更新日:2024.02.22 不動産売却のノウハウ, 住宅ローン 住宅ローンが残っている時の住み替えの注意点は?購入物件でもローンは組める? 家を住み替える場合、気になるのが残っている住宅ローンの扱いです。 住宅ローンが残っている物件は、売却で住宅ローンを完済することで家を売ることができます。 また、「住み替えた家で再び住宅ローン控除を利用できるのか」も、気になるところですよね? 住宅ローンが利用できる期間はどれくらいなのか、住宅ローン控除を利用できないケースもあるのか等を心配している方も多いのではないでしょうか。 そこでこの記事では、「住み替えたいけれど、まだ自宅の住宅ローンを払っている方」のために、 不動産売却する時の注意点や流れ 買い替えた物件での住宅ローン控除の利用の可否 などを中心に解説していきます。 ぜひ最後までおつきあいいただき、上手に住み替えるための第一歩を踏み出してください。 また、一戸建てが売れず困っている場合は『今売っている一戸建てが売れない10の理由と対策』もご覧ください。 「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格”を見つけましょう 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます 完全無料一括査定依頼をスタート この記事の執筆者 竹内 英二 不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。 (株)グロープロフィット Contents1.住み替え前に住宅ローンの完済は必要か?2.住み替え前の住宅ローン残債の状態3.オーバーローンのときに使える住み替えローンとは4.住宅ローンが残っているときの住み替えの流れ5.住宅ローンが残っている物件を売らずに賃貸できるか?6.住み替えで住宅ローン控除は利用できるか?6-1.住宅ローン控除が利用できるケース6-2.住宅ローン控除が利用できないケース7.住み替えで住宅ローン控除が利用できる期間8.譲渡損失の買換え特例と住宅ローン控除を併用したときの期間をシミュレーションまとめ 1.住み替え前に住宅ローンの完済は必要か? 住み替え前に住宅ローンの完済しておくことは不要です。 住宅ローンが残っている物件は、売却と同時に住宅ローン残債を一括返済することで売ることができます。 住宅ローンが残っている物件には、抵当権と呼ばれる銀行の権利が設定されています。 抵当権とは、債権者(お金を貸している人)がその抵当物件から優先的に弁済を受けることができる権利のことです。 通常、抵当権が残ったままの物件を購入する第三者はいないため、売却には抵当権を外すことが条件となります。 一方で、抵当権を外すには売却してその代金を持って銀行に残債を一括返済することが必要です。 買主は抵当権を外さないと購入できない、売主は売却しないと抵当権を外せないことから、買主の代金支払いと売主の抵当権抹消は同日に行うことになります。 抵当権を外すには、抵当権を抹消するための書類が必要です。 抵当権抹消の必要書類は売主が住宅ローンを借りている銀行が保有しています。 そのため、引渡日は売主の銀行担当者も引渡の現場に同席することが通常です。 売主の銀行担当者は、買主から売買代金の入金があったことを確認すると、その場にいる司法書士に抵当権抹消書類を渡します。 また、同時に売主も司法書士に所有権移転に必要な書類を渡します。 司法書士は売主の不動産会社が手配することが一般的です。 必要書類を受け取った司法書士は、すぐにその足で法務局に向かい、抵当権抹消と所有権移転の登記手続きを行うことになります。 このように、抵当権の抹消と売却は同時に行うため、売却前に住宅ローンを完済しなくても家を売ることはできるのです。 2.住み替え前の住宅ローン残債の状態 住宅ローンが残っている物件は、査定によって売却額で住宅ローンが完済できるかどうかを確認することが必要です。 住宅ローン残債が残っている家を売るには、オーバーローンかアンダーローンかで対応が異なります。 オーバーローンとは住宅ローン残債が売却額を上回っている状態のことです。 それに対して、アンダーローンとは住宅ローン残債が売却額を下回っている状態を指します。 アンダーローンであれば、通常通り売却できるため、特に問題ありません。 一方で、オーバーローンで住み替えを行うには、住み替えローンを利用する必要があります。 住み替えローンについては、次章で詳しく紹介します。 オーバーローンかアンダーローンかを見極めるには、住み替え対応の実績が豊富な信頼できる不動産会社に査定を依頼することがポイントです。 住宅ローンが残っている不動産を売却するには、ローン残債の状況に応じて適切に売却をフォローしてくれる実績豊富な会社に仲介を依頼するのが、何と言っても安心ですよね。 ただ、そうは言っても一般の方がどの不動産会社が適切なのかを見極めるのは、相当困難でしょう。 そんな時に便利なのが、NTTデータグループが運営する「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」です。 運営元のNTTデータグループが、過去の実績などを元に全国の不動産会社を厳しく審査しており、売りたい物件の所在地や広さなどを入力すると、そのエリアで対応可能な優良不動産会社が瞬時にピックアップされる仕組みとなっています。 複数の不動産会社が見つかった場合には、できるだけ多くの会社から査定を受けると、どの会社が一番高く売ってくれそうなのかがわかるため、住み替えを有利に進める足掛かりになります。 ぜひ「不動産売却 HOME4U」を上手に活用して、住み替えのサポートが充実している不動産会社を見つけるようにしてください。 3.オーバーローンのときに使える住み替えローンとは 住み替えローンとは、売却で返済しきれなかったローン残債を次に購入する物件に上乗せする形で借りるローンのことです。 住み替えローンを使えば、オーバーローンでも売却できるというメリットがあります。 貯金を切り崩さなくても、住宅ローン残債を一括返済できる点もメリットです。 ただし、住み替えローンは取り扱っている銀行が少なく、審査条件が厳しい点がデメリットとなります。 また、住み替えローンは、購入物件の引渡日にローンが実行されるため、売却物件と購入物件の引渡日を同日に行うことが必要です。 4.住宅ローンが残っているときの住み替えの流れ 住み替えの流れには、売却を先に行う「売り先行」と購入を先に行う「買い先行」の2種類があります。 売り先行と買い先行のメリットとデメリットを表すと以下の通りです。 住み替え方法 メリット デメリット 売り先行 売却代金の入金後に購入ができるため、資金負担が軽い。 同時に2つの物件を保有しないため、維持費の負担が軽い。 売却と購入のタイミング調整が難しい。 住みながらの売却となるため、売りにくい。 買い先行 引っ越しが一回で済む。 空き家の状態で不動産会社に売却を任せられるため、売りやすい。 住宅ローンが残っている物件では二重ローンが発生する。 維持費が売却物件と購入物件でしばらく同時に発生する。 住宅ローン残債が残っている物件を売るには、経済的な負担が軽い売り先行を選択することが一般的となります。 売り先行で売却と購入の引渡日を同日にするようなイメージの流れを示すと、以下の通りです。(住み替えローンを利用しない場合は引渡日を同日にする必要はありません。) 売却では、売却活動の開始から売買契約の締結まで3ヶ月程度かかります。 売り先行は、完全に売却だけを先に行うのではなく、購入もほぼ同時並行で行っていくことがポイントです。 5.住宅ローンが残っている物件を売らずに賃貸できるか? 住宅ローンが残っている物件を売らずに賃貸することは原則できません。 住宅ローンは銀行との契約で資金使途が定められており、その資金使途は「自宅の購入」です。 住宅ローンを借りて建てた物件を他人に貸すと「投資物件の購入」となり、銀行との契約の間で資金使途違反となります。 例外として、転勤等の必要やむを得ない理由で一時的に賃貸を行う場合には、銀行に了解を取ることで賃貸することは可能です。 単純に今の家を住み替えるだけの理由の場合には、住宅ローンが残っている物件を売らずに賃貸することはできないことになります。 6.住み替えで住宅ローン控除は利用できるか? 「住み替えで住宅ローン控除は利用できるのか」、気になる方もいらっしゃるでしょう。 本章では、「利用できるケース」と「できないケース」を解説していきます。 6-1.住宅ローン控除が利用できるケース 住み替え後の購入物件で住宅ローン控除を利用するには、以下の2つの条件を満たす必要があります。 住宅ローン控除が利用できる物件を購入すること 売却物件で節税系の特例を利用しないこと 1つ目の条件として、住宅ローン控除を利用するには、まず購入物件で「返済期間が10年以上の住宅ローン」を新たに組むことが必要です。 また、購入する建物の要件としては、以下の要件を満たす必要があります。 種類 要件 新築物件 住宅を新築、または新築住宅を取得し、2009年(平成21年)1月1日から2025年(令和7年)12月31日までにその住宅を自己の居住の用に供すること。 工事完了の日または取得の日から6ヶ月以内に、自己の居住の用に供すること。 床面積が原則50平米以上であること。 居住用と居住用以外の部分(例えば店舗など)があるときは、床面積の2分の1以上が居住用であること。(この場合は居住用の部分のみが控除の対象となる) 中古物件 中古住宅を取得し、2009年(平成21年)1月1日から2025年(令和7年)12月31日までにその住宅を自己の居住の用に供すること。 新築住宅の場合の②~④と同じ。 次のイ・ロのいずれかに該当すること 建築されてから20年(耐火建築物の場合は25年)以内の家屋であること 築後年数に関わらず新耐震基準に適合することが証明されたもの又は、既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入しているもの(その家屋の取得の日前2年以内に保険契約の締結をしたものに限る。) 新築物件は、床面積が原則として50平米以上であれば住宅ローン控除を利用することが可能です。 注意しなければいけないのが、「中古物件」になります。 中古物件は、原則として木造なら築20年以内、鉄筋コンクリート造等の耐火建築物なら築25年以内であることが必要です。 ただし、例外的に「新耐震基準に適合することが証明された物件」や「瑕疵(かし)担保保険に加入している物件」は、築年数に関わらず住宅ローン控除が利用できるようになっています。 新耐震基準に適合することが証明された物件とは、「耐震基準適合証明書」や「等級1以上の住宅性能評価書」を有した物件のことです。 また、瑕疵担保保険とは、売却後、物件に瑕疵(キズの意)が発見された場合、その補修費用の一部を保険料によってまかなうことができる保険になります。 そのため、例えば築20年超の木造戸建て住宅や、築25年超のマンションを購入する場合には、住宅ローン控除を利用できる要件を備えているかどうかを確認することがポイントです。 2つ目の条件として、売却物件で節税系の特例を利用しないことが必要となります。 売却物件では、以下の3つの節税系の特例があります。 3,000万円特別控除 所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例 特定の居住用財産の買換え特例 購入物件で住宅ローン控除を利用するには、売却物件で節税系の特例を利用しないことが条件となります。 売却物件の節税系の特例に関しては、次節で詳しく解説します。 6-2.住宅ローン控除が利用できないケース 住み替えでは、以下のいずれかの要件に該当する場合には、購入物件で住宅ローン控除を利用できなくなります。 住宅ローン控除が利用できない物件を購入している 売却物件で節税系の特例を利用している 1つ目としては、住宅ローン控除の要件満たしていない物件を購入した場合には、当然ながら住宅ローン控除を利用できなくなります。 また、購入物件で10年以上の住宅ローンを組んでいない場合も、住宅ローン控除は利用できません。 2つ目としては、売却物件で節税系の特例を利用している場合には、住宅ローン控除の要件を満たす物件を購入しても、住宅ローン控除を利用できなくなります。 売却物件では、譲渡所得が生じると税金が発生します。 譲渡所得とは売却益のことであり、その求め方は以下の通りです。 譲渡所得 = 譲渡価額※1 - 取得費※2 - 譲渡費用※3 ※1譲渡価額とは売却価額です。 ※2取得費とは、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額になります。 ※3譲渡費用は、仲介手数料や印紙税など、売却に要した費用のことを指します。 例えば、売却物件の売却価格が昔買ったときの購入価格よりも高く売れたようなケースでは、譲渡所得が生じます。 譲渡所得がマイナスの場合は、売却物件の税金は生じないのがルールです。 譲渡所得がプラスの場合、税金は譲渡所得に税率を乗じて求めます。 税金 = 譲渡所得 × 税率 税率は、所有期間によって異なります。 売却する年の1月1日時点において所有期間が5年超のときは「長期譲渡所得」、1月1日時点において所有期間が5年以下のときは「短期譲渡所得」と呼ばれます。 長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率は以下の通りです。 所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率 短期譲渡所得 5年以下 30% 9% 長期譲渡所得 5年超 15% 5% 復興特別所得税の税率は、所得税に対して2.1%を乗じます。 マイホームの売却で譲渡所得がプラスになった場合、一定の要件を満たすと以下のような特例を利用できます。 【売却物件の節税系の特例】 3,000万円特別控除 所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例 特定の居住用財産の買換え特例 ここでは最も良く用いられる3,000万円特別控除を解説します。 3,000万円特別控除を利用すると、譲渡所得から3,000万円を控除して計算することが可能です。 譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円 3,000万円特別控除の効果は非常に大きく、譲渡所得がゼロ円(マイナスもゼロ円の扱い)となることも多いです。 譲渡所得がゼロ円になれば、売却物件で税金は発生しないことになります。 ただし、売却物件で節税系の特例を利用すると、同時に購入物件で住宅ローン控除を利用できないというルールがあります。 正確にいうと、購入物件に入居した年の他、その前年または前々年あるいはその翌年またはと翌々年に節税系の特例を適用すると購入物件の住宅ローン控除は利用できません。 売却物件で節税系の特例を利用するか、もしくは購入物件で住宅ローン控除を利用するかは、いずれか有利な方を選択することになります。 条件にもよりますが、一般的には購入物件で住宅ローン控除を使った方が節税効果は大きくなることが多いです。 売却物件で譲渡所得が出てしまった人は、どちらを選択するか慎重に検討した上で決めるようにしましょう。 7.住み替えで住宅ローン控除が利用できる期間 住み替えで新たに住宅ローン控除が利用できる期間は、「原則10年」です。 例えば、新築から10年間住宅ローン控除を受けてきた人が物件を売却し、新たに住宅ローン控除の要件を満たす物件を購入した場合、再び10年間の住宅ローン控除を利用することができます。 新たに物件を購入して新たなローンを組めば、再び条件がリセットされ何度でも利用できるという点が、住宅ローン控除の「旨み」です。 住宅ローン控除が利用できる期間は原則10年ですが、一定の要件を満たすと13年間の控除を受けることが可能です。 13年間の控除が受けられるケースとしては、以下の場合が挙げられます。 消費税10%が適用される物件を購入する 注文住宅は2020年(令和2年)10月1日~2021年(令和3年)9月30日、分譲住宅等は2020年(令和2年)12月1日~2021年(令和3年)年11月30日までの契約が対象 2019年(令和元年)10月1日から2022年(令和4年)12月31日までに入居する 13年の控除を受ける要件としては、「消費税10%が適用される物件を購入する」ことがポイントです。 例えば、個人から中古住宅を購入した場合、消費税は発生しないため、13年間の控除は適用できず原則通り10年間のみとなります。 13年間の控除が適用される場合は、11年目から13年目までの3年間の控除限度額の計算方法が原則とは異なります。 11年目から13年目までの控除限度額は以下の通りです。 次のいずれかの少ない方の金額となる。 借入金年末残高 × 1% 建物購入価格 × 2% ÷ 3 住宅ローン控除の適用期間については、以下の国土交通省のホームページをご参照ください。 参照:【国土交通省】住宅ローン控除 尚、居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(以下、「譲渡損失の買換え特例」と略)を利用する場合には、住宅ローン控除が利用できる期間は10年間よりも短くなります。 譲渡損失の買換え特例を利用した場合の住宅ローン控除のシミュレーションについては、次章で詳しく解説します。 8.譲渡損失の買換え特例と住宅ローン控除を併用したときの期間をシミュレーション マイホームの売却では、売却時に譲渡損失が発生することが多いです。 譲渡損失とはマイナスの譲渡所得のことを指します。 譲渡損失 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 < ゼロ円 譲渡損失が発生した場合、一定の要件を満たすと譲渡損失の買換え特例という税金の還付を受けることができる特例を利用することができます。 譲渡損失の買換え特例は、例えば給与所得600万円の人が譲渡損失▲900万円を生じさせた場合、その年の所得を損益通算によって▲300万円とする特例のことです。 給与所得者の場合、会社が年間所得を600万円として源泉徴収を行っているため、払い過ぎていた税金が確定申告をすることで還付されるという仕組みになります。 損益通算によって控除しきれなかった損失は、その後3年間繰り越すことが可能です。 譲渡損失の買換え特例は節税系の特例ではないため、購入物件の住宅ローン控除と併用して利用することができます。 譲渡損失の買換え特例と住宅ローン控除を併用した場合の適用期間をシミュレーションすると以下の通りです。 (条件) 売却によって発生した譲渡損失:▲3,300万円 給与所得:毎年800万円 所得税額:毎年63万円 新たな住宅ローン:4,000万円 (シミュレーション) (1年目:売却した年) 1年目年末住宅ローン借入残高:3,800万円 損益通算 = 給与所得 - 譲渡損失 = 800万円 - 3,300万円 = ▲2,500万円 所得がマイナスとなるため、源泉徴収税額63万円が全額戻ってきます。 控除対象の所得税がないことから、住宅ローン控除は行われません。 (2年目) 2年目年末住宅ローン借入残高:3,600万円 繰越控除 = 800万円 - 2,500万円 = ▲1,700万円 所得がマイナスとなるため、源泉徴収税額63万円が全額戻ってきます。 控除対象の所得税がないことから、住宅ローン控除は行われません。 (3年目) 3年目年末住宅ローン借入残高:3,400万円 繰越控除 = 800万円 - 1,700万円 = ▲900万円 所得がマイナスとなるため、源泉徴収税額63万円が全額戻ってきます。 控除対象の所得税がないことから、住宅ローン控除は行われません。 (4年目) 4年目年末住宅ローン借入残高:3,200万円 繰越控除 = 800万円 - 900万円 = ▲100万円 所得がマイナスとなるため、源泉徴収税額63万円が全額戻ってきます。 控除対象の所得税がないことから、住宅ローン控除は行われません。 譲渡損失の買換え特例は打ち止めとなり、残った▲100万円は繰り越せないことになります。 (5年目) 4年目年末住宅ローン借入残高:3,000万円 譲渡損失の買換え特例が適用されなくなった以降は住宅ローン控除が適用されます。 適用期間は、残り6年間です。 5年目から10年間適用されるわけではないということになります。 控除額 = 3,000万円 × 1% = 30万円 本年は、住宅ローン控除によって30万円の所得税が控除されます。 (6年目~10年目) 以降の年は、年末借入金残高に1%を乗じた金額が所得税から控除されていきます。 住宅ローン控除の適用期間は、購入物件に入居した年以降からカウントされることがポイントです。 譲渡損失の買換え特例が適用されている期間もカウントされていることになります。 譲渡損失の買換え特例を利用するには、売却する不動産の所有期間が5年超であることや、購入する不動産で10年以上の住宅ローンを組んでいること等の要件を満たすことが必要です。 詳しい要件については、国税庁のホームページをご参照ください。 【国税庁HP】:No.3370 マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例) まとめ いかがでしたか。 「住み替えと住宅ローン」について解説してきました。 住宅ローン残債は売却と同時に一括するため、売却前に住宅ローンを完済しておくことは不要です。 オーバーローンで住みかえる場合には、住み替えローンを利用できることがあります。 アンダーローンで住みかえる場合は、売り先行を選択することが基本です。 オーバーローンで住み替えローンを利用する場合には、売却と購入の引渡日を一致させる必要があります。 住宅ローンが残っている物件は、基本的に賃貸することはできません。 住み替えでは、売却物件で節税系の特例を利用する場合には、購入物件で住宅ローン控除を利用できなくなります。 さっそく住み替えを進めていきたい方は、不動産会社の査定を受けてみましょう。 不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)なら、最大6社の不動産会社に一括査定依頼ができるため、複数社の査定額を簡単に比較できます。 以下のボタンより、完全無料、最短1分で査定依頼できます。 【無料】一括査定依頼スタート Facebook twitter feedly