ローン中の家を売る2つの方法をプロが解説|離婚、貸したい場合も

ローン中の家を売る 住み替え方法をご紹介

「想定外の転勤」「離婚」「地方への移住」など、さまざまな理由から住宅ローンがまだ残っている家を売りたいという方もいるでしょう。結論からいうと、ローンが残っている家でも売ることは可能です。

本記事では、ローンがまだ残っている家を売る際の手順のほか、ローンを完済できない場合の対処法について解説します。

この記事を読むと分かること
  • 住宅ローン中の家を売る方法
  • ローン残債が売却金額を上回るオーバーローンの対処法
  • ローン中の家を売ったときに使える税金の特例

不動産の売却について基礎から詳しく知りたい方は「不動産売却の入門書」「家を売る完全ガイド」も併せてご覧ください。

「家を売りたい」と悩んでいる方へ
  • 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
  • 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格”を見つけましょう
  • 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます
この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット

ローン中の家の売却の入門書!この記事のポイントまとめ

ローン中の家を売る_1

家の売却益がローン残債を下回る「オーバーローン」の家を売る方法は、以下のとおりです。

  • 二重ローンを防ぐ売り先行
  • 新居を先に買う買い先行

住宅ローン支払い中の家から新居に住み替える場合は「売り先行」がおすすめです。

詳細は、「2.オーバーローン中の家を売る方法とポイント」をご覧ください。

家の売却益がローンの返済額を上回る場合は、住宅ローンを完済できるので、住宅ローンがない方と同様に家の売却が行えます。

「アンダーローン」の状態で家を売る方法について詳細は、「3.アンダーローンの家を売る方法とポイント」で解説しています。

また、住宅ローン返済中に離婚することになった場合、以下の3点に注意しましょう。

  • ローン残債は財産分与の対象になるが折半する性質のものではない
  • 離婚しても連帯保証人の解除は難しい
  • 共有名義の場合、共有者の同意がなければ売ることも貸すこともできない

詳細は、「4.住宅ローン返済中に離婚した場合の注意点」をご覧ください。

1.住宅ローンが残っている家を売るなら、まずは「完済できるか」を確認

住宅ローンがある家を手放したい」場合、まずはローン残債とおおまかな売却可能額を確認しましょう。家に設定された抵当権を抹消するためには、現在の住宅ローンを完済することが前提になります。

現在返済中の住宅ローンを完済できるかをチェックするために、やるべきことは全部で3つです。

それぞれ順番にわかりやすく解説します。

【ステップ1】ローン残債を確認する

家を売却すると決めたら、まずは現在の正確なローン残債を調べてください。

家を売るために住宅ローンを完済するには、計画的な返済計画を立てなければなりません。家を売ってもローンが残るのかを確認するためにも、ローン残債は把握しておきたいところです。

ローン残債を確認する方法は、以下のとおりです。

  • インターネットバンキングで照会する
  • 金融機関から毎年送付される残高証明書を見る
  • 住宅ローン契約時の返済予定表を見る

金融機関から送付される残高証明書は、以下のような書類です。

融資額残高証明書

引用:“「融資額残高証明書」の見本”. フラット35. 2023-09-20. (参照2024-03-19)

いずれの方法も難しい場合は、金融機関に直接問い合わせるとよいでしょう。

しかし書類の再発行には時間がかかるため、スケジュールに余裕を持って行動することが大切です。

不動産売却塾 コラム

“なぜローン残債を確認するの?”

住宅ローン返済中の家には、金融機関により「抵当権」が設定されています。抵当権とは、金融機関が家を担保にする権利のことです。住宅ローン残債がある家が売れた場合、買主への引き渡し手続きのなかで、抵当権を抹消しなければなりません。

抵当権の抹消手続きは、司法書士に依頼するのが一般的ですが、抵当権を抹消するには、住宅ローンを完済する必要があります。

そこでまずは、住宅ローン残債を確認し、売却益、自己資金、借り換え、住み替えローンの利用などで完済できるかをシミュレーションすることが大切です。

【ステップ2】売却見込み価格を調査する

住宅ローン残債を把握できたら、次は売却見込み価格の調査です。ローン返済中の土地や家を売る場合は、売却価格の目安を知らなければローンを完済できるか目途を立てることができません。

家の売却価格は、不動産会社の査定を受けることでわかります。

家の査定方法には、主に以下の3種類があります。

  • 匿名査定・AI査定
  • 机上査定
  • 訪問査定

匿名査定・AI査定とは、その名のとおり家の売主が匿名で利用できる査定方法です。

匿名査定・AI査定はすぐに結果が出るうえ、不動産会社に個人情報をほぼ明かさず無料で使える利点がありますが、その多くはマンションを対象としています。

机上査定は、売主が提供する情報や類似物件の取引価格などのデータをもとに査定価格を算出する方法で、一般的に1日程度で結果がわかります。机上査定は、「簡易査定」とも呼ばれます。

ただし、匿名査定・AI査定と机上査定の精度には、やや不安が残ります。

3つの査定方法のなかで、最も精度が高いのは訪問査定です。

訪問査定では、不動産会社の担当者が物件を実際に見て、眺望や通風、においなどさまざまな観点から総合的な査定を行います。

査定結果が出るまでには、1週間ほどかかるのが一般的です。

訪問査定では担当者が家を訪れることから、訪問時に在宅している必要がある、対応するために時間が取られるなどのデメリットもあります。

いずれの査定を選択する場合にも、重要なのは複数の不動産会社に依頼することです。

不動産会社の査定価格は「3ヵ月程度で売却できるであろう」と予想される金額に過ぎず、その価格での売却を保証するものではありません。

そのため、1社の査定価格だけを見て、アンダーローンかオーバーローンかを判断するのはリスクがあります。

ローン残債がある家を売却する場合には、複数の不動産会社の査定価格をしっかり確かめることが大切です。

【ステップ3】住宅ローンを完済できるか判断する

家を売るときにやるべきなのは、住宅ローンを完済できるか判断するためのシミュレーションを行うことです。

住宅ローンの返済シミュレーションは、以下の計算式で簡単にできます。

住宅ローン残債-家の予想売却価格(査定額)

※家の売却には別途仲介手数料、引越し代などの費用がかかります。

住宅ローンを完済できるか判断するには、現在の状況が「アンダーローン」なのか「オーバーローン」なのかを確認しましょう。

  • オーバーローン:ローン残債が売却金額を上回る状態
  • アンダーローン:ローン残債が売却金額を下回って、売却益が出る状態

ここでは、それぞれのケースで住宅ローンを完済できるのか、判断するポイントを紹介します。

1-3-1.残債が売却金額を上回るオーバーローンの場合

21_オーバーローンとは

ローン残債が売却金額を上回るオーバーローンの場合、何らかの方法で資金を得なければ、家を売ることはできません。

特に戸建て住宅は、一般的に築20~25年で建物の価値がゼロとみなされてしまいます。

築年数がネックとなり、家が高く売れずにオーバーローンになってしまうケースもあります。

引用:“中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針”. 国土交通省. 2014-03. (参照2024-03-19)

国土交通省が発表した「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」では、「取引時に住宅の各部位の機能がどの程度維持されているかを把握し、それに応じて減価修正を行う」としています。

つまり、現在の家を少しでも高く売ってローンの完済を目指すには、建物の価値を適正に評価してくれる不動産会社を見つけることが重要です。

オーバーローンの対処法については「2.オーバーローン中の家を売る方法とポイント」で詳しく紹介しています。

1-3-2.売却金額で完済できるアンダーローンの場合

21_アンダーローンとは

アンダーローンの場合は、売却金額で住宅ローンを完済できるため、手続きはシンプルです。

住宅ローン返済中の家の売却を検討しており、複数の不動産会社に査定を依頼するなら、「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」をご利用ください。

あなたのお家いくらで売れる?

不動産売却 HOME4U」は、22年の実績を誇る老舗の不動産査定サイトで、住宅ローンが残っている家を売る際のパートナー会社を効率的に探すことができます。

問い合わせの際に、ローンが残っていること、住み替えを希望していることなど、状況を伝えておくとスムーズでしょう。

HOME4U」なら、家の所在地や広さなど必要最低限の情報を入力するだけで、最大6社の不動産会社から査定価格をまとめて取り寄せることができます。

査定額を比較し、ローン返済のシミュレーションを行うことで、無理なく家を売却できるはずです。

ローンが残っている家を売るのであれば、ぜひ「HOME4U」をご利用ください。

2.オーバーローン中の家を売る方法とポイント

人指し指を立てるビジネスマン

家の売却益だけでローンを完済できない「オーバーローン」でも、何らかの方法で残債を返済できれば、家を売ることが可能です。

本章では、ローン返済中の家を売る方法に加えて、返済のパターンやポイントを解説します。

2-1.家の売却方法には「売り先行」「買い先行」がある

家の売却金額で住宅ローンを完済できないオーバーローンの状態なら、先に旧居を売る「売り先行」がおすすめです。

一方で、新居の購入を先に行う「買い先行」は、二重ローンを支払う金銭的な余裕がある方に向いています。

新居への引越し、内覧対応、家の引き渡しをスムーズに行える点が、買い先行のメリットです。

住宅ローンが残っている家を売る際には、金銭的な負担が重い二重ローンを可能な限り回避するとともに、オーバーローンになったときの対処法を知っておくことが大切です。

2-1-2.二重ローンを防ぐ「売り先行」

26_売り先行の流れ

住み替えなどに伴い、新たな住宅を購入してローンを組む場合に、売却より先に購入を行うと、旧居と新居、両方のローン支払いが生じる二重ローンの状態になります。

二重ローンは返済負担が重くなるケースが多いため、住宅ローンが残っている家を売却する際には、旧居の売却を先に行うのが一般的です。

このような方法を、「売り先行(売却先行)」と呼びます。

売り先行のメリットは、以下のとおりです。

【売り先行(売却先行)のメリット】

  • 今の生活を維持できる
  • 新たな住宅ローンの返済が発生しない
  • 買い替えの資金計画が立てやすい
  • 物件の売り出し期間に余裕を持てる
  • 買主をじっくり選ぶことができる

「売り先行」では、今の家に住みながら売却活動を行います。

したがって、物件がなかなか売れなくても、二重ローンや新居の家賃に悩まされることはありません。

また、焦らずじっくりと買主を選べるため、希望の金額での売却を実現しやすいのも、「売り先行」のメリットです。

しかし、家に住みながら内覧対応をしなければならない、スケジュール管理にやや手間がかかる、といったデメリットもあります。

2-1-2.新居の購入を先に行う「買い先行」

26_買い先行の流れ

新居の購入を先に行い、旧居の売却をあとで行う方法を「買い先行(購入先行)」と呼びます。

住宅ローンが残っている場合でも、金銭的に余裕があるなら「買い先行」で住み替えを行うことも可能です。

買い先行の主なメリットは、以下のとおりです。

  • 気に入った住宅を好きなタイミングで購入できる
  • 旧居は空き家になるため内覧対応が楽である
  • 売却後の引き渡しがスムーズにできる

買い先行での売却を検討しているなら、あらかじめ二重ローンに耐えられる貯蓄をしておきましょう。

不動産売却塾 コラム

“事情がある場合は「つなぎ融資」を利用”

住宅ローンが残っているものの、「転勤で早く引越さなければならない」、「新築物件に買い替えるため購入時期が決まっている」などの理由で購入を先に行わなければならない方もいます。

そのような方は、つなぎ融資を利用して、購入を先に行うのも選択肢の一つです。

【つなぎ融資とは】

一時的な資金不足を補うために利用する、短期の融資のことを指します。購入物件の代金支払いが売却物件の代金受領よりも先になった場合など、資金繰りが苦しいときに利用します。

ローンが残っているときは「売り先行」が原則ですが、つなぎ融資を使うと例外的な対応が可能であることを知っておきましょう。

2-2.住宅ローン返済の3つのパターン

オーバーローンの場合、旧居の住宅ローンの返済パターンは、以下の3通りです。

  • 自己資金で残債を返済する
  • 住み替えローンを利用して残債を返済する
  • 任意売却する

それぞれの返済方法についてわかりやすく解説します。

2-2-1.自己資金で残債を返済する

オーバーローンであっても、貯金などの自己資金で住宅ローンを完済できれば、住宅ローン支払い中の家の売却が可能です。

自己資金でローン残債を一括返済する場合には、事前に返済方法を金融機関に相談しましょう。

その際に大切なのは、売却に要する費用を見込んでおくことです。

不動産の売却時には、売却代金の約4%の諸費用がかかります。

不動産売却時にかかる大きな費用は、不動産会社への成功報酬である仲介手数料です。

そのほかにも、売買契約書に課される印紙税、抵当権抹消にかかる登録免許税、司法書士への依頼手数料などが発生します。

2-2-2.住み替えローンを利用して残債を返済する

「住み替えローン」とは、旧居のローン残債と新居の住宅ローンをまとめて借り入れできるローン商品のことです。

住み替えローンを利用できれば、自己資金が足りないオーバーローンの状態でも、ローンを完済して抵当権を抹消することができます。

住み替えローンを利用する場合には、仲介を依頼する不動産会社に相談してみましょう。

不動産会社の担当者から、「どのくらいの借入が可能なのか」「住み替え先の物件はいくらくらいが妥当か」といったアドバイスをもらえます。

ただし、住み替えローンでは、購入物件の担保価値を上回る金額のローンを組みます。

金融機関からすると、万一の場合に融資額を回収できないリスクが大きいため、住み替えローンは審査が厳しい傾向にあり、融資を受けるハードルは高くなる傾向にあります。

また、住み替えローンは月々の返済の負担が重い「借り過ぎ」の状態になるため、自己資金が足りない方には、あまりおすすめできません。

基本的には貯金などから返済することを優先し、それが難しければ、住み替えローンの利用を検討しましょう。

2-2-3.任意売却する

住宅ローンを払えなくなって家を売却する」という方や、自己資金がなく住み替えローンも使えない方が、住宅ローン支払い中の家を売る方法の一つが任意売却です。

任意売却のメリット・デメリットは以下のとおりです。

任意売却のメリット

  • 競売や自己破産と異なり、プライバシーを守れる
  • 競売よりも高く売れる
  • 月々の返済額を減らせる
  • 費用をかけずに売却できる
  • 売却条件に自身の意向を反映できる

任意売却のデメリット

  • ローンの連帯保証人に迷惑がかかる
  • ブラックリストに掲載される可能性がある
  • 売却期間に限りがあり、早く売らないと競売になる
  • 売却価格が相場よりも低い
  • しばらく新規のローンが組めなくなる

返済が滞り、住宅ローンの支払いができなくなると家の競売や自己破産につながります。

住宅ローンの支払いが厳しい場合は、家を差し押さえられる前に任意売却を検討しましょう。

任意売却で家の売買を行う場合は、住宅ローンを借りている金融機関の同意が必要です。

返済状況や経済状況から金融機関が任意売却を認めた場合は、住宅ローン返済中の方でも家の売却活動を行えます。

参考:“任意売却パンフレット”. 独立行政法人住宅金融支援機構

2-3.オーバーローンで使える税金特例

オーバーローンで家を売却する場合、「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(以下、譲渡損失の売却特例)」を適用できるケースがあります。

譲渡損失の売却特例は、オーバーローンの額を給与所得などほかの所得から控除することができる特例です。

【例】
オーバーローンの額が200万円で、給与所得が800万円だったとします。
このとき、確定申告で損益通算と呼ばれる手続きをすると、給与所得800万円から200万円を控除することが可能です。

800万円から200万円を控除すると、その年の所得は600万円になります。
会社は800万円の所得を前提に税金を給与天引きしていましたが、その年の所得は600万円だったため、払い過ぎの税金を取り戻すことができるのが、譲渡損失の売却特例です。

なお、本控除は2023年(令和5年)12月31日までに住宅ローンのあるマイホームを住宅ローンの残高を下回る価額で売却して損失(譲渡損失)が生じたときに申請が可能であり、2024年(令和6年)1月1日以降の売却には適用できないため、注意が必要です。

参考:“No.3390住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)”. 国税庁

3.アンダーローンの家を売る方法とポイント

ここでは、アンダーローンの家を売る方法と税金についてのポイントを解説します。

3-1.アンダーローンなら売却金額で住宅ローンを完済できる

アンダーローンの場合は、売却金額で住宅ローンを完済できます。

不動産の売却では原則、住宅ローンを完済して抵当権を抹消する必要があるため、引き渡し日に買主から売却金額を受領したと同時に、住宅ローンの完済手続き・抵当権抹消登記を行います。

家の売却にはさまざまな費用がかかるため、仲介手数料や司法書士への報酬支払いに困らないよう、事前に必要な費用を計算しておくと安心です。

新居への住み替えを行う場合は、住み替えの方法についてもしっかりと考えておきましょう。

前述のとおり、住み替えの方法には、今の家の売却から始める「売り先行」と、新居の購入から始める「買い先行」があります。

3-1-1.売却金額を次の購入資金に充てられる「売り先行」

アンダーローンの場合にも、住宅ローンが残っている状態には変わりありません。

したがって、売却金額を次の購入資金に充てられる「売り先行」で家を売るのがおすすめです。

転居先に賃貸を予定している場合でも、月々の支払いを増やさないために、先に家を売ってローンを完済してから引越しすることをおすすめします。

3-1-2.新居の購入を先に行う「買い先行」

アンダーローンの家を売る方法としては、買い先行も選択できます。

ただし、新たな住宅ローンを組むことを前提に「買い先行」を選択した場合、家が売れるまでの間は、二重ローンの状態になってしまいます。

買い先行の一時的な資金不足の解消として、つなぎ融資を選択することも可能です。

つなぎ融資とは、住宅ローンが実行されるまでに必要な資金を融資してくれる短期的なローン商品のことです。

つなぎ融資を希望する場合には、「つなぎ融資を取り扱っている不動産会社」を選ぶことが重要です。

3-2.アンダーローンで使える税金特例

アンダーローンの家の売却益には、所得税や住民税などの「譲渡所得税」が課されます。

少しでも税金を抑えるためにも、確定申告をして税金の特例を利用しましょう。

アンダーローンのときに使える税金特例は、以下のとおりです。

  • 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
  • 所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

軽減税率の特例は、3,000万円の特別控除の特例と併用可能です。所有して10年を超えるマイホームを売却し、3,000万円の特別控除の特例を適用しても、なお譲渡所得がプラスとなるような場合に利用します。

参考:
“No.3302マイホームを売ったときの特例”. 国税庁
“No.3305マイホームを売ったときの軽減税率の特例”. 国税庁

アンダーローンの家を売るなら、まずは不動産会社に査定依頼をしましょう。

信頼できる不動産会社を探すには、NTTデータグループが運営する不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」の利用がおすすめです。

あなたのお家いくらで売れる?

不動産売却 HOME4U」なら、簡単な情報を入力するだけで、全国の優良不動産会社2,300社のなかから、最大6社を選んで査定依頼ができます。

不動産の査定価格には、数百万円もの差が生じる可能性もあるため、「HOME4U」を活用し、複数社の査定結果や対応を慎重に比較検討しましょう。

4.住宅ローン返済中に離婚した場合の注意点

住宅ローン返済中に離婚した場合、金融機関に相談のうえ、建物の所有名義を変えることはできますが、ローンの名義人や連帯保証人を変えるのは難しいケースが多いです。

本章では、離婚に伴い家の売却をする場合の注意点をわかりやすく紹介します。

4-1.不動産の名義人・住宅ローンの契約者を確認する

はじめに、法務局で不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得して不動産(土地・家)が誰の名義になっているかを調べましょう。

ただし、「不動産の名義人」と「住宅ローンの名義人」は異なる場合があります。

住宅ローンの返済を行うのは、「住宅ローンの名義人」です。

なお、住宅ローンの支払いに関わる方には、主に以下のような種類があります。

  • 主債務者:住宅ローンを借りた本人、返済義務を負う
  • 連帯債務者:住宅ローンが存続する限り、連帯して返済義務を負う
  • 連帯保証人:債務者がお金を返せない場合にのみ、返済義務を負う

4-2.離婚した場合、ローン残債は財産分与の対象になる

結婚してから購入した一戸建て、マンションなどの不動産は、単独名義でも共有名義でもローン残債を含めて離婚時の財産分与の対象になります。

不動産の財産分与の方法は、以下のとおりです。

  • 不動産を売却して現金で分ける
  • 不動産の評価額の半分を現金で渡す
  • ほかの財産で不動産分に相当する財産を補てんする

4-3.離婚しても連帯保証人の解除は難しい

例えば、夫名義で不動産を購入し、妻が連帯保証人になっている場合、離婚をしてもローンが残っている状態であれば連帯保証人の解除は難しいといえます。

なぜなら、住宅ローンを貸している金融機関にとって、名義人の離婚は住宅ローンとは関係ないとみなされるからです。

離婚時に連帯保証人を解除したい場合、金融機関に相談のうえ、以下の対応が必要です。

  • 住宅ローンを繰り上げ返済で完済する
  • 住宅ローンを借り換える
  • 対象の不動産を売却する

住宅ローンの繰り上げ返済や借り換えには、金融機関によって費用が必要なケースもあるので注意しましょう。

4-4.共有名義の場合、名義人全員の同意がないと売れない

一戸建てやマンションなどが夫婦共有名義であり、離婚時に夫や妻のどちらかが家に住み続けたいと主張した場合には、家を売却することはできません。

家の売却には、必ず名義人全員の同意が必要です。

参考:“民法第251条第1項・第252条第1項”. e-Gov法令検索

4-5.住宅ローンを残したまま住み続けることはできる?

子どもの学校や通勤距離などの事情から、離婚後に夫と妻のどちらかが家に住み続けるケースはよくあることです。

ただし、以下の項目がどのようになっているかによって、必要な手続きや離婚後のお金のやり取りが大きく変わってきます。

  • 「家の名義人」と「住宅ローンの名義人」は誰なのか
  • 家に残る側にどのくらいの経済力があるのか
  • 最もシンプルな手続きはどのような方法なのか など

例えば、夫側の問題で離婚にいたったものの、子どもと一緒に家に残る妻の収入が高くない場合を考えてみましょう。

このケースでは、ローンの名義人である夫が慰謝料などの代わりに、住宅ローンを返済し続ける形が一般的です。

ただし、後述するように金融機関から無断賃貸を問われ、トラブルが起こる可能性もあります。

また、妻と子どもが家を出ていき、債務者である夫が家に残ってローンを払い続ける場合は、取り決めにしたがって毎月妻が夫にローンを払い続ける選択もできます。

妻が子どもの親権を持つ場合、住宅ローンの支払いと養育費を相殺することも選択肢の一つです。

離婚時に不動産がオーバーローン(アンダーローン)だった場合はどうする?
財産分与の観点からすると、負債であるローンを離婚時に折半する必要はありません。
ただし、離婚後も住宅ローンの名義人がローンを返済し続ける必要があります。

一方で、家の売却金額が住宅ローン残債を上回るアンダーローンの場合は売却益から残債を引いた金額が財産分与の対象になります。

家を売却して現金化してから財産分与を行う、などのケースもあり、最適な選択は状況によって異なるため、離婚時にローン中の家をどうするのかは、財産分与の際にしっかり話し合うことが大切です。

5.ローン中の家を貸すならまずは金融機関に相談を

せっかく家を買ったのに転勤になってしまい、家を空けなければならないケースもあるかもしれません。しかし、住宅ローン返済中に無断で第三者に家を貸すことは避けましょう。

5-1.家を賃貸に出すなら金融機関に相談を

ローン中の家を貸す際には、はじめに金融機関に相談してください。

通常、居住用の住宅ローンの契約では、住宅ローンの名義人が「居住すること」を前提にローンを契約します。

そのため、住宅ローン返済中に本来の目的以外の用途で家を使う場合は、金融機関の許可が必要です。

「急に家を空けることになったため、賃貸に出したい」「誰かに住んでもらって、家の劣化を防ぎたい」と考えるのは当然の心理といえますが、自己判断で賃貸に出して金融機関とトラブルを起こさないよう、十分に注意しましょう。

5-2.賃貸用の住宅ローンへの切り替え

住宅ローン返済中の家を賃貸に出す場合、賃貸用の住宅ローンへの切り替えを行います。

住宅ローン返済中の金融機関に賃貸用の住宅ローンの取り扱いがなく切り替えができない場合は、ほかの金融機関で借り換えを行い、賃貸用の住宅ローンを新たに組みましょう。

賃貸用の住宅ローンに切り替えるときに注意しなければならないことは、金利です。

賃貸用の住宅ローンは、マイホーム向けの住宅ローンに比べ金利が高くなります。

もし借主がスムーズに見つかる物件であれば家賃収入を得られるため、住宅ローンの返済負担を減らすことも可能です。

しかし、なかなか借主が見つからない物件の場合、住宅ローンの支払いが増えてしまうので賃貸への切り替えは慎重に行ってください。

賃貸に出しても住宅ローンの支払いが厳しいとき、新たに購入したい物件があり二重ローンを避けたいときは家の売却を検討しましょう。

まとめ

ローンが残っているなら、売り先行での売却を選択するのが一般的です。

売却の際には抵当権の抹消と引き渡しを同時に行いますが、抵当権を抹消するには住宅ローンを完済しなければなりません。

住宅ローン返済中の家を売るときのポイントは、以下のとおりです。

  • ローンが完済できるか、ローン残債から査定額を引いて確認
  • オーバーローンになるのか、アンダーローンになるのかを見極める

住宅ローン返済中の家を売却する際は、まず正確なローンの残債の確認と、ローンを完済する計画を立てることが重要です。

ローン残債と家の大体の売却額を把握し、オーバーローンの場合は、自己資金や住み替えローンを利用しましょう。

また、売却後は少しでも負担を減らすために、確定申告を行い「税金の特例」を使うことをおすすめします。

住宅ローン返済中の家を売りたい方は「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」を活用し、信頼できる不動産会社に査定を依頼しましょう。複数社の査定額や対応を比較して、仲介を依頼する不動産会社を決めることが大切です。

この記事を読んで、「査定を依頼してみようかな」と感じた方は、以下のボタンから売却したい地域を選択して一括査定依頼をしてみてください。

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