不動産売却の必要書類はこれでバッチリ!全ての書類を一挙紹介

不動産売却の必要書類はこれでバッチリ!全ての書類を一挙紹介

マンションや戸建て、土地などの不動産を売却する際は「売買物件引渡確認書」「既存住宅にかかる建設住宅性能評価書」など、さまざまな書類が必要です。

「査定を受ける前に合った方が良い書類」や「販売が始まった段階で記載する書類」、「売買契約」、「引渡」、「登記」、「確定申告」等、不動産売却の流れに合わせて順番に必要書類を揃えます。

売却の前半部分では、「物件の価値を上げる書類」が必要です。

売却の後半に入ると「売買物件引渡確認書」など「引渡に必要な書類」や「確定申告に必要な書類」が重要となります。

そこで今回の記事は「不動産売却における必要書類」について解説いたします。必要書類の知識をつけて、不動産売却がスムーズに進むようにしましょう。

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この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット

Contents

1. 売買物件引渡確認書とは

不動産売却の必要書類である「物件引渡確認書」とは、物件を引渡したことを証明し、売買契約が完了したことを確認するための書類です。

引渡が完了したら「売買物件引渡確認書」を作成します。「売買物件引渡確認書」には、買主と売主それぞれが「日付」「名前」「住所」を記入してください。最後に、記載内容をよく確認して「売買物件引渡確認書」に捺印します。

引き渡し時には、必要書類だけでなく、物件の鍵も引き渡しが必要です

2. 不動産売却時の必要書類一覧

最初に必要書類一覧を示します。

一覧にすると非常に多いですが、不動産会社が用意してくれるものもたくさんありますし、必須ではない書類も含まれています。

必要書類一覧
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書類は必要に応じて適宜、揃えるようにしてください。

用意すべき書類がよくわからない方では、査定を依頼の際に不動産会社から説明があるため心配ありません。
また、不動産会社ごとに要求される書類が異なる場合もあるため、先に査定を依頼してみてもいいでしょう。

査定額は不動産会社により異なるので、できるだけ複数社を比較することをおすすめします。
査定依頼の際は、不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)を利用すると、最短1分で、最大6社の不動産会社にまとめて査定依頼ができます。
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3. 査定前に準備!物件の価値を上げる書類

該当する書類は、以下があります。

  • インスペクションの結果報告書
  • 既存住宅にかかる建設住宅性能評価書
  • 新耐震基準の適合証明書

住宅性能評価等の結果は、物件広告に記載することが可能です。
査定時に不動産会社に示し、必ずアピールしましょう。

それでは、その書類を一つずつ解説していきます。

3-1. インスペクション(建物状況調査)の結果報告書

インスペクションとは専門家による建物の目視調査です。

インスペクションでは主に柱や基礎、壁、屋根などの構造耐力上主要な部分や、外壁や開口部などの雨水の浸入を防止する部分について、専門家による目視や計測等の調査が行われます。

インスペクションに合格すれば、建物の一定の品質を証明されることになり、買主に安心感を与えることができるため、売却しやすくなります。

公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会では、2017年3月に土地・住宅に関する消費者アンケート調査を公表しています。

出典(公社)全国宅地建物取引業協会連合会「土地・住宅に関する消費者アンケート調査」

インスペクションを実施した人たちのアンケート結果によれば、「自宅の売却が希望価格で売れた」が1位、「買手が早く見つかり売却がスムーズにできた」が2位となっています。

インスペクションは、過去1年以内に実施したものが、重要事項説明書に記載されるため、価値があります。

インスペクションは、既存住宅状況調査技術者(インスペクター)に調査依頼をすることで取得が可能です。
費用としては5万円程度が相場となります。

インスペクターは、不動産会社が紹介してくれます。

まだインスペクションを実施していない人でも、これから行えば十分な価値がありますので、検討してみるのも良いでしょう。

インスペクションについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

インスペクションとは?不動産売却で役立つ基礎知識を解説

3-2. 既存住宅にかかる建設住宅性能評価書

建設住宅性能評価書とは、「現況検査により認められる劣化等の状況」や「個別性能に関すること」に関し、専門家が評価して作成する書面です。

内容はインスペクションと似ていますが、「構造の安定」、「火災時の安全」、「維持管理への配慮」、「空気環境」、「光・視環境」、「高齢者等への配慮」という6分野(21項目)の個別性能評価もできる点が異なります

取得方法は、登録住宅性能評価機関の評価員に現況検査等を依頼します。
内容にもよりますが、費用は戸建ての場合、10万円程度が相場です。

日本住宅性能評価基準の耐震等級が等級1、等級2または等級3の評価を受けた評価書は新耐震基準等に適合する書面となり、価値があります。

中古住宅の場合、木造の戸建て住宅なら築20年以内、鉄筋コンクリート造のマンションなら築25年以内でないと買主が住宅ローン控除を利用することができません。

ただし、新耐震基準等に適合する建設住宅性能評価書があると、買主が住宅ローン控除を利用できます
そのため、建設住宅性能評価書は、物件の価値を上げる書類となるのです。

3-3. 新耐震基準等に適合することが確認できる書類(旧耐震の建物)

昭和56年(1981年)5月31日以前に建築確認申請を通した建物は旧耐震基準、昭和56年(1981年)6月1日以降に建築確認申請を通した建物は新耐震基準の建物と呼ばれます。

旧耐震基準の建物でも、以下の書類があれば、新耐震基準に適合することを証明することができます。

  • 耐震診断結果報告書
  • 既存住宅に係る建設住宅性能評価書
  • 瑕疵保険の保険付保証明書(以前に交付されたもの)
  • 建築士法第20条第2項に規定する証明書(構造計算書)の写し
  • 耐震基準適合証明書の写し
  • 住宅耐震改修証明書の写し
  • 固定資産税減額証明書の写し
  • 増改築等工事証明書の写し

新耐震基準に適合する証明書は、専門機関に耐震改修工事や耐震診断の依頼を行うことで取得することができます。
戸建ての場合、耐震改修工事であれば、150万円程度かかります。

旧耐震基準の建物でも新耐震基準に適合する証明書があると、買主が住宅ローン控除を利用できるようになります。

4. 売却開始時に記載を依頼される書類

売却を開始すると、不動産会社から以下の2つの処理の記載依頼を求められます。

  • 付帯設備表
  • 物件状況確認書(告知書)

付帯設備表と告知書は、売買契約時に買主へ引き渡す正式書類となります。

4-1. 付帯設備表

付帯設備表とは設備の撤去の有無や不具合状況を書く書類です。

マンションや戸建ての売却では、エアコンやウォシュレットを撤去して売却することもできます。
設備を撤去して売却する場合には、「撤去」を選択します。

残す設備の中で不具合がある場合には、不具合内容を記載します。

設備は、売却後、最も多くトラブルになる部分です。
売却後の買主からのクレームを避けるためにも、付帯設備表は実際にはかなり重要な書類となります。

後から買主が、「聞いていなかった」とならないよう、しっかりと記載するようにしてください。

4-2. 物件状況確認書(告知書)

告知書とは、設備以外の瑕疵に関して記載する書類となります。

瑕疵(かし)とは、物件の雨漏りや床の傾きなど、通常有すべき品質を欠くことを指します。雨漏りがすることを買主が了承していれば問題ありませんが、隠して売却した場合は、契約解除や損害賠償を求められることもあります。

「瑕疵担保責任」という言葉をご存知の方もいるかもしれませんが、民法が改正され2020年4月から「契約不適合責任」に変わりました。

契約不適合責任とは

「種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものがあるとき」に売主が責任を負い、買主が保護されるという制度

契約不適合責任に違反しないために、告知書の記載には慎重にならなければなりません。不動産会社に相談しながら書類を作成しましょう。

民法改正は不動産売買にどう影響する?8つのポイントを解説

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5. 売買契約時に必要な契約関係書類

契約関係書類は、全て不動産会社の方で用意する書類です。
不動産の売却では、色々な書類に契約当事者として押印することになりますので、この章では契約関係書類をご紹介します。

  • 媒介契約書
  • 買付証明書
  • 売買契約書
  • 清算関係書類
  • 鍵受領書
  • 物件引渡確認書

5-1. 媒介契約書

媒介契約とは、不動産会社に依頼する仲介の契約のことです。
媒介契約には、「専属専任媒介契約」、「専任媒介契約」、「一般媒介契約」の3種類があります。

専属専任媒介契約 他の不動産会社に重ねて依頼ができない。自己発見取引も不可。
専任媒介契約 他の不動産会社に重ねて依頼ができない。自己発見取引は可能。
一般媒介契約 他の不動産会社に重ねて依頼できる。自己発見取引も可能。

 自己発見取引とは自分で買主を見つけてくることです。

契約書の内容も、どの媒介契約を締結するかで少しずつ異なります。

媒介契約は、基本的には売主が不動産会社に売却の仲介を依頼する際に締結する書面です。
実務的には媒介契約は売買契約時に初めて書面で締結されることも多いです。

ただし、仲介の依頼時にしっかりと契約書面を締結した方が、仲介手数料や契約期間等の契約条件は明確になります

あいまいなまま進めるよりは、条件をハッキリさせてから依頼した方が間違いありませんので、仲介の依頼時に媒介契約書を締結することをおススメします。

媒介契約については、こちらの記事で詳しく解説しています。

3つの媒介契約のメリット、デメリット。自分に有利な契約はどれ?

5-2. 買付証明書

購入希望者が物件を気に入ると、買付証明書が提示されます。
買付証明書とは購入希望者が売主に対して、不動産を購入する意思があることを伝える書面です。

買付証明書は、購入希望者の一方的な意思表示であり、買付証明書を受領しただけでは売買は成立していません。

買付証明書には、具体的に購入したい金額(「指値」といいます)が書かれています。
指値が売り出し価格の満額で書かれていない場合には、「値引き交渉」してきているということです。

買付証明書に記載されている金額が、想定の範囲内であり、かつ、売却しても良いという金額であれば、応諾して売買契約書を締結する流れとなります。

5-3. 売買契約書

金額やその他の条件に合意すれば、売買契約書を取り交わし、売買が成立することになります。

民法上、売買は口頭でも成立しますが、不動産は金額が大きいため、書面の売買契約書を締結することが通常です。

売買契約書には売買代金に応じた印紙を貼ります
売買契約時には買主から手付金を受領し、不動産会社へは仲介手数料の半額の支払があります。

また、不動産会社から買主へ対し、重要事項説明が行われます。
重要事項説明書は、買主に対して発行される書類です。

5-4. 精算関係書類

精算とは、売買代金と別に売主と買主との間で行う金銭のやりとりです。
精算には、固定資産税の精算や土地の実測精算、マンションなら管理費および修繕積立金があります。

精算関係書類は、引渡時に渡されます。
売買契約から引渡までの間に、不動産会社から金額の確認依頼が来ますので、確認の上、押印するようにして下さい。

5-5. 鍵受領書

戸建てやマンションの売却では、引渡時に鍵を引渡します。
その際、買主から鍵を確かに受け取ったことを証する書面が鍵受領書です。

5-6. 物件引渡確認書

引渡時には、「第6章 引渡に必要な資料」で紹介する書類を引渡します。
引渡に必要な資料に関しても、確かに受け取ったことを証する書面が物件引渡確認書です。

鍵受領書や物件引渡確認書も、不動産会社が用意し、引渡当日に買主が押印した物を受領することになります。

6. 引渡に必要な書類

不動産売却の流れ~売ることを決めてから引き渡しまで買主へ引き渡す書類について、物件種別ごとに解説します。

  • 戸建て、マンション共通で必要な書類等
  • 戸建て(土地)で必要な書類
  • マンション

6-1. 戸建て・マンション共通で必要な書類等

  • 固定資産税、都市計画税納税通知書
  • 設備取扱説明書、保証書、アフターサービス基準書

書類ではありませんが、戸建てやマンションは鍵を引き渡すことで引渡に代えます
鍵は複製も含め、現存するものを全て引渡し、手元には残さないようにしてください。

固定資産税・都市計画税納税通知書

売主の手元に届いている固定資産税・都市計画税納税通知書も引渡します。
納税通知書は、固定資産税精算金の根拠資料となります。

設備取扱説明書・保証書・アフターサービス基準書

残置する設備の設備取扱説明書・保証書・アフターサービス基準書等がある場合は、引渡します。

設備取扱説明書等の引渡は任意ですが、これらの書類は極力引渡すことで売却後のトラブルを防ぐことができます

古くても構わないので、可能な限り探し出し、引渡すようにしてください。

6-2. 戸建て(土地)固有の書類

  • 実測図、筆界確認書、越境の覚書
  • 建築確認済証、検査済証、設計図書等
  • 近隣との覚書、建築協定等

実測図・筆界確認書・越境の覚書

戸建てや土地を売却する人は、境界明示の義務があります。
よって、境界関係の資料である実測図や筆界確認書、越境の覚書が必要です。

実測図は、確定測量図が望ましいです。
確定測量図とは、全ての境界が確定している土地のみに発行させる実測図になります。

隣地との民々境界において、筆界(ふでかい)確認書があれば引渡します。
筆界確認書とは、隣地所有者との間で境界ラインが確定していることを確認した書類です。

また、隣地との越境がある場合は、越境の覚書も引渡します。
越境の覚書とは、越境物について隣地所有者との間で存在の有無を確認し、その取扱いについて定めた書類です。

筆界確認書と越境の覚書は任意ですが、あると望ましい書類になります。

建築確認済証・検査済証・設計図書等

戸建てでは、建築確認済証、検査済証、設計図書等の建築関係の書類が必要となります。
建築関係の書類は、絶対にないと売れないというものではありませんが、基本的には「あること」を買主から求められる書類です。

特に検査済証は一番大切な書類となります。
検査済証は、建物が合法的に建てられたことを証する書類です。

新築の建売住宅や注文住宅を購入した人であれば、基本的にはあるはずの書類ですので、建築関係の書類一式を探しておくようにしてください。

近隣との覚書・建築協定等

戸建ての場合、近隣との覚書や建築協定等がある場合、その書面も引き継ぎます。

建築協定とは、「建築物の色彩や意匠」「建築物の用途」などを近隣住民との合意で取り決めた地域ルールです。
法的規制である地区計画の一歩手前の自主的なルールになります。

また、戸建て住宅街ではゴミ出しルールや回覧板の回し方など近隣住民との間で覚書を締結していることがあります
このような覚書が書面で存在する場合には、売却時に買主へ書面を引渡します。

6-3. マンション固有の書類

  • 分譲時のパンフレット
  • 管理規約、使用細則、最近のマンション理事会の会計報告書や議事録の写し等
  • 管理費、修繕積立金の額の確認書等

分譲時のパンフレット

マンションでは、売主が新築分譲時のパンフレットを残している場合、そのパンフレットも引き渡すのが通常です。

任意ですので、紛失している場合には仕方ありませんが、残している場合には引渡書類の一つとなります

売却前に、パンフレットが残っているかどうか、確認しておきましょう。

管理規約・使用細則・最近のマンション理事会の会計報告書や議事録の写し等

管理規約や使用細則、最近のマンション理事会の会計報告書や議事録の写し等も引渡書類になります。

管理規約や使用細則が改定されている場合には、最新版を引渡します。
手元にない場合には、管理組合に申し出て発行してもらうようにしてください。
また会計報告書や議事録の写しも、無ければ管理組合からもらうようにします。

管理組合で、今後、修繕積立金等の増額が検討されているようであれば、それは買主に告げるべき重要な情報になりますので、議事録を渡すようにしましょう。

管理費・修繕積立金の額の確認書等

管理費や修繕積立金の額の確認書は、管理組合に申し出ると入手できます。
管理費や修繕積立金の滞納がある場合には、確認書に滞納額も表示されるのが通常です。

マンションを売却する場合には、原則、管理費や修繕積立金の滞納は解消した状態で売却するようにしてください。

滞納額がある場合には、買主が負担することになりますので、売買代金から値引きされることになります。

確認書は、買主が管理費や修繕積立金の滞納がないことを知るための書類ですので、必須の引渡書類です。

7. 登記に必要な書類

不動産の売却では、「所有権移転登記」と「抵当権抹消登記(住宅ローンが残っている場合)」の2つの登記を行います。
登記に必要な書類は、以下があります。

  • 登記済証(権利証)または登記識別情報通知書
  • 印鑑証明書
  • 固定資産税評価証明書
  • 本人確認書類
  • 委任状
  • 抵当権の抹消に必要な勝利
  • 住民票
  • 第三者の許可書・同意書・承諾書

登記書類は、引渡日当日に必要となる書類であり、司法書士へ渡します。

7-1. 登記済証(権利証)または登記識別情報通知書

登記済証(権利証)とは、所有者が登記権利者として権利を取得した際に、申請書に添付した「原因証書」または「申請書副本」に登記済の押印がなされ、登記所(法務局)から渡されている書類です。

登記識別情報通知書とは、物権変動の登記申請を行うと、権利証の代わりに登記名義人となった申請人に対し通知される書面になります。

平成17年(2005年)3月7日より改正不動産登記法が施行されたことにより、権利証が登記識別情報通知書という書類に切り替わりました

今では登記済証(権利証)は完全に廃止され、登記識別情報通知書に切り替わっています。
登記識別情報通知書は、昔の権利証ということになります。

登記済証(権利証)と登記識別情報通知書は同等の書類ですので、いずれかを用意するようにしてください。

登記済証(権利証)または登記識別情報通知書は、所有者本人しか持っていない書類です。
売却前に必ず有無を確認しておきましょう。

7-2. 印鑑証明書

印鑑証明書は、実印であることを証明する書面です。

個人の場合には、市区町村町役場で取得することが可能です。
印鑑証明書の取得費用は、市区町村にもよりますが、通常は300円が一般的です。

また、印鑑証明書は登記申請日前3ヶ月以内に発行されたものに限ります

尚、引渡日当日は、各種書類への押印がありますので、実印も必ず持参することになります。

7-3. 固定資産税評価証明書

固定資産税評価証明書とは、物件の固定資産税評価額を証する市区町村の書類です。
買主の登録免許税を計算するために必要となります。

固定資産税評価証明書は、原則として納税義務者しか取得できませんので、売主にて取得を行います。

固定資産税評価証明書も市町村町役場で取得できます。
東京都の場合は東京都主税局になります。

取得の手数料は、市町村町役場の場合、300円程度が一般的です。
東京都主税局の場合は、固定資産税評価証明書1件につき400円です。
2件目以降は1件につき100円となります。

尚、「固定資産税評価証明書」は年度が異なるものは使用できません
4月1日に登記申請をする場合、3月31日発行のものは使用できませんので、取得年度を意識するようにしてください。

7-4. 本人確認書類

登記は司法書士に代理で行ってもらいますが、司法書士に向けて本人確認書類が必要となります。

本人確認書類とは、「運転免許証」や「パスポート」、「マイナンバーカード」等の顔写真付の公的な書類です。

7-5. 委任状

委任状は、司法書士が登記申請の代理権限があることを法務局に証するための書類です。
委任状は、司法書士が準備してきますので、そこに実印を押すことになります。

司法書士の作成する委任状には、通常、捨印を押します。
捨印とは、委任事項の訂正に備えてあらかじめ上部空白部分や右あるいは左空白部分に押印のことです。

捨印は、司法書士が法務局に出向いた際、万が一ミスがあった場合にその場で柔軟に修正対応できるようにするためのものであり、特に悪用されるものではありません

7-6. 抵当権の抹消に必要な書類

住宅ローンが残っている不動産を売却する際は、抵当権抹消のための書類も必要となります。

抵当権抹消書類は、銀行が保管しています。
引渡日当日に、売主の銀行担当者が持参してきます。

銀行担当者は引渡日に必ず同席してもらう必要がありますので、引渡の日時と場所が決まったら、すぐに銀行担当者に連絡をしておきましょう。

抵当権抹消に必要な書類や費用・手順については、こちらの記事で詳しく解説しています。

抵当権抹消登記費用はいくら?自分で行う手順や注意点を解説!

7-7. 住民票

登記名義人の現住所が登記上の住所と異なる場合には、住民票が必要となります。
登記住所と現住所が同一の人は、住民票は不要です。

例えば、先に新居に引越をしてしまい、既に住民票を新住所に移してしまった方は、住民票が必要となります。

住民票は、市区町村町役場にて取得できます。
住民票の取得手数料も、通常は300円が一般的です。

7-8. 第三者の許可書・同意書・承諾書

農地の売却未成年者の売却等であれば、許可書や同意書等の書類が必要となります。

例えば、農地の売却では、農地法に基づく知事の許可書が必要です。
未成年者による売却では、親権者である親の同意書が必要となります。

通常、これらの許可書や同意書等は売主が既に保有しています。
一般的な売買であれば不要ですが、特殊な売買のケースでは、許可書や同意書等が必要です。

不動産売却時に必要な書類や費用については、こちらの記事で詳しく解説しています。

不動産売却の登記費用って何?意外と謎が多いルールを解説!

8. 確定申告に必要な書類

不動産を売却した場合、確定申告が必要となるケースが多いです。

確定申告は、「譲渡所得が発生し税金を納める必要がある場合」または「税金を納める必要はないが特例を使う場合」に必要です。

「譲渡所得が発生せず、かつ、特例を使わない場合」には、確定申告は行う必要はありません。

確定申告は、売却の翌年の2月16日から3月15日までの間に行います。
確定申告に必要な書類は、以下の書類があります。

  • 譲渡所得計算証明書
  • 除票住民票
  • 売ったときの売買契約書の写し
  • 買ったときの売買契約書の写し
  • 注文住宅の場合は建築当時の請負契約書
  • 売買報酬や印紙代などの金額が分かる資料
  • 売却特例により必要な資料
  • 住み替えで住宅ローン控除を利用するのに必要な資料

確定申告の方法や詳しい手順については、こちらの記事を参考にしてください。

【不動産売却の確定申告】国税庁より懇切丁寧に計算&記入のコツを伝授します!

8-1. 譲渡所得計算証明書

譲渡所得計算証明書とは、「譲渡所得の内訳書」と書かれた確定申告で提出する申告書類のことです。
譲渡所得計算証明書は国税庁のホームページよりダウンロードができます。

譲渡所得とは、以下の計算式で表されるものになります。

譲渡所得 = 譲渡価額※1-取得費※2-譲渡費用※3

※1 譲渡価額とは売却価額です。
※2 取得費とは、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額になります。
※3 譲渡費用は、仲介手数料や印紙税、測量費など、売却に要した費用のことを指します。

少し面倒ですが、取得費は「買ったときの売買契約書」を用いて計算する必要があります
買ったときの売買契約書から土地と建物の内訳価格を出し、建物価格については減価償却と呼ばれる計算を行って、取得費を計算する必要があります。

8-2. 除票住民票

除票住民票とは、他の市町村への引越したときに抹消された住民票のことです。
除票住民票は引越す前に住んでいた市町村で取得することができます。
一般的な除票住民票の取得費用は、300円です。

8-3. 売ったときの売買契約書の写し

確定申告では、添付書類として売ったときの売買契約書の写しが必要です。
売ったときの売買契約書は、譲渡所得を証明する上での根拠資料となります。

8-4. 買ったときの売買契約書の写し

買ったときの売買契約書の写しも添付書類として必要です。

譲渡所得を計算するには、取得費を計算します。
取得費は、減価償却後の建物価額を求め、土地購入価額と合算した数値となります。

買ったときの売買契約書に記載されている土地購入額と建物購入価額のうち、建物購入価額に対して減価償却という計算手続きを行います。

売買契約書を紛失してしまった、または相続で引き継いだ資産など、そもそも売買契約書がない場合には、「概算取得費」を用いて取得費を計算します。
概算取得費とは譲渡価額の5%です。

8-5. 注文住宅の場合は建築当時の請負契約書

注文住宅の場合は、建築当時の請負契約書が必要です。
請負契約書に記載されている契約金額が建物購入価額となりますので、減価償却を行って建物取得費を求めるのに使います

注文住宅で土地を別途購入している場合には、土地を買ったときの売買契約書が別に必要です。

8-6. 媒介報酬や印紙代などの金額が分かる書類

確定申告では、媒介報酬や印紙代などの譲渡費用の金額が分かる書類も必要です。
譲渡費用には以下のものを含めることができます。

  • 売却の際の仲介手数料
  • 売却のために要した測量費
  • 売却に伴う広告費
  • 売却時の売買契約書に貼付けした印紙税
  • 売却に伴い支払った立退料
  • 売却時の建物の取壊し費用

譲渡費用に該当するものがあれば、節税できますので、数値の根拠資料を揃えておきましょう。

8-7. 売却特例により必要な書類

マンションや戸建てなどの居住用財産を売却した場合には、節税や源泉所得税の還付を受けることができる特例を利用できます。
居住用財産とは、マイホームのことです。

居住用財産では、他の条件を満たすと、以下の5つの特例が利用できます。

譲渡所得が発生した場合の特例

  1. 3,000万円の特別控除
  2. 所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
  3. 特定の居住用財産の買換え特例

譲渡損失が発生した場合の特例

  1. 居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  2. 居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

譲渡損失とは、計算の結果、譲渡所得がマイナスとなった場合の所得を指します。

それぞれの特例で必要となる書類は以下の通りです。

譲渡資産または買換え資産の登記事項証明書は、その不動産を管轄しているエリアの法務局で取得できます
登記事項証明書の取得費用は、書面請求の場合1通600円です。

新しい住民票は、引越先の市町村で取得できます。
住民票の取得費用は、300円が一般的です。

住宅借入金の残高証明書は、住宅ローンを借りている銀行に言えば、もらえます
発行手数料は、700~800円程度ですが、各銀行によって異なります。

8-8. 住み替えで住宅ローン控除を利用するのに必要な書類

住み替えをする場合、新しい家の購入で住宅ローン控除を利用するケースがあります。
住宅ローン控除を利用する場合は、サラリーマンであっても初年度は確定申告が必要となります。

住宅ローン控除を利用する場合に必要となる書類は以下の通りです。

  1. 住民票の写し
  2. 土地と建物の登記事項証明書
  3. 売買契約書の写し(注文住宅の場合は新築工事農経工事契約書の写しも必要)
  4. 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
  5. 源泉徴収票(給与取得者の場合)

中古住宅の購入で住宅ローン控除の築年数要件に該当しない場合には、購入した不動産の「新耐震基準等に適合することが確認できる書類(第2章3節で紹介した書類)」等が必要となります。

住宅ローン控除の築年数要件に該当しない場合とは、木造の戸建て住宅なら築20年超、鉄筋コンクリート造のマンションなら築25年超の物件です。

尚、購入物件で住宅ローン控除を利用する場合、売却物件では以下の3つの特例については同時に利用することができません。

譲渡所得が発生した場合の特例

  1. 3,000万円の特別控除
  2. 所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
  3. 特定の居住用財産の買換え特例

上記の3つの節税系の特例と住宅ローン控除は、いずれか一つしか使えない選択適用となります。

住み替え時にローンの利用を検討されている方は、こちらの記事も参考にしながら適切なローンを選びましょう。

住み替えしようとしている人、必見!住み替えローンの賢い使い方

まとめ

いかがでしたか。
不動産売却の必要書類について解説してきました。

必要書類の種類には大きく分けて「物件の価値を上げる」、「記載が必要なもの」、「契約関係」、「引渡に必要」、「登記に必要」、「確定申告に必要」の5つがあります。

物件の価値を上げる書類は、物件広告への記載も可能ですので、不動産会社にはぜひアピールしましょう。

付帯設備表や告知書の記載が必要となる書類は、正直に書くことが重要です。
知っていながら黙っていた瑕疵は免責の対象とはなりませんので、値引きを恐れずきちんと書くようにしてください。

契約関係書類は、不動産会社が作成してくれます。
引渡や登記に必要な書類は、不動産会社から指示があるのでご安心ください。

確定申告については、使う特例によって必要書類も異なります。
取得費の計算で購入時の売買契約書が必要となりますので、売却した後も捨てずに保管しておきます。

必要書類を理解できたら、早めに揃えて売却活動をスムーズに進めましょう

不動産売却の書類の準備は複雑です。売却を決めたら、不動産会社に相談しながら揃えることをおすすめします。

不動産会社探しにはNTTデータグループが運営する「不動産売却 HOME4U」をご利用ください。

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この記事のポイント まとめ

売買物件引渡確認書とは?

物件引渡確認書の概要は以下の通りです。

  • 物件を引渡したことを証明する書類
  • 鍵や必要書類を渡し、物件引渡後に作成する
  • 買主と売主それぞれが「日付」「名前」「住所」を記入して捺印する

詳細は「1. 売買物件引渡確認書とは?」をご覧ください。

不動産売却時の必要書類は?

不動産売却時の必要書類は、物件の種別(一戸建て、マンション)や、取引・契約段階で異なります。
書類は自分で用意するものもあれば、不動産会社が用意するものもあります。

書類の一覧は「2.不動産売却時の必要書類一覧」をご覧ください。

物件の価値や査定額を上げる書類は?

物件の価値や査定額を上げるために必要な書類は以下の通りです。

  • インスペクション(建物状況調査)の結果報告書
  • 既存住宅にかかる建設住宅性能評価書
  • 新耐震基準等に適合することが確認できる書類

詳細は「3. 査定前に準備!物件の価値を上げる書類」をご確認ください。