古家付き土地を高く売却する方法と、気になる税金を解説

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売却しにくい古家を売るテクニックの一つに「古家(ふるや)付き土地」として売る方法があります。

古家付き土地とは、物件の見せ方・表現の仕方の1つですが、古家付き土地として売却することで、更地を求めている人に訴求することが可能です。

目線や視点を変えることで、ネガティブに捉えられていたものがポジティブになるということは良くあります。

古家付き土地売却は、「古家」というネガティブな要素を隠し、買主の意識を「土地」という魅力的な部分を浮き立たせる売却手法です。

この記事では古家付き土地売却についてお伝えいたします。
古家付き土地売却のメリット・デメリット、価格水準や注意点について分かるようになります。

最後まで読んでいただければ、その古家、取り壊す必要がなくなるかも!?
余分なお金をかけることなく、スムーズな売却を目指しましょう。

売却を考えているけど、難しい話をたくさん読むのは苦手」「すぐに売却したい」という方は、この記事をざっくりと大枠で押さえた上で、まずは「HOME4U(ホームフォーユー)」を使って複数の不動産会社にまとめて売却査定を依頼してみることをおススメします。
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1. 古家付き土地とは

古家付き土地とは、売却しにくい古い家を売るための昔からあるテクニックです。

「この物件は土地ですけど、古い建物が残っていますよ」と表現することで、土地を探している人に訴求するための広告表現になります。

古い家を無理矢理売りつけるよりも、土地を売る方が簡単です。
古家付き土地は、古い家が残っていても、「建物には価値はありません」と自ら表現することで、土地を買いたい人に訴求することができます。

「物は言いよう」の世界ではありますが、古家付き土地として売り出すことで、土地にスポットライトを当てることができるのです。

古屋を取り壊さず、古屋付き土地として売却する場合の以下のようなメリットがあります。

  • 取り壊し費用がかからない
  • 固定資産税を節約できる
  • 古屋がマイホームであれば、3000万円特別控除の使用期間が少し伸び、売却期間にゆとりを持てる。

一方、古屋を取り壊したほうが良いケースは以下になります。

  • 一刻も早く売りたい場合
    建物の取り壊し費用は購入者負担であり、そのため購入希望者が減るので、一刻も早く売りたい場合は取り壊してください。
  • 少しでも高く売りたい場合
    古屋付き土地の購入価格には取り壊し費用も入っており、更地価格よりも安くなりやすいので、少しでも高く売りたいときは取り壊してください。

2. 古家付き土地として売却するメリット

この章では古家付き土地として売却するメリットについて解説します。

2-1. 取壊し費用がかからない

古家付き売却は、取壊し費用がかからないというメリットがあります。
取壊し費用は、木造住宅であれば、坪4~5万円が目安です。

例えば、2階建てで延べ床面積が30坪ある木造住宅なら、解体費用は120万円~150万円となります。

取壊し費用は結構な金額となりますので、支出が抑えられるという意味では大きなメリットがあるといえるでしょう。

2-2. 土地の固定資産税が安いまま売れる

土地の上に住宅が建っていると土地の固定資産税および都市計画税が安くなります。
これを固定資産税の住宅用地の特例と呼びます。

古家付きのままで売れば、土地の固定資産税が安いまま売却活動ができるというメリットがあります。

固定資産税は、以下の式で求められます。

固定資産税 = 課税標準額×税率

固定資産税の税率は1.4%都市計画税の税率は標準で0.3%となります。

住宅用地の特例が適用されると、課税標準額は固定資産税に以下の係数を乗じて求められます。

区分 定義 固定資産税の係数 都市計画税の係数※
小規模住宅用地 住宅用地で住宅1戸につき200平米までの部分 1/6 1/3
一般住宅用地 小規模住宅用地以外の住宅用地 1/3 2/3

※東京23区はさらに1/2

例えば、住宅用地の特例が適用される固定資産税の課税標準額の計算式は以下の通りです。

小規模住宅用地の課税標準額 = 固定資産税評価額×1/6
一般住宅用地の課税標準額 = 固定資産税評価額×1/3

土地の固定資産税および都市計画税は、住宅が建っていると住宅用地の特例によって課税標準額が低くなり、税金が小さくなる仕組みがあります。

住宅用地の特例は、空き家のままでも適用されます。

古家でも家さえ残っていれば固定資産税を抑えることができるため、古家付き売却は固定資産税が安いまま売却活動ができるというメリットがあるのです。

2-3. マイホームなら3,000万円特別控除を使える期間が少し長い

古家がマイホームである場合、古家付きのまま売ると3,000万円特別控除を使える期間が少し長く、売却期間に余裕が持てるというメリットがあります。

不動産を売却する際、譲渡所得が発生すると所得税、住民税、復興特別所得税の税金が発生します。
譲渡所得とは、以下の計算式で表されるものになります。

譲渡所得 = 譲渡価額※1-取得費※2-譲渡費用※3

※1 譲渡価額とは売却価額です。
※2 取得費とは、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額になります。
※3 譲渡費用は、仲介手数料や印紙税、測量費など、売却に要した費用のことです。

ここで、古家がマイホームだった場合、3,000万円特別控除という税金特例を利用することができます。

3,000万円特別控除を利用すると、譲渡所得が以下の計算式で算出されるようになります。

譲渡所得 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用-3,000万円

上式による計算の結果、譲渡所得がマイナスになるようであれば、譲渡所得はゼロとして扱われ、売却による所得税・住民税・復興特別所得税は発生しないことになります。

3,000万円特別控除を利用するには、売却する不動産が居住用財産としての要件を満たしていることが必要です。

居住用財産とは、以下の要件のいずれかに該当するマイホームのことになります。

居住用財産の定義

  1. 現に居住している家屋やその家屋と共に譲渡する敷地の譲渡の場合
  2. 転居してから3年後の12月31日までに、居住していた家屋やその家屋と共に譲渡するする敷地の譲渡の場合(この間に貸付や事業用に供していても適用となる)
  3. 災害などにより居住していた家屋が滅失した時は、災害のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、その敷地だけ譲渡する場合
  4. 転居後に家屋を取り壊した場合には、転居してから3年後の12月31日までか、取り壊し後1年以内か、いずれか早い日までに譲渡する場合(取り壊し後にその敷地を貸し付けたり、事業の用に供したりすると適用外となる)

古家が空き家の場合、要件2の「転居してから3年後の12月31日までに、居住していた家屋やその家屋と共に譲渡するする敷地の譲渡の場合」に該当すれば3,000万円特別控除を利用できることになります。

つまり、空き家にしてから3年後の12月31日まで売れば、3,000万円特別控除の利用が可能です。

一方で、解体すると、要件4の「転居後に家屋を取り壊した場合には、転居してから3年後の12月31日までか、取り壊し後1年以内か、いずれか早い日までに譲渡する場合」に該当します。

つまり、解体してしまうと3,000万円特別控除を利用できるチャンスは最長でも1年間しかないため、急いで売る必要性が生じます。

焦って売ることは安く売ることに繋がります。

古家付きのままであれば、3,000万円特別控除が利用できる時間が十分にあり、余裕を持って売却できるメリットがあるのです。

2-4. 土地が広く見える

更地は狭く見えるので、古家が残っていると土地が広く見えるというメリットはあります。

ただし、だからといって高く売れるわけではありません。
綺麗な家が残っていれば、購入後のイメージが付きやすいこともありますが、古家は全体的な不動産の印象を下げてしまいます。

あくまでも副次的なメリットとして考えておけば良いでしょう。

3. 古家付き土地の価格を知るならまずは査定から

古家付き土地の価格は、査定する不動産会社によって価格がかなり異なります。

古家付き土地を売却する場合には、必ず複数の不動産会社に査定を依頼するようにしてください。

古家付き土地は、ある会社が取壊し前提の価格で査定したとしても、別の会社は建物に存続価値を認めて査定する場合もあります。

見方に差が出る理由としては、不動産会社の経験値や、エリアにおける需要の把握等に差があるためです。

古家付き土地は、査定価格がバラつく典型的な不動産ですので、きちんと価格を調べて高く売却してくれる不動産会社を探すようにしましょう。

複数の不動産会社に古家付きの土地の査定を依頼するのであれば、「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」の利用がおススメです。

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不動産売却 HOME4U」には、売却する不動産が存するエリアにおいて、「戸建て」または「土地」の売却を得意とする不動産会社に自動で査定依頼できる仕組みになっています。

古家付き土地のような査定価格がバラつく不動産は、そのエリアで売却実績の高い不動産会社に依頼した方が高く売れる可能性が高まります

しかしながら、いざ古家付き土地を売却しようとしても、どの不動産会社が「戸建て」や「土地」の売却が得意なのか、検討が付きません。

HOME4Uでは、運営会社である株式会社NTTデータスマートソーシングが売主に代わって不動産会社の得意な物件種別(戸建てやマンションのこと)や得意エリアをしっかりと選別してくれています。

利用者は、「この不動産会社は戸建てが得意なのだろうか?」等の心配をする必要がなく、安心して利用できて大変便利です。
HOME4Uを利用することにより、古家付き土地を少しでも高い価格で売却することができます。

HOME4Uで査定依頼した後は、査定価格の理由についてしっかり聞くようにしてください。

査定価格には、「この建物なら買主がそのまま利用すると思いますよ」とか、「取壊し費用の分だけマイナスになります」等の理由があるはずです。 理由をしっかりと聞き、価格の説明に納得感のある不動産会社を選ぶようにしましょう。

4. 古家付き土地として売却するデメリット

この章では古家付き土地として売却するデメリットについて見ていきます。

4-1. 売却しにくくなる

古家付き土地として売却すると、基本的には売却しにくくなります。

古家付き土地を求める人は、基本的には更地を購入したい人が中心となりますが、古家付きで購入する場合、購入者が取壊し費用を負担する必要が出てきます。

取壊し費用については、住宅ローンの対象にはならないという特徴があります。
古家付き土地を購入して注文住宅を建てたい人であれば、取壊し費用を自己資金でねん出する必要が生じます。

注文住宅を建てる人で、150万円前後の取壊し費用をすぐに出せる人は、多くはいません。
150万円のお金があっても、新築建物の方に充当したがる人の方が多いです。

そのため、古家付き土地として売却すると、個人の購入者が激減します。
主たる需要者が戸建分譲や更地転売を目的とした不動産会社に絞られるため、売りにくくなります。

購入需要者が減れば、買手が見つかる確率が下がりますので、売却までに時間がかかります。
スムーズに売りたいのであれば、取り壊した方が良いでしょう。

4-2. 価格が安くなる

古家付き土地として売却すると、価格が安くなります。
購入者は取壊し費用を見込んで購入するケースが多いため、その分、価格は下がります。

更地分譲を目的とした不動産会社が購入すれば、敷地内に道路等も作る必要があるため、さらに価格が安くなります。

古家付き土地売却は、取壊し費用がかからないため、一見すると経済的なメリットがあるような気がします。

しかしながら、売却価格を安くする売り方でもあるため、必ずしも経済的にメリットがあるとは言い切れません。

ただし、「自分で取壊し費用を捻出する必要がない」、「解体工事を依頼する必要がない」等の意味ではメリットがあります。

本来であれば売主として負担するはずであった解体費用や解体工事の手間を買主に移転させることになるため、売主には安い価格となって跳ね返ってくるのです。

古家付き土地は、更地価格よりも安くなることが多いため、高く売りたいのであればやはり売主側で取り壊した方が良いでしょう。

4-3. 建物に価値を見出す人に訴求しにくくなる

古家付き土地として売ると、建物に価値を見出す人に訴求しにくくなります。

古家付き土地は、目線を変えるための昔からあるテクニックの一つですが、近年は古民家ブームですので、古家を「古民家」として売るテクニックも注目されています。

築40年くらいの建物でも、古民家として売り出している物件もあり、「これが古民家なのか?」と思う物件も多いです。

しかしながら、古民家専門の不動産会社も登場しており、売却が難しいと思える古い家でも、古民家として上手に高く売却している成功例もあります。
古い家に価値を見出す人は、取り壊しを前提としていないため、高く購入してくれます。

土地に注目させ過ぎると、昨今の古民家ブームのニーズを取りこぼしてしまうというのがデメリットです。

5. 古家付き土地価格の3つのパターン

古家付き土地価格には、3つのパターンがあります。

5-1. 建物に存続価値があるときの価格

建物価格は一般的に築20~25年で価格がゼロと査定されます。

古家付き土地の物件で、建物に存続価値があり、取り壊す必要のない場合には、古家付き土地の価格は「土地価格のみ」となります。

建物に存続価値があるときの古家付き土地の価格 = 土地価格

例えば、築30年程度の建物であれば、取り壊す必要もなく、建物も十分に利用が可能です。
しかしながら、市場価格としては値段が付かないためゼロと査定されます。

そのため、築25年超の建物が残っており、かつ、買主が十分に利用できる建物であれば、古家付き土地の価格は「建物価格なゼロ、土地価格のみ」となります。

5-2. 取壊し前提の価格

建物に存続価値がなく、取壊しが妥当である場合には、「土地価格から取り壊し費用を控除した価格」が古家付き土地の価格です。
つまり、古家が残っていることで価格が土地価格よりも安くなります。

取壊し前提の古家付き土地の価格 = 土地価格-取壊し費用

古家付き土地は、更地を求めて購入する人がターゲットとなりますので、基本的にはこの取壊し前提の価格が主たる価格となります。

築何年したら取り壊すというルールはありませんが、築40年超の建物となると取壊し前提で物件を見る人が多くなります。

ただし、定期的に外壁塗装を実施している等、維持管理がしっかり行き届いている物件であれば、築40年超の建物であっても建物の存続価値が見込まれます。

建物の存続価値があれば、価格は「土地価格」まで上がります。

5-3. 開発素地としての価格

広い土地で古家付き土地の場合、価格は取壊し前提の価格よりもさらに安くなります。

広い土地の場合、不動産会社が土地を分譲する目的で購入します。

分譲とは、広い土地を小さく区画割して販売する行為です。
将来分譲される前の土地のことを「開発素地」と呼びます。

土地は、道路幅員が4m以上の建築基準法上の道路に、2m以上の間口が接していないと建物を建てることができません。

そのため、広い土地を区画割して、販売用の土地を作るには、敷地内に新たに道路を作る必要があります。

道路の新設を必要とする土地においては、道路の部分に価値がないため、道路の面積分だけ、さらに価格が落ちます。

開発素地となると、建物取壊し費用に加え、道路の部分の価格も土地価格から控除された価格が古家付き土地の価格です。

開発素地の古家付き土地の価格 = 土地価格-取壊し費用-道路相当の価格

周辺の標準的な戸建用地に比べて、広い土地の場合には、価格がかなり安くなる可能性があるということを知っておきましょう。

6. 古家付き土地を売却する際の注意点

古家付き土地は、更地に興味がある方に訴求するための売り文句であるため、リフォームはもちろん不要です。

この章では古家付き土地を売却する際の注意点について解説します。

6-1. 境界明示ができる状態にする

土地を売却する場合、売主には境界明示義務があります。

手元に「確定測量図」という名称の実測図があれば全ての境界は確定済みですので、境界明示が可能です。
分譲地として購入した土地であれば、確定測量図はあるものと思われます。

一方で、古くから持っている土地の場合、境界が確定していないことがあります。

境界確定ができていない土地は、まずは測量を行い、境界明示ができる状態にした上で売却活動に取り掛かるようにしましょう。

6-2. 瑕疵担保責任は全て免責する

民法(2019年9月時点)では、売主は瑕疵(かし)担保責任を負うことになっています。

瑕疵担保責任とは、売却後に瑕疵が発見された場合に売主が負う損害賠償や契約解除等の責任のことです。
瑕疵とは雨漏り等の通常有すべき品質を欠くことを指します。

築年数が相当に経過した古家は、多くの瑕疵が潜んでいると考えられるため、そのまま売却してしまうと、売主が瑕疵担保責任を追及されてしまう可能性が高いです。

そのため、古家付き土地の売却では、売主の瑕疵担保責任は全部免責した状態で売却するようにします。

民法の瑕疵担保責任は、「任意規定」と呼ばれ、買主が同意すれば民法の規定と異なる契約をしても有効です。

瑕疵担保責任の全部免責は、後から主張すると買主から値引きを要求される原因となります。

そのため、古家付き土地の売却の場合には、最初からチラシ等で「瑕疵担保責任は全部免責」を条件に謳って売却を行います

チラシで謳っておけば、瑕疵担保責任は全部免責であることを分かった買主が購入することになりますので、トラブルになることはありません。

不動産会社には瑕疵担保責任は全部免責したい旨をきちんと伝えるようにしましょう。

6-3. ゴミは処分する

古家付き土地を売却する際は、古家の中にあるゴミは必ず処分した上で売却するようにしてください。

「どうせ買主が壊すのだから、ゴミや家具等は全て残して良いだろう」と思う人がいますが、解体前提だからこそゴミは残してはいけないのです。

理由としては、家の中にあるゴミは家庭の中から出てくるゴミなので、一般廃棄物に分類されます。
一方で、解体工事で排出されるゴミは産業廃棄物になります。

解体会社は、産業廃棄物については運搬等を行うことができますが、一般廃棄物については運搬許可を取っていないことが多いので、持ち出すことができません。

つまり、一般廃棄物の残っている古家は、解体会社がすぐに取り壊せないことになります。

古家付き土地は、古家があることでただでさえ売却しにくくしている状況です。
そこにゴミまで加わってしまうと解体もしにくくしているため、さらに売却しにくくしてしまいます。

古家付き土地で売却するのであれば、購入後、買った人がすぐに取り壊せるようにゴミについてはすべて廃棄するようにしましょう。

7. 相続した空き家なら検討したい3,000万円特別控除

古家が相続した空き家の場合、居住用財産(マイホーム)ではなくても、一定の要件を満たすと3,000万円特別控除を利用することができます。

「相続空き家の3,000万円特別控除」が利用できれば、居住用財産の場合と同様に譲渡所得は以下のように計算されます。

譲渡所得 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用-3,000万円

ここでは、相続した空き家で利用できる3,000万円特別控除について解説します。

7-1. 適用要件

「相続空き家の3,000万円特別控除」を利用するには、適用要件を満たす必要があります。

1つ目として家屋の要件があります。

家屋の要件

  • 相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋であること
  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
  • 区分所有建築物(マンション等)以外の家屋であること
  • 相続の開始直前においてその被相続人以外に居住していた者がいなかったこと
  • 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと

ポイントは、古家が「昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること」が必要であるという点です。

2つ目として、適用期限についても定めがあります。
適用期限は相続したタイミングと売却の期限を定めており、その要件は以下の通りです。

適用期限

平成28(2016)年4月1日から令和5(2023)年12月31日までの間で、かつ、相続のときからその相続の開始のあった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡したもの

既に相続が発生している場合には、平成28(2016)年1月2日以後の相続から適用となります。
平成28(2016)年1月2日以後の相続の場合、売却の期限は令和元(2019)年12月31日までですので、今から急げば間に合います。

3つ目として譲渡の要件があります。
譲渡の要件は以下の通りです。

譲渡する方の要件

相続又は遺贈(死因贈与を含む)により取得した相続人

譲渡する際の要件

  1. 譲渡価格が1億円以下であること
  2. 家屋を譲渡する場合、譲渡時において、その家屋が現行の耐震基準に適合するものであること

譲渡の要件の中に、「譲渡時において、その家屋が現行の耐震基準に適合するものであること」という要件があります。

これは、古家が現行の耐震基準を満たしていないと適用できないということを意味しています。

しかしながら、昭和56年5月31日以前に建築された家屋は、旧耐震基準である可能性が高いため、そのまま売ると「相続空き家の3,000万円特別控除」は適用できないことになります。

よって、「相続空き家の3,000万円特別控除」の特例を適用するには、以下のいずれかが必要となります。

  1. 耐震診断を行って新耐震基準に適合していることを証明する。
  2. 耐震リフォームを行う。
  3. 建物を取り壊す。

昭和56年(1981年)5月31日以前に建築確認申請を行った建物であっても、建築士の計らいで新耐震基準並みの耐震強度を持つ建物になっている場合もあります。

そのような建物であれば、耐震診断によって新耐震基準に適合していることを証明できれば特例の適用は可能です。

また、昭和56年5月31日以前に建築された家屋は、多くの場合、旧耐震基準の設計となっていますので、耐震基準を満たしていない場合には、耐震リフォームを行うことになります。

耐震リフォームをしたくない場合には、以下の要件を満たせば取壊して売却することも可能です。

  1. 取り壊した家屋について相続の時からその取壊しの時まで事業の用、貸付の用又は居住の用に供されていたことがないこと
  2. 土地について相続の時からその譲渡の時まで事業の用、貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと

古家をわざわざ耐震リフォームをするのは非現実的ですので、取壊しを選択する人も多いです。

「相続空き家の3,000万円特別控除」を利用するには、古家付きだけでなく、取壊しの選択肢もあることを知っておきましょう。

7-2. 取得費が不明の場合は取り壊しも検討してみる

「相続空き家の3,000万円特別控除」が適用できそうなケースでは、取得費が不明の場合は取り壊しを積極的に検討してみることをおススメします。

譲渡所得とは、以下の計算式で求められるものでした。

譲渡所得 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用

ここで、取得費とは、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額です。

しかしながら、相続した不動産では、購入額が分からず取得費が不明なことが良くあります。

取得費が不明な概算取得費を用います。
概算取得費とは、「譲渡価額の5%」です。

例えば、売却価額が2,000万円の場合、概算取得費は100万円となります。
概算取得費を用いた場合には、譲渡所得が大きく計算され、税金が高くなります。

譲渡所得が発生した場合、税金は譲渡所得に税率を乗じることで求められます。

譲渡所得に対する税率は不動産の所有期間によって決まります。
所有期間は、不動産を譲渡した1月1日時点において判定されます。

それぞれの税率は以下の通りです。

所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率
短期譲渡所得 5年以下 30% 9%
長期譲渡所得 5年超 15% 5%

2037年までは「所得税」に対して一律2.1%をかけた金額が「復興特別所得税」として納税額にプラスされます。

相続した場合、所有期間も引き継がれますので、親の所有期間が5年超の場合、相続後、すぐに売却しても長期譲渡所得の適用が可能です。

所得税と住民税だけを考慮すると、税率は譲渡所得に対して20%ということになります。

ここで、以下の条件で概算取得費を用いた場合の税金をシミュレーションしてみます。
話を単純化するため、復興特別所得税については考慮外とします。

売却額:2.000万円
取得費:不明
譲渡費用:60万円
所有期間:5年超
税率:20%(所得税率15%+住民税率5%)
古家の延床面積:30坪

概算取得費を用いると、税金については以下のように計算されます。

譲渡所得 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用
     = 譲渡価額-概算取得費-譲渡費用
     = 2,000万円-2,000万円×5%-60万円
     = 1,840万円

所得税および住民税 = 譲渡所得×税率
          = 1,840万円×20%
          = 368万円

「相続空き家の3,000万円特別控除」を適用しないで売却すると、税金が368万円もかかることになりました。

一方で、古家を取壊して「相続空き家の3,000万円特別控除」を利用することを考えます。
上記の事例では、古家の延床面積は30坪でした。

仮に、古家の解体費用を坪5万円で計算すると、取壊し費用は以下のようになります。

取壊し費用 = 延床面積×坪単価
      = 30坪×5万円
      = 150万円

150万円の取壊し費用をかけて、「相続空き家の3,000万円特別控除」を適用すると、譲渡所得は以下のように計算されます。

譲渡所得 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用-3,000万円
     = 譲渡価額-概算取得費-譲渡費用-3,000万円
     = 2,000万円-2,000万円×5%-60万円-3,000万円
     = ▲1,160万円
     = ゼロ
 (マイナスの場合はゼロとなる)

上記の場合、譲渡所得はゼロになるため、所得税等は発生しません。
所得税等が発生していれば368万円かかりましたが、150万円の取壊し費用によって支出を圧縮できることができました。

税金面も考慮すると、この場合は建物を取り壊した方が得ということになります。

「相続空き家の3,000万円特別控除」を利用できるケースでは、取得費が不明の場合は取り壊した方がメリットはある場合が多いので、取り壊すことを積極的に検討してみましょう。

尚、取壊しについては、タイミングが重要です。

固定資産税については、1月1日の状態で判断されますので、1月1日を過ぎた時点で解体すれば、その年は住宅用地の特例が適用されますので、固定資産税が安いまま売却することができます。

取り壊すのであれば、1月1日を過ぎてから解体し、その年の12月31日までの間に売却するようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか。
古家付き土地の売却について解説してきました。

古家付き土地売却とは、古家を残したまま土地を探している人に訴求するための広告表現になります。

古家付き土地売却では、売主に取壊し費用がかからない等のメリットがありますが、価格が安くなる等のデメリットもあります。

そして古家付き土地の価格には、「建物に存続価値があるときの価格」、「取壊し前提の価格」、「開発素地としての価格」の3つのパターンがありました。

査定する不動産会社によって価格がバラつきやすいので、「不動産売却 HOME4U」を使って複数の不動産会社に査定依頼することをぜひおススメします。

また、古家付き土地が相続した空き家である場合には、3,000万円特別控除を利用できる可能性があります。

取得費が不明の場合には、取り壊した方が得になるケースもありますので、要件を確認した上で、取り壊すかどうかを判断するようにしてください。

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