更新日:2025.02.21 一戸建て売却ガイド, 不動産売却のノウハウ ローン中の家を貸す方法は?賃貸ローンのリスクや5つの注意点を解説 住宅ローンが残っている家を売りたい、貸したいと思われる方は少なくありません。 転勤などのや無負えない事情で、早急に家のあり方を決める必要がある場合も考えられます。 この記事では、住宅ローン中の家の賃貸について詳しく解説しています。 「賃貸は可能なのか」「賃貸にするリスクはあるのか」を知って、賃貸をするべきなのか判断しましょう。 「家を売りたい」と悩んでいる方へ 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格(※)”を見つけましょう※依頼する6社の中での最高価格 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます 完全無料一括査定依頼をスタート この記事の執筆者 (株)グロープロフィット竹内 英二 Contents1.住宅ローン中の家は原則貸せず、借り換えが必要2.住宅ローンのまま家を貸せる例外的ケース3.賃貸用ローンは負担が重くなる4.賃貸にするか判断する前に考えておくべき3つのこと5.ローン中の家を貸す場合の注意点まとめ 1.住宅ローン中の家は原則貸せず、借り換えが必要 住宅ローン中の家は原則として賃貸に出すことができません。 正確にいうと、賃貸に出すなら住宅ローンを一括返済する必要があります。 住宅ローンは、契約者本人がマイホームを購入するための資金を融資するものです。 賃貸住宅として扱うと、住宅ローン残債分は投資用物件の購入資金となってしまうため、住宅ローンの規約からはずれ一括返済が要求されます。 そのため、住宅ローン中の家を賃貸にする際は、以下2つのパターンをとるのが一般的です。 住宅ローンを自己資金で一括返済する 賃貸用のローンに借り換える 賃貸用のローンは、住宅ローンよりも金利が高くなるため注意しましょう。 ただし、賃貸に出しても例外的に住宅ローンの一括返済が必要ない場合もあります。 例外的なケースについて詳しくは、2章で解説いたします。 “こっそり賃貸にしたらバレない?” 前述の通り、住宅ローンが残った状態で賃貸にするには、基本的に『一括返済』か『借り換え』する必要があります。 ただ、金融機関にこっそり賃貸にしてしまえば、住宅ローンを返しながら賃貸ができるのではないでしょうか? 同じように考える方も少なくないでしょう。 ただ、この行為はとても危険で、もし金融機関にバレた時には規約違反として一括返済を求められる可能性があります。 金融機関は契約者の居住状況をリアルタイムで把握することはできませんが、郵送物で間接的に確認できます。 契約者宛に送られる郵送物は、無事に届かないと宛先不明となり金融機関へ返送されます。 結果、金融機関に引っ越しの事実が知られてしまいます。 2.住宅ローンのまま家を貸せる例外的ケース 以下のようなケースであれば住宅ローン契約を維持したまま、家を貸すこともできます。 転勤などの事情による一時的な賃貸 賃貸併用住宅にした場合の自宅部分 上述したケースでも、住宅ローン契約の継続は、金融機関への交渉次第となります。 賃貸を考える際は、まず金融機関へ相談へ行き、賃貸可能か確認しましょう。 なお、金融機関に黙って賃貸にし引っ越しすることを考える方もいらっしゃいますが、バレる可能性が高いため辞めて置きましょう。 2-1.転勤などの事情による一時的な賃貸 転勤のようなや無負えない事情がある場合は、金融機関に賃貸を認めてもらえる可能性があります。 「やむを得ない事情に該当するか」を金融機関に相談しましょう。 また、あくまでも一時的な賃貸である必要があります。 一定期間で家に戻れる確証がある場合に、家を維持するために住宅ローンを継続させてもらうためです。 転勤のように限られた期間の間だけ家を貸すことを、「リロケーション」と呼びます。 2-2.賃貸併用住宅にした場合の自宅部分 賃貸併用住宅とは、一つ建物を自宅部分と賃貸部分とで併用する住宅です。 自宅部分については、住宅ローンを利用できるため、現在の契約を一部継続させることができます。 ただし、自宅部分の面積が51%以上を占める必要があるなど、一定の要件を満たす必要があります。 3.賃貸用ローンは負担が重くなる 2章で解説した「住宅ローンを継続しながら賃貸を行う例外的ケース」に該当しない場合は、住宅ローンを完済するか、賃貸用ローン(不動産投資ローン)に借り換える必要があります。 ただし賃貸用のローンは、住宅ローンに比べて金利が高く負担が重たくなります。 住宅ローンが残っている場合は借り換えを行いますが、残債が大きすぎる場合は非常にリスクが高まるので注意しましょう。 3-1.金利が高い 賃貸用のローンは、住宅ローンに比べて金利が高くなります。 賃貸用ローンの相場は年率2.5%ほど。対して住宅ローンの最低金利は0.3%程なので、賃貸用ローンの金利が非常に高いことがわかります。 金融機関 金利(固定金利/3年/店頭金利) オリックス銀行 3.30% SMBC信託銀行 3.35% 三井住友信託銀行 3.50% 3-2.手数料と費用がかかる 住宅ローンから賃貸用のローンに借り換える際は、以下のように多くの手数料、費用がかかります。 名目 説明 金額目安 繰上返済手数料 住宅ローンの一括繰り上げ返済にかかる手数料 5,000円~30,000万円 保証会社への事務手数料 保証料の返金がある場合にかかる手数料 10,000万円 抵当権抹消費用 住宅ローン完済後に抵当権を抹消するためにかかる税金 不動産1件につき1,000円(土地と建物は別々の不動産とする) 司法書士に手続きを依頼する際は10,000円~15,000円程度 ローン借入時の事務手数料 賃貸用のローンを組む際にかかる事務手数料 3万円、あるいは借入金額の1~3% 保証料 保証会社を通す必要があり、その際にかかる保証料 借入金額の2% 印紙税 ローンを借りる際の契約書作成にかかる税金 200円~6万円(契約金額により定額) 4.賃貸にするか判断する前に考えておくべき3つのこと ローン中の家を賃貸にするか判断する際は、事前に以下について考えてみましょう。 マンションに戻ってくる予定があるかどうか 管理を委託するかどうか ローンを考慮した資金計画 4-1.マンションに戻ってくる予定があるかどうか 賃貸をする方の中には、数年後にマンションへ戻ってくる予定がある方もいるでしょう。 例えば、一時的な単身赴任の場合は、2~3年程度でマンションへ戻れるかもしれません。 マンションへ戻る予定があるなら、帰る時期に合わせた契約内容にすることができます。 また、住宅ローンを一括返済しなくてもいい場合もある為、賃貸にするか決めやすくなるでしょう。 こうした一時的な賃貸化をリロケーションといいます。 4-2.管理を委託するかどうか 賃貸とするマンションの管理を業者に委託することができます。 管理を委託すれば手間がなくなり、忙しい方でも賃貸を考えやすくなります。 ただ、賃料の5%ほどの管理手数料がかかります。 業者によって管理手数料は異なるので、管理を考える際は複数の業者を比較するようにしましょう。 4-3.ローンを考慮した資金計画 賃貸が現実的か判断するためにも、資金計画を考えてみましょう。 賃貸用のローンに借り換える方は、ローンの返済額も考慮して計画を立てる必要があります。 賃貸には主に以下のような費用がかかります。 解説 費用目安 管理委託料 管理業務の委託にかかる費用 家賃の5~15% 仲介手数料 賃貸借契約が成立した際に不動産会社に支払う費用 家賃の50~100% 火災・地震保険料 賃貸前と同様に火災保険や地震保険に加入する必要がある 年間2~3万円 清掃費・修繕費 入居者が入れ替わる際にかかる清掃費や修繕費 ファミリー向け物件で10万円程 固定資産税 不動産の所有者にかかる税金 固定資産税評価額の1.4% 都市計画税 不動産の所有者にかかる税金 固定資産税評価額の0.3% 所得税 賃貸経営で得た所得に課税される税金 累進税率のため所得により異なる 5.ローン中の家を貸す場合の注意点 ローン中の家を貸す場合の注意点を3つ紹介いたします。 適した賃貸借契約をえらぶ必要がある 資金計画を綿密に立てておく 原状の記録を残しておく 5-1.適した賃貸借契約をえらぶ必要がある 賃貸借契約には、普通借家契約と定期借家契約の2種類の契約方法があります。 普通借家契約は、借主側の意思で何度でも契約更新ができる、借主優位型の契約です。 定期借家契約は、契約更新ができないが、借主と貸主の合意があれば再契約が可能となる、貸主優位型の契約です。 現状、全国のおよそ95%の賃貸は、普通借家契約で結ばれています。 借主が借りやすいうえに長く契約してもらえる利点がありますが、貸主から契約解除することはほぼできず、一生更新が続く可能性もあります。 一方の定期借家契約は更新がなく、貸主が合意しなければ再契約もできないため、家に戻る予定がある人には特におすすめです。 一般的に、定期借家契約は「入居者が入りにくい」「家賃を相場より安くしないといけない」などと言われることがありますが、定期借家契約に慣れている不動産会社を見つけられればその限りではありません。 なおいずれの契約も、契約期間中の解除は原則できません。 5-2.資金計画を綿密に立てておく 人によっては、賃貸経営をしながら、新居を購入し住み替える方もいるでしょう。 そうでない方も、賃貸で生まれる収入と支出を細かく計算し、計画をたてておくことが重要です。 賃貸経営では、仲介手数料や管理費、保険料などの費用がかかります。 また、固定資産税は変わらず支払う必要がありますし、利益に対する所得税と住民税、また事業税がかかります。 募集開始時など、必ず空き室の期間もあるので、それらも考慮して収支計算しましょう。 マンションであれば、同じマンションの別室の賃貸状況を参考に、空き室となるリスクについて考えていきましょう。 地域の平均的な空き室期間や、見込めるリスクなど知りたい場合は、不動産会社への相談も検討してください。 5-3.原状の記録を残しておく 一時的な賃貸をする場合は、貸す前に原状の記録を残しておいてください。 原状とは、貸したときの状態のことです。 家を賃貸すると、借主には退去時に原状回復義務が課されます。 原状回復とは、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」です。 簡単にいうと、借主が「わざと」もしくは「うっかり」壊した部分に関しては、元通りにして返さなければいけないという義務になります。 つまり、賃貸中に借主に壊されてしまった部分に関しては、元通りにするように借主に請求できるということです。 借主が壊したものであることを証明するためには、貸す前に写真等で現状の記録を残しておくことがポイントとなります。 記録がしっかり残っていれば、借主に対して原状回復を請求しやすいのです。 尚、原状回復に関しては、時間の経過で生じる経年劣化や、普通の使い方によって生じる通常損耗の部分については、原則として借主に回復を請求することができません。 原状回復は借主との間でトラブルになりやすい部分ですので、実績のある管理会社に対応を任せることをおススメします。 ローンの完済が見込めるなら、賃貸に出さず売却する手もあります。 家を売却するなら、複数社に査定を依頼するのをおすすめします。 複数社に査定を依頼する際に便利なのが、NTTデータグループが運営する一括査定サイト「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」です。 「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」はカンタンな情報を入力するだけで、全国の優良な不動産会社2,500社のなかから、最大6社を選んでまとめて査定依頼ができます。 信頼できる優良な不動産会社を探すなら、「不動産売却 HOME4U」をぜひご活用ください。 【無料】一括査定依頼スタート まとめ 住宅ローンを返済中の物件は原則的に貸すことはできません。 ただし、転勤等のやむを得ない事情がある場合には、例外的に貸すこともできます。 一時的に貸す場合の注意点としては、「定期借家契約で貸し出す」や「リロケーションの実績のある会社に管理を依頼する」等があります。 管理会社を探すなら、手間をかけずに実績豊富な企業が見つかるNTTデータグループ運営の「賃貸経営HOME4U」の活用がおススメです。 ぜひこの記事で紹介した情報を参考にして、適切な貸し出しができるよう準備を進めていただければと思います。 不動産売却について検討している方は「不動産売却の入門書!売却の全体像から今後の市場動向まで網羅的に解説」の記事をご確認ください。 この記事の執筆者 竹内 英二 不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。 (株)グロープロフィット