更新日:2024.07.04 知っておきたい不動産用語 土地総合情報システムって何?どのようなことができるか解説 土地総合情報システムとは、国土交通省が運営している不動産の取引価格や地価公示・都道府県地価調査の価格を閲覧できるWEBサイトです。 不動産会社だけではなく、一般の方でも利用できます。 土地総合情報システムでできることや、相場の調べ方、利用の注意点などをご紹介します。 不動産売却や不動産査定で損をしたくないとお考えの方は、ぜひご一読ください。 不動産売却の基礎から詳しく知りたい方は、『不動産売却の入門書』や『土地売却の流れを7ステップで解説』も併せてご覧ください。 「土地を売りたい」と悩んでいる方へ 「土地を売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を 「不動産一括査定」なら複数社に査定依頼でき”最高価格”が見つかります 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます 完全無料一括査定依頼をスタート この記事の執筆者 竹内 英二 不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。 (株)グロープロフィット Contents1. 土地総合情報システムとは2. 土地総合情報システムを活用した土地相場の調べ方3. 土地総合情報システム利用の注意点4. 土地総合システムの特徴まとめこの記事のポイント まとめ 1. 土地総合情報システムとは 土地総合情報システムとは、2006年4月から制度化された「不動産の取引価格情報提供制度」に基づき、国土交通省が運営している不動産の取引情報サイトです。 不動産取引は、長年、相場を把握しにくい不透明性が課題とされていました。 そこで、不動産市場の信頼性や透明性を高める目的で設置されたのが土地総合情報システムになります。 例えば、缶コーヒーは120円と、販売価格が知れ渡っています。 これは、缶コーヒーの相場が、広く一般に認識されているためです。 一方で、中古の不動産は、相場が広く知れ渡っているとは言い切れない状況です。 相場が分かりにくい市場では、売主が安く売ってしまったり、買主が高く買ってしまったりということが起こり得ます。 例えば、本当は120円くらいするものを、3円で売ったり、5万円で買ったり等、売主や買主が不当に損をすることがあり得るのです。 そこで、不動産の取引相場を広く一般の人に認識してもらうためにできたのが土地総合情報システムになります。 1-1. 土地総合情報システムでできることは3つ 国土交通省「土地総合情報システム」 土地総合情報システムの機能は、「不動産取引価格情報検索」と「地価公示・都道府県地価調査」、「不動産取引価格アンケート回答」の3つです。 このうち、不動産取引価格情報検索で、「土地」と「土地と建物」、「中古マンション」、「農地」、「林地」の取引相場を確認することができます。 1-2. 毎年1月1日の地価を公開 この土地総合情報システムは、突然、湧いて出てきたわけではありません。 国土交通省では、「不動産の取引価格情報提供制度」を行う以前から、地価公示制度というものを実施していました。 地価公示とは、都市計画法に定める都市計画区域その他の土地取引が相当程度見込まれる区域における標準地について、一定の基準日における当該標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定し、国が公示する価格です。 地価公示では地価を表示する定点ポイントを設けており、その定点ポイントの毎年1月1日時点の地価を鑑定評価して公開しています。 類似の制度に都道府県地価調査があります。 地価調査は、毎年7月1日時点の地価になります。 毎年、銀座の土地価格が一番高いというニュースを見たことのある人もいると思いますが、このニュースの元ネタとなっているのが地価公示です。 土地価格の相場の調べ方は?売却価格の推移や事例、注意点も紹介 1-3. 地価公示は税収を決める重要な価格 地価公示価格は、相続税路線価や固定資産税評価額等の税金を算出するための不動産価格の元となっています。 相続税路線価は地下公示価格の80%程度、固定資産税評価額は地下公示価格の70%程度を目安に決定されているのです。 地価公示価格は、税収を決める重要な価格であるため、実際の取引価格に基づき算出する必要があります。 1-4. 土地取引状況調査票は土地総合システムで回答可能 地価公示価格を決めるために国は不動産の取引価格を知る必要がありました。 そこで登場したのが「土地取引状況調査票」になります。 不動産を売買すると、国から「土地取引状況調査票」が届きます。 昔は紙ベースでの回答でしたが、今では土地総合情報システムの「不動産取引価格アンケート回答」機能を選択するとウェブ回答ができるようになっています。 元々、「土地取引状況調査票」は、地価公示価格を算出するために集めていたものです。 この情報を「不動産の取引価格情報提供制度」に基づき、情報公開したのが土地総合情報システムの「不動産取引価格情報検索」機能ということになります。 つまり、取引事例の情報は、国土交通省がアンケートで集めている「土地取引状況調査票」による取引当事者の回答による生データです。 土地総合情報システムは、昔から地価公示のために行っていたアンケート調査の結果を「せっかくだから公表しよう」と流用したものになります。 ただし、土地総合情報システムでは、アンケートの生データをそのまま公表しているわけではありません。 場所や個人などが特定できる情報をすべて排除し、プライバシーが保護された状態で公表されています。 「土地取引状況調査票」に協力しても、情報が丸裸にされることはないので、安心して回答して頂ければと思います。 はじめて家を売る方もこれを読めば安心! 不動産売却を成功させるために知っておきたいポイントを全網羅 「家を売る方法、完全ガイド」を見る 2. 土地総合情報システムを活用した土地相場の調べ方 土地総合情報システムでは、「土地」と「土地と建物」、「中古マンション」、「農地」、「林地」の取引情報を確認できます。 土地総合情報システムを使った、土地相場の調べ方をご紹介します。 2-1. 土地相場の調べ方 別ウインドウで大きい画像を見る 土地総合システムを利用して、土地の相場を調べる手順は以下の通りです。 土地相場の調べ方 土地総合システムのトップページから「不動産取引価格情報検索」をクリック 取引対象の時期を選択 物件種別を選択 「地域を選ぶ」で該当地域の情報を選択 2-2. 検索結果の見方 土地総合情報システムでは、アンケート調査による貴重な生データを使っています。 プライバシー保護が優先され、物件の特定を行いにくくする工夫が施されています。 検索結果に表示される情報は「所在地」、「最寄駅」、「取引総額」、「坪単価」、「面積」等です。 所在地については、町名までしか分からず、場所を特定できません。 もちろん取引当事者の名前等は一切公表されていないです。 町名で、大まかな土地の相場を把握しましょう。 大規模に開発された住宅地などは、坪単価が似たような数字がズラズラっと並んでいますので、一般の人でも相場の把握が可能です。 3. 土地総合情報システム利用の注意点 取引された不動産の価格や位置情報をそのまま信じてしまうと、査定の時に驚くことがあります。 土地総合システムの検索結果を正しく活用するための注意点をご紹介します。 3-1.検索結果をそのまま信じない 場所によっては土地の取引事例が1件しかないエリアも存在します。 また2件あっても、その2件の間で単価が2倍以上異なるようなケースもあります。 事例が極端に少ないエリアや、バラつきが大きいエリアでは、検索結果を鵜呑みにしないよう注意しましょう。 不動産売却のポータルサイトの情報など、ほかの情報も参考にして総合的に相場を割り出してください。 3-2.地図表示機能=取引事例の場所ではない 土地総合情報システムでは「地図表示」の機能がありますが、この地図表示でプロットされるポイントは事例の場所ではありません。 プロットされているポイントは、地価公示または都道府県地価調査の評価地点になります。 地価公示や都道府県地価調査の価格は、取引事例をもとに鑑定評価された価格であり、その地域の土地価格を代弁している相場です。 そのため、土地の相場を知りたいというニーズであれば、知りたい土地の近くにある地価公示や都道府県地価調査のポイントをクリックするとある程度の相場は把握できます。 別ウインドウで大きい画像を見る 事例が極端に少なく相場が分かりにくいエリアの場合、地価公示や都道府県地価調査の価格から相場を把握するのが良いでしょう。 尚、土地総合情報システムで価格まで把握するのは限界がありますので、売却することが決まったら、不動産会社に査定を依頼して価格を調べるようにしてください。 査定を依頼するなら、「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」を利用することをおすすめします。 「不動産売却 HOME4U」は、簡単な入力操作だけで売却する不動産が属するエリアで実績豊富な不動産会社に査定を依頼できる仕組みになっています。 土地総合情報システムで似たような事例を調べるよりも、簡単に適正な価格を知ることができるので、売却前に正確な価格を知りたい際は、ぜひ「不動産売却 HOME4U」を利用しましょう。 「不動産売却 HOME4U」を利用して適正な価格で売り出した結果、高額売却に成功した実例をご紹介します。 HOME4U売却体験談~マンション編~ 福岡県福岡市 Oさん 購入価格より400万円アップで売却成立! 17〜18年前に1,100万円で購入したマンションが、1,500万円で売却成立しました! まず「不動産売却 HOME4U」を使って6社に査定依頼し、その中でもっとも信頼できると感じた不動産会社と契約しました。 不動産会社の担当者さんのアドバイスを加味しつつ、できるだけ高額で売却できればという思いで販売を開始。 プロに相談しながら価格を決めた結果、築48年が経過したマンションにもかかわらず、購入時よりも高い価格で売買が成立しました。 【売却した物件情報】 築年数 約48年 間取り 3LDK 査定価格 1,500万円 売り出し価格 1,800万円 成約価格 1,500万円 売却までの期間 4カ月 もっと見る 不動産売却は、早く動くことが大事です。最短60秒の入力で、まずは不動産売却の一歩を踏み出しましょう。 【無料】一括査定依頼スタート 4. 土地総合システムの特徴 この章では土地総合システムの特徴について解説します。 4-1. マンションや戸建ての相場を調べるには不向き 土地総合情報システムでは、「土地と建物」(一戸建てや所有ビルなどの不動産)や「中古マンション」の取引価格も見ることができます。 「土地と建物」や「中古マンション」では、取引総額のみしか表示されておらず、残念ながらこれらの情報だけではプロでも相場を把握するのは難しいです。 「土地と建物」は、土地価格と建物価格の合計額が取引総額となります。そのため、「土地の価格がいくらで、建物がいくら」といった、土地と建物それぞれの価格がわからない金額で表示されます。 建物価格は築年数や面積で決まります。そのため一戸建ては、物件によって価格にばらつきが出ます。土地の値段と建物の価格は分けて調べないと、周辺の不動産相場よりも高いのか低いのか正しく判断できません。 「中古マンション」もマンション名が特定できるわけではないため、情報としては分かりにくいです。 駅距離や築年数、面積等の条件は分かりますので、自分の物件と似た物件を探し出し、判断するという作業が必要となります。 マンションであれば不動産ポータルサイトから自分のマンションの売買物件情報などを探した方が、適切に相場を把握することができます。 不動産ポータルサイトの情報は、実際に売却が決まった成約価格ではありません。 相場を把握する程度であれば、売出価格でも十分でしょう。 「土地と建物」や「中古マンション」については、土地総合情報システムでは相場を判断することが難しいので、「参考の参考」程度に利用することをおすすめします。 “プロが不動産査定をする方法” 土地総合情報システムで戸建てやマンションの相場を把握するのは、プロでも無理です。 公開されている情報からは、どんな不動産なのか見えてきませんし、何といっても場所が特定できない不動産の価格をプロが参考にするわけにはいきません。 不動産を売却する際、売主は不動産会社に査定を依頼しますが、不動産会社は土地総合情報システムを全く参考にしていないです。 不動産会社は、主に自社の取引実績や、レインズ(REINS :Real Estate Information Network System)と呼ばれる不動産会社しか見ることのできないネットワークシステムを用いて査定を行っています。 レインズには、実際に取引された不動産の成約データが載っており、不動産会社のみ成約情報を見ることが可能です。 成約情報は場所を特定できますので、不動産会社はどのような不動産が、いつ、いくらで取引されたのかをきちんと把握しています。 不動産会社は、査定を依頼しても、レインズ等により対象物件と同じような規範性のある成約事例をピックアップすることができ、適正な価格を査定することができるのです。 レインズ(REINS)とは?仕組み・活用メリットと便利な使い方を解説! そのため一般の人なら、「不動産取引価格情報検索」機能を使って、無理に「土地と建物」や「中古マンション」の相場把握をする必要はないでしょう。 4-2. 農地や林地の相場調査に使える 土地総合情報システムが一般の方にとって、全く使えないというわけではありません。農地や林地などの資産をお持ちでしたら、ぜひご利用ください。 「不動産取引価格情報検索」機能では、「農地」や「林地」の取引情報も見ることができます。 都道府県地価調査では、林地の評価ポイントもありますので、林地の取引情報も昔からアンケートで収集しています。 「農地」や「林地」は取引自体が少なく、不動産会社も事例をなかなか入手できません。 一般的に、農地の価格を調べるには、各県の「田畑売買価格等に関する調査結果」という資料を用いたりしますが、かなりマニアックであり、しかも分かりにくいです。 「農地」や「林地」の取引は情報も入手しにくく、かつ、情報の絶対量も少ないため、土地総合情報システムで得られる情報は、かなり貴重といえます。 「農地」や「林地」は、かなり広範囲で相場が形成される性質があり、市区町村レベルの広さで相場を把握しても、大きく外れることはありません。 もし、「農地」や「林地」を相続し、不要なので売りたい場合には、一度、土地総合情報システムで事例を調べてみることをおすすめします。 「農地」や「林地」は宅地に比べると、非常に単価が低いです。 査定をして価格の低さに驚く前に、「農地」や「林地」の価格はどのようなものなのか、知るために使えば有効なツールになるでしょう。 まとめ いかがでしたか? 土地総合情報システムについて解説してきました。 土地総合情報システムは、地価公示や都道府県地価調査を行うために集めた取引情報を、個人情報が特定されない形に加工して公表されている情報サイトになります。 土地総合情報システムは、土地や農地、林地の相場把握には適したサイトです。 戸建てやマンションの相場の把握をするには、少し使いにくい部分があります。 不動産会社は、明確に物件を特定できる事例をもとに、しっかりと査定を行っています。 適正な価格を知るには査定が必要となりますので、売却前は「不動産売却 HOME4U」を使って査定依頼をするようにしてください。 【無料】一括査定依頼スタート 土地を手放さずに活用を検討したい方はこちら! 【完全無料】土地活用プラン診断を行う この記事のポイント まとめ 土地総合情報システムとは? 国土交通省が運営している不動産の取引情報サイトのことを指します。 土地総合情報システムできることは以下の3つです。 不動産取引価格情報検索 地価公示・都道府県地価調査 不動産取引価格アンケート回答 詳細は「1. 土地総合情報システムとは」をご一読ください。 土地総合システムの使い方は? 土地総合システムを利用した相場の調べ方は以下の通りです。 土地相場の調べ方 土地総合システムのトップページから「不動産取引価格情報検索」をクリック 取引対象の時期を選択 物件種別を選択 「地域を選ぶ」で該当地域の情報を選択 詳細は「2. 土地総合情報システムを活用した土地相場の調べ方」をご一読ください。 土地総合情報システムの利用の注意点は? 利用の注意点は以下の通りです。 物件の条件により相場は変わるため検索結果をそのまま信じない プライバシー保護のため取引事例の場所に多少のずれが生じることを知っておく 詳細は「3. 土地総合情報システム利用の注意点」をご一読ください。