旗竿地(はたざおち)とは?メリット・デメリットや接道義務について詳しく解説

旗竿地とは メリット・デメリット

旗竿地(はたざおち)とは、旗のような形状の土地のことで、地域の特性や建築基準法の「接道義務」によって生じます。旗竿地を有効活用するには、メリット・デメリットを把握しておく必要があります。

本記事では、旗竿地と接道義務の関係性やメリット・デメリット、旗竿地を購入する際のチェックポイントなどについて解説します。

この記事を読むと分かること
  • 旗竿地の特徴と旗竿地が生まれる2つの要因
  • 旗竿地を購入するメリット・デメリット
  • 旗竿地を購入する前にチェックすべきこと
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1.旗竿地(はたざおち)とは?

路地

はじめに、旗竿地の特徴と旗竿地が生じる要因、接道義務との関係性などについて解説します。

1-1.旗竿地とはどのような土地?

旗竿地とは、道路に面した間口が細長く、奥にまとまった敷地がある土地のことです。地図上で見ると、竿に旗がついたような形状であることから、旗竿地という名称がつきました。

旗竿地とは

このほか、旗竿敷地、敷地延長、路地状敷地などと呼ばれることもあります。

家を建てるために土地を探す際には、さまざまな形状をした土地が見つかるでしょう。土地は主に、四角く平らな「整形地」と、三角形などの特殊な形状であったり、高低差があったりする「不整形地」に分類されます。

旗竿地は不整形地の一種で、都心部に多く見られる傾向にあります。

1-2. 旗竿地ができる要因と接道義務の関係性

都心部に旗竿地が多い理由には、建築基準法による「接道義務」が関係しています。

接道義務とは、幅員4メートル以上の建築基準法で定められた道路沿いに敷地の一辺が2メートル以上接地していなければならないという決まりのことです。これを満たさないと、その土地に建物を建てることはできません。

接道義務とは

参考:“建築基準法(第四十三条)”. e-Gov法令検索. (参照2024-03-29)をもとに、HOME4Uが独自に作成

都市部は土地の需要が高いこともあって、土地を分割するケースがよくあります。これは、価格が高い土地を分割して価格を下げる、または使いやすい広さに分割して販売したほうが売却しやすくなるからです。その過程で土地の一部が細長くなり、旗竿地ができるのです。

また、1つの土地を四角い整形地で分割すると、その一つひとつが長細い土地になり、かえって使い勝手が悪くなることもあります。不便な土地にならないよう、あえて旗竿状に土地を分割することもあるようです。

旗竿地が出来るのはなぜか

なお、道路から離れた土地の場合、接道義務を守るためにやむを得ず旗竿地になるケースもあります。

2.旗竿地のメリット

住宅のコスト

整形地にはない、旗竿地ならではのメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

2-1.近隣の相場より価格が安い

旗竿地は特殊な形状であるため、周辺の土地の相場よりも価格が安くなるのが一般的です。似た条件の土地の相場と比べて、2~3割ほど安く購入できることも珍しくありません。

旗竿地が安い理由は、不整形地の坪単価は低く設定されることが多いからです。路地の部分を含めた敷地面積が広い土地であっても、奥の敷地面積と同じ整形地と価格が同程度になるケースもあります。

土地代を抑えられれば、建物や設備などに予算を回すことができるでしょう。

2-2.静かな環境で安心して暮らせる

旗竿地に住宅を建てる場合、道路から奥まった敷地に建設します。道路の騒音が届きにくく、通行人の視線も気にならないため、静かで落ち着いた環境で生活することが可能です。

また、小さいお子さんがいたり、ペットを飼っていたりする場合、路地があることで道路に飛び出すリスクを軽減できるのは、旗竿地ならではのメリットといえます。

道路と接する間口や敷地の境界部分など、ポイントごとのセキュリティを強化すれば、防犯対策も心配ありません。

2-3.路地部分を自由に活用できる

整形地に駐車場を設置する場合には、四角い土地のなかに駐車場用の土地を確保することになります。その結果、残った不規則な形状の土地に家を建てなければならなくなるケースもあるでしょう。

一方、旗竿地であれば、路地の土地をそのまま駐車場として活用できます。また、駐車場だけでなく、ガーデニングや家庭菜園、玄関までのアプローチなど、路地を自由に活用できるのは旗竿地ならではのメリットです。

2-4.路地の面積により大きな家を建てられる

敷地に対して建てられる建物の大きさは、建ぺい率や容積率によって制限されます。

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。風通しや防災の観点から、敷地面積ギリギリに建物を建てることはできず、ある程度ゆとりを持つ必要があります。

一方の容積率は、敷地面積に対する延べ床面積の割合のことです。延べ床面積とは、各階の床面積を合算した数値です。容積率により、敷地面積に建てられる建物の高さや階数が制限されます。

旗竿地の場合、路地の部分も敷地面積として算入できるため、建築可能な建物の面積が大きくなります。容積率に基づく高さ制限に問題がなければ、3階建てなど大きな家を建てることも可能です。

3.旗竿地のデメリット

路地と住宅の模型

旗竿地を購入する前に、具体的なデメリットを把握しておくことが大切です。

3-1.風通しや日当たりが良くない

旗竿地は広い土地を分割することでできるため、周囲を建物で囲まれることになるのが一般的です。したがって、日当たりや風通しが悪くなりやすい傾向にあります。

旗竿地を購入する前に、どの方角に建物があるか確認しておくことが大切です。

ただし、設計の工夫次第で、風通しや日当たりを良くすることも可能です。具体的には、天井を高くする、吹き抜けや高窓を設ける、中庭に大きな窓を設置するなどの方法があります。

また、リビングやダイニングを日当たりの良い2階以上に設置して、風通しと日当たりを良くする方法も有効です。

3-2.建設コストが高くなりやすい

旗竿地は安く購入できる反面、建設のコストが高くなることがあります。

旗竿地では、奥まった土地に家を建てる必要があり、路地が細いと工事車両や重機の乗り入れが難しくなるためです。仮に重機が入れなかった場合、職人の手作業で工事を進めるため、建設コストは高くなりがちです。

また、外構工事のコストも高額になる可能性があります。

土地の境界に塀やフェンスがない場合、新たに塀やアプローチなどの外構を設置しなければなりません。路地を駐車場にする際、長い路地にコンクリートを敷くだけでも外構工事のコストがかさみます。

加えて、土地によっては水道や電線などのインフラが通っていないこともあるので、事前の確認が必要です。

3-3.2メートルの接道幅は、駐車場にするにはやや狭い

路地の部分は駐車場に活用できる反面、接道の幅が2メートルしかないと、駐車場としては狭く感じることもあるでしょう。1つの土地を分割する旗竿地では、2メートルちょうどに接することで接道義務を果たすケースも少なくありません。

2メートルの幅の駐車場では、車の横を通り抜けるときや、ドアを開閉するときに不便を感じるかもしれません。

3-4.防犯や騒音の対策が必要

旗竿地は奥まった土地に建物を建てるため、通行人の目が届きにくいことはメリットといえます。しかし、周囲が建物に囲まれることで「死角」が多くなり、犯罪の被害に遭うリスクが高まるというデメリットもあります。

路地の間口や境界部分に加え、窓や玄関のセキュリティの強化、ホームセキュリティに加入するなどの防犯対策を行ないましょう。

また、旗竿地では路地部分も敷地面積に算入されるため、敷地の外周の限界まで建物を建てられます。しかし、大きな家を建てられる反面、周辺住宅との距離が近くなり、騒音問題が生じる可能性もあります。

リビングを2階に設置する、防音効果が高い「高気密高断熱住宅」を建てる、といった防音対策を検討する必要があるでしょう。

4.旗竿地で問題になる「再建築不可」とは?

建物と建物のすき間

前述のとおり、建築基準法の接道義務では、幅員4メートル以上の道路に2メートル以上の敷地が接していなければなりません。

接道義務の目的は、災害時の避難経路のほか、緊急車両の作業スペースを確保することにあります。したがって、接道義務を果たしていない土地では、既存の建物を壊して更地にし、そこに新たな建物を建てる、いわゆる再建築ができません。

再建築不可の土地とは

旗竿地のなかには、接道義務を果たしておらず、再建築ができない土地も少なくありません。旗竿地の購入を検討している場合には、次章で紹介する3つのポイントを必ず確認しましょう。

5.旗竿地を購入する前に確認すべき3つのポイント

旗竿地の購入を検討する際は、以下の項目をチェックしましょう。

5-1.路地部分の幅を確認する

旗竿地を購入する前に、道路と接地する路地の幅が2メートル以上あるか、必ず確認しましょう。

接地幅が2メートルに満たない旗竿地を購入しても、再建築や建て替えなどが自由にできません。相場よりも極端に安い旗竿地は、接地部分が2メートル未満であるケースが多いので、特に注意しましょう。

また、地域の条例によっては、路地部分の長さが一定を超える場合、接道部分の幅が3メートル以上必要になることもあります。例えば、路地部分の長さが20メートルを超える場合には、3メートル以上の幅が必要だったり、長さ15メートル以上25メートル未満の場合には、幅4.5メートル以上が必要だったり、細かいルールは地域によって異なります。

参考:“路地状部分の敷地と道路との関係について”. 一宮市

なお、中古物件つきの旗竿地の場合、「再建築不可物件」として販売されているケースも見受けられます。

再建築不可物件とは、既存の建物を壊して新しい建物を建てることができない土地のことを指します。建築基準法が制定された1950年(昭和25年)以前、または都市計画法が制定された1968年(昭和43年)以前に建てられた建築物の一部が、これに該当します。

5-2.電気や水道など引き込みの有無を確認する

旗竿地には、電気や水道などのインフラ設備が整っていないケースもあり、その場合はそれぞれを引き込むための工事が必要です。旗竿地では路地部分が長いほど工事費用が高額になるため、あらかじめ引き込みの有無を確認しましょう。

建物で囲まれた旗竿地は、電線や水道管が隣接地を通っていることがあります。特に、道路から電線を引き込むのが困難な場合、敷地内に私設の支柱を立てたり、地中に通したりする必要があるため、より工事費が高額になるケースも少なくありません。

引き込み工事が必要な場合には、複数の会社から見積もりをとって、費用を比較検討することが大切です。

5-3.工事車両が入れるか確認する

工事でクレーンや重機を使う場合、問題なく路地を通れるか確認しましょう。旗竿地は前面の道路に重機を停めて作業するのが難しく、敷地内にスペースを確保する必要があるためです。

仮に重機が路地を通れない場合、工期が長くなり、職人の人件費もかさみやすいため、注意しましょう。

まとめ

旗竿地は整形地よりも価格が安く、プライバシーを確保できるといったメリットがあります。しかし、特殊な形状ゆえに、工事のコストが高くなりやすく、防犯や防音対策も必要です。

また、旗竿地のなかには、接道義務を果たせていない再建築不可の土地も存在します。旗竿地の購入を検討する場合は、道路との接地部分の幅を必ず確認してください。

旗竿地には工夫次第で広く快適な家を建てられるため、メリット・デメリットの両面を考慮したうえで、購入を決断しましょう。

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