知らなきゃ損!不動産を売却したときの税金とお得な特例の話

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知らなきゃ損!不動産を売却したときの税金とお得な特例の話

不動産を売却したときに気になるのは税金です。

不動産は、買っても、持っても、売却しても税金がかかります。

原則として不動産を売却すると税金が発生します。

ただ、マイホームを売却したときに、「税金が高くて大変だった」という話はあまり聞いたことがない人が多いのではないでしょうか。

実は個人の方がマイホームを売却した場合、例外的に税金がなるべく発生しないような様々な特例がありますので、ご安心ください。

しかも、不動産の売却によって場合によっては税金がかからないどころか、給与所得で支払った税金が戻ってくるようなお得な税金の特例もあります。

不動産の売却では、様々な特例があるため、まずは基本的なルールを知ることが必要です。

その上で、各特例を知り、自分が行う不動産の売却ではどんな特例が適用できるのかを選択できるようにしてください。

この記事では居住用財産と呼ばれるマイホームの売却に関する税金の特例について中心的に記載しています。

きちんと知ると必ずお得ですので、ぜひ最後までご覧ください。

1.譲渡所得に係る税金

譲渡所得に係る税金

最初に原則から解説します。

個人の方が不動産を売却すると、以下の3つの税金が発生します。

1. 所得税

2. 住民税

3. 復興特別所得税

1-1.所得税

1-1-1.譲渡所得

所得税は個人に課せられる税金です。一方で、法人に課される税金は法人税です。

以下からの話は、まず売主の主体が「個人」であることが条件になります。

個人では所得が、給与所得、譲渡所得、不動産所得、事業所得、山林所得、退職所得、利子所得、配当所得、一時所得、雑所得の10種類に大別されます。

最も身近な所得としては、サラリーマンが受け取る給与所得が代表選手です。

所得の中で、個人が不動産を売却したときの所得は、「譲渡所得」になります。

個人が土地やマイホーム、アパート、ワンルームマンション、オフィスビル、空き家等の不動産を売却したときに発生する所得は、全て譲渡所得です。

譲渡所得は、売却額のことではありません。

譲渡所得は、以下の計算式で表される売却益のようなものになります。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

譲渡価額とは売却額のことです。

取得費は、売却した不動産の購入額になります。

但し、建物に関しては減価償却後の価格が建物の取得費になります。

譲渡費用とは仲介手数料等の売却に要した費用です。

上記計算式によって、計算した結果、譲渡所得がプラスであれば税金は発生します。

一方で、譲渡所得がマイナスであれば税金は発生しません。

例えば、築20年以上経過しているマイホームなどは、購入当時よりも大きく値段が下がってしまっているケースが良くあります。

このようなときは、譲渡所得がマイナスとなることが多いです。

そのため、譲渡所得がマイナスとなるようなケースでは、不動産を売却しても所得税は発生しません。

1-1-2.税率

譲渡所得がプラスである場合、所得税が発生します。

そこで、気になるのは税率です。

所得税は、原則として所得が多いほど税率が上がるという累進課税度を採用しています。

しかしながら、不動産を売却して多額の譲渡所得が発生した場合、急にその年だけ税率が上がってしまうようであれば、不動産は非常に売りにくくなってしまいます。

そのため、不動産を売却した場合の譲渡所得に関しては、例外的に給与所得等の他の所得とは無関係に税率が定められています。

このように譲渡所得を他の所得と分離して課税する方式を分離課税方式と呼んでいます。

分離課税方式となっている譲渡所得では、税率が所有期間で決められています。

所有期間が5年超の場合、長期譲渡所得と呼び、所有期間が5年以下の場合、短期譲渡所得と呼ばれます。

長期譲渡所得と短期譲渡所得のそれぞれの税率は以下の通りです。

所得の種類 所有期間 税率
短期譲渡所得 5年以下 30%
長期譲渡所得 5年超 15%

譲渡所得の税率の基本的な考え方として、所有期間が短いほど税率を上げ、課税負担を重くしています。

理由としては、バブル時代に流行った「土地転がし」のような投機的取引を防止するためです。

投機的取引が横行してしまうと、投資家が不必要に売買を繰り返すことで土地の値段が高騰してしまいます。

そうなると、土地を本当に必要とする人が高過ぎて購入できなくなってしまいます。

そのため、国の考えとしては、できるだけ不動産を長く持っている人に対しては、税率を下げることで、投機的取引を防止する措置を取っています。

譲渡所得の税率は、累進課税ではなく、所有期間によって決まるということがポイントになります。

1-2.住民税

次に住民税について解説します。

住民税は、個人に所得は発生すると課税される税金です。

サラリーマンの方であれば給与所得から天引きされています。

不動産を売却した場合も、譲渡所得に対して住民税か課されます。

住民税についても、分離課税方式が採用されます。

税率は長期譲渡所得と短期譲渡所得によって、それぞれ以下のように定められています。

所得の種類 所有期間 税率
短期譲渡所得 5年以下 9%
長期譲渡所得 5年超 5%

住民税も投機的取引を抑制するため、所有期間が長いほど税率が低くなっています

1-3.復興特別所得税

少し馴染みがないかもしれませんが、個人に所得が発生すると、復興特別所得税という税金が課されます。

復興特別所得税は2011年12月に「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」が公布された以降、創設されました。

実はサラリーマンの給与所得者の方も、既に復興特別所得税は毎年課税されています。

復興特別所得税は、給与所得や譲渡所得等の10種類の全ての所得に対して課税されます。

復興特別所得税の税率に関しては、所有期間には関係なく、一律に2.1%となります。

但し、所得に対して直接税率がかかるのではなく、基準所得税額にかかります。

復興特別所得税の計算法について、以下に示します。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

基準所得税額 = 譲渡所得 × 所得税率(※)

復興特別所得税 = (譲渡所得 × 所得税率) × 2.1%
        = 基準所得税額 × 2.1%

(※)基準所得税額を求めるための税率は、短期譲渡所得なら30%、長期譲渡所得なら15%になります。

尚、住民税については、復興特別所得税はかかりません。

復興特別所得税は所得税がプラス2.1%増えるようなイメージの税金です。

2.その他の税金

その他の税金

その他の税金として、不動産では取引時点においても、以下のような税金が発生します。

1. 登録免許税

2. 印紙税

3. 消費税

2-1.登録免許税

登録免許税とは、登記簿謄本に自分の権利を設定したり、抹消したりするときに課税される税金です。

登記は法務局で行いますが、法務局の人たちが登記を変更するために必要な手間賃みたいなものを登録免許税という形で支払います。

納税は、通常、司法書士が法務局に代理で納付することが多いです。

不動産を売却するときに発生する登録免許税としては、抵当権を設定している場合に抵当権を抹消するための登録免許税があります。

抵当権の抹消費用に関しては、不動産1個に対して1,000円の登録免許税かかります。

土地と建物の両方に抵当権が設定されている場合には、2,000円となります。

尚、抵当権が付いていない不動産を売却する場合は、特に登録免許税は発生しません。

また、所有権の移転登記に伴う登録免許税は、商習慣として買主が全額負担することが一般的です。

登録免許税法では、「登記等を受ける者が二人以上あるときはこれらの者は連帯して納付する義務を負う」と定められていますが、このあたりは厳密な適用はされておらず、取引慣行として買主が負担しています。

そのため、特約等により売主が登録免許税を負担することも認められています。

売却しにくいような不動産を売却する場合は、売主が登録免許税を負担して売りやすくするという方法もあります。

2-2.印紙税

印紙税とは、売買契約書に収入印紙を貼付し、消印をすることで納税するという税金です。

売買契約書のように、売主と買主が取引に合意しているような書面は、印紙税の課税文書と言われ、印紙を貼ることになります。

実際の納税のタイミングとしては、郵便局等で収入印紙を購入した時点だとは思われますが、形式的には売買契約書に貼付したタイミングで納税となります。

印紙は、課税文書それぞれに貼ります。

通常、売買契約書は、原本を2通作成し、売主と買主でそれぞれ保管します。

そのため、2つの契約書にお互いに印紙を貼り、相互に保管することになります。

印紙税の金額は、売買契約書に記載されている金額が異なります。

契約金額と印税は以下のような関係になります。

契約書に記載する売買金額 貼付する印紙税
1万円未満 非課税
1万円以上10万円以下 200円
10万円超50万円以下 200円
50万円超100万円以下 500円
100万円超500万円以下 1,000円
500万円超1,000万円以下 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 10,000円
5,000万円超1億円以下 30,000円
1億円超5億円以下 60,000円
5億円超10億円以下 160,000円
10億円超50億円以下 320,000円
50億円超 480,000円
金額の記載のないもの 200円

尚、不動産の売却では、売買契約と引渡を別日で行います。

売買契約時点では、手付金を受領するのが一般的です。

手付金に関しては、領収書を発行します。

ここで、良くある質問として、手付金の領収書にも印紙を貼る必要があるかということが問われます。

回答としては、個人が売主の場合には、営業に関するものではないため、領収書に印紙は「不要」です。

それに対し、不動産会社が売主の場合には、営業目的のため手付金の領収書に印紙は必要になります。

手付金の領収書は、売主が誰かによって印紙を貼ったり貼らなかったりするということを理解しておきましょう。

2-3.消費税

不動産の売却では、仲介や測量等のサービス提供を受けた場合、その支払う報酬に対して消費税が発生します。

売却に必要な最も典型的な費用に不動産会社へ支払う仲介手数料がありますが、仲介手数料には消費税が発生します。

尚、個人が不動産を売却した場合、課税事業者ではないため、建物の消費税は発生しません。

一方で、不動産会社が売る場合は、建物に対して消費税が発生します。

自分がマンションディベロッパーから購入したとき、消費税を支払った経験のある人もいると思います。

そのため、自分が不動産を売る場合は消費税を受け取るのではないかと心配される方がたまにいます。

しかしながら、個人は消費税を納める課税事業者ではないため、不動産を売却しても消費税はかかりません

消費税も、手付金の印紙税と同様に、売主が誰かによって発生したり、発生しなかったりするということを理解しておきましょう。

ここまでが、個人が不動産を売却したときの原則論となります。

個人が保有している土地やアパート、ワンルームマンション、オフィスビル等のあらゆる不動産を売却したときは、全てこの原則論が当てはまります。

3.居住用財産を売却したときの5つの税金特例

居住用財産を売却したときの5つの税金特例

個人が不動産を売却した場合、以下の要件を満たす居住用財産を売却したときに限り、発生する税金に関して特例が設けられています。

居住用財産の定義とは、以下のようになります。

1. 現に居住している家屋やその家屋と共に譲渡する敷地の譲渡の場合

2. 転居してから3年後の12月31日までに、居住していた家屋やその家屋と共に譲渡するする敷地の譲渡の場合(この間に貸付や事業用に供していても適用となる)

3. 災害などにより居住していた家屋が滅失した時は、災害のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、その敷地だけ譲渡する場合

4. 転居後に家屋を取り壊した場合には、転居してから3年後の12月31日までか、取壊し後1年以内か、いずれか早い日までに譲渡する場合(取壊し後にその敷地を貸し付けたり、事業の用に供したりすると適用外となる)

居住用財産とは、平たく言うと、マイホームもしくは自宅という表現になります。

土地やアパート、ワンルームマンション、オフィスビル等の居住用財産以外の不動産は、居住用財産には含まれません。

居住用財産を売却したときの特例は、以下の5つがあります。

(譲渡益が出た場合の特例)

1. 3,000万円の特別控除

2. 所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

3. 特定の居住用財産の買換え特例

(譲渡損が出た場合の特例)

4. 居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

5. 居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

3-1.譲渡益が出た場合

譲渡益が出た場合とは、譲渡所得がプラスになり所得税等が発生するケースのことを指します。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 > ゼロ

3-1-1.3,000万円の特別控除

3,000万円の特別控除とは、譲渡所得を求めるにあたり、居住用財産に限っては3,000万円を控除できるという特例です。

3,000万円の特別控除を適用した場合の譲渡所得とは、以下のような計算式にあります。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

例えば、譲渡価額が5,000万円、取得費が1,000万円、譲渡費用が150万円の場合、3,000万円の特別控除を適用すると、譲渡所得は以下のようになります。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

     = 5,000万円 - 1,000万円 - 150万円 - 3,000万円

     = 850万円

本来、特例を適用しないと譲渡所得としては3,850円でしたが、3,000万円の特別控除を適用することで、譲渡所得が850万円になりました。

さらに、譲渡価額が3,000万円、取得費が1,000万円、譲渡費用が150万円の場合を計算してみます。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

     = 3,000万円 - 1,000万円 - 150万円 - 3,000万円

     = 0円

3,000万円の特別控除を適用した結果、譲渡所得がマイナスになるような場合、譲渡所得はゼロとされます。

つまり、3,000万円の特別控除の適用により、所得税等は発生しないことになります。

尚、この特例は短期譲渡所得であっても、長期譲渡所得であっても適用することができるという点がポイントです。

実際、譲渡所得がプラスであっても、3,000万円の特別控除を適用した時点で、譲渡所得がゼロとなるケースはかなり多いです。

3,000万円の特別控除の恩恵は大きく、かなりの人がこの特例によってマイホームを売却しても税金が発生しないようになっています。

但し、3,000万円の特別控除は、特定の親族や同族会社への譲渡は適用外となり、特例の適用も3年に1度しか適用できないという点に注意が必要です。

3-1-2.所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

この特例は、「譲渡所得の減額」ではなく、「税率の軽減」の特例です。

譲渡所得に税率は、所有期間が長いほど投機的取引の可能性が低くなるため、税率が下がるという考えが根底にあります。

そこで、この特例では、居住用財産を10年超保有していると、税率がさらに下がるという特例になります。

3,000万円の特別控除は譲渡所得を減額してくれましたが、この特例では税率を軽減してくれます。

そのため、まず3,000万円の特別控除によって譲渡所得を減額し、この特例によってさらに税率を軽減することが可能です。

所得税は以下の計算式で求められます。

所得税 = 譲渡所得 × 税率

ここで税率の原則は、所有期間によって以下のようになっていました。

所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率 合計税率
短期譲渡所得 5年以下 30% 9% 39%
長期譲渡所得 5年超 15% 5% 20%

「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」では、さらに所有期間が10年を超えると税率が以下のようになります。

譲渡所得金額(※) 所得税 住民税 合計税率
6,000万円以下の部分 10% 4% 14%
6,000万円超の部分 15% 5% 20%

(※)譲渡所得は、3,000万円の特別控除の適用後の譲渡所得になります。

3,000万円の特別控除を適用した後の譲渡所得は、よほどのことがない限り、6,000万円以下になります。

そのため、3,000万円の特別控除を適用しても譲渡所得がプラスの人は、所有期間が10年超であれば、税率も下がるという特例となります。

3-1-3.特定の居住用財産の買換え特例

特定の居住用財産の買換え特例は、買い替えを前提としています。

税法上、買い替えは「買換え」と表記しますので、以下より買換えと記載します。

買換えとは、今のマイホームを売却し、新しいマイホームを購入することです。

特定の居住用財産の買換え特例は、極めて単純です。

買換えで、今の家を売却した金額(譲渡価額)よりも、新しく購入した家の方が金額(取得価額)の方が高い場合、課税されないという特例になります。

買換え資産の関係 課税の有無
譲渡価額>取得価額 課税される
譲渡価額≦取得価額 課税されない

但し、特例の適用に当たっては、売却する居住用財産と、購入する居住用財産には以下のような要件が必要となります。

売却する居住用財産の要件

1. 現に自分が住んでいる住宅で、居住期間が10年以上であるもの

2. 以前に自分が住んでいた1の住宅で、自分が住まなくなった日から3年後の12月31日までに譲渡されるもの

3. 1や2の住宅及びその敷地

4. 災害によって1の住宅が滅失した場合において、その住宅を引き続き所有していたとしたならば、その年の1月1日における所有期間が10年を超えるその住宅の敷地

5. 譲渡にかかる対価が1億円以下のもの

購入する居住用財産の要件

1. 譲渡資産を譲渡した年の前年の1月1日から譲渡した年の12月31日までの間に居住用の住宅やその敷地を取得すること

2. 譲渡資産を譲渡した年の翌年12月31日までの間に、取得した住宅を居住の用に供すること、または供する見込みであること

3. 取得する住宅は、床面積が50m2以上であること

4. 買換え資産が中古の耐火建築物である場合には、その中古耐火建築物が新築後25年以内であるか、または新耐震基準に適合することが証明されたものであるか、もしくは既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入していること

5. 取得する敷地は、その面積が500m2以下であること

尚、「特定の居住用財産の買換え特例」と「3,000万円の特別控除+軽減税率の特例」は有利な方を選択するので構いません。

3-2.譲渡損が出た場合

譲渡損が出た場合とは、譲渡所得がマイナスとなるケースのことを指します。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 < ゼロ

譲渡所得がマイナスの場合、そもそも売却による所得税等は発生しませんが、特例を使うことによって、給与所得等の他の所得で支払っていた所得税等の還付を受けることができます。

3-2-1.居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

この特例は、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年超の居住用財産を譲渡して、譲渡損失が発生した場合、源泉徴収税額が戻ってくる特例です。

譲渡した年に発生した損失を翌年以後3年間にわたり、他の給与所得等と「損益通算」することができます。

損益通算とはプラスの給与所得にマイナスの譲渡所得を合算し、全体の所得を下げる手続きのことです。

給与所得から譲渡所得の損失分がマイナスされるため、全体の所得が下がります。

所得が下がれば、給与所得を前提に天引きされていた所得税が払い過ぎていることになり、払い過ぎた分を取り戻して還付を受けることができます。

この特例を受けるためには、まず買い替えを行うことが前提となっています。

買い替えでは、売却する資産を譲渡資産、購入する資産を買換え資産と呼びます。

特例の適用を受けるために、譲渡資産および買換え資産は以下の要件を満たす必要があります。

譲渡資産の定義

平成31年12月31日までの間に譲渡される自己の居住の用に供する家屋またはその敷地で、その譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもののうち、次の1から4のいずれかに該当するものであること

1. 現に自分が住んでいる住宅

2. 以前に自分が住んでいた住宅で、自分が住まなくなった日から3年後の12月31日までの間に譲渡されるもの

3. 1や2の住宅及びその敷地

4. 災害によって滅失した1の住宅の敷地で、その住宅が滅失しなかったならば、その年の1月1日における所有期間が5年を超えている住宅の敷地ただし、その災害があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡されるものに限る。

買換え資産の定義

平成31年12月31日までの間に譲渡される自己の居住の用に供する家屋またはその敷地で、その譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもののうち、次の1から4のいずれかに該当するものであること

1. 譲渡資産の譲渡した年の前年の1月1日から翌年12月31日までの間に取得される自己の居住用に供する家屋またはその敷地

2. その家屋の居住部分の床面積が50m2以上であること

3. その取得の日から取得した年の翌年の12月31日までの間に自己の居住の用に供すること、または供する見込みであること

4. 繰越控除を受けようとする年の12月31日において、買換え資産に係る住宅借入金等(返済期間10年以上のローン契約等によるもの)の金額を有していること

その他、損益計算できる年は、給与や事業所得等の合計金額が3,000万円以下の年に限るという要件があります。

繰越控除できる限度額は、譲渡損失に該当します。

この特例の繰越控除限度額は、以下の式で表されます。

繰越控除限度額

繰越控除限度額 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

例えば、年収800万円のAさんが、マイホームを売却して▲2,000万円の譲渡損失を出してしまったとします。

Aさんの給与所得から天引きされた源泉徴収税額が約63万円と仮定します。

すると、売却年度は、損益通算をすることによって、Aさんの所得は以下のようになります。

1年目の損益通算

損益通算 = 給与所得 - 譲渡損失

     = 800万円 - 2,000万円

     = ▲1,200万円

すると、Aさんは1年目の所得はマイナスとなるため、天引きで既に支払っていた源泉徴収税額約63万円が満額戻ってきます。

更に、控除しきれなかった損失は翌年も繰り越せます。

繰越控除の計算は以下のようになります。

2年目の損益通算

損益通算 = 給与所得 - 譲渡損失

     = 800万円 - 1,200万円

     = ▲400万円

よって、Aさんの2年目の所得もマイナスとなるため、天引きで既に支払っていた源泉徴収税額約63万円が、2年目も満額戻ってきます。

3年目も400万円を給与所得から控除することができます。

控除しきれない損失は、売却の年の翌年以後3年内に繰り越して控除することができます。

よってこの特例は「損益通算及び繰越控除」という名前が付いています。

また、本特例は買換えを前提としているため、新たに購入するマイホームで住宅ローンを利用する方も多いです。

住宅ローンを利用すると、住宅ローン控除の適用を受けることができます。

住宅ローン控除は所得税から所定の額が控除される制度です。

住宅ローン控除も所得税を節税してくれる特例ですが、この「買換えの損益通算及び繰越控除」特例を適用しても、住宅ローン控除を併用して利用することができます。

3-2-2.居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例は、前節で説明した特例とほぼ同じですが、買換えを要件としていない点が大きく異なります。

この特例も、譲渡損失のうち、住宅借入金等の金額からその譲渡資産の譲渡価額を控除した残額を限度として、他の所得と損益通算及び3年間繰越控除ができます。

この特例を適用するための譲渡資産の要件としては、以下の通りとなります。

譲渡資産の定義

平成31年12月31日までの間に譲渡される自己の居住の用に供する家屋またはその敷地で、その譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもののうち、次の1から4のいずれかに該当するものであること

1. 現に自分が住んでいる住宅

2. 以前に自分が住んでいた住宅で、自分が住まなくなった日から3年後の12月31日までの間に譲渡されるもの

3. 1や2の住宅及びその敷地

4. 災害によって滅失した1の住宅の敷地で、その住宅が滅失しなかったならば、その年の1月1日における所有期間が5年を超えている住宅の敷地ただし、その災害があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡されるものに限る。

5. その個人がその譲渡にかかる契約を締結した日の前日においてその譲渡資産に係る一定の住宅借入金等の金額を有すること

6. 繰越控除する各年分の合計所得金額が3,000万円以下であること

7. 譲渡先が、その個人の配偶者その他特別の関係がある者ではないこと

但し、この特例では、繰越控除できる限度額が、買換えの特例の場合と異なります。

繰越控除等限度額は、以下の式で計算される額になります。

繰越控除限度額

繰越控除等限度額 = 住宅ローン残高 - 譲渡価額

尚、「第3章 居住用財産を売却したときの5つの税金特例」で説明した全ての特例を適用するには、確定申告を行うことが必要です。

確定申告は売却した翌年の3月15日まで行う必要があります。

通常、確定申告は譲渡所得が発生していなければ、行う必要がありません。

但し、「特例を適用するため」には必要です。

確定申告は忘れないようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか?

不動産を売却したときの税金について見てきました。

不動産を売却して、譲渡所得がプラスの場合は、所得税等が課税されるのが原則です。

その税率に関しては、所有期間で決まっていました。

また、特に居住用財産を売却した場合には、節税や源泉徴収税額の還付等ができる5つの特例があります。

マイホームは売却によって過剰な税金が発生しないよう配慮がなされています。

お得な税金の知識もしっかりと身につけて、売却するようにして下さい。

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