年収に対する住宅ローンの借入額の目安はどのくらい?年収ごとのシミュレーションも紹介

住宅ローンの借入額 年収ごとの目安は?

住宅ローンの検討にあたり、自分の年収だとどの程度の借り入れができるのかがわからず、お悩みの方もいるでしょう。住宅ローンの返済は長期にわたるため、ライフプランに合った無理のない借入額を知ることが重要です。

本記事では、住宅ローンの返済比率を解説し、年収ごとの借入額の目安や、毎月の返済額のシミュレーションを紹介します。

この記事を読むと分かること
  • 年収ごとの住宅ローン借入額の目安
  • 年収ごとの住宅ローン返済額のイメージ
  • 住宅ローンの借入額を決めるときのポイント
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1.年収に対する住宅ローンの借入額の目安はどのくらい?

家の模型と貯金箱

一般的に、住宅ローンの借入額の目安は、年収の6~7倍程度といわれています。

住宅金融支援機構が行なった「2022年度 フラット35利用者調査」をもとに、住宅の種類別の所要資金(住宅の購入金額)と年収倍率を表にまとめました。年収倍率とは、所要資金が年収の何倍であるかを示す数値のことです。

住宅の種類 所要資金 年収倍率
マンション 4,848万円 7.2倍
土地付注文住宅 4,694万円 7.7倍
建売住宅 3,719万円 6.9倍
注文住宅 3,717万円 6.9倍
中古マンション 3,157万円 5.9倍
中古戸建て 2,704万円 5.7倍

参考:“2022年度 フラット35利用者調査”. 独立行政法人住宅金融支援機構. 2023-08-04. (参照2024-03-28)をもとに、HOME4Uが独自に作成

調査によると、所要資金は年収に対しておおむね6~7倍となっています。詳細を見ると、新築住宅の場合は年収の7倍前後、中古住宅の場合は年収の6倍程度の住宅を購入している方が多いことがわかります。

ただし、年収倍率は所要資金、つまり住宅の購入金額をもとにした数値で、住宅ローンの借入額をもとにした数値ではありません。頭金(自己負担金)を用意できる場合は、住宅ローンの借入額はより少なくなるため、あくまで目安として考えましょう。

2.住宅ローンの返済比率とは?

住宅ローンの返済比率とは、年収に占める住宅ローンの年間返済額の割合のことです。返済比率が低いほど余裕を持って返済できるため、借入額を決める指標として用いられています。返済比率は「年間返済額÷年収×100」で計算できます。

20_01

なお、実際の計算では、住宅ローン以外の借入金の返済額も含めて計算します。例えば、マイカーローンやカードローン、奨学金などです。事前に家計を整理してから計算するよう気を付けましょう。

3.借入可能な返済比率と、無理なく返済できる返済比率は異なる

家と住宅ローン

住宅ローンで借入可能な返済比率と、無理のない返済比率は、必ずしも同じではありません。ここでは、それぞれの返済比率について解説します。

3-1.借入可能な返済比率

返済比率は、金融機関が住宅ローンの審査を行なう際の基準としても活用されます。これは、申込者の返済能力を超えた借り入れを防ぐためです。

多くの金融機関では、借入可能な返済比率の目安を30~40%程度としていますが、具体的な審査基準は金融機関によって異なります。例えば「フラット35」では、年収400万円未満は「返済比率30%以下」、年収400万円以上は「返済比率35%以下」が基準です。

ただし、上記の数値はあくまで金融機関が審査するうえでの目安であり、生活費までは考慮されていません。審査基準から借入額を計算すると、後々、家計が苦しくなるリスクがあるため、注意が必要です。

3-2.無理なく返済できる返済比率

借入額を決めるときには、無理なく返済できるかどうかを最優先に考えなければなりません。一般的に、無理なく返済できる返済比率は20~25%程度といわれています。

ここで注意すべき点は、額面年収ではなく手取り年収で計算することです。より現実的な返済計画を立てるために、実際に手もとに残るお金で計算しましょう。額面年収から2割差し引くと、おおよその手取り年収を算出できます。

このほかにも、無理なく返済できるかどうかは、月々の生活費や子どもの教育費なども考慮しなければなりません。家庭ごとに必要な出費は異なるため、ライフプランや家計の状況を踏まえて、家族でよく相談しながら借入額を算出しましょう。

4.年収別の住宅ローン借入額と返済額のシミュレーション

住宅ローンの借入額において、返済比率20~25%が無理なく返済できる目安といわれています。そこで、年収ごとの借入額と毎月の返済額を以下の表にまとめました。

年収 返済比率20% 返済比率25%
300万円 借入額:1,531万円
毎月の返済額:5万0,012円
借入額:1,913万円
毎月の返済額:6万2,490円
400万円 借入額:2,041万円
毎月の返済額:6万6,671円
借入額:2,551万円
毎月の返済額:8万3,331円
500万円 借入額:2,551万円
毎月の返済額:8万3,331円
借入額:3,189万円
毎月の返済額:10万4,172円
600万円 借入額:3,061万円
毎月の返済額:9万9,991円
借入額:3,827万円
毎月の返済額:12万5,013円
700万円 借入額:3,571万円
毎月の返済額:11万6,651円
借入額:4,464万円
毎月の返済額:14万5,822円
800万円 借入額:4,082万円
毎月の返済額:13万3,343円
借入額:5,102万円
毎月の返済額:16万6,663円
900万円 借入額:4,592万円
毎月の返済額:15万0,003円
借入額:5,740万円
毎月の返済額:18万7,504円
1,000万円 借入額:5,102万円
毎月の返済額:16万6,663円
借入額:6,378万円
毎月の返済額:20万8,345円

※借入金利は固定金利年1.910%、借入期間は35年、元利均等返済、ボーナス返済なしで試算
※借入額は千の位を四捨五入して記載

参考:
“借入可能額の計算”. 一般財団法人 住宅金融普及協会
“【しっかり】借入返済額シミュレーション 今すぐシミュレーションしてみよう! 資金プランシミュレーション”. 知るぽると

表を見るとわかるように、借入額が大きくなるほど毎月の返済額が増加し、借入額が3,100万円を超えると、毎月の返済額が10万円を超えます。

また、年収が同じでも、返済比率が変われば借入額も数万円単位で変わります。例えば、年収500万円の場合、返済比率20%と25%では、毎月の返済額に約2万円もの差があります。

金利や借入期間など、条件によってシミュレーション結果は変わるため、各家庭の状況に合わせて検討することが大切です。

5.年収が低く、希望の借入可能額に届かない場合どうする?

通帳を開いて電卓を操作する手元

年収が低いと、借入可能額が減ったり、審査に通過できなかったりする可能性があります。ここでは、年収が低くて希望の借入可能額に届かない場合の対処法を解説します。

5-1.夫婦の収入合算やペアローンを検討する

夫婦ともに収入がある場合は、収入合算やペアローンといった制度が利用できます。

収入合算を活用する

収入合算とは、住宅ローン契約者の収入に、配偶者や親子などの収入を合算して、1つの住宅ローンを組む方法です。例えば、夫が住宅ローンの契約者、妻が連帯保証人になる、といったケースが該当し、2人の収入を合算するため、借入可能額は増加します。

ただし、団信(団体信用生命保険)は住宅ローン契約者のみの加入となります。例えば、夫が住宅ローン契約者で団信に加入している場合、妻が死亡して収入が途絶えたとしても、団信の対象外であるため、夫のローン返済が苦しくなる可能性がある点に注意が必要です。

また、収入合算できる金額は「住宅ローン契約者の年収の50%まで」など、金融機関によって基準が異なるため、利用する際は事前に金融機関に確認しましょう。

ペアローンを活用する

ペアローンとは、夫婦や親子それぞれが住宅ローンを組む方法です。こちらも2人の借入額を合計することで、借入可能額を増やせます。ペアローンの場合は夫婦や親子ともに団信に加入できるため、どちらか一方が死亡した際には、一方の住宅ローンの返済が免除されます。

ただし、離婚した場合や、どちらか一方が退職して収入が減少した場合などに、住宅ローンを返済できなくなってしまうと、家を手放すことを余儀なくされる恐れがあります。また、住宅ローン契約に必要な融資手数料や保証料などの諸費用が、2人分かかる点もおさえておきましょう。

5-2.頭金を多く用意して借入額を減らす

頭金(自己負担金)を多く用意して、借入額を減らすことも一つの手段です。一般的に住宅ローンの頭金は、住宅購入価格の20%程度が目安といわれています。

例えば、住宅購入価格が3,000万円なら、頭金は20%で600万円です。金融機関によっては頭金を多めに用意することで、適用金利が下がる場合があります。また、借入額が減るため、発生する利息が少なくなる点もメリットです。

ただし、頭金の支払いのために貯蓄を大きく減らしてしまうと、万が一の急な出費に対応できない可能性があります。さらに、頭金が貯まるまで住宅購入を先延ばしにした場合、住宅ローンの完済時期が遅れるため、退職後も住宅ローンの返済が続くことがある点にも注意が必要です。

6.借入額を決める際に年収以外に確認すべきポイント

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借入額を決めるときには、将来的なライフイベントなど、年収以外にも考慮すべきポイントがあります。そこで、年収以外に確認すべき2つのポイントについて解説します。

6-1.将来的なライフイベントにかかる出費を確認する

住宅ローンの返済期間中は、さまざまなライフイベントによる出費が発生します。出費が重なって住宅ローンの返済が苦しくならないよう、いつ頃、どのくらいのお金がかかるか把握しておくことが大切です。

ライフイベントにかかる費用を整理するには、以下のような表を作成するとよいでしょう。

時期 ライフイベント 予想される出費
2023年 第一子、誕生 約50万円
2026年 第一子、幼稚園入園 約30万円
2027年 第二子、誕生 約50万円
2030年 第二子、幼稚園入園 約30万円
2033年 第一子、英会話教室に通い始める 約8万円(年間)
…… …… ……
2041年 第一子、大学入学(私立) 4年間で約400万円
2045年 第二子、大学入学(国立) 4年間で約250万円
2058年 定年退職、海外旅行 約35万円(旅費)

このように、時期やライフイベントごとのおおよその出費がわかると、長期的な返済計画が立てられるため、無理のない借入額を算出できます。

6-2.将来的な返済に問題がないか確認する

借入額を決める際には、完済時の年齢も併せて確認しましょう。一般的な住宅ローンの返済期間は最長で35年ですが、近年では50年の住宅ローンも登場しています。したがって、定年退職後も住宅ローンの返済を続ける方は少なくありません。

定年退職後は収入が大幅に減少するため、後々、返済が苦しくなる恐れがあります。高齢になっても返済が続く場合は、必要に応じて綿密な繰上返済のプランを立てておくことをおすすめします。

まとめ

住宅ローンの借入額の目安は、年収の6~7倍程度です。しかし、同じ年収でも返済比率や将来的なライフプランによって、最適な借入額はそれぞれ異なります。

借入額を決める際には、無理なく返済ができるように、返済比率やライフイベントごとの出費、完済時の年齢などを踏まえる必要があります。これから住宅ローンを組む方は、長期的な返済計画がイメージできるように、事前にしっかりとシミュレーションしましょう。

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