家の査定はどこを見るのか?影響する要因と適正価格が分かるコツを解説!

不動産会社が家の査定を行う場合、築年数や家の外装や内装など、さまざまなポイントを確認して、査定額を決めます。

しかし査定されるポイントを知らなければ、売却に向けて十分な準備ができず、査定にも影響が出る可能性があります。

この記事では家の査定で不動産会社が評価しているポイントや、査定を成功させるためのコツを解説します。
この記事を読むことで、家の売却活動を始める良いスタートをきることができるでしょう。

売却について初歩的な内容から知りたい方は、『家を売る完全ガイド』『不動産売却の入門書』もご覧ください。

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この記事の監修者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット

1.家の査定の基本

家の査定の基本家の査定とは、家の状態や条件などから不動産会社に査定額を提示してもらうことです。
売り手はこの査定額を参考に家の売り出し価格を決めていくため、査定額は売却活動を行う上で重要な指標のひとつです。
まずは家の査定方法と、査定額の算出方法を理解しましょう。

1‐1.査定方法は2種類│机上査定・訪問査定

査定方法は「机上査定」と「訪問査定」の2種類の方法があります。
それぞれの特徴を理解しておきましょう。

1-1-1.机上査定

机上査定とは、不動産市場の相場と査定する物件の条件とを照らし合わせて価格を判断する査定方法で、簡易査定とも呼ばれます。

査定額の算出は、築年数や平米数、近隣の不動産価格、公法上の規制、住宅地図などを元に行われます。実際に物件を見て査定をするわけではないため、査定額の精度は訪問査定よりも劣ります。

また、インターネットで無料一括査定を利用すれば、かんたんな必要事項を入力するだけで、複数の不動産会社の査定額や売却プランを比較することができます。

机上査定は、大まかな目安として査定額を知りたい人や、売りたいとは思っているけれどもまだ売却が具体化していない人におすすめの方法です

1-1-2.訪問査定

訪問査定はその名の通り、実際に物件を訪問し査定を行うことをいいます。

不動産仲介会社の担当者が査定を行います。敷地の形状、道路へ接し方、高低差、越境の状態、敷地内の傾斜、臭気、振動、日照、通風、景観の良否、上空の高圧線の有無、周辺の嫌悪施設からの影響等をはじめ、家の劣化状態、リフォームの有無、管理の状況、確定測量図や検査済証等の資料の整備状況、住宅性の評価書や耐震診断の取得の有無、売主の意向など、さまざまなポイントを細かくチェックして査定額を算出します。

実際に担当者が家に訪問し細部まで確認を行い査定するため、査定額の精度は高くなります。訪問査定での査定額は売り出し価格を設定するための良い判断材料となります。

本格的に売却を検討されている方は訪問査定が向いています。

まずは、無料一括査定(机上査定)で大まかな目安をつかみ、信頼できそうな不動産会社を選んで訪問査定を依頼するとスムーズでしょう

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1‐2.査定額の算出│取引事例比較法・原価法・収益還元法

査定額の算出方法は「取引事例比較法」「原価法」「収益還元法」の3つがあります。
戸建ての土地部分とマンションは取引事例比較法、戸建ての建物部分は原価法で算出します。

収益還元法は、不動産を賃貸した場合いくらの収益を得られかといった投資的な視点で不動産価値を求める方法です。

それぞれの特徴や算出方法を解説します。

1-2-1.取引事例比較法

取引事例比較法は、査定周辺地域で条件の類似する複数の物件の成約内容を比較検討し、総合的に評価を行う方法です。中古マンションや、戸建ての土地部分を査定する際に用いられれます。

取引事例比較法の算出方法は以下の通りです。

評価額=事例地の単価(円/平米)×面積(平米)×補正率

「事例地の単価」は、売却したい不動産と条件が近い物件の最新の取引価格を参考にします。
「補正率」は、以下の4つの要素を考慮して査定物件と成約事例を比較して算出されます。

補正率要因 特徴
事情補正 やむを得ず売らなければいけない事情がある場合に適正な価格に補正
時点修正 事例地が成約した時点と現在の相場を比較し適切な価格に修正
地域要因 地域性を比較して価格を修正(比較事例が近隣の場合は比較は不要)
個別的要因 築年数や日当たり、リフォームの有無などを考慮して価格を修正

1-2-2.原価法

原価法は中古戸建ての建物部分を査定する際に利用されます。

現在所有している家と同じ条件の建物を新築で建てた場合の価格(再調達価格)を計算し、築年数による建物の劣化を評価額から差し引いて建物の価格を算出します。

原価法の算出式は以下の通りです。

評価額=再調整価格(円/㎡)×建物面積(㎡)×減価修正(1-経過年数/耐用年数)

再調達価格は、建築資材価格の高騰や下落、請負会社の建設費用の違いなど、条件によって大きく異なります。そのときの市況や状況に沿って補正しつつ、価格を決定します。

1-2-3.収益還元法

収益還元法とは、物件を貸したときの賃料(純利益)から不動産価値を算出する方法のことです。主に不動産投資の物件価値を見極めるために利用されます。

計算式は以下の通りです。

評価額=1年間の純利益÷還元利回り

純利益とは、固定資産税や修繕費、管理費などの諸費用を引いた純粋な利益です。

還元利回りとは、不動産で得られる収益性を表す指標です。不動産鑑定士や不動産投資家が不動産の価値を見極める際に用いる利率で、物件の地域環境、建物要因によって相場は異なります。

例えば年間純収益が144万円、還元利回りが8%の賃貸物件の査定額の計算は以下の通りです。

144万÷8%(0.08)=1,800万円

2.家の査定(訪問査定)はどこを見るのか?

家の査定(訪問査定)はどこを見るのか?家の査定(訪問査定)では、建物の外装から土地の状況まで細かくチェックされます。
査定を依頼する際に、どのようなチェックをされるか知っておけば、十分な準備ができ、高評価につながる可能性が高くなります。

この章では不動産会社が査定時に重要視するポイントを解説します。

2‐1.築年数

家の査定額は築年数に応じて変動します。

築年が古ければ古いほど市場における評価額の相場は低くなります。木造戸建て住宅の築年数による建物の査定額の推移は以下の通りです。

築年数 査定額
10年以内 新築価格の1/2
15年以内 新築価格の1/3
20年未満 新築価格の1/10
20年以上 資産価値なし

参照:中古住宅流通、リフォーム市場の現状p.11(国土交通省)

一方、中古マンションは、耐用年数が木造戸建てより長いため下がり幅が小さく、築20年を過ぎても35%~45%程度の下落になります。

ただし、実際の査定は築年数に応じて機械的に減価されるものではありません。昨今は木造戸建て住宅でも築20年で建物価格を一律にゼロ円とするような乱暴な査定は行われない傾向があります。戸建ての建物価格がゼロ円になるのは築25~35年程度であり、物件によってかなり査定が出てくるのが実際のところです。

2‐2.家の外装

家の査定では物件の外観や状態を確認します。家の外装が査定に影響が出るポイントとしては以下のようなものが挙げられます。

  • 塗装の劣化・建材の破損はないか
  • クラック(ひび割れ)はないか
  • 建物の傾きはないか

など

家の売却を行う上で見た目の印象は重要です。家の中でも外装は最初に目に入る部分ですので、塗装が剥がれ落ちていたり腐食していたりすると、査定額に影響します。また戸建ての場合は建物の傾きも査定のチェック項目のひとつです。

もし家全体が傾いている場合は大問題であり、価格は大きく減価されます。
売却は相当に困難なものとなり、場合によっては取り壊さないと売れないケースも出てきます。

建物の外装に関しては、築10~15年程度に1回のペースで外壁塗装をしっかり行っている物件は評価が高いです。外壁塗装済みの物件は価格アップ要因となります。メンテナンスをしっかり行っている場合は、必ずアピールするようにしましょう。

2‐3.家の内装

査定は家の外だけでなく壁紙やフローリングの劣化など部屋の状態、汚れや結露によるシミの有無など家の内装も査定項目に含まれます。

そして家の内装の中でも特に注意するポイントは以下のようなものが挙げられます。

  • 雨漏りやシロアリの被害の有無
  • 水回りの設備・状態
  • 最新設備の有無・状態

シロアリに関しても、防虫を定期的に行っている物件は評価が高くなります。防虫メンテナンスを行っている物件はしっかりアピールすることをおススメします。

高級システムキッチンや床暖房など最新設備が整っており、デザイン性が高く、状態もよければ高評価の査定を受けます。また部屋の間取りや生活導線の良さなどもチェック項目に含まれています。

家の中でいかに快適に過ごすことができるか、さまざまなポイントを確認し評価します。

2‐4.土地(立地)の状況

所有している土地(立地)で評価が高くなるポイントは以下の通りです。

  • 間口が広く奥行きは間口より短めの長方形の土地
  • 南面が解放され日当たりが良い
  • 境界・越境の状態が明確

など

一方、いびつな形をした土地や、狭いものだと査定額は低くなります。日当たりは南向きの土地(南向きに道路のある土地)が最も評価が高く、続いて東向き、西向き、北向きと方位によって評価が変わります。また、戸建ては境界線が曖昧だと売却のしやすさに影響するため、境界・越境の状態が明確かどうかしっかり確認し、必要に応じて確定測量をしましょう。

2‐5.周辺の環境

周辺の環境状態で特に査定に影響を受けるポイントは以下のようなものが挙げられます。

  • 交通アクセス
  • 商業施設・学校・病院の有無
  • 学区の良否

など

交通のアクセスがよく利便性の高い物件は人気が高く査定額にも大きく影響します。公共交通機関が多ければより利便性が高いと評価され、その分査定額は高く評価されます。

また周辺の商業施設や病院、公共施設などが近いかもポイントです。また、公立の小中学校の学区が良い地域は評価が高くなります。学区の良い地域は総じて治安状況が良く、歩道は広く住環境も良好なことから、必ずしも子育て世代だけでなく広い世代に支持される住宅街となっています。

3.家の査定に影響する要因

家の査定に影響する要因家の査定に影響するのは建物や土地の状態だけではありません。主に次のような要因も影響します。

  1. 社会情勢などの一般要因
  2. 都市計画や交通整備計画などの地域要因

それぞれ詳しく解説します。

3-1.社会情勢などの一般的要因

査定に影響を与える要因のひとつとして、社会情勢などの一般的要因が挙げられます。

一般的要因には地質や地盤、地勢などの自然的要因、景気の変動などの経済的要因、人口減少などの社会的要因などが含まれます。

こうした、世の中で起こっている状況は、査定額に影響を与えます。例えば景気が落ち込めば人はお金をあまり使用しなくなるため、家の購入を希望する人は少なくなり、結果売却価格は低くなる傾向があります。また近年は都市部への一極集中が続いており、郊外の住宅街の価値は鈍化傾向です。

3-2.都市計画や交通整備計画などの地域要因

都市計画や交通整備系計画などといった地域要因も、家の査定に影響を与えます。

商業施設や病院などが新たに建設されたり新しく駅ができたりすれば、人の流れが活性化して住む人口も増えるため、査定額に大きく影響します。また、交通が整備されればより住みやすくなるため、そのエリアの人口増加にもつながります。

開発予定の地域に家を所有している人は都市計画や交通整備計画が進み、需要が高まる頃に査定を行えばより高い金額で家を売却できる可能性があります。

4.家の査定で適正価格が分かるコツ

家の査定で適正価格が分かるコツ家の査定を成功させるためには、不動産会社選びが重要です。この章では家の査定を成功させるコツをお伝えします。

4-1.査定は複数社に依頼する

家の売却を成功させるためには、複数社に査定を依頼しましょう。不動産会社によって、得意・不得意な物件やエリアが違うため、売却したい物件に強い不動産会社を見つけることが大事です。

また不動産会社に地域における売却実績の有無や、物件の種類による得手不得手、見込み客の有無は異なるため、査定額も違います。数百万円ほどの差が出るケースもありますので、一社だけに絞ると損をしてしまう可能性があります。そのほか、相性の良い不動産会社や信頼できる担当者のいる不動産会社を見極めるためにも、複数社へ依頼することは大事です。

複数の不動産会社に査定依頼するなら、「不動産売却 HOME4U」などの一括査定サイトを活用しましょう。

4-2.家の劣化や不具合は査定時に伝えておく

家の劣化や不具合を契約書に明記せず売却した場合、「契約不適合責任」を負う可能性があります。

契約不適合責任を負うとは、売却後、契約書に明示しなかった欠陥が見つかった場合、売主が責任をとって補修・改修の費用負担をすることです。また、買主から契約解除、損害賠償なども請求されるおそれがあります。そのため、不具合がある場合は、不動産会社に隠さずに伝えておくことが賢明です。

とはいえ、中古住宅は建物や設備に何らかの不具合がでるリスクが高く、欠陥に気付かず売却してしまう可能性も十分にあります。重すぎる責任を回避するためには、売買契約書に契約不適合責任を免責(責任を負わない)する特約を記載することを検討しましょう

4-3.査定額はあくまで目安として考える

査定額はあくまで目安として考えましょう。査定結果は売却価格を保証するものではありません。売却活動を始める時期や、その時の情勢によって変わるため、査定額より低い価格の売却となる可能性もあります。

また売却活動が始まれば、買い手の値下げ交渉に応じることもあるため、値下げを行うことも考慮した上で売り出し価格を検討することも少なくありません。査定額は売り出し価格を決める上でのひとつの判断材料として、有効に活用しましょう。

戸建て査定のチェックポイントについて詳しく知りたい方は『戸建ての査定は何を見られているの?』もご覧ください。

5.家の査定はどこに頼むべき?

家の査定はどこに頼むべき?家の査定は不動産会社に依頼するのが基本です。不動産会社に依頼する際のポイントや、選び方について解説します。

5‐1.家の査定は不動産仲介会社に相談

まずは、不動産仲介業を行っている不動産会社に問い合わせをしてみましょう。

不動産会社によって担当するエリアや得意な物件、契約条件などが異なります。不動産仲介会社に家の状態や条件などを伝え、対応が可能か確認した上で査定依頼をしましょう。

直接問い合わせをする場合は、担当者の雰囲気や成約実績、契約内容なども確認し、信頼して任せられるかどうかもチェックすることをおすすめします。家の売却を安心して任せられる担当者を選ぶことが売却成功のコツです。

5‐2.不動産会社選びは一括査定サイトを使う

信頼できる不動産会社を選ぶためには、複数の不動産会社を比較することが大切です。とはいえ、仕事や家事など多忙な中で、ひとつずつ不動産貸家に問い合わせをするのは大変です。

その際には一括査定サイトを活用しましょう。インターネットの一括査定サイトは、24時間、都合のよいタイミングで複数の不動産会社にまとめて査定依頼ができます。

一括査定サービスを使うなら、NTTデータグループが運営する「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」がおすすめです。

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まとめ

今回は、家の査定で不動産会社がどこを見るか、チェックするポイントや成功させるためのコツを解説しました。

家の査定には、築年数や設備、建物の劣化状況などを見ることはもちろん、立地や周辺環境、社会情勢も影響します。そのため、個人の対応で査定の評価を上げるのは難しいでしょう。

大切なのは、複数の会社から簡易査定(机上査定)を受け、信頼できる仲介会社に訪問査定を依頼して、適切な価格を算出してもらうことです。また、リフォームや定期メンテナンスの実施、住宅性能評価の取得などで家の査定額(資産価値)を上げられる可能性もあるため、実施している方は査定時にしっかりアピールすることをおすすめします。

まずは、一括査定サービスを利用して複数社を比較し、信頼できる不動産会社を見つけましょう。

この記事のポイント

家の査定はどこを見て評価しているの?

家の査定は、以下の点を見て査定します。

  • 築年数
  • 家の外装
  • 家の内装
  • 土地(立地)の状況
  • 周辺の環境

詳細は「2.家の査定はどこを見るのか?」で解説しています。

査定に影響する要因は?

査定に影響する要因は、建物と土地の状態以外にも、以下の要因があります。

  • 社会情勢などの一般的要因
  • 都市計画や交通整備計画などの地域要因

詳しくは、「3.家の査定に影響する要因」で解説しています。

家の査定を成功させるためのコツは?

家の査定を成功させるためのコツは、以下の通りです。

  • 査定は複数社に依頼する
  • 家の劣化や不具合は査定時に伝えておく
  • 査定額はあくまでも目安として考える

詳しくは「「4.家の査定を成功させるコツ」で解説しています。