更新日:2024.01.17 不動産売却の基礎講座, 不動産売却のノウハウ 抵当権抹消登記とは?手続きの方法や必要書類、費用などを全解説 住宅ローンを完済したら、抵当権抹消登記手続を行なう必要がありますが、「具体的に何をすればいいのかわからない」という方も多いでしょう。 そこで本記事では、抵当権抹消登記手続の概要や手続きの流れ、かかる費用、必要な書類などについて解説します。手続きを漏れなく進められるよう、ぜひ参考にしてください。 この記事を読むと分かること 抵当権抹消登記の概要 抵当権抹消登記手続の方法 抵当権抹消登記手続に必要な書類や費用 抵当権抹消登記手続を行なう際の注意点 「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格(※)”を見つけましょう※依頼する6社の中での最高価格 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます 完全無料一括査定依頼をスタート Contents1.そもそも抵当権とは?2.抵当権抹消登記とは?3.抵当権抹消登記手続を行なうタイミング4.抵当権抹消登記手続をしないとどうなる?5.抵当権抹消登記手続は、個人で行なうこともできる?6.抵当権抹消登記手続を個人で行なう場合の手続き方法7.抵当権抹消登記手続を司法書士へ依頼する場合8.抵当権抹消登記手続に必要な費用9.抵当権抹消登記手続に関する注意点まとめ 1.そもそも抵当権とは? 抵当権とは、銀行がお金を貸す際に、家や土地などの不動産を借金の担保とする権利のことです。 例えば、住宅ローンを組むときには、借り入れを希望する方(債務者)は、金融機関(債権者、抵当権者)からお金を借りることになります。そこで債務者は、借金をする代わりに、担保として、家や土地を債権者に差し出します。 債権者が抵当権を持つ理由は、債務者から万が一お金が返ってこなかった場合、担保にした家や土地を競売にかけて、損失をカバーするためです。つまり抵当権は、お金を貸す金融機関を守るための権利でもあります。 2.抵当権抹消登記とは? 抵当権抹消登記とは、不動産登記簿に登録された不動産や土地に設定された抵当権を抹消することです。抵当権抹消登記手続は、一般的に住宅ローンを完済したあとに行ないます。 抵当権は、ローンを完済したら自動的になくなるわけではありません。抹消手続きをしないと、家や土地に抵当権が付いたままの状態になってしまうため、ローン完済後は忘れずに抵当権抹消登記手続を行ないましょう。 3.抵当権抹消登記手続を行なうタイミング 抵当権抹消登記手続に期限はありませんが、住宅ローンを完済したタイミングで、早めに手続きするのがおすすめです。 住宅ローンを完済すると、金融機関から抵当権抹消登記手続に必要な書類が郵送されるため、そのタイミングで手続きを行なうとよいでしょう。 また、抵当権が付いた不動産を売却する際にも、抵当権抹消手続を行なう必要があります。 不動産に抵当権が付いたままになっていると、仮に住宅ローンを完済していたとしても、登記簿上では抵当権が残ったままになります。買い手からすると、本当に抵当権が消滅しているか判断できないため、抵当権を抹消していない物件は、売却市場で敬遠される傾向にあります。 不動産売却の入門書!売り方の基礎・全体像と後悔しないための知識を知ろう 不動産売却は、不動産会社に依頼することで専門知識のない方でも進められま 4.抵当権抹消登記手続をしないとどうなる? ここからは、抵当権抹消登記手続をせず、そのままにしておいた場合に起こりうる問題を紹介します。 4-1.不動産売買がスムーズにできない 前述のとおり、ローンを完済した時点で抵当権はなくなりますが、抹消登記手続をしない限り、登記簿上では抵当権が付いたままの状態になります。 抵当権が付いた物件は、突然差し押さえられるリスクがあるため、買い手には歓迎されません。仮にローンが完済されていたとしても、買い手はその事実を確認することができないため、抵当権がついたままの物件がスムーズに売れるケースは極めて稀といえます。 また、購入希望者が現れたとしても、抵当権が残っていることが原因で、売却が成立しないケースもあります。このような理由からも、ローン完済後は速やかに抵当権抹消登記手続を行ないましょう。 不動産売却の流れ7ステップを図解~売ると決めてから引き渡しまで 不動産売却の流れは、1.相場を調べる、2.不動産会社に査定依頼、3.物件調 【無料】一括査定依頼スタート 4-2.時間が経つと必要書類をそろえにくくなる 住宅ローンを完済してしばらくすると、抵当権抹消登記に必要な書類が金融機関から送られてきます。しかし、書類のなかには有効期限が設定されているものもあるため、注意が必要です。時間が経過して有効期限が切れてしまったり、書類をなくしたりした場合には、金融機関に再発行を依頼する必要がありますが、再発行自体に時間がかかるケースも少なくありません。 さらに、手続きを先延ばしにしている間に、不動産の所有者が亡くなったり、銀行が合併したりすれば、手続きはより複雑化します。書類を用意できない場合には、供託や裁判などの手続きが必要になることもあり、その費用は数十万円にのぼる可能性もあります。 4-3.相続に時間がかかる 抵当権が付いたままの不動産を相続する場合、まず所有権を変更するために相続登記を行なう必要があります。そして、相続登記を済ませてから、抵当権抹消登記手続を行ないます。 相続する不動産に抵当権が付いているかどうか調べたい場合は、登記事項証明書(登記簿謄本)を確認しましょう。登記事項証明書(登記簿謄本)は、最寄りの法務局、法務局のWebサイト、登記情報交換サービスなどを通して入手することができます。 5.抵当権抹消登記手続は、個人で行なうこともできる? 結論からいうと、個人でも抵当権抹消登記手続を行なうことはできます。手続きの方法には2通りあり、法務局の窓口で手続きするほか、オンラインでの申請も可能です。 抵当権抹消登記手続を自分で行なえば、司法書士に支払う費用を節約できます。 ただし、資料集めや書類作成などは、すべて自分で行なう必要があります。また、法務局の窓口は平日の昼間しか開いていないため、平日に働いている方は、仕事を休む必要があるでしょう。さらに、手続きのミスや確認漏れにより、手続き完了までにかなりの時間を要するケースもあります。 したがって、抵当権抹消登記手続は、司法書士に頼むのが一般的です。司法書士は、司法や法律に関する書類の作成、手続きの代行などを行なう専門家です。 司法書士に依頼すれば、日本国内のどこに不動産があっても、基本的には手続き可能です。抵当権を抹消したい不動産が遠方にある場合にも、近所の司法書士事務所に相談すれば問題ありません。 抵当権抹消はどうやってするの? ウリタイガー先生の回答 抵当権抹消とは、住宅ローンを借りた時に不動産 6.抵当権抹消登記手続を個人で行なう場合の手続き方法 本章では、抵当権抹消登記手続を自分で行なう場合の方法について解説します。 6-1.金融機関から必要な書類を受け取る まずは、必要な書類を金融機関から受け取ります。住宅ローンを完済してしばらくすると、金融機関からいくつかの書類が送られてきます。 そのうち、抵当権抹消登記手続に必要なのは、以下の書類です。 登記原因証明情報(弁済証書、抵当権解除証書、抵当権放棄証書のいずれか) 登記識別情報あるいは登記済証 登記事項証明書 金融機関からの委任状 登記原因証明情報は、なぜ登記を行なうのかを証明する書類です。抵当権を抹消する理由が示されていれば、ほかの書類でも問題ありません。例えば、ローンが完済されたことを証明する弁済証書は、登記を抹消する理由が証明できるため有効な書類です。 そのほか、抵当権解除証書や抵当権放棄証書なども、登記原因証明情報として利用できます。 登記識別情報は、抵当権を不動産に付けた際に抵当権者(金融機関)に交付される書類で、登記済証と記されている場合もあります。ローン返済中は金融機関が保管しますが、ローンを完済すると、不動産の所有者に送られます。 登記事項証明書は、不動産の所有者やその他の不動産の情報が記載された書類です。抵当権抹消登記手続を行なう場合、発行から3ヵ月以内の証明書が必要となるため、受け取ったら早めに抹消登記の申請準備を始めるようにしましょう。 委任状には、「抵当権抹消登記手続について、不動産の所有者に委任します」といった内容が記されています。抵当権を抹消登記するには、債権者である金融機関と債務者である不動産所有者の双方が申請する必要があるため、この委任状が欠かせません。 これらの書類は、抵当権抹消登記手続を行なううえで必要となる書類です。手続きが完了するまで、失くさないよう注意しましょう。 6-2.管轄の法務局を調べる 金融機関から必要書類が届いたら、抵当権がついた不動産をどの法務局が管轄しているのかを調べましょう。法務局は、出張所や支局も含めると、日本全国に500ヵ所以上ありますが、どの法務局でも手続きができるわけではありません。 抵当権抹消登記に関する申請は、抵当権が付いた不動産の所在地を管轄する法務局で行なう必要があります。 管轄の法務局は、法務局のサイトから確認できます。 6-3.必要書類を集める 続いて、抵当権抹消登記の申請に必要な書類を集めます。金融機関から送られてくる書類に加えて、いくつかの書類を準備する必要があります。 まずは、法務局の窓口やWebサイトから登記申請書を入手しましょう。登記申請書に記入する内容は、以下のとおりです。 登記の目的 原因 抹消すべき登記 権利者、義務者 添付情報 申請日 申請人兼義務者代理人 登録免許税 不動産の表示 法務局のサイトでは、登記申請書の記入例が紹介されているため、参考にするとよいでしょう。 そのほか、登記簿上の住所(基本的にはローン契約時の住所)と現在の住所が異なる場合には、住所変更の登記申請が必要です。住所変更の登記申請には、住民票または戸籍の附票が必要となるため、あらかじめ準備しておきます。 また、登記簿上の氏名(ローン契約時の氏名)と現在の氏名が違う場合には、氏名変更の登記申請が必要です。戸籍謄本または抄本と、本籍が記載された住民票を用意しましょう。 6-4.法務局へ書類を提出する 準備ができたら、法務局に書類を提出しましょう。書類の提出方法には、法務局の窓口へ直接持ち込むか、郵送するかの2パターンがあります。このとき、必ず該当の不動産を管轄する法務局に提出するようにしてください。 マイナンバーカードを持っている方は、オンラインでも申請可能ですが、申請してから2日以内に書類を法務局に郵送するか、法務局の窓口まで持っていく必要があります。 「書類の書き方がわからない」「すべての書類がそろっているか不安」という場合には、窓口に出向いて相談するのがおすすめです。窓口を訪れる際には、事前に相談の予約をとっておくと、スムーズに手続きを進められます。 6-5.登記が完了するのを待つ 申請を行なってから審査が通るまでの期間は、通常1~2週間ほどです。申請の際には「補正日」を確認しておくようにしましょう。補正日とは、その日までに法務局から連絡がない場合、登記が無事に完了している目安となる日のことです。 万が一、登記申請の内容に不備がある場合は、補正日までに法務局から補正を求める連絡が入り、再び窓口に出向く必要があります。補正の際には、申請時に使用した印鑑が必要となるため、忘れずに持っていくようにしてください。 提出した書類に不備がなければ、補正日以降に登記完了証を受け取りに行きましょう。登記完了証を受け取る際も、申請時に使用した印鑑が必要です。 また、本人以外が登記完了証を受け取りに行く場合には、以下の書類の提出を求められます。 申請時に使用した印鑑 受け取る人の本人確認書類(運転免許証等) 委任状 7.抵当権抹消登記手続を司法書士へ依頼する場合 抵当権抹消登記手続を司法書士に依頼する場合、必要な書類を渡すだけで、その後の対応はすべてお任せで問題ありません。時間がない方や、自分で手続きを進めるのが不安な方は、司法書士に依頼するのがおすすめです。 また、住宅ローンが残っている場合や、所有者がすでに亡くなっている場合などにも、手続きが複雑化するため、司法書士に依頼するのが無難でしょう。 ただし、司法書士に依頼する場合には、金融機関からの委任状だけではなく、債務者本人の委任状も必要になります。委任状は、必要事項が記されていれば様式は問われないため、司法書士の指示に従いましょう。 8.抵当権抹消登記手続に必要な費用 本章では、抵当権抹消登記手続にかかる費用を紹介します。 8-1.登録免許税 登録免許税とは、抵当権抹消登記を申請するときにかかる税金のことです。登録免許税は、不動産1件につき1,000円です。 ただし、一戸建て住宅は、土地と建物の両方に抵当権が付いているケースが多いため、登録免許税は2,000円になるのが一般的です。 さらに、建物は1つであっても、土地が複数に分かれている場合には、それぞれの土地に登録免許税が必要です。あらかじめ確認しておくようにしましょう。 登録免許税を支払う際には、収入印紙を貼り付けた用紙を、申請書と一緒に提出します。 8-2.登記事項証明書の請求費用 登記事項証明書とは、不動産所有者の氏名や住所などを確認できる書類のことです。 登記事項証明書を見れば、不動産に抵当権が設定されているか、すでに抹消されているかを確認できます。 登記事項証明書は、法務局窓口で受け取るか、法務局のサイトから請求可能です。 登記事項証明書の請求費用は、以下のとおりです。 法務局の窓口:1件600円 オンライン請求で郵送:1件500円 オンライン請求で最寄りの登記所などで受け取り:1件480円 通常、抵当権抹消登記の申請前と申請後、2回の請求を行なうため、2件分の費用がかかります。 8-3.住民票や戸籍謄本の費用 抵当権が設定されたあと、氏名や住所に変更があった場合、住民票や戸籍謄本を取り寄せる必要があります。 市町村の窓口等で住民票や戸籍謄本を取り寄せるには、1件当たり300円ほどの費用がかかります。 なお、抵当権の設定後に住所や氏名の変更がない場合には、この費用はかかりません。 8-4.郵送費用 郵送費用は、法務局に行かずに申請を郵送で行なう場合にかかる費用です。 郵送費用には、郵送料と返信用の切手代が含まれます。送付先によって金額は異なりますが、1,000円~3,000円が目安でしょう。 8-5.司法書士への依頼費用 依頼する司法書士によって費用は異なりますが、1万5,000円~3万円ほどが一般的な相場です。 ただし、複雑な手続きを要する場合には、追加費用がかかることもあるため、事前に見積もりを取ることをおすすめします。 抵当権抹消登記の費用はいくら?自分でできる?相場や手順を解説 抵当権抹消登記に要する費用は、登録免許税が「不動産1個につき1千円」、司 9.抵当権抹消登記手続に関する注意点 最後に、抵当権抹消登記手続に関する注意点を紹介します。 9-1.住所や氏名に変更がある場合、住所変更登記が必要 前述のとおり、ローンを組んだあとに住所や氏名の変更があった場合、抵当権抹消登記の申請だけでなく、住所・氏名変更登記の申請が必要です。 住所変更登記の際には、転居の経緯がわかる住民票と、住所・氏名変更登記申請書を用意します。申請書は、法務局のサイトからダウンロード可能です。 氏名変更登記の際には、戸籍謄本と本籍が記載された住民票を用意しましょう。 なお、住所・氏名の変更登記は、抵当権抹消登記と同時に申請可能です。 9-2.抵当権抹消登記をせずに所有者が亡くなった場合、相続登記が必要 抵当権抹消登記の申請をする前に、不動産の所有者が亡くなってしまった場合は、相続登記の申請が必要です。 住宅ローンの完済時期が、不動産の所有者が死亡する「前」か「後」かによって、抵当権抹消登記を申請する登記権利者が変わります。 不動産の所有者が死亡前にローンを完済している場合は、相続登記を申請する必要はありますが、所有者名義を相続人に変更する必要はありません。 一方、所有者が死亡したあとにローンを完済した場合は、まず相続登記を申請し、所有者名義を相続人に変更する必要があります。 いずれの場合も、相続登記の申請を行なったあとで、抵当権抹消登記の申請をしてください。 なお、相続登記には登録免許税が必要です。また、司法書士に登記を依頼する場合には、6万円~9万円ほどの報酬を支払います。 相続登記の義務化は2024年4月1日から!申請期限と罰則は事前に把握しよう 相続登記が義務化されることについて、頭を悩ませている人も多いのではない 家の相続に関した手続きフローと支払うべき税金と費用まとめ 相続は誰にでもやってくるものですが、いざ始まってみると「どこから手をつ 【相続物件】亡くなった父親名義のままで土地は売れるの? 亡くなられたお父さま名義のままでは、土地を売ることができないのです。 9-3.必要書類の有効期限に注意 金融機関から送られてくる書類のなかには、期限付きのものもあります。例えば、登記事項証明書は、発行から3ヵ月以内のものでなければなりません。 書類によっては、再発行に追加費用が発生したり、手続きに時間がかかったりする場合もあるため、注意が必要です。 したがって、書類が届いた段階で、早めに抵当権抹消登記手続を行なうことをおすすめします。 【無料】一括査定依頼スタート まとめ 抵当権抹消登記手続は、住宅ローンを完済したあとに不動産の抵当権を抹消する手続きです。ローン完済後、自動的に抵当権が抹消されるわけではないため、必ず手続きを行なうようにしましょう。 抵当権抹消登記手続の必要書類には、有効期限が設定されているものもあるため、注意が必要です。また、抵当権が残ったままだと、不動産を売却したい場合にもスムーズに進まない恐れがあるため、速やかに抵当権抹消登記手続をすることをおすすめします。 抵当権を抹消して不動産の売却をお考えの方は、NTTデータグループが運営する不動産一括査定サービス「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」をぜひご利用ください。