家の名義変更とは?不動産の登記にかかる費用と必要書類をシーン別に解説

家の名義変更とは 登記の費用・必要書類

不動産の売買や住み替えなどに伴い、家の所有者が変わった場合には、名義変更が必要です。名義変更をしないと、所有権を主張できず、不動産を担保にした借入もできない、といったデメリットがあります。

本記事では、家の名義を変更する手続きの流れや費用、シーン別の必要書類などについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事を読むと分かること
  • 家の名義変更の概要
  • 家の名義変更の流れ
  • シーン別の必要書類とかかる税金
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1.家の名義変更とは?

不動産売買

家(不動産)の名義変更は、正式には「所有権移転登記」といいます。所有権移転登記とは、登記記録にある現在の所有者(または共有者)を、その不動産を新たに取得した方に移転する手続きのことです。

はじめに、家の名義変更の概要として、以下について見ていきましょう。

  • 家の名義変更はなぜ必要?
  • 家の名義変更は誰が行なう?
  • 家の名義変更に期限はある?

1-1.家の名義変更はなぜ必要?

不動産の登記については、民法第177条において以下のように定められています。

不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

引用:“民法 第百七十七条(不動産に関する物権の変動の対抗要件)”. e-Gov法令検索

つまり、不動産の権利を第三者に主張するためには、登記が必要といえます。家の売買などを行なった際に所有権移転登記をしないまま放置していると、自分が所有しているはずの物件をいざというときに守れないリスクがあるのです。

1-2.家の名義変更は誰が行なう?

原則としては、所有権移転登記の手続きは「登記権利者」と「登記義務者」が共同で行なうべきものとされています。

登記権利者とは登記によって「直接利益を受ける者」のことであり、売買の場合は家の権利を新たに取得する買主がこれにあたります。一方で、登記義務者は登記によって「直接不利益を受ける者」を指し、売買においては家の権利を喪失する売主のことです。

ただし、買主と売主が一緒に手続きを行なうことは一般的に少ないと考えられるため、実際の売買では、新たに権利を得ることになった買主が手続きするのが通例となっています。

その際は、買主自身で手続きを行なうことも可能ですが、手間がかかるため司法書士に代行してもらうのが一般的です。

なお、家の名義変更にかかる費用については後述します。

1-3.家の名義変更に期限はある?

家を新築した場合は、所有権の取得日から1ヵ月以内に登記する義務があります。これは、「建物表題登記」と呼ばれる登記です。

一方で、売買によって不動産の持ち主が変わった場合については、法律上登記の義務がありません。しかし、登記をしておかないと、以下のようなデメリットが生じます。

  • 第三者に対して不動産の所有権を主張できない
  • 不動産を担保にした借入ができない
  • 災害などで賠償を受ける際に、手続きをスムーズに進められない

そのため、売買の際には所有権移転登記を行なうことが契約書に明記されるケースが多くなっています。

また、相続については、2024年(令和6年)4月1日から登記が義務化されることが決まっています。この新制度により、相続人は今後、不動産の権利を得たことを知った日から3年以内に登記の申請をしなければなりません。

なお、新制度が開始するよりも前に相続した分についても登記の義務が生じますが、この場合は3年の猶予期間が適用されることになっています。

相続登記の義務化

登記を行なわずに放置するだけでもリスクがあることは前述したとおりですが、義務に違反した場合には、ペナルティの対象になります。家の名義変更は、早めに行なうほうがよいでしょう。

相続があったときの登記の義務化について詳しく知りたい場合は、「相続登記の義務化は2024年4月1日から!申請期限と罰則は事前に把握しよう」もご覧ください。

2.家の名義変更の流れ

不動産の登記は、以下のような流れで行なわれます。

名義変更の流れ

  1. 登記の原因となる法律行為等が発生する
  2. 発生した法律行為に基づいた書面の作成・収集をする
  3. 必要書類をそろえ、登記申請書を作成する
  4. 登録免許税を納付する
  5. 必要書類を添えて、登記申請書を管轄法務局に提出する
  6. 申請内容が審査される
  7. 問題がなければ登記が完了する

「登記の原因となる法律行為等」とは、購入や売却、相続などのことです。また、「法律行為に基づいた書面」というのは、売買契約書や遺産分割協議書などのことを指します。

不動産の名義変更はさまざまな理由により行なわれるため、必要書類は状況によって異なりますが、手続きの流れは大きく変わりません。

3.家の名義変更にかかる費用

財産分与

不動産の名義を変更する際にかかる費用は、税金に注目するとわかりやすいでしょう。状況によって複数の税金がかかりますが、ここでは、「登録免許税」と「そのほかの税金」の2つに分けて説明します。

3-1.登録免許税

登録免許税は、さまざまな登記や登録の際にかかる税金です。不動産の所有権移転登記では、不動産の固定資産税評価額(その不動産が属する市町村、東京23区は東京都によって決定される)に応じて課税されます。

土地部分の税率は、下表のとおりです。

内容 税率
売買 2%(※1)
相続 0.4%
贈与・交換・収用・競売など 2%

(※1)2026年(令和8年)3月31日まで1.5%になる軽減税率が適用される

建物部分の税率は、下表のとおりです。

内容 税率
売買または競売 2%(※1)
相続または法人の合併 0.4%
贈与・交換・収用など 2%

(※1)個人が居住用とする場合には、2024年(令和6年)3月31日まで0.3%になる軽減税率が適用される

出典:“No.7191 登録免許税の税額表”. 国税庁. (参照2024-03-21)をもとに、HOME4Uが独自に作成

なお、司法書士に依頼して登記の申請手続きを代行してもらう場合は、その報酬を登録免許税と併せて支払います。報酬額は相談する司法書士によって変わってくるため、依頼する前に確認するとよいでしょう。

3-2.そのほかの税金

家の名義変更が必要となるようなシーンでは、登録免許税のほかにも税金がかかることが少なくありません。

場合によって納めなければならない税金の例は、以下のとおりです。

  • 譲渡所得税
  • 不動産取得税
  • 贈与税
  • 相続税

また、新たに不動産の所有者になると、以下について毎年課税されます。

  • 固定資産税
  • 都市計画税

4.家の名義変更が必要になる4つのシーン

家の名義変更は不動産の所有権が移転したときに行なうものですが、その手続きが必要となるようなシーンは、大きく以下の4つに分類できます。

  • 不動産売買
  • 財産分与
  • 生前贈与
  • 遺産相続

次章以降では、それぞれのシーンにおける登記の必要書類と、納めなければならない税金について説明します。

5.不動産売買における家の名義変更

売買契約書

不動産の購入や売却により家の持ち主が変わったときは、名義変更のために所有権移転登記を行ないます。この場合の登記は義務ではありませんが、家の権利を守るために必要なことです。

前述したとおり、一般的には買主が手続きします。

5-1.家の売買を登記する際の必要書類

不動産を売買した際の所有権移転登記には、以下の書類が必要です。

  • 売買契約書
  • 登記識別情報通知(登記済権利証)
  • 固定資産課税明細書(固定資産評価証明書)
  • 印鑑証明書
  • 住民票
  • 委任状

売買による家の名義変更には、上記のとおり売買契約書を使用します。不動産会社を介して売買したのであれば、そのほかの書類についても取得方法などの詳細を案内してもらえるでしょう。

なお、委任状は申請手続きを司法書士に代行してもらう場合に必要となります。

売買契約について詳しくは、「媒介契約と売買契約の違いって?」の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。

5-2.家の売買にかかる税金

不動産売買に課税される税金は、売却と購入のどちらを行なったのかによって変わります。

不動産を売却する際には、以下の税金がかかります。

  • 登録免許税(抵当権の抹消が必要な場合)
  • 譲渡所得税(売却により利益が出た場合)

一方、購入する際に課税されるのは、以下の税金です。

  • 登録免許税
  • 不動産取得税

登録免許税の税額は、不動産の固定資産税評価額(固定資産課税台帳に登録された価格)に税率をかけた金額となります。

前述したとおり、不動産を売買した場合の税率は2%です。ただし、土地については2026年(令和8年)3月31日まで1.5%、個人が居住用とする建物については2024年(令和6年)3月31日まで0.3%になる軽減措置があります。

6.財産分与における家の名義変更

財産分与とは、離婚に伴い夫婦の財産を分けることです。これまで共同で築いてきた財産を公平に分配する目的で、家の名義変更が必要になる場合があります。

6-1.家の財産分与を登記する際の必要書類

不動産を財産分与するための所有権移転登記には、以下の書類が必要です。

  • 全部事項証明書(戸籍謄本)(※)
  • 登記原因証明情報
  • 登記識別情報通知(登記済権利証)
  • 固定資産課税明細書(固定資産評価証明書)
  • 印鑑証明書
  • 住民票
  • 委任状

(※)離婚後のもの

財産分与に伴う家の名義変更では、離婚を確認できる全部事項証明書(戸籍謄本)を提出する必要があります。

6-2.家の財産分与にかかる税金

不動産の財産分与を目的とした名義変更には、以下の税金がかかります。

  • 登録免許税
  • 譲渡所得税
  • 贈与税

前述したとおり、この場合の登録免許税の税率は2%です。

譲渡所得税は、不動産を「手放す側」にとって注意が必要な税金です。財産分与を行なう際は、不動産の価値を時価で計算します。その際の物件の評価額が取得時よりも上昇している場合は、生じた所得額によって課税されることがあります。

一方、不動産を「受け取る側」は贈与税に注意が必要です。財産分与は基本的に贈与にはあたりませんが、受け取った財産が多すぎる場合などについては贈与税が課されることがあります。

7.生前贈与における家の名義変更

生前贈与とは、存命のうちに自身の財産を他者へ継承することです。いずれ相続する予定の財産を、早めに他者に譲ることだと考えればよいでしょう。

生前贈与により家を譲り受けたときは、名義変更を行なう必要があります。

7-1.家の生前贈与を登記する際の必要書類

不動産の生前贈与における所有権移転登記では、以下の書類が必要です。

  • 贈与契約書
  • 登記識別情報通知(登記済権利証)
  • 固定資産課税明細書(固定資産評価証明書)
  • 印鑑証明書
  • 住民票
  • 委任状

贈与された家の名義を変更する手続きでは、贈与契約書の提出が求められます。これは、確かに贈与があったことを証明するための書類です。

贈与契約書は必ずしも作成しなければならないものではないため、口約束のみで行なわれる贈与もあるでしょう。しかし、登記の観点からみると、不動産を贈与する際には書面を作成しておくことが大切だといえます。

7-2.家の生前贈与にかかる税金

不動産を生前贈与する際には、以下の税金がかかります。

  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 贈与税

前述したとおり、この場合の登録免許税の税率は2%です。

不動産取得税は、生前贈与により物件を譲り受けた側(受贈者)が納める必要があります。また、贈与税は、2つの課税方法のうちどちらを選択するかによって税率などが変わります。

贈与税について詳しくは、「贈与税とは?2つの課税方法や計算式、贈与のための不動産売却の注意点を解説」をご覧ください。

8.遺産相続における家の名義変更

書類にサインする女性

遺産相続により家を引き継いだときは、名義変更の手続きを行なう必要があります。通常は、被相続人(亡くなった方)から相続人(相続する方)に家の権利を移転させる手続きです。

前述したとおり、不動産を相続した際の登記は、新制度により今後義務化されることが決まっています。

8-1.家の遺産相続を登記する際の必要書類

遺産相続で不動産を継承する際の所有権移転登記には、以下の書類が必要です。

  • 全部事項証明書(戸籍謄本)
  • 遺産分割協議書・遺言書
  • 登記識別情報通知(登記済権利証)
  • 固定資産課税明細書(固定資産評価証明書)
  • 印鑑証明書
  • 住民票
  • 委任状

全部事項証明書(戸籍謄本)は、被相続人と相続人の両方のものを提出します。

また、遺産相続の経緯を示す書類として、遺産分割協議が行なわれた場合は遺産分割協議書、遺言による相続の場合は遺言書の提出が必要です。

なお、遺言書がどのようにして書かれたのか、相続人が何人いるのかといった状況によって提出書類が変わることもあります。詳細については、司法書士などの専門家に確認するのがよいでしょう。

登記を含め、不動産を相続したときの手続きについては、「不動産の相続手続きはこれでカンペキ!5ステップで解説」も併せてご覧ください。

8-2.家の遺産相続にかかる税金

不動産の相続人には、以下の税金がかかります。

  • 登録免許税
  • 相続税

前述したとおり、この場合の登録免許税の税率は0.4%です。不動産売買や財産分与、生前贈与が原則2%だったことと比較すると、遺産相続に関しては低く設定されているといえます。

相続税は、遺産相続により物件を引き継いだ側が納める税金です。とはいえ、控除が適用されて、結果的には課税されないケースも多いでしょう。

家の相続についてさらに詳しく知りたい場合は、「家の相続に関した手続きフローと支払うべき税金と費用まとめ」も参照してください。

9.家の売却時には一括査定の利用がおすすめ

不動産を相続したケースなどでは、「今後の活用が難しい」「管理に手間がかかる」といった理由から、名義変更したあとに売却を検討する方も少なくありません。その場合は、少しでも高く不動産を売り出したいのではないでしょうか。

しかし、不動産の査定結果はどの不動産会社に依頼するかによって変わります。各社には「大手にも負けない地域密着のルートがある」「マンションなら任せてほしい」といった特徴や得意ジャンルがあり、場合によっては査定額に数百万円もの差が出ることもあるのです。

少しでも高額で売却するには、複数社に査定を依頼することが重要です。最適な1社を選ぶためにも、不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」を利用して、各社の査定結果をまとめて取り寄せましょう。

まとめ

家の持ち主が変わったときは、名義変更のために所有権移転登記を行ないましょう。手続きをせずに放置すると、第三者に対して家の権利を主張できなくなるなどのリスクが生じます。

所有権移転登記の手続きには、登録免許税の納付が必要です。また、「不動産売買」「財産分与」「生前贈与」「遺産相続」の4つのシーンのどれにあてはまるかによって必要書類が異なり、状況によっては登録免許税以外にも税金がかかることがあります。

今後の有効活用が難しい不動産については、売却を検討してみるのもよいでしょう。できる限り高く売るには、複数の不動産会社に一括で査定を依頼して、結果を比較するのがおすすめです。

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