「不動産売却はどこがいい」と悩んだときの判断基準や依頼方法

不動産を売却をするには、どこの不動産会社に依頼すればいいでしょうか?
査定依頼の段階で迷う方に向け、大手・中小の比較方法と5つの判断基準、HOME4U活用術を解説します。

この記事は、不動産鑑定士・宅地建物取引士の資格を持つ専門家が執筆しています。

この記事の執筆者

1.不動産会社は大手・中小どちらに依頼すべきか

1章で解説したような依頼すべき不動産会社の判断基準は、いくつかの不動産会社を比較しないことには、なかなか機能しません。

中には、大手か中小かで大きくあたりをつけて、依頼先を絞りたいと考える方もいるでしょう。

本章では、不動産会社を選ぶときの『大手か中小か』という判断基準に対して触れていきます。

1-1.大手か中小かで決めるべきではない

結論、「大手不動産会社か、中小不動産会社かという括りで決めるべきではない」と言えます。
売主目線の不動産会社の良し悪しは、不動産会社の大きさでは決まりません。

大手の売却力ゆえに早く高く売れることもあれば、地域の実情を理解した小規模不動産会社が最高の売却に導いてくれる場合もあります。

不動産会社の良し悪しは、物件や地域により異なります。
また担当者との相性も重要なので、大手・中小問わず、複数社比較してみないことには分からないのです。

大手か中小かではなく、2章で解説する判断基準を満たしているかを軸に不動産会社を選ぶことをお勧めします。

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世の中には、残念なことに悪質な不動産会社も存在します。
こうした不動産会社は、利益のために売却情報を囲い込む行為(囲い込み)や、売れもしない査定額を提示して契約を誘うなど、売主にとって不利益な行為をします。

「こんな悪質な行為、大手はしないだろう」と思わえれガチですが、そうとは言い切れません。
会社全体で悪質行為を促しているわけではありませんが、各店舗、担当者の中には悪いことを考える方もいるです。

そのため、「大手ならとりあえず安心!」と、安易に会社を限定しないように注意しましょう。
大手、中小問わずに、査定額や対応を比較することで、やっと信頼できる不動産会社を見つけることができるのです。

NTTデータ・ウィズが運営する不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)なら、全国から厳選された、大手・地域密着の不動産会社にまとめて査定依頼ができます。
まずは知名度だけで決めずに、さまざまな不動産会社を比較して、信頼できる会社・担当者を見つけましょう。

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1-2.そもそも大手と中小の不動産会社はどう違う

大手か中小かの括りで、依頼する不動産会社を決めないほうがいいと解説しましたが、大手と中小ではもちろん違いがあります。
不動産会社を選ぶ最終段階では、大手と中小の特徴差を考えてみると、判断しやすい場合もあるでしょう。

それぞれの特徴を、簡単に見ていきましょう。

1-2-1.大手不動産会社の特徴

★大手不動産会社の特徴

  • サービスが充実している
  • 販売元で依頼しやすい場合も多い
  • 買主からの認知度が高い
  • 営業店が少ない

大手不動産会社は「ハウスクリーニング」や「インスペクション」などのサービスが充実していることが多く、大きく費用を浮かせて、効率的に売却できる期待が高まります。

新築を購入した方は、大手不動産会社が販売店である場合もあるので、依頼しやすく、また不動産の詳しい情報も連携しやすいでしょう。

買主からの認知度も高いため、店舗に直接訪問する客層にもアプローチしやすくなります。

ただ、営業店が限られることから、売りたい不動産と距離が離れてしまう場合もあります。
交通費がかかるだけでなく、近隣需要の理解が乏しい場合もあるので、不動産会社との距離には注意しましょう。

実際に、大手不動産会社を選んだことでスムーズに買い手が見つかり、売却に成功したケースもあります。

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1-2-2.中小不動産会社の特徴

★中小不動産会社の特徴

  • 地域の事情に精通している
  • 柔軟性が高く、相談に乗ってくれやすい
  • 営業力にばらつきがある
  • 買主からの認知度が低い

近場の中小不動産会社であれば、地域の実情をよく理解している場合が多いでしょう。近隣での売却実績を聞いてみましょう。

大手に比べると、よくも悪くもマニュアルに縛られません。
柔軟性が高く、相談や要望に乗ってくれやすい反面、担当者それぞれの能力差が大きい可能性もあるため、注意が必要です。

また、買主からの認知度が低いため、わざわざ店舗に来店して物件を選ぶような客層にはアピールしにくいといえます。
ただ、抱えている売却物件が少なければ、店頭に大きく広告を出してくれるかもしれません。

なお、売買契約成立時に不動産会社へ支払う仲介手数料には、大手中小の違いはありません。
仲介手数料は法律により上限額だけ決められているため、実際の金額は会社ごとの裁量になります。

2.不動産売却をどこに依頼するか迷ったときの判断基準

不動産の売却を依頼する不動産会社は、どこにすべきでしょうか。
迷ってしまい、売却をなかなか進められない方も少なくありません。

この章では、依頼すべき不動産会社の判断基準を紹介します。
次の5つのポイントを満たしているかどうかが、良い不動産会社かどうかを見極める目安になります。

それぞれを解説していきます。

2-1.売りたい不動産と同様の売却実績が豊富

売りたい不動産が『戸建て』なら戸建て、『マンション』ならマンション、『土地』なら土地の売却実績が豊富な不動産会社を選びましょう。
不動産会社ごとに、得意な不動産の種類があるためです。

また、単に実績数が多いだけでなく、売りたい不動産の条件に近い売却実績があるかも重要です。
エリア・築年数・間取り・面積などが近い物件の売却実績があれば、売却方針や価格設定の大きな参考になります。

詳しい売却実績は、査定の際などに不動産会社に相談すれば用意してもらえます

2-2.売りたい不動産の地域の実情を理解している

全国展開している不動産会社は一見安心感がありますが、必ずしも売却に強いとは限りません。
重要なのは、売りたい不動産がある地域の実情をどれだけ理解しているかです。

不動産の売却は、その地域の購入ニーズによって成果が大きく変わります。
「この地域ではどんな不動産が買われやすいのか」「どう売り出せば注目されやすいのか」「最近の傾向はどうか」など、地域のニーズを踏まえて売り出し方を考えてくれる不動産会社を選びましょう。

まず、物件から極端に遠い不動産会社は避けるのが無難です。
他のポイントも満たしたうえで、できるだけ自宅に近い会社を選ぶと、近隣事情への理解度が高い可能性がより高まります。
その地域での長期における安定した売却実績があるか、まで確認しましょう。

2-3.質問や相談に誠実に答えてくれる

査定担当者の対応の良し悪しもよく見ておきましょう。
不動産の売却は平均3~6か月と長期戦になりやすいため、担当者との相性は非常に重要です。

具体的には、「質問に対して親身に答えてくれる」「要望へのレスポンスが早い」といった担当者を選びましょう。
売主の多くは不動産の素人です。プロとしてしっかりアシストしてくれる担当者を選べるかどうかが、売却成功のカギを握ります。

訪問査定の際などは、査定担当者と積極的にコミュニケーションをとりましょう。
言葉や行動だけでなく、表情や態度も含め、人として信頼できるかを見極めてください。

2-4.ネット広告に力を入れている

査定を依頼する際は、インターネット広告に力を入れている不動産会社かどうかも重要なチェックポイントです。

近年は、中古住宅 HOME4U(ホームフォーユー)やSUUMOなどの不動産ポータルサイトが主流になり、仲介の流れが大きく変わりました。
以前は、駅前の不動産会社に来店して物件を紹介してもらうスタイルが一般的でしたが、今は購入希望者がネットで情報を集め、現地で不動産会社と待ち合わせて内見する形が主流です。
そのため、売買仲介に強い不動産会社は、「駅前の店舗」よりも、ポータルサイトなどのインターネット広告に積極的な会社へと変わりつつあります。

ポータルサイト上の広告の見せ方には、不動産会社ごとに大きな差があります。
大手でも試行錯誤している会社がある一方、昔ながらの見せ方から変わっていない会社も少なくありません。

一方で、写真やコメントに工夫があり、先進的な広告を展開しているのは、地元の熱心な不動産会社であることも多いです。

ただし小規模な不動産会社ほど、インターネット広告にほとんど対応していないといったケースもあります。

ポータルサイトで社名を検索すれば、その不動産会社が掲載している物件広告を確認できます。
どんな写真・コメント・レイアウトで広告しているのか、依頼前にチェックしておくことをおすすめします。

2-5.査定額に根拠を持っている

不動産会社の査定額は、会社によって大きく異なります。
査定とは「売却の目安となる価格」を算出するもので、市場の読み方や物件の評価の仕方次第で、大きな差が出るためです。

さらに、場合によっては不動産会社側の都合が入り込むこともあります。
自社と専任契約を結んでもらうために根拠の乏しい高額査定を出したり、早く成約させて回転率を上げたいがために、相場より安い査定額を提示したりするケースも残念ながら存在します。

そのため、査定額に納得できる明確な根拠があるかどうかは、不動産会社を信頼できるかどうかに直結します。

多くの不動産会社は査定結果にコメントを添えますが、複数社を比較すると、根拠が薄く「なんとなく書いただけ」と分かるコメントをしている会社も見つかります。
他社より高い査定額だからといって、必ずしも悪質とは限りませんが、その理由は必ず確認し、他社のコメントと比較しましょう。

査定額を比較する際の基準は、売却相場です。売主自身も事前に相場を把握しておきましょう。

売却相場は、『不動産情報ライブラリ』や『レインズマーケットインフォメーション』で、売りたい不動産の条件に近い過去の売却事例を調べることで、おおよその水準を掴めます。

査定額の妥当性を見極めるには、複数社の査定額と根拠を比較することが大切です。
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3.一括査定で厳選された大手・中小不動産会社を簡単比較

これまでに、複数社を比較することの大切さについても何度か触れてきました。
ただ、近場の不動産会社を何件もピックアップしたりするのは面倒ですし、悪質な不動産会社に遭遇する可能性もあります。

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4.不動産会社選びの4つの注意点

第一章と第二章で紹介した内容をもとに不動産会社を選んでいただいたら、最終的に「本当にその会社で良いのか」を、本章で解説する「4つの注意点」をチェックした上で最終決定してください。

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

4-1.査定価格だけで選ばない

不動産会社は、査定価格だけで選ばないことが注意点です。
売主としては、ついつい高額査定に食いついてしまうものですが、特に高過ぎる査定価格は、仲介の契約を取りたいがために意図的に出している可能性があるため、避けるべきといえます。

複数の不動産会社に査定を依頼すれば、とびぬけて高過ぎる価格というのがわかりやすくなります。
複数の不動産会社に査定を依頼することは、高く売ってくれる会社を見つけるためだけではなく、高過ぎる価格の会社を排除する目的もあるのです。

高い査定価格の不動産会社が気になる場合には、査定根拠をしっかりと聞くようにします。
既に見込み客がいる等の納得できる確実な根拠があれば、売却を依頼する価値はあります。

4-2.遠方の不動産会社は避ける

遠方の不動産会社は避けるのが基本です。
名古屋の物件を売るのに、東京の不動産会社に売却を依頼するようなことはナンセンスといえます。

不動産はその地域に根ざしていないとわからないことが多くあるため、少なくとも同一市町村に一店舗以上の営業店があるような会社を選ぶことが適切です

4-3.どのようなインターネット広告をしているか確認する

どのようなインターネット広告をしているか確認することも大事です。

昨今は、買主がポータルサイト上のインターネット広告で物件を見つけて、不動産会社に問い合わせるのが一般的な流れとなっています。
ポータルサイトとは、物件検索サイトのことです。

そのため、不動産を売却するには、インターネット広告がしっかり作り込んであることが極めて重要となります。

ポータルサイトには便利な機能があり、検索キーワードに不動産会社を入力すると、その不動産会社が扱っている他の物件を見ることができます。

他の物件を見れば、その会社がどのようなインターネット広告を出しているのかが分かります。

写真を多く載せている場合や、動画や360°ビューイングを載せている会社であれば、広告熱心であり、適切な会社です

インターネット広告は重要ですので、契約を依頼する前に広告の出し方を確認することをおすすめします。

4-4.「専任媒介」を強要するような不動産会社は避ける

「専任媒介」を強要するような不動産会社は避けることも、注意点となります。
専任媒介」とは媒介契約の種類のひとつで、不動産会社に依頼する仲介の契約のことです。

媒介契約には、「一般媒介契約」、「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3種類があるのですが、大きく分けて「一般媒介契約」と「専任媒介契約または専属専任媒介契約」の2種類の分類できます。

一般媒介契約は、複数の不動産会社に同時に仲介を依頼できる契約です。
それに対して、専任媒介契約または専属専任媒介契約は、1社にしか仲介を依頼できない契約となります。

不動産会社は専任媒介契約または専属専任媒介契約で契約できると、売り物件の扱いを1社で独占することができます。

他社に横取りされることがないため、不動産会社は専任媒介契約や専属専任媒介契約を締結したがることが多いです。

そのため、一部の不動産会社の中には、専任媒介を強要してくるような会社も存在し、「この査定価格は専任媒介でないと売れません」といったようなことを主張してくる会社もあり、専任媒介でないと高く売れないというニュアンスを伝えてくる会社もあります。

不動産の価格は媒介契約では異ならないため、一般媒介や専任媒介であっても基本的に同じです
あまりに強引に専任媒介に誘導してくるケースでは、上記のような意図があることも想定されるので注意してください。

どの契約を選択するかは売主の自由ですので、それぞれの特徴を理解して契約を選択することが適切です。

まとめ

いかがでしたか。
「不動産売却ならどこかいいか?」について解説してきました。

大手や地元の不動産会社には、それぞれメリットやデメリットが備わっています。

不動産会社は大手や地元という切口で選ぶより、「遠方の不動産会社でないこと」、「インターネット広告を頑張っていること」、「専門性がありアドバイスをくれること」等の観点から選んだ方が適切です。

不動産売却 HOME4U」なら、大手や地元の不動産会社にバランス良く査定依頼することができます。
あなたにぴったりの不動産会社を探せますので、ぜひご利用ください。

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この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット