【不動産売却の基礎知識】一軒家やマンションを売るためのポイントを解説

大切な資産である一軒家を売却する場合、しっかりと準備をすることが必要です。
そこで、一軒家やマンションを賢く売るための不動産売却の基礎知識を紹介します。

売却の流れ、売却前の準備、不動産会社に査定を依頼する方法、中古住宅を高く売却する国の政策「インスペクション」など、押さえておきたい知識をわかりやすくご紹介しますので、参考にしてください。

ぜひ最後までお読みいただき、一軒家やマンションなどの不動産売却に役立てて頂けると幸いです。

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この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット

Contents

1.不動産売却の基礎知識!一軒家やマンション売却の流れ

一軒家やマンション売却の流れ

一軒家やマンションなど、不動産の売却の知識として欠かせない「売却の流れ」を把握しましょう。

一軒家やマンションの売却は、不動産が持つ特性によって状況は異なりますが、特にトラブルがない限り売却の流れに沿って家を売ることになります。

売却の流れは大きく分けて3つのステップに分けられます。

  • ステップ1:不動産会社と契約する前の事前準備
  • ステップ2:不動産会社と契約し売却の準備を進める
  • ステップ3:販売活動を行い物件の引き渡しを行う

不動産会社と契約する前に流れを把握して、初めての不動産売却でもスムーズに進行しましょう。

2.一軒家やマンションなどの不動産売却前に確認する5つのポイント

一軒家やマンションなどの売却を行う前には

  • 全体計画
  • 住宅ローン残債
  • 境界の確定
  • 設備の不具合
  • 重要書類の有無

の5つの確認が必要になります。ひとつひとつ見ていきましょう。

2-1.全体計画

一軒家など不動産の売却には一定の時間がかかります。
売却の期日がある場合には、再度、全体計画を確認するようにして下さい。

標準的な売却活動で3ヶ月、売買契約から引渡まで1ヶ月ほどかかります。
境界確定の測量等が必要であれば、売却までに半年以上かかる場合もあります。

売却では時間的に余裕を持った計画を立てることが必要です。

2-2.住宅ローン残債

住宅ローン残債が残っている場合には、ローン残債の正確な数字を確認するようにして下さい。
ローン残債については、銀行に申し出れば、住宅ローン残高証明書を出してくれます。

ローン残高は、価格査定を依頼した際、売却額で住宅ローン残債が返済できるかを確認するために必要となります。

2-3.境界の確定

売主には、土地の境界の明示義務があります。

売却では、原則として土地は境界が確定していることが必要です。
土地の境界が証明できる資料の有無を確認するようにして下さい。

「確定測量図」または「確定実測図」と呼ばれる「確定」と名の付く測量図があれば境界は確定していることになります。
確定測量図等がない場合には、境界ラインごとの「筆界確認書」の有無を確認するようにして下さい。

2-4.設備の不具合

一軒家やマンションなどの売却では、住宅設備の不具合について買主にきっちりと引き継ぎます。
住宅の不具合に関しては、付帯設備表と呼ばれる書類に書き込むことになります。

設備の動作確認や不具合の確認には時間を要するため、あらかじめ設備の不具合については確認をしておきましょう。

付帯設備表に関しては、「8. 不動産売却に必要な付帯設備表の記載」にて解説します。

2-5.重要書類の有無

一軒家やマンションなどの不動産物件の売却では、買主に引き渡す書類や確定申告に必要な書類があります。
昔の古い書類ばかりですので、きちんと書類が保管されているか確認するようにして下さい。

買主への引継ぎ書類は、原則として以下のものになります。

“買主へ引き渡す書類”

  • 土地の実測図
  • 土地の境界が確認できる資料
  • 建物の設計図書(確認申請図または竣工図等の建物図面)
  • 建築確認申請書および建築確認済証
  • 検査済証

ただし、これらの書類は必須ではありません。
紛失してしまっている場合には、その旨を不動産会社に伝えるようにして下さい。

また、売却後、確定申告を行う際、売却する一軒家の購入時の売買契約書が必要となってきます。

“確定申告に必要な書類”

  • 購入時の売買契約書

購入時の売買契約書は、取得費の計算に用います。
売却後も確定申告が終わるまで、捨てずに保管するようにして下さい。

尚、購入時の売買契約書がない場合には、別の方法で取得費を計算することになります。

3.売却する不動産の査定方法とポイント

売却する不動産の査定方法とポイント

5つの事前確認ができたら、次は査定を行って売却の予想価格を把握します。一戸建てやマンション、土地など、どんな不動産を売却する時も、不動産の売却活動は査定から始まります。そのため、不動産売却の重要知識として、「査定のポイント」は押さえておきたいところです。
査定の方法や査定結果のチェックポイントを解説します。

3-1.一軒家やマンションの査定とは

一軒家の査定とは一軒家やマンションの売却は査定を依頼することから始めます。

査定額とは、売却の予想価格を出すことです。
あくまでも予想価格ですので、その金額でピッタリ売れるわけではありません。
査定額よりも安くなってしまうこともあれば、逆に査定額よりも高く売れることもあります。

査定を依頼する目的は、主に以下の2つが理由です。

“査定依頼する2つの目的”

  1. 適切な売出価格を決めるため
  2. 資金計画を立てるため

1つ目は、査定額によって、適切な売出価格を決めることができます。
売出価格は高く設定し過ぎると売れませんし、安く設定してしまうと損をすることになります。

損をせず、きちんと売却するには適切な売出価格を設定することが何よりも重要です。
一軒家やマンションの売却で、なかなか売れなくて困っている人は、多くの場合、売出価格の設定が高過ぎることが原因となっています。

きちんと売却するには、欲張り過ぎず、ある程度妥当な範囲内で売出価格を設定することが重要です。

2つ目としては、査定額によって、資金計画を立てることができます。
住宅ローンが残っている場合には、売却によって住宅ローンが返済できるか確認することができます。

買い替えを行う場合には、売却によって次に購入する物件の頭金をどれくらい確保できるのかが分かるようになります。

住宅ローンの返済や頭金の準備等の資金計画は、査定を依頼することによってはじめて具体化するのです。

尚、査定額というのは、ある不動産会社の一つの意見でしかありません。
一社だけの査定額を妄信してしまうと、売却予想価格を見誤る可能性もあります。

そのため、査定額に客観性を持たせるためには、複数の不動産会社に査定を依頼し、結果を客観的に眺めることが重要です。

複数の査定額を横並びにすることで、「売出価格」や「資金計画」が適切なものになっていきます。

3-2.査定を取る方法

査定は複数の不動産会社に依頼すべきですが、一度に依頼するには良い方法があります。
それは、インターネットを使った一括査定サービスの利用です。
一括査定サービスは、複数の企業に一括で査定を依頼することができるサービスです。手間を省き、査定額の客観性を高めることができます。

一括査定サービスなら、NTTデータグループが運営する「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」が便利です。
インターネットで簡単な入力をするだけで、最大6社に無料で査定を依頼することができます。

不動産売却 HOME4U」は、一括査定サービスの中で一番歴史が古く、実績があります。
また、厳しい審査をくぐり抜けた信頼できる不動産会社だけが提携先となっており、これから初めて一軒家やマンションの売却を売却する人であれば、安心してご利用いただけます。

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信頼できる一括査定サービスを使って、適切な「売出価格の設定」と「資金計画作り」を行うようにして下さい。

3-3.査定結果のチェックポイント

まずは査定から始めよう査定を依頼すると、各社で査定額にバラつきがあることがわかると思います。
高い査定額には、つい目がいきがちですが、査定結果では一番低い査定額こそチェックすべきポイントになります。

3-3-1.高い査定額を前提にしてはいけない理由

住宅ローンの返済や購入物件のための頭金等の資金計画に関しては、一番低い査定額を前提に組んでおくことをおススメします。
もちろん、結果的に高く売れることには問題ありませんが、高い査定額を前提として資金計画を組んでしまうと、その価格で売れなかった場合、後でお金が足りなくなるリスクがあります。

査定額は、あくまでも売却予想価格であり、その金額で売却できることを確約するものではありません。
計画段階ではあくまでも保守的に捉えておき、実際には高く売ることを目指すようにしましょう。

3-3-2.査定額から不動産会社を決める方法

複数の不動産会社から査定額を出してもらったら、どの会社と契約を結ぶのかを決めることになります。
各不動産会社の担当者に「なぜその査定額になったのか」聞いてみましょう。あなたの家の良いところや悪いところを挙げて具体的に説明してくれれば、しっかりと査定してくれている証拠になりますし、担当営業マンの知識や人柄も確認することができます。

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4.不動産会社と媒介契約を締結するポイント

不動産会社と媒介契約を締結するポイント

査定を行い、不動産会社を選んだら、次は不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約の種類と、契約をして売却活動に入る前に不動産会社から売主に依頼される内容について解説します。

4-1.媒介契約とは

媒介契約とは、不動産会社へ依頼する仲介のことです。
媒介契約には、「専属専任媒介契約」、「専任媒介契約」、「一般媒介契約」の3種類があります。

専属専任媒介契約 他の不動産会社に重ねて依頼ができない。自己発見取引も不可。
専任媒介契約 他の不動産会社に重ねて依頼ができない。自己発見取引は可能。
一般媒介契約 他の不動産会社に重ねて依頼できる。自己発見取引も可能。

※自己発見取引とは自分で買主を見つけてくることです。

媒介契約では、一般媒介契約は、複数の不動産会社に同時に売却の依頼をすることができ、専属専任媒介契約や専任媒介契約だと1社にしか依頼できないという点がポイントとなります。

4-2.不動産会社から依頼される3つのこと

不動産会社に媒介を依頼すると、本格的な売却活動に入る前までに、売主には以下の3つが依頼されます。

“売主に依頼される3つのこと”

  1. インスペクションの実施の検討
  2. 付帯設備表の記載
  3. 告知書の記載

それぞれ、本格的な売却活動に入る前に検討もしく記載を要するものになります。
詳しくは以下の章をご覧ください。

5.不動産売却で注意するポイントは?契約不適合責任について

不動産売却で注意するポイントは?契約不適合責任について

売主は、売却する物件に対して責任をもたなくてはなりません。以前、瑕疵(かし)担保責任と呼ばれていたものが、2020年4月1日から民法が改正され「契約不適合責任」と呼び名が変わり、内容も変わりました。
契約不適合責任についてわかりやすく解説します。

5-1.契約不適合責任とは

瑕疵とは、通常有すべき品質を欠くことを言います。
例えば、雨漏りやシロアリによる床下の腐食等が瑕疵に該当します。

売却後に瑕疵が発見されたとき、買主は売主に対し損害賠償を、契約目的の達成できない場合は契約解除を請求できると定めています。
契約不適合責任では、契約書の作成が重要です。たとえ雨漏りがあったとしても、買主が納得して物件を購入した場合は契約不適合責任には問われません。

契約不適合責任でもめないようにするには、物件の設備や外装の細かいところまでチェックして書類を作ることがポイントです。
詳しくは関連記事をご覧ください。

民法改正は不動産売買にどう影響する?8つのポイントを解説

5-2.瑕疵の種類

瑕疵には、「物理的瑕疵」、「法律的瑕疵」、「心理的瑕疵」、「環境的瑕疵」の4種類があります。

物理的瑕疵 建物の雨漏り・シロアリ・家の傾き、土地の土壌汚染・地中障害物等
法律的瑕疵 法令等の制限により取引物件の自由な使用収益が阻害されているもの
心理的瑕疵 取引物件で過去に自殺や殺人事件、火災、忌まわしい事件、事故などがあり、心理的な面において住み心地の良さを欠くもの
環境的瑕疵 近隣からの騒音、振動、異臭、日照障害、近くに反社会的組織事務所があり安全で快適な生活が害されるおそれが高いようなもの

これらはすべて瑕疵担保責任の対象となります。
知っていることがあれば、正直に告知することが重要です。

尚、瑕疵の告知に関しては、「告知書」と呼ばれる書面に記載を行います。
告知書に関しては、「9. 不動産売却に必要な告知書の記載」で詳しく解説いたします。

6.インスペクション(建物状況調査)のポイント

インスペクション(建物状況調査)のポイント

一軒家の売却では、買主が建物の物理的瑕疵を気にするため、高く売るためにはインスペクションという調査が特に重要になります。インスペクションのポイントをわかりやすく解説します。

6-1.インスペクションとは

インスペクションとはインスペクションとは建物状況調査のことです。

宅地建物取引業法が改正されたことにより、不動産会社などの宅建の資格を持つ場合、買主に対して以下のことを行わなければなりません。

  • インスペクションの説明
  • インスペクション業者のあっせん

国の政策として、消費者が安心して中古住宅の取引を行える環境整備が目的とされています。

国土交通省:改正宅地建物取引業法の施行について

6-1-1.インスペクションで調べるところ

インスペクションで調査するところは以下の通りです

構造耐力上主要な部分 柱、基礎、壁、屋根など
雨水の侵入を防止する部分 外壁、開口部など

インスペクションに合格すると、第三者によって建物の構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分について問題がないことのお墨付きがもらえることになります。

一軒家の売却では、特に買主が建物の物理的瑕疵を気にします。
インスペクションに合格すれば、買主に安心感を与えることができ、売却しやすくなります。

6-1-2.インスペクションは義務ではない

このインスペクションについては、2018年4月より制度化されました。
2018年4月以降の住宅の売却では、不動産会社から「インスペクションをしませんか?」というあっせんを受けることになります。

インスペクションは売主の義務ではありませんが、特に古い一軒家であれば効果的です。

インスペクションの費用としては5万円程度ですので、検討してみても良いでしょう。

6-2.売主側のインスペクションのメリット

インスペクションを実施すると一軒家が高く早く売れる可能性が高まるというメリットがあります。

公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会では、2017年3月に土地・住宅に関する消費者アンケート調査を公表しています。

アンケートでは、インスペクションの利用効果についても調査が行われており、その結果は以下の通りです。

インスペクションの利用効果についてのアンケート結果

インスペクションを実施した人たちのアンケート結果によれば、「自宅の売却が希望価格で売れた」が1位、「買手が早く見つかり売却がスムーズにできた」が2位となっています。

いずれも過半数以上の人がプラス面を回答しており、インスペクションには相応のメリットがあることが分かります。

6-3.買主が行う場合のインスペクションの注意点

インスペクションは、買主(購入希望者)が実施を申し出てくる場合もあります。
インスペクションの先進国であるアメリカでは、ほとんど買主が実施しています。

アメリカは文化的に性悪説に立っており、売主が大丈夫だと言っている情報は信用しないということが背景にあるようです。

日本においても、売主が了解すれば、購入希望者がインスペクションを実施することができます。

購入希望者がインスペクションも申し出てきた際の注意点は以下の2つです。

“インスペクションの申し出を受けた時の2つの注意点”

  1. 申し出を断らないこと
  2. 買主との間でインスペクションの結果の「写しの受領」と「情報漏洩を禁ずる」合意書を締結しておくこと

1つ目の注意点としては、購入希望者からのインスペクションの申し出は断らないという点です。
購入希望者は自らの費用でインスペクションをしたいと申し出ていますので、物件購入に相当の関心があります。

そこを断ってしまうと、何か隠ぺいしているのではないかという疑念を抱かせますので、購入の気持ちを一気に消失させてしまいます。
買主からインスペクションの申し出があった場合には、快く応じるようにしましょう。

2つ目としては、事前に購入希望者との間でインスペクションの結果について「写しの受領」と「情報漏洩を禁ずる」合意書を締結しておくという点です。

インスペクションは実施した結果、不合格となると購入を見送られてしまいます。
不合格となって場合には、どこを是正すべきか売主としては知っておきたい情報なので、写し(コピー)は、ぜひもらうようにして下さい。

また不合格結果を購入希望者が言いふらしてしまうと風評被害を受ける可能性があります。
「インスペクションの結果内容について、正当な理由がない限り、第三者に漏洩しないこと」という約束を取り交わすようにしておきましょう。

7.売却しやすくなる既存住宅売買瑕疵保険のポイント

インスペクションのみならず既存住宅売買瑕疵保険に加入していると、物件がさらに売却しやすくなります。

公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会では、2017年11月に不動産の日アンケートを公表しています。

このアンケートでは買主に中古住宅の購入で必要と思われることについてアンケートを取っています。

中古住宅の購入で必要と思われることアンケート結果

中古住宅購入時に必要なものについて、「瑕疵担保保険が付されていること」が64.0%と最も多く、買主が望んでいることがアンケートからも分かります。

この章では、既存住宅売買瑕疵保険のポイントについて解説します。

7-1.既存住宅売買瑕疵保険とは

既存住宅売買瑕疵保険(以下、「瑕疵担保保険」と略)とは、買主が瑕疵を発見した場合、その修繕費用を最大1,000万円まで保証金でカバーできる保険です。

瑕疵担保保険に加入している物件であれば、買主はさらに安心して物件を購入することができます。

この瑕疵保険は、売主が保険の費用負担を行い、買主へ売却することもできます。
そのため、「瑕疵担保保険付き物件」と謳って売却活動をすることができるのです。

また、万が一、売却後、売主として瑕疵担保責任を負うことになっても、保険に加入していれば、損害賠償の経済的負担を緩和することができます
売主にとしても、安心して売却することができます。

尚、瑕疵担保保険に加入するには、インスペクションに合格していることが条件となります。
瑕疵担保保険に加入したい場合には、インスペクションを受ける際、不動産会社に瑕疵担保保険も加入も検討している旨を伝えるようにして下さい。

7-2.保証の内容

瑕疵担保保険は、構造耐力上主要部分と雨水の侵入を防止する部分に関し、保証を行います。
具体的には、建物の以下のような部分です。

構造耐力上主要部分 小屋組、屋根版、斜材、壁、横架材、柱、床版、土台、基礎
雨水の侵入を防止する部分 屋根、開口部、外壁

保証期間は住宅の引渡日から「1年」または「5年」となります。

保証額に関しては、保証期間が「1年」の場合は500万円または1,000万円、保証期間が「5年」の場合は1,000万円です。

保険料に関しては、以下のようなイメージになります。
保険料に関しては保険会社ごとの異なるため、事前に確認するようにしてください。

保証期間 1年 5年
保証金額 500万円 1,000万円 1,000万円
100m2以上125m2未満 4.1万円程度 4.2万円程度 6.5万円程度

尚、瑕疵担保保険は、土地の物理的瑕疵や法律的瑕疵、心理的瑕疵、環境的瑕疵に関しては保険の対象外です。
これらの瑕疵は、きちんと告知することが、損害賠償等からの防止策となります。

7-3.売主も知っておきたい買主の税制メリット

瑕疵担保保険が付保されている物件には、登録免許税と不動産取得税の軽減措置があります。
また、住宅ローン控除やすまい給付金が利用できる要件にもなっています。

つまり、買主が負担する税金が軽減できるため、瑕疵担保保険が付いている物件は買主にとって非常にお得な物件になります。

仮に瑕疵が発見されなくても、買主にとっては経済メリットがあるため、瑕疵担保保険に加入している物件は価値があります。

8.不動産売却に必要な付帯設備表の記載のポイント

一軒家やマンションなどの売却では、不動産会社から付帯設備表の記載を求められます。
記載においては、物件をよく確認する必要がありますので、記入方法や注意したいポイントを解説します。

8-1.付帯設備表とは

付帯設備表は、住宅の設備に関してトラブル防止の観点から、不具合事項を記載するための資料です。

住宅の設備とは、コンロやレンジ、換気扇、シャワー、給湯器、ビルトイン食洗器、冷房機等々の設備のことを指します。

付帯設備表は、最終的には売買契約書の添付書類となります。
後日、トラブルを回避するための重要な書類となるため、設備の動作確認をしっかり行った上で記入するようにして下さい。

動作を細かくチェックしていく作業は、時間がかかりますので、設備の動作確認は早めに行うようにしましょう。

8-2.付帯設備の記入のポイント

付帯設備表では、住宅設備の「有」、「無」、「撤去」について記載を行います
記載のポイントは、用語の意味を正しく理解して記載することです。

  • 有…家に備わっている設備(換気扇、キッチンなど)
  • 無…もともとない設備(家に備え付けていないビルトイン食洗器、床暖房など)
  • 撤去…取り外して持っていく設備(エアコン、ウォッシュレットなど)

また、付帯設備表に「有」と記載したものに不具合がある場合は、備考欄に不具合を記載していきます。

例えば、不具合に関しては以下のような感じで記載します。

設備 不具合例
コンロ コンロの点火装置が作動しない
給湯器 給湯温度が不安定
網戸 リビングの網戸にやぶれあり
インターフォン 音が聞こえづらい
物置 鍵がない

8-3.付帯設備表の記載で注意するポイント

付帯設備表に関しては、必ず自分で記載するということが注意点になります。

付帯設備表で最も多いトラブルは、付帯設備表を不動産会社に書かせてしまい、事実と異なる記載内容となってしまうことです。

良くあるトラブルは、エアコンなどを「有」と記載しておいて、「撤去」してしまうというトラブルです。

設備表は非常に細かいため、記載を他人任せにしてしまうと、事実と異なることが生じます。
また、不具合に関しても不動産会社は完全には分からないはずです。

他人に書かせてしまうと、トラブルの原因となるため、付帯設備表は必ず自分で記載するようにしてください。

自分で書かなくてはいけないとはいえ、書き方については不動産会社に相談できます。信頼できる不動産会社と契約して、相談しながら進めることがポイントです。

9.不動産売却に必要な告知書記載のポイント

付帯設備表とあわせて、不動産会社から告知書の記載も求められます。こちらも記入方法と注意点について詳しく解説します。

9-1.告知書とは

告知書は、売主が知っている瑕疵について買主へ告げる書類です。
告知書も、最終的に売買契約書の添付資料となります。

付帯設備表は設備の状況だけを記載する書類でしたが、告知書に関しては、瑕疵全般について知っていることを記載します。

記載内容は、物理的瑕疵、法律的瑕疵、心理的瑕疵、環境的瑕疵の全てが記載の対象となります。

瑕疵に関しては、売主が知っていて告げなかった瑕疵については、売買契約で免責したとしてもその責任を免れることはできません。

そのため、売主自身の立場を守るためにも、告知書の記載は正確に伝えることが重要になります。

9-2.告知書の具体的な記入方法

告知書に関しては、例えば雨漏りなどでも過去に雨漏りがあった場合にはその内容を記載します。

告知書の例

雨漏りの欄で、「過去に雨漏りがあった。」にチェックを行い、雨漏りの発生個所も記載しておきます。
修理工事が済んでいれば、いつ頃修理を行ったか記載するようにしてください。

また、環境的瑕疵も記載欄があります。
例えば、すぐ近くに国道や鉄道が走っており、騒音や振動等が発生している場合には、「騒音・振動・臭気等」の欄で、「国道○○号線を走るトラックの騒音・振動あり」等と記載を行います。

9-3.告知書を記載する上での注意点

告知書に関しても、自分で記載することが注意点です。
告知の内容は売主しか分からないことが多いため、不動産会社ではなく、自分で書くようにしてください。

瑕疵を告げると、売却価格が下がってしまうことを懸念する人がいます。
しかしながら、瑕疵を告げずに後から損害賠償を請求されれば、いくらの損害になるか分かりません。

たとえ値引きの原因となったとしても、知っていることを全て書くことが、売主としては正しい判断になります。
後日のトラブルを防止するためにも、瑕疵はしっかりと書くようにしましょう。

10.内覧や引渡など売却活動の豆知識

準備ができたら売却活動を本格的にスタートここまで準備ができたら、いよいよ本格的に売却活動の開始です。
内覧や売買契約などの売却活動で役立つ豆知識をご紹介します。

10-1.内覧対応

住みながら家を売る場合、売主は内覧対応を行います。
内覧とは、購入希望者が実際に家の中を見に来る行為です。

内覧は、基本的には土日に集中しますので、しばらくは土日が内覧対応で埋まってしまうことも覚悟しておいてください。

内覧は、金曜日の夜に、急に不動産会社から「明日内覧したいというお客様がいますが、大丈夫ですか?」と連絡が来る場合があります。

豆知識!

子供の運動会や、授業参観など、内覧対応できない日がある場合には、早めに予定を確認し、あらかじめ不動産会社に「〇月〇日と×月×日はダメです」と伝えておきましょう。

10-2.買付証明書の受領

内覧の結果、一軒家やマンションを購入したいという買主が現れると、「買付証明書」というものが提示されます。

買付証明書には、購入希望額が書かれています。
売出価格の満額通りで出してくれる人もいれば、多少値引きした価格で提示してくる人もいます。

適正な価格で売出価格を設定すると、満額回答は多くなります。
一方で、強気の価格で売出価格を設定してしまうと、値引きの要請が多くなります。

値引き要請ばかりだと、売主としては、いくらで売ればいいのか迷ってしまいますので、強気の価格設定を行う場合は、最低売却価格を決めておくことも重要です。

豆知識!

売出価格を強気で4,200万円しても、4,000万円以上の買主が現れたら即決するというようなルールを作っておきます。

ある程度満足できる価格が出た場合には、買主を逃さないように即決できる心の準備をしておくことも重要です。

10-3.売買契約

売買代金など、買主との条件が合意できたら、いよいよ売買契約になります。

売買契約当日では、以下の8つのことを行います。

“売買契約当日にやる8つのこと”

  1. 売主と買主の紹介
  2. 運転免許証等による本人確認
  3. 売買契約書の読み合わせ
  4. 設備表等の添付資料の内容確認
  5. 署名・押印・印紙の貼付
  6. 手付金の受領
  7. 仲介手数料の支払い(通常は半額)
  8. 今後のスケジュールの確認

豆知識!

売主としては仲介手数料の半額支払が必要となります。
お金を用意するのを忘れないようにしてください。

10-4.引渡

売買契約後、引渡までの間は1ヶ月ほど時間が空きます。
その間に、買主との間で「付帯設備表の記載内容についての確認」と「境界についての確認」を行っておきます。

引渡当日は主に以下の5つのことを行います。

“引渡当日日にやる5つのこと”

  1. 買主から残金の受領
  2. 鍵および重要文書の引渡
  3. 抵当権の抹消
  4. 仲介手数料の支払い
  5. 固定資産税等の精算

固定資産税等の精算とは、固定資産税の実質的な負担を買主との間で行う精算行為です。

豆知識!

固定資産税の納税義務者は1月1日時点の所有者となるため、年中に売買を行うと、売主に余計な負担が発生することになります。

例えば、7月1日に引渡を行う場合には、残り半年分の固定資産税相当額を買主から受領するということを行います。

10-5.確定申告

一軒家やマンションを売却した後は、翌年の3月15日までに確定申告を行います。
確定申告は、以下の3つを目的に行います。

“確定申告にやる3つのこと”

  1. 税金を納めるため
  2. 節税のための特例を利用するため
  3. 売却損が出た場合は税金の還付を受ける特例を利用するため

確定申告は、基本的には税金を納めるために行います。
ただし、一軒家や自宅マンションのようなマイホームでは、節税ができる特例や、売却損が出たときに税金還付を受けることができる特例もあります。

豆知識!

特例を使うためには、確定申告を行う必要があります。
マイホームの売却では、確定申告を行った方が有利なケースが多いです。

特例には要件がありますので、要件を確認した上で確定申告を行うようにしましょう。

売却に関わる税金については「不動産売却時にかかる税金と計算方法|税金対策の方法も解説」の記事もぜひご確認ください。

まとめ

いかがでしたか?
一軒家やマンションなどを売るための「不動産売却の知識」について解説してきました。

住宅ローン残債や境界等について確認できたら早速に査定からスタートします。
査定を依頼するなら信頼と実績のある「不動産売却 HOME4U」をぜひご利用ください。

一軒家の売却ではインスペクションが効果的です。
もっと売りやすくするには瑕疵担保保険も併せて検討するのも良いでしょう。

また、売主は自分で付帯設備表と告知書を書くことがポイントです。
早めに設備の不具合や告知内容を把握しておくと作業は楽になります。

準備ができたら本格的に売却活動の開始です。
不動産売却 HOME4U」で良いパートナーを見つけ、一軒家の売却を成功させましょう。

この記事のポイント まとめ

一軒家売却の流れは?

不動産売却における一軒家売却の流れは以下の通りです。

  • ステップ1:不動産会社と契約する前の事前準備
  • ステップ2:不動産会社と契約し売却の準備を進める
  • ステップ3:販売活動を行い物件の引き渡しを行う

詳細は「1.不動産売却の知識!一軒家やマンション売却の流れ」をご一読ください。

不動産の売却前にやっておきたいことは?

不動産売却の前に確認したいことは以下の通りです。

  1. 全体計画
  2. 住宅ローン残債
  3. 境界の確定
  4. 設備の不具合
  5. 重要書類の有無

詳細は「2.一軒家やマンションなどの不動産売却前に確認する5つのポイント」をご一読ください。

不動産売却における査定方法とポイントは?

不動産売却における査定方法とポイントは以下の通りです。

  • 一括査定サービスを利用して査定を受ける
  • 査定価格を元に資金計画を立てる
  • 査定額の一番低いものを参考にする

詳細は「3. 売却する不動産の査定方法とポイント」をご一読ください。

「インスペクション」ってなに?

不動産売却におけるインスペクションの概要は以下の通りです。

  • 建物状況調査のこと
  • 専門家による調査
  • 2018年4月より制度化された国の政策
  • 実施は義務ではない

詳細は「6.インスペクション(建物状況調査)のポイント」をご一読ください。