土地譲渡の「税金の基礎知識」と「特例の節税」をやさしく解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る
土地譲渡の「税金の基礎知識」と「特例の節税」をやさしく解説

不動産の中でも土地を譲渡すると大きな金額の税金が発生することが多いです。
驚かないようにするためにも、土地譲渡では税金の仕組みを知っておくことが重要です。

マイホームの売却では、過剰な税金の負担がかからないように様々な税金特例があります。
一方で、土地の売却では原則的に節税の特例がありません。

ただし、土地の譲渡でも条件次第では「3,000万円特別控除」と呼ばれる節税の特例を使うこともできます
「3,000万円特別控除」の効果は非常に大きいため、土地の譲渡においても適用できないか検討する価値があります。

そこでこの記事では、土地譲渡における税金の基礎知識と「3,000万円特別控除」が適用できる場合の土地譲渡の2パターンについて解説します。

最後までお読みいただき、土地譲渡の節税の一助となれば幸いです。

1.土地を譲渡したときの税金

1-1.譲渡所得とは

譲渡所得とは個人の所得には、給与所得の他、譲渡所得や不動産所得、事業所得、山林所得、退職所得、利子所得、配当所得、一時所得、雑所得という10種類の所得があります。

このうち、土地やマンションなどの不動産を売却したときに得る所得のことを譲渡所得と呼びます。

譲渡所得が発生すると、「所得税」および「住民税」、「復興特別所得税」の税金が発生します。

譲渡所得とは、土地の売却額のことではありません
譲渡所得は、以下の式で表される購入額との差額になります。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

譲渡価額とは売却額です。
取得費とは土地の購入額になります。
譲渡費用は、仲介手数料や測量費など土地の譲渡に要した費用となります。譲渡費用については「1-2.譲渡費用となるもの」で詳しく解説します。

土地の値段に関しては、バブル時代など今よりも高い時期が存在します。
土地価格が高い時期に購入して、安い時期に売却すると、譲渡所得はマイナスとなることがあります

譲渡所得がマイナスとなれば、所得税等の税金は発生しません。

土地譲渡による税金は、必ずしも常に発生するものではなく、購入や売却のタイミング次第では発生しないという点がポイントになります。

1-2.譲渡費用となるもの

譲渡費用とは、土地や建物を売却するために要した費用です。
譲渡費用は以下のものがあります。

譲渡費用

  1. 売却時の仲介手数料
  2. 売却時の広告費や測量費
  3. 売却時の売買契約書に貼付した印紙税
  4. 売却に伴い発生した立退料
  5. 売却に伴い発生した建物等の取り壊し費用

譲渡所得とは土地を売却するために、境界確定などの測量を行った場合は、その測量費は譲渡費用となります。
境界確定とは、隣地との境界ラインを定めることです。

また、建物を取り壊して土地だけを売る場合にも、建物の取り壊し費用は譲渡費用となります。

測量費用や取り壊し費用等の譲渡費用となり、譲渡所得を小さくする働きがあるため、節税効果のある支出となります。

一方で、土地についている抵当権を抹消するための費用は譲渡費用とはなりません。
抵当権を抹消することと土地を売却することは無関係と解釈されているためです。

ちょっと不思議な感じもしますが、抵当権抹消費用は譲渡費用とならないため、節税効果のない支出となります。

1-3.取得費が不明の場合

相続で親から何代も引き継いでいるような土地や、売買契約書を紛失してしまったような土地など、土地の取得費が分からないケースがあります。

土地の取得費が分からないケースでは、「概算取得費」を用いて算出することが一般的です。
概算取得費とは、譲渡価額の5%となります。

概算取得費 = 譲渡価額 × 5%

尚、概算取得費は法的に強要された計算方法ではありません。
ルール上は、取得費が分からない場合には、合理的な計算方法であれば良いとされています。

土地の取得費が分からない場合には、一般財団法人日本不動産研究所が公表している市街地価格指数に基づいて算出する方法が合理的な計算方法の一つであると認められています。

ただし、市街地価格指数による計算方法は、いかなる場合でも認められるわけではありません。
最終的には税務署に確認しながら取得費を計算するようにして下さい。

1-4.税率

給与所得の所得税は所得が上がるほど税率も上がる累進課税が適用されます。
しかしながら、譲渡所得に関しては、譲渡した年だけ急激に所得が上がる可能性があるため、譲渡所得に対しては累進課税が適用されません。

譲渡所得に対する税率は不動産の所有期間によって決まります。
所有期間が5年超の場合は長期譲渡所得、所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得と分類されます。

それぞれの税率は以下の通りです。

所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率
短期譲渡所得 5年以下 30% 9%
長期譲渡所得 5年超 15% 5%

復興特別所得税に関しては、所有期間に関わらず所得税に2.1%の税率がかかります。

短期譲渡所得の税率が高いのは、短期間で土地の値上がり益を得るような投機的な取引を防止することが目的です。

尚、所有期間は、相続で親の土地を引き継いだ場合は、親の所有期間も引き継ぐことになります。

1-5.譲渡価格2,500万円の場合の計算例

以下のような要件で土地を売却した場合の税金の計算例を示します。

譲渡価額:2,500万円
取得費:不明
譲渡費用:90万円
所有期間:40年(長期譲渡所得)

この例では取得費は不明であるため、概算取得費(譲渡所得の5%)を用います。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
     = 2,500万円 - 2,500万円×5% - 90万円
     = 2,500万円 - 125万円 - 90万円
     = 2,285万円

所得税 = 2,285万円 × 15%
    = 342.75万円

復興特別所得税 = 342.75万円 × 2.1%
        = 7.19万円

住民税 = 2,285万円 × 5%
    = 114.25万円

税金合計 = 所得税 + 復興特別所得税 + 住民税
     = 342.75万円 + 7.19万円 + 114.25万円
     = 464.19万円

所有期間が5年超で取得費の不明な土地を譲渡した場合には、譲渡価額の約2割弱というイメージです。

たまに土地を売却すると2割の税金がかかると表現する人がいますが、その根拠は「取得費が不明で長期譲渡所得の土地」ということになります。

2.マイホームの取り壊しなら適用できる「3,000万円特別控除」

この章ではマイホームの取り壊し後に適用できる3,000万円特別控除について解説します。

2-1.「3,000万円特別控除」とは

3,000万円特別控除とは、マイホームを売却したときに利用することができる特例です。
具体的には、3,000万円特別控除を適用すると、譲渡所得が以下のように計算されます。

3,000万円特別控除を適用した場合の譲渡所得

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

この特例を使って、譲渡所得がマイナスとなるようであれば税金は発生しません。
また、譲渡所得がプラスであっても譲渡所得がかなり小さくなるため、相当の節税をすることができます。

非常に効果の大きい特例であるため、土地の譲渡においても検討する価値が十分になります。

2-2.適用要件

3,000万円特別控除は、マイホームの売却のために設けられている特例であるため、原則、土地の売却では利用することができません。

ただし、マイホームを取り壊した後の土地であれば、3,000万円特別控除を使うことができます

3,000万円特別控除が適用できる不動産は、居住用財産と呼ばれています。
居住用財産の定義は以下の通りです。

居住用財産の定義

  1. 現に居住している家屋やその家屋と共に譲渡する敷地の譲渡の場合
  2. 転居してから3年後の12月31日までに、居住していた家屋やその家屋と共に譲渡するする敷地の譲渡の場合(この間に貸付や事業用に供していても適用となる)
  3. 災害などにより居住していた家屋が滅失した時は、災害のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、その敷地だけ譲渡する場合
  4. 転居後に家屋を取り壊した場合には、転居してから3年後の12月31日までか、取り壊し後1年以内か、いずれか早い日までに譲渡する場合(取り壊し後にその敷地を貸し付けたり、事業の用に供したりすると適用外となる)

上記の要件の中で、「3.」と「4.」が土地でも3,000万円特別控除が適用できるパターンです。

特に、「4.」の場合、ポイントは以下の2つになります。

  • 住宅を取り壊した日から1年以内に売買契約が締結され、かつ、住宅を居住の用に供さなくなった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までにその土地を譲渡したものであること。
  • 住宅を取り壊した後、売買契約を締結した日までその土地を貸付け等の業務の用に供していないこと。

居住用財産の定義、家屋を取り壊した場合

注意点としては、住宅を取り壊した後、駐車場等の貸付けを行ってはいけないという点です。
取り壊した後は、1年以内にすぐに売却するようにして下さい。

2-3.軽減税率もセット適用可能

3,000万円特別控除を適用しても、なお譲渡所得がプラスの場合には税金が発生します。

ただし、取り壊した住宅を10年超所有していた場合には、税率が長期譲渡所得よりもさらに低くなる特例があります。

この特例を「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例(以下、「軽減税率の特例」と略)」と呼びます。

軽減税率を適用した場合の特例は以下のようになります。

所得 所得税率 住民税率 合計税率
6千万円以下の部分 10% 4% 14%
6千万円超の部分 15% 5% 20%

ここで、所得が「6千万円以下の部分」というのは、3,000万円特別控除を適用した後の所得となります。

3,000万円特別控除を適用した後でも、なお6千万円超の所得がある場合には、その6千万円超の部分に対して長期譲渡所得と同じ税率がかかることになります。

3,000万円特別控除を適用でき、なおかつ所有期間が10年超であれば、軽減税率の特例も使えるため、相当節税することが可能となります。

3.相続空き家でも適用できる「3,000万円特別控除」

相続した空き家であれば、取り壊して土地として売却しても、一定の要件満たすものであれば、3,000万円特別控除を適用できます。
この章では土地譲渡で使える相続空き家の3,000万円特別控除について解説します。

3-1.適用要件

通常の3,000万円特別控除は、自分の家を売却したときのみ利用ができます。
ただし、相続した空き家であれば、直前まで親が住んでいた家であっても3,000万円特別控除を適用できる場合があります。

相続空き家の3,000万円特別控除を適用した場合でも、譲渡所得は以下のように計算されます。

相続空き家3,000万円特別控除適用時の譲渡所得

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

相続空き家で3,000万円特別控除を適用するには、以下の要件を満たすことが必要です。

3,000万円特別控除の適用要件

  1. 相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋であること
  2. 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋であること
  3. 区分所有建築物(マンション等)以外の家屋であること
  4. 相続の開始直前においてその被相続人以外に居住していた者がいなかったこと
  5. 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと
  6. 譲渡価格が1億円以下であること
  7. 家屋を譲渡する場合、その家屋が現行の耐震基準に適合するものであること
(取り壊して売却する場合)
  • 取り壊した家屋について相続の時からその取り壊しの時まで事業の用、貸付の用又は居住の用に供されていたことがないこと
  • 土地について相続の時からその譲渡の時まで事業の用、貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと

売却の時期に関しては、相続の開始があった日以後の3年を経過する日の属する12月31日までに譲渡したものに限られます。

3,000万円特別控除、相続した空き家の場合

相続の発生時期と売却期間は以下のような対応関係となります。

相続の発生 売却期間
2013.1.2~2014.1.1 2016.4.1~2016.12.31
2014.1.2~2015.1.1 2016.4.1~2017.12.31
2015.1.2~2016.1.1 2016.4.1~2018.12.31
2016.1.2~ 2016.4.1~2019.12.31

相続空き家の3,000万円特別控除は、「建物も残して売る場合」と「建物を取り壊して売る場合」の2つのパターンがあります。

建物を残して売る場合には、上記「2.」と「7.」に示すように1981年5月31日以前の建物で、かつ現行の耐震基準に適合している必要があるという制限があります。

1981年5月31日以前の建物は旧耐震基準の建物であるため、原則として建物が現行の耐震基準を満たしていません。

建物が現行の耐震基準を満たしていない場合は、3,000万円特別控除を適用するために、わざわざ耐震リフォームをする必要があります。

かなり意地悪な要件となっていますが、実は相続空き家の3,000万円特別控除は、暗に旧耐震の建物は取り壊して売ることを誘導しています。

この特例は基本的に、建物は取り壊して土地として売却した方が使いやすい特例となっています。

1981年5月31日以前に建てられた相続空き家を持っている人は、取り壊して土地として売ることをぜひ検討してみてください。

3-2.特例を利用するための注意点

取り壊して売る場合の要件だけ、再度、以下に示します。

  • 取り壊した家屋について相続の時からその取り壊しの時まで事業の用、貸付の用又は居住の用に供されていたことがないこと
  • 土地について相続の時からその譲渡の時まで事業の用、貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと

上記の要件を満たすためには、とにかく空き家も土地も他人に貸してはいけないという点です。
空き家を他人に貸す、土地を駐車場にする等はともにNGとなります。

売ることが決まっているのに有効活用してしまうと、3,000万円特別控除の適用ができなくなってしまいますので、ご注意ください。

また相続空き家の3,000万円特別控除では、「2-3.軽減税率もセット適用可能」で紹介した「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」は適用できません。

相続空き家は自分のマイホーム(居住用財産)ではないため、軽減税率の特例は適用できないのです。

3,000万円特別控除の譲渡所得がプラスであれば、親の所有期間を引き継ぎ、長期譲渡所得の税率が適用されることになります。

まとめ

いかがでしたか?
土地譲渡の税金について見てきました。

土地は売却時に譲渡所得がプラスになった場合に限り、税金が発生します。
バブル期に高い価格で購入したような土地であれば税金は発生しない可能性が高いですが、取得費が分からないような土地は売買代金の2割弱の税金が発生する可能性があります。

土地であっても、マイホームの取り壊しをともなう場合、また相続空き家を取り壊した場合も、一定の要件を満たしていると3,000万円特別控除を適用することが可能です。

土地の譲渡は税金が高くなる場合があるため、3,000万円特別控除の要件もきちんと理解した上で売却するようにしましょう。

あなたの不動産、いくらで売れる?
無料で複数社から査定価格をお取り寄せ

「不動産を売ろうと思っているけど、何から始めれば良いかが分からない。」

でしたら、不動産会社に査定を依頼してみることから始めましょう。
不動産売却塾を運営している「HOME4U(ホームフォーユー)」は、NTTデータグループが17年以上運営している、複数の不動産会社に無料でまとめて査定を依頼できるサービスです。

他にはない、この顔ぶれ。大手も中小も全国から1,000社以上を厳選!

提携している不動産会社は、厳しい審査を潜り抜けた信頼できる会社のみ。安心して査定をご依頼ください。

▼カンタン1分入力  査定の依頼はここから!▼

SNSでもご購読できます

あなたの不動産、いくらで売れる?
最大6社の大手不動産会社の査定価格をまとめて取り寄せ!

HOME4Uで
無料一括査定