土地売却の相談はどこの誰にすべき?内容別に9つの相談先を解説

土地売却 9つの相談先を紹介!

近年では、土地価格が「上昇するエリア」と「下落するエリア」の二極化が進んでおり、この傾向はさらに拡大する可能性があります。相場価格の下落前に土地を売却するためにも、一度「専門家に相談して意見を聞きたい」と考える方もいるでしょう。

そこで本記事では、土地売却に関する相談窓口をケース別に9つ紹介します。

「土地を売りたい」と悩んでいる方へ
  • 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
  • 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格”を見つけましょう
  • 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます
この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット

Contents

1.基本的な売却相談なら、不動産会社に無料でできる

土地の売却については、不動産会社に相談するのが一般的です。これは、土地を売却する際には、必ず不動産会社による訪問査定を受ける必要があるからです。

最初から不動産会社に相談すれば、査定後に売却の意思が固まったときも、スムーズな対応が期待できるでしょう。

また、不動産会社は土地の査定や売却・購入に関するアドバイス、資金計画や住宅ローンに関する相談など、幅広くサポートを行ってくれます。

1-1.不動産会社に相談するメリット

不動産会社へ相談しても、売買契約が成立するまでは費用が発生しません。

無料で土地の査定を受けられるうえに、土地の売却に関する相談もできるため、様々な疑問を解消できるでしょう。

1-2.不動産会社に相談するには

土地売却について不動産会社に相談するには、はじめにどの不動産会社に相談するかを決めなければなりません。

しかし、不動産会社には、売買よりも賃貸や投資物件の仲介を得意とするところや、売買が得意であっても、その中でも特にマンションが得意、一戸建てが得意、など特徴は様々です。そのため、自身にとって最適な会社を見つけ出すのは大変です。

そんなときに便利なのが、NTTデータグループが運営する不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」です。

あなたの土地いくらで売れる?

不動産売却 HOME4U」では、土地の情報を入力して簡単な質問に答えるだけで、条件に合った不動産会社がピックアップされ、最大6社に無料で一括査定依頼を行えます。
ピックアップされた複数の不動産会社と直接コンタクトが取れるため、土地売却に関する様々な相談が可能です。

高額売却を叶えられる、頼りになる不動産会社がきっと見つかりますので、まずは「HOME4U」で査定を依頼しましょう。

前述のとおり、不動産会社への査定依頼は、無料です。査定結果に満足できなければ、仲介を断ることもでき、その際にも費用は一切かかりません。

不動産の売却について、基礎から詳しく知りたい方は「不動産売却の入門書!売り方の基礎・全体像と後悔しないための知識を知ろう」「土地売却の成功術!高く早く売りたい方に必見の手順と注意点」「【不動産売却】おすすめの不動産会社は?選び方や注意点を大公開」の記事も併せてご覧ください。

2.空き家も含めた相談なら自治体(空き家バンク)へ

空き家バンク

空き家を含めた土地の売却を検討している方は、市町村などが運営する「空き家バンク」を利用するのがおすすめです。

空き家バンクとは、それぞれの自治体が空き家活用のために実施している施策のことで、Webサイトや広報誌などを利用して、以下のような活動を行っています。

  • 空き家情報の収集・提供
  • 空き家を提供したい方と活用したい方とのマッチング

なお、本記事では上記のような施策を行うWebサイトを、「空き家バンク」と称します。

空き家を放置すると、建物の老朽化が進んで倒壊の危険性が高まるだけでなく、異臭を発したり、野生生物のすみかとなったりして周辺地域の環境を低下させる恐れがあります。

さらに、地域全体の資産価値の下落にもつながりかねないため、空き家は適切に管理することが重要です。

特に、2023年(令和5年)12月には「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」が施行されました。

これにより「管理不全空家」に指定された物件は、固定資産税が最大1/6に減額される住宅用地特例の適用対象外となってしまいます。

なお、固定資産税とは、毎年1月1日時点での不動産の所有者に課される税金です。

固定資産税の算出に用いられる固定資産税評価額は、その不動産が属する市町村(東京23区は東京都)によって決定され、3年に1度評価替えが行われます。

参考:
“空家等対策の推進に関する特別措置法”. e-Gov法令検索
“空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について”. 国土交通省

空き家を放置するリスクや、対策方法などについて詳しく知りたい方は、「空き家問題とは?3つの要因や将来予測、国の空き家対策を全解説」「【空き家対策特別措置法改正】固定資産税が6倍に?増税対策を解説」をご覧ください。

2-1.市役所(空き家バンク)に相談するメリット

空き家バンクでは、不動産会社では断られてしまうような古い空き家でも売り出すことが可能です。

売却困難な物件を所有している方にとって、これは大きなメリットといえるでしょう。

2-2.市役所(空き家バンク)に相談するには

空き家バンクは各自治体が運営しているため、「○○市空き家バンク」などと検索すると、空き家バンクの有無や、地域の相談窓口を見つけられます。

例えば、千葉市は「千葉市住宅供給公社」が相談窓口先として出てきます。
東京都の場合は、「東京都の空き家ワンストップ相談窓口」が相談窓口となります。

なお、空き家バンクへの登録や、物件情報の掲載・閲覧は無料です。

ただし、自治体によっては売買や賃貸の取引時には民間の不動産会社を通じた仲介が必要になり、仲介手数料が発生するケースもあります。

一般的な不動産売却では買手を見つけにくい物件も登録できますが、物件の価格は比較的低めに設定される傾向にあります。

また、空き家バンクは空き家を提供したい方と活用したい方とをマッチングするためのサービスですが、自治体が営業活動を行うわけではありません。

不動産会社と提携していない自治体では、売主が売買に関する交渉などを購入希望者と直接行う必要があります。

したがって、手間をかけずに不動産の売却をしたい方には、「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」のような不動産一括査定サイトの利用をおすすめします。

空き家の売却方法についてより詳しく知りたい方は、「空き家売却の方法と流れ│特例・費用・不動産会社の選び方も解説」を参考にしてください。

3.登記の相談なら司法書士または法務局へ

司法書士

土地の権利変更所有権移転登記に関しては、司法書士に相談しましょう。所有権の移転や抵当権の抹消など、不動産登記に必要な手続きをサポートしてくれます。

例えば、土地に抵当権が設定されている場合、そのままでは売却が困難であるため、抵当権を抹消してから売却するのが一般的です。

抵当権とは、債権者(銀行)がその抵当物件から優先的に弁済を受けることができる権利のことです。

抵当権とは

ローンを完済していれば抵当権を事前に抹消でき、その手続きを司法書士に依頼できます。

特に個人間の不動産売買では、トラブルを防ぐためにも司法書士に引き渡しの立ち会いを含め、登記手続きを依頼するのがおすすめです。

ただし、費用を抑えるために、登記を自分で行うことも不可能ではありません。法務局に相談すれば、登記手続きの方法を丁寧に教えてもらえるでしょう。

また、不動産を相続した場合には、相続登記で名義を変更しなければなりません。

これまでは、相続登記には申請期限がなく、所有者の好きなタイミングで行えましたが、2024年(令和6年)4月1日からは相続登記が義務化されます。

これにより、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記を行わないと、10万円以下の過料が科される場合があります。

相続が発生した際は、期限内に登記手続きを行いましょう。

参考:“相続登記の申請義務化に関するQ&A”. 法務局. 2023-10-31

相続登記の義務化について、詳しく知りたい方は「相続登記の義務化は2024年4月1日から!申請期限と罰則は事前に把握しよう」をご覧ください。

3-1.司法書士または法務局に相談するメリット

司法書士に相談すると、登記の複雑な手続きをスムーズに進められます。

特に、相続人が多い不動産の相続では、意見の取りまとめや必要な書類の用意にも手間がかかるため、これらの作業は、司法書士に代行してもらうのがおすすめです。

司法書士に代行を依頼した場合、登記関連の手続きと併せて、将来的なトラブルや訴訟の発生を防ぐアドバイスも受けられます。

一方、法務局での相談は無料であるため、司法書士に相談するよりも費用を抑えられます。ただし、法務局で相談できるのはあくまでも「登記の方法」であり、相続に関するアドバイスや法律相談には対応できないため、注意が必要です。

3-2.司法書士または法務局に相談するには

司法書士に依頼するなら、「○○(地名)司法書士事務所」と検索して、地域の司法書士事務所を探してみましょう。

もしくは、日本司法書士会連合会のホームページの「司法書士総合相談センター一覧」で、該当地域の相談センターを探すこともできます。

また、すでに土地売却について相談している不動産会社が司法書士を紹介してくれることもあるので、一度不動産会社に問い合わせてみてもよいでしょう。

司法書士に依頼する場合の費用目安は、以下のとおりです。

項目 費用の目安
抵当権抹消登記費用 司法書士への報酬:1万5,000円~2万円程度
登録免許税:不動産1件につき1,000円
(通常、土地・建物それぞれに抵当権が設定されるため、1件あたり2,000円)
遺産分割協議書の作成費用 1万5,000円~5万円(相続人の数に応じて変動)

法務局に登記の進め方について相談する場合は、事前に登記手続案内の予約が必要です。

「○○(地名)法務局登記相談」と検索すると、地域の法務局のホームページが出てくるため、そのページに記載されている予約方法を確認して進めましょう。

法務局への相談自体は無料でできますが、実際に登記を行う際には登録免許税が必要です。例えば、抵当権抹消登記では、前述のとおり、不動産1件につき1,000円がかかります。

参考:
“住宅ローンを完済された方へ(抵当権の登記の抹消手続のご案内)一戸建て編”. 法務局
“登記相談の予約について”. さいたま地方法務局

4.税金の相談なら税理士へ

税理士

土地売却で利益が出た場合に収める「譲渡所得税」をはじめとする税金については、専門家である税理士への相談がおすすめです。

土地売却で利益が出た際の税金の計算は、不動産の所有期間や控除の有無などによって変わるため、知識がないと正しく計算するのは難しいでしょう。

税理士は、譲渡所得税の計算だけでなく、遺産分割協議書の作成や確定申告節税対策など、税金に関する幅広い相談に対応してくれます。

不動産売却時にかかる税金について詳しく知りたい方は「不動産売却時にかかる税金と計算方法|税金対策の方法も解説」をご覧ください。

参考:“No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)”. 国税庁

4-1.税理士に相談するメリット

税理士に依頼するメリットは、複雑な税金計算を専門家に任せられることです。

税金計算は税理士を通さずに行うこともできますが、誤って所得税を過少申告してしまうと、過少申告加算税などを課されるリスクがあります。このようなトラブルを避けるためにも、税理士への依頼がおすすめです。

また、特例や控除の活用に関する相談も行えるため、節税にもつながるでしょう。

参考:“No.2026 確定申告を間違えたとき”. 国税庁

4-2.税理士に相談するには

税理士に相談する際には、「○○(地名)税理士事務所」で検索して地域の税理士事務所を探すとよいでしょう。

また、税理士を紹介してくれる不動産会社もあるので、一度確認してみてください。

相談のみであれば、無料で行っている税理士事務所も多いですが、相談内容次第では、有料になる場合もあります。

可能な限り費用を抑えたいなら、自治体や税理士会が主催する無料相談会を利用するのがおすすめです。

相談会の開催情報は、各自治体や日本税理士会連合会のホームページで確認できます。

5.確定申告の相談なら国税庁電話相談センターへ

国税庁電話相談センター

土地売却後の確定申告に関する簡単な内容であれば、国税庁電話相談センターに相談することも可能です。

確定申告の時期(毎年2月16日~3月15日の間)には、専門の相談窓口が設けられ、電話で相談できます。

確定申告

また「4-2.税理士に相談するには」で紹介した自治体主催の無料相談会でも、税理士や公認会計士が確定申告に関する相談に応じてくれます。

土地を売却した際の確定申告の必要書類については「土地を売却したら要チェック!確定申告の必要書類を徹底解説」で詳しく紹介しているので、併せてご覧ください。

5-1.国税庁電話相談センターに相談するメリット

確定申告の時期になると、国税庁電話相談センターから、確定申告の相談に特化した専門窓口につながります。

税金に詳しい国税庁の職員や税理士に直接質問ができるため、適宜利用して確定申告をスムーズに進めましょう。

5-2.国税庁電話相談センターに相談するには

国税庁電話相談センターに相談するには、国税相談専用ダイヤル、または税務署代表電話に連絡して、音声案内に従います。

国税相談専用ダイヤル
0570-00-5901

税務署の所在地を知りたい方はこちら

参考:“国税に関するご相談について”. 国税庁

なお、土日祝日や年末年始は対応しておらず、受付時間は平日の8時30分~17時00分となっています。国税庁電話相談センターへの相談にかかる費用は、通話料のみです。

国税庁では、土日や夜間にも利用できる「チャットボット(ふたば)」からの問い合わせも可能です。上記の受付時間に電話ができない方は、利用を検討してみるとよいでしょう。

さらに「タックスアンサー」では、税金に関するよくある質問とその回答がまとめられています。簡単な内容であれば、タックスアンサーで疑問を解決できるかもしれません。

詳しくは、以下の国税庁ホームページをご覧ください。

参考:“税についての相談窓口”. 国税庁

6.測量や境界確定の相談なら土地家屋調査士へ

境界

土地家屋調査士とは、境界標の調査や地積測量図の作成など、土地の測量に特化した専門家です。土地の境界や測量に関する疑問や不安点があれば、土地家屋調査士に相談しましょう。

土地を売却する際には、買主に対する境界の明示義務があるため、確定測量図の作成が必須です。あらかじめ境界を確定させておかないと、後々思わぬトラブルに発展するリスクがあるからです。

土地の境界には、隣地と私有地の境である「民々境界」と、道路との境界である「官民境界」の2種類が存在します。

土地の境界

測量や境界確定の際には隣地所有者の立ち会いが必要で、土地が公的な道路に接する場合には、役所などの担当者が立ち会うこともあります。

隣地所有者の所在がわからない場合や境界が複雑な場合にも、土地家屋調査士であれば対応してもらえるでしょう。

確定測量に関して、より詳しく知りたい方は、「「確定測量」とは?費用と流れ、失敗しないための注意点を紹介」を参照してください。

6-1.土地家屋調査士に相談するメリット

土地家屋調査士に土地の境界や測量に関する相談をすることで、隣人とのトラブル予防に役立ちます。

測量を依頼して境界確認図の作成と境界標の設置をしてもらえば、隣地所有者との境界が明確になり、境界位置に関する問題が発生しにくくなるでしょう。

6-2.土地家屋調査士に相談するには

地域の土地家屋調査士を探すには、各都道府県の土地家屋調査士会のホームページで検索するとよいでしょう。

測量を土地家屋調査士に依頼する際にかかる費用は、土地の形状や面積、国が所有する土地と隣接するか、といった要素によって変動します。

各項目の費用目安は、以下の通りです。

項目 費用の目安
事前調査費 約6万~10万円
測量業務費 約12万~14万円
官民有地境界確定費
(国が所有する土地に隣接する場合のみ)
約6万~10万円
民有地境界確定費 約2万円
書類作成費 約2万~5万円

測量が終わったあとに土地や不動産の売却をする際は、最大6社の査定価格をまとめて取り寄せられる「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」を利用するとスムーズです。

7.法律相談なら弁護士へ

弁護士

弁護士には、不動産取引に関する法律相談やトラブル解決に加えて、売買契約書のチェックも依頼できます。

7-1.弁護士に相談するメリット

弁護士には、不動産に関するあらゆる問題や紛争の仲裁を依頼できます。

第三者とのトラブルが発生した場合にも、相手側との交渉の窓口になってもらえるため、精神的な負担を軽減できるうえに、合理的な問題解決を目指せるでしょう。

7-2.弁護士に相談するには

弁護士にはそれぞれ得意分野があるため、不動産トラブルに特化した弁護士を選ぶことが大切です。弁護士事務所のホームページを見て、相談したい内容に近しい事例の実績がないか、確認してみましょう。

初回相談の際に費用がかかるかどうかは、弁護士事務所によって異なります。

有料の場合は、「30分で○○円」と時間単位で設定されていることが多いでしょう。
そして、相談して実際に依頼をするとなると、以下のような費用がかかります。

項目 費用の目安
着手金 定額や経済的利益の2~4%程度で設定されている場合が多い
(相談内容に応じて変動)
報酬金 経済的利益の4~16%

費用を少しでも抑えたい場合は、各都道府県の弁護士会が主催する相談サービスの利用がおすすめです。

日本弁護士連合会の「全国の弁護士会の法律相談センター」から、各都道府県の法律相談センターを検索できます。

8.相続や同族・関連会社間取引の相談なら不動産鑑定士へ

不動産鑑定士

不動産鑑定士は、土地の適正な価格を算出する専門家です。土地の適正価格を求めたい場合は、不動産鑑定士に相談しましょう。

不動産鑑定士には、不動産鑑定評価書(不動産評価額とその金額の根拠などが記載された書類)の作成に関する相談が可能です。

不動産鑑定評価書は、相続や贈与、親族間での不動産の売買など、さまざまな場面で活用されます。

特に、離婚が原因で財産分与をする際、財産分与の対象は原則として夫50%:妻50%になるため、不動産鑑定士を利用することで、適正な価格を判断してもらうことができます。
このように、財産分与に関わるトラブルを回避できるようにすることが大切です。

8-1.不動産鑑定士に相談するメリット

不動産鑑定士に依頼するメリットとしては、不動産鑑定評価書を作成してもらえることが挙げられます。

不動産鑑定評価書は、信頼性の高さから公的機関で証拠として扱われるものです。
不動産取引後の税務調査でも、適正価格で行った取引であることの証明になります。

8-2.不動産鑑定士に相談するには

日本不動産鑑定士協会連合会ホームページの「会員検索」機能を利用すると、不動産鑑定士事務所の検索が可能です。

初回の相談費用に関しては、無料のところもあれば、30分5,000円といった金額設定をしているところもあります。事前に不動産鑑定士事務所のホームページなどで確認しておきましょう。

また、正式に依頼した場合の費用は、物件の種類や規模によって異なりますが、鑑定評価額が高い不動産ほど高額になる傾向にあります。

不動産鑑定士の多くは、以下の「不動産鑑定報酬基準」を元に報酬金額を決定しています。

公共事業に係る不動産鑑定報酬基準

出典:“公共事業に係る不動産鑑定報酬基準”. 西宮市ホームページ. (参照2024-03-21)

例えば、兵庫県西宮市の場合は、鑑定評価額2,000万円の土地であれば181,000円、1億円の土地であれば351,000円程度の費用がかかると考えられるでしょう。

ただし、これはあくまで目安です。不動産鑑定事務所によって費用の設定は異なるため、依頼の際には複数の事務所から見積もりを取って比較検討してください。

9.農地売却の相談なら行政書士へ

行政書士

農地法の規定により、農地を売却する場合には農業委員会からの許可が、農地をほかの用途に転用する場合には都道府県知事の許可が必要になります。

これらの許可を取るための手続きは、行政書士に依頼するのが一般的です。
行政書士には、必要書類の収集や申請書類の作成、農業委員会への申請代行など、農地の売却・転用に関するさまざまな作業を依頼できます。

農地の売却・転用を予定している方は、これらに関する申請手続きの実績が豊富な行政書士に相談するのがおすすめです。

参考:
“農地法第三条”. e-Gov法令検索
“農地法第四条”. e-Gov法令検索

農地の売却の流れや費用についての詳細は、「【図解】農地は売却できる?売却の流れや費用などをわかりやすく解説」をご覧ください。

9-1.行政書士に相談するメリット

行政書士に依頼するメリットは、農地の売却・転用に関する届出・許可申請にかかる時間を短縮できることです。

個人でもこれらの手続きは行えますが、はじめて行う場合には、時間も手間もかかってしまうでしょう。

手続きの準備に時間を割けない方や、煩雑な手続きを避けたい方は、積極的に行政書士への依頼を検討してください。

9-2.行政書士に相談するには

行政書士に相談するには、日本行政書士会連合会の「行政書士会員検索」で最寄りの行政書士事務所や農地に関する業務を扱う事務所を探して、問い合わせてみるとよいでしょう。

農地の売却・転用の届出・許可の申請自体に費用はかかりませんが、行政書士に依頼する場合には、以下のような費用がかかります。

項目 農地売却の場合 農地転用の場合
届出(農地が市街化区域内にある場合) 1万~3万円 3万~5万円
許可申請(農地が市街化調整区域にある場合) 4万~8万円 8万~10万円

依頼する行政書士事務所によって金額は異なるため、あくまで目安としてください。

最後に、ここまで紹介した土地売却の相談先と相談できる内容、費用を、一覧表にまとめました。相談したい内容に合った相談先を選択する際の参考にしてください。

土地売却の相談先 相談できる内容 費用
不動産会社 土地の査定、売却や購入のアドバイス、資金計画や住宅ローンの相談など、幅広いサポートを受けられる 相談や査定は無料
売却が成功したときのみ、仲介手数料が発生する
自治体 空き家バンクを利用できる 空き家バンクの登録や閲覧は無料
取引の際に民間の不動産会社が仲介する場合は、仲介手数料が発生する
司法書士・法務局 所有権移転や抵当権抹消など登記に関するサポートを受けられる 司法書士への報酬:1万5,000円~2万円程度(司法書士のみ)
登録免許税:不動産1個につき1,000円
税理士 譲渡所得税などの計算、確定申告などについて相談できる 相談内容によっては費用がかかる(無料相談会もあり)
国税庁電話相談センター 確定申告に関する相談ができる 通話料のみ発生する
土地家屋調査士 測量や地積測量図の作成について相談できる 数万~数十万円がかかる
弁護士 トラブルの解決や売買契約書の確認などを依頼できる 相談料は無料のところもある
依頼をすると着手金や報酬金などがかかる
不動産鑑定士 不動産鑑定評価書の作成に関して相談できる 相談料は無料のところもある
鑑定評価額2,000万円の土地であれば20万~30万円程度かかる(物件の種類や規模によって異なる)
行政書士 農地の売却・転用に関することを相談できる 農地売却の場合は1万~8万円程度かかる
農地転用の場合は3万~10万円程度かかる

10.土地の売却相談に関するQ&A

最後に、土地の売却に関するよくある質問と回答を紹介します。

10-1.Q:土地の売却相談は誰にすればいいですか?

土地を売却したい場合には、はじめに不動産仲介会社に相談しましょう。

ただし、登記に関する相談なら司法書士または法務局法律に関する相談なら弁護士、といったように、内容によって相談先を変えることが大切です。

10-2.Q:不要な土地を破棄したいのですがどうすればいいですか?

不要な土地を手放す方法には、売却、寄付、個人への譲渡、相続放棄などがあります。
この他、相続した土地を国に引き渡す「相続土地国庫帰属制度」も選択肢の一つです。

相続財産のうち土地だけを放棄できるため、相続した土地の処分に悩んでいる方は、この制度の利用を検討しましょう。

参考:“相続した土地を手放したいときの「相続土地国庫帰属制度」”. 政府広報オンライン

10-3.Q:土地は持っているだけで税金がかかりますか?

土地を保有しているだけで、固定資産税都市計画税がかかります。
いずれも、毎年1月1日時点で不動産を所有している方に課される税金で、土地の評価額に基づいて算出されます。

具体的な税額は固定資産税評価額に税率をかけて算出され、固定資産税評価額は、その土地が属する市町村(東京23区は東京都)によって決定されます。

また、土地には税金以外に、維持管理のための費用(管理を委託する場合は委託費用、建物がある場合は保険料など)がかかることも把握しておきましょう。

参考:
“固定資産税”. 総務省
“都市計画税”. 総務省

10-4.Q:土地を無料で譲渡したら税金はどうなりますか?

土地を無料で譲渡した場合の税金は、譲渡する側と譲受する側の関係性によって、以下のとおり異なります。

譲渡する側 譲受する側 かかる税金
個人 個人 譲渡する側には税金が発生せず、譲受する側には贈与税が課されることがある。
個人 法人 譲渡する側は時価で譲渡したと見なされ、所得税が課される。譲受する法人には、法人税が課される。
法人 個人 譲渡する法人には法人税、譲受する個人には所得税が課される。
法人 法人 両者に法人税が課される。

土地の無償譲渡を考えている場合は専門家に相談し、事前に課税される内容を確認しておきましょう。

参考:
“No.4402 贈与税がかかる場合”. 国税庁
“所得税のしくみ”. 国税庁
“法人課税に関する基本的な資料”. 財務省

まとめ

本記事では、土地売却に関する相談窓口について解説しましたが、基本的な相談であれば、不動産会社で十分解決できるでしょう。

昨今では、空き家バンクも相談先の選択肢の一つですが、どこに相談すべきかは、依頼内容によって異なります。はじめに、どのような内容を相談したいのかをまとめたうえで、今回紹介したなかから、適切な相談先を選んでください。

不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」なら、複数の不動産会社に無料で査定を依頼できるため、パートナー会社探しもスムーズに進みます。不動産の査定価格には、数百万円もの差が生じる可能性もあるため、複数社の査定結果や対応を慎重に比較検討し、最も有利な条件で売却できる1社を見つけましょう。