年収900万円の住宅ローン事情|借入額の上限やローンを組む際のポイントを解説

年収900万円 住宅ローン借入額の目安

住宅ローンを組む際には、年収倍率や返済負担率を参考に借入額を決定します。具体的には、手取り額をもとに生活費やその他の出費を考慮し、無理のない金額設定をすることが重要です。

本記事では、年収900万円の借入上限額と返済額、返済のシミュレーション、借入額を決める際のポイント、住宅ローンの種類などについて解説します。

この記事を読むと分かること
  • 年収900万円の住宅ローンの借入上限額
  • 住宅ローンの借入額を決める目安となる年収倍率と返済負担率
  • 無理なく返済できる借入額を決めるポイント
「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ
  • 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
  • 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格”を見つけましょう
  • 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます

1.年収900万円の住宅ローンの借入額と返済額

夫婦

はじめに、年収900万円の借入額の上限と、返済額の目安について解説します。

1-1.年収900万円の借入上限額

年収900万円の方の住宅ローンの借入額の上限は、金融機関や返済期間によって異なります。そこで、住宅ローンの大まかな借入限度額を把握するには、「年収倍率」という指標を活用します。

年収倍率とは、購入する住宅の価格が年収の何倍かを示す数値で、以下の計算式で求められます。

年収倍率=借入額÷年収

住宅ローンの借入限度額は、年収の7~10倍が一般的です。年収が高いほど多くの金額を借り入れできますが、返済が長期間にわたることは考慮しておかなければなりません。

住宅金融支援機構の「2022年度 フラット35利用者調査」によると、平均的な年収倍率は新築の注文住宅やマンションで「7~8倍」、中古の戸建てとマンションで「6倍前後」という結果が出ています。

フラット35における年収倍率

参考:“2022年度 フラット35利用者調査”. 住宅金融支援機構. 2023-08-04. (参照2024-03-29)

上記の年収倍率で年収900万円の借入限度額を計算すると、新築物件で6,300~7,200万円程度、中古物件で5,400万円程度が目安となります。

1-2.無理のない返済額の目安

無理なく返済できる金額を知りたいときは、「返済負担率」を目安にするとよいでしょう。返済負担率とは、年収に対する住宅ローンの年間返済額の割合です。

一般的に、返済負担率が「20~25%」に収まる金額で住宅ローンを借り入れると、余裕をもって返済できるといわれています。

返済負担率は、以下の計算式で求められます。

返済負担率(%)=年間返済額÷年収×100

年収900万円で返済負担率を20~25%にする場合、年間返済額は180~225万円、1ヵ月の返済額は約15万円~約19万円です。

ただし、より現実的に考えるのであれば、手取りの金額で返済額を計算する必要があるでしょう。

手取り額は、「年収×0.75~0.85」となるため、年収900万円の手取り額は、675万円~765万円です。この手取り額に20~25%の返済負担率をかけると、無理なく返済できる金額は年間135万円~191万円、1か月の返済額は11万2千円~15万9千円程度ということになります。

ただし、車や携帯電話の分割払い、カードローンといった他の借入がある場合には、それらを考慮して計算するようにしてください。

2.年収900万円の住宅ローン返済シミュレーション

電卓を持った女性

住宅ローンを借り入れる際には、実際の返済額を事前にシミュレーションすることが大切です。

そこで本章では、年収900万円、借入金額6,000万円と仮定し、異なる金利条件でシミュレーションしてみましょう。

【条件1】
  • 借入金額:6,000万円(ボーナス返済なし)
  • 返済期間:20年、30年、35年でシミュレーション
  • 返済方法:元利均等返済
  • 金利:1.5%

上記の条件でシミュレーションしたときの、毎月の返済額、利息額を含めた総返済額は次のとおりです。

返済期間 毎月の返済額 年間返済額 総返済額(利息額)
20年 28万9,527円 347万4,324円 6,948万6,480円(948万6,480円)
30年 20万7,072円 248万4,864円 7,454万5,920円(1,454万5,920円)
35年 18万3,710円 220万4,520円 7,715万8,200円(1,715万8,200円)

参考:“借入返済額シミュレーション(しっかりシミュレーション)”. 知るぽると

年収900万円の場合、毎月の手取りは56万円~64万円程度です。

前述のとおり、年収900万円で返済負担率を20~25%に設定すると、毎月の返済額は約15万円~約19万円となります。月々の返済額を15万円~19万円の範囲内に収めるためには、返済期間を35年に設定する必要があることが上記の表からわかるでしょう。

次に、同条件で金利が0.6%の場合の毎月の返済額や総返済額をシミュレーションします。

【条件2】
  • 借入金額:6,000万円(ボーナス返済なし)
  • 返済期間:20年、30年、35年でシミュレーション
  • 返済方法:元利均等返済
  • 金利:0.6%

上記の条件でシミュレーションしたときの、毎月の返済額、利息額を含めた総返済額は次のとおりです。

返済期間 毎月の返済額 年間返済額 総返済額(利息額)
20年 26万5,362円 318万4,344円 6,368万6,880円(368万6,880円)
30年 18万2,157円 218万5,884円 6,557万6,520円(557万6,520円)
35年 15万8,417円 190万1,004円 6,653万5,140円(653万5,140円)

参考:“借入返済額シミュレーション(しっかりシミュレーション)”. 知るぽると

金利1.5%の場合と比較すると、金利0.6%は返済期間によっては、総返済額は1,000万円近く安くなることがわかります。

なお、2024年(令和6年)2月時点における住宅ローンの変動金利は、0.3%~0.6%程度です。

3.年収900万円で住宅ローンを組む際のポイント

家計簿

住宅ローンの借入額を決める際には、以下のポイントを含めて検討しましょう。

  • 頭金を用意する
  • 生活費から逆算して借入額を決める
  • 住宅の購入代金以外の諸費用も考慮する
  • 夫婦のどちらかが働けなくなる可能性も想定する
  • 定年までに完済できる金額を設定する

3-1.頭金を用意する

頭金とは、マイホームの購入代金に充てる自己資金のことで、住宅の引き渡しまでに支払います。住宅ローンを借り入れる際に頭金を用意すると、借入額を減らせるうえに、ローン商品によっては金利が優遇されることもあります。

頭金と借入額の関係

近年では、頭金なしで住宅ローンを組む、「フルローン」を選択する方も多く、頭金は必須ではありません。しかし、物件価格の10~20%程度の頭金を用意できると、より安心といえるでしょう。

なお、購入資金に占める頭金の割合(自己資金比率)の目安は、住宅の種類によって異なります。国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によると、住宅の種類別の平均自己資金比率は、以下のとおりです。

令和4年度住宅市場動向調査の自己資金比率

出典:“令和4年度住宅市場動向調査報告書”. 国土交通省. 2023-03. (参照2024-03-29)

分譲戸建て住宅は27.5%、新築分譲住宅は42.8%、中古の戸建て住宅は42.9%と、住宅の種類で自己資金比率が異なることがわかります。ただし、「自己資金」には不動産契約時の諸費用も含まれるため、全額が頭金というわけではありません。

3-2.生活費から逆算して借入額を決める

住宅ローンの借入額を決める際には、以下のような毎月の生活費も考慮しなければなりません。

  • 食費、衣料品、日用消耗品
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 交際費や娯楽費
  • 交通費
  • 医療費や保険料
  • 子どもの教育資金や結婚資金
  • 車や家電製品の買い換え
  • 老後や介護の資金

将来起こり得るライフイベントを洗い出し、ある程度必要な資金を確保しておくとよいでしょう。また、住宅ローン以外に借り入れがある場合、多少返済が増えてもやりくりできるかを併せて検討してください。

3-3.住宅の購入代金以外の諸費用も考慮する

住宅の購入代金だけでなく、購入時の諸費用、住宅の維持費も含めて借入額を検討しましょう。住宅購入に関する諸費用と維持費の項目、金額の目安は次のとおりです。

  項目 金額の目安
諸費用 登録免許税 (土地)固定資産税評価額×1.5%
(建物:新築)固定資産税評価額×0.15%
(建物:中古)固定資産税評価額×0.3%

※いずれも2024年(令和6年)3月31日までの軽減税率

不動産取得税 不動産の評価額×4%

※2024年(令和6年)3月31日までに住宅として取得した建物の場合、軽減税率は3%

印紙税 2万円
(購入価格1,000万円超~5,000万円以下)
司法書士への報酬
(登記手続き代行)
1~13万円前後
固定資産税清算金
(および都市計画税清算金)
1月1日または4月1日から起算し、1年間のうち物件を所有した日数で固定資産税を日割り計算
維持費 固定資産税 固定資産税評価額×1.4%
(条件により軽減税率あり)
都市計画税
(市街化地域に該当する場合)
固定資産税評価額×0.3%(上限)
駐車場代(マンションのみ) 月5,000円~3万円程度
修繕積立金・管理費
(マンションのみ)
月合計2~4万円程度
外装などの修繕費
(戸建て住宅のみ)
年間10万円~300万円程度
(修繕内容により異なる)
自治会費 月200円~2,000円程度

出典:
“No.7191 登録免許税の税額表”. 国税庁
“不動産取得税”. 総務省
“No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで”. 国税庁
“固定資産税”. 総務省. (参照2024-03-29)をもとに、HOME4Uが独自に作成

維持費は毎月、または毎年の支払いが必要ですが、諸費用については購入時のみに支払います。

3-4.夫婦のどちらかが働けなくなる可能性も想定する

住宅ローンの借入額を検討する際は、夫婦のどちらかが働けなくなるケースも想定することが大切です。

例えば、妻が出産などを機に育児休業に入ると、育児休業給付金が支給されますが、毎月の給付額は休業開始前6ヵ月間の給与額の50~67%にとどまります。返済負担率を25%に設定した場合、月々の返済が苦しくなる可能性も否定できません。

何らかの事情で夫婦の一方が働けなくなり、住宅ローンの返済が難しくなったときには、不動産の売却も視野に入れましょう。不動産の一括査定サイト「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」なら、全国約2,300社の優良不動産会社のなかから、最大6社の査定価格をまとめて取り寄せできて非常に便利です。

3-5.定年までに完済できる金額を設定する

定年後に再雇用や再就職を選ぶことも可能ですが、現役時代の収入を維持するのは難しいケースが多いでしょう。したがって、定年後にはそれまでのようなスムーズな返済が難しくなる可能性も考慮しておきましょう。

一般的に、20歳以上70歳未満であれば住宅ローンの申し込みは可能ですが、仮に40歳で35年ローンを組んだ場合、定年後も返済が続くことになります。

退職金を一括返済や繰上返済に充てる方法もありますが、老後資金が減ることにより、その後の生活が苦しくなりかねません。住宅ローンの借入額は、定年までに完済できる金額かどうか検討しましょう。

4.年収900万円で組める住宅ローンの種類

電卓と筆記用具

ここでは、年収900万円で住宅ローンを組むときに利用できる住宅ローンの種類について解説します。

4-1.単独ローン

単独ローンとは、夫か妻のどちらかが単独で住宅ローンを組むことをいいます。一般的には、1人で年収900万円を稼いでいる場合や、比較的少額を借り入れる場合などに単独ローンを組みます。

住宅ローンの契約者は原則、団体信用生命保険(団信)への加入が義務付けられているため、契約者に万が一のことがあっても、配偶者に返済義務が残らないというメリットがあります。

4-2.ペアローン

ペアローンとは、夫婦や親子でそれぞれ住宅ローンを借り入れることです。ペアローンを組むときは、2人がお互いの連帯保証人になるのが特徴です。

ペアローンでは2本の住宅ローンを組むため、高額な借り入れができるうえに、それぞれで住宅ローン控除が受けられます。住宅ローン控除とは、住宅ローン残高に応じて所得税の控除が受けられる制度です。ペアローンを組んでそれぞれに住宅ローン控除が適用されると、所得税の大幅な節税効果が期待できます。

4-3.収入合算型ローン

収入合算とは、夫婦や親子で収入を合算して1本のローンを組むことです。収入合算型ローンには、「連帯債務型」と「連帯保証型」があります。

収入合算型ローン

4-3-1.連帯債務型

連帯債務型とは、夫婦や親子がそれぞれ債務者となり、2人で1つの住宅ローンを組む方法です。合算した収入をもとに、一方を「主債務者」、もう一方を「連帯債務者」と設定します。

双方に同等の返済義務があり、1つのローンを2人で返済するのが連帯債務型の特徴です。主債務者か連帯債務者のどちらかが返済できなくなった場合、一方が2人分の返済をしなければなりません。

住宅ローンを組む際の諸費用は、数十万円にのぼることが一般的です。しかし、収入合算型ローンは、ペアローンと異なり夫婦で1つの住宅ローンを契約するため、借入にかかる諸費用を抑えられるというメリットがあります。

ただし、団信に加入できるのは主債務者に限られ、連帯債務者が死亡したときにも返済義務は免除されない点に注意しましょう。主債務者・連帯債務者ともに加入できるタイプの団信もありますが、保険料は割高であるケースが多いです。

なお、不動産の所有権については、主債務者と連帯債務者の共同保有として扱われます。

4-3-2.連帯保証型

連帯保証型とは、夫婦や親子のどちらかを債務者、もう一方を連帯保証人に設定するものです。毎月の返済義務は債務者が負いますが、債務者が返済できないときは連帯保証人が肩代わりすることになります。

団信に関しては債務者のみが加入でき、連帯保証人は加入できません。つまり、万が一のことがあって連帯保証人の収入が絶たれた場合でも、債務者は引き続き返済義務を負う必要があります。

なお、連帯保証型では住宅の所有権は債務者にあり、連帯保証人に所有権はありません。

まとめ

年収900万円の方が住宅ローンを借り入れる場合、年収倍率と返済負担率を考慮して借入額を決めることが大切です。返済負担率を20~25%に設定すると、比較的無理のない返済が可能です。

ただし、借入額と金利によっては、返済負担率が20%でも家計が圧迫されることがあるため注意しましょう。借入額は、手取りから生活費や住宅ローン以外の返済分を差し引いたうえで、将来のライフイベントも考慮して決めるようにしましょう。

住み替えに伴う不動産の売却を検討している方は、NTTデータグループが運営する不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」をぜひご利用ください。

不動産売却 HOME4Uでは、全国2,300社の不動産会社から、最大6社の査定価格をまとめて取り寄せできます。不動産の査定価格には、数百万円以上の差が出ることもあるため、複数社を慎重に比較検討して、最適な不動産会社を選びましょう。