マンションの寿命が来たらどうなる?耐用年数や売却時のポイントを解説

マンションの寿命が来たらどうなる?耐用年数や売却時のポイントを解説

所有しているマンションの寿命が近づいたとき、そのまま住み続けるべきなのか、住み替えるために売却すべきなのかは、判断に悩む問題です。また、そもそもマンションの寿命がいつなのかわからない方もいるでしょう。

本記事では、マンションの寿命や耐用年数、寿命が近い場合の選択肢、寿命を決める要素、売却時のポイントなどについて解説します。

この記事を読むとわかること
  • マンションの寿命と耐用年数
  • マンションの寿命が近づいている場合の選択肢
  • マンションの寿命を決める要素
  • 寿命が近いマンションの売却時のポイント
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1.マンションの寿命はどれくらい?耐用年数についても解説

修繕中のマンション

マンションの寿命を判断するには、「耐用年数」に関する知識が必要です。はじめに、マンションの寿命と耐用年数の関係性について見ていきましょう。

1-1.マンションの法定耐用年数とは

マンションの法定耐用年数とは、減価償却の計算のために設定された、税務上の資産価値がある年数のことです。建物の構造や用途(住宅用、事務所用、飲食店用など)に応じて、法定耐用年数が定められています。

住宅用の建物の場合、法定耐用年数は以下のとおりです。

構造(住宅用の建物) 耐用年数
木造・合成樹脂造 22年
木骨モルタル造 20年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 47年
れんが造・石造・ブロック造 38年
金属造(4mmを超えるもの) 34年
金属造(3mmを超え、4mm以下のもの) 27年
金属造(3mm以下のもの) 19年

参考:“耐用年数(建物/建物附属設備)”. 国税庁. (参照2024-03-28)をもとに、HOME4Uが独自に作成

1-2.マンションの寿命と法定耐用年数は異なる

マンションには法定耐用年数が定められていますが、その建物の寿命(実際に住める年数)と法定耐用年数は同じではありません。マンションに住める年数は、法定耐用年数よりも長いケースがほとんどです。

木造の建物なら50~60年、鉄筋造は55~75年、鉄筋コンクリート造のマンションなら100年以上住み続けられることもあります。

マンションの寿命がいつになるのかは、その物件の状態に大きく左右されます。定期的にメンテナンスを行なっている物件と、管理が行き届いていない物件では、最終的な寿命にも大きな差が出てくるでしょう。

1-3.マンションの法定耐用年数・減価償却費の関係性

中古マンションの法定耐用年数

建物の法定耐用年数は、減価償却費の計算に使用されます。不動産や設備の取得費用を計上する際は、購入した年度の経費としてすべて計上するのではなく、耐用年数で按分する処理が必要です。この会計処理のことを減価償却といいます。

減価償却費の計算の際には、耐用年数別の償却率を確認しましょう。減価償却費は、「購入費用×償却率」で計算できます。

このとき、マンション本体と設備部分の耐用年数が異なる点に注意が必要です。例えば、マンションの給排水・衛生設備の耐用年数は15年であるため、建物自体の耐用年数と差があります。

中古マンションの減価償却費については、残りの法定耐用年数で計算可能です。「法定耐用年数-(築年数×0.8)」という計算式で、残りの法定耐用年数を算出できます。

2.マンションの寿命が近い場合の選択肢(1)売却

マンションの寿命が尽きれば、売却か建て替えを行なわなくてはなりません。ここでは、寿命が近いマンションの売却について、候補となる選択肢を2つ説明します。

2-1.更地にして土地を売却する

マンションの居住者全員に退去してもらい、建物を解体して更地にしたうえで売却する方法です。土地は更地にすることで売却しやすくなります。

なお、売却益は引越し後に分配されますが、解体にかかった費用が差し引かれる点に注意が必要です。居住者は新居を探す費用や、引越しの費用を用意する必要があり、全体として負担が大きくなる傾向にあるため、多くの場合は、居住者から取り壊しの合意が得られません。

2-2.建物ごとディベロッパーに売却する

ディベロッパーとは、リゾート開発や商業用ビルなどを建設する不動産開発を手がける業者のことです。建物全体をディベロッパーに買い取ってもらい、その売却益を引越し費用に充てる、という選択肢もあります。

最終的に居住者の手もとに残るのは、売却益から解体費用を差し引いた金額となります。新居用の費用が足りなくなる可能性もあるため、この方法も居住者から反対されやすいでしょう。

3.マンションの寿命が近い場合の選択肢(2)建て替え

寿命が近いマンションを建て替える場合は、居住者の費用負担がポイントになります。

3-1.居住者負担での建て替えは難易度が高い

マンションの建て替え費用は原則、居住者が負担する必要があります。しかし、居住者負担で建て替えをする場合には、所有者の5分の4以上の賛成を得なければなりません。

特に築年数の古いマンションには、定年を迎えた高齢者が多く住んでいます。そのような居住者のなかには、「終の棲家としてこのまま住み続けたい」「今さら建て替え費用を払いたくない」と考える方も少なくありません。また、建て替えのために住宅ローンを組もうとしても年齢的に難しい、といった事情もあるでしょう。

これらの理由から、建物の老朽化が目立ってきたとしても、実際に建て替えを行なうケースは少ないのが現実です。

3-2.居住者の負担軽減のカギは容積率にある

容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積の割合のことです。建築基準法第52条では、建物の区分別に容積率の上限が定められています。

一般的に難易度の高いマンションの建て替えですが、建物の容積率を上げることで、居住者の負担を抑えられることがあります。

築年数の古いマンションは、容積率の上限に達していない物件も少なくありません。容積率に余裕があれば、より大きなマンションへの建て替えが可能です。

大きなマンションに建て替えることで総戸数が増えれば、結果的に販売利益の増加が見込めます。分譲で得た利益を建て替え資金に充てれば、居住者の金銭的負担を抑えることができるでしょう。

4.マンションの寿命が尽きるまで、メンテナンスで対応するケースも多い

マンションの建て替え・売却は、所有者への負担が大きいものです。そのため、メンテナンスを継続しながら、建物を長く残す選択をするケースもよく見られます。

法定耐用年数の設定はありますが、実際のところ、日本のマンションは50年以上住み続けられる建物が多いです。しかし、年数が経つほど設備の不具合が増えていくため、その都度適切なメンテナンスをする必要があります。

特に耐震性など重要な課題がある場合には、早めの対処し、居住者の安心と安全を守りましょう。

5.マンションの寿命は何で決まる?

マンションの寿命を決める要素

マンションの寿命を決める要素としては、主に以下の5つが挙げられます。

  • 建物の構造
  • 建材の質
  • 管理状況
  • 耐震基準
  • 立地条件

5-1.建物の構造

マンションでよく使われる建物構造は、「鉄骨造(S造)」「鉄筋コンクリート造(RC造)」「鉄骨・鉄筋コンクリート造(SRC造)」の3種類です。

  • 鉄骨造(S造)
    建物の骨組み部分に鉄を使用したものです。厚みが6mm未満を軽量鉄骨造、6mm以上を重量鉄骨造と呼びます。

  • 鉄筋コンクリート造(RC造)
    鉄筋の型枠にコンクリートを流し込んだものです。引っ張る力に強い鉄筋の性質と、圧縮に強いコンクリートの性質を合わせることで、強度を高めています。

  • 鉄骨・鉄筋コンクリート造(SRC造)
    鉄骨の支柱の周りに鉄筋を配置し、コンクリートを流し込んだものです。強度が高く、高層マンションや高層ビルでも用いられます。

上記のなかでは、SRC造、RB造、S造の順番で強度が高いです。建物の強度が高いほど、マンションとしての寿命も長くなります。

5-2.建材の質

マンションに使われる建材(コンクリート)は改良が加えられ、年々品質が上がっています。そのため、築年数が古いマンションよりも新しいマンションのほうが、コンクリートの質が高い分、寿命が長いと言えます。

近年はコンクリート関連の技術開発が進み、寿命が100年、200年のコンクリートも登場し始めました。コンクリートの寿命に関しては、今後の研究によってさらに延びる可能性があります。

5-3.管理状況

マンションの寿命は、建物の管理状況によっても大きく左右されます。管理状況の良し悪しは、以下のようなチェックポイントで判断できます。

  • 長期修繕計画は適切に立てられているか?
  • マンションの清掃はどの程度行なわれているか?
  • 専門スタッフによる定期清掃はされているか?
  • 設備の定期的な保守・点検は行なわれているか?
  • 設備の不具合を見つけ次第、すぐに対処しているか?

築年数の古いマンションの場合、そもそも長期修繕計画が立てられていないこともあります。不具合が出てきてから修繕に向けて動き出しては、対応が遅れることになります。

また、定期的な清掃には、修繕が必要な部分を早めに見つける効果もあります。したがって、管理状況の良いマンションほど、建物の物理的な寿命も長くなるでしょう。

5-4.耐震基準

建物の耐震基準は、1981年6月1日に変更されました。1981年5月31日までの基準を「旧耐震基準」、1981年6月1日以降の基準を「新耐震基準」と言います。

旧耐震基準で建てられた建物は、新耐震基準の建物と比較すると、強度の面で劣ります。ただし、旧耐震基準の時期に建てられた建物であっても、現在と同レベルの耐震性を備えていることもあるため、一概に旧耐震基準の建物が強度の面で劣るとは言えません。

しかし、相対的に見れば、現行の耐震基準に達していない建物は、大規模な地震が来たときに倒壊する危険性が高いと言えるでしょう。倒壊リスクを軽減させるために、耐震改修工事を施すのも選択肢の一つです。

5-5.立地条件

海の近くのマンションは、潮風による塩害に注意が必要です。コンクリートに塩分が入り込み、内部の金属が腐食する恐れがあります。

また、付近に高い建物があるマンションも、日当たりの悪さからカビの繁殖に悩まされやすいでしょう。

台風が多い地域では、外壁の損傷にも注意しなければなりません。鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造のマンションは、風雨などの自然災害に比較的強いものの、台風で外壁にひび割れや亀裂が発生することもあります。

雨漏りなど深刻な被害に発展する前に、早めに補修を行なうのが望ましいでしょう。

6.寿命を迎えると「限界マンション」になるおそれもある

限界マンション

建物の老朽化が進んでいるものの、売却や建て替えを実現できないまま、寿命を迎えるマンションも多いです。寿命が来たマンションは「限界マンション」として、さまざまな問題を抱えることになります。

6-1.限界マンションとは?

限界マンションとは、建物が実質的な寿命を迎えているマンションや、維持管理ができなくなったマンションのことを指します。

建物の老朽化が進むと、物件としての魅力が下がり、居住者が集まりにくくなります。ほかのマンションに住み替える方も増えるため、空室が目立つようになるでしょう。

6-2.限界マンションが抱える問題点

築年数が古くなればなるほど、一般的に大規模修繕の費用は高くなります。しかし、空室の多い限界マンションでは、管理費や修繕積立金を十分に集められないケースが少なくありません。そのような状況では、建物や設備に不具合が起きてもスムーズに修繕ができません。

さらに、限界マンションと化した建物では、管理組合が機能不全に陥っていることもあります。必要な点検や清掃、修繕が行なわれなければ、さらなる建物の劣化・損傷を招くことになります。

管理費や修繕積立金を確保するために、家賃を下げるオーナーもいますが、家賃を下げることで、かえってマンションのスラム化が進むこともあるでしょう。

限界マンションとなったあと、負のループから抜け出すのは困難を極めます。したがって、マンションが寿命を迎える前に、将来を見据えた重要な決断をしたいところです。

7.築年数の古いマンションにも需要はある│買い手側のメリット

談笑するカップル

マンションの売却を検討していたとしても、「こんな古いマンションは売れないだろう」と半ば諦めている方もいるかもしれません。しかし、買い手側から見れば、古いマンションならではの利点もあります。

そこで本章では、築年数の古いマンションの購入について、買い手側のメリットを説明します。

7-1.新築マンションよりも価格が安い

築年数の古いマンションを購入する最大のメリットは、新築マンションよりも価格が安いことでしょう。割安な中古マンションなら、面積が大きい、部屋数が多い、駅近など、好条件の物件を検討できる点も見逃せません。

実際に、築50年程度のマンションのなかには、駅近で立地条件の良い物件が多数存在します。これは、1960年~1970年代のマンションの建設ラッシュによるものです。

マンションブームの時期には、立地として魅力的なエリアに多くのマンションが建てられました。そのため、現在も立地条件の良い古いマンションが数多く残っているのです。

7-2.管理状況を事前にチェックできる

築年数の古いマンションでも、管理状況次第で寿命は変わるものです。

中古マンションの買い手は、実際の建物の状態を見て、適切な管理がなされているかをチェックできます。共用部分が掃除されているか、ゴミ出しなどのルールが守られているか、といった内容から、購入後の住みやすさを予想できるでしょう。

中古マンションの購入を検討する際には、過去の修繕履歴や今後の修繕計画をチェックすることも大切です。これらの書面を確認することで、維持管理が行き届いているかを判断できます。

7-3.自分でリノベーションできる

近年、築年数の古いマンションを購入し、自分好みの空間にリノベーションするのが人気です。そもそもの購入価格が安いため、フルリノベーションの費用を含めたとしても、新築マンションを購入するよりもずっと安く済むケースが多いようです。

中古マンションのリノベーションの例は、以下のとおりです。

  • 水回り設備の位置を移動させる
  • 電気設備を新しいものに交換する
  • 壁紙や床板を張り替える
  • 間取りを変更する
  • コンセントの位置・数を変更する

新築マンションでは、基本的に間取りや内装はあらかじめ決まっていることが多いでしょう。しかし、リノベーション可能な中古マンションなら、自分の理想に合わせて住まいをデザインできます。

8.寿命が近いマンションを売却する際のポイント

売り出し中のマンションの模型

築年数が古い物件をできるだけ早く、高値で売却したい場合、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。寿命が近いマンションを売却するなら、以下のポイントを押さえておきましょう。

8-1.スケジュールに余裕を持たせる

マンションの売却で重要なのは、なるべくスケジュールに余裕を持たせることです。売却したい時期がすでに決まっているなら、その時期に間に合うように、早めに行動しましょう。時間的な余裕がないと、焦って値下げをすることにもなりかねません。

マンション売却を考え始めたら、まずは相場価格や売却費用、税金について、速やかに情報収集を行ないます。早めに売却活動を始めれば、物件が売れやすい時期を狙って、売却のタイミングを調整することも可能です。

8-2.リフォームすべきかをよく検討する

築年数の古いマンションをリフォームしたあと、売却活動を行なう方法もあります。ただし、リフォームをしたからといって、必ず高値で売却できるとは限りません。買い手側の求める条件に合わなければ、せっかくのリフォームが無駄になってしまいます。

中古マンションの買い手には、「購入後に自分でリノベーションしたい」という方もいます。したがって、有利な売却のためにリフォームが必要なのか、よく検討してから決断しましょう。

売却前にリフォームをするなら、比較的安価で効果の出やすい部分のみ、限定的に行なうのがおすすめです。例えば、壁紙やフローリング、畳などを交換するだけでも、内見時の印象が大幅に良くなります。傷や汚れが目立つ箇所も、売却前に補修しておくとよいでしょう。

8-3.不動産一括査定サイトを活用する

マンションをできるだけ高く売却したいなら、不動産の売却査定サイトを活用してみましょう。売却査定サイトの「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」なら、複数の不動産会社に対して、一括で査定依頼を行なえます。

物件情報や連絡先を入力し、候補となる不動産会社を選択すると、査定結果の連絡が各社から届きます。複数の査定結果を比較しながら、高く売れそうな不動産会社を見つけましょう。

不動産会社にわざわざ足を運ばなくても、一括査定サイトを利用すれば、自宅にいながら簡単に査定依頼を出せます。査定金額を比較すれば、そのマンションの適正価格をある程度把握することも可能です。

マンションの売却査定で「不動産売却 HOME4U」が選ばれるのには、以下の3つの理由があります。

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不動産会社選びでお困りの際には、「HOME4U」の売却査定をぜひご利用ください。

まとめ

マンションの寿命は、法定耐用年数よりも長くなるのが一般的です。建物の構造やメンテナンス状況、気候条件など、さまざまな要素によって、実際の寿命が決まります。

マンションの寿命が近づいてきたとき、居住者は売却もしくは建て替えの判断を迫られます。しかし、建て替えは居住者の負担が大きく、実現には至らないことも多いでしょう。したがって、不動産としての価値がなくなって限界マンションになる前に、売却することをおすすめします。

今ある物件の価値を知りたいなら、NTTデータグループが運営する不動産一括査定依頼サービス「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」をぜひご利用ください。

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