年収500万円の住宅ローン事情|借入額の上限や無理なく返済するコツを解説

年収500万円 住宅ローン借入額の目安

住宅ローンの検討にあたり、年収500万円ではどのくらい借り入れできるのか、お悩みの方もいるでしょう。住宅ローンは返済が長期にわたるため、金利上昇のリスクや将来的なライフプランの変化を考慮して考えることが大切です。

そこで本記事では、年収500万円の方へ向けて、借入限度額や無理のない借入額の目安を紹介します。

この記事を読むと分かること
  • 年収500万円の方の住宅ローン借入額の目安
  • 住宅ローンの仕組み
  • 年収500万円で住宅ローンを組む際のポイント
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1.年収500万円の住宅ローンの借入額と返済額

家とお金とデータ

住宅ローンの借入可能な金額と月々の返済額には、年収ごとの目安があります。

はじめに、年収500万円の方の借入額と、無理のない返済額の目安を見ていきましょう。

1-1.年収500万円の借入額の上限

借入可能な金額の上限は、利用する金融機関の審査や金利・返済期間により異なります。例えば、同じ借入額や金利だとしても、返済期間が20年の場合と30年の場合では、1ヵ月当たりの返済額が変わるため、審査における借入上限額も異なるでしょう。

各金融機関では、年収に合わせた借入額の上限を定め、住宅ローンの審査基準としています。借入額を決める指標の一つとされているのが「年収倍率」です。年収倍率とは、年収に対する物件価格が何倍にあたるかを示した値のことです。

一般的に、年収倍率は7~10倍が目安といわれています。しかし、住宅支援機構の「2022年度 フラット35利用者調査」を見ると、平均的な年収倍率は新築で7~8倍、中古物件で6倍前後であることがわかります。

参考:“2022年度 フラット35利用者調査”. 住宅金融支援機構

平均的な年収倍率をもとに算出した年収500万円の借入額の目安は、以下のとおりです。

  • 新築物件:3,500万円~4,000万円
  • 中古物件:3,000万円程度

1-2.年収500万円の無理のない返済額の目安

金融機関の借入限度額まで借り入れすると、家計を圧迫する可能性があります。

そこで、無理のない借入額を算出する目安として、「返済比率」を確認しましょう。返済比率とは、年収に対する年間返済額の割合のことで、民間の金融機関でも住宅ローンの審査を行なう際の指標として用いられます。

金融機関の多くは返済比率の上限を30~40%に設定していますが、無理なく返済するには20~25%程度に抑えておくと安心です。年収500万円の場合、返済額は年間100万円~125万円、月々8万円~10万円程度にすると無理なく返済できるでしょう。

ただし、より現実的に考えるなら、手取り額で計算することが大切です。手取り額の目安は「年収×0.75~0.85」とされているため、年収500万円の場合の手取り額は375万円~425万円となります。この手取り額から考える無理のない返済額(返済比率20~25%)は、年間75~106万円、月々6万2千円~8万8千円程度といえます。

なお、返済比率を考える際には、カードローンやスマートフォンの分割払いなども考慮する必要があるので注意しましょう。

2.住宅ローンを上限額まで借りることのリスク

電卓と家の模型を持った男性

住宅ローンを借入上限額まで借りてしまうと、月々の返済負担が重くなり、最悪の場合には住宅を手放すことになりかねません。ここでは、住宅ローンを上限額まで借りることのリスクを解説します。

2-1.ライフイベントによる収入や支出の増減

住宅ローンの返済期間は一般的に長期にわたるため、以下のようなライフイベントに伴う支出や収入減少を考慮することが大切です。

ライフイベントによる収入や支出の増減

  • 妻の出産や育児休暇による一時的な収入減少
  • 子どもの進学に伴う受験・学費の支出
  • 家族のケガや病気による医療費の支出および収入減少

特に年収500万円が夫婦合算での金額の場合には、注意が必要です。仮に夫婦どちらかの収入が減少もしくは途絶えると、一気に返済負担が重くなる可能性があります。

共働きで住宅ローンを返済する家庭では、世帯収入が多少減少しても無理なく返済できる範囲内で借入額を決めるようにしましょう。

2-2.金利上昇による返済額の増加

変動金利を選択する場合は、特に金利上昇のリスクに注意が必要です。金利を考慮せずに借入額を決めると、金利上昇によって返済負担が一気に重くなります。

日本は長期間にわたり低金利が続いていますが、将来的に金利が上昇した場合にどれくらい返済額が増えるかは確認しておくことが大切です。

ただし、変動金利には家計への打撃を緩和する2つのルールが設けられています。

  • 5年ルール:金利が上昇した場合でも、毎月の返済額が5年間変わらない
  • 125%ルール:返済額を見直す場合に、その増加率は125%(1.25倍)までとする

上記のうち125%ルールを参考に、返済額の25%を毎月貯蓄する余裕があるかという点を目安に検討してみましょう。

2-3.住宅の維持管理で生じる継続的な出費

住宅を購入すると住宅ローンの返済以外に、以下のような維持費が発生します。

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 火災保険料
  • 地震保険料
  • 住宅のメンテナンス費用 など

これらのような維持費は住宅を持つと発生し、特に長期優良住宅の場合は点検やメンテナンスが義務化されています。住宅ローン以外の支出として、考慮しておく必要があるでしょう。

参考:“長期優良住宅の認定を受けられたみなさまへ”. 国土交通省

固定資産税や都市計画税については、「固定資産税・都市計画税~家や土地など不動産を所有しているとかかる税金~」で詳しく解説しているので、ぜひご確認ください。

3.住宅ローンの仕組み

電卓とグラフ

住宅ローンを借り入れる際は、融資の仕組みを理解して返済総額を意識することが重要です。ここでは、金利タイプや返済期間、返済方法について説明します。

3-1.金利タイプ

住宅ローンの金利タイプには、大きく分けて以下の3種類があります。

金利の種類

  • 全期間固定金利型
  • 変動金利型
  • 固定金利期間選択型

変動金利は一般的に、固定金利より金利が低めに設定されています。しかし、金利上昇のリスクがあり、返済額が増える可能性があるのは注意すべきポイントです。

一方、固定金利は返済額が一定で資金計画を立てやすくなりますが、借入時の金利は変動金利よりも高めです。

上記のほか「全期間固定金利型70%・変動金利型30%」のように、異なる2つの金利タイプを組み合わせた「ミックス型」を提供する金融機関もあります。

ミックス型

なお、変動金利と固定金利の違いやメリット・デメリットについて、さらに詳しく知りたい方は、「変動金利とは?固定金利との違いやメリット・デメリット、今後の金利の動向などを解説」「固定金利とは?メリット・デメリット、向いている方の特徴を解説」をご覧ください。

3-2.返済期間

住宅ローンは返済期間が長くなるほど元金に対して利息がかかるため、返済総額が増えます。反対に、返済期間を短くすれば返済総額は減りますが、月々の返済負担は重くなるでしょう。

一般的には、返済期間を長く設定して月々の返済額を抑えます。しかし、住宅ローンの完済が定年後になる場合、定年後の収入減少によって住宅ローンの返済が大きな負担となる恐れがあります。そのため、無理なく返済するには、完済時の年齢から逆算することが大切です。

また、返済総額を減らすうえでは繰上返済も有効です。繰上返済をすると完済までの期間が短くなるため、利息負担が減り、返済総額も抑えられます。

繰上返済については、「住宅ローンの繰り上げ返済とは?メリット・デメリットや損をしないコツを解説」「住宅ローンの繰上返済手数料を徹底比較!繰上返済をしないほうがいいケースについても解説」を参考にしてください。

3-3.返済方法の種類

住宅ローンの返済方法には、元利均等返済と元金均等返済があります。

元利均等返済は、返済額が常に一定の返済方法です。一方、元金均等返済は、元金が常に一定で、返済が進むに連れて月々の返済額が減少していきます。

返済の方式(元利均等、元金均等)

元利均等返済は返済額が一定であるため、返済計画を立てやすいのがメリットです。それに対し、元金均等返済は元金の減少が早く、元利均等返済より返済総額が少なくなります。

また、どちらの返済方法も必要に応じて繰上返済を活用すれば、元金を減らすことが可能です。

2つの返済方法の比較については、「元利均等返済と元金均等返済、どちらがお得?メリット・デメリット、返済シミュレーションを紹介」をご一読ください。

4.年収500万円の住宅ローン返済シミュレーション

ここでは、年収500万円の方が住宅ローンを借り入れした場合の返済総額や毎月の返済額を紹介します。今回は、金利が異なる以下の2つの条件でシミュレーションしました。

【シミュレーション条件】
  条件1 条件2
借入額 3,500万円
返済期間 20年、30年、35年
返済方法 元利均等返済
金利 1.5% 0.6%

シミュレーション結果はそれぞれ以下のとおりです。

【条件1】金利1.5%の場合
借入期間 20年 30年 35年
返済総額 4,053万3,600円 4,348万5,120円 4,500万8,880円
うち利息分 553万3,600円 848万5,120円 1,000万8,880円
毎月の返済額 16万8,890円 12万792円 10万7,164円
【条件2】金利0.6%の場合
借入期間 20年 30年 35年
返済総額 3,715万560円 3,825万2,880円 3,881万2,200円
うち利息分 215万560円 325万2,880円 381万2,200円
毎月の返済額 15万4,794円 10万6,258円 9万2,410円

表のとおり、返済期間が短いほど利息や返済総額は少なくなりますが、その分、毎月の返済額は多くなります。例えば、同じ金利1.5%でも返済期間が20年の場合と30年の場合では、毎月の返済額に4万8,098円の差が出ます。

上記のように、金利や返済期間によって返済総額は変わるため、各家庭の状況に合わせてシミュレーションをしながら検討しましょう。

参考:“借入返済額シミュレーション(しっかりシミュレーション)”. 知るぽると 金融広報中央委員会

5.年収500万円で住宅ローンを組む際のポイント

家と家族のミニチュア

住宅ローンを組む際には、住宅ローン以外の出費の考慮や金融機関の比較など、押さえておきたいポイントがあります。ここでは、住宅ローンを組む際に確認すべき4つのポイントを解説します。

  1. 頭金を用意する
  2. 住宅ローン以外の出費も考慮する
  3. 住み替えの場合は売却と併せて検討する
  4. 金融機関や不動産会社は慎重に比較検討する

5-1.頭金を用意する

住宅ローンを組む際に頭金を入れることで、ローンの借入額を抑えたり適用金利を下げたりできます。

頭金と借入額の関係

近年では、頭金0円で住宅ローンを組む方も増えていますが、住宅購入資金の20~25%程度の頭金を用意できると安心です。例えば、住宅購入価格が3,000万円であれば、600万円~750万円ほど用意できるとよいでしょう。

ただし、無理に頭金を増やすと手元に資金がなくなり、急な出費などに対応できなくなります。家計の収支や直近のライフプランなどを考慮し、無理のない金額を検討しましょう。

5-2.住宅ローン以外の出費も考慮する

住宅ローンの返済額はもちろん、以下のような出費についても考慮しておきましょう。

  • 子どもの教育や進学の費用
  • 親の介護費用
  • 急な病気や怪我による医療費
  • 家電や車の買い替え など

上記のようなライフイベントごとに、出費する時期とおおよその金額を整理しておくと、長期的な資金計画が立てやすくなります。

また、資金計画を立てるうえで、固定金利の仕組みは非常に便利です。特に、子どもがまだ小さく教育費の変動が予測される、今後家族が増える可能性がある、といった理由で金利上昇が不安な場合は、全期間固定金利型を検討してみるとよいでしょう。

5-3.住み替えの場合は売却と併せて検討する

住み替えは多くの場合、旧居の売却と新居の購入を同時に行ないます。そして、旧居の住宅ローンに残債がある場合は、一括返済をしなければなりません。一括返済が難しい場合には、住み替えローンを活用する方法もあります。

住み替えローンとは、旧居のローン残債と新居の購入費用をまとめて借り入れできるローンです。

住み替えローンとは

しかし、住み替えローンは審査が厳しく、さらに返済負担が重くなる傾向にあるため、利用は慎重に検討しましょう。

住み替えローンについて詳しく知りたい方は、「住み替えローンとは?メリットや利用の流れ、注意点などを解説」「住み替えのタイミングはいつがベスト?失敗しないための注意点も解説」も併せてご覧ください。

5-4.金融機関や不動産会社は慎重に比較検討する

住宅ローンの金利や手数料など、借入の条件は金融機関によって異なります。自身にとって最適な条件で借り入れするためには、複数の金融機関に相談して比較検討することが大切です。

その際、審査落ちの可能性に備えて、複数の金融機関に同時に申し込みをするのが効率的です。ただし、本審査に必要な書類は数多くあるため、最終的には3社程度に絞るようにしましょう。

また、住み替えに伴う旧居の売却時にも、複数の不動産会社を慎重に比較することが重要です。住宅の買取価格は、不動産会社によって数百万円の差が出ることも珍しくありません。より高値で売却できる不動産会社を探し、新居の購入費用を少しでも多く確保しましょう。

まとめ

年収500万円の住宅ローンの借入額の目安は、新築物件なら3,500万円~4,000万円、中古物件なら3,000万円程度です。しかし、無理なく返済できる借入額は、返済比率や将来のライフプランを考慮して、慎重にシミュレーションして決める必要があります。

ぜひ本記事で紹介したポイントや住宅ローンの仕組みを参考に、ご家庭の状況に合った借入額を設定してください。

また、住み替えをご検討中の場合は、不動産会社を比較検討し、少しでも旧居を高値で売却できそうな不動産会社を見つけることが大切です。

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