ローン中の家を売る2つの方法をプロが解説|離婚、貸したい場合も

「想定外の転勤」「離婚」「地方への移住」など、さまざまな理由から、住宅ローンが残っている家を売るケースはあります。

結論からいうと、ローンが残っている家でも売ることは可能です。

ローンが残っている家を売るときは、最後、引渡と同時に残っているローンの全額を一括で返済します。住宅ローン中の売却、残債があるのに離婚するなどの困難があっても、返済中の住宅ローンを完済しなければ、家を手放すことはできません。

この記事を読むとわかること

  • 住宅ローン中の家を売る方法
  • ローン残債額が売却金額を上回るオーバーローンの対処法
  • ローン中の家を売った時の税金の特例

不動産の売却について基礎から詳しく知りたい方は『不動産売却の入門書』も合わせてご覧ください。

「家を売りたい」と悩んでいる方へ
  • 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
  • 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格”を見つけましょう
  • 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます
この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット

1.住宅ローンが残っている家を売る際にまずは「完済できるか」確認しましょう

住宅ローンがある家を手放したいとローンが残っている家を売る場合は、まずはローン残債と売却額との関係を調べることが重要です

住宅ローン返済中の家を売る場合は、家につけられた抵当権を抹消するために、現在の住宅ローンを完済することが前提になります

現在返済中の住宅ローンを完済できるかチェックするために、やるべきことは全部で3つです。

  • ローン残債を確認する
  • 売却価格を調査する
  • オーバーローンかアンダーローンか、売却価格で完済できるか判断する

それぞれ順番にわかりやすく解説します。

【ステップ1】ローン残債額を確認する

売却することを決めたら、まずは現在の正確なローン残債を調べることから始めてください。
家を売るために住宅ローンを完済させるには、計画的な返済計画を立てなければなりません
そのため、家を売ってもローンが残るのか確認するためにも、ローン残債は把握しておきたいところです。

時間をかけずに、自分でローン残債を確認する方法は以下の通りです。

  1. インターネットバンキングで照会する
  2. 金融機関から毎年送付される残高証明書を見る
  3. 住宅ローン契約時の返済予定表を見る

いずれの方法も難しい場合は、金融機関に直接問い合わせるしかありません。しかし、金融機関に問い合わせをすると時間がかかります。売却スケジュールに余裕をもって行動してください。

不動産売却塾 コラム

“なぜローン残債額を確認するの?”

住宅ローン返済中の家には、金融機関により「抵当権」が設定されています。抵当権とは、銀行が家を担保としている権利のことです。

住宅ローン残債がある家が売れた場合、買主への引き渡し手続きの中で、抵当権の抹消をしなければなりません。

抵当権は、一般的に司法書士により抹消の手続きが行われますが、売却益、自己資金、借り換え、住み替えローンの利用などによる、住宅ローンの完済が前提条件になります。
抵当権を抹消するために、ローン残債を確認し、ローンが完済できるのかシミュレーションをすることが大切です。

【ステップ2】売却価格を調査する

ローン残債を把握できたら、次は売却価格の調査です。ローン中の土地を売る、ローン中の家を売る場合は、売却価格を知らなければ適切な値段で売ることができません。
家の売却価格は不動産会社の査定を受けることでわかりますので、インターネットの一括査定サービスや匿名査定などを使って調べてください。

査定のポイントは、必ず複数の不動産会社に査定を依頼することです
不動産会社の査定とは、「3ヶ月程度で売却できるであろう」と思われる予想価格を出しています。

査定価格は、あくまでも予想価格であり、売却を保証する価格ではありません。
予想価格であるため、1社のみの査定価格でアンダーローンかオーバーローンか決めてしまうのはリスクがあります。

ローン残債が残っている家を売却する場合には、きちんと複数の不動産会社の予想価格をしっかり確かめることが大切です。

複数の査定価格を集めた上で、ローン残債が全ての査定価格よりも下回っていれば、安心してアンダーローンであるといえます。

【ステップ3】住宅ローンを完済できるか判断する

家を売るときにやるべきことは、住宅ローンを完済できるか判断するためにシミュレーションを行うことです。
住宅ローンの返済シミュレーションは、以下の計算式で簡単にできます。

住宅ローン残債 ― 家の予想売却価格(査定額)
※家の売買には別途仲介手数料、引っ越し代など、売却のための費用が掛かります

住宅ローンを完済できるか判断するために、まず、ローンが「アンダーローン」「オーバーローン」のどちらであるか判断することが大切です。

  • オーバーローンとは…ローン残債が売却額を上回ってしまう状態
  • アンダーローンとは…ローン残債が売却額を下回って、売却の利益が出る状態

それぞれのケースで住宅ローンが完済できるのか、判断するポイントを紹介します。

1-3-1.残債額が売却金額を上回るオーバーローンの場合

残債額が売却金額を上回るオーバーローンの場合、何らかの自己資金がなければ家を売ることはできません。

オーバーローンの対処法については「2. オーバーローンの場合の対処法(売却~税金特例まで)」で詳しくご紹介します。

一般的には、築20~25年で建物の価値がゼロとみなされてしまいがちです。高く売れずにオーバーローンになってしまうケースでは、築年数が売却金額のネックになることもあります。

残債額が売却金額を上回るオーバーローンの場合

引用:中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針(国土交通省)

しかし、国土交通省による「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」では「取引時に住宅の各部位の機能がどの程度維持されているかを把握し、それに応じて減価修正を行う」としています。

少しでも高く売ってローンを完済できるようにするためには、正しく建物の価値を評価してくれる不動産会社に出会うことが重要です

1-3-2.売却金額で完済できるアンダーローンの場合

アンダーローンの場合は、売却金額で住宅ローンを完済できるので、シンプルです。
アンダーローンの対処法については「3. アンダーローンの対処法(売却~税金特例まで)」で詳しく説明しています。

住宅ローン返済中の家を売りたい方が、複数の不動産会社に査定を依頼するには、「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」がおススメです。

20年の運営実績を持つ「不動産売却 HOME4U」なら、住宅ローンが残っている家を売るアドバイスをしてくれる不動産会社も見つかります。問い合わせの際に、ローンが残っていることや住み替えを希望していることなど、状況を伝えてみてください。

不動産売却 HOME4U」では家の所在地や広さなど必要最低限の情報を入力するだけで、最大6社の不動産会社から、査定価格をまとめて取り寄せることができます。査定額を比較し、ローン返済のシミュレーションを行って無理なく家を売ってください
ローンが残っている家を売るのであれば、ぜひ、「不動産売却 HOME4U」を利用しましょう。

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2.オーバーローン中の家を売る方法とポイント

家の売却益だけでローンを完済できない「オーバーローン」になってしまうケースでも、売却代金では支払えない残債をなんらかの方法で返済することができれば、家を売ることも可能です。

オーバーローンはローンの完済が肝心なので、家を売る方法に加えて、住宅ローン返済のパターンやポイントを解説します。

2-1.オーバーローンの家を売る方法

「住宅ローンがあるけど引っ越したい」と思ったときに、家を売っても住宅ローンが完済できない「オーバーローンの家」を売る方法は、住居にかかるコストを下げるために、住みながら売る「売り先行」がおすすめです。

二重ローンが発生しない場合や、二重ローンがあっても自己資金があり、金銭的に余裕がある場合などは、引っ越した後、空き家の状態にしてから売却する場合もできます。
実家に引っ越せる場合や、貯蓄がある方は空き家にしてから売却したほうが内覧や引き渡しがスムーズです。

正確な表現をすると、住宅ローン支払い中の家は、「住みながら」というよりは「返済を続けながら」売却活動を行います。
引渡時に売却代金が入金されたら、売却代金でローン残債を一括返済することになります。

住宅ローンが残っている家を売るときは、二重ローンやオーバーローンを防ぐことが大切です。

家を売る方法の「売り先行」と「買い先行」についてそれぞれ紹介します。

2-1-1. 二重ローンを防ぐ「売り先行」

買い替え等で、購入物件で新たに住宅ローンを組む場合、先に購入を行ってしまうと、売却物件と購入物件で住宅ローンが二重に発生します。

二重ローンを避けるために、住宅ローンが残っている方が家を売却する場合は、売却を先、購入を後に行うのが通常です。
このような買い替え方法を、「売り先行(売却先行)」と呼びます。メリットは以下の通りです。

【売り先行(売却先行)のメリット】

  • 今の生活を維持できる
  • 新たな住宅ローンの返済が発生しない
  • 買い替えの資金計画が立てやすい
  • 物件の売り出し期間に余裕を持てる
  • 買主をじっくり選ぶことができる

今の家に住みながら売る場合は、「売り先行」に当てはまります。家を2軒以上持つ余裕がない場合は、住みながら住宅ローンが残った家を売り、買い替えを検討しましょう。

住みながら売却を行うことで、物件が売れなくても二重ローンや新たな家賃で悩むことはありません。焦らず買主をじっくり選び、希望の金額で売ることも可能です。

一見、メリットが多いように見える売り先行にもデメリットはあります。買主の内覧に対応しなくてはならないことです。家をきれいに見せるための掃除、スケジュールの確保が必要になります。売り先行は、お金がかからない分、手間をかける売却活動です。

不動産売却の流れ

2-1-2.新居の購入を先に行う「買い先行」

新居の購入を先、住宅ローン中の家の売却を後に行う買い替え方法は「買い先行(購入先行)」と呼ばれます。

買い先行のメリットは、次の3つです。

  • 気に入った住宅を好きなタイミングで購入できる
  • 空き家にできるため内覧がスムーズにできる
  • 売却後の引き渡しがスムーズにできる

本来であれば、購入も売却もやりやすいのは「買い先行」となります。

住宅ローンが残っている場合でも、金銭的に余裕があるなら「買い先行」で住み替えを行うことも可能です。物件の条件にもよりますが、中古物件の売却活動には半年程度かかります。
中古物件の売却をスムーズに行いたい場合は、あらかじめ二重ローンに耐えられる貯蓄をしておきましょう。その間、実家に引っ越せる方は実家に同居をお願いするのも手段です。

不動産売却塾 コラム

“事情がある場合は「つなぎ融資」を利用”

住宅ローンが残っている方でも、「転勤で早く引っ越さなければならない」、「新築物件に買い替えるため購入時期が決まっている」等の理由で購入を先に行わなければならない方もいます。

そのような方は、つなぎ融資を使うことで、売却と購入の順番を入れ替えることが可能です。

【つなぎ融資とは】

一時的な資金不足を補うために利用する、短期の融資のことを指します。
事情がある住み替えにおいて、購入物件の代金支払が売却物件の代金受領よりも先に来てしまった場合など、資金繰りが苦しい時に利用します。
ローンが残っているときは「売り先行」が原則ですが、つなぎ融資を使うことで例外的な対応もできるということは知っておくと良いでしょう。

2-2.住宅ローン返済3つのパターン

オーバーローンの場合の住宅ローン返済パターンは3つあります。

  • 自己資金で残債返済する
  • 住み替えローンを利用して残債返済する
  • 任意売却する

それぞれの返済方法についてわかりやすく解説しますので、参考にしてください。

2-2-1.自己資金で残債返済する

オーバーローンであっても、貯金等の自己資金を加えて住宅ローン完済できれば、住宅ローン支払い中の家でも売却は可能です。
自己資金を加えて返済する場合には、事前に返済方法を相談するようにしてください。

その際、売却に要する費用を見込んでおくことを忘れないようにします
不動産の売却には費用がかかるため、注意しましょう。売却に要する費用は、ざっくり言うと売却代金の約3.5%程度かかります。

不動産売却にかかる大きな費用は、売買仲介を行った不動産会社に支払う仲介手数料です。その他にも、売買契約書に貼りつける印紙税、抵当権抹消の登録免許税、司法書士手数料が発生します。
返済計画を立てる段階では、売却代金の3.5%程度の費用を支払えるように計画することがポイントです。

2-2-2.住み替えローンを利用して残債返済する

住み替えローン」とは、買い替えを行う場合、次に購入する物件の住宅ローンに返済しきれなかったローン残債を上乗せした形で借りるローンのことです。

住み替えローンを利用することができれば、自己資金が足りないオーバーローンでも抵当権を外すことが可能です。

住み替えローンを利用する場合、まずは、仲介してくれる不動産会社に相談してみてください。仲介してくれる不動産会社の経験から、年収いくらぐらいだとどのくらいのローンが下りるのか、売却益やローン残債に対して住み替え先の物件はいくらが妥当か、など事前にアドバイスがもらえます。

ただし、住み替えローンでは、購入する物件の担保価値以上のローンを組みます

万が一、購入物件のローンが返済できなくなった場合、金融機関が融資を回収できない確率が相当に高いです。

そのため、住み替えローンは審査が厳しく、なかなか借りることができません
大企業に勤務している方や公務員等、条件の非常に良い方が借りることのできるローンとなっています。

また、住み替えローンは、月々の返済の負担が大きくなる「借り過ぎ」のローンになるため、自己資金が足りない方におすすめできるローンではありません。
基本的には貯金等から返済することを優先し、それが無理であれば、住み替えローンを利用できないか、検討してみてください。

2-2-3.任意売却する

住宅ローンを払えず売却する」という方、自己資金もなく、住み替えローンも使えない方が、住宅ローン支払い中の家を売る方法は任意売却です。
任意売却のメリット・デメリットは以下の通りです。

任意売却のメリット

  • 競売や自己破産と違い自分のプライバシーを守れる
  • 競売よりも高く売れる
  • 月々の返済額を減らせる
  • 費用をかけずに売却できる
  • 売却条件に自分の意向を含められる

任意売却のデメリット

  • ローンの連帯保証人に迷惑がかかる
  • ブラックリストに掲載される可能性
  • 売却期間に限りがあり、早く売らないと競売になる
  • 売却価格が相場よりも低い
  • しばらく新規のローンが組めなくなる

返済が滞り、住宅ローンの支払いができなくなると家の競売や自己破産につながります。
住宅ローンの支払いが厳しい場合は、家を差し押さえられる前に任意売却を検討してください。

任意売却で家の売買を行う場合は、住宅ローンを借りている金融機関の同意が必要です
返済状況や経済状況から、金融機関が任意売却を認めた場合は、住宅ローン返済中の方でも家の売買活動が行えます。

参考:任意売却パンフレット(独立行政法人住宅金融支援機構)

2-3. オーバーローンで使える税金特例

オーバーローンで売却する場合、「居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(以下、「譲渡損失の売却特例」と略)」が使えるケースがあります。

譲渡損失の売却特例は、オーバーローンの額を給与所得等の他の所得から控除し、会社が天引きしていた源泉徴収税額を取り戻すことができるという特例です。

【例】
オーバーローンの額が▲200万円で、給与所得が800万円だったとします。
このとき、確定申告で損益通算と呼ばれる手続きをすると、給与所得800万円から200万円を控除することが可能です。

800万円から200万円を控除すると、その年の所得は600万円となります。
会社は800万円の所得を前提に税金を給与天引きしていましたが、その年の所得は600万円だったため、払い過ぎの税金を取り戻すことができるのが、譲渡損失の売却特例です。

譲渡損失の売却特例は、買い替えや住み替え等を行わないマイホームの単純な売却で、オーバーローンとなったときに、検討してみる価値のある特例になります。

居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例については、こちらの記事でより詳しく解説しています。


不動産売却の豆知識 不動産会社によって「査定価格」は違う? 不動産会社によって「査定価格」は違う?

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3. アンダーローンの家を売る方法とポイント

アンダーローンの家はどのように売却したらいいのでしょうか?
結論からいうと、住宅ローンがない人と同様、普通の売却ができます。

この章では、アンダーローンの家を売る方法と税金についてのポイントを解説します。

3-1. アンダーローンなら売却金額で住宅ローンを完済

アンダーローンの場合は、売却金額で住宅ローンを完済できます。
不動産の売却は、原則として住宅ローンの完済が必要なので、引き渡し日に買手から売却金額を受領したと同時に、住宅ローンの完済手続きを行います。

アンダーローンのときの売却の流れ

家の売却には費用がかかるため、仲介手数料や司法書士への報酬などを支払えるよう、事前にお金の計算と用意をしておくと安心です。

新居への住み替えを行う場合は、住み替えの方法についてもしっかりと考えておきましょう。
住み替えの方法は、今の家の売却から始める「売り先行」と、新居の購入から始める「買い先行」の2つがあります。

以下で、「売り先行」と「買い先行」について簡単に解説いたします。

3-1-1.売却金額を次の購入資金に充てられる「売り先行」

アンダーローンの場合でも、住宅ローンが残っている状態であり、月々の返済が残っていることに変わりありません
そのため、売却金額を次の購入資金に充てられる「売り先行」で家を売るのがおすすめです。

転居先に賃貸を予定している場合でも、月々の支払いを増やさないために、先に家を売ってから引っ越しをすることをおすすめします。

3-1-2.新居の購入を先に行う「買い先行」

アンダーローンの家を売る方法として、買い先行も選択できます。新たな住宅ローンを組むことを前提に「買い先行」を選択した場合、家が売れるまでの期間、二重ローンになることを心配しなければなりません

買い先行の一時的な資金不足の解消として、つなぎ融資を選択することも可能です。
つなぎ融資は、不動産会社のサービスの一つで、二重ローンを防ぐことができます。銀行のローンとは違い、つなぎ融資を希望する場合は「つなぎ融資を取り扱っている不動産会社」を選ぶことがポイントです。

3-2.アンダーローンで使える税金特例

アンダーローンの売却益には、所得税や住民税などの「譲渡所得税」が課税されます。少しでも税金を抑えるために、確定申告を通して税金の特例を利用しましょう。

アンダーローンの時に使える税金特例は以下の通りです。

  • 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
  • 所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

軽減税率の特例は、3,000万円の特例と併用可能です。

所有して10年を超えるマイホームを売却して、3000万円特別控除を適用しても、なお譲渡所得がプラスとなるようなケースで使います。

参考:国税庁
No.3302 マイホームを売ったときの特例
No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例

4.住宅ローン返済中に離婚した時に気を付けておくこと

住宅ローン返済中に離婚した場合、金融機関に相談の上、建物の所有名義を変えることはできますが、ローンの名義人や連帯保証人を変えることは難しいというのが現実です。

ローン中の離婚で家の売却をする時は、予備知識がない状態で行うと失敗してしまいます。
失敗しないために、住宅ローン返済中に離婚した場合に気を付けておくことについて、わかりやすくご紹介しますので参考にしてください。

4-1. 離婚した場合、ローン残債は財産分与の対象になる!

結婚してから購入した一戸建て、マンションなどの不動産は、単独名義でも共有名義でも、ローン残債も含めて離婚時の財産分与の対象になります。

不動産の財産分与の方法は以下の通りです。

  • 不動産を売却して現金で分ける
  • マンション評価額の半分を現金で渡す
  • ほかの財産で不動産分に相当する財産を補てんする

4-2. 離婚しても連帯保証人の解除は難しい!

夫名義で不動産を購入し、妻が連帯保証人になっている場合、その逆のケースなどで、離婚をしてもローンが残っている状態であれば、連帯保証人の解除は難しいといえます。

住宅ローンを貸している金融機関に、名義人の離婚は住宅ローンとは関係ないとみなされるからです。

離婚時に連帯保証人を解除したい場合、金融機関に相談の上、以下の対応が必要です。

  • 住宅ローンを繰り上げ返済で完済する
  • 住宅ローンを借り換える
  • 対象の不動産を売却する

住宅ローンの繰り上げ返済や借り換えには、金融機関によって費用が必要なケースもありますので注意してください。

4-3. 共有名義の場合、名義人全員の同意がないと売れない!

一戸建てやマンションなどの、夫婦の共同名義の家を所有している場合、離婚時に夫や妻が家の売却に反対すれば、その家を売ることはできません

事情があり、不動産を手放したくないという場合は、家の有効活用を考えてみることも一つの手段です。

5.ローン中の家を貸すならまずは金融機関に相談を

せっかく家を買ったのに、転勤になってしまった場合は家を空けなければなりません。しかし、住宅ローン返済中に、黙って人に家を貸すことはNGです。

5-1.家を賃貸に出すなら金融機関に相談

ローン中の家を貸すには、まずは金融機関に相談してください。
通常、居住用の住宅ローンの契約では、住宅ローンの名義人が「居住すること」を目的としてローンを契約します
そのため、住宅ローン返済中に本来の目的以外の用途で家を使う場合は、金融機関の許可が必要で、勝手に人に家を貸すのはNGです。
しかし、転勤や介護など、やむを得ない理由で住宅ローン返済中の自宅に住めなくなることもあります。

人が住まなくなった家は、不法侵入や家の傷みが心配になります。賃貸に出したい、誰かに住んでもらいたいと考えることは一般的なことですが、自己判断で賃貸に出して金融機関とトラブルを起こさないように注意してください。

5-2.賃貸用の住宅ローンへの切り替え

住宅ローン返済中の家を賃貸に出す場合、賃貸用の住宅ローンへの切り替えを行います
住宅ローン返済中の金融機関に賃貸用の住宅ローンの取り扱いがなく、切り替えができない場合は、ほかの金融機関で借り換えを行い、賃貸用の住宅ローンを新たに組んでください。

賃貸用の住宅ローンに切り替えるときに注意しなければならないことは、金利です。賃貸用の住宅ローンは、マイホーム向けの住宅ローンに比べ金利が高くなります。

もし、借り手がスムーズに見つかる物件であれば、家賃収入を得ることができるため住宅ローンの負担を減らして収入を得ることも可能です。しかし、なかなか借り手がつかない物件の場合、住宅ローンの支払いが増えてしまうので賃貸への切り替えは慎重に行ってください。

賃貸に出しても住宅ローンの支払いが厳しいとき、新たに欲しい物件があり、二重ローンを避けたいときは家の売却を検討しましょう

まとめ

いかがでしたか。
ローンが残っている「住宅ローン返済中」の家を売る方法について解説しました。

ローンが残っているときは、売り先行による住みながらの売却が一般的な方法になります。
そして、売却を行う際には抵当権の抹消と引渡を同時に行うことになっていきます。
抵当権を抹消する条件は、住宅ローンの完済です。

住宅ローン返済中の家を売るときのポイントは以下の通りです

  • ローンが完済できるか、ローン残債から査定額を引いて確認
  • オーバーローンになるのか、アンダーローンになるのか見極める

ローン中の家を売るためには、オーバーローンであるか、アンダーローンであるか見極めることも大切です。

アンダーローンの場合は通常の売却方法で売却できます

オーバーローンの場合は、自己資金や住み替えローンを使い、ローン完済を目指してください。
また、売却後は少しでも負担を減らすために、確定申告を行い「税金の特例」を使いましょう。

住宅ローン返済中の家を売りたい方は「不動産売却 HOME4U」を使って信頼できる不動産会社に査定を依頼するところから始めてください。家を売るときは、査定額や不動産会社の対応を何社か比較して、仲介を依頼する不動産会社を決めることが大切です。

記事を読んで、「査定をしてみようかな」と感じたら、まずは下のボタンから売却したい地域を選択して一括査定依頼をしてみましょう。

「家を売りたい」と悩んでいる方へ
  • 「家を売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
  • 「不動産一括査定」なら複数社に査定依頼でき”最高価格”が見つかります
  • 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます

この記事のポイント

ローンが残っていても家は売却できるの?

ローンが残っていても家を売却することは可能です。ただし、売却益や自己資金で住宅ローンを完済することが条件です。
ローンが残っている家を売却するときは、ローンが完済できるか調べなければなりません。
詳細は「1.住宅ローンが残っている家を売る際にまずは「完済できるか」確認しましょう」をご覧ください。

ローン残債額がオーバーローンになる家を売る方法は?

家の売却益がローン残債額を下回るオーバーローンの家を売る方法は以下の通りです。

  1. 二重ローンを防ぐ売り先行
  2. 新居を先に買う買い先行
  3. つなぎ融資を使って先に新居を購入する

住宅ローン支払い中の家から新居に住み替える場合「売り先行」がおすすめです。
詳細は、「2.オーバーローンの家を売る方法とポイント」をご覧ください。

住宅ローン返済中に離婚する場合の注意点は?

住宅ローン返済中に離婚する場合、以下の3点に注意してください。

  1. ローン残債は財産分与の対象になるが絶対に折半する性質のものではない
  2. 離婚しても連帯保証人の解除は難しい
  3. 3共有名義の場合、名義人の同意がなければ売ることも貸すこともできない

詳細は、「4.住宅ローン返済中に離婚した時に気を付けておくこと」をご覧ください。