不動産売却後は「ふるさと納税」で節税!上限額をシミュレーションしよう

不動産を売却したら、「ふるさと納税がお得」だと聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

ふるさと納税は各地の特産品など魅力的な返礼品がもらえることで人気ですが、実は、不動産の売却で得た譲渡所得が多いほど上限額が上がり、お得に利用できる制度なのです。

この記事では、

  • 不動産売却でふるさと納税がおすすめの理由
  • 譲渡所得とは?多いほど「ふるさと納税の上限額」が高額に
  • 譲渡所得の計算方法
  • ふるさと納税の控除上限額の計算方法

など、ふるさと納税で不動産売却の節税ができる方法を、具体的な計算シミュレーションを交えてわかりやすく解説します。

不動産売却で税金対策をしたいなら、ふるさと納税と不動産売却の関係性、上限額などを理解して、不動産売却の住民税や所得税などの税金負担をお得に減らしましょう。

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この記事の監修者
秋山 芳生
家計簿アプリマネーフォワードMEの元事業責任者。
複数のベンチャー企業での上場経験を通じて資産構築をしFIREを達成。現在はFPとして講演・執筆・面談を行う傍らYouTube(チャンネル登録2万人以上)で情報発信するなどマルチに活動をしている。
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1.不動産売却時の節税にはふるさと納税がおすすめ

ふるさと納税は、全国の自治体の中から「応援したい」「返礼品が欲しい」と思った自治体に寄付すると、寄付金の額に応じて所得税と住民税が控除される制度です。

不動産売却でふるさと納税がおすすめの理由は、売却した年は大幅に所得が増える可能性があるためです。

不動産売却で発生した利益は、「譲渡所得」として課税されます。課税される所得が増えれば、ふるさと納税の上限額も増え、節税効果が高まります。なお、譲渡所得の詳しい内訳と計算方法は「2.不動産売却時の譲渡所得の計算方法」で後述します。

1-1.不動産売却益は分離課税のため税金が高額に

まずは、税金の課税方法が2種類あることを知っておきましょう。

■課税の種類

  • 分離課税
  • 総合課税

不動産売却で得た利益(譲渡所得)は、「分離課税」に区分されます。株式や退職所得、山林所得なども分離課税となり、それぞれ税率が決められています(国税庁「申告分離課税制度」)。

一方、総合課税は、他の所得と合算して課税されます。会社員や公務員などの給与所得、個人事業主などの事業所得は総合課税で、税率は所得に比例して税率もアップしていく累進課税制です。

参考:“No.2240 申告分離課税制度”. 国税庁. (参照2024-04-15)

1-2.譲渡所得が多いとふるさと納税の上限額が引き上げられる

ふるさと納税は所得によって限度額が定められており、所得が多いほど節税効果が高くなります。

たとえば、

1万円の寄付:自己負担分の2,000円を差し引いた8,000円が所得税・住民税から控除

3万円の寄付:自己負担分の2,000円を差し引いた2万8,000円が所得税・住民税から控除

となります。

より大きな金額である3万円を寄付したときの方が、税金がお得になる仕組みということが分かります。

不動産の売却を進める際は、複数の不動産会社に査定を依頼し、信頼できる会社を比較して選びと安全です。

不動産一括査定サービスの不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)なら、全国から厳選された不動産会社の中から最大6社にまとめて査定依頼ができるため、査定を簡単に比較できます。

不動産売却をして譲渡所得が発生すると課税所得が上がりふるさと納税の上限額も引き上げられます。ふるさと納税は自己負担額2,000円でさまざまな返礼品がもらえるというお得な仕組みです。美味しいお米やお肉、果物など、返礼品にはその地域の特産品など様々なものがあるので、ぜひ活用しましょう。

ファイナンシャルプランナー 秋山 芳生

2.不動産売却時の譲渡所得の計算方法

ふるさと納税だけでなく、不動産売却の税金計算を行うためには、まず「譲渡所得」を計算しなければなりません。

譲渡所得の計算方法は以下の通りです。

譲渡所得 = 売却価格 - 取得費 - 譲渡費用

譲渡所得とは、売却した価格から「取得費」と「譲渡費用」を引いたものです。

不動産売却の取得費とは、不動産の購入金額にプラスして、購入時にかかった仲介手数料などを加えた総費用のことを言います。

譲渡費用とは、仲介手数料や印紙税など売却時にかかった諸費用のことを言います。

不動産市場が低い時期に購入した物件や、よほどの大豪邸でない限りは利益が出ず、譲渡所得がマイナスとなるケースがほとんどです。

なお、正確な取得費が不明な場合は、売却額の5%相当額としてよいという取り決めがあります。この方法で計算すると、本来かかった費用よりも取得費が小さくなる場合が多いですが、ふるさと納税を活用することで税負担を軽減することができます。

不動産売却の際には、譲渡所得がいくらになったか、それにどのくらい税金がかかるのかを計算しなければいけません。そして利益が出ていた場合は、ふるさと納税などを上手く利用して税負担を減らすのが賢いやり方ですね。

ファイナンシャルプランナー 秋山 芳生

3.ふるさと納税の控除上限額を計算する方法

不動産売却で譲渡所得が発生し、ふるさと納税で節税するには控除の上限を計算する必要があります。

年間の収入が確定すれば、総務省「控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」に掲載された一覧表でわかりますが、収入確定前だと自分で計算しなければなりません。

3-1.給与所得控除後の金額を調べる

ふるさと納税の上限額は、給与所得控除後の金額がベースとなります。

そこで、まずは給与所得額から各種控除を差し引いた給与所得控除後の金額を調べます。

各種控除は、前年の源泉徴収票や住民税通知書に記載されているので確認してみましょう。 一般的な源泉徴収票の所得控除後の金額は、「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を差し引いたものです。

3-2.住民税所得割額を計算する

次に、住民税所得割額の計算が必要です。

不動産売却によって譲渡所得が発生した場合は、給与などによる総合課税と譲渡所得にかかる分離課税が混在しています。総合課税と分離課税をそれぞれ計算しましょう。

総合課税は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」で次のように計算します。

給与所得控除後の金額 × 税率10%

分離課税の不動産譲渡所得は、不動産を所有していた期間によって税率が異なります。

  • 所有期間5年以下(短期譲渡所得):税率9%
  • 所有期間5年超 (長期譲渡所得):税率5%

3-3.住民税所得割額からふるさと納税の控除上限額を算出する

控除上限額は住民税所得割額の合計から計算します。計算式は以下の通りです。

控除上限額 = 住民税所得割額 × 20% ÷(90%ー所得税率×1.021)+ 2,000円

給与所得の総合課税と、不動産譲渡所得の分離課税のどちらもある場合、適用する税率は総合課税です。 所得金額ごとの税率は、以下の表の通りです。

課税対象の所得金額 税率
1,000円 ~1,949,000円 5%
1,950,000円~3,299,000円 10%
3,300,000円~6,949,000円 20%
6,950,000円~8,999,000円 23%
9,000,000円~17,999,000円 33%
18,000,000円~40,000,000円 40%
40,000,000円以上 45%

参考:“所得税の税率”. 国税庁. (参照2024-04-15)をもとに、HOME4Uが独自に作成

ふるさと納税の上限額の計算をするには、上記のような計算をしなければいけません。

不動産譲渡所得は分離課税であり、不動産を所有していた期間に応じて税率が異なるので、売却のタイミングは計算しておくとよいです。ふるさと納税による節税がいくらまでできるのかを把握しておかないと、「ただの寄付」や「納税」をしすぎてしまうこともあるので注意が必要ですね。

ファイナンシャルプランナー 秋山 芳生

4.譲渡所得によるふるさと納税上限額の差をシミュレーション

譲渡所得がある場合とない場合では、ふるさと納税の上限額がどの程度違うのかを、以下の条件でシミュレーションしてみます。

【条件】

  • 年収600万円(所得控除後の金額)
  • 所得税率:20%
  • 譲渡所得200万円
  • 不動産所有年数:8年
  • 住民税所得割額(総合課税分):600万円 × 10% = 60万円
  • 住民税所得割額(分離課税分):200万円 × 5% = 10万円

上記の条件で不動産譲渡所得がある場合、以下の計算式となります。

(10万円 + 60万円) × 20% ÷(90% - 20% × 1.021)+ 2,000円 = 19万7,886円

対して、不動産譲渡所得がない場合の上限額は以下の通りです。

(0円 + 60万円)× 20% ÷(90% - 20% × 1.021)+ 2,000円 = 16万9,949円

シミュレーションからふるさと納税の上限額は、不動産譲渡所得がある場合とそうでない場合で27,937円の差があることが分かりました。

税金負担を少しでも減らすためにも、譲渡所得が発生した場合はふるさと納税を活用しましょう。

譲渡所得税を詳しく計算するためには、査定額を知る必要があります。
複数社の査定額を比較して、より信頼できる査定額を参考に譲渡所得税を把握し、ふるさと納税の計画もたてていきましょう。

ふるさと納税は2,000円の自己負担額だけで、返礼品としてその地方の特産品など様々なものが送られてくるため、おすすめです。

不動産売却で利益が出た場合は譲渡所得が増えるため、ふるさと納税の上限額も合わせて引き上げられます。

ふるさと納税の上限額は、住民税所得割額から算出することもできますが、ざっくりと知りたい場合はシュミレーションができるサイトを使うのも手です。ふるさと納税を行い、お得な返礼品をゲットしましょう。

ファイナンシャルプランナー 秋山 芳生
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この記事のポイント

不動産売却時はふるさと納税がおすすめな理由は?

不動産売却時に譲渡所得が発生した場合、ふるさと納税の上限額が増えることからおすすめです。

詳しくは「1.不動産売却時の節税にはふるさと納税がおすすめ」をご確認ください。

譲渡所得の計算方法は?

不動産を売却した際の譲渡所得は、「譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用」で算出できます。

詳しくは「2.不動産売却時の譲渡所得の計算方法」をご確認ください。

ふるさと納税の控除上限額の計算方法は?

ふるさと納税の控除上限額は、以下の手順で計算できます。

  1. 給与所得控除後の金額を調べる
  2. 住民税所得割額を計算する
  3. 住民税所得割額からふるさと納税の控除上限額を算出する

詳しくは「3.ふるさと納税の控除上限額を計算する方法」をご確認ください。