却の可能性を高めている背景と言えます。 2-3.図面を載せることができる レインズでは、売主が作成した間取り図の登録・公開もできます。フリーペーパー、新聞折り込みチラシ、不動産物件情報サイトなどの広告媒体では、間取り図の記載項目が決まっており、売主オリジナルの間取り図を掲載することができません。 しかしレインズの場合はその制約がなく、売主は物件購入希望者に自分がアピールしたい記載項目を詳細に伝える間取り図の公開ができます。したがって売却物件の情報発信力がより強まります。 3.レインズ登録義務と不動産の媒体契約の関係 レインズは、売主が仲介を依頼する不動産会社と締結する「媒介契約」と深く関わりがあります。この章では媒介契約の種類とレインズの関係について解説します。 不動産仲介会社へ依頼して行う物件の売却契約は、宅地建物取引業法により「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3つの種類に分かれています。それぞれ契約内容とレインズ登録義務も異なります。 ■3つの媒介契約の違い 専属専任媒介契約 他の不動産会社に重ねて依頼ができない 自己発見取引は不可 契約締結の日から5日以内にレインズに登録 売主への報告義務は1週間(休業日を含む)に1回以上 専任媒介契約 他の不動産会社に重ねて依頼ができない 自己発見取引は可能 契約締結の日から7日以内にレインズに登録 売主への報告義務は2週間(休業日を含む)に1回以上 一般媒介契約 他の不動産会社に重ねて依頼できる 自己発見取引も可能 レインズへの登録義務はなし 売主への報告義務はなし ※自己発見取引とは自分で買主を見つけてくることです。 専属専任媒介契約と専任媒介契約は、1社の不動産会社にしか仲介を依頼できない契約です。それに対して、一般媒介契約は複数の不動産会社に同時に仲介を依頼できる契約となります。 専属専任媒介契約と専任媒介契約の違いは、自己発見取引ができるかどうかという点にあります。専任媒介契約では自己発見取引はできますが、専属専任媒介契約ではできません。 一方で、一般媒介契約は複数の不動産会社と媒介契約を結ぶことができますが、その代わりにレインズへの登録義務は不動産会社には生じません。 次に、媒介契約の種類別の特徴とルールについて、詳細を見ていきましょう。 はじめて家を売る方もこれを読めば安心! 不動産売却を成功させるために知っておきたいポイントを全網羅 「家を売る方法、完全ガイド」を見る 3-1.専属専任媒介契約のルール 専属専任媒介契約は、不動産仲介会社1社のみにしか物件売却を依頼できず、複数の不動産仲介会社への依頼はできません。また、売主が自ら買主を見つけた場合も、同契約を結んだ不動産仲介会社を通さないと売却ができません。契約期間は最長3カ月です。 一方、不動産仲介会社は契約締結から5日以内に、レインズで売却物件情報を登録しなければいけません。また、依頼主に対して7日に1回以上の頻度で販売状況を報告する義務を負います。 同契約は依頼を受けた不動産仲介会社が仲介手数料を独占できるので、不動産仲介会社の積極的な販売活動が期待されます。ただし、売主が自ら買主を見つけることはできないため、少しでも可能性がある場合は避けたほうがよいかもしれません。 3-2.専任媒介契約のルール 専任媒介契約も不動産仲介会社1社のみにしか物件売却を依頼できません。ただし、売主が自ら買主を見つけた場合は買主と直接取引ができます。契約期間は専属専任媒介契約と同じく最長3カ月です。 一方、売却依頼を受けた不動産仲介会社は契約締結から7日以内にレインズへ売却物件情報を登録しなければならず、依頼主に対し14日に1回以上の頻度で販売状況を報告する義務も負っています。 同契約と専属専任媒介契約との基本的な違いは、売主が自ら買主を見つけた場合に買主と直接取引ができるか否かの違いと言えます。 3-3.一般媒介契約の場合 一般媒介契約は、複数の不動産仲介会社に物件売却を同時依頼できます。売主が自ら買主を見つけた場合は買主と直接取引ができます。書式が「明示型」と「非明示型」に分かれているので、契約を結ぶ場合は注意が必要です。 明示型は、不動産仲介会社と一般媒介契約を結ぶ際、他の不動産仲介会社とも媒介契約を締結している事実を告げるタイプです。 一方、非明示型は他の不動産仲介会社とも媒介契約を締結している事実を告げる必要のないタイプです。売主は任意で明示型か非明示型かの選択ができます。 いずれにせよ、一般媒介契約は専属選任媒介契約・選任媒介契約と比べ売主側の売主側の制約が少なく、売主の物件売却活動の自由度が高いと言えます。反面、物件売却依頼を受けた不動産仲介会社にはレインズへの登録義務(※)や販売状況報告義務はなく、積極的な販売活動は期待できない可能性が高いでしょう。 具体的には、成約率が高い人気エリアの好物件以外は経費と時間をかけた販売活動に力を入れてくれないケースが多いと言われています。 なお、同契約では契約期間の法的な定めはありませんが、国土交通省が推奨している「標準媒介契約約款」に基づく契約の場合、契約期間は3カ月となっており、書式は明示型が採用されています。 ※売主がレインズ登録を希望すれば、特約条項の追加で登録可能です。 信頼できる不動産会社との媒介契約を締結を目指すなら、NTTデータグループが運営する一括査定サイト「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」をおすすめします。 「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」はカンタンな情報を入力するだけで、全国の優良な不動産会社2,500社のなかから、最大6社を選んでまとめて査定依頼ができます。 信頼できる優良な不動産会社を探すなら、「不動産売却 HOME4U」をぜひご活用ください。 【無料】一括査定依頼スタート 4.レインズ登録後に売主が確認できる「取引状況管理機能」 レインズには、売主が現在の取引状況を確認することができる機能があります。 4-1.「取引状況」とは 従来のレインズでは、売主は物件の情報がどのように扱われているのか分かりませんでした。A社に依頼しても、B社からの申出をA社が断っていた可能性もあったため、囲い込みの懸念が払しょくできないという課題がありました。 そこで、売主が依頼した不動産会社がきちんと他社の申出を受け付けているかどうかを確認できるようにしたのが「取引状況管理機能」です。 取引状況には、以下の3つのステータスがあります。 「公開中」:客付業者(買主を見つけてくれる不動産会社)への案内等を受けられる状態。 「書面による購入申込あり」:客付業者から書面による購入申込を受けた状態。 「売主都合で一時紹介停止中」:売却依頼主の事情により一時的に物件を紹介できない状況。 「公開中」となっている物件は、専任媒介を受けた不動産会社は客付業者への紹介を拒否できません。それに対して、「書面による購入申込あり」や「売主都合で一時紹介停止中」は、客付業者への紹介を拒否できることになっています。 「公開中」の物件は、客付業者への紹介を拒否できないという強制力が加わったため、レインズ掲載後の囲い込みは、取引状況管理機能によってできなくなっています。 4-2. レインズで「取引状況」を確認する方法 売主は専任媒介または専属専任媒介を依頼した場合、レインズ上で売り主専用画面から取引状況を確認することができます。 不動産会社から受領する登録証明書に記載されているIDとパスワードを使って「売却依頼主物件確認」画面にログインし、登録内容を確認します。 取引状況については、「公開中」となっていることをしっかりと確認するようにしてください。売主が何も指示していないのに、「売主都合で一時紹介停止中」となっている、また「書面による購入申込あり」となっているにもかかわらず、売主に何も相談が来ていない場合は「囲い込み」の可能性もあります。 通常、売却を依頼した状態であれば、取引状況は「公開中」となっています。専任媒介または専属専任媒介で売却を依頼したら、必ず「公開中」となっているかどうかを確認するようにしましょう。 5. 不動産売却の成約価格を検索する方法 「レインズ・マーケット・インフォメーション(REINS Market Information)」では、実際の成約価格を知ることができます。条件検索から類似物件を探すことで、売却したい物件また購入したい物件の相場を調べる方法としても有効です。 検索できる条件は主に以下の通りです。 単価(万円/m²) 専有面積 間取り 築年数 成約時期(3か月以内/6か月以内/1年以内から選択可能) 用途地域(土地の用途) “近所にバレずに売却するならレインズは効果的!?” フルオープンな情報公開が当然の昨今では、クローズドな情報公開システムであるレインズの意味合いは薄れつつあります。しかしながら、売却していることを他人に知られたくない売主にとっては、レインズは大きな効果を発揮します。 不動産の売却では、ご近所トラブルや離婚、借金の返済等、売却していることを他人に知られたくないというケースがあります。 通常の方法で売却活動を進めると、チラシ等で「あの家は売りに出されている」ということが近所にも知れ渡ってしまいます。また、ポータルサイトで近所の住民につながりのある誰かの目に触れることで、売却を進めていることが分かってしまいます。 他人に知られたくない人にとっては、フルオープンな情報公開は避けたいところ。そこで、売却を他人に知られたくない人は、専任媒介または専属専任媒介で売却することをおすすめします。 不動産会社には、ネット広告やチラシを行わないで欲しいと希望をきちんと伝えてください。レインズには情報が公開されるため、プロの方たちの間にのみ広く情報を届けることが可能です。 もちろん、レインズで物件情報を見た不動産会社が広告やチラシを行うことはありません。たまたま「当該物件のような家が欲しい」という買主を抱えている不動産会社がいれば、購入希望者を紹介するだけになります。 レインズの仕組みを理解し、上手に利用することで、不動産売却がスムーズに実現できることでしょう。 まとめ この記事では、レインズについて解説してきました。レインズは、「専任媒介」または「専属専任媒介」で生じやすい囲い込みリスクを緩和する役目を持ちます。 また、売主は物件の取引状況を確認することができますので、登録済証が発行されたら、ぜひ取引状況を確認するようにして下さい。また、「レインズ・マーケット・インフォメーション」では、大体の不動産相場の調べ方がわかります。 レインズの仕組みを上手く利用して、不動産を高くスムーズに売却しましょう。 不動産売却の豆知識 不動産会社によっては同じ物件でも査定額が数百万円変わることがあります。複数社に査定依頼をすることで、査定額を比較し本当の物件価値を知ることができます。 実際に不動産売却した人は平均3社以上の不動産会社に査定依頼を出しています。不動産売却 HOME4U(NTTデータグループ運営)では厳選された不動産会社から最大6社をご紹介させていただきます。 【完全無料】一括査定依頼をスタート