マンションの査定額を上げるポイント|査定前・査定後にやるべきこと

マンションの査定額を上げるポイント|査定前・査定後にやるべきこと

マンションを売却する際、最初に行うことは査定です。査定とは「あなたのマンションはいくらで売れそうですよ」という売却予想価格を示すことです。

この記事では、はじめてマンションの査定を依頼する方に向けて、以下の3つのポイントについて解説します。

  • マンション査定を受けるにあたって必要な準備
  • マンション査定後に確認すべきこと
  • 査定額よりもマンションを高く売却するコツ

また、マンションの売却は工夫次第で、査定額よりも高く売却することも可能です。しっかり知識を身につけた上で査定を依頼すると、査定の効果を最大限に発揮できます。

これからマンション査定をされる方は、ぜひ参考にし、少しでも高いマンションの売却にお役立てください。

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この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット

1.マンションの査定前に確認すべき6つのポイント

マンション売却の査定を依頼する前に、確認しておくべき7つのポイントについて解説します。事前に知っておくことで、無駄な出費を防ぎ、さらにスムーズな売却を進めることができます。

【2021年】マンションはいつが売り時?コロナ禍の動向と売る方法

1-1.ハウスクリーニング等はしなくてよい

査定の前にハウスクリーニングやリフォームを依頼すべきかどうかを迷う方がいます。査定の前は、ハウスクリーニングは不要です。

ハウスクリーニングとは、いわば家のお化粧です。プロの不動産会社は、マンションの見た目の美しさではなく、マンションのグレードや設備、間取り、不具合箇所等を確認しています。部屋が綺麗かどうかは査定額には関係しません。

査定の時点ではハウスクリーニングは不要ですが、購入希望者に対してマンションを内覧させる前にハウスクリーニングを行うのは良い対応です。

購入希望者は、メイクさんがメイクした後の芸能人を見る一般視聴者のようなものです。一般視聴者はメイクによって、かなり印象を左右されます。ハウスクリーニングは査定の前は不要ですが、内覧の前に行って有効に活用するのが良いでしょう。

1-2.リフォームはせずとも修繕はする

マンションの売却前にリフォーム不要です。さらにマンションを売却するにあたっても、独断でリフォームを行うのは無駄な出費となる可能性があります。

ここで言うリフォームとは、例えば床を高級自然木材に貼りかえる、キッチンをハイセンスなドイツ製のものに変える等のリフォームです。

このような積極的なリフォームは、マンション価値を高くします。しかしながら、リフォームにかけた費用がそのまま売却額に転嫁できるとは限りません。

例えば、リフォーム前のマンション価格が3,000万円だったとします。リフォームに600万円かかったとしたら、そのマンションが3,600万円になるのかと言えば、そうはならないことの方が多いです。

むしろ600万円のリフォーム代をかけたにも関わらず、結果は3,300万円でしか売却できなかったということは良くあります。この場合、リフォームすると300万円を損することになります。そのため、不動産会社に査定を依頼する前にリフォームをする必要はありません。

一方で、破損や不具合が生じている箇所に関しては、修繕すべきです。中古マンションの相場は破損や不具合がない状態のマンション価格を前提としています。つまり、破損や不具合がある中古マンションはマイナスポイントとなり、相場よりも価格が低く査定されることとなります。

マンションの部屋(専有部)については、特に給湯やガス、冷暖房、台所、便所、洗面台、浴槽、ボイラー、換気扇、インターフォン等に不具合がないかを確認するようにして下さい。

不具合があれば、原則的には修繕をして、マンションを正常な状態へ戻すことが必要となります。査定の前までに金銭および時間に余裕がある場合には、査定までに修繕を行っておきましょう。

畳がひどく傷んでいる、ドアがきちんと閉まらないなどは査定額を出す際にマイナスとなります。リフォームまでは必要ありませんが、比較的安価に修繕ができるので、事前に修繕しておくことをおすすめします。

ただし、金銭や時間に余裕がない場合、必ずしも修繕を完璧に行っておく必要はありません。軽微な破損や不具合であれば、値引きの対象とならないこともあります。まずは不動産会社に相談してみましょう。

1-3.不具合箇所をまとめておく

マンションの破損や不具合の箇所をそのままにして売る場合、買主に対して、告知書にて告知対応をすることになります。告知書とは売主しか知りえない不具合等の事実を告知する書面です。

そのためにも、査定前に不具合箇所をまとめたものを渡してあげると非常にスムーズです。不具合箇所をまとめていないと、不動産会社から細かいヒアリングを受けることになります。

また、何社もまとめて査定を依頼する場合、毎回同じことをヒアリングされるのは、少々面倒です。あらかじめ不具合事項を以下のようにまとめておくことをおすすめします。

対象箇所 不具合内容
インターフォンのTVモニター 画像に乱れがある。
廊下照明 接触不良で作動しない。
主寝室押入 引戸の滑りが悪い。
子供部屋網戸 やぶれあり。

不動産会社が査定をする場合でも、目視だけでは確認できない不具合箇所も多く存在します。気になる不具合がある場合には、査定の段階で不動産会社に知らせておくことがポイントです。

例えば、「廊下の照明のスイッチの一部が接触不良で作動しないことがある」、「網戸に一ヵ所破れがある」等の不良部分です。このような内容は告知書にまとめて不動産会社に告げてください。

軽微な不具合に関しては、特にマイナス査定されないこともあります。また、後から不具合を開示して、査定額よりも安く売却する結果につながりかねません。査定を受けるにあたっては、不具合箇所をきちんと整理しておきましょう。

尚、減額されることを恐れて、不具合箇所を隠そうとする方がいますが、それは絶対にやってはいけません。後に大きなトラブルにつながり、契約解除だけでなく、賠償責任を問われる可能性もあります。詳細は5章「5-1. 契約不適合責任とは」をご参照ください。

1-4.管理費等の滞納は解消する

マンションの売却は、管理費や修繕積立金の滞納がない状態であることが原則です。査定では、不動産会社は管理費や修繕積立金の滞納の有無について必ずチェックします。

仮に管理費や修繕積立金の滞納があった場合でも、マンションを売却することは可能です。この場合、管理費や修繕積立金の未納分については、買主が負担することになります。しかし、そうなると売れづらい物件として見られ、査定額にもマイナスが生じます。

管理費や修繕積立金がきちんと支払われている状態で、はじめて適正なマンション価格が査定されるのです。

査定を受ける前に、管理費や修繕積立金の未納がないかどうかを必ずチェックしてください。未納がある場合は、査定の時点までに必ず解消しておきましょう。

尚、既に支払った管理費や修繕積立金は、マンション管理組合の組合財産となっているため、売主には戻ってきません。支払済みの管理費や修繕積立金は、自分のお金ではないということも理解しておきましょう。

1-5.住宅ローン残債を確認しておく

マンションを売却する方の中には、住宅ローンがまだ残っている方も少なくありません。

現時点で住宅ローンが残っていても、マンションを売却することは可能です。しかし、マンションを売却するには、マンションの売却代金や貯蓄、また住み替えローンなどの活用によって、住宅ローン残債を一度完済しなければいけません。

住宅ローンを借りた際、マンションには抵当権という権利が銀行から設定されています。抵当権の設定とは、マンションを担保にしてお金を借りることを意味します。

具体的な条件については、マンションの登記簿謄本に銀行の抵当権の権利の内容が記載されているはずです。

住宅ローンの残債があるマンションの売却においては、この抵当権を抹消することは必須の条件となります。住宅ローンを返済中の方は、まずは銀行に住宅ローン残債の問合せをしてください。銀行から住宅ローンの残額を記載した書面をもらうことができます。

また、売却時に抵当権の抹消を行うため、銀行の協力も必要となります。査定の結果、マンションを売却することが本格的に決まったら、早めに銀行に伝えるようにしてあげてください。

抵当権がついたマンションの売却は珍しくなく、銀行はきちんと住宅ローンの残債を返済してくれれば、売却することにおいても何も文句は言いません。

一番ベストなのは、マンションの売却代金でローン残債を全額返済することでしょう。そのためにも、査定額が住宅ローン残債よりも高いかどうかがポイントとなります。

1-6.チラシ等を集めておく

マンションでは、必ず同じマンションの売物件のチラシが入ります。親や子供のために、同じマンションの方がもう一室を購入するケースが多いためです。

同じマンションの他の部屋が、実際にいくらくらいで売りに出されているのかは、重要な情報です。普段は、同じマンションのチラシをそのまま捨てていた方も多いかもしれませんが、このチラシを取っておくと、最新の相場を知ることができます。

たまたまタイミング良く他の部屋が売りに出されている場合には、そのチラシは是非取っておいてください。

チラシに掲載されている売り出し金額は、不動産会社の査定の結果に対して、「高いのか低いのか」を冷静に判断できる客観的な指標になるでしょう。

以上のポイントを踏まえて査定へ望むと、スムーズで安心な査定が期待できます。
マンションの見方は、不動産会社によって異なるので、複数社の査定を比較するとより安心です。

NTTデータグループの運営する不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)を利用すれば、たった1分程の簡単な入力で、最大6社の不動産会社に査定依頼ができます。
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マンション売却の流れを詳しく確認したい場合は、「マンション売却の流れを9ステップで詳しく解説!」をご覧ください。

2.マンションの査定時に不動産会社が見ている箇所

マンション査定時に不動産会社がチェックしているポイントが分かっていると、高評価ポイントをアピールすることもできます。ぜひ参考にしてみてください。

2-1.同じマンションの過去の売買取引事例

マンション査定の場合、基本的な指標になるのは、同じマンションの取引事例です。まず、同マンションにある類似した条件の物件の売買事例を探し、指標とします。

マンションの間取り、階数、面積、設備、バルコニーの向き、リフォームの有無等の条件が類似した物件の売買事例があった場合、それが基準となるため、そこから大きな差が生まれることはあまりありません。

近隣エリアの類似物件から相場を知りたい場合は、「REINS Market Information(レインズ・マーケット・インフォメーション)」というサイトがおすすめです。一般の方でも不動産売買の成約価格を検索し、確認することができます。

2-2.マンションの立地条件

駅からの近さは多くの方が気にする条件です。駅からは徒歩10分以内が特によい評価を望める可能性が高くなります。

立地条件はアクセスのよさだけでなく、周囲にスーパーマーケットや病院、郵便局など、日常生活を送る上で必要な施設が揃っているかどうかも重要です。

また、周囲に騒音を発生させるような高速道路や線路、工場などがないかなども見られています。閑散としており、眺望もよいマンションはプラスの査定が期待できます。

2-3.マンションの共有部分

マンションの査定では、共有部分の状態もチェックされています。セキュリティは気にする方も多いので、オートロックや監視カメラがついているかは大事なポイントです。

外壁の状態がきれいかどうか、エントランスの雰囲気、耐震性能なども大切な評価ポイントです。また、最近では多くのマンションに導入されている「宅配ロッカー」があるとプラスの評価となります。

2-4.窓やベランダの方角

マンションの開口部がどの方角を向いているかは、日当たりのよさや洗濯物の乾きやすさなどに影響してくるポイントです。基本的には評価が高い方角の順は、南、東、西、北です。南日が入りやすく、明るい時間の長い南向きが最も人気があります。

2-5.マンションの築年数

マンションが建ってから5年以内の「築浅マンション」と比べ、6年を過ぎたマンションは築年数とともに査定額は下がっていく傾向にあります。

築21年を越えたマンションは、平均では築浅のマンションの半額以下と評価されています。きれいに住んでいて目立った傷がなくても、建物の構造部分は築年数とともに劣化していると判断されます。築年数は査定額に影響を及ぼす重要なポイントとなるため、大きな目安とも言えます。

マンションの査定時に見られるポイントについて詳しく知りたい方は以下の関連記事もご参照ください。

マンション査定方法を徹底解説!高額売却に繋がる査定の受け方とは

不動産売却塾 コラム

査定金額の算出方法

不動産会社はどのような方法で査定額を算出しているのでしょうか。ここではマンションの査定に用いられる3つの方法をご紹介します。

取引事例比較法

マンション査定で主に取られている手法です。取引事例比較法は、査定するマンションと条件の似たマンションと比較し、取引事例を参考にして査定額を算出します。同じマンションで過去に売買が成立したケースや、現在売りに出されている部屋があれば、部屋の方角や階数を比較して金額を査定します。

原価法

そのマンションを建て直した場合の再調達価格を査定額の参考とする方法を、「原価法」といいます。再調達価格に築年数を加味して減額し、査定額を出していきます。

収益還元法

収益還元法では、その部屋を賃貸に出した場合、どれくらいの年間利回りを見込めるかを計算して、査定額の参考とします。

不動産価格の算出方法~査定方法とは?

いずれの項目も、売主が改善し査定額を高められるものではありません。
ただ、見られるポイントを知っていれば、査定の根拠に対しても納得しやすくなりますし、不当な査定額をつける不動産会社を見分けやすくもなります。

以上のポイントを把握できた方は、査定の依頼も進めていきましょう。
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3.損をしないマンション査定の依頼方法

査定は複数の不動産会社に依頼するのが、鉄則です。なぜかというと、査定額は不動産会社により、バラつきがあるからです。

もし一社にしか査定をしてもらわなかったら、他の不動産会社ならもっと高い査定額が出されていた可能性があったのに、気づかずに売却活動を進めてしまうことになります。あとから「もっと高く売れたかも…」と後悔することだけは避けたいですよね。

そこで使うと便利なのが、「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」です。

HOME4Uマンションプライスの売却査定

普通なら、知名度の高い不動産会社をネットで検索し、問い合わせフォームを探して、自分の物件の間取りや築年数などを入力し、査定してもらえるかどうかを問い合わせますが、複数の会社に依頼するとなると、その作業を何度も繰り返すことになります。

しかも、いくら大手の不動産会社でも、物件によっては査定をしてもらえないケースもあるため、無駄手間になってしまう可能性もあります。

しかし、HOME4Uであれば、個別に不動産会社に問い合わせなくても、1分ほどの簡単な入力で、あなたの物件に対応できるマンション売却に強い不動産会社をシステムが自動的に検出し、複数の会社にまとめて査定依頼をすることができます 。

提携企業には大手から地域密着型まで1,000社もの不動産会社が参画している上、NTTデータグループが運営しているので、個人情報のセキュリティも万全です。

まずは各社がどのような査定額を提示してくるかを比べることが大切なので、必ず複数の会社の査定を受けるようにしてください。

4.マンションの査定後に確認すべき3つのこと

この章では、複数の不動産会社から査定額の提示を受けたあとに確認すべき3つのポイントをご紹介します。ひとつずつ見ていきましょう。

マンション査定はどこに頼む?おすすめの優良企業の見つけ方

4-1.査定の根拠

査定額が高いだけで契約を結ぶ不動産会社を選ぶのは性急すぎます。不動産会社には査定額を提示する場合、査定の根拠を示す義務があります。

そのため、査定の根拠について確認を行うようにして下さい。根拠がしっかりしている会社の査定額は、信憑性が高いものです。

不動産会社の査定の根拠を確認するポイントは以下の2点です。

事例の確認ポイント
  1. 参考事例の量
  2. 同じマンションの事例

まず、最初に確認することは参考にした事例の量です。事例の量は不動産各社によってバラバラになります。多くの事例を持ってこられる不動産会社は、そのエリアを得意としており実力のある証拠です。

不動産会社はレインズと言われるネットワークシステムを共有しています。不動産会社ならレインズで誰でも取得できる取引事例というのもあります。

しかしながら、レインズで取得できない取引事例もあります。それは、各社が独自に成約したオリジナルの取引事例です。

物件のエリア内で多くの実績を残している不動産会社は、他の不動産会社よりも多くの取引事例を提示できます。つまり取引事例の数が多いほど、信頼できる会社であると言えます。

信頼できる不動産会社を選ぶ参考にもなるため、各社がどれくらいの事例の量を持ってきているのかを注視するようにしてください。

また取引事例の中でも、特に重要なのは同じマンションの事例です。同じマンションの事例の中でも、取引時点が一番直近のものが最も参考になります。各社から取りよせた査定根拠の中に、同じマンションの取引事例がある場合には、ぜひチェックするようにしてください。

同じマンションの事例で見るべき3つのポイントは、以下の通りです。

  • 階数
  • バルコニーの向き
  • 角部屋等の位置

自分の部屋よりも低い階の事例であれば、自分のマンションの方が事例よりも高く売却できる可能性はあります。マンションの階数が高ければ高いほど、また両脇の部屋に挟まれた中間部屋よりも角部屋の方が価格は高くなります。

一方で、事例のバルコニーの向きが南側で、自分の部屋の向きが西側の場合、自分のマンションの方が事例よりも安くなる可能性があります。バルコニーの向きに関しては、北、西、東、南の順番で高くなっていくためです。

階数、バルコニーの向き、角部屋等の位置という観点をもって、自分の取引事例がどのように査定されたのか、不動産会社に確認してください。

明確な説明が返ってくれば、その不動産会社は十分信頼に値します。査定の根拠の確認は、信頼できる不動産会社選びのため必ず行うようにしましょう。

4-2.ローン残債との関係

住宅ローン残債が残っている方は、査定額を取った後、必ず住宅ローン残債との比較を行ってください。

不動産の売却では、住宅ローン残債が売却額よりも高いことをオーバーローン売却額よりも低いことをアンダーローンと言います。査定額がアンダーローンの状態であれば、問題ありません。売却額によって、抵当権を抹消することが可能です。

一方で、査定額がオーバーローンの場合は、問題となります。オーバーローンの場合、抵当権を外すために貯金も切り崩す必要があります。

売却額と貯金を合わせて、住宅ローン残債が返済できそうであれば、マンションの売却は可能です。また、買い替えの場合には、以下のような住み替えローンを組むことでオーバーローンでも住宅ローン残債を返済することもできます。

住み替えローン:
ローン残債から売却額を除いた残額を、新たに購入する不動産と合算して借り換えるローン

しかし、住み替えローンは新たに購入する物件の金額以上のローンを組むことになるため、借り過ぎの状態となり、返済リスクが大きくなります。

査定の結果としてオーバーローンとなる際は、場合によっては、売却を見送るという冷静な判断をすることも重要です。

冷静な判断を行うためにも、査定は必ず複数の不動産会社に依頼すべきです。複数の査定額の結果を見比べて、オーバーローンの場合には、無理な売却は避けるようにしましょう。

4-3.新居の資金計画を再確認する

アンダーローンの場合でも、買い替えを行う方であれば、査定額を冷静に見る必要があります。売却の結果、次の物件を購入するための頭金がいくら用意できるのかも査定額によって分かります。

頭金次第では、次に購入する物件のグレードを下げる必要性も生じます。アンダーローンの方は、売却額と貯金を加味して、頭金をどの程度用意できそうかを確認するようにして下さい。

尚、希にですが人気のエリアのマンションの場合、マンションが購入額よりも高く売却できる場合があります。購入額(正確には建物は減価償却後の取得費)よりも高く売却できた場合、所得税が発生する可能性があるということを知っておきましょう。

売却で得られる頭金を考慮する場合、非常に高く売却できる場合に限っては、税金も考慮する必要もあります。

マンションの売却時にかかる税金について詳しく知りたい方は、以下の関連記事をご参照ください。

マンション売却時にかかる税金ってどれくらい?知らないと損する節税の仕方を紹介

5.マンションに「瑕疵担保保険」をつける検討

この章では、査定額よりも高く売却する方法の一つとして、瑕疵担保保険の付保についてご紹介いたします。

5-1.契約不適合責任とは

少し専門的な話になりますが、不動産を売却する際、売主として絶対に知っておかなければいけない知識があります。それは売主の契約不適合責任です。

売主が買主の了解を得ず、以下の例のように品質不良の状態で家を売却した場合、それに関する責任を負うというものです。

売主が責任を問われる可能性があるケース

物理的な欠陥
  • 建物の雨漏り
  • シロアリによる床下の腐食
  • 耐震強度の不足
  • 土壌汚染
  • 地下に埋もれている地中障害物(コンクリートの塊など)
心理的・環境的なトラブル
  • 自殺や殺人事件などの事件・事故があった物件
  • 近隣からの騒音・振動・異臭・日照問題など環境に問題がある物件
  • 近くに反社会的組織事務所がある

大きなポイントとなるのは、売主が気付かなかった欠陥に関しても責任を負うという点です。また、買主は売主に対して、契約の解除や損害賠償、追完請求などを行うことができるのです。

参考:国土交通省「住宅業界に関連する民法改正の主要ポイント

民法改正は不動産売買にどう影響する?8つのポイントを解説

5-2.マンションで瑕疵担保保険を付けたときの効果

このようなリスクを避けるために、個人が売主の場合は、免責特約を設けることで契約不適合責任の一部または全てを免責することはできます。しかし、ところが、売主の責任を軽くしてしまうと、困るのは買主です。

そこで、おすすめしたいのが住宅瑕疵担保責任保険(以下、「瑕疵担保保険」と略)です。

瑕疵担保保険とは、中古住宅に構造体力上主要な部分や雨水の侵入を防止する部分に隠れた瑕疵が見つかった場合の損害に備える保険です。保険金の支払い対象や対象となる不具合の箇所については以下の通りです。

保険金の支払い対象
  • 補修費用
  • 事故調査費用
  • 転居・仮住まい費用等
対象となる不具合の箇所
  • 構造耐力上主要な部分
  • 雨水の浸入を防止する部分
  • 給排水や電気設備

瑕疵担保保険に入っている物件であれば、万が一買主が引渡後に発見した不具合に対しても保険で補修費用の一部を賄うことができます。

ただし、物理的な不具合に関するものが対象となるため、建物の法令違反等の法律的な問題や、過去の自殺等の事件があった物件、近くに反社会的勢力の事務所がある等の心理・環境的問題は対象とはなりません。

瑕疵担保保険に加入することは、買主にとって安心して物件が購入できるというメリットを生みます。また、瑕疵担保保険に入っている物件は、買主が負担する不動産取得税や登録免許税の軽減措置を受けることもできます。

マンションの査定額は、瑕疵担保保険を付保していないことを前提とした価格です。瑕疵担保保険を付保すれば、買主が購入しやすい良い物件となるため、相場よりも高く売却することができます。また、トラブルの防止にもつながるため、リスクがある物件を売却する場合には検討をするとよいでしょう。

参考:一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会「既存住宅売買のかし保険(個人間売買タイプ)」・国土交通省「買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置

5-3.瑕疵担保保険を付保するためのインスペクション

それでは、瑕疵担保保険を付保して売却するにはどのような手順を踏めばいいのでしょうか。

まず、瑕疵担保保険に入るためには、インスペクションという建物状況調査に合格する必要があります。例えば、既に雨水が侵入するような物件では、当然ながら瑕疵担保保険には加入できません。

インスペクションを実施して劣化現象が無いことが確認されて、初めて瑕疵担保保険に加入できます。欠陥があった場合でも、補修して問題が無くなった時点で保険に加入することができるようになります。

瑕疵担保保険の加入を増やすことは国の政策にもなっています。ただし、法律で義務化された内容は、あくまでも不動産会社がインスペクションをあっせんすることです。売主のインスペクションが義務化されるわけではありません。

インスペクションを受けたい方は、不動産会社にインスペクション業者を紹介してもらうと売却にもスムーズでしょう。

参考:国土交通省「改正宅地建物取引業法の施行について」

インスペクションとは?不動産売却で役立つ基礎知識を解説

6.マンション査定の流れと手順

最後に、マンションの査定が始まる前に、やるべき準備と段取りを流れに沿って、わかりやすくご紹介します。

【マンション売却の流れ】早く・高く売る成功のコツを解説!

6-1.マンションの相場を調べる

自分のマンションの相場がいくらくらいなのかは、事前に調べておくとよいでしょう。相場を知らなければ、査定をもらっても適正に評価されたのかを判断することが難しくなります。

マンションの相場は、過去の取引事例を参照できる「REINS Market Information(レインズ・マーケット・インフォメーション)」や「不動産情報ライブラリ」を見たりして、査定前にご自身で調べることが可能です。

6-2.マンション査定に必要な書類を準備する

査定時には不動産会社に提示する書類と必要なものがあります。

マンション査定時に必要な書類
  • 権利証または登録識別情報
  • 売買契約書
  • 重要事項説明書
  • 間取り図
  • 固定資産税納税通知書または評価証明書
  • 身分証明書(本人確認)
  • 実印
  • 印鑑証明書
  • マンションの管理規約または使用細則
場合によっては必要な書類
  • ローン残高証明書(ローンが残っている場合)
  • 物件概要書(保管していれば、マンションのパンフレットなど)

念のため依頼する不動産会社にも確認し、ぎりぎりになって焦らないように用意しておくとよいでしょう。

6-3.最低限の清掃をする

ハウスクリーニングまでは必要ありませんが、最低限の清掃はしておく必要があります。また、あまりに内装の汚れが目立つと、リフォームの必要があるとされ、査定額が下がる場合があります。

見映えによって人の印象は大きく変わりますので、好印象を持ってもらえるように準備しましょう。また、マンションはバルコニーやベランダの状態も重視されるため、室内以外の部分も清掃しておくとようでしょう。

6-4.故障箇所の修繕をする

故障箇所は査定に影響するポイントです。「付帯設備表」を見て故障箇所をひとつひとつ確認し、さほど予算を掛けずに修繕できそうであれば、査定前に直してしまうことをおすすめします。

ただし、修繕したからといって査定額が大きく変わるとは限りません。修理費用が高額になりそうであれば、そのままにしておいてもよいでしょう。

6-5.売却予定があるなら「訪問査定」がおすすめ

マンションの査定方法には、「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。

「机上査定」はデータをもとに査定を行い、実際にマンションを見ることはありません。ネットからも簡単に依頼ができる手軽な方法です。

しかし真剣に売却を考え、より正確な査定額を出したいときは「訪問査定」がおすすめです。文字通り不動産会社の担当者がマンションを訪問し、周辺環境を含めて査定を行います。

即日結果が出ることの多い「机上査定」に比べると、3~4日と時間はかかりますが、データのみで行う「机上査定」よりも正確な査定額を出すことができます。

まとめ

この記事では、マンションの査定で見られるポイントや査定前後に気を付けるべきポイントについて解説してきました。

マンションの査定を受けるにあたっては、管理費の滞納解消や告知事項のまとめ、住宅ローンの残債確認等の準備が必要です。

査定後は、必ず住宅ローン残債との比較や各不動産会社の査定の根拠の確認等を行ってください。査定の結果によっては、売却を見送るという冷静な判断も必要になってきます。

査定額よりも高く売却する方法として瑕疵担保保険についても紹介しました。瑕疵担保保険は、高く売却する一つの手段ですので、検討してみることをおすすめします。

また、高く売るためには、複数の不動産会社から査定を受けることが大切です。一度の入力で複数の不動産会社に簡単に査定依頼ができるHOME4Uを活用して、無駄のないマンション売却を進めてください。