更新日:2026.04.15 専攻授業 - 相続, 税金・諸費用, 相続・贈与 「110万円贈与」は廃止されていない!2024年の暦年贈与の税制改正の変更点を解説 相続対策として活用される、贈与税の110万円非課税枠いわゆる「110万贈与」は廃止になっていません。 本記事では、この「110万円贈与」制度の基本から、2024年1月から適用された改正内容、生前贈与の節税効果への影響、そして活用すべきケース、向かないケースやよくある疑問まで、図解も交えてわかりやすく解説します。 【1分で分かる】この記事の内容 暦年贈与の「110万円非課税枠」は廃止されていない 2023年税制改正で贈与の相続税への持ち戻し期間が7年に延長 相続人以外に贈与する場合や受贈者が多い場合は「110万円贈与」の活用がおすすめ Contents1.「110万円贈与」の非課税枠は廃止されていない2.「110万円贈与」といわれる暦年贈与とは3.「110万円贈与」が2023年度税制改正で変わったこと4.「110万円贈与」の改正後の節税効果5.「110万円贈与」でよくある質問まとめ 1.「110万円贈与」の非課税枠は廃止されていない 「年間110万円までの贈与は非課税(暦年課税)」というルールが2023年度の税制改正で廃止となるのではないか、という見方がありました。結論から言えば、110万円贈与の非課税枠は廃止されていません。 こうした見方が登場した背景には、政府の税制調査会が「資産移転の時期による税負担の差をなくすべき」という意向があり非課税枠の見直しが検討されていたことがあります。 しかし、2023年度税制改正では「110万円贈与」そのものは廃止されず、贈与税に関するルールが一部変更されました。 具体的には、相続税への「持ち戻し期間」が3年から7年に延長されることになり、暦年課税の制度自体は残されています。 2023年度税制改正を経て、持ち戻し期間が4年延長となることで節税対策がしにくくなったほか、将来的に暦年贈与が廃止される可能性も指摘されている点に留意して対策する必要があります。 2.「110万円贈与」といわれる暦年贈与とは 「110万円贈与」とは、贈与税における暦年課税制度の活用を指します。 「暦年贈与」ともいわれるこの制度を解説します。 2-1.暦年贈与の仕組み 暦年贈与とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間(暦年)に受け取った贈与額に基づき贈与税を課税する方式で、この1年間の贈与合計額が110万円以下であれば贈与税は課税されません。 このルールを利用して、毎年コツコツと110万円ずつ子や孫へ財産を移転していく生前贈与の方法が一般に「110万円贈与」と呼ばれています。 暦年贈与の非課税枠は、「贈与を受け取る人(受贈者)ごとに毎年110万円まで」と定められています。ポイントは、この110万円の枠は贈与者ごとではないという点です。 暦年贈与による贈与税の計算方法はシンプルで、1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた額に税率をかけて算出します。110万円以下の贈与なら贈与税はかかりません。 贈与税は受贈者が申告・納税します。110万円以下なら申告不要です。 なお、「毎年決まった額を定期的に贈与する契約」を結んでしまうと、一括贈与とみなされ、110万円の控除枠適用外となるため注意が必要です。 実務上よく問題になるのが「名義預金」です。親が子ども名義の口座に110万円を振り込んでいても、子どもがその口座の存在を知らなかったり、通帳や印鑑を親が管理していたりすると、税務調査で「贈与が成立していない」と判断され、相続財産に組み戻されるケースがあります。 暦年贈与を確実に成立させるには、①受贈者が口座を自ら管理していること、②贈与のたびに贈与契約書を作成すること、③できれば銀行振込など記録が残る方法で渡すこと、の3点を意識してください。 暦年贈与とは? 定期贈与・連年贈与との違いや7つの注意点を徹底解説 「節税対策で少しでも多くの財産を次世代に譲りたい」と考える方は少なくな 2-2.対象は現金だけではない 暦年贈与の非課税110万円枠は、現金の贈与に限らず、あらゆる資産が加算対象です。 贈与税の課税対象は、土地・建物などの不動産、株式などの有価証券、宝石・貴金属、美術品といった動産類まで多岐にわたります。 例えば、「自宅の名義を子どもに変えた」という場合、評価額から110万円を超える部分に贈与税がかかります。 現金のように細かく分けられない不動産などの財産の贈与で暦年贈与制度を活用するのは不向きだといえるでしょう。 不動産を含む大きな財産の生前贈与には別途特例制度の活用や、後述する相続時精算課税制度の利用がおすすめです。 3.「110万円贈与」が2023年度税制改正で変わったこと 2023年度税制改正(令和5年度改正)では「110万円贈与」は廃止されなかったものの、暦年贈与(いわゆる「110万円贈与」)を含む贈与税に関するルールが改正されました。 相続税の持ち戻し加算期間の延長(3年 → 7年) 相続精算課税制度に「110万円基礎控除枠」 以下で詳しく解説します。 3-1.持ち戻し期間が7年に変更 出典: “令和6年分の贈与から贈与税・相続税の計算方法が変わります”.国税庁. (参照2025-10-23) 改正ポイントの一つ目は、生前贈与加算(持ち戻し)の対象期間が「死亡前3年以内」から「死亡前7年以内」へ大幅に延長されたことです。 生前贈与加算とは、被相続人(亡くなった人)が、亡くなる前の一定期間内に行っていた贈与を相続財産として「持ち戻す」ことで相続税を計算する仕組みです。これは、2024年1月1日以降に行われた贈与について適用されます。 ただし、持ち戻し期間が延長された4年間(死亡前4~7年)の贈与財産については、その価額の総額から100万円まで相続財産に加算しないとする特例が設けられました。 3-2.相続時精算課税制度に「110万円基礎控除枠」 出典: “令和6年分の贈与から贈与税・相続税の計算方法が変わります”.国税庁. (参照2025-10-23) 改正ポイントの二つ目は、相続時精算課税制度に控除枠が創設されたことです。 相続時精算課税とは、累計2,500万円まで贈与税を非課税とし、将来の相続時にそれら贈与財産をまとめて精算(相続財産に合算し相続税を課税)する制度です。60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与が対象となります。 これが2024年以降の贈与については改正され、相続時精算課税を選択した場合でも1年間に110万円までの基礎控除が認められるようになりました。 1年間の贈与額からまず110万円を控除し、さらに残額から累計2,500万円まではこれまで通り特別控除として非課税、超過分に一律20%課税となります。 注意点として、相続時精算課税制度と暦年課税(110万円非課税枠)は併用できません。 改正で創設された相続時精算課税の110万円基礎控除は、暦年課税の110万円控除とは全く別の制度です。混同されやすいポイントですのでご注意ください。 相続時精算課税の110万円は、控除内の贈与であれば申告不要かつ相続財産への持ち戻しも不要である点が大きな特徴です。 一方、暦年課税の110万円以下の贈与は贈与税こそ非課税ですが、贈与者が亡くなった場合に持ち戻しの対象となり得ます。つまり、完全に非課税で確定する」仕組みは、相続時精算課税の110万円控除のほう「です。 どちらを選ぶかは贈与者の年齢、財産総額、受贈者の数などによって最適解が変わります。一度相続時精算課税を選択すると暦年課税には戻れないため、選択は慎重に行ってください。 4.「110万円贈与」の改正後の節税効果 税制改正により持ち戻し期間が延長されたことで、「毎年110万円ずつ贈与すれば相続税対策になる」という従来の暦年贈与の節税効果には若干の変化が生じています。 ここでは改正後の暦年贈与の効果と、向いているケースと向かないケースについて解説します。 4-1.持ち戻し期間7年でより長期的な計画が必要に 持ち戻し期間の7年ルールによって、「110万円贈与」をより長期的に行う必要性が出てきました。 贈与してから贈与者が7年以内に亡くなってしまった場合、せっかく非課税で渡した110万円分も結局は相続財産として戻されて課税されてしまいます。つまり、持ち戻し期間の延長で、これまでより4年も長い期間、贈与した財産も相続財産に加算されてしまうようになったのです。 長期計画であっても、改正後は「110万円×30年」のような超長期プランよりも、場合によっては「220万円×15年」や「330万円×10年」など短期集中型のほうが、途中で亡くなった場合に持ち戻しを受ける贈与総額を減らせる可能性があります。 したがって高齢になってからでは猶予が短くなるぶんリスクも上がる点に注意が必要です。 贈与に関して、実はあえて110万円を超えて贈与し、少額の贈与税を支払うほうがトータルの税負担が軽くなるケースがあります。 たとえば毎年310万円を贈与した場合の贈与税は年20万円です。遺産が基礎控除を超えており、相続税率が30%の方であれば、310万円を相続で渡すと93万円の相続税がかかります。 つまり、贈与税20万円を支払って310万円を移転するほうが、相続税より73万円もお得になります。相続財産が大きい方ほど、「あえて贈与税を払う」戦略の節税効果は大きくなります。 ただし、持ち戻し期間中に贈与者が亡くなると贈与財産が相続財産に加算されてしまう点を考慮した総合的な判断が必要です。 4-2.改正後「110万円贈与」がおすすめのケース 改正後も暦年贈与(110万円非課税枠)は相続対策の有力な手段ですが、特に以下のようなケースでは引き続き有効活用が考えられます。 相続開始まで十分な猶予がありそうな場合:長期間コツコツ贈与を続けるほど多額の財産を非課税で移転できます。改正後は特に「贈与者はなるべく若いうちから始める」ことが有効といわれています。 相続人以外に財産を渡したい場合:孫やひ孫、内縁の配偶者など相続人ではない人に暦年贈与する場合は、相続税持ち戻しの対象とならず非課税で渡し切ることができます。 贈与したい相手が複数いる場合:110万円の非課税枠は受贈者ごとの設定です。そのため贈与する相手の人数が多いほど移転できる非課税額も大きくなります。 相続人以外への贈与は7年ルールの影響を受けないため、孫世代やお世話になった方への生前贈与などは積極的に活用するとよいでしょう。 相続人以外(孫など)への暦年贈与は持ち戻しの対象外と説明しましたが、例外があります。遺言で孫に財産を遺贈する場合や、孫が代襲相続人となった場合は、孫への贈与であっても持ち戻しの対象です。 なお、孫への贈与には、教育資金や住宅取得資金など各種非課税特例の活用も選択肢に入ります。ただし教育資金の一括贈与の非課税措置は2026年3月末で終了していますのでご注意ください。 4-3.改正後「110万円贈与」に向かないケース 一方で、以下のようなケースでは暦年贈与(110万円贈与)の節税メリットは小さかったり、手間倒れになったりする可能性があります。 贈与者の年齢が高く余命に不安がある場合:贈与開始時点で高齢だと、7年間の生存が確保できずに生前贈与加算の対象となってしまうリスクがあります。 財産総額が相続の基礎控除内に収まる場合:相続財産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下であれば、もともと相続税は課税されません。このようなケースでは節税目的で110万円贈与を行う必要性が乏しくなります。 暦年贈与の有効性は各家庭の状況によって異なります。自分の場合はどうか判断がつかない場合、相続や税務の専門家に相談すると適切なアドバイスが得られるでしょう。 5.「110万円贈与」でよくある質問 最後に、「110万円贈与」に関して多くの方が疑問に思うポイントをQ&A形式で確認します。制度の勘違いや落とし穴を事前に無くしておきましょう。 Q 死亡年の暦年贈与も持ち戻し対象になる? A 贈与者が亡くなった年の贈与も持ち戻し加算の対象です。 今回の改正で持ち戻し期間が7年に延長されたため、死亡年の贈与もその直前7年の中に含まれることになります。 Q 「110万円贈与」の控除額は贈与する側ごとになる? A 贈与税の非課税枠はあくまで受贈者単位の制度なので、「父から110万円、母から110万円で、合計220万円まで非課税」とはなりません。1人の受贈者が同一年中にもらった財産の合計額で110万円を超えた部分に贈与税がかかる仕組みです。 Q 不動産は暦年贈与できない? A 不動産も暦年贈与は可能ですが、一般的に110万円ずつの贈与には不向きです。不動産は評価額が高額になりやすく、毎年110万円以下の持分に分割して贈与する方法もありますが、その都度専門家による登記変更など手間や費用がかかりすぎるため現実的ではありません。 不動産を相続人に生前贈与したい場合は、「配偶者控除」など他の方法や特例の活用を検討すべきでしょう。 また、令和8年度税制改正では、相続・贈与前5年以内に取得した貸付用不動産について評価方法が見直され、従来の路線価評価ではなく取得価額をベースとした評価が適用される予定です。(令和9年1月以降) 不動産を売却して資金を作る場合、まずは市場でどの程度の価格になるか知っておくことが重要です。Home4Uの不動産一括査定サービスなどを利用すれば、自宅にいながら複数の不動産会社から査定価格を取り寄せることができます。売却による資金捻出も選択肢の一つとして検討をおすすめします。 Q 相続時に兄が不動産を売却して不動産代を分割した場合、贈与税はかかる? A この場合、適切な手続きを踏めば贈与税は基本的にかかりません。 遺産分割協議において「不動産は一旦代表相続人(兄)が相続し、売却して得た代金を兄弟で分配する」という換価分割の方法をとることがあります。こうした場合、遺産分割協議書に「換価分割のため便宜上〇〇が不動産を取得する」と明記され、速やかに売却・代金分配が行われれば贈与税は課税されません。遺産分割協議書を作成したらできるだけ早めに不動産を売却し、代金を分配まで完了させましょう。 相続した土地を妹と折半したいが、贈与税はかかるの? 相続がすでに完了している場合は、自分の財産を渡すことになるので、基礎 まとめ 「110万円贈与(暦年課税による年間110万円までの非課税贈与)」のポイントを振り返ります。 110万円の非課税枠は2025年10月現在、廃止されていません。2024年度の税制改正で暦年贈与そのものが無くなることはなく、引き続き毎年110万円までの贈与なら贈与税はかかりません。 2023年度税制改正で相続開始前7年以内の贈与が相続税に加算されるようになり、延長された4年分の贈与について合計100万円の加算免除枠が設けられました。また相続時精算課税制度にも年間110万円の非課税枠が創設され、贈与税・相続税計算において考慮されるようになりました。 改正によって暦年贈与の制度は一部変わりましたが、「毎年110万円ずつ非課税で贈与できる」という枠組み自体は健在です。相続税対策のみならず、子や孫への生前贈与を通じて早めに財産を渡して役立ててもらうという観点でも有意義な制度です。 今後の税制変更の動向にも注意しながら、計画的に資産承継を進めましょう。 暦年贈与の110万円基礎控除は引き続き利用できますが、2023年度税制改正により生前贈与加算の対象期間は段階的に延長されています。また、教育資金の一括贈与の非課税措置は2026年3月31日までとされており、貸付用不動産の評価見直しについても令和8年度税制改正大綱で方向性が示されています。贈与・相続をめぐる制度環境は変化しているため、最新情報の確認が重要です。 「昔のやり方のまま」で続けていると、想定した節税効果が得られないケースが増えてきました。特に重要なのは、暦年課税と相続時精算課税のどちらが自分に有利かを、財産総額・家族構成・贈与者の年齢をもとに定期的に見直すことです。制度は毎年の税制改正で変わりうるため、少なくとも年に一度は税理士など専門家と一緒に計画を点検してみてください。 この記事の監修者 柴田 充輝 FP1級技能士、社会保険労務士、行政書士、宅建士。 厚生労働省や保険業界、不動産業界での勤務を通じ、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に1,000記事以上を執筆。 あなたの 不動産 いくらで売れる? STEP1 都道府県 東京都 神奈川県 埼玉県 千葉県 群馬県 栃木県 茨城県 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 新潟県 山梨県 長野県 富山県 石川県 福井県 愛知県 静岡県 岐阜県 三重県 大阪府 兵庫県 滋賀県 京都府 奈良県 和歌山県 岡山県 広島県 鳥取県 島根県 山口県 香川県 愛媛県 高知県 徳島県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県 STEP2 市区町村 都道府県が選択されていません。 市区町村が選択されていません。 ご指定いただいたエリアへのお問合せは、現在取り扱っておりません。 無料一括査定スタート 人気の記事 1 【初めての家の売却】基本の流れ7ステップ|相場の下調べから確定申告まで 2 住宅ローン控除を受けるには?住宅購入時の確定申告のやり方 3 土地売却時の税金はいつ払う?納税スケジュールと節税方法を解説 4 接道義務とは?知っておくべき道路と敷地のルールと売買時の注意点 5 不動産の減価償却の計算方法は?事業用と居住用での違いを解説 6 借地権とは?種類や特徴、メリット・デメリットをわかりやすく紹介 7 自宅の売却で使える「3,000万円控除」とは?必要書類や要件を解説 8 家を売る完全ガイド!不動産売却の注意点と初めにやるべき準備 【簡単60秒入力】不動産一括査定依頼 【まずはLINEで】売却プラン無料診断