変動金利とは?固定金利との違いやメリット・デメリット、今後の金利の動向などを解説

変動金利とは 金利動向は今後どうなる?

住宅ローンの金利には、固定金利と変動金利があります。これから住宅ローンを契約する方のなかには「どちらの金利にすればいいかわからない」と悩んでいる方もいるでしょう。

そこで本記事では、変動金利の仕組みやメリット・デメリット、今後の金利動向、変動金利が向いている方の特徴などを紹介します。ぜひ参考にしてください。

この記事を読むと分かること
  • 変動金利のメリット・デメリット
  • 変動金利の向き・不向き
  • 2024年現在における、変動金利の今後の動向
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1.変動金利とは

家の模型と貯金箱

住宅ローンの金利タイプには、大きく分けて変動金利と固定金利の2種類があります。

変動金利と固定金利

まずはそれぞれの仕組みや違いを理解しておきましょう。

1-1.変動金利の仕組み

変動金利とは、借入期間中の適用金利が変動する金利タイプのことです。変動金利を選択すると、市場金利の変動に応じて金利が増減します。

一般的には、半年に一度の頻度で適用金利が見直されますが、すぐに返済額が増減することはありません。5年ごとに、その時点の金利をもとに再計算されるのが基本です。

また、金利が大幅に上昇したとしても、見直し前の返済額の1.25倍以上になることは原則ありません。したがって、見直し後の返済額についても急激に上昇する心配はないでしょう。

1-2.変動金利と固定金利の違い

変動金利と固定金利の最大の違いは、経済情勢の影響を受けるか否か、という点にあります。

固定金利は、借入期間中の金利が一定になる金利タイプのことで、返済総額と総利息額が契約時点で決まります。そのため、経済情勢により市場金利が変動した際にも、毎月の返済額は変わりません。返済計画を立てやすい点が魅力ですが、多くの金融機関では、固定金利の金利を変動金利よりも高く設定しています。

なお、固定金利には、完済まで金利が変わらない「全期間固定金利型」と、5年間・10年間など借入時に決めた一定期間のみ金利が固定される「固定金利期間選択型」があります。

2.住宅ローン利用者の過半数が変動金利を選択している

住宅金融支援機構が行なった「住宅ローン利用者調査(2023年4月調査)」によると、2022年10月~2023年3月で住宅ローン利用者が選択した金利タイプは、以下のとおりです。

選択した金利タイプ

  • 変動金利:72.3%
  • 固定金利期間選択型:18.3%
  • 全期間固定金利型:9.3%

つまり、住宅ローン利用者の7割以上が変動金利を選んでいることになります。

変動金利を利用する方の割合は、2020年5月の同調査でも60.2%と最も高く、それ以降も全体の6~7割をキープしている状況です。

出典:“住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用者調査(2023年4月調査)】”. 住宅金融支援機構. 2023-06-30. (参照2024-03-28)

変動金利が多くの方に選ばれている理由には、長期的に低金利が続いていることが挙げられます。実際に、固定金利では1.5~2%前後の金融機関が多いのに対し、変動金利では0.5%を下回る金融機関が少なくありません。

3.変動金利の適用金利はどう決まる?

住宅と金利動向

変動金利タイプの金利は、「短期プライムレート」に連動しています。

短期プライムレートとは、金融機関が最優良企業に対して融資を行なう際の最優遇金利のうち、1年以内の短期貸出における金利のことです。短期プライムレートは景気の動向に左右され、特に日本銀行の金融政策の影響を受けやすい傾向にあります。

なお、短期プライムレートは企業に対して融資する際の金利です。そのため、個人が利用する住宅ローンの変動金利では、一般的に短期プライムレートに1%を上乗せした金利を基準金利としています。そして、基準金利から各金融機関での優遇措置により金利引き下げや上乗せが行われたものが、実際に適用されます。

4.変動金利の5年ルールと125%ルール

変動金利には「5年ルール」と「125%ルール」が存在します。ここでは、それぞれの概要と注意点を詳しく解説します。

4-1.5年ルールとは?

5年ルールとは、金利が変動した場合でも、毎月の返済額が5年間は変わらないという制度です。例えば、35年の住宅ローンを組んでいる場合は5年ごと(5年目・10年目など)に返済額が再計算され、6年目・11年目から新たな返済額が適用されます。

変動金利では、通常は半年に1回の頻度で金利の見直しが行なわれますが、5年間は返済額が一定になるため、家計の負担がいきなり増えることはありません。

ただし、返済額における元金と利息の内訳は変更されます。例えば、金利が上がれば返済額における利息の割合が増えるため、元金の返済ペースが遅くなります。反対に、金利が下がれば返済額における元金の割合が増えて元金の返済が進むため、トータルの返済額が減少します。

4-2.125%ルール(1.25倍ルール)とは?

125%ルールとは、金利の見直しによって返済額が増えたとしても、新しい返済額はそれまでの返済額の125%(1.25倍)に抑えられる、というルールです。例えば、毎月の返済額が10万円の場合、金利が大きく上昇しても返済額は12万5,000円を超えません。

反対に、金利が下がった場合は下限なく返済額が下がるため、変動金利のメリットを最大限享受できます。

4-3.5年ルールと125%ルールは、元金均等返済には適用されない

前述した5年ルールや125%ルールは、元利均等返済に適用されるもので、元金均等返済には適用されません。元利均等返済は、毎月の支払額を一定にする返済方法で、元金均等返済は、毎月の返済額のうち、元金の額を一定にする返済方法です。

元金均等返済は支払総額に占める利息が元利均等返済よりも少ないメリットがありますが、5年ルールと125%ルールが適用されないため、金利上昇の際は返済額が上限なく増えてしまいます。

変動金利を選択する際には、返済方法の選択にも注意しましょう。

5. 変動金利のメリット・デメリット

家の模型とメリット・デメリット

近年、大多数の方が変動金利を選んでいますが、安易に金利タイプを選択するのは得策とはいえません。そこで本章では、変動金利のメリットとデメリットについて解説します。

5-1.変動金利のメリット

変動金利の最大のメリットは、固定金利と比較して金利が低いことです。金利が上昇しない限りは返済総額が少なくなり、返済期間の短縮も期待できます。

また、変動金利には支払額の急激な変更を緩和する措置があります。前述したように、支払額が5年間据え置きになったり、見直し後の返済額が見直し前の125%までに抑えられたりするため、毎月の支払額が急激に変わることはありません。

ただし、この緩和措置を採用していない金融機関もあるため、住宅ローンを比較する際には、契約内容の詳細まで確認することが大切です。

5-2.変動金利のデメリット

変動金利のデメリットは、金利の変動によって返済総額が変わることです。金利が上昇した場合は返済額が増えて返済期間が延び、当初の返済計画が崩れてしまう恐れがあります。

前述のとおり、5年ルールや125%ルールにより返済額の急激な上昇は抑えられます。しかし、金利の上昇度合いによっては毎月の返済額のほとんどが利息になり、元金がなかなか減らないリスクもあります。

金利がさらに上昇すると未払利息が発生して、ローン残高が増えてしまいます。住宅ローンの残債がある状態で返済期間が終了した場合は、残りを一括で支払わなければならないため注意が必要です。

6.変動金利が向いている方、向いていない方の特徴

変動金利と固定金利にはそれぞれメリット・デメリットがあり、どちらを選ぶべきかは借り入れをする方のライフスタイルや考え方によって異なります。ここでは、変動金利の向き、不向きについて解説します。

6-1.変動金利が向いている方

手持ち資金に余裕があり金利変動に対応できる方や、共働きなどで世帯収入が安定している方は、変動金利が向いています。

このような方は、金利上昇で返済額が増加しても、家計への影響が少なく済むからです。資金に余裕があれば金利が上昇した際にも、繰り上げ返済により金利上昇の影響を抑えられます。

また、借入金額が少ない方にも、金利が低く返済総額を抑えられる変動金利がおすすめです。特に収入に対して借入額が少ない場合は、金利上昇による影響もあまりないでしょう。

6-2.変動金利が向いていない方

返済計画をしっかりと立てておきたい方にとって、金利上昇による返済額の変化はデメリットになるでしょう。変動金利では返済の見通しが立てにくく、あるタイミングで金利が上昇すると、返済負担に対応しきれない可能性が考えられます。

また、ローンの借入期間が長い方や借入金額が大きい方も、変動金利は避けたほうが無難でしょう。借入期間が長いと、返済期間中に金利が上がる可能性が高まります。

さらに、金利上昇時に柔軟な対応ができるかどうかも、向き不向きの判断ポイントとなります。変動金利を利用するなら、経済情勢や金利変動をつかみ、資金の不足分を工面したり、借り換えを検討したりする必要があるでしょう。

7.2024年以降の変動金利の動向

今後、しばらくは低金利状態が続くことが考えられますが、将来的に住宅ローンの金利が上がる可能性はあるでしょう。変動金利は日本銀行の動向に左右されます。世界的に金利が高い状況のなかで、日本銀行は2022年から2023年にかけて、市場金利を低く維持してきました。

しかし、長期金利に関しては2022年12月に金融政策を転換し、長期金利の利率の目標上限を0.25%から0.5%へと引き上げています。日本銀行の長期金利は固定金利と連動しており、固定金利は上昇傾向にあります。

また、世界的に見ても、アメリカを筆頭に金利の上昇が続いている状況です。日本が金利を上げずにいるなかで世界各国が金利を上げると、より金利が高い通貨にお金が集まって円安が進み、日本経済に打撃を与えることも考えられます。将来的には、日本も金利を上げる方向へと舵を切る可能性は十分にあるでしょう。

まとめ

変動金利は借入期間中に金利が変動し、5年ごとに返済額が変わります。固定金利より低金利というメリットがある一方で、金利の変動により返済計画が崩れるリスクもあります。

住宅ローンの金利選択は、返済計画やその後の暮らしに大きな影響を与えるため、慎重に進める必要があります。

今後のライフプランや考え方によっても適している金利タイプは異なるため、「現時点の金利の低さ」といった目先のことだけではなく、長期的な視点でどちらの金利タイプが合っているかを考えましょう。

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