専属専任媒介契約とは?特徴やメリット、注意点などをわかりやすく解説

専属専任媒介契約とは 特徴や注意点を解説

不動産の売却を検討している方にとって、不動産会社との媒介契約は重要なポイントとなるでしょう。媒介契約のなかでも、最も制限が厳しいのが「専属専任媒介契約」です。

この記事では、媒介契約の種類ごとの特徴を解説したうえで、専属専任媒介契約のメリットや注意点、不動産売却の流れなどを紹介します。ぜひ参考にしてください。

この記事を読むと分かること
  • 媒介契約の種類(専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約)と特徴
  • 専属専任媒介契約のメリットと注意点
  • 専属専任媒介契約による不動産売却の流れ
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1.そもそも媒介契約とは?

不動産の「媒介契約」とは、不動産を売買または貸借したい方と、その仲介(媒介)を担当する不動産会社との間で締結する契約のことです。

不動産取引では高額な金銭が動くだけでなく、数多くの書類の作成が求められるため、専門的な知識が欠かせません。また、想定されるさまざまなトラブルを防ぐためにも、不動産会社に不動産売却の仲介を依頼するのが一般的です。

不動産の媒介契約には、大きく分けて以下の3種類があります。

  • 専属専任媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 一般媒介契約

不動産会社との媒介契約の選択は、依頼主(売主)が行ないます。種類ごとに特徴やメリット・デメリットが異なるため、状況や希望に合わせて最適な契約方法を選ぶことが大切です。

次章から、各媒介契約の特徴を詳しく見ていきます。

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2.専属専任媒介契約とは?

契約書

専属専任媒介契約は、不動産の売却・販売活動を1社の不動産会社のみに任せる契約方法です。

専属専任媒介契約を結んだ不動産会社は、契約締結後5日以内に、「レインズ(REINS)」へ物件情報の登録を完了させなければなりません。

レインズとは、不動産流通機構が運営する不動産取引の情報ネットワークシステムです。不動産業界全体が連携し、買主を見つけるのに役立つシステムを構築しています。

レインズについて詳しくは、「レインズ(REINS)とは?仕組み・活用メリットと便利な使い方を解説!」や「レインズを個人(一般人)が見る方法は?仕組みや登録の流れ」をご覧ください。

また、専属専任媒介契約では、不動産会社からの活動状況報告が1週間に1回以上と定められています。これは3種類の媒介契約のなかで最も報告頻度が高く、より丁寧な売却活動が期待できます。

ただし、専属専任媒介契約の契約期間は最長3ヵ月であり、契約期間中はほかの不動産会社との取引ができません。また、売主が自ら買主を見つけ、不動産会社を通さずに売買を行なう「自己発見取引」も禁じられているため、注意が必要です。

参考:“宅地建物取引業法第三十四条の二”. e-Gov法令検索

自己発見取引については、「自己発見取引とは?メリット・デメリットや媒介契約ごとの取引可否」で解説していますので、参考にしてください。

3.専任媒介契約とは?

専任媒介契約は、3つの媒介契約のなかで最も一般的な契約方法です。

専属専任媒介契約と同様に、最長3ヵ月の契約期間を設定し、売主は1社の不動産会社とのみ媒介契約を結びます。専任媒介契約を結んだ不動産会社は、契約締結から7日以内に、レインズへ物件情報を登録しなければなりません。

また、不動産会社の活動状況は、2週間に1回以上と比較的高頻度で受けられます。

一方、専属専任媒介契約との大きな違いとして、自己発見取引が認められている点が挙げられます。売主が自ら買主を見つければ、不動産会社との契約に関わらず、個人間での取引が可能です。

「専任媒介契約は、専属専任媒介契約よりもやや制限が緩い」とイメージするとわかりやすいでしょう。

参考:“宅地建物取引業法第三十四条の二”. e-Gov法令検索

専任媒介契約についてさらに詳しく知りたい方は、「専任媒介契約とは?一般媒介や専属専任媒介との違いやメリット・デメリットを解説」をご覧ください。

4.一般媒介契約とは?

一般媒介契約は、専属専任媒介契約や専任媒介契約と比べて、売主の自由度が高い契約方法です。複数の不動産会社と同時に媒介契約を結ぶことが可能であり、自己発見取引も認められています。

また、契約期間には上限が定められておらず、任意で設定できるのも特徴です。一般媒介契約は、焦らず時間をかけて売却活動を進めたい方に適しています。

ただし、一般媒介契約の場合、不動産会社にはレインズへの物件情報の登録義務や、活動状況の報告義務がありません。

これは、不動産会社にとって利益となる仲介手数料を確実に得られる契約方法ではないため、積極的な売却活動を行なわない可能性があることを意味します。

このような点をふまえると、一般媒介契約は自由度が高いものの、専属専任媒介契約や専任媒介契約のほうが多くのメリットがあると感じる方も少なくないでしょう。

一般媒介契約についてさらに詳しく知りたい方は、「【図解】一般媒介契約のメリット・デメリットとおすすめの人」をご覧ください。なお、仲介手数料については、「6-3.仲介手数料を支払う必要がある」で解説します。

5.専属専任媒介契約のメリット

売買契約書

不動産を売却する際、専属専任媒介契約を結ぶことで、以下のようなメリットを得ることができます。

  • 積極的な売却活動により、売却の成功率を高められる
  • スピーディーな売却が期待できる
  • こまめに売却活動の連絡をもらえるため安心できる
  • 売却を不動産会社に一任できる

ここでは、それぞれのメリットを詳しく解説します。

5-1.積極的な売却活動により、売却の成功率を高められる

前述のとおり、専属専任媒介契約では、取引可能な不動産会社が1社に限定され、自己発見取引も禁じられています。

不動産会社から見ると、ほかの不動産会社や売主自身が先に買主を見つけてしまうリスクがありません。また、契約期間内に取引成立となれば、確実に仲介手数料を得られます。

これらの理由から、専任媒介契約や一般媒介契約と比べると、不動産会社は売却活動により積極的に取り組めるようになります。その結果、売却の成功率も向上するでしょう。

5-2.スピーディーな売却が期待できる

売却までのスピード感も、専属専任媒介契約のメリットです。専属専任媒介契約では、契約後5日以内にレインズへの物件情報の登録が完了し、全国の不動産会社と情報を共有できます。

不動産の購入希望者のなかには、「条件に合う物件があれば知らせてほしい」と不動産会社に依頼している方も少なくありません。そのため、レインズへの登録が早いほど、早期に買主が現れる可能性が高まります。

「少しでも早く、好条件で不動産を売却したい」という方には、専属専任媒介契約が適しているといえるでしょう。

5-3.こまめに売却活動の連絡をもらえるため安心できる

専属専任媒介契約では、不動産会社は週に1回以上、メールや電話、書面などで活動状況を報告する義務があります。

具体的には、不動産会社から売主へ以下のような内容が報告されます。

  • 現在行なわれている売却活動の詳細
  • 物件に関する問い合わせの数
  • 内覧の申し込みの数
  • 内覧希望者や内覧者の興味の程度

「進捗をこまめに連絡してもらうことで安心感が得られる」という方には、専任媒介契約や一般媒介契約よりも報告頻度の高い専属専任媒介契約がおすすめです。

5-4.売却を不動産会社に一任できる

専属専任媒介契約では、1社の不動産会社とのみ契約を行なうので、窓口が一本化されます。

そのため、複数の不動産会社との取引が必要な一般媒介契約と比較すると、売主の手間が軽減されます。専属専任媒介契約では、売却活動を特定の不動産会社に任せられるので、多忙な方におすすめです。

また、内覧対応の抜け漏れなどによる機会損失のリスクも低減されます。

6.専属専任媒介契約を結ぶ際の注意点

家

専属専任媒介契約を結んで不動産を売却する際には、以下のような注意点があります。

  • 機会損失になるリスクがある
  • 自身で購入希望者を見つけても、不動産会社を通さなければならない
  • 仲介手数料を支払う必要がある
  • 契約期間中に売れない場合も想定しておく

それぞれ詳しく見ていきます。

6-1.機会損失になるリスクがある

特定のケースでは、専属専任媒介契約によってほかの不動産会社との取引が制限されることがデメリットになる場合があります。

例えば、売却予定の不動産が以下のような特徴を持つ場合、専属専任媒介契約による窓口の一本化は売却の機会損失につながる可能性があります。

  • 利便性の高いエリアにある
  • 人気のマンションブランドである
  • 築浅物件である

また、専属専任媒介契約では、選んだ不動産会社の販売力が売却結果に影響を与える点にも注意が必要です。

1社のみに任せるのが不安であれば、広く購入希望者を募ることができる一般媒介契約も検討するとよいでしょう。

6-2.自身で購入希望者を見つけても、不動産会社を通さなければならない

専属専任媒介契約では、自己発見取引が認められていません。専属専任媒介契約を結んだあと、売主が自ら購入希望者を見つけた場合でも、不動産会社を通す必要があります。

不動産会社を通すことになれば、仲介手数料も発生します。

6-3.仲介手数料を支払う必要がある

専属専任媒介契約では、取引は必ず不動産会社を通して行なわれます。売買成立時には、不動産会社への仲介手数料の支払いが必要です。仲介手数料は、宅地建物取引業法に基づき、不動産の取引価格に応じて上限が定められています。

具体的には、以下のように不動産の取引価格を「200万円以下」「200万円超400万円以下」「400万円超」の3つに区分し、それぞれの区分で計算した金額の合計が仲介手数料(報酬額)の上限となります。

取引価格(税別) 仲介手数料(報酬額)の上限
200万円以下の部分 取引価格の5%以内(+消費税)
200万円超400万円以下の部分 取引価格の4%以内(+消費税)
400万円超の部分 取引価格の3%以内(+消費税)

ただし、3つの区分に分けて計算するのは、複雑なので理解しにくいかもしれません。より簡単な計算方法として、不動産の取引価格が400万円(税別)を超える場合、以下の計算式でも算出可能です。

仲介手数料=(取引価格×3%+6万円)+消費税(10%)

例えば、不動産の取引価格が3,000万円(税別)の場合、仲介手数料の上限は以下のとおりです。

仲介手数料=(3,000万円×3%+6万円)+消費税(10%)=105万6,000円

参考:
“宅地建物取引業法第四十六条”. e-Gov法令検索
“宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額”. 国土交通省

不動産売買の仲介手数料については、「仲介手数料っていくら必要なの?」「不動産売却の手数料でダマされない!計算式やポイントを解説」の記事も併せてご覧ください。

6-4.契約期間中に売れない場合も想定しておく

専属専任媒介契約は、積極的に売却活動で早期売却を目指せる一方、最長3ヵ月の契約期間終了までに物件が売れるとは限りません。そのため、買主が見つかる前に契約期間が終了する可能性も想定しておきましょう。

また、専属専任媒介契約は自動的には更新されません。契約期間が終了する際は、同じ不動産会社に引き続き依頼すべきかを検討し、今後の対応を適切に判断する必要があります。

参考:“専任媒介契約における自動更新条項”. 公益社団法人全日本不動産協会

7.専属専任媒介契約|不動産売却の流れ

引き渡し

専属専任媒介契約を締結して不動産を売却する際には、以下のような流れで手続きを進めます。

  1. 不動産会社に査定依頼をする
  2. 不動産会社と専属専任媒介契約を締結する
  3. 売却活動を進める
  4. 買主と売買契約を締結する
  5. 決済を確認後、引き渡しを行なう

ここでは、それぞれのステップを詳しく見ていきます。

7-1.不動産会社に査定依頼をする

不動産の売却は、「いくらで売れそうか」を見極めることから始めます。そのためには、不動産会社に査定を依頼するのが一般的です。

不動産会社は、物件のあるエリアの相場や過去の事例などに基づいて、売り出し価格を提案してくれます。ただし、依頼先の不動産会社によっては、査定金額に数百万円もの違いが出ることもあります。

そのため、必ず複数社に査定を依頼し、査定結果や対応の質を慎重に比較検討するのが、高額売却のコツです。

7-2.不動産会社と専属専任媒介契約を締結する

物件の査定結果に納得でき、売却活動を1社のみに任せてもいいと思えたら、不動産会社と専属専任媒介契約を結びます。

なお、自分で買主を見つけられる可能性がある場合は、自己発見取引が可能な専任媒介契約や一般媒介契約を検討しましょう。

7-3.売却活動を進める

専属専任媒介契約を締結すると、不動産会社はさまざまな方法で物件の情報を発信し、購入希望者を探します。

具体的な活動内容の例は、以下のとおりです。

  • レインズへの物件情報の登録
  • 不動産会社のホームページやポータルサイトへの物件情報の掲載
  • 住宅情報誌への広告掲載
  • 不動産会社の店頭での物件案内
  • チラシのポスティング

また、購入希望者からの求めに応じて、内覧への対応も必要です。

購入希望者は、購入するかどうかを1回の内覧で決めることも珍しくありません。そのため、内覧の際にしっかりと質問に答えられるよう準備しておくことが大切です。

購入希望者に良い印象を与えられるよう、室内を整理整頓し、掃除やニオイ対策などもしておくとよいでしょう。

7-4.買主と売買契約を締結する

取引価格や契約条件について買主と合意できたら、売買契約を結びます。買主から手付金が支払われるのもこのタイミングです。

手付金について詳しくは、「手付金とは?不動産の売買契約における3つの役割や相場、注意点を紹介」をご覧ください。

売買契約書には、物件の引き渡しや代金の支払いのほか、雨漏りのような、隠れた「瑕疵(かし)」が見つかった場合の責任についても記載されます。これには、アスベストのような健康被害につながる重大な問題も含まれます。

売買契約は、一度締結すると無条件では解除できないため、不明な点は署名する前に確認しましょう。

なお、瑕疵については、「瑕疵とは?種類や具体例、不動産取引におけるトラブルを防ぐ方法も解説」「「隠れた瑕疵」のリスク回避のため売主が知っておくべき3つの対策」を参照にしてください。

7-5.決済を確認後、引き渡しを行なう

買主が住宅ローンを組む場合は、住宅ローンの審査が完了するのを待ったうえで、契約時に設定した日に残代金の支払いをしてもらいます。その後、買主は司法書士に登記費用を支払い、登記申請手続きをします。

売主は成功報酬として不動産会社に仲介手数料を支払い、最後に物件の取扱説明書などの書類とともに買主に鍵を引き渡して取引は完了です。

なお、売主が不動産会社に支払う仲介手数料は、売買契約の締結時と引き渡し時の、2回に分けて支払うのが一般的です。しかし、不動産会社によって異なる場合があるため、支払いのタイミングは事前に不動産会社に確認しましょう。

8.専属専任媒介契約での売却に最適な不動産会社を選ぶ方法

チェックリスト

専属専任媒介契約を結ぶにあたり、売却に最適な不動産会社を選ぶためには、押さえるべきポイントがあります。

まず、不動産会社にはそれぞれ強みや得意分野があります。なかには、一戸建てよりもマンションの売却が得意で、マンション売買の実績が豊富な不動産会社も存在します。

また、必ずしも全国展開する大手の不動産会社を選ぶのが良いとは限りません。規模は小さいながらも、特定エリアに独自の販売ルートを持つ地域密着型の不動産会社のほうが、相性が良い場合があります。

前述のとおり、専属専任媒介契約は、不動産会社の力量が成果を左右しやすい点が特徴です。また、どの不動産会社に依頼するかによって、査定結果には数百万円もの差が生じるケースもあります。

122_2(不動産会社によって査定金額は変わる)

したがって、専属専任媒介契約を結ぶ1社を選ぶ際には、複数の不動産会社に査定を依頼し、査定結果を比較検討することが重要です。

まとめ

不動産の媒介契約には、専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約の3種類があります。そのうち専属専任媒介契約は、制限が厳しい契約方法です。専属専任媒介契約を結んだ場合は、ほかの不動産会社との契約や、自己発見取引はできません。

一方で、制限があるからこそ積極的な売却活動が行なわれやすく、早期に買主が見つかる可能性が高まります。また、不動産会社から売却活動の状況を、こまめに連絡してもらえる点もメリットです。

専属専任媒介契約を結ぶ際には、複数の不動産会社に査定を依頼し、結果を比較したうえで最適な1社を決めることが大切です。

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