住宅ローン中でも家は売れる!状況別の売却方法と離婚や賃貸についても解説

住宅ローン支払い中に家を売ることは可能です。
実は、住み替えなどを理由に、住宅ローンの完済前に売却を始めている方は意外にも多くいらっしゃいます。

ただし、場合によっては売却ができないこともあります。

この記事では、住宅ローン支払い中の家について「どんな時なら売却できるのか」「具体的な売却の方法」などを解説していきます。

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この記事は、不動産鑑定士・宅地建物取引士の資格を持つ専門家が監修しています。

この記事の執筆者

1. 住宅ローン中でも家は売れるが「完済」が必須条件

住宅ローンが残っているうちは、対象の家や土地に対して「抵当権(ていとうけん)」という権利がついています。
これは、私たち債務者側が住宅ローンを支払えなくなった際に、金融機関が競売などの手続きを進めるために設定されています。

この抵当権があるうちは家を売れないというのが、原則的な考え方です。
そのため、住宅ローンを完済し、抵当権を消すことで、売却が可能になります。

抵当権があると売却できない理由

  • 抵当権付きの物件を買いたい人がほとんどいない
  • 住宅ローンの規約に反し、一括返済を求められる場合がある

多くの方は、手持ち資金で事前に完済することが難しいため、家の売却代金決済時に住宅ローンを完済します。
流れとしては、買主から売却代金を受け取ったと同時に、ローン完済抵当権を抹消する手続きを行います。

住宅ローン支払い中の家を売る流れ

2. 住宅ローン中の家を売る5つのステップ

ローン返済中の家を売却する流れは、通常の不動産売却と大きくは変わりません。
ただし、「ローン完済」と「抵当権抹消」の手続きが決済日に加わる点が特有です。

売却の全体像

  1. 住宅ローン残債の確認
  2. 不動産会社に査定を依頼
  3. 媒介契約を結び売却活動を開始
  4. 買主と売買契約を締結
  5. 売買代金決済と同時にローンを完済・抵当権抹消

2-1. STEP1:住宅ローン残債を確認する

まず、ご自身の住宅ローンが「あといくら残っているか」を正確に把握します。
ローン残債を査定額が上回っている状態をアンダーローン、査定額が下回っている状態をオーバーローンと言います。

オーバーローンの場合は、「住み替えローン」や「任意売却」といった方法でしか売却できません。
この章では、一般的なアンダーローンの場合の売却方法を解説しています。

次の「STEP2:不動産会社に査定を依頼する」の時点で、オーバーローンであることが判明した方は、次章をご覧ください。

残債の確認方法

  • インターネットバンキング:契約者専用サイトで確認できます。
  • 住宅ローン残高証明書:毎年、年末調整の時期に金融機関から送付されます。
  • 返済予定表:ローン契約時に受け取った書類で、毎回の返済額と残高が記載されています。
  • 金融機関の窓口:直接問い合わせて確認することも可能です。

以下は、残高証明書の見本です。
融資額残高証明書

引用:“「融資額残高証明書」の見本”. フラット35. 2023-09-20. (参照2024-03-19)

2-2. STEP2:不動産会社に査定を依頼する

ローン残債を把握したら、次に「家がいくらで売れそうか」を調べます。
不動産会社に連絡し、物件の査定を依頼しましょう。

査定額はあくまで「売却見込み価格」ですので、担当する不動産会社によって異なります。
できる限り複数社の不動産会社に査定を依頼し、高く売れる可能性がないか確認しましょう。

また、不動産会社の行う査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。
まず簡易的な机上査定を実施し、その後、実際に物件を見て評価する訪問査定を実施する流れなら、効率的に不動産会社を比較できます。
正確な売却プランを立てるためにも、訪問査定まで受けることをお勧めします。

査定依頼の際は、NTTデータ・ウィズが運営する不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)を利用するとスムーズです。
不動産売却 HOME4Uは無料の一括査定サービスで、一度の入力で、厳選された提携不動産会社の中から最大6社にまとめて査定依頼ができます。

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不動産売却 HOME4Uから机上査定を依頼すれば、不動産会社と合わずに査定結果が分かります。
信頼できる不動産会社を見つけやすくなるので、ぜひご活用ください。

不動産売却塾 コラム“住み替えは「売り」と「買い」どっちが先?”

住み替えを行う場合、「売り先行(売却を先に始める)」と「買い先行(購入を先に始める)」のどちらで進めるかを決める必要があります。
買い先行は、現在の住まいが売れるまでローンが二重にかかるため、十分な資金的余裕が無いと、売り急ぎによる安売りを招きやすい方法です。

そのため、多くの方は売り先行で進めています。

26_売り先行の流れ
26_買い先行の流れ
住み替えについて詳しく知りたい方は「住み替えとは?住み替え時の手続きやリスク、成功させるポイントを全解説」をご覧ください。

2-4. STEP3:媒介契約を結んで売却活動を開始

査定内容や販売戦略に納得できる不動産会社を選んだら、売却を正式に依頼するための「媒介契約(ばいかいけいやく)」を結びます。
媒介契約を結んだら、売却活動を開始し、購入希望者の内覧対応などを行います。

住宅ローン支払い中の家売却では、ほとんどの場合で家に住みながら売却活動を行うことになるかと思います。
内覧に向けて日々の清掃など、様々な配慮が必要になりますが、早く高く売るためにも力を入れて取り組みましょう。

2-5. STEP4:売買代金決済と同時にローン完済

買主が見つかり、売買契約を締結したら、最後は「決済」と「引渡し」です。
ローン返済中の売却では、この日に以下の手続きを同時に行います。

売却代金決済日の流れ

買主が売却代金を決済したと同時に、売主は住宅ローンを完済します。
不足分の自己資金をこの日までに必ず準備し、自分の口座に入金しておく必要があります。

抵当権抹消登記は、本来一般の方でも行えますが、スムーズなやり取りが必要な、ローン中の家売却では司法書士に手続きをしてもらうのが一般的です。

3. ローン完済ができない(オーバーローン)場合の売却方法

「査定してもらったけど、どうやらローンを完済できそうにない…」
この場合は、「売れない」のではなく、「不足分をどう工面するか」という問題になります。
主な対処法は以下の3つです。

3-1. 住み替えローンを利用する

「住み替えローン」とは、旧居のローン残債と新居の住宅ローンをまとめて借り入れできるローン商品のことです。

住み替えローンを利用できれば、自己資金が足りないオーバーローンの状態でも、ローンを完済して抵当権を抹消できます。

住み替えローンを利用する場合には、仲介を依頼する不動産会社に相談してみましょう。

ただし、住み替えローンでは、購入物件の担保価値を上回る金額のローンを組みます。

金融機関からすると、万一の場合に融資額を回収できないリスクが大きいため、住み替えローンは審査が厳しい傾向にあります。

3-2. 自己資金や親族からの資金援助で補填する

貯蓄を取り崩したり、親や親族から資金を援助してもらったりして、不足分を補う方法です。

資金を「贈与」してもらう場合は、贈与税対策を考える必要があります。

  • 親族から贈与を受ける場合:年間110万円を超える贈与には贈与税がかかる可能性があります。「相続時精算課税制度」など、各種特例が利用できるか税務署や税理士に確認しましょう。
  • 親族から借り入れる場合:たとえ親子間でも「金銭消費貸借契約書」を作成し、返済計画を明確にしておくことが後のトラブルを防ぎます。

この方法は信用情報に影響がなく、手続きも比較的シンプルですが、贈与税の問題や、身内間の金銭トラブルに発展するリスクも考慮する必要があります。

3-3. 任意売却を検討する

住宅ローンを払えなくなって家を売却する」という方や、自己資金がなく住み替えローンも使えない方が、住宅ローン支払い中の家を売る方法の一つが任意売却です。

任意売却のメリット・デメリットは以下のとおりです。

任意売却のメリット

  • 競売や自己破産と異なり、プライバシーを守れる
  • 競売よりも高く売れる
  • 月々の返済額を減らせる
  • 費用をかけずに売却できる
  • 売却条件に自身の意向を反映できる

任意売却のデメリット

  • ローンの連帯保証人に迷惑がかかる
  • ブラックリストに掲載される可能性がある
  • 売却期間に限りがあり、早く売らないと競売になる
  • 売却価格が相場よりも低い
  • しばらく新規のローンが組めなくなる

返済が滞り、住宅ローンの支払いができなくなると家の競売や自己破産につながります。

住宅ローンの支払いが厳しい場合は、家を差し押さえられる前に任意売却を検討しましょう。

4.住宅ローン返済中に離婚した場合の注意点

住宅ローン返済中に離婚した場合、金融機関に相談のうえ、建物の所有名義を変えることはできますが、ローンの名義人や連帯保証人を変えるのは難しいケースが多いです。

本章では、離婚に伴い家の売却をする場合の注意点をわかりやすく紹介します。

新築購入後に離婚した場合の選択肢と売却方法については以下の記事もご覧ください。

4-1.不動産の名義人・住宅ローンの契約者を確認する

はじめに、法務局で不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得して不動産(土地・家)が誰の名義になっているかを調べましょう。

ただし、「不動産の名義人」と「住宅ローンの名義人」は異なる場合があります。

住宅ローンの返済を行うのは、「住宅ローンの名義人」です。

なお、住宅ローンの支払いに関わる方には、主に以下のような種類があります。

  • 主債務者:住宅ローンを借りた本人、返済義務を負う
  • 連帯債務者:住宅ローンが存続する限り、連帯して返済義務を負う
  • 連帯保証人:債務者がお金を返せない場合にのみ、返済義務を負う

4-2.離婚した場合、ローン残債は財産分与の対象になる

結婚してから購入した一戸建て、マンションなどの不動産は、単独名義でも共有名義でもローン残債を含めて離婚時の財産分与の対象になります。

不動産の財産分与の方法は、以下のとおりです。

  • 不動産を売却して現金で分ける
  • 不動産の評価額の半分を現金で渡す
  • ほかの財産で不動産分に相当する財産を補てんする

4-3.離婚しても連帯保証人の解除は難しい

例えば、夫名義で不動産を購入し、妻が連帯保証人になっている場合、離婚してもローンが残っている状態であれば連帯保証人の解除は難しいといえます。

なぜなら、住宅ローンを貸している金融機関にとって、名義人の離婚は住宅ローンとは関係ないとみなされるからです。

離婚時に連帯保証人を解除したい場合、金融機関に相談のうえ、以下の対応が必要です。

  • 住宅ローンを繰り上げ返済で完済する
  • 住宅ローンを借り換える
  • 対象の不動産を売却する

住宅ローンの繰り上げ返済や借り換えには、金融機関によって費用が必要なケースもあるので注意しましょう。

4-4.共有名義の場合、名義人全員の同意がないと売れない

一戸建てやマンションなどが夫婦共有名義であり、離婚時に夫や妻のどちらかが家に住み続けたいと主張した場合には、家を売却することはできません。

家の売却には、必ず名義人全員の同意が必要です。

4-5.住宅ローンを残したまま住み続けることはできる?

子どもの学校や通勤距離などの事情から、離婚後に夫と妻のどちらかが家に住み続けるケースはよくあることです。

ただし、以下の項目がどのようになっているかによって、必要な手続きや離婚後のお金のやり取りが大きく変わってきます。

  • 「家の名義人」と「住宅ローンの名義人」は誰なのか
  • 家に残る側にどのくらいの経済力があるのか
  • 最もシンプルな手続きはどのような方法なのか など

例えば、夫側の問題で離婚にいたったものの、子どもと一緒に家に残る妻の収入が高くない場合を考えてみましょう。

このケースでは、ローンの名義人である夫が慰謝料などの代わりに、住宅ローンを返済し続ける形が一般的です。

ただし、後述するように金融機関から無断賃貸を問われ、トラブルが起こる可能性もあります。

また、妻と子どもが家を出ていき、債務者である夫が家に残ってローンを払い続ける場合は、取り決めにしたがって毎月妻が夫にローンを払い続ける選択もできます。

妻が子どもの親権を持つ場合、住宅ローンの支払いと養育費を相殺することも選択肢の一つです。

離婚時に不動産はどうする?
財産分与の観点からすると、負債であるローンを離婚時に折半する必要はありません。
ただし、離婚後も住宅ローンの名義人がローンを返済し続ける必要があります。

一方で、家の売却金額が住宅ローン残債を上回るアンダーローンの場合は売却益から残債を引いた金額が財産分与の対象になります。

家を売却して現金化してから財産分与を行う、などのケースもあり、最適な選択は状況によって異なるため、離婚時にローン中の家をどうするのかは、財産分与の際にしっかり話し合うことが大切です。

5.ローン中の家を貸すならまずは金融機関に相談を

せっかく家を買ったのに転勤になってしまい、家を空けなければならないケースもあるかもしれません。しかし、住宅ローン返済中に無断で第三者に家を貸すことは避けましょう。

5-1.家を賃貸に出すなら金融機関に相談を

ローン中の家を貸す際には、はじめに金融機関に相談してください。

通常、居住用の住宅ローンの契約では、住宅ローンの名義人が「居住すること」を前提にローンを契約します。

そのため、住宅ローン返済中に本来の目的以外の用途で家を使う場合は、金融機関の許可が必要です。

「急に家を空けることになったため、賃貸に出したい」「誰かに住んでもらって、家の劣化を防ぎたい」と考えるのは当然の心理といえますが、自己判断で賃貸に出して金融機関とトラブルを起こさないよう、十分に注意しましょう。

5-2.賃貸用の住宅ローンへの切り替え

住宅ローン返済中の家を賃貸に出す場合、賃貸用の住宅ローンへの切り替えを行います。

住宅ローン返済中の金融機関に賃貸用の住宅ローンの取り扱いがなく切り替えができない場合は、ほかの金融機関で借り換えを行い、賃貸用の住宅ローンを新たに組みましょう。

賃貸用の住宅ローンに切り替えるときに注意しなければならないことは、金利です。

賃貸用の住宅ローンは、マイホーム向けの住宅ローンに比べ金利が高くなります。

もし借主がスムーズに見つかる物件であれば家賃収入を得られるため、住宅ローンの返済負担を減らすことも可能です。

しかし、なかなか借主が見つからない物件の場合、住宅ローンの支払いが増えてしまうので賃貸への切り替えは慎重に行ってください。

賃貸に出しても住宅ローンの支払いが厳しいとき、新たに購入したい物件があり二重ローンを避けたいときは家の売却を検討しましょう。

まとめ

住宅ローン支払い中の家は、ローン残債を自己資金や売却金額を併せて完済できれば売却できます。
たとえ35年ローンの途中で、残り34年の支払いが残っていたとしても、売却時に完済さえできれば売却可能です。

ローンが残っているなら、売り先行での売却を選択するのが一般的です。

売却の際には抵当権の抹消と引き渡しを同時に行いますが、抵当権を抹消するには住宅ローンを完済しなければなりません。

住宅ローン返済中の家を売るときのポイントは、以下のとおりです。

  • ローンが完済できるか、ローン残債から査定額を引いて確認
  • オーバーローンになるのか、アンダーローンになるのかを見極める

住宅ローン返済中の家を売却する際は、まず正確なローンの残債の確認と、ローンを完済する計画を立てることが重要です。

ローン残債と家の大体の売却額を把握し、オーバーローンの場合は、自己資金や住み替えローンを利用しましょう。

また、売却後は少しでも負担を減らすために、確定申告を行い「税金の特例」を使うことをおすすめします。

住宅ローン返済中の家を売りたい方は「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」を活用し、信頼できる不動産会社に査定を依頼しましょう。複数社の査定額や対応を比較して、仲介を依頼する不動産会社を決めることが大切です。

この記事を読んで、「査定を依頼してみようかな」と感じた方は、以下のボタンから売却したい地域を選択して一括査定依頼をしてみてください。

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この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット