不動産の相続で知っておきたい!売却の注意点とお得な税金特例

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不動産の相続で知っておきたい!売却の注意点とお得な税金特例

戸建やマンションといった不動産を売却するきっかけの一つに相続があります。

東京で働いている息子が、相続で受け継いだ実家を売却することは良くあるケースです。

相続した戸建やマンションの売却が多い理由としては、「不要であるため」に加え、「遺産分割するため」という理由が多いです。

残された不動産は、共有という形で相続することになります。

不動産を相続人同士の間で分けるには、売却して現金にすることが最も分割しやすい方法になります。

そこで今回の記事では、残された相続人の人たちを対象として、相続の基礎知識や相続で得た不動産を売却するにあたっての注意点についてご紹介します。

相続は全員に発生するものですが、9割以上の人は相続税とは無縁です。
(出典元:国税庁

そのため、この記事は主に相続税の納税義務のない人たちを対象としています。

但し、相続した不動産を売却するポイントについては、相続税が発生する人にも共通して有効です。

そのため、この記事は相続税が発生する人にも役立つ内容となっています。

相続の後に損をしないためにも、ぜひご参考頂ければと思います。

1.相続後の基礎知識

相続では、被相続人が基礎控除額を超える額の相続財産を持っていた場合、相続税が発生します。

基礎控除額とは以下の計算式で求められる金額になります。

基礎控除額の求め方

基礎控除額 = 3,000万円 + 法定相続人 × 600万円

例えば、残された相続人が妻1人、子1人の場合、基礎控除額は4,200万円となります。

基礎控除額を超える財産を持っている人は、国内全体の8%程度です。
92%程度の人は相続「税」に関しては関係ありません。
(出典元:国税庁

相続が発生しても、相続財産が基礎控除額以内であれば、相続税の申告も、納税も義務はありません。

相続税とは無関係な人たちの相続後の流れは以下の通りになります。

  1. 死亡届の提出
  2. 葬儀を行う
  3. 金融機関に連絡する
  4. 生命保険を受け取る
  5. 相続財産を調査する
  6. 遺産分割を行う

相続では、亡くなった人のことを被相続人、残った人たちのことを相続人と言います。

相続では、原則として預貯金や負債、不動産等、被相続人の全ての財産が対象となります。

相続が発生したときは、被相続人の相続財産を調査し、その財産が基礎控除額を超えていないかどうかを確認する必要があります。

但し、以下の財産については、相続税の対象とはならないため、相続税を計算する上での相続財産には含みません。

相続税の対象とならない財産

  1. 相続人のもらった生命保険等の合計額のうち、法定相続人1人当たり500万円までの額
  2. 相続人のもらった退職手当金等の合計額のうち、法定相続人1人当たり500万円までの金額
  3. 墓所、仏壇、祭具、国等に寄付した財産等

相続では財産を相続人の共有状態で受け継ぎます。

共有で引き継ぐため、相続人に遺産を分配するには遺産分割をする必要があります

遺産分割は義務ではありませんが、通常は遺産を分けるために行います。

共有で受け取ったとしても、現金であれば1円単位で分けることができるため、容易に分割することが可能です。

一方で、戸建やマンション、土地のような不動産についても共有で受け取ります。

しかしながら、不動産は相続人の間で容易に分けることができません。

もし、完全に平等で分けるとしたら、売却して現金化することになります。

売却は最も有効な遺産分割の手段です。

以上、ここまで相続後の基礎知識について見てきましたが、相続した財産が相続税のかからない基礎控除額以内であるかどうかを知るには、不動産の相続税評価方法を知る必要があります。

そこで次に相続した不動産の価格について解説します。

2.相続した不動産の価格と分割の仕方

2-1.時価と相続税評価額の違い

時価と相続税評価額の違い預貯金や株、不動産等を相続した場合、まずその財産の合計額が基礎控除額を超えていないかどうかを確認する必要があります。

相続財産がいくらかというのを「相続税評価額」と言います。

現金や預貯金に関しては、その金額がそのまま相続税評価額となります。

住宅ローンの負債などは、マイナスの現金という扱いになります。

負債があれば、負債額がそのまま相続税評価額からマイナスされます。

また株式投資などで上場企業の株を持っている場合、その評価額は原則として被相続人の他界した日となります。

株券等は、時価が把握しやすいため、時価がそのまま相続税評価額となります。

一方で、不動産は時価と相続税評価額が異なります。

不動産は実際に売却しないと本当の時価が分かりません。

ただ、財産価値を把握するために、いちいち売却するのは非現実的です。

そこで、不動産に関しては、相続税評価額の評価方法にルールがあり、売却しなくても価値が分かるようになっています。

不動産の相続税評価額に関しては、一般的に時価よりも安くなっているという点がポイントです。

本来は100の価値があっても、80のような少ない数字で資産評価をできるというのが不動産です。

「実際、売ったら基礎控除額を超えそうだけども…」と思っても、相続税評価額にすると基礎控除額を超えない場合もあります。

そのため、まず相続税評価額の基本的な評価方法にルールについて知る必要があります。

では次に土地の相続税評価のルールについて解説していきます。

2-2.土地の評価額

土地の評価額

土地については、相続税路線価(以下、「路線価」と略)を用いて土地の評価を行います。

相続税路線価は国税庁のホームページによって誰でも確認することが可能です。

路線価は、自分の土地の道路の前に数字が振られています。

この数字は(千円/m2)で表された土地の単価です。

角地のような2つの道路に面しているときは、基本的に高い方の路線価を用います。

路線価が振られていない地域は倍率地域と呼ばれます。

倍率地域は同じく国税庁のホームページにある倍率表を確認します。

倍率表には自分の土地の地区に、1.1や1.0といった倍率が記載されています。

倍率地域では、土地の固定資産税評価額に倍率を乗じたものが相続税評価額となります。

土地の相続税評価額については、時価の80%が目安となっています。

例えば、実際に売却したら時価が1,000万円のような土地でも、相続税評価額は800万円くらいです。

基礎控除額との比較は、この800万円を用います。

マンションの土地に関しては、全体の土地評価額に共有持分割合を乗じたものが土地の評価額となります。

それでは次に建物の評価額について解説します。

2-3.建物の評価額

建物の評価額

建物の評価方法は簡単です。

建物の相続税評価額は、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。

固定資産税評価額は、毎年送られてくる固定資産税納税通知書に記載されている金額です。

マンションや戸建で建物の相続税評価額を知りたい場合は、納税通知書を確認するようにして下さい。

固定資産税評価額は、新築当時は請負工事金額の50%程度であり、当初は時価に対してとても低い評価額となっています。

但し、固定資産税評価額は税金を取るための評価額であるため、その後、築年数が経過しても評価額はほとんど下がりません。

例えば、木造の戸建住宅の場合、築20年を過ぎると時価がゼロになってしまうことが良くあります。

しかしながら、固定資産税評価額は数百万円の価値が残っています。

この傾向はマンションも同様です。

そのため、築年数が相当に古い「建物」に関しては、時価よりも相続税評価額の方が高い場合があります。

通常、不動産は時価よりも相続税評価額の方が安いですが、築年数が相当に古い「建物」は、逆転現象が見られます。

それでは次に収益物件の評価額について見ていきます。

2-4.収益物件の評価額

収益物件の評価額

相続人がアパートやワンルームマンションのような収益物件を持っている場合、収益物件の評価額はさらに安くなります。

まず、建物を他人に貸していると、建物の評価額が固定資産税評価額よりもさらに30%減額されます。

これを借家権割合による評価減と呼びます。

借家権割合は、全国一律で30%と定められています。

収益物件の建物評価

借家の建物評価 = 固定資産税評価額 × 70%

また収益物件は土地についても減額されます。

収益物件の土地は貸家建付地と呼ばれる評価減を受けます。

収益物件の土地評価

借家の土地評価 = 路線価評価額 × (1 - 借地権割合 × 借家権割合)

借家権割合は同様に30%です。

借地権割合は相続税路線価に記載されているアルファベットで決まります。

国税庁のホームページの路線価図の上部に借地権割合が記載されています。

借地権割合はAなら90%、Bなら80%という感じです。

例えば前面道路に65Dと記載されていたら、単価は65千円/m2で、借地権割合は「D」なので60%ということを意味します。

国税庁 財産評価基準書 路線価図(例)
国税庁 財産評価基準書 路線価図(例)

借地権割合が60%の土地であれば、収益物件の土地評価の評価は以下のようになります。

借家の土地評価 = 路線価評価額 × (1 - 借地権割合 × 借家権割合)

        = 路線価評価額 × (1 - 60% × 30%)

        = 路線価評価額 × 82%

収益物件の場合は、自宅のマンションや戸建よりもさらに相続税評価額が安くなるということがポイントです。

以上、ここまで評価方法について見てきました。

それでは次に分割方法について見ていきます。

2-5.分割方法を決める

相続では共有で財産を受け継ぐため、財産を分ける場合は、分割する必要があります。

遺産分割で平等に財産を分けるには、まずは評価の目線を揃えることが必要です。

不動産の相続税評価額と時価は異なるため、相続税評価額を用いて資産を分けてしまうと不公平が生じます。

土地であれば時価の80%で評価を受けます。

そのため、800万円の評価額の土地は、本来であれば1,000万円の資産価値を持っていることになります。

例えば、土地800万円と現金800万円を2人の相続人間AとBで分けようとすることを考えます。

Aに土地、Bに現金として分けた場合、一見すると平等に分けている気がします。

しかしながら、時価に直すと実はAは1,000万円の資産を引き継ぎ、Bは800万円の資産しかもらえていなかったということになります。

それでもAとBが納得すれば、このような分け方でも構いません。

ただ、納得感が無いようであれば、一旦土地は売却して、1,000万円に変え、900万円ずつを分け合うことになります。

相続人の間では、不動産の状態では分けにくいという問題が生じます。

そこで分割方法の一つとして、売却して現金化した後に分割するということが良く行われます。

特に、不要な不動産であれば、売却はとても有効な手段です。

相続では、相続人間でどのように分割するのかを決めることが重要です。

相続評価額と時価との違いを十分に理解し、相続人間で分割方法を決めましょう。

3.売却する場合の注意点

それでは次に、分割で最も有効な方法である相続不動産の売却について解説します。

3-1.共有物の売却

3-1-1.共有物売却の3つのポイント

共有物売却の3つのポイント

相続した不動産を現金にして分割するには、共有のまま売却してしまうのが登記費用等も抑えられるため最も節約することができます。

共有物の売却では、以下の3つがポイントとなります。

  1. 共有者全員の同意を得る
  2. 窓口担当者を決めておく
  3. 売却額の最低ラインを決めておく

共有とは1つの不動産を複数人の共有持分割合で、所有している状態です。

共有となっている不動産は、場所や空間で所有者を分けることができません。

例えば姉がこの部屋だけ売りたい、妹が1階だけ売りたいというように分けて売却することもできません。

共有物の売却は、通常、一度に全員の持分を全て売却することになります。

そのため、共有物の売却には、「共有者全員の同意を得る」ことが民法で規定されています。

仮に、3人兄弟で相続しても、2人が売却に賛成し、1人が反対すれば、その不動産を売却することはできません。

過半数とか、3分の2以上とかの同意があっても、全員の同意がないと意味がないということになります。

共有で不動産を売却するには、まずは全員の同意をしっかり得るということが第一ステップです。

次に、共有物件を売却する場合、「窓口担当者を決めておく」という点がポイントです。

不動産の売却では、不動産会社や司法書士、測量会社等、売却の過程で様々な第三者と関わることが多いです。

そこで、このような第三者とは、誰が窓口となって対応していくのか、あらかじめ決めておく必要があります。

また、売却の途中では、測量等で費用が発生する場合もあります。

途中で費用が発生する場合には、窓口担当者が、一旦立て替える場合も出てきます。

確定測量図の作成などは100万円近くかかる場合もあり、ちょっとした立て替えというわけにもいきません。

窓口担当者を決めると同時に、途中で費用が発生した場合の立て替えルールや配分についても決めておくこともポイントです。

不動産は自分の単独所有物件を売るだけでも、様々なやり取りが発生します。

窓口担当者は、ストレスを感じることもあるので、売却が終わったら、必ず皆で窓口担当者を慰労してあげましょう。

3つ目のポイントとしては、あらかじめ共有者全員で「売却額の最低ラインを決めておく」ということです。

窓口担当者を決めても、窓口担当者が勝手に最終判断をしてしまうと、揉める原因となります。

最低限、共有者全員で「いくら以上なら売る」という売却額の最低ラインを決めておく必要があります。

最低ラインを決めておかないと、「勝手に安く売った」とか、「もっと高く売れたのではないか」等々で揉めてしまうことがあります。

実際の売却では、買主から値引交渉も良くあることです。

値引交渉を受けるのは窓口担当者ですので、最低ラインを決めておかないと、窓口担当者も困惑してしまいます。

また、最低ラインを決めておけば、欲張り過ぎて良い買主を逃さなくて済むというメリットもあります。

例えば、売却活動をし始めたら、たまたま高い価格を提示してくれる買主がすぐに現れるというケースもあります。

すぐに良い買主が現れてしまうと、「もう少し粘ったら、もっと高く売れるのでは?」と欲をかいてしまう人がいます。

共有者の中に「もうちょっと待ってみよう」という意見が出てしまうと調整がつきません。

待った結果、結局、最初の買主以上の良い客が現れなかったというケースもあります。

タイミングを逃さず適切な決断をするためにも、最低ラインは決めておくことが重要です。

3-1-2.売却額の最低ラインの決定方法

共有物件では、最終的に最も重要な部分は「売却価格」です。

共有物件の売却をスムーズに行うためには、「売却価格の最低ライン」に関して、あらかじめ意見を一致させておく必要があります。

売却額の最低ラインを決めるには、無料の一括査定サイトを利用して複数の不動産会社へ査定を依頼し、そのまま仲介を依頼する不動産会社も見つけてしまうことがお勧めです。

査定額は不動産会社によってバラつきが出ます。

このバラつきある査定額こそ価値があります。

不動産会社の提示する査定額は、売却予想価格の算出であるため、その価格では売却できないということもあり得ます。

そこで、1社だけの査定額を根拠に売却額の最低ラインを決めてしまうと、「実は売却額の最低ラインが高過ぎて、なかなか売れない」という可能性もあります。

複数の不動産会社に査定を依頼すれば、その中には、必ず低い査定額も出てきます。

売却額の最低ラインの決定においては、一番低い査定額こそ意味があります。

シビアな査定額が出てきたとしても、それを冷静に受け止め、売却額の最低ラインを決めておく根拠として下さい。

複数の不動産会社の査定額を比較するには、「不動産売却HOME4U(ホームフォーユー)」がお勧めです。

不動産売却HOME4U

HOME4Uでは、戸建やマンション等の物件種別ごとに売却が得意な不動産会社が提携企業として参画しており、最大6社に一括で査定依頼ができます。

高く売れる不動産会社を見つけることができるのはもちろんですが、同時にプロとしてシビアな目も持っている不動産会社も集まっています。

実績のある会社ほど、現実的な価格を査定する傾向にあります。

共有物件で、スムーズな意思決定をするには、低めの査定額を重視して最低ラインを決めておきましょう。

但し、仲介を依頼する会社と査定結果とは分けて考えて良いです。

実際の売却は、高い査定額を出した不動産会社に依頼しても、もちろん構いません。

「最低ラインよりも高く売却できればラッキー」という感じで、気楽に売却活動を始めることをお勧めします。

3-2.売却時に係る税金

3-2-1.譲渡所得の原則

相続した不動産を売却すれば、所得税および住民税が発生する可能性があります。

「可能性」と表現したのは、税金は発生しない場合もあるためです。

不動産の売却では、税金が発生する場合と発生しない場合があり、しっかりと理解しておく必要があります。

不動産を売却した際、「譲渡所得」と呼ばれる所得が発生すると、税金が生じます。

譲渡所得とは以下の計算式で表される所得です。

譲渡所得の計算式

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

譲渡価額とは不動産の売却額になります。

取得費は、売却した不動産の購入額です。

但し、建物については減価償却後の価格になります。

譲渡費用は仲介手数料等の売却に要した費用です。

上記の計算式で、譲渡所得がプラスであれば税金は発生し、マイナスであれば税金は発生しないことになります。

尚、取得費が分からない場合は、概算取得費というものを用います。

概算取得費は、譲渡価格の5%となります。

ここまでが基本です。

尚、相続「税」を支払う人は、税金が緩和される特例があります。

以下よりその特例を説明します。

3-2-2.相続税を払う人が受けられる特例

次の要件を満たす場合は、特例によって取得費に相続税額のうち一定金額を加算することができます。

これを「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」と呼びます。

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例の要件

  1. 相続や遺贈により財産を取得した者であること。
  2. その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
  3. その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。

相続財産を譲渡したときに取得費の特例を適用した場合の譲渡所得は以下のようになります。

特例適用時の譲渡所得の計算式

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 取得費に加算する相続税額 - 譲渡費用

取得費に加算する相続税額は、以下の基本式で計算される額になります。

取得費に加算する相続税額の基本式

取得費に加算する相続税額 = その者の相続税額×{その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の価額÷(その者の相続税の課税価格+その者の債務控除額)}

但し、「取得費に加算する相続税額」がこの特例を適用しないで計算した譲渡益の金額を超える場合は、その譲渡益相当額となります。

3-2-3.税率

所得税や住民税は、譲渡所得に税率を乗じることによって求められます。

所得税等は以下の計算式で算出されます。

所得税等 = 課税譲渡所得 × 税率

ここでの税率については、売却した不動産の所有期間によって異なります。

所有期間は5年以下であれば短期譲渡所得、5年超であれば長期譲渡所得と呼ばれます。

それぞれの税率は以下の通りです。

保有期間 所得税率 住民税率
5年以下(短期譲渡所得) 30% 9%
5年超(長期譲渡所得) 15% 5%

相続や贈与で取得したときの取得の時期は、他界した人や贈与した人の取得の時期がそのまま取得した人に引き継がれます。

取得の時期は「相続開始時点ではない」という点がポイントとなります。

以上、ここまで売却する場合の注意点について見てきました。

実は売却に関しては、戸建を相続した人は、かなり有利です。

そこで最後に相続空き家の売却についてご紹介します。

4.相続空き家の売却

相続空き家の売却

相続空き家には、3,000万円特別控除というものがあります。

この章ではその特別控除の適用要件や、適用期間、手続き、注意点について説明します。

4-1.適用要件

あらためて、不動産を売却した際の譲渡所得の計算式を示します。 

譲渡所得の計算式

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

概算取得費を用いた譲渡所得の計算式

借家の土地評価 = 路線価評価額 × (1 - 借地権割合 × 借家権割合)

        = 路線価評価額 × (1 - 60% × 30%)

        = 路線価評価額 × 82%

相続税の納税義務者ではなく、かつ取得費が分からない人は、売却による所得税等がかなり高くなる可能性があります。

ところが、以下の要件に当てはまる不動産を売却した場合には、譲渡所得から3,000万円を控除してくれる3,000万円特別控除という特例を適用できます。

相続空き家の3,000万円特別控除適用要件

  1. 相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋であること
  2. 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
  3. 区分所有建築物(マンション等)以外の家屋であること
  4. 相続の開始直前においてその被相続人以外に居住していた者がいなかったこと
  5. 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと
  6. 譲渡価格が1億円以下であること
  7. 家屋を譲渡する場合、その家屋が現行の耐震基準に適合するものであること

(取壊して売却する場合)

相続した家屋を取壊して土地のみを譲渡する場合には、取り壊した家屋について相続の時からその取壊しの時まで事業の用、貸付の用又は居住の用に供されていたことがないこと、かつ、土地について相続の時からその譲渡の時まで事業の用、貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと

上記要件を満たすと、相続空き家でも3,000万円特別控除を適用できます。

3,000万円特別控除を適用すると、譲渡所得は以下のようになります。

3,000万円特別控除を適用した場合の譲渡所得の計算式

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

3,000万円特別控除が適用できると、概算取得費を用いた場合でも、相当に譲渡所得を圧縮することが可能です。

尚、相続空き家で3,000万円特別控除を適用する場合、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」に関しては併用して適用することができません。

「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」は、相続「税」が発生する人が対象となります。

相続「税」が発生する人は、「3,000万円特別控除」もしくは「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」について、有利な方を選択して適用することになります。

以上、ここまで適用要件について見てきました。

それでは次に適用期間について解説します。

4-2.適用期間

相続空き家の3,000万円特別控除に関しては、適用期間が厳密に定められているため、注意が必要です。

適用期間は、2016年4月1日から2019年12月31日までの間で、かつ、相続のときからその相続の開始があった日以降3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に売却したものに限られます。

既に相続が発生しているものに関しても、2013年1月2日以後の相続からの適用となります。

相続の発生と売却で特例が適用できる期間の組合せをまとめると以下の通りになります。

相続の発生 売却期間
2013.1.2~2014.1.1 2016.4.1~2016.12.31
2014.1.2~2015.1.1 2016.4.1~2017.12.31
2015.1.2~2016.1.1 2016.4.1~2018.12.31
2016.1.2~ 2016.4.1~2019.12.31

特例を適用するには、売却できる期間が決まっていますので、売却時期については慎重に確認しましょう。

以上、ここまで適用期間について見てきました。

それでは次に手続きについて解説します。

4-3.手続き

相続空き家の3,000万円特別控除の特例を適用するには、確定申告が必要となります。

確定申告は、売却した翌年の2月16日から3月15日の間までに行います。

相続空き家の3,000万円特別控除は、建物付きで売却する場合と、取壊して売却する場合の2種類があります。

それぞれに必要な書類は以下の通りです。

家屋または家屋及び敷地等を譲渡する場合

  1. 譲渡所得の金額の計算に関する明細書
  2. 被相続人居住用家屋及びその敷地等の登記事項証明書
  3. 被相続人居住用家屋又はその敷地等の売買契約書の写し等
  4. 被相続人居住用家屋等確認書
  5. 被相続人居住用家屋の耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写し

家屋を取壊し、除去または滅失後の敷地等を譲渡する場合

  1. 譲渡所得の金額の計算に関する明細書
  2. 被相続人居住用家屋及びその敷地等の登記事項証明書
  3. 被相続人居住用家屋等確認書
  4. 敷地等の売買契約書の写し等

以上、ここまで手続きについて見てきました。

次に相続空き家の3,000万円特別控除を適用する際の注意点について紹介します。

4-4.注意点

相続空き家の3,000万円特別控除を適用する場合、1つ注意点があります。

3,000万円特別控除の適用要件の中に、以下のような要件があります。

(取り壊さずに売却する場合)

相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと

(取壊して売却する場合)

相続した家屋を取壊して土地のみを譲渡する場合には、取り壊した家屋について相続の時からその取壊しの時まで事業の用、貸付の用又は居住の用に供されていたことがないこと、かつ、土地について相続の時からその譲渡の時まで事業の用、貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと

つまり、3,000万円特別控除を使いたい場合、空き家や取り壊した後の更地を「人に貸す」という有効活用はしてはいけないということになります。

戸建を相続した場合、相続人間で有効活用について話し合われるケースはとても多いです。

実際に相続空き家では、シェアハウスや民泊などの活用が積極的に行われています。

しかしながら、1度でもこのような有効活用をしてしまうと、後で売却するとき3,000万円特別控除を適用できなくなるため、注意が必要です。

それでも、有効活用したいという意見が多ければ、少なくとも相続空き家の取得費が分かる売買契約書があるかどうかを確認してください。

売買契約書が残っていれば、譲渡所得はかなり圧縮されるはずです。

相続空き家を有効活用する場合には、「売却で失う3,000万円特別控除の権利」と「有効活用した場合の収益性」を両天秤にかけた上で、慎重に決断を下すようにして下さい。

まとめ

いかがでしたか?

不動産と相続について見てきました。

相続した不動産を平等に分割する有効な手段としては、「売却して現金化すること」です。

売却は共有状態のまま行うことが最もコストは安いです。

但し、共有状態で売却するには、以下の3つのポイントがありました。

(1)共有者全員の同意を得る

(2)窓口担当者を決めておく

(3)売却額の最低ラインを決めておく

あとで揉めないように売却額の最低ラインを適切に決めるためには、「HOME4U」などの複数不動産会社からの査定額を比較できるサイトを使い査定額の提示を受け、比べることが大切です。

また売却では税金が発生する可能性もあります。

特例を使える可能性がないかも確認しながら、売却を検討してみましょう。

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