マンション査定はどこまで見られてる?15のチェックポイント大公開

マンション査定 どこまで見る

マンションを売却することが決まり、カンタンなネット査定が済んだ後は、いよいよ現地まで担当者が来て物件をチェックする訪問査定になります。

売り主としては、物件を出来る限り高く査定してもらいたいので、少しでも印象を良くしたいという気持ちがあります。しかし、不動産の担当者が実際に物件の何をチェックして査定額を出すのがわからないと、対策のしようがありません。

そこで今回は、マンション売却査定で、担当者がどこまで見ているかに関して、次のようにまとめています。

  1. 不動産会社がマンション査定で見ている15のポイント
  2. 物件に関する7ポイント
  3. マンション全体に関する4ポイント
  4. 立地やエリアに関する4ポイント
  5. マンション査定で売主が注意したほうが良い3つのこと
  6. マンションの査定方法3種類
  7. 自分でマンションの価値を調べる3つの方法

全部で15項目もある「見ている査定のポイント」がわかれば、訪問査定までにしておくべき準備もわかり、少しでもよい結果につながる売却ができるようになります。また、査定をしてもらう際に注意しておくべきことが先にわかっていれば、無駄のないスムーズな売却ができます。

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1.不動産会社がマンション査定で見ている15のポイント

不動産会社がマンション査定で見ている15のポイント

本章では、マンション査定の際、各不動産会社の担当者が共通して見ている15のポイントを一覧にしました。各項目の詳しい解説は、次章からになります。

一般的に、マンションの訪問査定に行く時には、不動産会社の担当者は、物件の簡易査定が済んでいる状態です。簡易査定では、ネット上にある類似物件の取引データと、自社の過去の取引事例をもとにして、おおよその査定額を算出しています。

そのため、築年を含めた建物全体の概況はだいたい理解していますので、ある程度の物件イメージがある状態で訪問査定をし、次の15の項目をチェックしていくことになります。

不動産会社がマンション査定で見ている15のポイント
物件に関する7つのポイント
1. 築年
2. 耐震性
3. マンションの室内状況
4. リフォーム履歴
5. 建物内の音
6. 建物内の音
7. 損傷や汚れなど「瑕疵」にあたる部分
マンション全体に関する4ポイント
8. 築年
9. 耐震性
10. マンションの室内状況
11. リフォーム履歴
立地やエリアに関する4ポイント
12. 立地・エリア条件
13. 階数
14. 間取り
15. 日当たりや方角

マンションの訪問査定の際、不動産会社の担当者が、どのような視点で見ているかと言えば、それは「購入希望者」の視点で物件を見ています。

不動産会社の担当者は、購入希望者から問い合わせや内覧申込があった場合、電話やメールで聞かれたことには正確かつ的確に応える義務があります。そのうえで、購入希望者が現地に来た時に

「説明されていたことと違う」
「写真とは違う」
「思っていたのと違う」

など、購入希望者の購買意欲を下げないように、細心の配慮と準備をしておく必要があります。そのため、マンション査定の際には、初めて敷地内や室内に入った購入希望者にとって、その物件の第一印象がどんなものになるかに、とても注意を払っています。

マンションの訪問査定時には、不動産会社の担当者もはじめて物件を見るため、条件としては「購入希望者とほぼ同じ」です。つまり、担当者が査定の際に気になったことは、間違いなく、購入希望者も気になるという前提で査定をし、そのチェックポイントとなるのが合計で15項目あるということになります。

次章からは、全15個の査定ポイントを、物件・マンション全体・エリアや立地に分けて、それぞれ説明していきます。

2.物件に関する7ポイント

物件に関する7ポイント

本章では、マンション査定の際、物件に関して見ているポイントを解説します。

  1. 築年
  2. 耐震性
  3. マンションの室内状況
  4. リフォーム履歴
  5. 建物内の音
  6. 売却する理由
  7. 損傷や汚れなど「瑕疵」にあたる部分

2-1.築年

物件の築年数に関しては、あらかじめ簡易査定時にデータとして把握していますので、築年にふさわしい建物や部屋の状態であれば、何も問題ありません。基本的に、マンションは、築年が古くなるほど値段が下がります。

以下のグラフは、類似の条件を持つ中古マンションが、築年経過によってどのくらい価格が下がるかのめやすです。太線は、実際の取引価格、点線は平均値です。

築年別 中古マンション売却成約額めやす

東日本不動産流通機構.”築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)”.REINS TOWER.2022-02-25.(2024-04-09)」をもとに、HOME4Uが独自に作成

グラフからもわかるように、多少の波があっても、基本的に築年経過と共にマンションの価格は下がっていきます。

どのくらい下がるかの一般的な下落のめやすとしては、新築時の価格に対し、築10年で約1~2割、20年経過で購入時の約5~6割の価格にまで下がる傾向があり、基本的に、中古マンションは、少しでも築年が少ない方が高く売れることになります。

ただし、次のカラー棒グラフを見ていただくとわかりますが、築年が古い=売れないというわけでもありません。購入希望者は常に予算の範囲内で、自分たちにとって最善と思える物件を探していますので、どの築年の中古マンション物件にも、買い主は必ず存在しています。

過去10年間中古マンション築年帯別構成比(%)

東日本不動産流通機構.”築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)”.REINS TOWER.2022-02-25.(2024-04-09)」をもとに、HOME4Uが独自に作成

そのため、築年が古いことが、マンション売却のハードルになることはありません。

それよりも問題になるのは、築年が浅いはずなのに、普通よりも建物や室内の劣化や汚れが目立つケースです。査定時にも、不動産会社の担当者からいろいろな質問を受けますので、室内状況に関しては正直に、建物全体のことに関しては、わかる範囲で答えてください。

特に、マンション全体の美化整備に関する管理状態の良し悪しは、住んでいる方にとっては当たり前の状況になってしまっているため、売り主には、そのマンションの管理が良いのか悪いのかがわからないことがあります。

数多くの物件を見てきている不動産会社の担当者だからこそ気づく点ですので、査定の際に、管理状態などに関して質問をされたら、状況をありのままに説明してください。マンションの管理状態に関する詳細説明は、3章のチェックポイントにもあります。

2-2.耐震性

耐震性は、前項の築年とも関係していますが、基本的に建物が「新耐震基準」であるかどうかが問題になります。売却予定のマンションの耐震基準を知りたい場合は、マンションを購入したときに手渡された資料の中にある、「建築確認済証」の交付日で判断します。

現在、不動産の耐震基準には以下の3種類があります。

不動産市場では、耐震基準の新旧を分けずに売買をしていますが、近年、東日本大震災や熊本地震などの、想定外の規模の地震が起きていることから、中古マンション購入希望者の多くは、新耐震基準であるかどうかを考慮するため、新耐震基準をクリアしている物件の方が、査定額も高く、売れやすくなる傾向にあります。

耐震基準 建築年 対応できる地震の強さ
旧旧耐震基準 1971(昭和46)年より前の物件 震度5では倒壊しない
旧耐震基準 1981(昭和56)年より前の物件 震度5では倒壊しない
新耐震基準 1981(昭和56)年以降の物件 震度6強~7に達する地震でも倒壊しない

国土交通省.”住宅・建築物の耐震化について”.(2024-04-09)」をもとに、HOME4Uが独自に作成

真ん中の太字で示してある「旧耐震基準」とは、1981年5月31日までの建築確認の基準で建築されたマンションのことを指し、それ以降に建てられた1981年6月1日以降の基準で建てられたマンションは「新耐震基準」となります。つまり、2022年の時点で築年が40年以上のものは旧耐震基準で建てられたマンションということになります。

どちらがより安全な物件なのかと聞かれれば、新耐震基準以降のマンションということになるのですが、それ以外の物件が危ないのかと言われれば、そうとも言い切れない部分があります。

例えば、築40年を超えるマンションの中には、もともと耐震構造的に高いレベルで建物の安全性を確保している物件もあり、耐震診断をした結果でも、新耐震基準をクリアできている建物もあります。

また、築年の古いマンションの多くは、管理組合が主体となって耐震診断をし、必要な個所には耐震改修・耐震補強を施してあるケースが多く、建築年から言えば旧耐震でも、新耐震としての基準を十分にクリアできている建物も数多くあります。

売却予定のマンションが旧耐震で、耐震補強がしてあるかどうかは、管理組合から配布されている資料などに、記載がありますので、管理組合からの資料を確認しておきます。手元に資料がない場合は、マンション管理組合に問い合わせをし、耐震診断自体の有無を確認してください。

2-3.マンションの室内状況

マンションの室内状況とは、主にマンションの壁・床・天井の劣化状態のことです。訪問前の段階で、担当者は、築年数やマンション名などから、おおよその室内状況をイメージしています。

マンションは構造上、壁・床・天井は建材クロスでぐるりと室内を取り囲んでいますので、面積が広くて目につく部分です。壁床天井の汚れ状態は、そのまま、物件のイメージに直結してしまいます。

例えば、劣化には以下のようなものがあります。

  • 剥がれ
    クロスの一部がベロンとはがれている
  • 汚れ
    壁や床の汚れがひどく、掃除しても取れないレベル
  • 日焼け
    キツイ西日などが繰り返し当たったため、床材や壁材が日焼けをして、茶色く変色している
  • ニオイ
    長年の生活臭やたばこ・芳香剤などのニオイが、クロスや床材にしみついてしまっている
  • 水あと
    天井からの水漏れ、またはカビなどが原因で水が染みた後がクッキリ残ってしまっている

上記は、長い期間住んできたことで発生するもので、どの物件にも起きます。

そして、天井・壁・床の劣化度合いはそのまま、物件の第一印象になります。築年データや経験から、担当者はあらかじめ上記の劣化をある程度想定していますが、中には、このような担当者の事前のイメージが、良い意味と悪い意味で大きく外れることがあります。

良い意味で予想が外れるケース

子供やペットを飼っていない、タバコを吸わない、掃除好きな売り主であるなどの理由で、想像よりも室内全体がとてもきれいな場合があります。

最も良いケースは「このまま、すぐ住める」くらい、キレイだと思える状態です。

悪い意味で予想が外れるケース

喫煙者がいる、壁に落書きやシールがある、剥がれがある、汚れやニオイがひどいなどです。

築年がそこまで古くなくても、クロスの全てを張り替えないと、すぐに住むことは難しいほど劣化・損傷していることがあります。

担当者は、どちらの場合でも、購入希望者により良い印象を与え、早く・高く売れるためにはどうするべきかを想定し、ハウスクリーニング・クロスの張替え・不要物の撤去などを売り主に提案しながら、必要経費を想定して、査定額を計算していきます。

2-4.リフォーム履歴

室内のリフォーム履歴は、マンション査定には大切なポイントになります。修理修繕は、ホームセンターなどで購入して自力で出来るお直しの範囲、リフォームはプロの施工会社などにお願いして直した箇所のことです。

リフォームや修理修繕をした履歴は、どの部分を・何年ごろに・どのように直したのかを、思い出して箇条書きでよいので時系列にまとめておきましょう。出来れば、その時の施工見積もり、領収証、レシートなどもあれば、一緒に貼っておきます。

売り主が積極的に、室内をリフォームや修繕をしているということは、物件に手をかけ、お金をかけて、大切に扱っていると判断されます。また、購入希望者にとっても物件の傷みが少ないという意味で、プラスの評価になります。

個人のリフォームではなく、管理組合主体の大規模修繕の状況や今後のスケジュールなどがわかれば、合わせて確認をしておきます。特に、近年に行う・行った大規模修繕に関しては、売却活動の計画上、必要な情報です。

ただ、リフォーム履歴によって査定金額が大きく変わるわけではありません。
履歴がない場合、マンション売却前のリフォームは基本的には不要です。

2-5.建物内の音

マンション建物内と室内にいる状態で、建物内部からの音の確認をしています。外部からの音は、物件には直接関係ないのですが、マンション敷地内と建物内での音は、マンションの構造や住人が起因する可能性があるためです。

音はある程度の慣れがありますので、住人は気にならなくても、初めてその場所・部屋に来た方にとっては、とても気になる生活音や機械音として聞こえることがあり、購入希望者の購入意思に大きく影響を与えます。

生活の中で人が騒音と感じるものには、以下のようなものがあります。音に関する感覚は人それぞれですので、まったく気にならない方もいれば、少しの生活音でも敏感に反応してしまう方がいます。また、建物の構造によっては、上下左右とは全く関係ない部屋の音が、響いてくる物件あります。

機械音の例

  • エアコン
  • 温風ヒーター
  • 換気扇
  • 洗濯機
  • 掃除機
  • 目覚まし時計
  • 電話のベル音
  • 車のアイドリングや走行音

生活音の例

  • 風呂・給排水音
  • 犬の鳴き声
  • 鉄製ドアの開け閉めの音
  • 子供のかけ足
  • ふとんをたたく音
  • ピアノやエレクトーン
  • ステレオやテレビ
  • 人の話し声

査定をする不動産会社の担当者は、その建物と部屋に初めて入りますので、そこで生活している方が日常化して気にならなくなってしまっているこれらの音が、とてもよく聞こえてきます。その音がなんであるかを、内覧者が質問してくるという前提でチェックをしています。

2-6.売却する理由

売却理由は、担当者が査定額を決める時の参考材料になります。もし、売り主と不動産会社との間で売却理由の認識にズレがあると、それはそのまま、その後の査定価格の提案や売却活動時の価格交渉にも影響してきます。

売却理由は、はじめから担当者に伝える前提でいたほうが良いでしょう。諸事情があり、マンションを早く売ってしまいたいのであれば、「少しくらい値段が下がっても良いから早めに」という意思を、ハッキリとつたえてほうが、良い結果につながります。

例えば、築年がとても古くて室内状況も悪い物件だった場合、なるべく早く売るためには、購入希望者への印象をよくするために、室内クロスを張り替えてイメージの調整をし、不要物の整理をする、または大がかりなリフォームを行った上でネットやチラシで反響数を増やしてから内覧公開するなど、不動産会社は数々の中古物件の販売テクニックを持っています。

しかし、売り主が「早く売りたい」ということを伝えていないと、通常の売却活動のセオリー通り(売り主に手残りが多い方法)に売却活動をするため、予算がかかるタイプの対策を施さない状態で物件を公開します。すると、「古い・汚い」がゆえに、たまにしか来ない問い合わせや内覧に対応しながら、価格を下げないで頑張ってしまった結果、長期間売れないままの状態が続いてしまう可能性が高くなります。

また、売却理由は、問い合わせや内覧時に、購入希望者からも聞かれることがあります。中古マンションは大きな買い物ですので、買い主からすれば少しでもリスクがない物件を求めます。そのため「どうして売るのかな」という疑問がわくのは、とても自然なことです。

売却理由が一般的に言われるネガティブな要素(例:別居・離婚・リストラ・何らかのトラブル)であっても、ある程度は正直に伝えたほうが良く、イメージが悪くならない様に内緒にしておいても、後で必ずご近所から噂話で耳に入ることになります。

内容的には物件の瑕疵にならないことでも、後で知るのと先に知っていて買うのでは気分も違います。担当者が最初から背景の理解をしていれば、例えば、「ご主人の海外転勤を機に、別居をなさるそうですよ」などと、嘘ではない、しかしやんわりとした伝え方をしてくれますので、購入希望者も気持ちよく買い物ができます。

このように、売却理由を不動産会社の担当者に正直に伝えることは、査定額と売却活動全般に好影響を生み、納得のいくマンション売却にもつながります。

2-7.損傷や汚れなど「瑕疵」にあたる部分

室内に損傷やひどい汚れなど、プロによってでしか直せないキズや欠陥がある場合は、「瑕疵がある」と見なされ、査定額に影響する可能性が高くなります。瑕疵と呼べるほどのものは、例えば、

  • 窓にある小さなヒビ
  • 排気口や天井などにある結露によってできた、構造にまで広がった大きなカビやシミ
  • 壁に空いた穴(家具などがぶつかってできたなど)
  • 床の凹み(家具などを引きずった際にできたなど)

など、主に、売り主の部屋の使い方が原因でできた損傷や汚れが対象になります。

損傷や汚れがあるものの、普通に使えているものは、「瑕疵」とするか「現状渡しとするか」は、築年などと合わせて考慮されます。損傷や汚れが、どのような経緯・原因でできたかを担当者に聞かれますので、ご自身でわかる範囲で回答します。物件を中古で買い、その時からある場合でも、そのことを伝えます。

調査時に印象をよくするために目立たない様にしたり、瑕疵を隠したりすると、後で購入希望者が内覧時に見つけたとき、不動産会社の調査不足とされ、売買契約時に値下げ交渉の材料になってしまうことがあります。結果的に、売り主にとってリスクが高くなりますので止めておきましょう。

3.マンション全体に関する4ポイント

マンション全体に関する4ポイント

本章では、15のチェックポイントのうち、マンション全体に関することを4つにまとめています。

  • 設備全般の状態
  • マンションブランドや販売会社
  • マンション管理・管理費の状態
  • 駐車場の有無

3-1.設備全般の状態

室内とマンション設備全体の状態を見て、築年に対してどの程度の傷みが出ているかをチェックしています。設備で特に問題になりやすいのは、給排水管などの水回りですが、錆が出ている・流れが悪いなどがある場合、リノベーションを施さないと快適な暮らしが難しいと判断されると、査定額に影響が出る可能性があります。

その他、ビルトインタイプの照明・エアコン・換気扇・インターホンなどに不具合が出ているかをチェックします。物件によっては、天井や壁をあけないと配線・配管をし直せないタイプもあり、こちらも個別で直すのか、管理組合による修繕事項に入っているのかなどにより、査定額に影響が出ることがあります。

多くのケースでは、5~10年単位の大規模修繕のタイミングで見直しをし、設備の不具合が出ない様に適宜なメンテナンスをしていますが、建物や物件によっては、それでも追いつかないくらい、劣化が進んでしまっているものもあります。

中古マンションの購入を希望している方は、購入後、ご自身である程度手を入れることを前提として物件探しをしていますが、室内の配管や配線を大きく変更する必要があるほどの劣化がある場合には、フルリノベーションをかける必要があり、数百万単位の大きな予算が必要になるため、購入希望者の分母は小さくなってしまいます。

このような物件の場合、売れるまでに時間がかかることと、買い手がついたとしても、契約の際にも大幅な値下げ交渉をされることが多いため、希望している売却額にならないケースも見られます。訪問査定の時点で、そうなることが予測される物件には、買取額と査定額の両方が提示されることがあります。

3-2.マンションブランドや販売会社

マンションのブランドや販売会社も査定のチェック材料になります。簡易査定時にデータとして入手していますので、同エリアの同スペックのマンションと比較するときに役に立ちます。

マンションブランドや販売会社とは、例えば以下のような会社や、マンション名のことです。

  • 三菱地所レジデンス(ザ・パークハウス /ザ・パークハウス グラン)
  • 三井不動産レジデンシャル(パークホームズ/パークコート他)
  • フージャースコーポレーション(デュオヒルズ)
  • 大京(ライオンズマンション)
  • 住友不動産(シティハウス/シティテラス他)
  • 野村不動産(プラウド/オハナ)
  • タカラレーベン(レーベン)
  • 大和ハウス工業(プレミスト)
  • マリモ(ポレスター)

どれも、どこかで聞いたことがある企業名やマンション名であり、自分がそこに住んでいなくても、通勤圏内や近所に上記のようなマンションがあるのを目にしたことや、広告を見たことがあるかもしれません。

中古マンション売買の仲介に立つ不動産会社としては、できるだけ信頼度が高く、のちのトラブルが起きにくい物件の売買をしたいので、企画・施工・販売をした会社が長年の実績のある会社やマンションブランドの物件は、安心して購入希望者におすすめできる1要素になります。

そのようなマンションブランドや販売会社の物件は、構造や建物などに不具合やトラブルが出たときの補償体制もしっかり整備されていることが多く、万が一のトラブルを回避しやすくなります。

また、同じ理由で、購入希望者も、住まいに対する安心感を保証してくれるマンションブランドや、数十年後にも販売元が存在している企業の物件に対しては、その品質保証も兼ねた値段で、販売価格を見る傾向があります。

このようなことから、聞けば誰もが知っているようなマンションブランドシリーズや、名の通った販売会社のマンション建物には、購入希望者が集まりやすいため、査定にプラスに働きます。ただし、有名企業やブランドマンションでない場合でも、物件の管理がしっかりしていれば、マイナスに働くことはありません。

3-3.マンション管理・管理費の状態

マンションの管理状態は、エントランス・廊下・エレベーター・ゴミ置き場・自転車置き場などの、入居者全員が使う共有部分でチェックしています。

管理人が定期的に管理をし、適切なメンテナンスが行われているマンションは、美化整備がしっかりしており、共有部分の汚れや傷みが少ない傾向があります。例えば、エントランスにポスティングチラシが散らばっていない、廊下などの共有部分にゴミや汚れがない、ゴミ置き場が荒れていない、電灯などが切れていないなどです。

セキュリティ対策としては、オートロック・インターホン・監視カメラの有無などもチェックしています。大規模なマンションでは、共有部分に力が入っていることが多く、エントランスの来客用ソファ、入居者だけが利用できるゲストルーム・フィットネスルーム・大型の宅配ロッカー・ペット用の足洗い場などもあり、これらはすべて査定にプラスになります。

外壁や外構はチェックしますが、これらはマンション敷地内の大きな修繕になりますので、定期的なメンテナンスが行われているか、修繕計画に滞りがないかを見ています。

管理費に関しては、売却する物件の専有部分に関する滞納などがないかは質問されることがあります。大規模修繕費の積み立て状態などは、管理組合から定期的に提出される、報告書のコピーを用意しておきます。

修繕積立金に関しては、個人での滞納、マンション全体での積み立て状態が不健全な場合のどちらでも、売りにくさにつながります。個人で対応できるのは、物件の専有部分に関した金額だけですので、滞納がある場合はその清算方法も含めて、査定額が決まっていきます。

3-4.駐車場の有無

駐車場がある場合は、入居者数に対して十分な台数が確保できているかをチェックし、同時に、平置きタイプか機械タイプなのかをチェックしています。売却予定のマンションに駐車場が付いている場合は、査定額がアップします。

敷地内に駐車場がなくても、近隣に月ぎめタイプの駐車場があれば、マイナスに働くことはありません。

4.立地やエリアに関する4ポイント

立地やエリアに関する4ポイント

本章では、チェックする15項目のうち、立地やエリアなどに関するポイントを4つにまとめています。

  1. 立地・エリア条件
  2. 階数
  3. 間取り
  4. 日当たりや方角

4-1.立地・エリア条件

立地とエリア条件を見ます。すでに簡易査定の段階で、ある程度のことはわかっていますので、駅からの距離と周辺環境を中心にして、生活者視点で見ています。基本的に、マンションの場合、物件タイプに関わらず、駅からの距離は10分程度までであれば、利便性が高い物件として評価が高くなります。

エリア条件は、駅歩距離とは関係なく、エリア全体として住んでみたい街として人気のある地域であれば、売りやすくなりますので査定にプラスです。ファミリー向け物件の場合には、周辺に学校・保育園・公園などがあり、治安が良く、安心して子育てができる場所であることも、エリアの良さとしてプラスになります。

上記以外に、マンションの周辺に商店街やスーパーマーケットがあること、歩いて行ける距離に最低1件はコンビニエンスストアがあることなども含め、生活しやすい立地やエリアであるかをチェックしています。

4-2.階数

建物の高さと入居者数に対しての、階段の広さ・エレベーター設置の台数・搭載人数、速度など、建物としての使いやすさ・混雑度合い・安全性・防犯性をチェックしています。

マンションの階数は、防犯の問題上、3階以上に人気があります。一般的なマンションの場合は階数によって大きな金額の差はありませんが、高層マンションの場合は、階数が上がるほど値段が高くなる傾向があります。

1~2階の場合でも、専用庭・ルーフバルコニー・ガレージ・門扉風の独自エントランスなど、防犯上の工夫が凝らしてある場合は、とくにマイナスにはなりません。

4-3.間取り

間取りは、生活のしやすい間取りか、現代の生活様式に合っているかを見ています。広さや部屋数には関係なく、生活動線の良い、暮らしやすい間取りであれば、査定はプラスに働きます。

生活動線とは、人が家の中を移動するときに使う、移動ルートのことです。例えば、洗濯をするときの動線は、洗濯機から干す場所が離れていればいるほど、家事負担が大きくなり、生活しにくい間取りであるということになります。

また、動線が良くても、ベランダに洗濯機置き場がある、物干し台が外部にあるなどは、現代の家事事情に合わないと判断します。それが査定にマイナスに作用するわけではありませんが、マンションチラシの説明のところには記載します。

良い生活動線の家とは、家の中で必要な動きができるだけ短くなるように、整理された作りのことです。担当者は訪問調査をしたときに、水回りなどの位置から生活動線を判断し、使いやすさを見ていますので、生活動線上に邪魔なもの(不要な家具や荷物)がある場合は、早めに片付けておいた方が良いでしょう。

4-4.日当たりや方角

日当たりや方角は南・東・西・北の順で人気がありますので、日の入る部屋がある物件は査定にプラスです。物件全体の方角や建物内の位置は自力では変えられないため、良い方角の物件は、それだけで価値が高くなります。

日当たり以外には、風通しのよさも考慮します。中部屋と呼ばれる、物件の両側を挟まれるタイプの部屋は、大きな開口部が玄関とリビングの窓しかないため、どうしても室内に湿気がこもる場所ができやすくなります。

このような場合、設置されている通気口・換気口が十分に働いているかなどをチェックするとともに、隠れた場所にカビが生えていないかも見ています。

以上のことを念頭においたうえで査定を行えると安心です。
大きな費用をかけずに改善できる点があれば、訪問査定当日までに手をうっておきましょう

さっそく査定を受けたい方は、以下のボタンより査定をご依頼ください。

5.マンション査定で売り主が注意したほうが良い3つのこと

マンション査定で売り主が注意したほうが良い3つのこと

  1. 掃除は徹底的にしておいた方が良い
  2. リフォームまではしなくてもよい
  3. 複数の不動産会社で査定をする

5-1.掃除は徹底的にしておいた方が良い

査定額に直接的な影響はないのですが、訪問査定に来てもらう時には、室内の掃除は、徹底的にしておいた方が良いでしょう。他者が家に来るとわかっているのに、部屋が散らかったまま・汚れたままというのは、一般的なマナーの問題として「だらしのない人」「いい加減な人」という心証を与えてしまいます。

不動産会社ごとに数値上の評価基準はありますが、人間が査定をする以上、必ず印象点のようなものも加味されますので、初めて査定に来てもらった時の印象は、良いに越したことはありません。

スケジュール的に余裕があるのであれば、引っ越しの際に捨てる予定の家具や不用品はあらかじめ処分しておき、ある程度、室内をサッパリとさせた状態で訪問査定をお願いするほうが、印象は良くなります。

また、同じ散らかっている・汚れているでも、ゴミ屋敷や汚部屋と呼ばれるような、一般常識を超えた散らかりや汚れは、部屋の躯体の部分にまでにカビ・シミなどが広がっているケースや、室内のクロス全体にニオイがしみついていることが多く、通常のクリーニングでは落とせないレベルの汚れがある可能性があります。

このようなケースには、清掃会社を入れてクリーニングをする前提で査定をしますが、それでも原状復帰が難しいと判断された場合は、査定額に大きく響くことがあります。

5-2.リフォームまではしなくてもよい

訪問査定時の印象をよくするために、修理修繕レベルの手入れは、できればしておいたほうが良いですが、リフォームまではする必要がありません。修理修繕とリフォームの違いは以下の通りです。

修理修繕
ホームセンターなどに売っている修理小物で、自分で直せる程度の修理修繕のこと。
例)床の小さな傷・電球などの取り換え・壁紙がはがれている部分を糊付け・ドアノブをねじでしっかりさせるなど
リフォーム
専門業者などに依頼をして行う回復作業のこと。
例)壁紙やフローリングの張替・配線や配管のし直し・部品の交換など

修理修繕は、器用な方はどこまででもできてしまいますので、やりすぎによる予算オーバーにならない様に気を付けてください。

普段あまり日曜大工に接していない方は、査定時にもそのままにしておき、内覧開始までにどの程度までリペアしておくべきかを担当者に相談してから対応するのでも問題ありません。まったく自分で出来ない場合には、不動産会社の担当者が簡単なリペアならしてくれるケースもあります。

5-3.複数の不動産会社で査定をする

マンションの査定をする際には、はじめから不動産会社を一社に絞ってしまうのではなく、複数の不動産会社からの査定額を比較してから、依頼する会社を選びます。はじめから一つの会社に絞ってしまうと、その査定額や査定内容を比較するものがないため、適正な金額提示かどうかがわからないからです。

いくつかの査定額を比較することで、物件の価値に見合った売却額がわかり、納得のいくマンション売却ができます。複数社に査定依頼をすることで、不動産会社の担当者の違いも比較できますので、誠実な対応をしてくれる会社がどこなのかもわかります。

複数の不動産会社で査定額を比較する際には、1つひとつ会社をネットで探すよりも、一度の入力で複数の不動産会社にいっぺんに査定依頼ができる「不動産売却 HOME4U」の活用をおすすめします。

不動産売却 HOME4U」は、NTTデータグループが運営する日本で最老舗の不動産査定の一括サイトです。厳しい審査をクリアした不動産会社のみが提携しているため、マンション売却に信頼と実績のある誠実な対応をする会社と巡り合う確率が高くなります。

カンタンなエリア情報などを入力していくと、全国2,300社もの中から、今回のマンション売却と相性の良い会社を最大6社までに絞って紹介します。ご自身で選んだ会社以外からは一切の連絡が来ませんので、安心してご利用いただけます。

6.マンションの査定方法3種類

マンションの査定方法3種類

本章では、よくある3種類の査定方法をまとめています。マンション査定をしてもらう際、現地に来てもらって行う査定は、2番目の訪問査定です。3種類とも無料です。

  1. 簡易査定
  2. 訪問査定
  3. AI査定

6-1.簡易査定

簡易査定は、机上査定とも呼ばれ、物件のおおよその売却額を知るためのカンタンな査定方法です。「不動産売却 HOME4U」などの一括査定サイトを利用したときに、最初に手にする査定額が、この「簡易査定」です。申込から査定額がわかるまでには、1~3日ほどかかります。

一括査定で入力した項目のうち、立地・間取りなどの物件情報から、類似した物件の過去の取引価格をもとにして金額を算出します。あくまで簡易的に出す数字ですので、直接見ないと判断できない物件の状態などは考慮に入っていません。

マンションを売却することが決まったら、まずは一括査定を利用して簡易査定をし、その中から、納得のいく売却額を出してきた不動産会社に、次項の訪問査定をお願いして、具体的な金額を出してもらいます。

6-2.訪問査定

訪問査定は、不動産会社の担当者が、マンション物件を実際に目で見て判断し、査定額を出す方法です。実際の駅からの距離、エリアの雰囲気、マンション敷地内の美化状態、日当たり、室内の劣化度合いなど、データではわからない部分を実際に見て判断していきますので、査定額の精度が上がり、かなり現実的な売却額がわかるようになります。

訪問査定の所用時間は1~2時間程度で、調査終了後に査定額が出るまでには3日、最大で1週間ほどかかることがあります。査定をしてもらう時の担当者の態度などからも、売り主にとって相性の良さそうな会社を判断することができるため、マンションを売却することが決まったら、簡易査定から時間をあまりあけずに、訪問査定に来てもらうようにします。

6-3.AI査定

AI査定とは、AI(人工知能)が人に変わって行う簡易査定のことです。AIのデータ処理による査定結果ですので、個人情報が不要で、匿名での査定ができます。

査定方法は、AI査定サイトに入力した物件項目をもとに、類似した物件の過去の取引価格をもとにして金額を算出します。AIはコンピューターですので、膨大な情報量の計算を得意としており、AI査定による査定額の算出は、数秒で結果が出ます。

入力されたデータをもとに、過去の取引事例に照会して算出される数値ですので、とても客観的な情報です。反面、物件個々の特徴までは判断できないため、実際に売買される金額とは差がある可能性があります。

また、実際に売却をしようとしたときには、仲介をしてくれる不動産会社を探すところから始めなければならず、ケースによってはもう一回簡易査定をしてから訪問査定をするなど、二度手間になることがありますので、査定額の相場感をつかむ目的で使うというスタンスが向いています。

7.自分でマンションの価値を調べる3つの方法

自分でマンションの価値を調べる3つの方法

本章では、一括査定サイトなどを利用して査定をしてもらう以外に、自分でも査定額を知る方法として、次の3つの方法をまとめています。ご自分でマンションの価格を調べると相場感がつかめるので、不動産会社が出してきた査定額の比較をするときに役立ちます。

7-1.レインズマーケットインフォメーション

レインズマーケットインフォメーションとは、国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営するシステムで、過去1年以内の成約済物件報が掲載されている、一般向けの不動産売買情報の閲覧サイトです。

マンションのエリア詳細を選択すると、地域詳細、沿線の最寄り駅、駅歩などを含めた11項目を選択し、かなり絞り込んだ条件検索ができます。

売却予定のマンションの近隣エリアにある、類似物件の検索をすると、直近一年ほどに行われた取引相場がわかります。取引価格は坪単価で出てきますので、取引額は自分で坪単価×坪数で計算しなおす必要があります。

7-2.土地総合情報システム

土地総合情報システムとは、国土交通省が運営している不動産の取引価格や地価公示・都道府県地価調査の価格を閲覧できる一般の方が利用できるウェブサイトです。前出のレインズマーケットインフォメーションと同様、類似物件の成約取引を検索することで、相場感をつかむことができます。

土地総合情報システムの場合、記載されている情報は、実際に取引をした方へのアンケート結果を反映したものを、国土交通省が運営するサイトで掲載しているため、情報への信頼性が非常に高いのが特徴です。こちらは取引価格が出てきますので、どのくらいの値段で売れたのかが明確にわかります。

7-3.ポータルサイト

ポータルサイトとは、NTTデータスマートが運営する「中古住宅 HOME4U」のような、不動産売買に関した情報を扱うサイトのことです。ポータルサイトには、現在売却中の中古マンション物件が掲載されているため、近隣エリアの類似物件が、どのくらいの値段で売却活動をしているのかがわかります。

ただし、売却中の価格は、売り主の希望価格でもありますので、実際の取引額とは違いますが、スタート時の売却価格のめやすとして使えます。

まとめ

本記事では、マンション査定の際に、不動産会社の担当者がどこまで見ているのかをまとめました。どこまで見ているかは、基本的には、不動産会社によって大きな差はなく、ほとんどの会社が今回お伝えした15ポイントをチェックしています。

どの不動産会社でも、簡易査定を申し込んだ時点で、データとして調べておけることは調査済みで、訪問査定の際には、データからは把握できないことをプロの目でチェックするために訪問します。

また、訪問時には査定額などを正確に算出するためにチェックをするのですが、その目線はあくまで「購入希望者がこの物件をどう思うか」がベースであることを念頭に、掃除や片付けなどは徹底しておき、家族以外の人が家に来ることを前提にしておいた方が、査定時の心証はアップします。

訪問査定前に、ご自身でできる相場価格はしておき、提示された査定額が妥当かどうかを判断できるくらいの相場感があれば、複数の不動産会社の提示額から、もっとも納得のいく価格をだしてくれた会社とスムーズな売却活動ができる様になります。

査定を依頼する際は不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)を利用すると便利です。
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