相続した土地の評価額を自分で計算する方法は?わかりやすく解説

相続した土地の評価額を自分で計算する方法は?わかりやすく解説

土地を相続するうえで覚えておくと役立つのが評価額の計算方法です。

本記事では路線価方式・倍率方式の計算方法などを、シミュレーションを使ってわかりやすく解説します。相続税の計算方法についても併せて確認しておきましょう。

なお、土地売却の流れや費用・税金については「土地売却の流れを7ステップで解説|費用や税金、高く売るコツ」をご覧ください。

また、土地を相続した際、兄弟と揉めずに分ける方法については「兄弟争い勃発!土地を相続した時に上手に分ける5つの方法」で解説しています。

この記事を読むとわかること
  • 路線価方式を用いた評価額を調べる方法
  • 路線価がないエリアの評価額
  • 倍率方式を用いた評価額を調べる方法
  • 相続税評価額の計算方法
  • 相続税評価額を抑える方法
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1.路線価方式で相続した土地の評価額を調べる方法

1.路線価方式を使って相続した土地の評価額を調べる方法

土地の評価額は「路線価方式」を用いて計算できます。

路線価には国税庁が毎年7月1日に公表する「相続税路線価」と、市町村(東京23区は東京都)が毎年4月1日に公表する「固定資産税路線価」の2つがあり、いずれも評価額を求めるために利用される指標です。

ここでは「相続税路線価」をもとにシミュレーションを進めます。

  • 路線価とは何か
  • 路線価の調べ方
  • 評価額を計算する流れ

相続税路線価を用いた計算は、相続した土地の評価額を知るための基本的な計算方法なのでしっかりと覚えておきましょう。

1-1.路線価とは道路に面した土地価格のこと

路線価とは路線(道路)に面する土地の1平米あたりの価額のことです。

土地に対して接道している道路に設定されている路線価が、その土地の1平米あたりの価格になります。

相続税評価額を求める計算式は以下のとおりです。

相続税評価額 = 土地面積(平米)× 相続税路線価

また、路線価に似ている評価額の指標として「公示価格」があります。

公示価格とは、国土交通省が毎年3月に発表している土地評価額の指標で、適正な地価の形成に役立てるために公表されています。

固定資産税路線価、相続税路線価など各評価額の他、公共事業の用地取得や一般の不動産取引の規準になっています。

しかし、路線価のように道路ごとに価額が定められていません。

公示地価を用いて土地の評価額を求める場合には、対象地の近くにある公示地価の基準地から環境や状況が類似しているものを選び計算します。

1-2.路線価を調べる

路線価を調べるには、国税庁の「財産評価基準書」または一般財団法人資産評価システム研究センターが運営している「全国地価マップ」を利用します。

ここでは操作や検索がしやすい「全国地価マップ」を用いて手順を解説します。

手順1:相続税路線価等を選択し所在地を選択する

1-2.路線価を調べる│シミュレーション1

出典:一般財団法人資産評価システム研究センター「全国地価マップ」

「全国地価マップ」のトップページが表示されたら「相続税路線価等」を選択し、次のページの利用許諾に同意します。

すると所在地の選択画面に移ります。

1-2.路線価を調べる│シミュレーション1

出典:一般財団法人資産評価システム研究センター「全国地価マップ」

郵便番号や住所入力、住所一覧、地図から探せるので、所在地を選択しましょう。

手順2:敷地に面している道路の路線価を確認する

表示されている地図から目的地を探し、敷地に面している道路に矢印と数字が見えます。この数字が路線価を示し、矢印がその路線価が設定されている範囲を示しています。

1-2.路線価を調べる│シミュレーション1

出典:一般財団法人資産評価システム研究センター「全国地価マップ」

画面中心の土地を目的地とすると、敷地右側に表記されている「320D」という数字が路線価です。

画面内の凡例にあるとおり、アルファベットの前の数字が「千円×平米」ですので、この場合では1平米あたり「320,000円」の路線価ということが分かります。

アルファベットは借地権・借家権割合で利用するものなので、相続税路線価を調べる場合、気にする必要はありません。

なお、全国地価マップでは相続税路線価のほかに固定資産税路線価や公示地価・地価調査も調べることができます。

必要に応じて画面上部のタブを切り替えられるので、必要な情報を収集しましょう。

1-3.路線価と土地面積を掛ける

路線価を調べたら土地面積と路線価を掛けることで、相続税路線価を算出できます

相続税評価額 = 路線価 × 土地面積

調べ方の例で上げた「320D」を参考に、120平米の土地の相続税路線価を計算してみましょう。

この数字は1,000円/平米の数字なので、分かりやすい数字に直します。

路線価 = 320 × 1,000円 / 平米 = 320,000円 / 平米

そして、路線価を敷地面積とかけ合わせれば相続税評価額を求められます。

相続税評価額 = 120平米 × 320,000円 / 平米 = 38,400,000円

よって、土地の相続税評価額は38,400,000円だと分かりました。

1-4.補正率・加算率を掛ける

路線価と土地面積をかけることで相続税評価額を算出できますが、土地の形状によっては補正率や加算率を掛けて調整しなければなりません。

土地の形状には以下の例があります。

  • 敷地の奥行きが短い・長い
  • 敷地の接道長さが短い、旗竿地・敷地延長地形
  • 土地の形がいびつな不整形地、台形の土地
  • 角地、二方向道路
  • 敷地内に崖など高低差がある
  • 特別警戒区域内

出典:国税庁「奥行価格補正率表」

これらの土地形状に該当する場合、補正率を確認して相続税評価額を調整します。例えば、前項で路線価を調べた土地の補正率が0.95の場合、以下のように計算します。

続税評価額 = 120平米 × 320,000万円 / 平米 × 0.95 = 36,480,000円

補正率を掛けることで相続税評価額が192万円も変わります。

場合によっては相続税額の節税にもつながるのでしっかりと計算したほうが良いですが、相続した土地が補正に該当するか判断することは難しいのが現実です。

有償ですが、必要に応じて専門家に測量してもらいましょう。

2.田舎の土地など路線価がないエリアはどうする?

2.田舎の土地など路線価がないエリアはどうする?

全国の土地のなかには路線価が設定されていない土地もあり、その場合は「倍率方式」という方法を利用します。

基本的に路線価は市街地に定められるもので、郊外の農村集落地帯などは路線価が設定されません。

しかし、郊外の土地でも相続が発生した際は相続税評価額の算出が必要になるので、倍率方式を用います。

倍率方式では固定資産税評価額に対し、国税庁が設定した倍率をかけることで相続税評価額を算出します。倍率の調べ方は国税庁のホームページ「財産評価基準書 」から評価倍率表を参照しましょう。

土地売却を検討されている方は、一括査定サイト「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」で査定を依頼してみましょう。

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3.倍率方式で相続した土地の評価額を調べる方法

3.倍率方式で相続した土地の評価額を調べる方法

相続した土地が倍率地域に該当する場合、倍率方式を用いて相続税評価額を算出し、相続税額を計算しなければなりません。

その場合、以下の流れで計算します。

  1. 固定資産税評価額の確認
  2. 評価倍率の確認
  3. 相続税評価額の計算

倍率方式を用いますが、相続税評価額を算出する目的は変わりません。倍率方式に該当する土地を所有している方は確認しておきましょう。

3-1.固定資産税評価額を把握する

倍率方式を求めるためには、固定資産税評価額を把握する必要があります。

固定資産税評価額は以下の方法で確認可能です。

  • 固定資産税課税明細書を確認
  • 固定資産評価証明書を取得
  • 固定資産課税台帳を閲覧

固定資産税課税明細書は土地所有者に対して市区町村から毎年4月から6月ごろに送られてくる固定資産税納税通知書に添付されています。

固定資産評価証明書は所有している不動産の固定資産税課税台帳に登録されている資産価値を証明する書類で、不動産の所在地にある市町村(東京都は都)の役所の窓口にて取得可能です。

不動産が遠方にある場合は郵送で取得できます。ただし、土地所有者本人や家族、もしくは委任を受けて委任状を所有している者しか取得できません。

固定資産税課税台帳の閲覧も不動産の所在地にある市町村(東京23区は都税事務所)役場にて閲覧できます。

こちらも土地所有者本人かその家族、委任者しか閲覧できないので注意しましょう。

3-2.評価倍率を調べて掛ける

評価倍率は財産評価基準書で調べられ、以下の計算式で算出します。

倍率地域の相続税評価額 = 固定資産税評価額 × 倍率

具体的な調べ方を「財産評価基準書」のホームページで解説します。

トップページから所在地の都道府県を選択すると、以下の画面に移り変わります。

3-1.固定資産税評価額を把握する

出典:国税庁「財産評価基準書」

ここで評価倍率表項目内の「一般の土地利用」を選択し、移行先の画面で市区町村を選択すると、以下のように一覧表が表示されます。

3-1.固定資産税評価額を把握する

出典:国税庁「財産評価基準書」

相続した土地が宅地ならば、赤枠で囲った宅地の部分を確認し、調べた固定資産税評価額に掛けて相続税評価額を求めましょう。

なお、相続した宅地が田畑や山林などの場合はそれぞれ該当する項目を確認し、計算しましょう。

4.土地の相続税評価額をもとに相続税を計算する

4.土地の相続税評価額をもとに相続税を計算する

土地の相続税評価額を算出すれば以下の手順で相続税額の計算ができるようになります。

  1. 相続税の対象となる遺産総額を計算
  2. 基礎控除額を確認
  3. 相続税率を確認して計算

土地以外の遺産がある場合でも同様に計算するので、相続に備えて計算方法を理解しておきましょう。

4-1.相続税評価額の総額を計算する

路線価方式や倍率方式を用いて土地の相続税評価額を計算します。

相続する土地が複数ある場合にはそれぞれ相続税評価額を算出し、合算しなければなりません。

また、現金や株式などの有価証券や生命保険などその他の遺産や、負債や債務、借金といったマイナスの遺産がある場合にも合算する必要があります。

そして、上記の計算で算出したものから「相続時精算課税制度にかかる財産分与の額」と「葬儀費用」を差し引きます。

計算式は以下のとおりです。

相続税の対象になる遺産総額=
(土地の相続税評価額 + その他の遺産額) - 借金などマイナスの資産額 - 葬儀費用 - 相続時精算課税に掛かる財産分与額

亡くなった被相続人だけが把握している財産がある場合、遺産分割の協議においても相続税の納税においても問題が発生します。

これから相続を控えているなら、財産の状況をまとめた目録などを作成することで相続時のトラブルを未然に防げるでしょう。

4-2.基礎控除額を調べる

基礎控除とは相続人の人数により変わる、遺産総額から差し引ける非課税枠のことです。

一定額として一律3,000万円と、相続人1名につき600万円を遺産総額から差し引けます。例えば、相続人に配偶者1名と子どもが3人いる場合には以下の計算になります。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 4名 = 4,800万円

この場合、相続税の対象となる遺産総額が4,800万円以下ならば、相続税は発生しません。

なお、相続人が相続放棄した場合も、基礎控除額に影響はありません。

先述した例で配偶者が相続放棄しても、基礎控除額は4名分で計算します。

4-3.税率を掛けて相続税を計算する

相続税対象となる遺産総額から基礎控除額を差し引いたものに、税率を掛けて相続税額を算出します。

その際の税率は以下のとおりです。

相続金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% なし
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

出典:国税庁「相続税の税率」

基礎控除額を差し引いた相続税の対象になる遺産総額が1億円だとすると、税率の30%を掛けて700万円を差し引いた額が相続税額となります。

しかし、相続人が複数人いる場合は当てはまりません。法定相続分により按分した相続金額を当てはめて計算し、算出した金額が相続税額となります。

法定相続人が3名、配偶者と子ども2名の場合は以下の計算になります。

遺産総額×法定相続分=法定相続額 相続税率
配偶者 1億円×2分の1=5,000万円 20%
子ども1 1億円×4分の1=2,500万円 15%
子ども2 1億円×4分の1=2,500万円 15%

配偶者控除等の控除を利用する場合は、法定相続額から差し引き、差し引いたあとの金額で税率を検討します。

相続税は多く納税しすぎても、税務署に自ら還付請求しなければ返ってきません。

適切な計算をするためにも土地の相続評価額は不動産会社に、税金の相談は税理士に、それぞれ専門家に相談しましょう。

5.相続税評価額を減らす方法

5.相続税評価額を減らす方法

土地の相続税評価額を減らすためには、賃貸物件を建てている、小規模宅地等の特例を利用するといった対策があります。

賃貸物件の建築は生前に取り組めることで、小規模宅地の特例は誰が相続するかによって利用できる可能性があります。

5-1.賃貸物件を建てている

賃貸物件を建てているとその土地を自由に利用できないため、土地としての評価額が低くなり、借地権割合・借家権割合によって割合が定められています。

土地によって異なりますが借地権割合は60%から70%、借家権割合は全国一律で30%です。

調べ方は先述した相続税路線価と同様で、相続税路線価に付いているアルファベットがそれぞれの割合を示します。

計算式は以下のとおりです。

賃貸物件を建てている土地の評価額 = 土地の評価額 -(1 - 借地権割合 × 借家権割合)

路線価が5,000万円の土地、借地権割合を70%として計算すると以下のようになります。

5,000万円 × (1 - 70% × 30%)= 3,950万円

賃貸物件を建築することで、土地の評価額は1,050万円も減額されることになります。

ただし、建物の評価額も加えると評価額が大きくなることもあります。

土地や現金など財産の種類によって節税効果が変わってくるので、相続対策として土地に賃貸物件を建築する際には事前に検討しましょう。

5-2.小規模宅地等の特例を適用する

小規模宅地等の特例は、被相続人が所有していた土地の相続税評価額を最大で80%減額できる制度です。

たとえば、土地の評価額が5,000万円だった場合、1,000万円まで相続税評価額を引き下げることができます。

その土地の条件としては、被相続人が居住していた自宅、事業に使用していた土地、賃貸用途で利用していた土地です。

免責と割合がそれぞれ異なり、以下の表のとおりです。

居住用 330平米まで 80%まで減額
事業用 400平米まで 80%まで減額
賃貸用 200平米まで 50%まで減額

なお、この特例を受けられるのは配偶者、同居親族、同居していない親族の三者になり、同居していない親族の場合は適用に細かい条件があります。

詳しくは国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」で確認してください。

6.相続した土地を売却するメリットと売却方法

6.相続した土地を売却するメリットと売却方法

相続した土地は売却することによるメリットも多く、将来的にその土地を利用することがなければ売却を検討するべきでしょう。

相続した土地を売却するメリットと高値で売却できる条件について解説します。

6-1.固定資産税などの税金負担がなくなる

土地を売却することで、固定資産税などの税金負担や、維持管理のための負担がなくなります。

土地を所有しているだけで課税される固定資産税の負担は少なくありません。

また、相続した土地を放置すると、近隣からのクレームや行政から指導や勧告を受けることもあり、維持管理のために時間や金銭を負担する必要があります。

売却することでこれらの負担から解放されるだけでなく、まとまった現金が入ってくることもメリットと言えます。

6-2.相続した土地を高値で売却できる条件とは?

相続した土地を高値で売却できる条件には、立地・土地の形状・建物の有無の3点があります。

駅近くの土地や周辺環境が整っている土地や平坦な土地なら高値で売却できる可能性があります。

また、土地の形状は形が整っているほど条件がよく、土地の形がいびつなほど評価が低減する傾向にあります。

土地の形状については敷地内外の高低差もポイントです。道路から敷地が上がっている・下がっている、敷地内で段差がある、隣地との高低差があるなども評価に影響します。

6-3.売却するなら一括査定サイトの活用が便利

土地を売却するためには一括査定サイトの利用が便利です。

売却の流れは以下のようになっています。

  1. 土地の査定
  2. 不動産会社の選定
  3. 媒介契約の締結
  4. 販売活動
  5. 売買契約・引渡し

ここでポイントになるのが不動産会社の選定です。

より実績があり早く、高く売却してくれる不動産会社に依頼したいところですが、そのためにはいくつもの不動産会社に査定依頼しなければなりません。

1社ずつ不動産会社を探し、連絡し、打ち合わせすることは多大な労力がかかります。

不動産一括査定サイトなら、あらかじめ選定してある実績豊富な不動産会社に、労力をかけずにまとめて査定依頼できます。

土地の売却を検討されている方は、ぜひ一括査定サイト「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」を活用して不動産査定を受けてみましょう。

まとめ

土地を相続した際、自分で評価額を計算できる路線価方式と倍率方式について解説しました。

国税庁の「財産評価基準書」もしくは「全国地価マップ」を利用して路線価を調べましょう。路線価が設定されていない場合は、倍率方式を使って算出してください。

また、相続税の負担を軽減するためには、賃貸を建てる、あるいは小規模宅地等の特例の適用などを検討し、相続税評価額を少しでも減らしましょう。

固定資産税などの税金負担もなくしたいという方は、思い切って土地を売却することをおすすめします。