空き家バンクとは?売り手側のメリット・デメリット、その他の選択肢も解説

空き家バンクとは メリット・デメリット

所有している空き家を手放したいものの、「スムーズに売却できるか不安」という方は、空き家バンクを活用してみてはいかがでしょうか。空き家バンクとは、全国の地方公共団体が提供する空き家のマッチングシステムのことです。

本記事では、空き家バンクの仕組みやメリット・デメリット、空き家バンク以外の選択肢について解説します。

この記事を読むと分かること
  • 空き家バンクの仕組み
  • 空き家バンクの売り手側のメリット・デメリット
  • 空き家バンク以外の売却方法
「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ
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1.空き家バンクとは?

「空き家バンク」とは、全国の地方公共団体が提供する、空き家のマッチングシステムのことです。空き家を売りたい方と買いたい方(貸したい方と借りたい方)をつなぐ仕組みであり、両者ともに無料で利用できます。

空き家の売却を希望する方が、物件情報を空き家バンクに提供して、地方公共団体のWebサイト、広報誌などに掲載してもらいます。そして、購入希望者は公開された物件情報のなかから、条件に合う空き家を見つける、というのが一連の流れです。

ただし、地方公共団体が行なうのはマッチングまでで、内覧や交渉、売買・賃貸契約に関しては個人間で行ないます。不動産会社に仲介を依頼できますが、その場合は仲介手数料の支払いが必要です。

参考:“空き家・空き地バンク総合情報ページ”. 国土交通省

2.空き家を放置するリスク

空き家と青空

全国各地で空き家バンク制度が導入されている背景として、空き家問題の深刻化があります。ここでは、空き家を放置することで生じるリスクについて解説します。

2-1.近隣住民に損害を与える可能性がある

住人のいない家は劣化が進みやすいため、定期的なメンテナンスが必須です。適切な管理を行なわないまま空き家を放置すると、見た目の劣化だけでなく倒壊の危険性まで出てくるでしょう。

また、空き家は放火などの犯罪のターゲットになりやすい点も問題です。雑草が生い茂る庭で自然発火が起きたり、ゴミを不法投棄されたりするケースもあります。

空き家に不審者が住みつけば、近隣の治安が悪くなり、周辺の物件の資産価値まで下がることになりかねません。

空き家を放置するリスク

空き家について近隣住民からクレームを受けるだけでなく、実際に損害が出て裁判へと発展する例もあります。

2-2.固定資産税の軽減措置がなくなる可能性がある

増え続ける空き家に対処するため、2015年(平成27年)に「空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策特別措置法)」が施行されました。この法律により、「特定空き家」に認定された空き家には、固定資産税の軽減措置が適用されなくなったのです。

特定空き家とは、以下のような状態にある空き家(そのような状態になることが予見されるものも含む)のことを指します。

  • そのまま放置すると、倒壊など著しく保安上危険となる恐れがある
  • アスベストの飛散、ゴミの異臭など、著しく衛生上有害となる恐れがある
  • 適切に管理されておらず、著しく景観を損なっている
  • 枝の越境、動物のふん尿などにより、周辺環境に影響を及ぼしている

出典:“年々増え続ける空き家!空き家にしないためのポイントは?”. 政府広報オンライン. 2022-06-14. (参照2024-04-01)

小規模住宅用地の場合、固定資産税の課税標準額が6分の1になる軽減措置が適用されます。しかし、特定空き家として指定されると、この軽減措置が適用されなくなり、結果的に固定資産税の負担が最大6倍になる恐れがあるのです。

参考:“空家等対策の推進に関する特別措置法”. e-Gov法令検索

参考:“「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)”. 国土交通省

固定資産税と空き家について詳しくは、「空き家になると固定資産税は高くなるの?」「2015年度税制改正で特定空家の固定資産税特例を除外」をご覧ください。

また、家や土地にかかる税金に関しては、「固定資産税・都市計画税~家や土地など不動産を所有しているとかかる税金~」で詳しく説明しています。

3.空き家バンクの売り手側のメリット

売物件

ここからは、空き家バンクに物件情報の掲載を考えている方のために、売り手側のメリットを解説します。

3-1.物件情報を無料で掲載できる

空き家バンクならどのような物件であっても、利用登録をすれば無料での掲載が可能です。「駅から遠い」「築年数が古い」など資産価値をアピールしづらい空き家でも、インターネット上で買い手を探すことができます。

地方には数多くの空き家が存在しますが、なかには不動産会社が対応できない地域の物件もあります。そのような対応外の地域の場合、ポータルサイトなどに掲載してもらえず、空き家の情報を多くの方に知ってもらうことができません。

一方の空き家バンクであれば、地方公共団体のWebサイトや広報誌を介して、空き家を探している方にアピールできます。物件情報を広く掲載することで、購入希望者とマッチする可能性を高められるでしょう。

3-2.仲介手数料の負担がない

不動産会社の仲介で空き家を売却する際には、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。一方、空き家バンクを利用して個人間取引をする場合、仲介手数料はかかりません。

なお、不動産会社の仲介手数料には、取引物件価格に応じて下記のとおり上限が定められています。

空き家バンクで購入希望者が見つかり、スムーズに契約まで進めば、売却後に手もとに残る金額も大きくなるでしょう。

仲介手数料について詳細は、「仲介手数料っていくら必要なの?」「仲介手数料や税金、その他費用を徹底解説!不動産売却の手数料ガイド」をご覧ください。

3-3.空き家購入を促す支援制度がある

空き家の売買に関しては、買い手向けの支援制度があります。支援制度の内容は地方公共団体によって異なりますが、空き家の購入、リフォーム、改修などにかかる一部費用を負担してもらえることがあります。

支援制度が充実していれば、買い手側の金銭的な負担が軽くなり、購入意欲も高まります。その結果、売り手側としては買い手を見つけやすくなるのです。

空き家バンクの利用を検討している場合には、こまめに最新情報を確認しましょう。

4.空き家バンクの売り手側のデメリット

空き家バンクでの売却を検討している方は、以下のデメリットについても確認が必要です。

4-1.トラブルに自分で対応しなくてはならない

空き家バンクを利用して個人間取引を行なう場合、内覧時の対応から価格交渉、売買契約まで自身ですべて行なう必要があります。

不慣れな個人間の取引では、やりとりがスムーズに進まなかったり、契約内容に不備が生じたりすることもあるでしょう。話し合いがまとまらず、交渉が長引くケースもあります。

不動産会社に仲介を依頼する場合と異なり、専門家によるアドバイスやサポートが受けられず、現地に何度も出向いたり、連絡や話し合いで時間を取られたりして、仕事や生活に支障が出る恐れもあります。

個人間取引が不安な方は、不動産会社に仲介を依頼することを検討しましょう。

4-2.売却までに時間がかかる場合がある

空き家バンクに情報を掲載したとしても、買い手がすぐに見つかるとは限りません。空き家バンクにはほかにも多数の空き家情報が掲載されているため、売却まで時間がかかる場合もあるでしょう。

「空き家バンクで買い手が見つからなかったので、結局不動産会社と契約して売却を依頼した」という声も聞かれます。

不動産会社に売却を依頼すれば、物件の魅力を最大限アピールできるような広告宣伝をしてもらえます。「1日でも早く売却したい」という方は、不動産会社への売却依頼を検討しましょう。空き家バンクと不動産会社への相談を同時に進めるのも一つの方法です。

5.空き家をスムーズに売却するには?空き家バンク以外の選択肢

不動産取引

空き家バンクを利用する以外に、不動産仲介・買取という選択肢もあります。

5-1.不動産仲介

不動産仲介とは、不動産会社に仲介依頼を行ない、物件の買い手を探してもらう方法です。不動産会社が広告宣伝、営業を行ない、買い手が決まるまで全面的にサポートします。

前述のとおり、居住者のいない家をそのまま放置すると、建物の劣化や倒壊などの危険が生じます。固定資産税の支払いも続くため、早めに売却するほうがよいでしょう。

不動産をできる限り早く、高値で売りたいなら、複数の不動産会社に査定依頼を出すのがおすすめです。NTTデータグループが運営する不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」を利用すれば、全国約2,300社の優良不動産会社のなかから、最大6社の査定価格をまとめて取り寄せできます。

大手の不動産会社から地域密着型の不動産会社まで、さまざまな選択肢のなかから、ぴったりの会社を見つけられるでしょう。

空き家売却の流れや不動産会社の選び方などを知りたい方は、「空き家売却の方法と流れ│特例・費用・不動産会社の選び方も解説」をご一読ください。

5-2.不動産買取

不動産買取とは、不動産会社に空き家を買い取ってもらう方法です。買取された物件はリフォームやクリーニングを行なったあと、自社商品として売り出されます。

不動産買取は売却期間が短く、早ければ数日程度で買い取ってもらえます。仲介手数料もかからず、築年数の古い物件でも売却しやすい点がメリットです。

ただし、空き家はリフォームすることが前提となるため、不動産仲介よりも売却価格が下がる傾向にあります。物件の状態にもよりますが、市場価格の50~80%程度の価格で取り引きされることが多いです。

空き家買取については、「空き家買取は業者選びが重要!依頼先の選び方や買取の特徴を紹介」で詳しく解説しています。

まとめ

空き家を放置すると税金の負担が重くなるだけでなく、近隣住民に迷惑をかけるリスクもあります。空き家を持て余している場合には、空き家バンクの利用を検討してみましょう。空き家バンクなら、建物の状態や地域に関係なく、物件情報を掲載可能です。

ただし、個人間取引ではトラブルが起きたり、売却までに時間がかかったりすることもあるため、空き家バンクと併せて、不動産仲介や買取について検討することをおすすめします。

空き家の売却をお考えの方は、NTTデータグループが運営する不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」をぜひご利用ください。不動産売却 HOME4Uは、22年の実績を誇る老舗の不動産査定サイトで、全国約2,300社の優良不動産会社のなかから、最大6社の査定価格をまとめて取り寄せできます。

空き家をスムーズに売却するには、不動産会社選びが重要となるため、複数社を慎重に比較検討しましょう。