【自宅の売却】高く売る3つのコツ・税金・特例をやさしく解説

自宅を売却する時、誰もが「少しでも高く売りたい」と考えますが、それを実現するには、適切な流れや税金など、最低限の知識を知っておくのが一番の近道です。

特に税金についてはルールが複雑であり、利用できる特例も多く用意されています。
知らないままだと損をすることも多いので、自宅売却の前は有益な情報を効率良く押さえるようにしていきましょう!

そこでこの記事では、自宅を売却する際に知っておくべき、「高く売るコツ」、「税金」、「特例」について、わかりやすく紹介していきます。

ぜひ最後までおつきあいいただき、売却成功への足掛かりにしてください!

家の売却を考えているけど、難しい話をたくさん読むのは苦手」「すぐに家を売却したい」という方は、この記事をざっくりと大枠で押さえた上で、まずは「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」を使って複数の不動産会社にまとめて売却査定を依頼してみることをおススメします。
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ぜひ比較して、信頼できる、最適な不動産会社を見つけてください。

この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット

1.自宅の売却の流れ

まずは、ざっと流れを押さえましょう!
自宅売却手続きの流れは以下の通りです。

自宅の売却の流れ

(1)価格査定~(3)売却活動の開始
自宅の売却では最初に価格査定を行います。
価格査定は、高く売ってくれる不動産会社を探すために、複数の不動産会社に依頼することが通常です。

価格査定は無料ですので、何社に依頼しても費用は生じません。
価格に納得がいかない場合は断っても大丈夫ですし、断っても費用は生じないことになります。

価格査定の結果、依頼したい不動産会社が見つかったら媒介契約を締結します。
媒介契約とは、不動産会社と締結する仲介の契約のことです。

準備期間は最短で0.5ヶ月程度あれば対応できます。
ただし、掃除や片付け等に時間が必要な場合には、売却活動の開始まで1~2ヶ月程度かかることもあります。

(3)売却活動の開始~(4)引渡
自宅の売却期間は、売却活動の開始から売買契約の締結までは3ヶ月程度です。
自宅の売却では、売買契約から引渡までは通常、1ヶ月程度空けます。

1ヶ月程度空ける理由は、この間に買主が住宅ローンの本審査を通す必要があるからです。
住宅ローンの本審査を通すには、買主が購入する物件の売買契約書が必要であるため、本審査は売買契約後となります。

買主の住宅ローンは、引渡日に実行されます。
よって、売買代金の入金があるのは引渡日です。

ただし、売買契約時には、売主は買主から手付金を受領します。
手付金の相場は売買代金の10%程度です。

手付金はそのまま売買代金の一部に充当され、引渡時点では売買代金を除く残金が振り込まれることになります。

2.こんな自宅でも売れる?

この記事をお読みの方の中には、「こんな家でも売れるのだろうか…?」と不安に思っている方もいらっしゃるかもしれません。
本章では、売主が不安に思う以下の2つのケースについて、解説していきます。

  1. 住宅ローンが残っている自宅
  2. 築年数が古い自宅

それではひとつずつ見ていきましょう。

2-1.住宅ローンが残っている自宅

住宅ローンが残っている自宅でも、売却は可能です
住宅ローンが残っている自宅は、売却の引渡日に入金された代金を使って残債を一括返済します。

住宅ローンが残っている自宅には、抵当権が設定されていることが通常です。
抵当権とは、債権者(銀行)がその抵当物件から優先的に弁済を受けることができる権利を指します。

抵当権は住宅ローンが完済されることで抹消されます。
よって、引渡日は売買代金の入金と、住宅ローンの一括返済、抵当権の抹消を同時に行うことになります。

抵当権の抹消を依頼することになる司法書士は、通常は不動産会社が手配してくれます。

2-2.築年数が古い自宅

築年数が古い自宅でも、売却することはできます。
条件にもよりますが、築40年を超えている物件でも建物付きのまま売却できている物件は多いです。

木造戸建て住宅の場合、築50年を過ぎていると、取り壊した方が売却しやすくなります
取り壊し費用は、一般的な木造住宅なら150万円程度です。

取り壊し費用を捻出できない場合でも、「古家付き」として売ることはできます。
古家付きとは、取り壊し前提で購入できる買主をターゲットにした売り方となります。
大げさなものではなく、具体的にはチラシに「古家付き」と書くだけです。

ただし、古家付き物件は、買主が取り壊し費用を負担することから、個人の購入者は少なくなります。
転売を目的とした不動産会社が購入するケースが多くなることから、売却価格はかなり安くなることが一般的です。

3.自宅を高く売却するコツ

それでは、お待ちかねの「自宅を高く売却するコツ」を紹介していきます。
ポイントは主に以下の3点です。

  1. 複数の不動産会社に査定を依頼する
  2. 適切なタイミングで売る
  3. 余裕を持ったスケジュールで売る

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

3-1.複数の不動産会社に査定を依頼する

自宅を高く売るには、複数の不動産会社に査定を依頼し、高く売ってくれる不動産会社を探すことが不可欠です。

なぜなら、同じ不動産であっても、売却が得意な不動産会社に仲介を依頼すると、高く売ることができます。
不動産会社の中には、売却ではなく賃貸を主に行っている会社もあるので、どの会社でも良いわけではありません。

不動産会社の行う査定は売却予想価格の算出であり、売却に自信のある会社ほど、高い査定額を出すことが可能です

ただ、そうは言っても、一般の方がどの不動産会社が売却を得意としているのかを識別するのはかなり困難ですよね。

そんな時に便利なのが、NTTデータグループが運営する「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」です。
全国の不動産会社の中から売却に強い会社が登録されており、売りたい物件の所在地や広さなどを入力するだけで、システムが瞬時に適した企業をピックアップしてくれます。

高く売るなら査定価格をまず比較!

ちなみに、「複数の不動産会社を比べる」ことが必要なので、この段階で1社だけに絞らず、できるだけ多くの会社に査定額の提示を求めるようにしてください。

査定額は不動産会社により異なるもので、時には100万円以上の差が出ることもあります。

以下の査定結果は、神奈川県で相場が4,000万円程度の自宅を、複数社に査定依頼した結果です。
4,000~4,200万円の査定結果が多い中、4,500万円の高額査定が得られました。

神奈川県で相場が4,000万円程度の自宅を、複数社に査定依頼した結果

査定を受けてみないことには、このような結果を見ることはできませんので、しっかり複数社に査定依頼し、高く売ってくれそうな不動産会社を見逃さないようにしてください。

3-2.適切なタイミングで売る

良い不動産会社を見つけた上で、さらに自宅を高く売るようにするなら、「適切なタイミングで売ること」がコツとなります。
昨今は、中古住宅の価格が年々上昇しており、自宅を売却するには最適なタイミングとなっています。

以下に、首都圏における過去10年間の中古マンションと中古戸建ての成約価格の平均額の推移を示します。
成約価格とは、実際に売買された価格のことです。

中古マンションと中古戸建ての成約価格

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2021年)

中古マンションも中古戸建ても、価格は上昇している状況です。
売りどきを逃さず売却することをおススメします。

3-3.余裕を持ったスケジュールで売る

不動産を高く売るための最後のコツは、「余裕を持ったスケジュールで売ること」です。
不動産は焦って売ると安く売ることに繋がります
焦って安く売ることは「売り急ぎ」と呼ばれ、不動産業界では昔からある現象です。

売り急ぎを防ぐには、予め余裕を持ったスケジュールを組む必要があります。
売却スケジュールは、準備から引渡まで6ヶ月程度のスケジュールを見込んでおくことが無難です。

4.自宅を売却したときの税金

本章では、自宅を売却したときの税金について、知っておくべき4つのポイントをコンパクトに解説します。

  1. 譲渡所得と税率
  2. 取得費を求めるための減価償却とは
  3. 売却時の税金シミュレーション
  4. 確定申告が必要な場合と不要な場合

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

4-1.譲渡所得と税率

自宅のような不動産を売却した場合、譲渡所得が発生すると税金が生じます。
譲渡所得とは売却益のことであり、以下の計算式で求められます。

譲渡所得 = 譲渡価額※1 - 取得費※2 - 譲渡費用※3

※1譲渡価額とは売却価額です。
※2取得費とは、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額になります。
※3譲渡費用は、仲介手数料や印紙税など、売却に要した費用のことです。

税金は譲渡所得に税率を乗じて求められます。

税金 = 譲渡所得 × 税率

税率は、所有期間によって異なります。
売却する年の1月1日時点において所有期間が5年超のときは「長期譲渡所得」、1月1日時点において所有期間が5年以下のときは「短期譲渡所得」と呼ばれます。

譲渡所得と税率

長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率は以下の通りです。

所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率
短期譲渡所得 5年以下 30% 9%
長期譲渡所得 5年超 15% 5%

復興特別所得税の税率は、所得税に対して2.1%を乗じます。

4-2.取得費を求めるための減価償却とは

税金は、譲渡所得がプラス(譲渡益)となれば発生し、譲渡所得がマイナス(譲渡損失)となれば発生しないのがルールです。

譲渡所得を計算するには、最初に取得費を求めることがポイントとなります。
取得費は、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額でした。

減価償却とは建物の取得原価を各会計期間に費用として配分する手続きのことであり、減価償却によって建物取得費は年々小さくなっていきます。

建物取得費が年々小さくなる状況と、譲渡益または譲渡損失が生じるイメージを示すと下図の通りです。

、譲渡益または譲渡損失が生じるイメージ

取得費を求めるには、購入から売却までの間に減少する減価償却費を求めることがポイントです。

売却時点の取得費の求め方は、以下のようになります。

取得費 = 土地取得費 + 建物取得費
    = 土地購入額 + (建物購入額 - 減価償却費)

取得費を求めるには、まず購入額を土地購入額と建物購入額に分けます。
建物購入額に分けたら、減価償却は建物購入額に対してのみ行います。

自宅のようなマイホームの減価償却費の計算式は以下の通りです。

減価償却費 = 建物購入価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

経過年数とは所有期間を指し、築年数のことではありません。
経過年数は6ヶ月以上の端数は1年に切り上げ、6ヶ月未満の端数は切り捨てて求めます。

(経過年数の計算例)
1996年3月~2019年6月・・・23年3ヶ月は「23年」として計算
2001年2月~2019年10月・・・18年8ヶ月は「19年」として計算

償却率は建物の構造によって決まっており、自宅のようなマイホームの償却率は以下の通りです。

構造 居住用(マイホーム)の償却率
木造 0.031
木造モルタル 0.034
鉄骨造(3mm以下) 0.036
鉄骨造(3mm超4mm以下) 0.025
鉄骨造(4mm超) 0.020
鉄筋コンクリート造 0.015
鉄骨鉄筋コンクリート造 0.015

尚、取得費がわからない場合、譲渡所得は概算取得費を用いて計算します。
概算取得費とは、譲渡価額の5%です。

概算取得費 = 譲渡価額 × 5%

土地も建物も取得費が不明の場合には、「譲渡価額×5%」が取得費です。

【戸建てに限ったお話】

戸建ての中には、土地だけ取得費が分からないケースもあります。
土地だけ取得費が分からないケースは、譲渡価額から建物取得費を控除したものに5%を乗じたものが土地の取得費となります。

土地の取得費がわからない場合の取得費の計算方法は以下の通りです。

【土地だけ取得費がわからないときの取得費】

土地の取得費 = (譲渡価額 - 建物取得費) × 5%
取得費 = 土地の取得費 + 建物取得費
    = 土地の取得費 + (建物購入額 - 減価償却費)

4-3.売却時の税金シミュレーション

売却時の税金がどうなるか、シミュレーションをしてみます。

【条件】

(売却条件)
譲渡価額:5,500万円
譲渡費用:174万円(仲介手数料:171万円、印紙税:3万円)

(購入条件)
建物構造:木造戸建て住宅(償却率:0.031)
購入価額:5,000万円
内訳 土地購入価額:3,000万円
   建物購入価額:2,000万円
経過年数:20年(長期譲渡所得に該当)

【税金シミュレーション】

最初に減価償却費を求めます。
減価償却費 = 建物購入価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
      = 2,000万円 × 0.9 × 0.031 × 20年
      = 1,116万円

取得費は以下の通りです。
取得費 = 土地購入価額 + (建物購入価額 - 減価償却費)
    = 3,000万円 + (2,000万円 - 1,116万円万円)
    = 3,000万円 + 884万円
    = 3,884万円

譲渡所得は以下の通りです。
譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
     = 5,500万円 - 3,884万円 - 174万円
     = 1,442万円

長期譲渡所得の税率を用いて税金を計算します。
所得税 = 譲渡所得 × 所得税率
    = 1,442万円 × 15%
    = 216.3万円

復興特別所得税 = 所得税 × 復興特別所得税率
        = 216.3万円 × 2.1%
        ≒ 4.5万円

住民税 = 譲渡所得 × 住民税率
    = 1,442万円 × 5%
    = 72.1万円

税金 = 所得税 + 住民税 + 復興特別所得税
   = 216.3万円 + 72.1万円 + 4.5万円
   = 292.9万円

売却活動を始める前に、イメージをしておくと良いでしょう。

4-4.確定申告が必要な場合と不要な場合

「確定申告が必要かどうか」を、気にしている方もいらっしゃると思うので、確定申告が必要な場合と不要な場合について解説していきます。

自宅売却で確定申告が必要な場合は、売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行います。

確定申告は、「譲渡益が生じている場合」または「特例を利用する場合」に必要です。
自宅の売却では譲渡損失が生じたときの税金還付を受けられる特例も存在するため、譲渡損失が発生していても特例を利用する場合は確定申告を行うケースがあります。

確定申告は必要なケースと不要なケースをイメージ化すると以下の通りです。

確定申告は必要なケースと不要なケース

(確定申告が必要なケース)

  • 譲渡益が生じている場合
  • 特例を利用する場合

(確定申告が不要なケース)

  • 譲渡損失が生じており、かつ、特例を利用しない場合

5.自宅売却時に利用できる特例

続いて、損しないために知っておくと良い特例を紹介していきます。
主に以下の5つになります。

  1. 3,000万円特別控除
  2. 所有期間10年超の軽減税率の特例
  3. 特定の居住用財産の買換え特例
  4. 譲渡損失の買換え特例
  5. オーバーローンの特例

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

5-1.3,000万円特別控除

3,000万円特別控除とは、譲渡所得から3,000万円を差し引くことができる特例です。
3,000万円特別控除を適用した場合の譲渡所得の計算方法は以下のようになります。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

3,000万円特別控除を適用した結果、譲渡所得がマイナスとなった場合は、譲渡所得がゼロ円とみなされ、税金は発生しないことになります。

3,000万円特別控除を適用するには、以下のいずれかの要件を満たしていることが必要です。

  1. 現に居住している家屋やその家屋と共に譲渡する敷地の譲渡の場合
  2. 転居してから3年後の12月31日までに、居住していた家屋やその家屋と共に譲渡するする敷地の譲渡の場合(この間に貸付や事業用に供していても適用となる)
  3. 災害などにより居住していた家屋が滅失した時は、災害のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、その敷地だけ譲渡する場合
  4. 転居後に家屋を取り壊した場合には、転居してから3年後の12月31日までか、取り壊し後1年以内か、いずれか早い日までに譲渡する場合(取り壊し後にその敷地を貸し付けたり、事業の用に供したりすると適用外となる)

【戸建てに限ったお話】

3,000万円特別控除は、上記の「4.」の要件を満たすと建物取り壊し後にも適用できます。

建物取り壊し後に3,000万円特別控除を利用するには、「転居してから3年後の12月31日までか、取り壊し後1年以内か、いずれか早い日までに譲渡する」ことが要件となっており、期限までに売却することがポイントです。

3,000万円特別控除要件を満たすと建物取り壊し後にも適用できる

詳しい要件については、以下の国税庁のホームページをご参照ください。

5-2.所有期間10年超の軽減税率の特例

3,000万円特別控除の特例を適用しても譲渡所得がプラスになるときは、一定の要件を満たすと所有期間10年超の軽減税率の特例(以下、「軽減税率の特例」と略)を適用できます。
軽減税率の特例を利用する場合の主な要件は、所有期間が「10年超」という点です。

軽減税率の特例を利用した場合の税率は以下の通りです。

課税譲渡所得金額 所得税 所得税
3,000万円特別控除後の譲渡所得のうち6,000万円以下の部分 10% 4%
3,000万円特別控除後の譲渡所得のうち6,000万円超の部分 15% 5%

譲渡所得が6,000万円以下の部分の税率は長期譲渡所得の税率よりも低くなるため、節税できることになります。

詳しい要件については、以下の国税庁のホームページをご参照ください。

5-3.特定の居住用財産の買換え特例

特定の居住用財産の買換え特例とは、買い替えを要件とした特例です。
売却する不動産の「譲渡価額」と購入する不動産の「取得価額」で課税の有無が決まります。

金額の関係 課税の有無
譲渡価額>取得価額 課税される
譲渡価額≦取得価額 課税されない(繰延される)

特定の居住用財産の買換え特例は、課税が繰延されるという特例であり、税金が無くなるわけではありません。

購入する不動産の購入額が売却額よりも大きいと、売却時点で税金が生じないという特例です。
先送り(繰り延べ)された税金は、将来、購入物件を売却するときに課税されることになります。

一方で、3,000万円特別控除というのは、譲渡所得がゼロ円になれば、売却時点で税金を無くせる特例です。
税金を減らすことができるという点では、3,000万円特別控除の方が有利となります。

よって、一般的には3,000万円特別控除が利用されるケースの方が多く、特定の居住用財産の買換え特例はあまり利用されない特例となっています。

詳しい要件については、以下の国税庁のホームページをご参照ください。

~節税特例と住宅ローン控除は併用できない~

譲渡益が生じたときに利用する節税特例は、買い替えにおいて購入物件で住宅ローン控除を利用する場合には、同時に併用できません。

住宅ローン控除とは、年末の住宅ローン残高に一定率を乗じた額を所得税から控除できる制度です。

【住宅ローン控除と併用できない節税系の特例】

  • 3,000万円特別控除
  • 所有期間10年超の軽減税率の特例
  • 特定の居住用財産の買換え特例

正確には、住宅ローン控除は購入物件に入居した年の他、その前年または前々年あるいはその翌年または翌々年に節税系の特例を適用すると利用できなくなります。

住宅ローン控除は購入物件に入居した年の他、その前年または前々年あるいはその翌年または翌々年に節税系の特例を適用すると利用できなくなる

よって、自宅を買い替える場合において、購入物件で住宅ローン控除を利用する場合には、売却物件の節税特例は利用できないということです。

売却物件で節税特例を使うか、購入物件で住宅ローン控除を使うかについては、有利な方を選択します。

5-4.譲渡損失の買換え特例

居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(以下、「譲渡損失の買換え特例」と略)とは、買い替えで譲渡損失が生じたときに適用できる特例になります。

売却物件で発生した譲渡損失と、損益通算という手続きにより、他の所得と合算して税金の還付を受けられる特例です。

例えば、譲渡損失が▲900万円、給与所得が600万円とすると、損益通算によってその年の所得は▲300万円とすることができます。

給与所得者は年間所得が600万円を前提として源泉徴収が行われているため、払い過ぎていた税金の還付を受けられるという仕組みです。

譲渡損失の買換え特例を使うには、主な要件として売却物件の所有期間が「5年超」や、購入物件で組む住宅ローンが「10年以上」等の要件を満たす必要があります。

詳しい要件については、以下の国税庁のホームページをご参照ください。

5-5.オーバーローンの特例

居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(以下、「オーバーローンの特例」と略)とは、買い替えを要件としない譲渡損失が生じたときに利用できる特例です。
オーバーローンとは住宅ローン残債が売却額を上回っている状態のことを指します。

オーバーローンの特例も損益通算によって税金の還付を受けることができる特例です。

ただし、前節で紹介した譲渡損失の買換え特例とは「繰越控除限度額」が異なります。
オーバーローンの特例はオーバーローンの額が繰越控除限度額となるのに対し、譲渡損失の買換え特例は譲渡損失そのものが繰越控除限度額です。

一般的には、オーバーローンの額よりも譲渡損失の方が大きくなります。
繰越控除限度額が大きい方が多く節税できるため、譲渡損失の買換え特例も使える場合には、オーバーローンの特例よりも譲渡損失の買換え特例を使った方が有利です。

一般的には譲渡損失の買換え特例が利用されるケースの方が多く、オーバーローンの特例はあまり利用されない特例となっています。

詳しい要件については、以下の国税庁のホームページをご参照ください。

まとめ

いかがでしたか。
自宅を少しでも高く売るために、押さえておくべき情報をご紹介しました。

高く売るには、売却が得意な不動産会社の中から、自信と根拠を持って高い査定額を提示してくれる会社を見つけることが重要です。
不動産売却 HOME4U」をぜひ上手に活用して、優良な不動産会社を見つけることから始めてください。

皆さんの売却活動が成功に繋がることをお祈りしています。