自宅売却の基礎知識│高く早く売るコツや相場・費用・住宅ローン対策も解説

「自宅を売却したい」と思っても、まず何から手を付けるべきかわからない…という方も多いのではないでしょうか。一口に「自宅の売却」と言っても、家の広さや立地、環境が異なるように、家を売る条件もさまざまで、とるべき対策も異なるからです。

この記事では、「こんな場合の自宅でも売れる?」という悩みへの対策を紹介するとともに、初めて自宅売却する方が知っておくべき「売却の流れ」や「売却時の必要書類」「売却にかかる期間」など、自宅売却にまつわる基礎知識を網羅的にご紹介します。

家売却の基礎知識から詳しく知りたい方は、『家を売る完全ガイド!注意点と初めにやるべき準備』も併せてご覧ください。

「家を売りたい」と悩んでいる方へ
  • 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
  • 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格”を見つけましょう
  • 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます

Contents

1.自宅売却ができる場合とは?

自宅売却を考える際に、悩むのが「ローンが残っていても売れるの?」「自宅に住みながら売れるの?」「自宅を売却した後も住み続けられるの?」「自宅売却後も家に住み続けたい?」などではないでしょうか。

結論、どの場合でも売却することができます。

1-1.住宅ローン残債があっても売却できる

自宅売却時にローン残債があっても家の売却は可能です。

ただし、家の抵当権を抹消する必要があります。抵当権とは、銀行などの債権者が、ローンの弁済が止まったときに家の売却ができる権利で、いわばローンを回収するための担保権です
住宅ローンが残っている自宅には、銀行の抵当権が付いているため売却はできません。

抵当権を抹消するには以下の方法があります。

  • 自宅の売却で得たお金でローンを返済する
  • 住み替えの場合は、借り換えローンを組む

なお、自宅を売却してもローンを完済できないオーバーローンの場合は、預貯金などから返済を補てんする必要があります。

1-2.自宅に住みながらでも売却できる│売り先行・買い先行

自宅を売る際、「売却前に引っ越しをしなければならないのか?」と思う方もいるかもしれません。

特に、住み替えを希望している場合は「売却が先か(売り先行)」「新居購入が先か(買い先行)」の選択で悩むところですが、自宅に住みながら売却したい場合は「売り先行」を選ぶとよいでしょう

以下は、二つの特徴になります。

売り先行とは
売却後に新居に引っ越すため、自宅に住みながら売却ができ、資金計画が立てやすい。また、内覧の際に買い手が生活をイメージしやすく、周辺環境のメリットもアピールしやすい。
買い先行とは
新居を購入してから売却するため、内覧時には空き室になっており、買い手が内覧のスケジュールを組みやすい。ただし、ローンが残っている場合は、新居と旧居のダブルローンになる可能性がある。

自宅に住みながら売却を成功させるポイントについては、下記の記事でも詳しくご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

1-3.自宅売却後も住み続けられる│リースバック

「自宅を売却しなければならないが、住み慣れた家に住み続けたい」と思う方もいらっしゃいます。しかし、自宅売却後も住み続けることはできるのでしょうか。対策としては、リースバックという方法があります。

リースバックとは
売却した相手に家賃を支払うことで、自宅売却後も住み慣れた家に住み続けられる仕組みです。売却の相手は、リースバックのサービスを行っている不動産会社であるのが一般的です。なお、売却相場が低めで、家賃が高めになるなどのデメリットもあるため、注意が必要です。

2.自宅を売却する2つの手段

自宅を売却する2つの手段自宅の売却をする際、一般には不動産会社のサポートが不可欠となります。売り手は、不動産会社を介した「仲介」か「買取」、どちらかの手段で自宅を売却することになります。

2-1.不動産会社が買い手を探す「仲介」

仲介は、売り手に代わって不動産会社が売却活動を行い、買い手を探し、売買契約までサポートする手段です。

不動産会社が買い手を探す「仲介」

不動産会社は、インターネットやチラシなどで内覧・購入希望者をつのり、スケジュールを調整して物件案内を行うなど、家の売却活動を行います。

自宅の売却は3~6か月程度かかるといわれていますが、買取と比較すると時間がかかるため、余裕をもってスケジュールを進める必要があります

なお、スムーズかつ適切な価格で売却できるかどうかは、売却活動に熱心な不動産会社を、いかに見つけるかにかかっているといっても過言ではありません。

しかし、不動産会社を探して一件ずつ問い合わせるのは、大変な作業です。不動産売却 HOME4U」のような、一括査定サービスを活用して複数の不動産会社に査定依頼をし、査定額や各社の対応をまとめて比較・検討することで、よりスピーディーな売却が期待できます

2-2.不動産会社に自宅を買ってもらう「買取」

買取は、自宅売却の際に不動産会社に直接買い取ってもらう手段です。

不動産会社に自宅を買ってもらう「買取」

売却スケジュールに余裕がなく、すぐにでも売りたい場合に適しています。ただし、仲介よりも安値の売却価格となることがほとんどで、市場相場の6~7割程度に下がるといわれています。

不動産会社によっては仲介からスタートして、なかなか売却に至らない場合は買取に切り替える買取保証サービスを行っているところもあります。ご自身の状況に合わせて、選ぶようにしましょう。

3.自宅を売却する流れ(手順)

自宅を売却する前に、これから何をすべきか大まかな流れを掴んでおきましょう。

自宅を売却する流れ(手順)

図の通り、事前準備から売却後まで、自宅売却の流れには7つのポイントがあります。以下より、それぞれを詳しく解説します。

3-1.自宅の相場を調べる

まずは、売却したい自宅にどれくらいの資産価値があるのか、リサーチすることからはじめましょう。

はじめから不動産会社に査定を依頼することもできますが、不動産会社によって査定額は異なります。そのため、時間が許せば、適切な価格であるか判断できるように自分で相場を調べておくことが望ましいでしょう。

適切な相場を知るためには、国や公的機関、実際の取引価格等、公的な情報を参考にすることが大切です。自分で自宅売却の相場を調べる方法は、以下のような手段があります。

参考にする価格 情報元サイト 物件の種類 詳細
マンション 戸建て 土地
実勢価格 不動産情報ライブラリ 不動産購入者のアンケートを元にした実際の取引価格
レインズマーケットインフォメーション × 不動産会社のデータを元にした実際の取引価格
公示価格(公示地価) 不動産情報ライブラリ × × 国土交通省の土地鑑定委員会が判定した土地評価額
相続税路線価 路線価図・評価倍率表 × × 国税庁によって公表される相続税の元になる土地評価額
固定資産税評価額 納税通知書 毎年4~6月に市区町村から届く通知書に添付されている課税明細書に記載されている評価額

なお、「固定資産税評価額」以外は、調査範囲が限られていたり、調査期間が1年に1度だったりするため、実際の売り出し価格とズレが生じることもあります。あくまで参考値として見るとよいでしょう。

調べ方の手順や、売却の大きな流れについては、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてお読みください。

3-2.自宅の査定を依頼する

自宅売却の査定をする際、物件情報などをもとに査定する「机上査定」と直接物件を訪問してリサーチする「訪問査定」があります。

どちらの査定でも、複数の不動産会社に査定を依頼することが大切です。各社によって、査定額が異なる場合がほとんどですし、マンションの売却実績が少なく築年数の経った戸建てを得意とする会社や、その逆のパターンなど、それぞれの会社に特徴があるからです。

不動産売却 HOME4U」など、インターネットの一括査定サービスを活用して、自宅の条件にあった不動産会社を選ぶようにしましょう。

3-3.媒介契約を結ぶ

仲介を依頼したいと思える不動産会社が見つかったら、媒介契約を結びます。媒介契約とは、自宅を買ってくれる相手を探すために、売却活動から売買契約の締結までのサポートを不動産会社にお願いする契約です。

契約方法は「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類あり、それぞれメリットとデメリットがあります。売却活動の報告頻度や、営業が活発に行われるかどうかに差がでやすいため、しっかりと検討する必要があります

以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてください。

3-4.販売活動を行う

媒介契約を結ぶと、不動産会社は販売活動を開始します。具体的には、インターネットやチラシを介した広告で集客を行い、内覧のスケジュール調整や買い手の案内をします。販売活動において、売り手が行うことはあまりないといってよいでしょう。

ただし、不動産会社とは積極的にコミュニケーションをとることをおすすめします。不動産会社の担当は、一人でいくつもの案件を抱えていることが多く、報告を待っているだけでは、なかなか活発な販売活動に結びつかないケースも少なくありません。問い合わせの動向を聞いたり、効果的な内覧につなげるための対策などを質問したりして、売却の意欲をアピールしましょう

3-5.売買契約を結ぶ

晴れて買い手が決定したら、売買契約に進みます。売買契約は、買い手と売り手、不動産会社が集まって、重要事項説明の後、売買契約書に署名捺印し、手付金を受け取ります。

なお、自宅売却時は必要書類がいくつもあります。ローンがある場合など、条件によって揃えなければならない書類が異なるため、不動産会社に確認をしておくと安心です。取得に時間がかかるものもあるため、余裕をもって集めておきましょう

4.自宅売却に必要な書類」でもご紹介しているので、併せて参考にしてください。

3-6.引き渡し・確定申告をする

引き渡しの当日、売り手から買い手へ所有権の移転登記を行います。所有権の移転登記は個人でも可能ですが、専門的な知識が必要となるので司法書士に依頼するケースが一般的です。

当日の主な流れは、以下の通りです。

  1. 司法書士による登記関連書類の確認
  2. ローンの実行
  3. 残代金の支払い
  4. 仲介手数料の支払い
  5. 抵当権抹消の手続き
  6. 鍵・書類の引き渡し

ローンの実行や抵当権抹消の手続きなど、詳しい手順は不動産会社に確認するなどして、事前にチェックしておきましょう。

無事に売却した後、利益(譲渡所得)が発生した場合は、翌年の2月から3月にかけて確定申告が必要となります。譲渡所得にかかる税金の算出に関しては、「7-2.譲渡取得税とは」で解説しています。

また、自宅売却時の確定申告の手順や、知っておきたい節税特例などについては、以下の記事でご紹介していますので併せてご覧ください。

4.自宅売却に必要な書類

自宅売却時には、さまざまな書類が必要になります。書類を提出する主なタイミングは、「不動産会社に売却を依頼するとき」「引き渡しをするとき」のふたつです。

自宅売却の必要書類は以下の通りです。

【必要書類リスト1:不動産会社に売却を依頼するとき】
チェック 書類 マンション 一戸建て
登記簿謄本または登記事項証明書
売買契約書
物件購入時の重要事項説明書
登記済権利書または登記識別情報
土地測量図・境界確認書  
固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書
物件の図面
設備の仕様書
建築確認済証および検査済証  
建築設計図書・工事記録書  
マンションの管理規約または使用細則  
マンション維持費関連書類  
耐震診断報告書
アスベスト使用調査報告書
【必要書類リスト2:引き渡しをするとき】
チェック 書類 マンション 一戸建て
本人確認書類
実印
印鑑証明書
住民票
銀行口座の通帳(銀行振り込み先情報)
ローン残高証明書またはローン返済予定表
物件のパンフレット

5.自宅売却にかかる期間は6か月程度

自宅売却の期間は、準備から引き渡しまで、早くても3か月、一般には6か月ほどかかるといわれています。この期間は戸建てでもマンションでも同様となります。

家を売る際の期間・流れ

事前準備は、半月から1か月はみておきましょう。査定や不動産会社の選定には、「不動産売却 HOME4U」のような一括査定サービスを利用すると効率よく進めることができます。

次に、売却活動にかかる期間は、物件の条件に大きく左右されます。人気物件であれば数週間で売れることもありますが、長ければ半年以上かかることもあります。なかなか売れない場合は、買取サービスを行っている不動産会社もあるので検討してみましょう。

その後およそ1か月かけて、売買契約から引き渡しまでの期間に、買い手の住宅ローンの本審査が行われます。晴れて審査が通ったら引き渡しと決済になります。

なお、売却で利益がでたら確定申告が必要です。確定申告の時期は翌年の2月中旬から3月中旬です。必要に応じて手続きを行いましょう。

6.「条件が悪くて自宅が売れない…」を回避するためのポイント3つ

ポイント1.駅から遠い・周辺環境が悪い自宅は地元の不動産会社に相談する

「条件が悪くて自宅が売れない…」を回避するためのポイント3つ電車移動が中心の都市圏の住宅では、駅から近い物件が好まれます。また、商業施設や学校が近いなど周辺環境を重視する買い手も少なくないでしょう。

しかし、自宅が駅から遠くても、周辺環境が悪くてもあきらめる必要はありません。車通勤、在宅勤務、地元の会社に勤務している、割安な物件を探しているなど、買い手の条件もさまざまだからです

そのため、エリアや物件の魅力をアピールして、しっかり売却活動を行ってくれる地域密着型の不動産会社を選ぶことが重要になります。不動産会社を選定する際には、どのような販売活動を行ってくれるか、相談してみましょう。

ポイント2.古すぎて売れない自宅は買取も検討する

自宅が古くても、売却できる可能性は十分にあります。実際に、2021年に成約した一戸建ての築年帯をみると、築26~30年の物件は全体の10.5%、築31年以上は24%を占めています。

【中古戸建住宅築年帯別構成比率】

中古戸建住宅築年帯別構成比率

引用:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)

しかし、古さがネックとなってどうしても売却できないケースもあるでしょう。その場合は、不動産会社の買取サービスを検討することをおすすめします。

ただし、買取価格は、仲介で一般の買い手に売却するより2割から3割ほど安価になる傾向があります。そのため、「なるべく早く売却したい」「自宅が築古で売れるか不安」といった場合には、検討してみましょう。

以下の記事では買取について詳しく解説していますので併せてご覧ください。

ポイント3.自宅が売れやすいタイミングを知っておく

不動産には、年間を通して売りやすいタイミングが2回あります。条件が悪い自宅であっても、以下のタイミングに合わせることで、売却できる可能性あがります。

自宅が売れやすいタイミングを知っておく

繁忙期に合わせて売る際は、相場の調査や査定、不動産会社の媒介契約はすませておき、売却活動のスケジュールを組んでおきましょう。

7.自宅売却にかかる税金・費用

自宅売却にかかる税金・費用自宅を売却する際には、手数料や税金といった諸費用がかかります。

以下、自宅売却時の費用を一覧表にまとめました。

  費用 支払いタイミング 各費用のめやす
1 仲介手数料 契約・引渡時に1/2ずつ ( 売却額 × 3% + 6万円 )+ 消費税※400万以上の速算式
2 印紙代 契約書類作成時 1,000から6万円
※売却金額で異なる
3 登記・抵当権抹消費用 契約終了時に清算 登記費用+司法書士への報酬支払い
4 住宅ローン関連費用 金融機関での手続き時 一括返済にかかる金融機関の手数料0から3万円
5 引っ越し代 引っ越し時 規模や住み替えスケジュールによって異なる
6 譲渡所得税ほか 確定申告後 保有期間・適用できる控除・売却額などにより異なる
7 確定申告 売却した翌年度 譲渡利益があった場合
8 インスペクション(建物状況調査)費用 調査報告書到着後 4.5~6.5万円
9 測量費 測量完了後 約50万円~100万円
10 取り壊し費用 解体工事後 坪4~8万円
11 ごみ処分費用 回収時 約15~25万円
12 地中埋没物の廃棄費用 廃棄後

・コンクリートガラ:約20万円~30万円

・浄化槽:
約10万円~20万円

・過去の建物の基礎:約20万円~30万円

自宅売却時の費用の大部分を占めているのが「仲介手数料」と「譲渡取得税」です。
そこでここから、「仲介手数料」と「譲渡取得税」について詳しく解説していきます。

7-1.仲介手数料とは

仲介手数料とは、自宅の売却が成立した際に、仲介してくれた不動産会社に支払う報酬のことです。

仲介手数料の金額は、不動産会社が自由に決められるものではありません。宅地建物取引業法により、以下のように売却価格による上限が決められています。また、自宅売却の消費税が手数料にかかることにも注意が必要です。

売却価格(税別) 仲介手数料(+消費税)
200万円以下 売却価格×5%以内
200万円超~400万円以下 売却価格×4%以内
400万円超~ 売却価格×3%以内

400万円を超える自宅の売却の場合は、以下の簡易な計算式で求めることができます。

仲介手数料 = 売却価格 × 3% + 6万円(+消費税)

自宅を3,000万円で売却したと仮定すると、以下が手数料の上限額になります。

(3,000万円 × 3% + 6万円)+ 消費税10% = 仲介手数料 105万6,000円

参考までに、上記の計算式で算出した仲介手数料の上限額を一覧にまとめました。

▼こちらをクリックすると一覧表が見られます▼

取引価格(税別)

仲介手数料(税別)

仲介手数料(税込)※

500万円

210,000円

231,000円

1,000万円

360,000円

396,000円

1,500万円

510,000円

561,000円

2,000万円

660,000円

726,000円

2,500万円

810,000円

891,000円

3,000万円

960,000円

1,056,000円

3,500万円

1,110,000円

1,221,000円

4,000万円

1,260,000円

1,386,000円

4,500万円

1,410,000円

1,551,000円

5,000万円

1,560,000円

1,716,000円

6,000万円

1,860,000円

2,046,000円

7,000万円

2,160,000円

2,376,000円

8,000万円

2,460,000円

2,706,000円

9,000万円

2,760,000円

3,036,000円

1億円

3,060,000円

3,366,000円

※消費税10%の場合で計算しています

なお、仲介手数料は売買契約が成立したときのみに支払います。仲介の媒介契約を結んだだけでは支払いは発生しません。

7-2.譲渡取得税とは

自宅を売却した際に気を付けたい、もうひとつの主な費用が譲渡所得税です。

譲渡所得税とは、自宅を売却した金額が、家を購入した価格を上回った際、売却益に課せられる「所得税」と「住民税」を合わせた税金のことです。

まずは、譲渡所得を以下の計算式で算出します。

譲渡所得 = 売却価格 - 住宅の取得費 - 諸費用

自宅の売却価格が3,000万円で、家を購入した時の価格が2,000万円、仲介手数料などが150万円だった場合の譲渡所得は以下の通りです。

3,000万円 - 2,000万円 - 150万円 = 譲渡所得 850万円

なお、自宅売却時は減価償却も「諸費用」に含まれますが、収益物件と自宅を売る時では計算方法が異なり、やや複雑になりますので、算出方法などを事前に確認しておくとよいでしょう。

また、譲渡所得税は、自宅を何年所有していたかで税率が大きく変わります。以下、所有年数別の譲渡所得税率です。

譲渡所得税率

  所得税率 住民税率
短期譲渡所得(5年以下の所得) 30% 9%
長期譲渡所得(5年超の所得) 15% 5%

具体的に、自宅を売却して300万円の利益がでたと仮定して、譲渡所得税を算出してみましょう。なお、2037年12月31日までは「復興特別所得税」が2.1%所得税に加算されることにも注意しましょう

5年超の自宅所有の場合

【1】 売却益300万円 × 所得税率15% = 45万円
【2】 売却益300万円 × 住民税率5% = 15万円
【3】 所得税45万円 × 復興所得税率2.1% = 9,450円
【4】 45万円 + 15万円 + 9,450円 = 譲渡所得税 60万9,450円

売却益がマイナスだった場合には、譲渡所得税はかかりませんが、確定申告をして自宅売却時の税金の控除や特例を受けられる可能性があります。詳しくは、以下の記事でも紹介していますので併せてお読みください。

8.自宅を早く高く売却するために、やってはいけない7つのこと

自宅を高く早く売却するためには、注意すべき点がいくつかあります。相場感を身に着け、売却活動のパートナーである不動産会社を適切に選ぶために、やってはいけない6つの項目を紹介します。

8-1.自分で相場を調べない

よくある状況

不動産会社の査定は、類似物件の売却実績などのデータをもとに算出されますが、査定方法に共通のルールがあるわけではありません。そのため、各社で異なる査定額が出てくることが多く、つい一番高額な査定会社を選びがちです。

対策

査定額が適切な相場に基づいているかは、売り手が判断する必要があります。「査定額が高いから」といった基準で不動産会社を選ぶと、いつまでも売却できず、期間が長引いた上、結局値下げすることにもなりかねません。逆に、安すぎる価格での売り出しにも注意が必要です。

不動産売却が初めてでも、「レインズマーケットインフォメーション」や「不動産情報ライブラリ」で実勢価格を自分で調べることができます。「3-1.自宅の相場を調べる」も参考にして、ぜひ適切な相場感覚を養ってください。

8-2.査定を1社に絞って依頼する

よくある状況

複数の会社に依頼して比較・検討するのは面倒で手間がかかるため、はじめから1社に絞りたいという方もいるでしょう。

対策

査定会社を1社だけに絞って依頼するのは、危険です。その不動産会社の査定価格が適切でなかったり、売却活動に熱心でなかったりすると、結果として他社に依頼しなければならないからです

査定を不動産貸家に依頼する際には、必ず複数の会社に依頼しましょう。査定の際は、「不動産売却 HOME4U」のような、インターネットの一括査定サービスを利用することをおすすめします。疑問点などがあれば、同じ質問を複数社にしてみると対応や営業姿勢などが比較しやすくなるでしょう。

8-3.不動産会社にこだわらない

よくある状況

「大手企業であれば、どこでも安心なはず」「近所の不動産会社でいい」などと、不動産会社を吟味せずに決めてしまう方がいます。

対策

不動産会社は、各社それぞれ特色があります。同じ条件のマンションや戸建てがないように、不動産会社が得意とする物件も異なります

たとえば、地域密着型の中小企業であれば、築年数の経った物件であっても、その土地の魅力と併せて買い手にアピールして、売却に結び付けてくれるケースもあります。また、大手であれば、売却後のアフターサービスを充実させているところもあるので、住宅の欠陥が気になる場合は、相談してみると安心です。

複数の査定依頼をしてベストな不動産会社をみつけることで、「自宅が売却しても売れない」といったリスクを回避するようにしましょう。

8-4.不動産会社との媒介契約の種類を自分で決めない

よくある状況

仲介を依頼したい不動産会社を決めたら、媒介契約に進みます。その際、不動産会社から「選任媒介契約」や「専属選任媒介契約」を進められることがあります。

対策

契約方法は「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」以外にも、複数の不動産会社を介して売却が可能な「一般媒介契約」があります。それぞれ、メリットとデメリットがあるため、しっかりと理解せずに契約を締結するのは危険です

媒介契約の種類については、以下の記事でも詳しく解説しているので、事前に確認しおくことをおすすめします。

8-5.不動産会社に販売活動をすべて任せて売れるまで待つ

よくある状況

インターネット広告やチラシ配布などの販売活動は不動産会社の仕事になるため、売り手は内覧希望者をひたすら待つことになります。

対策

不動産会社からの報告をただ待っていると、販売活動がいつの間にか停滞してしまうケースも少なくありません。不動産会社では何十件という案件を、ひとりの担当者が抱えていることが多く、動きが出ない物件は、後回しになるリスクがあるからです。

積極的に状況を聞いたり、問い合わせ件数によっては価格を変えたりするなど、売却に向けた意欲を売り手がみせることが大切です。

8-6.リフォームを積極的に進める

よくある状況

内覧前にリフォームすることで、なるべくよい印象を持ってもらいたいと考える方もいるのではないでしょうか。特に築年数が経った物件では、水回りや壁紙についた汚れ等、気になるポイントがいくつもあるものです。

対策

独断でリフォームを進めても、リフォーム代を回収できる金額で売却できるとは限りません。特に、築古の家の場合、買い手が自分好みにリフォームしたい、なるべくリフォーム代をかけずに住みたい等の希望をもっていることがあります

リフォームを進める前に、本当に有益なリフォームかどうか、不動産会社に相談するようにしましょう。

8-7.希望価格と売り出し価格を同額にする

よくある状況

売却にあたって、売り出し価格と希望価格を同額でよいと勘違いしているケースがありますが、これは危険です。望んでいた売却価格を下回ってしまうリスクがあるからです。

対策

まず、それぞれの価格の違いを確認しておきましょう。
売り出し価格……広告などに掲載する、実際に売り出す価格
希望価格……住宅ローンの充填や住替え費用等を鑑みて、売り手が希望する価格
売却価格(成約価格)……実際に売れた価格

売り出し価格は、価格交渉によりダウンすることがよくあります。そのため、希望価格より高く設定しておくことが大切です。どの程度高めに設定できるかは、必要な希望価格と相場から割り出すことになります。

自宅を納得できる価格で売却する方法は、以下の記事でも紹介していますので、併せてご覧ください。

9.おすすめの査定方法

スムーズな売却のためには、物件と特徴に合わせて、売却活動を積極的に行ってくれる不動産会社を探すことが重要になります。

たくさんの不動産会社からベストなパートナーを探すためには、インターネットの一括不動産査定を活用しましょう。「不動産売却 HOME4U」なら、大手から地元密着企業まで全国1,800の不動産会社と提携しており、最大6社まで自由に選ぶことができます。

あなたのお家いくらで売れる?

不動産売却 HOME4U」は、個人情報が気になる方も安心して利用できる、プライバシーマークを取得したNTTデータグループ運営のサービスです。早く高く売るためには、不動産会社の一括査定で、比較・検討することが大切です。

この記事のポイント

住宅ローンがあっても自宅を売却できる?

住宅ローンがあっても自宅を売却することは可能です。また、「自宅に住みながら売却」「売却後も自宅に住み続ける」方法もあります。

詳細は「1. 自宅売却、こんな条件でもできる!」をご覧ください。

自宅を売却する流れは?

自宅売却は、主に以下の流れで進みます。

  1. 自宅の相場を調べる
  2. 自宅の査定を依頼する
  3. 媒介契約を結ぶ
  4. 販売活動を行う
  5. 売買契約を結ぶ
  6. 引き渡し・確定申告をする

詳細は「3.自宅を売却する流れ(手順)」をご覧ください。

自宅を高く早く売却したいが、これだけややってはダメなことはある?

自宅売却するために知っておきたい注意点は7つあります。

  • 自分で相場を調べない
  • 査定を1社に絞って依頼する
  • 不動産会社にこだわらない
  • 不動産会社との媒介契約の種類を自分で決めない
  • 不動産会社に販売活動をすべて任せて売れるまで待つ
  • リフォームを積極的に進める
  • 希望価格と売り出し価格を同額にする

詳細は「8.自宅を早く高く売却するために、やってはいけない7つのこと」をご覧ください。