更新日:2024.04.11 不動産売却の授業, 土地売却ガイド, 相続・贈与 兄弟争い勃発!土地を相続した時に上手に分ける5つの方法 親が亡くなった時、土地を相続すると兄弟間で揉めることがあります。 なぜかというと、土地を相続すると、相続人が兄弟の場合、相続財産は兄弟の共有状態で引き継ぎます。 共有の持分割合は、法定相続割合となります。 例えば3人兄弟で土地を相続した場合には、3分の1ずつの共有持分割合で土地を共有しています。これは放っておくと、2次相続、3次相続により共有者が雪だるま式に増えてしまいます。 多人数の共有土地とならないようにするためには、相続後、兄弟間で話し合い、誰かの単独所有にするか、または処分(売却)する必要がありますが、共有物を処分売却する場合には、共有者全員の同意が必要となります。 兄弟が遠方に住んでいたり、関わりが希薄な場合、こうした話し合いがうまくいかず、揉める原因となるようです。 揉めないようにするには、自分だけ良ければいいという考えを捨て、兄弟間で譲り合って遺産を分割することが何よりも大切です。 そこでこの記事では、土地を相続したときに兄弟で分割する方法と分割の注意点について、また、兄弟間で揉めてしまう原因はどこにあるのかについても紹介します。 最後までお読みいただき、兄弟で土地を相続した際の対処法として参考にしていただけると幸いです。 売却も考えている方は『土地売却の流れを7ステップで解説』も合わせてご覧ください。 「土地を売りたい」と悩んでいる方へ 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格(※)”を見つけましょう※依頼する6社の中での最高価格 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます 完全無料一括査定依頼をスタート この記事の監修者 秋山 芳生 家計簿アプリマネーフォワードMEの元事業責任者。 複数のベンチャー企業での上場経験を通じて資産構築をしFIREを達成。現在はFPとして講演・執筆・面談を行う傍らYouTube(チャンネル登録2万人以上)で情報発信するなどマルチに活動をしている。 あなたのよしおさんFP相談室 Contents1.土地の相続で兄弟が揉める理由2.相続で土地が共有のままだとダメな理由3.相続した土地を兄弟で分ける5つの方法4.土地を売却して分割する際の注意点5.土地を分筆して分割する際の注意点まとめこの記事のポイント まとめ 1.土地の相続で兄弟が揉める理由 最初に、土地の相続でなぜ兄弟間で揉めてしまうのか、主な理由を紹介します。理由を理解した上で、解決方法を探してみましょう。 遺言書や金銭的な問題、寄与分など、兄弟で揉める原因を紹介しますので、円滑な土地相続に役立ててください。 1-1.遺言書がない 遺言書がない場合は、兄弟間で揉める原因となります。 遺言書とは、生前に被相続人(他界した人)が遺産の分割の仕方などを書き記した書類です。 遺言書は、資産家だけが書くものと思われがちですが、資産家だけに有効なものではありません。 相続は誰にでも発生しますので、被相続人が財産の分割方法を決めておくことは資産家以外の人でも十分に意味があります。 財産の分け方が記載されている遺言書がある場合には、原則としてその遺言に従うことになります。 遺言書がない場合には、相続人が自分たちで分割方法を話し合い、分割します。相続人による分割の話し合いを「遺産分割協議」と言います。 つまり、被相続人の生前に遺産を分ける方法が遺言で、被相続人が他界した後に遺産を分ける方法が遺産分割協議になります。 遺言書があれば、兄弟間で主張をぶつけ合うことは少なくなり、揉めなくて済むのです。 尚、遺言の内容も遺産分割協議によって変更することは可能です。 あまりに不合理な遺言の内容であれば、相続人同士で話合い、遺産分割協議によって自分たちで合理的な分け方をすることはできます。 ただし、遺産分割協議が成立するには相続人の全員の合意が必要です。遺産分割協議が成立しなければ遺言書通りとなるため、遺言書の存在はとても大きいのです。 まだ相続前という人であれば、ぜひ、親に遺言書を残してもらいましょう。 1-2.現金が少なく、不動産の占める割合が多い 兄弟間で揉める原因としては、相続財産の中で不動産の占める割合が多いということも理由の一つです。 自宅とわずかな貯金だけを残して他界する人は、相続財産の中で不動産の占める割合が高くなっています。 相続財産には、不動産や現金がありますが、現金は兄弟間で分けやすいため揉めることがほとんどありません。 一方で、不動産は売却しない限り、等分に分けにくい存在であるため、揉める原因となります。 例えば、相続財産が、被相続人の家が3,000万円、被相続人の貯金が400万円だけだったとします。 兄弟で、兄は被相続人の家に住んでおり、弟は実家を出て離れて住んでいるようなケースがあります。 この際、兄が自宅を相続して、弟が現金を相続するとした場合、兄は3,000万円相続したのに対し、弟は400万円しか相続できず、不公平が生じます。 本体は、兄も弟も1,700万円(3,400万円÷2人)ずつ遺産を受け継ぐ権利がありますが、分けにくい不動産が存在することで、兄弟間の金額に大きな不公平を生んでしまうのです。 土地も不動産ですので、分けにくい財産の一つです。 兄弟のどちらかに寄せてしまうと、どうしても金額に不公平が発生してしまうことは理解しておく必要があります。 1-3.生前の想定よりも現金が減っていた 相続時に、相続財産の中から思いのほか現金が減っていたというのも揉める原因です。 これは相続の準備をしっかりとしていた兄弟でも起こりうることですので、注意が必要です。 賢い兄弟は、親が他界する数年前から、相続の分け方を話し合っておく人たちもいます。 これは非常に良いことですし、むしろ積極的にやるべきです。 親が他界する3年前の資産の状況は、不動産が3,000万円、現金が1,000万円あったとします。 資産の割合としては不動産の方が多いです。それでも兄が3,000万円の不動産を相続し、弟が1,000万円の現金を相続することで納得していたとします。 ところが、被相続人が他界する前に病気にかかり、医療費や介護費用等が多く発生してしまう場合は注意してください。 その結果、ふたを開けてみたら相続人の財産が、不動産が3,000万円、現金が50万円しかなかったようなケースも生じます。 すると、現金を1,000万円もらえると思っていた弟も、50万円しかもらえないため、「これでは話が違う」ということになります。 1,000万円もらえるから、兄が3,000万円の不動産をもらっても納得していましたが、50万円なら納得しないということになり、揉めるのです。 このように現金は一瞬にしてなくなりやすいため、せっかく相続前に分割の準備をしていても、財産状況が変わってしまうことがあります。 被相続人が生前中に相続の準備をする場合には、現金は他界時に減っている可能性もあるということを理解しておく必要があります。 1-4.寄与分を主張する 相続で揉める原因に、どちらか一方が寄与分を主張し始めることがあります。 寄与分とは、被相続人の生前に、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした相続人がいる場合、他の相続人との間の不公平を是正するために設けられている制度です。 良くある例として、兄が親の近くに住んでおり、「最後の親の介護は自分が行いとても苦労した。お前は何もしなかったからのだから、私の方が多くの財産をもらって当然だ!」というような主張をするケースです。 どちらか一方が寄与分を主張し始めると、話がまとまらず、揉める原因となります。 原則として、寄与分を認めるかどうかは、遺産分割協議の中で兄弟間の話し合いで決めることができます。 弟が、「兄さんには最後苦労かけたから、この土地は兄さんに譲るよ」となり、話がまとまることもあります。 もし、話がまとまらない場合には、家庭裁判所で調停を行うことになります。 ただし、調停となると、寄与分の主張は普通の介護程度では認められることはありません。 基本的には子供が親の介護をするのは当然のことという発想がベースにあるため、兄弟間で明らかに差があったとしても、家庭裁判所で介護の寄与分が認められるケースは少ないのです。 普通の介護程度では寄与分は認められないということを理解しておく必要があります。 1-5.特別受益を主張する 相続で揉める原因に、どちらか一方が特別受益を主張し始めるということもあります。 特別受益とは、被相続人から生前に贈与等を受け、特別に受けた利益のことをいいます。 民法上、特別受益の対象となるのは以下の3つとなります。 遺贈(遺言によって遺産を無償で相続人に譲渡すること) 結婚または養子縁組のための贈与 生計の資本として受けた贈与 特別受益がある場合には、特別受益を考慮した財産の分け方が認められています。 特別受益はどこまで認められるかはケースバイケースです。 例えば、弟は公立高校から地元の国立大学に進み、兄が私立高校から東京の私立大学に進んだ場合、「兄さんだけ東京の私立に行かせてもらったから、財産は少なくて良いはずだ!」などと主張し始めると揉めることがあります。 高等教育を受けるための学費は特別受益となりますが、被相続人の家庭の通常の教育の範囲内なら特別受益にあたりません。 また他の共同相続人も同様の教育環境の場合は当然特別受益には該当しないことになります。 特別受益は、原則として明確なもの以外認められにくいですが、個人的な私情を主張し始めると揉める原因となります。 相続のことで揉め始めると、子供の頃のおやつの分け方まで話を持ち出す人もいるくらいです。 個人的なわだかまりは特別受益として認められないということを理解しておきましょう。 いずれにしても、兄弟間で揉めないようにするには、自分だけ良ければいいという考えを捨てることが重要になります。 相続時に起こるその他のトラブルのケースは以下の記事で詳しく解説しています。 土地の相続において、子ども同士で揉めないよう、遺言書が重要になります。 遺言書がないと分割方法が不明確になり、遺恨がのこることもあります。また相続財産の不動産割合が多い場合、等分が難しくなり、公平な取り分を巡って対立が生じるケースもあるでしょう。 兄弟が寄与分や特別受益の主張をする場合もあるので、兄弟間でのコミュニケーションや公平な取り決めが重要ですね。遺言書にも、付言事項として「兄弟で争わないよう」など親としての思いを書いておくのも良いでしょう。 遺産分割、協議の流れと4つの方法とは? 家族が亡くなると相続が発生します。その場合は、相続が発生した日の翌日 【土地の個人売買】リスクやトラブルを回避し安全に取引するには? 土地の取引は高額なことから、仲介を通さない個人間での売買は、買主も売主 2.相続で土地が共有のままだとダメな理由 共有で持っている土地は、共有者全員の同意がないと売却できないというルールになっています。 例えば、3人兄弟で1つの土地を相続した場合、2人が売却に賛成したとしても、1人が売却に反対したら土地を売ることはできません。 相続物件は、共有のまま放置すると、2次相続、3次相続となり共有者が雪だるま式に増え続けます。 多人数の共有物件となってしまうと、共有者全員の同意を得ることが困難となり、売却しにくい膠着した財産となってしまいます。 土地を相続したら、基本的には誰かの単独所有とするか、または売却するのが望ましい対応となります。 何人かで共有で持っている土地は、共有者全員の同意がないと売却できないルールがありますが、共有不動産で共有者が亡くなるとその相続人が持分を相続するため、これが繰り返されると、共有者が多数かつ関係の薄い者同士となり、共有不動産の処分が困難になることが懸念されますね。 また分筆で現物分割できない規模の土地を相続したら単独所有か、売却するのが望ましいですね。 3.相続した土地を兄弟で分ける5つの方法 共有の土地を分ける方法としては、 遺産分割協議 相続放棄 代償分割 換価分割 分筆による現物分割 の5つの方法があります。 この章ではそれぞれの方法について詳しくご紹介します。 3-1.遺産分割協議 遺産分割協議とは、相続人同士で遺産の分割方法を決める話合いのことを指します。 最終的には、合意した内容を遺産分割協議書と呼ばれる書面にまとめます。 相続財産は、法定相続割合でピッタリ分けられないことがほとんどです。そのため、遺産分割協議によって、法定相続割合と異なる割合で分割を行います。 法定相続分と異なる割合で分割する方法には、「遺言」と「遺産分割協議」の2種類があります。 【遺言と遺産分割協議の違い】 遺言 被相続人(亡くなられた方)の生前に遺産を分ける 遺産分割協議 被相続人が他界した後に遺産を分ける 遺言がない場合、もしくは遺言の内容が不服の場合には、遺産分割協議を行って遺産を分割します。 遺産分割協議については、特に行わなければいけないという義務はありません。 また、期限もなく、いつ行っても良いというのが特徴です。 ただし、相続税を納める人は、相続税の納税期限が相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内であることから、納税義務のある人は遺産分割協議を10ヶ月以内に終わらせることが望ましいです。 また、遺産分割協議では、誰がどの遺産をどの程度相続するかの内容を、遺産分割協議書にまとめます。 遺産分割協議書は、被相続人の銀行口座から相続人の口座に払い戻しを行う場合や、土地相続の名義変更を行う場合に使用する正式な書類となります。 そのため、遺産分割協議書は、、司法書士や行政書士等の専門家に作成を依頼します。 遺産分割協議書の作成費用は、遺産総額の0.5%~1%が目安です。 また、作成にあたっては、相続人全員の実印と署名も必要となります。 遺産分割・協議の流れや注意点については、こちらの記事で詳しく解説していますのでご参照ください。 遺産分割、協議の流れと4つの方法とは? 家族が亡くなると相続が発生します。その場合は、相続が発生した日の翌日 また、土地の相続税評価額については、以下の記事で詳しく解説しています。 不動産の相続で知っておきたい!売却の注意点とお得な税金特例 戸建やマンションといった不動産を売却するきっかけの一つに相続があります 3-2.相続放棄 相続放棄によって遺産分割を行うという方法も実際にはよく行われます。 相続放棄とは、相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない相続方法のことです。 本来、相続放棄は、被相続人の財産が明らかに負債の方が大きい場合に行います。 親が大借金を抱えたまま他界した場合には、相続放棄をすると相続人は一切の債務を免れることができるため、大変効果があります。 ただし、実際には親がプラスの財産を残していても、兄弟間で誰かに資産を寄せるために相続放棄が使われることも多いです。 例えば、親の相続財産が、3,000万円の自宅と50万円の現金だけであり、姉は結婚して遠方で生活基盤があり、弟が親の実家にずっと住んでいるようなケースがあります。 姉は夫の収入で十分な暮らしをしており、特に親からの遺産を引き継ぐ必要性もないと感じています。 また弟が実家に住んでいるのでいるため、弟にその家を引き継いでもらった方が合理的と考えています。 このようなケースでは、姉が相続放棄を行い、弟に全て財産を寄せることで遺産分割を行うことが行われます。姉の相続放棄によって、不動産が弟の単独所有となり、共有状態が解消できるのです。 相続放棄のメリットは、「手続きが簡便」、「費用が安い」という2点です。 相続放棄は家庭裁判所に「相続放棄の申述書」を提出するだけで行うことができます。 相続人1人が単独で行うことができるため、遺産分割協議のように兄弟が何度も話し合う必要もありません。 また、費用も3,000円弱程度で可能であるため、遺産分割協議書を作成するよりもはるかに安いです。 相続放棄に必要な費用 相続放棄の申述書に添付する印紙代 800円 被相続人の戸籍謄本 450円 被相続人の除籍謄本・改製原戸籍謄本 750円 被相続人の住民票 300円(市区町村によって異なる) 申述人の戸籍謄本 450円 家の考え方によっては、下手に財産を分散させてしまうよりも、1人に集中させた方が良いという判断もあり得ます。 相続財産を無理に分割する必要がない場合には、相続放棄によって、兄弟の誰かに資産を寄せてしまう方法も効果的です。 尚、相続放棄は、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行わなければならないという制限があります。 相続放棄によって共有状態を解消したい場合には、早めに対応するようにしてください。 3-3.代償分割 代償分割も相続財産の分割方法の一つです。 代償分割とは、一部の相続人が財産を多く相続したことで不公平が生じた場合、その相続人が他の相続人にお金を支払うことで調整する方法です。 例えば、相続人が兄弟2人で、親の相続財産が、3,000万円の土地と1,000万円の現金というケースを考えます。 この場合、兄弟2人は2,000万円ずつの財産をもらえる権利があります。 ただ、兄が3,000万円の土地をもらい、弟が1,000万円の現金をもらうという分け方をすると、公平に分けられません。 そこで、3,000万円の土地をもらった兄が、弟に対して自分の貯金から1,000万円を代償金として渡すという方法をとります。 こうすることで、兄は実質的に2,000万円(=3,000万円‐1,000万円)の資産を引き継いだことになり、弟も合計で2,000万円を手にすることができるため、平等な相続が可能です。 ただし、代償分割を実行しようとすると、お金を渡す方の相続人に相当の現金がないと実行することはできません。 理屈の上では、公平な分割ですが、現実的には選択しにくい分割方法となっています。 3-4.換価分割 換価分割とは、遺産を売却して得た現金を相続人同士で分ける方法です。 不要な土地を相続した場合には、換価分割が一番現実的な分割方法となります。 自宅のような不動産の場合、相続人のうち誰かが住むということがあります。 相続人が引き続き必要とする不動産の場合、売却という選択ができないため、換価分割ができません。 しかしながら、特に相続人が利用する予定の無い土地であれば、売却して換価分割することが最も公平に分割できる方法になります。 不要な土地であれば、共有のまま売却し、現金を相続人同士で分ける方法がスムーズです。 換価分割の具体的な注意点については、「第4章 土地を売却して分割する際の注意点」でご紹介します。 3-5.分筆による現物分割 分筆(ブンピツ)による現物分割とは、土地そのものを物理的に分ける方法です。 分筆とは、土地を切ることをいいます。 例えば、都心部の良い場所にある広い土地であれば、売るのはもったいないという判断もあるでしょう。 100坪程度の広い土地であれば、2人兄弟で分筆しても50坪程度です。50坪あれば、住宅用の土地としても、駐車場としても十分に利用価値があります。 このように、分筆して半分に切れば、相続人のそれぞれが土地を利用することが可能です。 半分にして、それぞれ単独所有にしておけば、例えば兄はその土地に自宅を建て、弟はその土地を売却するというような選択もできます。 現物分割では、それぞれが土地を自由に使えるというメリットがあります。 ただし、現物分割を選択する場合には、その土地が十分に広い面積があることが必要です。 40坪の土地であれば、半分に切ってしまうと、20坪となってしまい、狭すぎて使い道が無くなります。 小さく切ってしまうと、逆に価値を落としてしまうため、狭い土地は現物分割に不向きです。 一戸建ての敷地は、40~60坪程度ですので、2人兄弟で現物分割を選択する場合は少なくとも80坪以上の広さが必要となります。 現物分割は、切った後、利用価値がある、または売却もできるような広い土地で行うようにしましょう。 現物分割の具体的な注意点については「第5章 土地を分筆して分割する際の注意点」でご紹介します。 兄弟間で、もめ事が発生しそう!?泥沼化する前に今すぐ相談 第三者に公平な視点でアドバイスをしてもらいたいといった場合には、どこに相談すればよいのでしょうか? すでに揉め事に発展してしまった場合には、弁護士に依頼をするのが一般的ですが、 問題を悪化させないために、事前にできることとして、 相続税が発生するのであれば、税金の問題も絡むため、相続を得意とする税理士 相続税が発生しないのであれば、不動産の名義変更を行う司法書士 に第三者的な視点でアドバイスを依頼するのがよいでしょう。 どこに相談するか迷っている方は、豊富な実績の「相続税専門」税理士法人チェスターにご相談ください。 相続を専門的に取り扱うチェスターグループであれば、税理士も司法書士も在籍しています。 電話で相談する(0120-195-350) 「相続税専門」税理士法人チェスター 公式サイトで、さらに詳しい情報をご覧いただけます。 ※外部サービス(税理士法人チェスター)のサイト・電話につながります。 ※お電話での個別の税務相談は承っておりません。 共有の土地を分ける方法はいくつかあります。相続人同士で分割方法を決めて書面にまとめる遺産分割協議で決めたり、相続放棄を上手く用いて兄弟の誰かに資産を寄せるといったことが多いですね。 他にも代償金を渡したり、土地を売却して得た現金を分けたり、土地を物理的に分けるなど、やり方は様々。それぞれの特性を理解して、状況に一番適した方法を取りましょう。 4.土地を売却して分割する際の注意点 兄弟間の土地相続で揉めないために、土地の売却について詳しく知ることが大切です。この章では、土地を売却して分割する際の注意点についてご紹介します。 4-1.最低売却価格を決めておく 換価分割は共有状態で売却することになります。 共有状態で注意をしなければならないのは、売却価格に対する判断が分かれてしまうという点です。 例えば、兄は3,000.万円くらいで売れれば十分だと思っているのに、弟は3,500万円じゃないと納得しないという場合があります。 共有物件の売却では、共有者全員の同意がないと売却できないため、価格に対する意思統一はとても重要な問題です。 そのため、共有の土地を売却する場合には、「いくら以上の買主が現れたら売る」という最低売却価格をあらかじめ兄弟間で決めておくことがポイントです。 最低売却価格を決めるには、複数の不動産会社に査定を依頼し、土地価格を兄弟で冷静に眺めることが必要となります。 6社くらいに査定を依頼すると、4社くらいが3,000万円から3,100万円あたりに集中し、残りの2社か3,500万円前後となるようなことがあります。 この場合、兄弟で3,000万円以上の価格が出たら売却しようとあらかじめ決めておきます。 もちろん、3,500万円くらいの買主は現れるかもしれませんが、なかなか現れない可能性もあります。 2人で3,500万円を目指してしまうと、土地が売れず、「なんだ、あの時の3,200万円の買主で手を打っておけば良かった」というような後悔をすることがあるのです。 共有物の売却では、共有者の意思決定をスムーズにするためにも、最低売却価格を決めておくことが重要です。 できるだけ高く売りたいのであれば複数の不動産会社に査定を依頼するのであれば、NTTデータグループが運営する「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」を利用しましょう。 「不動産売却 HOME4U」の一括査定サービスでは、お持ちの土地のエリアや広さなど、簡単な情報を入力するだけで、不動産会社が自動で抽出される仕組みとなっています。 そのため、初めて土地売却を行う方でも、適切な不動産会社に売却を依頼することができます。 ●「不動産売却 HOME4U」をおすすめする5つのポイント 一度の申込で最大6社の不動産会社に査定依頼が可能 大手から地元密着の不動産会社まで全国2,300社の不動産会社が参画 選んだ企業以外から連絡は来ないので安心して査定依頼することができます NTTデータグループが運営しているからセキュリティもバッチリ 遠方の不動産でも自宅に居ながら査定依頼ができる 不動産会社選びで失敗しないためにも、ぜひ「不動産売却 HOME4U」をご活用ください。 【無料】一括査定依頼スタート 4-2.窓口役の謝礼も考慮する 共有物件の売却では、不動産会社や司法書士、測量会社等々の外部の関係者との窓口役を1人決めておくことが基本です。 外部の関係者が「いったい誰に聞けばいいのか分からない」とならないよう、窓口を一本化するとスムーズに売却できます。 ところが、この窓口役は、会社を休んだり、買い主や他の兄弟との調整を行ったりなど、かなり苦労をすることがあります。 せっかく兄弟のために尽力してくれているので、窓口役には何らかの謝礼を考慮することも揉めずに売却できるポイントです。 謝礼はお金でも良いですし、食事でも構いません。 最初に、「売却が無事終わったら、兄さんの好きな鰻をごちそうするよ」と宣言しておくだけでも、随分と気が楽になるはずです。 誰かに押し付けて、文句だけ言うのが避けるようにしましょう。 4-3.譲渡所得が発生した場合は税金を支払う 相続した土地を売却した場合、税金が発生する可能性があります。 税金が発生すれば、換価分割は、税引後の手残りを分割することになるため、注意が必要です。 土地を売却した際、以下の式で計算される譲渡所得がプラスとなる場合、税金が発生します。 譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 譲渡価額とは売却額です。 譲渡費用は仲介手数料等の売却に要した費用です。 取得費は土地の購入価額になります。 購入額が分からない場合は、概算取得費と呼ばれる譲渡価額の5%が取得費になります。 相続した土地は取得費が分からないケースが多く、概算取得費を用いる場合が多いです。 税率は土地の所有期間によって決まります。所有期間が5年超の場合、土地の譲渡所得は長期譲渡所得、所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得と分類されます。 所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率 短期譲渡所得 5年以下 30% 9% 長期譲渡所得 5年超 15% 5% 相続の場合、所有期間に関しては、親の所有期間を引き継ぎます。親が既に5年以上保有していれば、長期譲渡所得の税率が適用されます。 長期譲渡所得で概算取得費を用いる場合には、ざっくり言うと税金は約2割発生すると理解しておきましょう。 土地相続で揉めないために、可能であればあらかじめ相続人同士で共有物件の最低売却金額を決定できていると良いですね。また売却時は、不動産会社などの外部の関係者との窓口役を1人決めておくとスムーズです。その際は窓口役への謝礼を忘れないようにしましょう。 加えて相続した土地を売却した場合、2割ほどの税金を納めなければならないので注意が必要です。 土地・不動産を売却する際にかかる税金や適用できる特例については、こちらの記事で解説しています。 不動産の相続で知っておきたい!売却の注意点とお得な税金特例 戸建やマンションといった不動産を売却するきっかけの一つに相続があります 5.土地を分筆して分割する際の注意点 兄弟間で土地を相続する際に、土地そのものを分割する「現物分割」することもあるでしょう。土地を分筆する際に必要な条件や、接道義務、切り方における注意点をご紹介します。 5-1.分筆には境界確定が条件となる 土地を分筆するには、その土地の境界が全て確定していることが条件となります。 土地の境界には2つの種類があります。 【土地の境界の種類】 民々境界(みんみんきょうかい)→隣地の土地との境界 官民境界(かんみんきょうかい)→公道との境界 分筆を行う際には、民々境界も官民境界も、両方の境界確定が必須です。 官民境界が確定していない場合、境界確定には時間がかかります。また、官民境界を確定するには、道路と正対する側の所有者の同意も得る必要があります。 道路と正対する側の所有者の数が多い場合には、その分、時間もコストもかかります。 境界確定は、隣地所有者の数や、道路と正対する側の所有者の数等の条件にもよりますが、場合によっては100万円近く費用が必要です。また、所有者か多いと、時間も半年以上かかることもあります。 境界が確定していない場合、ということを理解しておきましょう。分筆にはコストも時間もかかるということを理解しておきましょう。 「確定測量」とは?費用と流れ、失敗しないための注意点を紹介 確定測量とは、土地の境界線を確定させるための測量です。 土地、もしくは 5-2.接道義務を満たす 土地には、原則、幅員が4m以上の道路に間口が2m以上接していないと建物を建てることができないというルールがあります(都市計画区域及び準都市計画区域内に限る)。このルールを「接道義務」と呼びます。 土地を分筆する場合には、接道義務を意識して切ることが重要です。 例えば、上図のように土地を切ってしまうと、A地は接道義務を満たさなくなってしまいます。 A地のような土地を無道路地と呼びます。 無道路地は、建物を建てることができない土地となってしまうため、利用価値や価格を大きく下がります。 分筆によって無道路地を生み出さないようにすることに注意が必要です。 接道義務とは?知っておくべき道路と敷地のルールと売買時の注意点 不動産売買や相続で手に入れた土地は、接道義務を満たしているか確認する 5-3.切り方によって価値は異なる 土地は切り方によって、価値の異なる土地を生み出してしまう可能性があるため、注意が必要です。 例えば、下図の左側のAとBのような切り方をした場合、形の悪いA地は価値を落としてしまいます。 また、間口が狭く、奥行きが広いような土地の場合、下図の右側のCとDのように切ってしまうと、さらに間口が狭くなり、使い勝手が悪くなります。 土地を分筆する場合には、間口が十分に広い土地の方が、分割はしやすいです。 分筆は、しやすい土地としにくい土地もあり、分筆しにくい土地を無理に分けてしまうと、余計に価値を落としてしまう原因となります。 分筆しにくい土地の場合には、売却による換価分割も併せて検討することが重要です。 分筆せずに売却した方が価格は高くなる可能性もありますので、分筆による分割は十分に検討した上で実行するようにしましょう。 分筆の際には、隣地の土地との境界と公道との境界の確定が必須となります。境界の確定には時間とコストがかかる可能性があることを念頭にいれておきましょう。 また接道義務というルールがあり、土地が道路に面していないと建物を建てられません。無道路地は価格が大きく下がってしまいますから注意が必要です。 なお、土地の切り方を工夫して無道路地を回避するよりも、分筆せずに売却した方が価格が高い場合もあるので、十分に検討しましょう。 相続した土地に新たな家を建てたい方におすすめ 「HOME4U(ホームフォーユー)家づくりのとびら」 相続した土地に新たに家を建てることを決めている方は、「HOME4U(ホームフォーユー)家づくりのとびら」のご利用をおすすめします。 お家づくりのプロに無料で相談できる「HOME4U家づくりのとびら」では、専門アドバイザーが予算や要望をヒアリングした上で、あなたにぴったりなハウスメーカーを紹介してくれるので、理想のマイホームへの近道になります。 自分だけで家づくりに関する情報を調べるには、たくさんの時間や労力を費やすため、プロの力を借りるのは非常に効率的といえます。 「HOME4U家づくりのとびら」の専門アドバイザーは、全員ハウスメーカー出身。過去にプラン提案の豊富な実績があるので、プロならではの視点でアドバイスがもらえます。もちろん、家づくりに関する予算の立て方や節税のコツ、土地の相場価格も教えてくれますよ。 ご相談はスマートフォンやパソコンのテレビ通話サービスを使った、オンライン形式で行えます。小さいお子様がいるご家庭や、忙しい方、コロナ禍で外出が難しい場合にもお家でご利用いただけるので安心。 ご利用は完全無料なので、ぜひお気軽にご活用ください。 「家づくりのとびら」相談サービスを詳しく見る まとめ 兄弟で土地を相続したときに、揉める理由や対処法についてご紹介しました。 土地の相続で兄弟が揉める原因は、 遺言書がない 不動産が多い 現金が減っていた 寄与分を主張する 特別受益を主張する などの理由が考えられます。 兄弟間では、自分だけ良ければいいという考えを捨て、譲り合って遺産を分割するようにしてください。 土地は共有のままだと、将来、売却が難しくなるという可能性があるため、単独所有とする、または売却することが理想的です。 土地を分ける方法には、 遺産分割協議 相続放棄 代償分割 換価分割 分筆による現物分割 の5つがあります。 売却で換価分割する場合は、最低売却価格や窓口役への謝礼を検討しておくとスムーズです。売却による税金も発生する可能性があるので、分割では税金も考慮に入れるようにしてください。 また、分筆による現物分割をする場合は、境界が確定していることが必要になります。土地の切り方によって価値が変わってしまう可能性があるため、切り方は十分に考慮した上で行うようにしてください。 土地を相続したら、兄弟でよく話し合って分割方法を決めるようにしましょう。 土地の相続では、現金と比べて分割しにくいため、揉めることが多いものです。自分本位に進めては上手くいきません。また、土地の相続は共有のままだと、将来売却が困難となるケースがあるため、分筆による分割ができない規模の場合は単独所有か売却が理想です。 土地を分割して相続する場合、分割の仕方によっては価値が大きく下がってしまったり、建物を建てることができないような土地になってしまいます。このようなことにならないためにも、兄弟でよく話し合って分割方法を決めるのが望ましいですね。 以下に当てはまる方は、 「相続税専門」の税理士に 相談することをオススメいたします! 遺産総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えている 「相続税についてのお知らせ」「相続税の申告等についてのご案内」が税務署から届いた まだ確実ではないが、相続税がかかる可能性がある方 「相続税専門」税理士法人チェスターでは、 相続税の申告を専門とする税理士が、お客様のニーズに応じた相続税申告をお手伝いします。 豊富な相続税申告実績累計4000件以上 登録税理士一人当たりの年間担当件数が約30件弱。税理士業界の中でトップクラスの実績です。 相続税申告報酬・費用は業界最低水準 安心で低価格の相続税申告報酬を設定。事前説明のない報酬は一切ありません。 全ての相続手続きにワンストップ対応 遺産相続手続き(遺産の調査・把握・分配や税務申告など)は、専門的な知識と多くの時間を要する作業。チェスターグループ内に在籍する司法書士と税理士が面倒で複雑な遺産整理手続きを全面的にサポートします。 初回面談相談は無料、土曜・夜間の相談も対応 面談では、遺産の概要や評価額、お困りの点についてお伺いし、今後の対応策や進め方に関してご提案。相続税申告報酬のお見積りをご提示します。 電話で相談する(0120-195-350) 「相続税専門」税理士法人チェスター 公式サイトからもお問い合わせいただけます。 ※外部サービス(税理士法人チェスター)のサイト・電話につながります。 ※お電話での個別の税務相談は承っておりません。 土地を手放さずに活用を検討したい方はこちら! 【完全無料】土地活用プラン診断を行う この記事のポイント まとめ 土地の相続で兄弟が揉める理由は? 土地の相続で兄弟が揉める理由は以下の通りです。 遺言書がない 現金が少なく、不動産の占める割合が多い 生前の想定よりも現金が減っていた 寄与分を主張する 特別受益を主張する それぞれの理由の詳細は、「1. 土地の相続で兄弟が揉める理由」をご一読ください。 相続した土地を兄弟で分ける方法は? 相続した土地を兄弟で分ける方法は以下の5つです。 遺産分割協議を行う 相続放棄を行う 代償分割を行う 等価分割を行う 分筆による現物分割を行う 兄弟で揉めずに土地を分けるポイントを知りたい方は、「3.相続した土地を兄弟で分ける5つの方法」をご一読ください。 土地を売却して分割する際の注意点は? 土地を売却し、現金を分けることで遺産相続を平等に行うことができます。売却して、遺産分割する際の注意点は以下の通りです。 最低売却価格を決めておく 窓口役の謝礼も考慮する 譲渡所得が発生した場合は税金を支払う 譲渡所得の計算方法や注意点をもっと詳しく知りたい方は、「4.土地を売却して分割する際の注意点」をご覧ください。