更新日:2025.04.01 不動産売却の基礎講座, 不動産売却のノウハウ 手付金とは?不動産の売買契約における3つの役割や相場、注意点を紹介 不動産の売買契約を結ぶ際には、買主が手付金を渡すのが一般的です。しかし、手付金の詳しい役割を説明できる方は、それほど多くはないかもしれません。 そこで本記事では、不動産売買において手付金が果たす3つの役割のほか、金額の相場や注意点などについて解説します。不動産売買を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。 この記事を読むと分かること 手付金の概要 手付金の3つの役割 手付金の相場と注意点 「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格(※)”を見つけましょう※依頼する6社の中での最高価格 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます 完全無料一括査定依頼をスタート Contents1.手付金とは?2.手付金の3つの意味と役割3.手付金の相場4.手付金の注意点まとめ 1.手付金とは? 「手付金」とは、売買契約を締結する際に買主が売主に預ける金銭のことを指します。 手付金は、「残代金を支払う際に売買代金の一部として充当する」といった内容の契約になっているのが一般的です。そのため、不動産売買においては「マンションや戸建てを買うときに先に支払う金銭」というイメージが強いかもしれません。 しかし、不動産売買における手付金は、不動産の買主から売主へ一時的に預けられるものを指し、場合によっては「解約金」や「違約金」のような法的な意味も併せ持ちます。 【無料】一括査定依頼スタート 1-1.手付金と頭金の違い 「頭金」は、住宅ローンを組んで不動産を購入する際に代金の一部として支払う金銭であり、売買金額から借入額を引いた額を指します。これに対して、手付金は売買契約の際に預ける金銭です。 手付金と頭金は、契約時に用意する義務があるかどうか、という点で大きく異なります。頭金は購入代金の一部を任意で先払いするものであって、支払う義務はありません。それに対して手付金は、契約を成立させるための「預け金」という位置付けのため、用意が必要です。 なお、自己資金なしで住み替えができるか気になる方は、「自己資金なしでも住み替えはできる!方法や注意点、成功させるポイントについて解説」もご覧ください。 1-2.手付金と内金、申込証拠金との違い 「内金」とは、売買契約の成立後に売買代金の一部として、買主から売主に渡される金銭のことです。頭金と似ていますが、住宅ローンに関連するものではありません。また、手付金のように「解約金」や「違約金」としての意味合いを持つものでもありません。 詳しくは後述しますが、買主は手付金を放棄することにより契約を解除できます。しかし、内金を放棄しても解約はできません。 そして、買主が購入の意思を示すために、売買契約に先立って売主に預ける金銭を「申込証拠金」といいます。こちらも、手付金のような法的な効力は持ちません。 ただし、申込証拠金は売買契約が成立した際には手付金に充当され、契約にいたらなかった場合には返還されるのが一般的です。 手付金と頭金、内金、申込証拠金の違いをまとめると、以下のとおりです。 支払いタイミング 支払う義務 法的な効力 申込証拠金 売買契約の前 × × 手付金 売買契約時 ○ ○ 頭金 売買契約の後 × × 内金 売買契約の後 × × 「諸費用」とは、不動産の購入時に別途必要となる費用のことです。例えば、以下のようなものが諸費用にあたります。 仲介手数料や融資手数料 火災保険や団体信用生命保険などの保険料 不動産登記費用 印紙代 これらは、手付金のように返還される(または売買代金に充当される)ものではなく、購入とは別にかかる費用です。 住宅の購入時にかかる諸費用 住宅を購入したり、住み替えたりする際は、物件の代金以外に諸費用が発生 2.手付金の3つの意味と役割 不動産売買における手付金には、以下の3つの役割があります。 売買の意思を示す「証約手付」 解約権を保障する「解約手付」 債務不履行に備える「違約手付」 ここでは、それぞれの意味について説明します。 2-1.売買の意思を示す「証約手付」 「証約手付」とは、売買契約が成立したことの証しとなる手付金のことです。 不動産の売買は、さまざまな段階を経て成立にいたります。したがって、「どのタイミングで売買契約が成立したのか」が不明瞭なケースも少なくありません。 証約手付は、こうした不明瞭さを避けるために支払われます。買主から売主に金銭が預けられることにより、双方が売買契約に合意したという事実が明確に示されるのです。 2-2.解約権を保障する「解約手付」 「解約手付」とは、売買契約の当事者に解約権を与える手付金のことを指します。不動産の売買契約において、買主と売主には「お金を払えば売買契約をキャンセルできる権利」が与えられています。 買主は、預けてあった手付金を放棄することで契約を解除できます。つまり、本来であれば手付金を返還してもらえるところを、その権利を手放すことによって解約が可能になります。 一方、売主が契約を解除するためには、手付金を倍にして返さなければなりません。預かっていた金額を買主に返還したうえで、さらに同額を支払うことによって解約できます。 解約手付について詳しく知りたい方は、「解約手付とは?手付の種類、手付解除ができる期限、金額目安について解説」も併せてご一読ください。 2-3.債務不履行に備える「違約手付」 「違約手付」とは、債務不履行に備えて預けておく手付金のことです。売買契約に違反した場合に支払わなければならない、違約金のようなものだと考えればわかりやすいでしょう。 買主側では、代金を支払わないといった行為が債務不履行にあたり、このような行為があった場合には預けていた手付金が没収されます。 一方、売主側では、物件を引き渡さないといった行為が債務不履行に該当します。こういった行為があれば、預かっていた金額を買主に返還したうえで、さらに同額を支払わなければなりません。 3.手付金の相場 手付金の金額は、買主と売主の合意のもとで決められますが、一般的には売買代金の5~10%が目安とされています。そして、不動産会社が売主となる取引では上限を20%とすることが、宅地建物取引業法で定められています。 参考:“宅地建物取引業法”. e-Gov法令検索 また、手付金が売買代金の10%または1,000万円を超えるときは、不動産会社の倒産など万が一の場合に備えて手付金の保全措置を講じなければなりません。具体的には、買主の支払った手付金を不動産保証協会などで保全しておきます。 参考:“トップページ”. 公益社団法人 不動産保証協会. (参照2024-04-01)をもとに、HOME4Uが独自に作成 これは、買主に物件が引き渡されないばかりか、手付金も返還されないといった事態を防ぐためのルールです。手付金の保全措置では第三者組織による保証が必要ですが、その手間を省くために手付金は売買代金の10%以内に設定されるケースが多いようです。 4.手付金の注意点 不動産の売買契約を締結する際には、以下の2点に注意しましょう。 手付金には適切な金額を設定する 契約解除の期限に留意する 4-1.手付金には適切な金額を設定する 手付金は、小さすぎず大きすぎない金額に設定することが大切です。例として、ここでは3,000万円の不動産の売買契約について考えてみましょう。 手付金が3万円だとすると、売買代金に対して金額が小さすぎるため、買主・売主ともに気軽に解約ができてしまいます。一方で、手付金を1,000万円に設定すると、金額が大きすぎてしまい、解約が非現実的となり、解約手付としての役割を果たせなくなってしまいます。 一般的に、手付金の相場は売買金額の5%~10%とされているので、売買金額が3,000万円の本ケースでは、150万~300万程度が目安といえるでしょう。 4-2.契約解除の期限に留意する 前述のとおり、売買契約は手付金によって解除できますが、無期限で解約可能というわけではありません。原則として、一方が「契約の履行に着手するまで」が契約解除の期限とされています。 参考:“民法”. e-Gov法令検索 例えば、売主が建物の引き渡しに向けて修繕を始めれば、買主の視点では「契約の履行に着手した」と判断できるでしょう。一方の売主としては、買主が残代金を支払う時が「契約の履行に着手した」タイミングと判断できます。 ただし、どのような行為が「契約の履行に着手」にあてはまるのかについては、明確に定められていません。そのため、実際には契約解除の期限が契約書に明記されるケースが多いです。 まとめ 手付金は、売買契約を締結する時に買主から売主に預けられるものです。頭金や内金とは異なるもので、「証約手付」「解約手付」「違約手付」という3つの役割を担います。これにより、契約を締結したことが明確になり、解約を求める際にも法的な効力を発揮します。 解約が必要となるような事態に備えるには、手付金として適切な金額を設定しておかなければなりません。また、買主・売主のどちらの立場になる場合でも、いつまでなら契約解除が可能なのかを把握しておくことが大切です。 不動産の売却を検討している方は、NTTデータ・ウィズが運営する不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」をご活用ください。「不動産売却 HOME4U」なら、簡単な入力のみで日本全国約2,500社の優良企業のなかから、最大6社の査定結果を一括で取り寄せできます。不動産の査定価格には数百万円もの差が生じるケースも珍しくないため、各社の査定内容を慎重に比較検討することをおすすめします。