インスペクションとは?不動産売却で役立つ基礎知識を解説

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インスペクション(英:inspection)は、「視察・検査」を意味する言葉です。
不動産のインスペクションとは、既存住宅の建物状況調査のことを指し、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について専門家が行う調査のことを指します。

2020年4月の民法改正によって、不動産の売買ではインスペクションを活用する機会が増えていくものと予想されます。

この記事では、インスペクションの流れや費用、期間の他、メリットやデメリット、瑕疵担保保険との関係を分かりやすく解説します。インスペクションを上手に活用して、不動産を早く高く売却するコツを紹介していきますので、最後までご覧ください。

1.インスペクションとは

宅地建物取引業法が規定するインスペクションは、既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士が、国の定めた既存住宅状況調査方法基準に従って行う調査のことを指します。

民間企業では、以前から「ホームインスペクション」や「住宅診断」等の名称で独自の建物状況調査サービスを展開している会社もありますが、この記事は宅地建物取引業法が規定するインスペクションについてご説明します。

1-1.調査対象と調査方法

インスペクションとは、専門家による建物の調査のことです。対象となる建物は、既存住宅であり、店舗や事務所は対象とはなりません。
既存住宅とは、築後年数が2年を超えている住宅または既に人が住んだことがある「中古住宅」のことを指します。
竣工から1年経っておらず、未使用の新築住宅は対象ではありません。
また、住宅ですので、アパート賃貸マンションも中古であれば対象となります。店舗併用住宅の場合は、住宅部分がインスペクションの調査対象です。

各住宅の調査対象部位は、以下の通りです。

構造耐力上主要な部分 雨水の浸入を防止する部分
戸建て住宅 基礎、土台、床版、柱、横架材、壁、斜材、屋根版、小屋組 基礎杭、基礎、床版、壁、外壁、屋根版外壁、開口部、屋根
マンション 基礎杭、基礎、床版、壁、外壁、屋根版 外壁、開口部、屋根、配水管

 

上記範囲の調査を行うことで、雨漏りやシロアリよる床下の腐食、家の傾き等の有無を調べ、住宅として通常有すべき品質を有しているかを調べます。

調査方法としては、目視が中心であり、その他にレーザー距離計やデジタル水平器等の一般的に普及している計測機器を使用した計測や触診・打診、作動確認等が行われます。戸建ての場合、床下に潜り込んで調査を行いますので、所有者でも分からないシロアリによる腐食の有無等も確認できます。

一方で、インターフォンや浴室乾燥機、ディスポーザー等の住宅設備に関しては、インスペクションの対象外です。住宅設備に関しては、売主が作動確認を行い、不具合を付帯設備表と呼ばれる調査シートに記載することが必要です。

上述したように、インスペクションは目視の検査であり、調査には限界があります。住宅が完全に欠陥がないと断定するものではないということを知っておきましょう。

参考:国土交通省資料「既存住宅を売却されるみなさんへ 建物状況調査(インスペクション)を活用しませんか?

1-2.インスペクション実施の流れ

インスペクションは売主が行うケースと買主が行うケースがあります。

1-2-1.売主が行うケース

売主が費用を負担してインスペクションを行う場合、実施のタイミングは以下のようになります。

不動産の売却では、まず不動産会社に査定を行ってもらい、売却をお願いする不動産会社を選びます。不動産会社に売却を依頼する契約のことを媒介契約と呼びます。

媒介契約の締結の際、不動産会社からインスペクションに関する説明がありますので、インスペクションを実施したい場合には、不動産会社からインスペクター(インスペクションを行う既存住宅状況調査技術者のこと)を紹介してもらいます。

インスペクターの手配ができたら、インスペクションの実施です。インスペクションでは、不具合がないことを「合格」、不具合があることを「不合格」と表現します。インスペクションに合格した場合には、特に問題はありませんので、そのまま売却活動を進めます。

一方で、インスペクションに不合格だった場合、修繕すべきかどうかの判断が必要です。インスペクションは不合格の状態で売却しても、買主がその状況を容認していれば問題なく売却することはできます。

ただし、売主がインスペクションに不合格のまま物件を売却するのであれば、売り出し価格の見直しが必要です。査定で出された価格は、インスペクションに合格している物件である前提なので、不具合の影響が大きければ価格は見直すことになります。
値段を下げずに売却したい場合には、修繕してから売却活動を開始するようにしてください。インスペクションに合格している方が売却しやすいので、不具合は修繕することをおススメします。

1-2-2.買主が行うケース

買主の費用負担でインスペクション実施するときの流れは以下の通りです。

買主も不動産会社と媒介契約を締結した時点で、インスペクションの説明を受けます。
買主がインスペクションを希望する場合は、買付証明書を提示してくるタイミングで売主にインスペクションの申出を行うことが通常です。買付証明書とは、買主が提示する購入希望額や希望条件等が記載されている書面になります。

売主がインスペクションの実施を承諾したら、売主と買主との間で合意書を締結し、インスペクションを行います。買主がインスペクションを実施する場合、買付証明書を受領しても、インスペクションの結果次第では購入を見送るということもあり得ます。

1-3.インスペクションの費用

インスペクションの相場は5万円前後が一般的です。
戸建てに関しては延床面積により4.5万円~6.5万円程度で価格に差をつけている会社もあります。

インスペクションでは給排水管路検査をオプションで付けることができます。給排水管路検査のオプションの追加料金は5,000円程度です。

1-4.インスペクションに要する時間と期間

インスペクションに要する時間は1~3時間程度です。
期間に関しては、依頼してからインスペクション実施まで1週間程度、実施してから報告書受領までが1週間程度、合計で2週間程度かかりると見れば良いでしょう。

尚、地方ではインスペクターが不足しているため、インスペクターがなかなか手配できないこともありますので、時間的な余裕を持っておくことをおすすめします。

2.インスペクションは義務?やらなくてもよい?

インスペクションは、2018年4月1日の宅地建物取引業法の改正に伴い、不動産会社に対して以下の3点が義務付けられました。

  1. 媒介契約の締結時に建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面を依頼者に交付する
  2. 買い主等に対して建物状況調査の結果の概要等を重要事項として説明する
  3. 売買等の契約の成立時に建物の状況について当事者の双方が確認した事項を記載した書面を交付する

義務付けられたのは、あくまでも不動産会社ですので、売主や買主はインスペクションを行う義務はありません。「やらなくてもよい?」という疑問に対しては、「やらなくても良いです」というのが回答です。
インスペクションの実施は、あくまでも売主と買主の自由意思になります。

例えば、戸建てでは相当に築年数が古い建物であれば、取壊し前提で取引されるようなことがあります。取壊し前提の建物は、買主にとってはインスペクションの合否は重要ではないため、インスペクションは不要です。
また新築後2~3年程度で売却する場合は、建物の劣化はほぼ無いと判断されるため、築浅の物件の場合もインスペクションはやらなくても良いでしょう。
物件によってやる必要のない場合もあるので、不動産会社と相談して実施するかどうかを決めるようにしてください。

3.民法改正と契約不適合責任

2020年4月の民法改正に伴い、インスペクションの有効性が高くなることが予想されます。
新しい民法では、買主保護の制度が「瑕疵(かし)担保責任」から「契約不適合責任へと変わります。
契約不適合責任とは、種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものがあるときに売主が負う責任です。

従前の瑕疵担保責任では、買主が売主に対して請求できる権利は、「解除」と「損害賠償請求」の2つに限られていました。
契約不適合責任では、買主が「無催告解除」と「損害賠償請求」に加え、「追完請求」「代金減額請求」「無催告解除」の5つの権利を請求できるようになることから、売主の責任は重くなります。

追完請求とは簡単にいえば、「直してください」という請求です。契約内容と異なるものを売却した場合は、売主は売却後、追完請求により修繕をしなければなりません。

契約不適合責任は、契約書の内容と異なるものを売ったときに売主が負う責任です。
逆に言えば、建物に不具合があったとしても、その内容が契約書に書かれており、買主が納得していれば責任を負う必要は無くなります。

例えば、雨漏りをしている物件でも、売買契約書の容認事項の中に「この物件は雨漏りしています」と記載し、それに関して買主が了承していれば、契約不適合責任は負わないということです。
そのため、民法改正後の売買では、売却する不動産がどのような状態のものであるかをしっかりと調査して契約書に記載することが非常に重要になってきます。

この売却前の調査として有効な手段がインスペクションです。
インスペクションで建物の状態を明らかにしておけば、建物の状況について契約書に明記することができます。

新しい民法では、インスペクションは不具合箇所を直すために行うというよりは、契約物の内容を明らかにするために行うという意味合いも強いです。
契約不適合責任を回避するには、売買契約書に目的物の内容をしっかり明記することが必要となります。
よって、建物の状態を調査できるインスペクションは売主を守る有効な手段となるのです。

4.売主から見たインスペクションのメリットとデメリット

この章では、売主から見たインスペクションのメリットとデメリットについて解説します。

4-1.メリット

インスペクションのメリットは以下の3つです。

  1. 早く高く売ることができる
  2. 安心して売却ができる
  3. 瑕疵担保保険を付保要件の一つとなる

1つ目のメリットは、早く高く売ることができるという点です。
理由としては、インスペクションに合格している物件であれば、買主が安心して購入することができるためです。

公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会では、2017年3月に「土地・住宅に関する消費者アンケート調査」において、インスペクションの利用効果を公表しています。

出典:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会「土地・住宅に関する消費者アンケート調査

それによるとインスペクションを実施すると、「自宅の売却が希望価格で売れた」「買手が早く見つかり売却がスムーズにできた」といった回答が上位を占めていることがわかります。

2つ目のメリットは、安心して売却ができるという点です。
上記アンケートの中でも、「建物の状況がわかったので安心して売却できた」という結果があるのがわかります。

契約不適合責任がスタートすれば、この売主に安心感を与えるというメリットがさらに大きくなるものと思われます。
インスペクションを実施しておけば、売買契約書に建物の状況を明記することができますので、建物に関して契約不適合責任を負う心配が減ります。インスペクションは、売主と買主の双方に安心感を与えるという効果があるのです。

3つ目は、既存住宅売買瑕疵保険(以下、「瑕疵担保保険」と略)を付保要件の一つとなるという点です。
瑕疵担保保険については、「第8章 既存住宅売買瑕疵保険とは」にて詳しく解説します。

瑕疵担保保険に加入するには、インスペクションの合格が必要です。
瑕疵担保保険まで付保して売却すると、物件にさらに付加価値を与えることができ、高く売ることができるというメリットが生じます。

4-2.デメリット

インスペクションのデメリットは以下の3つです。

  1. 費用と調査期間が発生する
  2. 値引きされる可能性がある
  3. 修繕費が発生する可能性がある

1つ目は、費用と調査期間が発生するという点です。
インスペクション制度は2018年4月1日からスタートしていますが、実はあまり普及していません。

インスペクションは、媒介契約締結時に不動産会社から説明を受けますので、理論上では、売買の時点でインスペクションについて知らない人はいないことになります。にも関わらず、インスペクションを行う人が少ないのは、売却するのに余計なお金をかけたくないと思っている人が多いからです。
また、インスペクションは依頼から報告書の受領まで、2週間程度の時間を必要としますので、すぐにでも売却したい人には不向きな制度ともいえます。

2つ目は、値引きされる可能性があるという点です。

前節で紹介したアンケート結果にも、「検査の結果、価格の値引きを求められた」という結果があります。
インスペクションは、売主にとっては「粗探し」みたいなイメージになりますので、やりたくないと感じる売主は多いです。特に、買主が行うインスペクションは、値引き交渉に繋がりやすいという性質を持っています。買主からすれば、5万円程度の調査費用で数十万円~数百万円の値引きができれば安いものです。

買主からの値引きを防ぐには、先手を打って売主側でインスペクションを行っておくことが効果的です。

3つ目は、修繕費が発生する可能性があるという点です。
インスペクションに合格した状態で売却したければ、不合格となった部分を修繕する必要があります。

インスペクションでは、インスペクターが劣化部分の修繕方法に関し、アドバイスをくれることが通常です。そのため、不具合をきちんと修繕してから売りに出すことも可能です。修繕は必須ではありませんが、しなければ値引き対象となります。インスペクションを行ったがゆえに、修繕費用や値引きが発生してしまうこともあるのです。

5.まずは不動産会社の提案を聞くこと

インスペクションに関しては、あれこれ悩むより、まずは不動産会社の提案を聞くことをおススメします。

インスペクションは、不動産会社から媒介契約時に説明がありますので、その説明を受けて実施すべきかどうかを判断するようにしてください。できればやりたくないという売主も多いので、やりたくない場合にはどうすべきかを含めて不動産会社に相談すべきです。

インスペクションに関して不動産会社に相談したい場合には、「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」の一括査定サービスを利用することをおススメします。

不動産売却HOME4U

インスペクションは、比較的新しい制度ですので、きちんと理解していない不動産会社も多いです。インスペクションについて相談するなら、法改正にきちんと対応しているしっかりした不動産会社を探す必要があります。

不動産売却 HOME4U」では、運営会社であるNTTデータグループが、最先端の法改正に対応している不動産会社を厳選しています。そのため、「不動産売却 HOME4U」を利用すると、信頼できる不動産会社に出会うことができ、インスペクションについての適切なアドバイスが期待できます。

インスペクションをせずに売却する場合には、想定される不具合や劣化を徹底的に列挙し、売買契約書に書き込んで契約不適合責任を回避するような対処が必要となってきます。不動産会社の腕の見せ所ですので、インスペクションをしたくない場合には、適切な対処法をアドバイスしてくれる不動産会社を選ぶようにしてください。

尚、「不動産売却 HOME4U」で査定依頼できる不動産会社には、インスペクションを無料で行ってくれる不動産会社も少なくありません。インスペクションの無料対応についても不動産会社に確認すると良いでしょう。

6.売主がインスペクションを依頼するときの注意点

売主がインスペクションを依頼するときの注意点は、以下の3つです。

  1. インスペクターは必ず不動産会社に紹介してもらうこと
  2. スケジュールに余裕を持つこと
  3. 建物以外の瑕疵は別途対応が必要であること

1つ目は、インスペクターは必ず不動産会社に紹介してもらうようにしてください。

インスペクションは瑕疵担保保険の付保要件の一つですが、その要件に該当するには「既存住宅状況調査技術者の資格者」であり、かつ「住宅瑕疵担保責任保険法人の登録検査事業者」によるインスペクションであることが必要です。

インスペクションは、比較的新しい制度であるため、インターネット上には誤解を招く情報が氾濫しています。
民間の調査会社が、2018年4月の制度開始以前から「ホームインスペクション」や「住宅診断」等の様々な名称で類似のサービスを提供していますが、それらが瑕疵担保保険の付保要件を満たすインスペクションであるとは限りません。せっかくお金をかけたにも関わらず、瑕疵担保保険を付保できないインスペクションだと価値が半減してしまいます。
特に「ホームインスペクション」は名前が類似していますので、安易に自分で依頼しないようにしてください。

インスペクションに合格していれば、後から買主が瑕疵担保保険を付保することもできますので、瑕疵担保保険の付保要件を満たすインスペクションにこそ価値があります。

インスペクションを依頼する際は、必ず「瑕疵担保保険が付保できるインスペクションをしたい」と不動産会社に伝え、不動産会社の責任で紹介してもらうようにしましょう。不動産会社に紹介を依頼しても、紹介料等の別途費用が取られることはありません。

2つ目は、スケジュールに余裕を持つことです。

既に述べたように、インスペクションは都市部であっても少なくとも2週間程度を見込んでおくことが必要です。地方ではインスペクターが見つからないこともあり、もっと時間がかかる可能性があります。

3つ目は、建物以外の瑕疵は別途対応が必要であると理解しておくことです。

瑕疵とは「キズ」のことを意味します。インスペクションは、あくまでも建物の調査のみですので、心理的瑕疵や環境的瑕疵、土地の瑕疵は調査の対象ではありません。
心理的瑕疵とは、取引物件で過去に自殺や殺人事件、火災、忌まわしい事件、事故などがあり、心理的な面において住み心地の良さを欠く不具合のことです。
環境的瑕疵とは、近隣からの騒音、振動、異臭、日照障害、近くに反社会的組織事務所があり安全で快適な生活が害される恐れが高い不具合を指します。
土地の瑕疵とは、土壌汚染や地中障害物等の不具合のことです。

心理的瑕疵等は売主が自ら告知して、売買契約書に記載していくという別途対応が必要です。インスペクションは、あくまでも建物に関する契約不適合責任を回避する対策に過ぎないということを理解しておきましょう。

7.買主からインスペクションを依頼されたときの注意点

インスペクションは、2020年3月現在、買主が希望して実行するケースの方が多いです。買主にとっては、自分で判断するよりも、専門家に見てもらった方が安心できるため、今後も買主からの希望は増えるものと予想されます。

買主からインスペクションを依頼されたときの注意点は、以下の3つです。

  1. 依頼を受けるタイミングは買付証明書と同時とする
  2. 申出は基本的に拒絶しない
  3. 合意書を締結すること

1つ目は、依頼を受けるタイミングは買付証明書と同時とするという点です。

インスペクションは、インスペクターが家の中に入ってきて調査しますので、興味本位のレベルで行われてしまうと、売主の負担が増えます。
買付証明書を出してきた購入希望者は購入意思が高いので、インスペクションを応諾するなら、買付証明書を提示してきた購入希望者のみに絞るべきです。インスペクションは、買付証明書を提示してきた購入希望者のみに限定したい旨を不動産会社に伝えるようにしてください。

2つ目は、申出は基本的に拒絶しないという点です。

インスペクションを申し出てきた買主に対し、インスペクションを拒絶したまま売却してしまうと、買主が購入後、すぐにインスペクションを行う可能性があります。買主が購入後にインスペクションを行い、売買契約書に記載されていない不具合が発見されると、売主は契約不適合責任を負うことになります。
追完請求を要求されれば、結局は売主の費用負担で修繕しなければなりません。

インスペクションを申し出てくる買主は、不動産に関しての知識がありますので、よほどの理由がない限りインスペクションの申し出は断らないようにしてください。

3つ目は、合意書を締結するという点です。

インスペクションに応諾する場合は、事前に売主と買主との間で「インスペクションに関する合意書」を締結しておきます。
合意者には、「調査結果を第三者に漏洩しない」ことと、「調査結果の写しを売主に提供する」ことの2つを盛り込んでおくことがポイントです。

買主が行うインスペクションでは、結果によって購入を見送ることがあります。その際、インスペクションの結果をSNS等で拡散されてしまうと、今後の売却活動に風評被害をもたらす恐れがあります。そのため、結果の守秘義務は絶対です。

また、売主がインスペクションの調査結果も受領できるようにしておくと、不具合があってもどこを直せば良いか分かるようになります。仮に売却が破談になっても、インスペクションの結果に従い修繕すれば、今後の売却活動に生かすことができます。
売主にとっても有益な情報ですので、買主が実施したインスペクションの結果の写しは必ず受領できるようにしてください。

8.既存住宅売買瑕疵保険とは

この章では、既存住宅売買瑕疵保険(瑕疵担保保険)について解説します。

8-1.保険の対象と支払限度額

瑕疵担保保険とは、売却後、物件に瑕疵が発見された場合、その補修費用の一部を保険料によってまかなうことができる保険です。

売却後、万が一、追完請求を受けたとしても保険金で修繕費を払うことができるため、安心して売却することができます。瑕疵担保保険は、国土交通大臣が指定した住宅瑕疵担保責任保険法人から提供されている保険であり、不動産会社やハウスメーカーが行っているアフターサービスとは異なります。
瑕疵担保保険の対象となる部分は、インスペクションの調査対象範囲である構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分です。

保険期間と1住戸あたりの支払限度額は以下のように決まっています。

保証対象部分 保険期間 1住戸あたりの支払限度額
構造体力上主要な部分
雨水の浸入を防止する部分
5年間 1,000万円
1年間 500万円または1,000万円

 

保険金の支払い対象となる主な費用は、補修費用、事故調査費用、転居・仮住まい費用等です。

保険料の相場は以下の通りです。金額は住戸の面積が広いと高くなります。

保証期間 1年 5年
保証金額 500万円 1,000万円 1,000万円
戸建て 3.9万円~5.5万円程度 4.0万円~5.6万円程度 5.8万円~10.1万円程度
マンション 3.1万円~4.0万円程度 3.2万円~4.1万円程度 3.9万円~6.1万円程度

 

瑕疵担保保険は、要件を満たしていれば売主又は買主のいずれかで加入することができます。
実際には検査機関が間に入って加入しますので、所有者が変わったとしても保険料が支払われる仕組みになっています。

8-2.付保の要件

瑕疵担保保険に加入するには、以下の2つの要件を満たすことが必要です。

  1. インスペクションに合格している建物であること(1年以内のもの)
  2. 新耐震基準に適合した建物であること

1つ目に、インスペクションに合格していることが必要です。

ただし、合格の日付が古過ぎるとその後劣化が進んでいる可能性がありますので、過去1年以内に合格している建物が要件の対象となります。

2つ目に、新耐震基準に適合した建物であることが必要です。

新耐震基準とは、1981(昭和56)年6月1日以降に建築確認申請を行った建物のことを指します。それに対し、1981年5月31日以前に建築確認申請を行った建物のことを、旧耐震基準と呼びます。
1981年5月31日以前の建物(旧耐震基準時代の建物)であっても、全ての建物が耐震基準を満たしていないわけではなく、堅固に作られていれば新耐震基準を満たしている建物は存在します。
そのため、耐震診断を行って新耐震基準を満たしていることを証明できれば、旧耐震基準時代の建物であっても瑕疵担保保険の付保は可能です。

また、旧耐震自体の建物で耐震基準を満たしていない場合には、耐震リフォームを行って耐震基準を満たせば瑕疵担保保険に加入できることになります。

8-3.付保すると売りやすくなる築年数

中古住宅は、以下に示す築年数以内でないと、買主が「住宅ローン控除」や「登録免許税の軽減」「贈与税の住宅取得等資金の非課税制度」の適用を受けることができません。

非耐火建築物(木造の戸建て等) 20年以内
耐火建築物(鉄筋コンクリート造のマンション等) 25年以内

ただし、瑕疵担保保険に加入している物件であれば、上記の築年数を経過した物件であっても買主が住宅ローン控除等の適用を受けることができるようになります。
そのため、築20年超の戸建て(マンションなら25年超)は、瑕疵担保保険を付保すると買主が多くの税制メリットを受けることができるため、売却しやすくなります。

特に、築20年超の戸建て(マンションなら25年超)物件で、1981年6月1日以降に建築された物件(上図の空白の期間)であれば、新耐震基準を満たしていますので、インスペクションに合格するだけで瑕疵担保保険に加入できます。
空白の期間に建築された物件は、インスペクションに合格すると物件の価値が上がりますので、積極的にインスペクションを実施することをおススメします。

まとめ

いかがでしたか。
インスペクションについて解説してきました。

インスペクションは売主を契約不適合責任から守ってくれる有効な手段です。
インスペクションはまだまだ新しい制度なので、「不動産売却 HOME4U」を使ってしっかりアドバイスをしてくれる不動産会社を見つけることがポイントです。

インスペクションの合格は、瑕疵担保保険の付保要件の一つです。
瑕疵担保保険も付保すると、さらに物件の価値も上がりますので、インスペクションとともに検討してみるのも良いでしょう。

※本記事の掲載内容は、公開日時点での情報です。

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