固定金利とは?メリット・デメリット、向いている方の特徴を解説

固定金利 メリット・デメリットは?

固定金利の住宅ローンの利用を検討しているものの、「本当に固定金利で良いのか、判断できず迷っている」という方も多いのではないでしょうか。

本記事では、固定金利の概要やメリット・デメリットのほか、向いている方の特徴などについて解説します。固定金利への理解を深めて、適切な金利タイプを選択しましょう。

この記事を読むと分かること
  • 住宅ローンにおける固定金利の特徴・種類
  • 固定金利を選択するメリット・デメリット
  • 固定金利が向いている方、向いていない方
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1.住宅ローンの固定金利とは?

家とお札と電卓

「固定金利」とは、住宅ローンの契約時に決めた金利が、契約期間中は変わらない金利タイプのことです。契約締結の段階で、あらかじめ固定期間を設定し、その期間が終わるまで金利を固定できます。

一方、定期的に金利が見直される金利タイプは「変動金利」と呼ばれます。変動金利では、経済情勢や市場金利の動向に合わせて、金利が上昇または低下する可能性があります。

固定金利と変動金利、どちらを選択するかによって最終的な住宅ローンの返済額も変わるため、慎重に判断しましょう。

1-1.固定金利には、「全期間固定金利型」と「固定金利期間選択型」がある

固定金利には、大きく分けて「全期間固定金利型」と「固定金利期間選択型」の2種類があります。

全期間固定金利型は「長期固定金利型」とも呼ばれ、住宅ローンの借入時から返済完了まで、金利が一切変わらないまま固定されます。代表的なローン商品としては、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して取り扱っている「フラット35」が挙げられます。

一方、固定金利期間選択型では、契約時に決めた一定期間に限り、金利が固定されます。期間の長さは金融機関によって異なりますが、3年、5年、10年、20年など複数のプランがあり、その期間が終わったら、また次の金利タイプを選択します。一般的に、固定金利期間が短いほど、金利は低くなる傾向にあります。

1-2.固定金利と変動金利、主流なのはどちら?

近年、住宅ローンの「変動金利」が人気を集めています。国土交通省が発表した「令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」によると、変動金利が全体の7割以上を占めていることがわかります。

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出典:“令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書”. 国土交通省. 2023-03. (参照2024-03-28)をもとに、HOME4Uが独自に作成

日本銀行の政策見直しなどによって、固定金利の金利は上昇傾向にあるため、変動金利を選択する方が増えているようです。

ただし、経済状況によっては、固定金利のほうがリスクを抑えやすい場合もあるため、流行にとらわれず、自身の状況に合わせて金利タイプを選択することが大切です。

2.固定金利のメリット

電卓と万札をもった女性

固定金利を選択すれば、以下のようなメリットを得ることができます。

  • 住宅ローンの返済計画が立てやすい
  • 金利上昇リスクを回避できる
  • 一定期間終了後、変動金利を選択できる(固定金利期間選択型)

各メリットの概要をまとめました。

2-1.住宅ローンの返済計画が立てやすい

全期間固定金利型の場合、返済完了まで金利が上下することはないので、住宅ローンの契約を結んだ段階で毎月の返済額および総返済額が確定します。将来的に市場金利が上昇したとしても返済額は一切変わらず、返済計画が立てやすいことがメリットです。

また、固定金利期間選択型も、一定期間は返済額が変わりません。そのため、子どもの学費やマイカーローンの返済、老後の生活資金など、ライフプランに合わせて無理のない返済計画を立てやすいでしょう。

住宅ローンは、30年前後の長期にわたって返済していくことになるため、あらかじめ返済額を確定できる固定金利を選択すれば、急な出費にも対応しやすいはずです。

2-2.金利上昇リスクを回避できる

近年、日本は超低金利が続いており、利率の低い変動金利を選択する方が数多く見られます。しかし、金融政策や世界情勢の変化で市場金利が急激に上昇した場合、負担が大きくなるリスクもあります。

その点、全期間固定金利型は常に一定の利率が適用されるので、金利上昇リスクに関連する不利益は発生しません。また、固定金利期間選択型でも一定期間は利率が変わらないため、返済の負担が増大するリスクも発生しません。

市場金利が今後どのように変動するかは、金融の専門家でも正確に予測するのは困難です。超低金利時代もいつまで続くかわからないため、金利上昇リスクを避けたいなら、固定金利を検討する価値は十分あるといえるでしょう。

3-3.一定期間終了後、変動金利を選択できる(固定金利期間選択型)

固定金利期間選択型は、一定期間が終わったら、再び固定金利期間を設定して継続するか、あるいは変動金利に移行するかを、あらためて検討することができます。

期間終了時点で市場金利が下がっている場合には、変動金利に切り替えることで、金利の低下によるメリットを享受できるでしょう。

3.固定金利のデメリット

通帳を手に悩む女性

一方、固定金利には以下のようなデメリットもあります。

  • 変動金利と比較して金利が高い
  • 固定金利を再選択する場合、手数料がかかる(固定金利期間選択型)
  • 5年ルール・125%ルールが適用されない(固定金利期間選択型)

メリットと併せて、デメリットもおさえておきましょう。

3-1.金利が高い

固定金利は変動金利に比べると、金利が高く設定されている傾向にあります。なかでも、全期間固定金利型が最も高く、固定金利期間選択型がそれに続きます。

つまり、金利の上昇幅が少ない場合、あるいは将来的に金利が低下した場合は、変動金利より返済の負担が大きくなる可能性もあるのです。

そもそも住宅ローンは借入額が大きく返済期間も長いので、金利が1%上昇するだけでも返済額は大幅に増加します。例えば、「借入額3,000万円、35年返済、ボーナスなし」という条件で、金利が1%から2%に上昇した場合、総返済額は600万円以上も増えてしまいます。

金利 毎月の返済額 総返済額
1% 8万4,685円 約3,556万円
2% 9万9,378円(+1万4,693円) 約4,173万円(+約617万円)

特に全期間固定金利型の場合、契約時に決めた金利が最後まで適用されるので、もし返済途中で市場金利が大幅に下がったとしても、その恩恵を受けることはできません。固定金利期間選択型も同様に、一定期間が終わるまでは、金利低下の恩恵を享受できません。

3-2.固定金利を再選択する場合、手数料がかかる(固定金利期間選択型)

固定金利期間選択型で固定金利を継続するには、所定の手続きが必要です。

また、固定金利の継続に手数料がかかることもあります。手数料の金額は金融機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

さらに、継続の手続きをしなかった場合、自動的に変動金利へと切り替わるケースもあるため、十分に注意が必要です。

3-3. 5年ルール・125%ルールが適用されない(固定金利期間選択型)

固定金利期間選択型の場合、一定期間終了後に変動金利を選択しても、「5年ルール」と「125%ルール」が適用されないケースが一般的です。

5年ルールとは、「契約締結から5年間は、毎月の返済額の見直しはされない」というルールです。一般的に変動金利は半年に1回のペースで金利の見直しが行なわれますが、ルール期間中は金利が上昇しても返済額は増えないので、急に負担が大きくなることはありません。

125%ルールとは、「金利がどれだけ上がっても、毎月の返済額は従来の1.25倍以上には増えない」というルールです。例えば、見直し前の返済額が毎月8万円だった場合、見直し後の上限は8万円×1.25=10万円となります。

この2つのルールは、最初から変動金利を選択していた場合にのみ適用されます。固定金利期間選択型を経て、途中で変動金利に切り替えた場合には、金利上昇によって返済額が急激に増えるリスクを避けることはできません。

4.固定金利に向いている方とは?

固定金利と変動金利

固定金利に向いている方は、以下のような特徴が当てはまる方です。

  • 金利上昇リスクを懸念している方
  • 一定の返済額を維持したい方
  • 精神的な安定を求める方

それぞれ詳細をまとめたので、ぜひ参考にしてください。

4-1.金利上昇リスクを懸念している方

先述のとおり、近年は利率の低い変動金利が人気を集めています。しかし、住宅ローンは返済期間が30年前後と長いため、返済途中で金利が上がることも十分考えられます。

急激に市場金利が上昇した場合、想像以上に返済額が増えて、家計の負担が増大するかもしれません。

金利上昇リスクに対応する自信がない場合は、安定した固定金利のほうがおすすめです。特に全期間固定金利型なら、金利は最後まで変わらないため、計画的かつ安全に返済できるでしょう。

4-2.一定の返済額を維持したい方

全期間固定金利型は、常時金利が固定されており、毎月の返済額も一定に保つことができます。そのため、長期的な資金計画を立てやすく、子どもの進学や車の買い替えなど、大きな支出を予定している方や、老後の生活資金などを計画的に工面したい方におすすめです。

また、返済額が変わらなければ、家計の状況も予測しやすくなるため、日々の家計管理が苦手な方にも向いています。利率は高くなりますが、収支や貯蓄を楽に管理できる点は大きな魅力です。

4-3.精神的な安定を求める方

変動金利を選択すれば、金利の動向に合わせて繰り上げ返済や借り換えを検討し、返済額を抑えることができます。しかし、市場金利の見通しや金利上昇リスクの有無、返済額の大小などを気にかける生活は、精神面への負担が大きいことも否めません。

「金利のことで不安を抱えたくない」「返済額は変わらないほうが安心」など、精神的な安定を重視する方は、固定金利を選択する方がよいでしょう。

5.固定金利に向いていない方

経済状況や契約内容によっては、固定金利があまり適さないケースもあります。

例えば、収入や預貯金が多く、家計が安定している方は、金利が上昇してもただちに生活に支障をきたす可能性は低いため、変動金利を選ぶのが得策です。

また、住宅ローンの借入額が少なかったり、短期間での返済を計画していたりする方も、金利上昇の影響を受けにくいため、変動金利がおすすめです。

そのほか、「経済や金融に関する情報収集が苦ではない」「状況を見極めて少しでも得になる方を選びたい」という方にも、変動金利が適しているでしょう。

まとめ

固定金利は、住宅ローンの返済期間中、もしくは契約時に決めた一定期間、金利が変わらないまま固定される金利タイプです。返済計画が立てやすく、金利上昇リスクの影響も避けられるため、計画的かつ安定的な返済を実現できます。

一方で、変動金利に比べて金利が高い、固定金利期間選択型は5年ルール・125%ルールが適用されない、といったデメリットもあります。経済的に余裕がある方や住宅ローンの借入額が少ない場合は、変動金利を選んだほうが得策かもしれません。

固定金利・変動金利は、どちらが優れているというものではありません。目的や経済状況によって向き不向きが分かれるため、自分に合った金利タイプを見極めることが大切です。

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