ダブルローンとは?使うメリット・デメリットも解説!

住宅を購入する際にローンを組む方は多いですが、住み替え時に旧居と新居どちらにもローンが組めることをご存じでしょうか。

この記事を読むとわかること

  • ダブルローン利用時のメリット
  • ダブルローン利用時のデメリット
  • 住宅ローン負担を減らすポイント

順番に説明しますので、最後までお読みいただけますと幸いです。

不動産売却の基本的な流れにつきましては、「不動産売却の入門書!売却の全体像から今後の市場動向まで網羅的に解説」をご覧ください。

「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ
  • 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
  • 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格”を見つけましょう
  • 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます

この記事の監修者
秋山 芳生
家計簿アプリマネーフォワードMEの元事業責任者。
複数のベンチャー企業での上場経験を通じて資産構築をしFIREを達成。現在はFPとして講演・執筆・面談を行う傍らYouTube(チャンネル登録2万人以上)で情報発信するなどマルチに活動をしている。
あなたのよしおさんFP相談室

1.ダブルローンとは?

ダブルローンとは?

ダブルローンとは、2つのローンを同時に利用する方法を指します。

ダブルローン期間

既にローンを組んでいる中で新しくローンを組み、二重でローンが発生している状態となります。例えば、現在住んでいる「持ち家」のローンが残っているまま、新しいローンを組むとダブルローンが発生します。

ダブルローンは住宅に限らず、車の買い替えや学費ローン活用時にも発生します。

また、ローン対象が異なっていてもダブルローンは適用されます。例えば持ち家のローンが残っている状態で、車の購入のためにマイカーローンを新規で組むとダブルローンとなります。

2.ダブルローンを使うメリット

ダブルローンを使うメリット

ダブルローンを活用することで、下記の3つのメリットがあります。

2‐1.自分のタイミングで売却や購入ができる

ダブルローンのメリットの一つに、自分の好きなタイミングで住宅の売却や購入ができる点があります。

住宅の住み替えの場合、現在所有している住宅を、新居購入前に売却し、出た利益を購入費用にすることができます。

しかし、旧居をスムーズに売却できるとは限りません。売却益を新居購入費用として使う場合、旧居の売却が完了しない限り条件の良い物件が見つかっても資金不足により購入ができません。

ダブルローンを利用することによって、売却益を元手とせず新居購入が可能となります。そのため売却完了を待たずに気に入った住宅が見つかり次第購入が可能です。

見つけた家を旧居が売れないために諦めるということが避けられるでしょう。また、売却のタイミングが合わず相場よりも安値で売りに出すといった事象もなくなります。

住宅売却の流れや売る方法について、詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

2‐2.仮住まいを用意する必要がない

ダブルローンを組むことで、住んでいる家から新しい家にスムーズに住み替えができます。結果、仮住まいを用意する必要がなくなります。

家の売却と購入を同時に進める場合、買い手への引き渡しの期限内に旧居を出る必要があります。そのため旧居の売却が完了してから新居購入をしない限り、仮住まいが必要な期間が発生します。

仮住まい利用時には、旧居から仮住まいへ、と仮住まいから新居へ、の2回引っ越し費用がかかります。

さらに仮住まい先への家賃や敷金・礼金などの支払いが発生するため、余計な費用と手間がかかることになります。

ダブルローンを利用することで、旧居から新居へ仮住まいを必要とせず住み替えが可能となるため、仮住まいに関しての費用や契約等の手間をおさえることができます。

2‐3.空き家の状態で売却が可能

ダブルローンを組むことで、売却したい物件を空き家の状態で売りに出すことができます。売却資金を元に新居を購入する場合、売却活動は、売り手側が住んでいる状態で行うことになります。

自分の生活空間に内覧者が入ってくると、部屋を掃除したり内覧日程を調整したりと手間と心的負担を要します。

また、購入を検討している内覧者としても、人が住んでいる状態では確認できる範囲に限界があるため満足のいく内覧が出来ない可能性があります。

家具などがない空き家の状態の方が、売り手の負担が少なく、且つ買い手の満足も得やすくなるでしょう。ダブルローンを利用することで、持ち家を空き家にしてから売却に出せるため、良い条件で売却できる可能性が増すといえます。

ダブルローンを活用すると、新しい物件を購入する際に既存の物件を売却する必要がなくなるのはメリット。これにより、住宅の売却や購入のタイミングを自分の希望や市場状況に合わせて柔軟に調整することができたり、空き家の期間を最小限に抑えたりできますね。

仮住まいを用意する必要がなくなるため、節約をすることができるのもポイントです。

ファイナンシャルプランナー 秋山 芳生

3.ダブルローンを使うデメリット

ダブルローンを使うデメリット

ダブルローンを組むと、メリットだけではなくデメリットも発生します。主なデメリットは3つあります。

3-1.審査基準が厳しい

ダブルローンは二重でローンが発生するため、返済金額が増えます。そのためダブルローンを利用するには、単独の住宅ローンよりもさらに審査基準が厳しくなります。

例えば、年間の返済額の割合「返済負担率」が30〜35%以下であることが条件のため、変換負担率の基準を満たしていないとローンが組めません。

また、完済する年齢を70〜80歳までとしている金融機関が多いため、たとえ高収入であっても年齢によっては利用することができません。

さらに過去にローンを滞納した履歴があり、「ブラックリスト」と呼ばれる個人信用情報に滞納や未払い歴が記録されている方は、ダブルローンの審査に通るのは大変難しくなります。

3-2.月々の返済額が増える

ダブルローンでは、毎月数万円~~数十万円の支払いが二重となるため、単純に月々の返済額が大きくなります。返済に充てられる収入や貯蓄に余裕がない限り、ローン組みには慎重になるべきでしょう。

住み替えをされる方にとって、ダブルローンは旧居の売却が完了するまでの一時的な期間のみとなりますが、ローンの返済負担が大きいと「早く家を売却したい」という焦りがうまれやすくなります。

売却値よりも早期売却の優先度が高くなると、相場よりも安値での売却につながり結果損をしてしまうこともあります。

ダブルローンを利用する際は、毎月の返済額をしっかりと確認し無理のない返済計画をたてることが大事です。

3-3.前に住んでいた家を賃貸に出せない

ダブルローンを組むということは旧居のローン返済が継続している状態です。その場合、旧居を賃貸に出すことはできません。

これは住宅ローンを金融機関から借りる条件として、自らが居住することが前提となるからです。そのため旧居を売却に出してから、買い手がつかない期間に賃貸収入を得ることはできません。

ただし、金融機関から賃貸許可が得られれば、例外的に認められることもあります。旧居のローン返済を継続しつつ賃貸に出したいと考えている方は、事前に金融機関へ相談することが望ましいでしょう。

住宅ローンは自らが住むことが前提。ですからダブルローンを組むと、旧居を賃貸に出せず、買い手がつかない期間に賃貸収入を得ることはできません。その上、月々の返済金額が増加したり、単独ローンと比べて審査が厳しくなったり、デメリットもあるため注意が必要です!

ファイナンシャルプランナー 秋山 芳生

4.ダブルローン利用の条件

ダブルローン利用の条件

ダブルローンは誰しもが組めるわけではありません。貸付額が大きくなる分、一定の条件をクリアしていなければ利用ができません。本章ではダブルローン利用の条件を紹介します。

ダブルローンを利用すると、転居時に住み替えやすくはなりますが、ローンの負担がかなり大きくなり危険なこともあります。条件面でダブルローンを組めるかどうかを考えると同時に、現在の収支状況で本当に借りて良いのかもしっかり検討しましょう。

ファイナンシャルプランナー 秋山 芳生

4-1.返済能力があるか

ダブルローンにより、元々組んでいるローンにプラスして新たなローンに対しても返済する財的能力があるかが焦点になります。

ローンの年間返済額の割合を「返済負担率」と言い、この値が30〜35%以下でなければダブルローンは利用できません。

例えば、完済までに金利が変わらないなどの理由で人気の高い「フラット35」で住宅ローンを組む場合、返済負担率をクリアしていなければなりません。

年収 返済負担率
400万円未満 30%以下
400万円以上 35%以下

引用:“長期固定金利住宅ローン 【フラット35】”. 住宅金融支援機構. (参照2024-04-10)

この条件から年収が500万円の家庭でシミュレーションをすると、返済比率は35%のため年間仮入可能金額は175万円となります。ボーナス返済無しの場合、毎月返済額の上限は「175万円÷12カ月」でおよそ14.6万円、仮に現在の住宅ローンの返済額が毎月10万円とすると、残りの貸出可能金は月4.6万円です。

融資を申し込んだ人が返済可能上限年齢まで35年間の猶予があった場合、金利0.5%という低金利でローンを利用できたとしても、借入可能額は約1,800万円です。新居購入には不十分な融資額といえそうです。

この例からも分かるように、年収や現在保有している資産額が大きいほど返済能力があると判断され、借入可能額も大きくなります。

一方で、多くの金融機関が完済年齢を70〜80歳までとしています。そのため高収入であっても、定年前後の年齢でダブルローンを組むと返済期間が短くなり、返済能力が十分ではないと判断される可能性もあります。

4-2.返済期間の条件をクリアしているか

返済能力があるか否かを判断する基準として、各金融機関はダブルローン利用の条件を定めています。具体的には以下の通りです。

ダブルローンを利用できる条件の目安

  • 返済負担率(年収に占めるローンの割合)が基準値を下回っていること
  • 完済時の年齢が70~80歳までであること
  • 現在住んでいる家の売却金で旧居住宅ローン残債を全額返済できること
  • 全額返済できない場合には、預貯金で返済できること

ダブルローンを組む場合おのずと返済額があがるため、これらの利用条件をクリアしていなければローン利用はできません。

利用条件は金融機関によって異なるため、利用を検討する際は必ず各機関へ詳細を確認しましょう。

5.ダブルローンを利用する際の注意点

ダブルローンを利用する際の注意点

ダブルローンを正しく活用するためには、次の2点に注意が必要です。

5‐1.資金に余裕がある場合以外は利用しない

ダブルローンは資金に十分な余裕がない限りは利用しないほうが良いです。ダブルローンを組むということは2重のローン返済が必要になるということです。利子や返済額が増えるため家計にとっては大きな負担となります。

仮に、旧居の住宅に対して月7万円のローン返済をし、追加で新居の住宅へ同額の月7万円の返済をする場合、毎月14万円の返済が必要となります。実際には年収に応じて、ローンを組める額や毎月の返済額の上限などは変わりますが、負担額は確実に増えます。

そのため、返済計画がしっかりと立てられるなど資金に余裕がある場合以外は、ダブルローンの利用は避けたほうが良いでしょう。

5‐2.旧居は住宅ローン控除が適用されなくなる

現在所有している住宅にて「住宅ローン控除」を受けていた場合、ダブルローン活用により控除は適用されなくなります。住宅ローン控除とは、ローン残高に応じて年間で支払う所得税や住民税から一定額が控除される制度のことです。

しかし、住宅ローン控除の条件の一つとして「所有者本人が居住していること」が定められているため、旧居分の控除は適用外となります。

新居へ引っ越すとなれば、たとえ控除期間中であっても控除対象外となります。

一方で、契約者本人が新居へ移り住めば、新居にて住宅ローン控除を受けられるようになります。住宅ローン控除には所得3,000万円以下・返済期間10年以上など、いくつかの要件があります。

「住宅ローン控除」についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

6.ダブルローンの負担を減らすコツ

ダブルローンの負担を減らすコツ

ダブルローンには住み替え面でのメリットが多い一方で、金銭面のデメリットもあり注意が必要です。しかしやり方次第ではローン額の負担を減らすことも可能です。

この章ではダブルローンの負担を減らすコツを2つ紹介いたします。

6‐1.住み替えローンの利用を検討する

現在の持ち家を売却し新しい家を購入する場合「住み替えローン」を利用することができます。住み替えローンとは、今の自宅を売ってもローンを完済できない時に、その残債と新しい家の購入資金をまとめて貸してくれるサービスです。

住み替えローン

ローンが残っている持ち家・新しく購入する住宅への資金・仲介手数料などの諸経費をすべて含めた金額でローンを組むことができます。

ローン組を同じ金融機関を通して行うため、返済額は二重にならない・毎月の返済額を調節できるというメリットがあります。また、ローン残債があることが前提になるため、担保物件に対しより大きな額の貸付を受けることができます。

持ち家のローンと新しく組むローンを一本化したい方、現状手元にある現金を残しておくためにローンを組みたい方には住み替えローンがおすすめです。

さらに詳しく住み替えローンについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

6‐2.少しでも高く前に住んでいた家を売却する

ローンは、物件を購入するタイミングで手元に余剰金がないときに活用します。そのため、所有物件を出来るだけ高く売り、新居購入費用に当てられれば、ローン額を減らすことができます。

少しでも高く持ち家を売却するためには、複数の不動産会社に査定依頼し、査定額と各会社が得意としているエリアや物件を比較、より条件良く売りに出してくれそうな不動産会社を選ぶことが重要です。

複数の会社に簡易査定をお願いする場合は、一括査定サイトの利用がおすすめです。一括査定サービスを活用するとまとめて各社へ査定を依頼してくれるため、時間と手間をかけずに簡易査定まで進めることができます。

不動産会社によって得意物件が異なり、それによって査定額も変わってきますので、少しでも高く売却をするためにも一括査定サイトを使いましょう。

あなたの不動産いくらで売れる?

一括査定にはNTTデータグループが運営する「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」の利用がおすすめです。「不動産売却 HOME4U」は、22年以上の歴史と実績を持つ一括査定サービスで、全国2,300社の不動産会社と提携しています。

一括で査定を依頼できるだけではなく、査定後に自分と相性のいい優良不動産会社を選び、訪問査定をお願いすることもできます。これから不動産査定を行う方は、ぜひ「HOME4U」をご活用ください。

まとめ

ダブルローンを活用することで、旧居を売却するまでなど期間が定まっていれば、新居への住み替え期間を気にせずに売却ができるなどのメリットがあります。一方で、返済負担が増えるため審査が厳しいなどのデメリットがあります。

ダブルローンの負担を減らすためには、売却予定の旧居をできるだけ高値で売り、ローン返済にあてられるようにしましょう。高値で売却するためには複数の不動産会社に査定依頼をし、良い売却条件を提示してくれる会社を選ぶことが重要です。

また、新居購入で旧居を売却したい場合は住み替えローンの利用を検討し、毎月の返済額の調節を借入する銀行に相談する、返済額が二重にならないようにするなどの対応をしましょう。

ダブルローンには、旧居を良い条件で売却できる可能性が増したり、仮住まいを用意したりする必要がなくなるといったメリットがあります。

しかし一方で、旧居を賃貸で貸し出せなくなる、ローン返済額が増え、審査も厳しくなるいったデメリットも。

ダブルローンは家計にとって大きな負担になるため早計に飛びつかず、資金に余裕がないのであれば利用を避け、余裕がある場合であっても、きちんと返済計画を立てて利用しましょう!

ファイナンシャルプランナー 秋山 芳生

この記事のポイント まとめ

ダブルローンのメリットは?

ダブルローンを利用するメリットは下記の3つがあります。

  • 自分のタイミングで売却や購入ができる
  • 仮住まいを用意する必要がない
  • 空き家の状態で売却が可能

詳細は「2.ダブルローンを使うメリット」をご覧ください。

ダブルローンのデメリットは?

ダブルローンを利用した際のデメリットは下記の3つがあります。

  • 審査基準が厳しい
  • 月々の返済額が増える
  • 前に住んでいた家を賃貸に出せない

詳細は「3.ダブルローンを使うデメリット」をご覧ください。

ダブルローンを利用する際の注意点は?

ダブルローンは二重で返済が発生するため負担額が増えます。そのため下記二点に注意が必要です。

  • 資金に余裕がある場合以外は利用しない
  • 旧居は住宅ローン控除が適用されなくなる

詳細は「5.ダブルローンを利用する際の注意点」をご覧ください。

ダブルローンの負担を減らすためのコツは?

ダブルローンの負担を減らすには2つの方法があります。

  • 住み替えローンの利用を検討する
  • 少しでも高く前に住んでいた家を売却する

詳細は「6.ダブルローンの負担を減らすコツ」をご覧ください。