更新日:2024.04.12 税金・諸費用, 住み替え・買い替え 買い替え時の税金特例をわかりやすく紹介!マイホームを住み替えるポイント マイホームを買い換える(住み換える)ときに使える「3,000万円の特別控除」や「買い替え特例」など、税金の特例をわかりやすくご紹介します。 以下のポイントについて注目してご覧ください。 マイホームの買い換えで使える「買い換え特例」の仕組み、メリット・デメリット 住み替え時に適用できる税制の特例・優遇制度をケース別に解説 買い換えの際に最適な税金の特例・優遇制度の選び方や確定申告の方法 住み替えのケースによって、どの税金の特例を選べば得になるのかもご紹介します。お得な制度をもれなく活用して、損のない住み替えを成功させましょう。 不動産売却を基礎から詳しく知りたい方は『不動産売却の入門書』も合わせてご覧ください。 不動産を売却したら、どんなときに確定申告が必要? 所得を得た人は、確定申告をする決まりになっています。不動産を売却した 「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ 「何から始めたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を 「不動産一括査定」で複数社に査定依頼し、”最高価格”を見つけましょう 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます 完全無料一括査定依頼をスタート この記事の監修者 秋山 芳生 家計簿アプリマネーフォワードMEの元事業責任者。 複数のベンチャー企業での上場経験を通じて資産構築をしFIREを達成。現在はFPとして講演・執筆・面談を行う傍らYouTube(チャンネル登録2万人以上)で情報発信するなどマルチに活動をしている。 あなたのよしおさんFP相談室 Contents1.マイホームの買い換え特例とは2.買い換え特例の適用条件2-1.売却する家の条件2-2.買い換える家の条件3.買い換え特例を利用するメリット4.買い換え特例のデメリット5.【ケース別】買い換え時に適用するべき税制特例とは?5-1.マイホームを買い換えて利益が出る場合5-2.マイホームの買い換えで損失が出たとき5-3.新居の購入に住宅ロ-ンを使う場合6.家の買い換えで税金の特例を併用できるパターン6-1.「3,000万円の特別控除」と「買換え特例」どちらを選べばいい?6-2.「住宅ローン控除」はほとんど併用できないので要注意!7.税金の特例を利用する際の確定申告と相談方法7-1.買い換えで確定申告するタイミング7-2.確定申告に必要な書類7-3.確定申告を提出する方法7-4.税務相談と売却の進め方まとめこの記事のポイント まとめ 1.マイホームの買い換え特例とは マイホームを買い換えるときは、まず既存の物件を売却しなくてはなりません。できるだけ高く売却したい方が多いと思いますが、売却により利益が発生すると譲渡所得税を納める必要があります。 基本的に不動産物件は高額であるため、売却で得られる利益も大きくなります。それに伴い譲渡所得税の税額も高くなり、売主には大きな負担となってしまいます。 このようなときに利用できる制度が「買い換え特例」です。制度を利用すれば、譲渡所得税の納付を新居の売却時まで繰り延べることができます。税金を納めるために預貯金を崩す、もしくは金融機関から融資を受けるといった必要がなくなるメリットがあります。 参考:“No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例”. 国税庁. (参照2024-04-12) 2.買い換え特例の適用条件 買い換え特例は、どのようなケースでも無条件で利用できるわけではありません。特例を適用するには、定められた条件にマッチしている必要があります。以下、売却する家の条件と、買い換える家の条件にわけて詳しく解説します。 2-1.売却する家の条件 まず、ご自身が暮らしている家屋でなくてはなりません。自分以外が暮らしている住宅では制度を利用できないため注意が必要です。 「買い替え特例」が適用できる条件 自分自身が住んでいた家であること(家族だけではNG) 居住しなくなってから3年以内に売却すること 国内にあること 直近2年間に別の特例を適用していないこと(3000万円控除・10年超所有の場合の軽減税率・譲渡損失の繰越控除など) 売却金額が1億円以下であること 10年以上の期間、居住していた物件であること 売却した相手が親族や内見関係にある相手ではないこと 「買い替え特例」を適用できる物件には、居住期間に制限があります。対象の物件に10年以上住み、3年以上、家主が家から離れないことがポイントです。 ほかの特例制度との併用もできません。売却代金が1億円を超える場合にも利用できないため注意しましょう。 また、親族間での家の売却では「買い替え特例」は使えません。 2-2.買い換える家の条件 買い替え特例を利用するには、新しく購入する家にも適用条件があります。 詳細は以下の通りです。 新しく購入する家の条件 国内にあること 建物の床面積は50平米以上、土地は500平米以下である 売却の前年から翌年までの3年間で買い換えをしていること 新耐震基準を満たしている物件であること 耐火建築物の中古住宅である場合、取得日から25年以内に建築され、新耐震基準を満たすもの 耐火建築物以外の中古住宅である場合、建築後年数が25年以内である、あるいは耐震基準に適合しているもの 買い替えの物件が、日本国内にあることが大前提です。建物の床面積は50平米以上、土地は500平米以下であると定められています。売却の前年から翌年までの3年間で、買い換えをしていることも条件です。 また、1981年6月1日より施行された新耐震基準を満たしているかも注目してください。 物件の築年数にも制限があります。取得日の25年以内に建築された建物であることも条件です。 マイホームの買い替え特例を適用するためには、上記のように売却する家や買い替える家において、一定の売却価格以下・一定の坪数以上などといった特定の条件を満たす必要があります。マイホームの買い替え時には、特例の基準を満たしているかをしっかりと調べましょう。 また、買い替え特例は直近2年間に別の特例(「3,000万円の特別控除」など)を適用していると利用できないことがあるので注意が必要です。 「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ 「不動産を売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を 「不動産一括査定」なら複数社に査定依頼でき”最高価格”が見つかります 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます 完全無料一括査定依頼をスタート 3.買い換え特例を利用するメリット 買い換え特例を利用することで、どのようなメリットを得られるのでしょうか。 買い替えのメリットは以下の通りです。 資金面の負担を減らせる 譲渡所得税の納付を先延ばしにできる まず、もっとも大きなメリットとして、「資金面の負担を減らせること」が挙げられます。 住み替えには多額の資金が必要であり、できることならなるべく負担を減らしたいものです。制度を利用すれば、譲渡所得税の納付を先延ばしにできるため、資金に余裕がない時期に税金を納めなくても済むことになります。 多額の税金を納めなくてもよいため、生活に支障をきたす心配がありません。 将来的にまた自宅を売却するのなら、そのとき譲渡所得税を納付しなくてはいけませんが、逆に考えれば、家を買い換えずに住み続けるのなら、譲渡所得税を納税する必要はなくなるというメリットもあります。 4.買い換え特例のデメリット 買い替え特例はメリットだけではありません。買い替え特例のデメリットは以下の通りです。 再度買い替えをする際に前回の税金も請求される 「3,000万円の特別控除」などを使うことができなくなる 特例は、あくまで納税を先送りできる制度であることを覚えておく必要があります。つまり、非課税になったわけではなく、いつか物件を手放すとき納税しなければなりません。 先述したように、生涯に渡ってその家に住み続けるのなら納税の必要はないものの、転勤や介護などの問題から、住み替えの必要が生じるかもしれません。事業の失敗や災害による被害など、さまざまな理由で自宅を手放さなくてはいけない可能性もあります。 しかも、この特例は買い換えのたびに税金を先送りできるわけではありません。次に買い換えをするときは、前回の税金とまとめて納付する必要があります。思わぬ出費につながらないよう注意が必要です。 また、特例はほかの制度と併用することはできませんので注意しましょう。あとから「3,000万円の特別控除」を使いたくなっても変更はできません。 5.【ケース別】買い換え時に適用するべき税制特例とは? ここからは、マイホームの買い換えに活用したい税制特例をケース別に解説します。 この記事で紹介する5つの税制 制度の名称 どんなときに利用するか 制度の概要 併用できる制度 (1)3,000万円の特別控除の特例 売却益が出たとき 3,000万円までの利益が非課税になる (2) (2)マイホームを売ったときの軽減税率の特例 売却益が出たとき 10年を超えて保有していると税率が低くなる (1) (3)特定の居住用財産の買換えの特例 売却益が出たとき 売却益に対する課税を先送りできる (1) (4)マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 売却損が出たとき 売却損が出たら一定の所得税が戻って来る (5) (5)住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除) 新居について住宅ローンを利用するとき ローンの残高に応じて一定の所得税が戻って来る (4) 5-1.マイホームを買い換えて利益が出る場合 この章では、マイホームを買い換えて利益が出るときに使える税金の特例について解説します。前提として、家を売った利益にかかる税金のしくみをご説明しておきます。 「利益が出る」というのは、簡単に言うと、今まで住んでいたマイホームが「買ったときよりも高く売れたとき」を指します。 売却で利益が出ると、「譲渡所得税」と「住民税」が課税されます。利益が出なければ、これらの税金はかかりません。 正確な売却益は、「売却価格-購入した価格-売買の諸費用-減価償却費」という計算になります。所得税と住民税を合わせた税率は、所有期間が5年以下なら39.63%、5年超なら20.315%です(復興特別所得税を含む)。 場合によっては高額の負担になるので、節税に使える制度はしっかり利用したいものです。 減価償却について 売却益の計算では、「減価償却」といって、所有期間中に建物の価値が減る分を考慮しなければなりません。 減価償却を考慮すると、「10年前に買ったときと同じ値段で売れた」というような場合にも、税金がかかる可能性があります。 売却益が出るとき、使える可能性がある特例は次の3つです。 3,000万円の特別控除の特例 マイホームを売ったときの軽減税率の特例 特定の居住用財産の買換えの特例 (1)と(2)は併用できますが、(1)と(3)は併用できません。以下、それぞれの制度について見ていきましょう。 (1) 3,000万円の特別控除の特例 「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例(3,000万円の特別控除)」は、売却益が3,000万円まで非課税になる制度です。 売却益が4,000万円の場合なら、3,000万円まで非課税となり、1,000万円に対して課税されます。「保有期間は何年以上」といった制限はありませんので、一般的なマイホームの売却なら多くの場合で利用できます。 大きな節税が可能なので、「3,000万円の特別控除」を利用できるかは必ず確認してみてください。 適用の主な要件 主として住んでいる自宅を売却したとき(別荘は対象外) 居住しなくなってから3年を経過する日の属する年の年末までに売却すること。 建物を解体する場合は、解体から1年以内に土地の売買契約を締結すること。 解体から売買契約を締結した日まで、貸駐車場等として利用していないこと。 前年、前々年にこの特例の適用を受けていないこと。 親子や夫婦など、特別な関係の方との売買でないこと。 その他の要件については以下の国税庁ホームページをご覧ください。 参考:“No.3302 マイホームを売ったときの特例”. 国税庁. (参照2024-04-12) なお、「3,000万円の特別控除」は、次にご説明する「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」と併用することができます。 (2)マイホームを売ったときの軽減税率の特例 この特例は、売却した家の所有期間が10年を超える場合に使えます。所得税・住民税を合わせた税率は通常は20.315%ですが、この特例を利用すると税率が14.21%に下がります※(利益のうち6,000万円まで)。 「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」は、「3,000万円の特別控除」と併用することが可能です。 例えば利益が3,500万円の場合に2つの特例を併用すると、3,500万円-3,000万円=500万円に対して14.21%で課税されます。 要件もほぼ共通なので、10年を超える家の売却で「3,000万円の特別控除」を使うときには、セットで使う場合が多いです。 ※税率には2037年末まで上乗せされる復興特別所得税も含まれています。 適用の主な要件 売った年の1月1日時点で、売った家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えていること。 主として住んでいる自宅を売却したとき(別荘は対象外) 居住しなくなってから3年を経過する日の属する年の年末までに売却すること。 建物を解体する場合は、解体から1年以内に土地の売買契約を締結すること。 解体から売買契約を締結した日まで、貸駐車場等として利用していないこと。 前年、前々年にこの特例の適用を受けていないこと。 親子や夫婦など、特別な関係の方との売買でないこと。 その他の要件については、以下、国税庁ホームページをご覧ください。 参考:“No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例”. 国税庁. (2024-04-12) (3)特定の居住用財産の買換えの特例 「特定の居住用財産の買換えの特例(以下、買換え特例)」を使うと、売却益に対する課税を将来に繰り延べすることができます。1章でも申し上げた通り、「繰り延べ」というのは、課税するタイミングを将来に先送りするということです。非課税になるわけではないのでご注意ください。 「買換え特例」を使うと、今すぐは課税されず、買い換え後の新居を将来売った時にまとめて課税されることになります。 例えば、2,000万円で購入したマイホームを5,000万円で売却し、6,000万円のマイホームに買い換えたとします。その他の税金の特例を使わない場合には、3,000万円の譲渡益が課税対象になります。そこで「買換え特例」を使うと、今は課税されず、将来新居を売ったときに課税されます。 買い換え後の新居を将来7,000万円で売ったとすると、新居の売却益1,000万円に繰り延べた3,000万円を加えた4,000万円に対して課税されます。(ここではわかりやすく説明するため、諸費用や減価償却費を除外しています) また、「買換え特例」は適用するための要件が多いので、利用を考える場合は慎重に検討してください。 適用の主な要件 2019年12月31日までに売ること。 売った年の1月1日時点で、売った家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えていること。かつ、居住期間が10年以上であること。 主として住んでいる自宅を売却したとき(別荘は対象外) 居住しなくなってから3年を経過する日の属する年の年末までに売却すること。 建物を解体する場合は、解体から1年以内に土地の売買契約を締結すること。 解体から売買契約を締結した日まで、貸駐車場等として利用していないこと。 親子や夫婦など、特別な関係の方との売買でないこと。 新しく購入したマイホームは、建物50平米以上、土地500平米以下であること。 売却代金は1億円以下であること。 2年以内に以下の特例を利用していないこと (3,000万円の特別控除、マイホームを売ったときの軽減税率の特例、マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例 その他の要件については、以下国税庁ホームページをご覧ください。 参考:“No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例”. 国税庁. (参照2024-04-12) 5-2.マイホームの買い換えで損失が出たとき (4) マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 買い換えで売却損が出た場合には、「マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」が使える場合があります。 この特例を使うと、家を売却したマイナス分と、給与所得などのプラス分を相殺できるため、給与所得などに課税されるはずだった税金が戻ってきます。 1年で相殺しきれなかった分は、3年にわたって繰り越しできます。この制度は、「住宅ローン控除」と併用可能なので、買い換え後の住宅についてローン控除も受けられます。 適用の主な要件 売った年の1月1日時点で、売った家の所有期間が5年を超えていること。 主として住んでいる自宅を売却したとき(別荘は対象外) 居住しなくなってから3年を経過する日の属する年の年末までに売却すること。 建物を解体する場合は、解体から1年以内に土地の売買契約を締結すること。 解体から売買契約を締結した日まで、貸駐車場等として利用していないこと。 親子や夫婦など、特別な関係の方との売買でないこと。 新しく購入したマイホームは、建物が50平米以上であること。 新しく購入したマイホームについて、買った年の年末時点で期間10年以上の住宅ローンがあること。 その他の要件については、以下国税庁ホームページをご覧ください。 参考:“No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)”. 国税庁. (参照2024-04-12) 5-3.新居の購入に住宅ロ-ンを使う場合 (5) 住宅ローン控除 住宅ローンを利用して新居を購入する場合に使える有利な税制が、「住宅借入金等特別控除」(通称:住宅ローン控除・住宅ローン減税)です。 「住宅ローン控除」とは、返済期間10年以上の住宅ローンを使ってマイホームを購入等した場合に、年末のローン残高に応じて所得税が還付される(戻ってくる)制度です。 年末のローン残高の1%が所得税から(一部、住民税から)10年間控除されます。2019年10月の消費税増税に伴い、住宅の買い控えを抑えるため、住宅ローン控除制度の充実化が図られています。 適用の主な要件 所得金額が3,000万円以下であること。 新居の床面積は50平米以上であること。 その他の要件については、以下国税庁ホームページをご覧ください。 参考:“No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合”. 国税庁. (参照2024-04-12) 買い換え時に適用するべき税制特例は、利益が出た場合と損失が出た場合の2つのパターンによって変わってきます。利益が出た場合は売却益が3,000万円まで非課税になる特別控除の特例や軽減税率の特例、損失がでた場合は繰越控除の特例があります。 また新居の購入に住宅ローンを使う場合は住宅ローン控除が利用できます。状況に合わせて使い分けていきましょう。 6.家の買い換えで税金の特例を併用できるパターン ここまでご紹介した5つの制度のうち、併用できる組み合わせについて見ていきましょう。冒頭の表を再掲します。 基本的に併用可能なのは、以下の組み合わせです。 「(1) 3,000万円の特別控除の特例」と「(2) マイホームを売ったときの軽減税率の特例」 「(4) マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と「(5) 住宅ローン控除」 6-1.「3,000万円の特別控除」と「買換え特例」どちらを選べばいい? 10年を超えて保有しているマイホームを買い換えるときには、(1)3,000万円の特別控除と(3)買換え特例、いずれの条件も満たすケースがあります。ところが(1)と(3)は原則として併用できません。 正確に言うと、売った年、その前年及び前々年に(1)と(3)のどちらかの適用を受けていると、使うことができません。 一般的には、「3,000万円の特別控除」を利用する方が多いのですが、それぞれのメリットとデメリットを考えて選びましょう。 「3,000万円の特別控除」のメリット 昨今の不動産市場で3,000万円以上の利益が出ることは稀なので、この特例を使えばほぼ非課税になり、節税効果が大きいです。夫婦2人の共有名義となっている家などを売った場合は、それぞれ特例を使って6,000万円まで控除することができるのも大きなメリットです。 「3,000万円の特別控除」のデメリット 売却の翌年の国民健康保険料は、3,000万円が控除される前の所得を基礎として算出されるので、保険料が値上がりしてしまう場合があります(1年のみ)。 自営業の方など、国民健康保険に加入している場合はご注意ください。サラリーマンなどの社会保険料は、給与をもとにして決まるので、不動産を売却しても影響はありません。 【税金対策】自宅や相続空き家の売却時にかかる税金と特別控除を解説 自宅(マイホーム)を売却したときには、印紙税や登録免許税、仲介手数料に 「買換え特例」のメリット 買い換えた不動産をずっと売らなければ、課税される機会が来ません。また、売却益が3,000万円を超える場合でも課税を回避できます。なお、課税を繰り延べるので、国民健康保険は値上がりしません。 「買換え特例」のデメリット 課税のタイミングを先送りにするだけで、非課税になるわけではないので、買い換えたマイホームを売ったときに課税されます。長期的に考えれば節税にならない可能性があります。 これらのメリット・デメリットから、「買換え特例」の利用を検討したいケースは、売却益が3,000万円を超える場合で、買い換えた不動産をずっと売らないつもりのときなどが考えられます。 6-2.「住宅ローン控除」はほとんど併用できないので要注意! 「(4)マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例」と「(5)住宅ローン控除」は、併用可能です。 ところが、「(5)住宅ローン控除」は原則として「(1)3,000万円の特別控除」「(2)マイホームを売ったときの軽減税率の特例」「(3)買換え特例」との併用はできません。正確に言うと、居住した年とその前2年、後3年に「3000万円特別控除」「買換えの特例」など等の特例を利用していると住宅ローン控除は使えません(令和2年3月31日までに売却した場合は居住の前後2年間)。 どちらを利用すれば得になるかは、ケースバイケースです。売却益が少ない場合は「3,000万円の特別控除」や「買換え特例」は使わずに、「住宅ローン控除」を使う方がいいかもしれません。2019年10月から消費税が10%になるのに伴い、「住宅ローン控除」が13年間に拡大されていますし、「すまい給付金」も受けられる可能性があります。 例えば、所有期間12年で売却益が500万円ならば、「3,000万円の特別控除」を利用したときに非課税となる金額は500万円×20.315%=約101万円となります。 「住宅ローン控除」を使った場合に、10年間(または13年間)の合計で101万円以上の還付が受けられるなら、住宅ローン控除を使ったほうがよいということになります。 損をしないためには、それぞれの節税効果を比較して、利用する特例を決めるとよいでしょう。 なお、「3,000万円の特別控除」と「住宅ローン控除」をどうしても両方使いたい場合、以前は併用できるケースがありましたが、2020年(令和2年)4月以降の売却からは併用する方法はなくなりました。 参考:“マイホームを増改築等したとき”. 国税庁. (参照2024-04-12) 家の買い換えで税金の特例を併用できない組み合わせは上記の通りで、特に3,000万円の特別控除と買換え特例は併用できないことに留意しましょう。また、住宅ローン控除も原則として多くの特例と併用できませんから注意が必要です。 7.税金の特例を利用する際の確定申告と相談方法 自ら事業を行っている方なら、毎年確定申告をしているはずです。一方、会社勤めの方は確定申告の必要がないため、馴染みがないかもしれません。 確定申告は、不動産売却時にも必要であり、上記のような税金の特例を適用するためにも行う必要があります。 7-1.買い換えで確定申告するタイミング 確定申告のタイミングは、物件を売却した次の年です。確定申告の手続きができる期間は、例年2月16日~3月15日ごろと決まっています。売却したからといってすぐに申告しなければならないわけではありません。 (5)住宅ローン控除は、家を購入した翌年に確定申告します。初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は、勤務先に書類を提出すれば年末調整で住宅ローン控除を受けられます。 (3)特定の居住用財産の買換えの特例を使うときには売却翌年に課税されるわけではありませんが、課税のタイミングを繰り延べするために、売却の翌年の確定申告が必要です。 7-2.確定申告に必要な書類 確定申告は、専用の書類に必要な事項を記入し、税務署へ提出するだけです。ただ、初めてなら何から手をつければよいのかわからない方もいるはずです。そのような方を対象に、税務署では無料の相談会も開催しています。書類の書き方がわからない、どのような流れで進めればよいのかわからない、といった方は一度相談に訪れるとよいでしょう。 なお、(3)特定の居住用財産の買換えの特例について、確定申告する際には以下のような書類も必要となります。 譲渡所得の内訳書 耐震基準適合証明書 売却物件が条件を満たしていることを証明する資料 売却物件の登記事項証明書および売買契約書 購入物件の登記事項証明書および売買契約書の写し 税金の優遇制度や特例を活用する場合は、必ず必要書類を確認しておきましょう。 7-3.確定申告を提出する方法 税務署の窓口へ直接提出する方法のほか、郵送やオンラインでも可能です。初めて行う方なら、書類の不備などを指摘してもらえる窓口への提出がおすすめです。しかし、時期によっては税務署が大変混雑するため注意が必要です。 税務署が近くにないのなら、郵送が便利ですが、書類に不備があると二度手間になるおそれがあります。自信がない方や慣れていない方にはおすすめできません。 e-TAXを利用したオンライン提出は自宅から提出でき、青色申告特別控除が受けられるメリットがあります。e-TAXを利用するにはマイナンバーカードやネット環境、ICカードリーダーライターなどが必要です。利用者クライアントソフトの導入も必要なため、初心者には少々ハードルが高いかもしれません。 マンション売却に確定申告は不要?必要な場合のタイミングや申告方法を紹介 マンションを売却すると場合によって確定申告が必要になります。 確定 7-4.税務相談と売却の進め方 家の買い換えでは様々な特例があるため、「どの特例を使うのが一番有利なんだろう」と迷ってしまう方も多いことと思います。法律上、具体的な税務相談は税理士でないと行うことができないため、特例の利用について相談したいときには税理士か税務署に相談しましょう。 相談するタイミングとしては、不動産会社に査定を依頼して、売却予想額を把握してから税理士等に相談するとスムーズです。場合によっては、居住年数と税制を考慮の上、売却のタイミングをずらしたほうが有利になる可能性もあります。 不動産会社と税理士等にそれぞれ相談しながら売却を進めれば、「半年後に売れば特例が使えたのに!」といった失敗をする恐れがなくなります。 なお、不動産会社によっては、社内税理士と連携しながら売却手続きを進められる場合もあります。税制をしっかり考慮しながら売ってくれる不動産会社を見つけたい場合には、「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」」の一括査定サービスが便利です。 不動産売却 HOME4Uを利用すると、簡単な入力をするだけで、複数の優良な不動産会社に売却査定を依頼できるので、査定価格の違いや税金に関するサポートの充実度などを比較して、最適な会社を選ぶことができます。 家の買い換えは大きな金額が動くので、不動産のプロと税金のプロにしっかり相談し、後悔のないように進めていきましょう。 【無料】一括査定依頼スタート 老後の住み替えを考えている方は以下の記事もご覧ください。 【50~60代】老後の住み替えの選択肢は?メリットと失敗しない3つのコツ 先の人生を見据えて、50~60代で郊外の戸建てから便利な駅前のマンションな まとめ それではおさらいです。マイホームの買い換えで使える特例はたくさんあります。 利用できる可能性があるのは、次の5つの制度です。 3,000万円の特別控除の特例 マイホームを売ったときの軽減税率の特例 特定の居住用財産の買い換えの特例 マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除) 基本的に併用できるのは、(1)と(2)の組み合わせと(4)と(5)の組み合わせです。 これらの税制は、条件を満たしていても自動的に適用されたり、通知が来るわけではなく、自分で選んで確定申告する必要があります。 自分一人で判断するのは難しい場合は、不動産会社と税理士等によく相談してから決めましょう。ぜひお得な税金制度をもれなく活用して、損をしない買い換えを実現させてください。 また、マイホームの買い替え(住み替え)をご検討の方は、NTTデータグループが運営する「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」の一括査定がおすすめです。一度の入力で、複数の不動産会社から査定結果を得られます。賢くマイホームを売却するためにご活用ください。 マイホームを買い替える際に利用できる特例は、3,000万円の特別控除の特例やマイホーム売却時の軽減税率の特例など、いくつかあります。ご自身のケースで特例が利用できないかしっかりと確認しましょう。 ただし特例には、併用できるものとできないものがあるため事前にどちらが得かシミュレーションすることが大切です。また不動産売却時の特例の適用には確定申告が必要であるため、余裕をもって書類を準備しておきましょう。 【無料】一括査定依頼スタート この記事のポイント まとめ マイホームの買い換え特例とは? マイホームの買い替え特例の概要とメリットは以下の通りです。 譲渡所得税を納めるタイミングを先延ばしできる 税金を納める資金のために融資を受けなくてもよい 詳細は「1.マイホームの買い換え特例とは」をご一読ください。 買い換え特例の適用条件は? 買い換え特例の適用条件は以下の通りです。 自分自身が住んでいた家であること(家族だけではNG) 居住しなくなってから3年以内に売却すること 国内にあること 直近2年間に別の特例を適用していないこと(3000万円控除・10年超所有の場合の軽減税率・譲渡損失の繰越控除など) 売却金額が1億円以下であること 10年以上の期間、居住していた物件であること 売却した相手が親族や内見関係にある相手ではないこと 詳細は「2.買い換え特例の適用条件」をご一読ください。 家の買い換えで税金の特例を併用できるパターンは? マイホームの買い替えで併用可能な特例の組み合わせは、以下の通りです。 「(1) 3,000万円の特別控除の特例」と「(2) マイホームを売ったときの軽減税率の特例」 「(4) マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と「(5) 住宅ローン控除」 詳細は「6.家の買い換えで税金の特例を併用できるパターン」をご一読ください。 Facebook twitter feedly 無料ダウンロード実施中 あなたの不動産を高く早く売る方法 お金も時間もかからない プロのノウハウが満載 かんたん8つのステップ 無料ダウンロード あなたの 不動産 いくらで売れる? STEP1 都道府県 東京都 神奈川県 埼玉県 千葉県 群馬県 栃木県 茨城県 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 新潟県 山梨県 長野県 富山県 石川県 福井県 愛知県 静岡県 岐阜県 三重県 大阪府 兵庫県 滋賀県 京都府 奈良県 和歌山県 岡山県 広島県 鳥取県 島根県 山口県 香川県 愛媛県 高知県 徳島県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県 STEP2 市区町村 都道府県が選択されていません。 市区町村が選択されていません。 ご指定いただいたエリアへのお問合せは、現在取り扱っておりません。 無料一括査定スタート 人気の記事 1 住宅ローン控除を受けるには?住宅購入時の確定申告のやり方 2 【初めての家の売却】基本の流れ7ステップ|相場の下調べから確定申告まで 3 接道義務とは?知っておくべき道路と敷地のルールと売買時の注意点 4 不動産の減価償却の計算方法は?事業用と居住用での違いを解説 5 借地権とは?種類や特徴、メリット・デメリットをわかりやすく紹介 6 土地売却時の税金はいつ払う?納税スケジュールと節税方法を解説 7 家を売る完全ガイド!注意点と初めにやるべき準備|高く売るコツも解説 8 住宅購入時の必要書類はどんなもの?