住宅の取り壊し費用っていくらなの?相場や発注の注意点を解説

取り壊し

家屋がある土地を売る場合、売却の手段によっては家屋の取り壊し費用が必要です。一般的な木造住宅の解体費用の総額は、だいたい150万円くらいのものが多い傾向にあります。

解体工事の費用は、構造や建物規模だけでなく、現場の施工条件や選定した解体会社によっても金額が変わることが特徴です。

この記事では、不動産売却時における解体費用の相場と、工事の流れ、解体費用に影響する要因、解体工事の発注の注意などをご紹介しますので、是非ご一読ください。

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この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット

1. 家の取り壊し費用の相場は40坪で150万前後

取り壊し費用の概ねの相場は以下の通りです。

構造 単価 30坪の家の場合
木造 坪4~5万円 120万円~150万円
軽量鉄骨造 坪6~7万円 180万円~210万円
鉄筋コンクリート造 坪7~8万円 210万円~240万円

※エリアによって異なります。

一般的に、住宅というと木造が多いです。
通常の木造住宅の規模であれば、延床面積が30~40坪が標準的となります。

木造の解体費用単価の相場は「坪4~5万円」ですので、~40坪の住宅を取り壊すとなると、総額が150万円前後の現場が多くなっています。

1-1. 手作業・機械作業併用分別解体工法

現代の解体工事は、リサイクル法が厳しくなっており、解体工事現場で発生した廃材を分別処分しなければならず、全て重機で壊すことはできません。作業員による手作業が発生します。

解体工事は、廃材を壊しながら分別するのが最も安くなるため、現在の解体工法は「手作業・機械作業併用分別解体工法」が主流です。

そのため、解体工事には、相応に作業員の人件費がかかります。

1-2. 手作業と機械作業の区分

解体工事で「手作業しなければならない部分」と「機械作業もできる部分」は、以下のように区分されます。

(手作業しなければならない部分)

  • 建設設備撤去
  • 内装材撤去
  • 内・外部建具撤去
  • 屋上設備撤去
  • ベランダ等撤去
  • 屋根葺材撤去

(機械作業もできる部分)

  • 外装材、上部構造部解体
  • 基礎等解体

上記のように、解体工事ではほとんどの部分が人による手作業となります。
現在の解体工事は、現場で分別作業をしている工事といっても過言ではありません。

機械でできる部分は「外装材、上部構造部解体」と「基礎等解体」程度であり、「坪4~5万円」はかかるのが通常です。

2. 家屋の解体工事の流れ

解体工事の流れは以下の通りです。

2-1. 見積依頼

家屋を解体するときは、最初に解体工事会社に対して見積依頼を行います。どこの会社に依頼するか悩んだ場合、地元の工務店や、ハウスメーカー、不動産会社から紹介してもらいましょう。

廃棄物の処理や解体方法など、法令を遵守している解体工事会社を選び、見積もり依頼を行います。

2-2. 現地調査

取り壊し費用は現地の施工条件によって金額がかなり変わってしまうことがあります。

よって、解体の場合、机上で見積もりを行うことはありません。

見積のためには、解体工事会社による現地調査が必須です。

なお、発注者も工事前に境界標の有無をしっかりとチェックしておくことをおすすめします。
境界標は解体後も残っていないといけないものですので、測量図と照らし合わせながら、存在を確認しておいてください。

2-3. 見積提示

見積は複数の解体工事会社から取ります。
複数の会社に見積依頼することで、金額の納得感が得られますのでおすすめします。

信頼できる解体工事会社の探し方については「5. 自分で探さなくても大丈夫!解体工事会社は探してもらおう」にて紹介しますので、ぜひご覧ください。

2-4. 解体工事会社を決める

見積提示を受けたら、解体工事会社を決定します。査定額だけでなく、窓口の対応や解体工事会社の評判を調べて決めましょう。
安すぎる解体工事会社も、高すぎる解体工事会社も避けたいものです。

2-5. 請負工事契約締結

解体工事会社を決定したら、解体の請負工事契約の締結です。
契約を締結する前にチェックしたいポイントは以下の通りです。

  • 建設業許可または解体工事業登録されているか
  • 工事保険への加入
  • 過去の事例において法令違反がないか
  • 契約書の内容
  • 見積価格

2-6. 各種届出書類押印

解体工事は、着手する前にリサイクル法の届出や道路占用許可申請といった届出が必要となります。
届出書類は全て解体工事会社が準備しますが、発注者の押印は自分で行います。

2-7.近隣への挨拶

着工の直前になったら、近隣住民への挨拶を行います。

解体工事は新築工事よりも騒音振動が大きいため、近隣とトラブルになりやすいです。
近隣は、向こう三軒両隣とその他の隣接戸は必須となります。

他の範囲は現場の工事長と相談しながら決めるようにします。

2-8. 解体工事着工

近隣挨拶を終えたら、解体工事の着工になります。
木造住宅の解体工事期間は1~1.5ヶ月程度です。

2-9.整地・解体工事完了

解体工事が終わったら、最後は整地され、解体工事が完了となります。
解体工事が終わったら、必ず現場をチェックするようにしてください。

特に、境界を示す境界標が紛失されていないか確認することが重要です。

2-10. 建物滅失登記

解体が終了したら、建物の滅失登記を行います。
建物所有者には解体後1ヶ月以内に滅失登記の申請義務が課されています。

建物の滅失登記には特に登録免許税は生じません。

滅失登記には解体工事会社からの取り壊し証明書が必要ですので、取り壊し証明書を出してもらうのを忘れないようにしてください。

3. 家の取り壊し費用が変わる要因

この章では取り壊し費用が変わる要因について解説します。

3-1. 施工条件

取り壊し費用は施工条件によっても金額が変わります。
解体工事は、基本的には大草原の小さな家みたいに周辺に家がなく、重機も搬入させやすいところが一番安いです。

一方で、閑静な住宅街で、前面道路や敷地が狭く、重機の搬入が難しいような現場では、機械作業でできる部分を手作業でしなければならなくなります。すると、解体費用は高くなります

また、現場の近くにスクールゾーンがあり、ガードマンを増員しなければ行けないような現場も人件費が膨らむため、解体費用は割高です。

3-2. 重機保有の有無

解体工事も下請け構造となっており、末端の会社ほど工事費は安くなります。
末端の会社は自社で解体重機を保有しており、このような重機を保有している会社は解体費用が安いです。

一方で、下請けに仕事を丸投げするだけの会社や、重機をレンタルする会社もありますが、このような会社に依頼してしまうと、解体工事費用が割高となります。

一般の人には重機の保有の有無までは分かりませんが、解体工事会社とのつながりが深い不動産会社や新築の請負工事会社であれば、重機を保有している会社を把握しています

4. 解体工事を発注する際の注意点

この章では、家屋の解体工事を発注する際の注意点について解説します。

4-1. ゴミは処分する

解体工事を依頼する際は、家庭内のゴミは処分して、綺麗な空き家にした状態で依頼します。

家庭から出るゴミは、一般廃棄物という廃棄物に分類されます。
それに対して、解体工事で出る建材等は産業廃棄物という廃棄物です。

一般廃棄物と産業廃棄物は、収集運搬に別の免許が必要となります。
通常、解体工事会社は産業廃棄物の収集運搬は可能ですが、一般廃棄物の収集運搬の免許を持っていないことがほとんどです。

よって、住宅の中にゴミが残っていると、そのゴミを搬出することができないため、解体できなくなります

利用者からすると、「ゴミも一緒に処分してよ」と思いますが、法律上対応できないということを理解しておいてください。

一軒家の処分費用はいくら?片付けや取壊し・売却費用も解説

4-2. 固定資産税の課税タイミングを意識する

固定資産税は1月1日の状態でその1年間の税額が決定されるため、解体工事は1月1日の課税タイミングを意識することがポイントです。

1月1日時点で建物があれば、その年は建物の固定資産税が課税されます。
ただし、住宅の場合、建物を壊すことで土地に対する住宅用地の軽減措置が適用されなくなり、土地の固定資産税が上がります。

住宅を壊すと、土地の固定資産税は、200平米以下の土地であれば4.2倍、200平米を超えるような土地であれば3~4倍に上がるイメージです。

一方で、建物を壊せば、建物の固定資産税はなくなります。

建物の固定資産税の減少と、土地の固定資産税の上昇を加味し、取壊しのタイミングを以下のように決めると無駄がありません。

  • 取壊して総額が上がるようであれば、1月1日以降に壊す。
  • 取壊して総額が下がるようであれば、12月31日までに壊す。

4-3. 近隣への配慮を十分に行う

解体工事は、新築工事よりも騒音や振動、ホコリ等が発生します。
そのため、近隣トラブルが非常に多いです。

解体工事期間中は、近隣への配慮を十分に行うがあります。
具体的には、発注の段階で、現場の工事長に対し、「近隣には十分に配慮してください」と念を押すようにしてください。

また、近隣挨拶の際は、現場の工事長に簡単な工程表を作ってもらい、工事長と一緒に回るのが良いです。
挨拶と同時に、工事長に工程を説明してもらいます。

配布する工程表には工事長の連絡先も明記してもらい、トラブルが発生したら工事長に迅速に対応してもらうのが良いでしょう。

5. 自分で探さなくても大丈夫!解体工事会社は探してもらおう

解体工事は信頼できる会社を見つけるのが非常に難しいです。
解体工事会社の探し方で、一番良い方法は信頼できる人を通じた「紹介」です。

ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、解体工事会社を自力で選ぶのはなかなか簡単ではありません。

解体工事会社は決して無理に自分で探そうとせず、必ず信頼できる人から紹介を受けて探すようにしてください。

この章では解体工事会社の探し方について紹介します。

5-1. 売却のためなら不動産会社に紹介してもらう

売却のために取り壊しを行うなら、解体工事会社は不動産会社に紹介してもらうのがおすすめです。

自ら古家付き土地を仕入れて(「買取」をして)建物を取り壊してから再販を行う不動産会社もあり、普段から解体工事会社への発注を行っているという会社も少なくありません。

不動産会社が紹介してくれる解体工事会社は良い会社が多いです。

良い解体工事会社を知るには、まずは良い不動産会社を探すことから始めます。
不動産会社を探すのであれば、「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」を利用するのが便利です。

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不動産売却 HOME4U」は、NTTデータグループが運営する一括査定サービスで、最大6社に無料で不動産の査定をまとめて依頼することができます。

HOME4Uは全国に対応しており、大手から地元の中小の不動産会社が数多く参画しています。
またHOME4Uの特徴としては、大手や地元の中小の不動産会社がバランスよく揃っており、実績のある会社が多いという点です。

販売力のある不動産会社は、解体工事会社など外部のネットワークを豊富に持っていますので、HOME4Uを通じて査定に来てくれる不動産会社なら良い解体工事会社を知っています。

家の売却を依頼する不動産会社が決まったら、解体工事会社を紹介してもらってください。
相見積を取りたいとお願いすれば、2社ほど解体工事会社を紹介してもらえます。

不動産会社は重機を保有している解体工事会社を知っていますので、2社程度の見積比較を取れば十分です。

不動産会社も、紹介した不動産会社が問題を起こしてしまったら、その後の売却の仕事に繋がらなくなりますので、やたらな解体工事会社を紹介しないはずです。

売却のケースでは、解体工事会社は不動産会社に紹介してもらうのが一番安全ですので、不動産会社を通じて解体工事会社を見つけることをおすすめします。

5-2. 建て替えなら新築請負会社に依頼してしまう

建て替えのために解体工事を依頼するのであれば、新築請負会社に解体工事も依頼してしまうことをおすすめします。

新築請負会社と解体工事会社は異なりますが、新築請負工事会社に解体を依頼すると、新築請負工事会社の下請け会社として解体工事会社が付くことになります。

新築工事会社に依頼すると、解体工事会社との直接取引を避けることができるため、そこにメリットを感じる方も多いです。

新築工事会社に依頼すると、新築工事会社の管理マージンが上乗せされるため、解体工事費用は割高となります。

しかしながら、新築工事会社に依頼してしまえば、解体工事と新築工事との間をスムーズに移行できますし、発注も1回で済ませることができるため、無駄がありません。

また、解体工事会社と新築工事会社を分けてしまうと、解体工事会社が引き起こした近隣トラブルを、新築工事会社が引き継ぐことになり、工事が上手く進捗しなくなるようなことも生じます

新築工事会社が解体工事を請ければ、その後の新築工事も控えていますので、新築工事に影響が出ないように、解体工事も上手く終わらせてくれます。

その後の新築工事に影響を出さないようにするためにも、建て替えの場合には新築工事会社に解体を依頼してしまった方が良いのです。

住宅を取り壊した後、土地活用として賃貸住宅(アパート・マンション・戸建て・賃貸併用住宅など)に建て替える予定であれば、「HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」で、ハウスメーカーや建築会社を探すのがおすすめです。

HOME4U土地活用

HOME4U 土地活用」なら、最大7社から、新築工事の初期費用や収益計画を盛り込んだ活用プランを受け取ることが可能です。

もちろん、解体工事のこともご相談いただければ、工事費用の金額も出してもらえます
良い建て替えプランも見つかりますので、ぜひご利用ください。

まとめ

いかがでしたか。
住宅の取り壊し費用について解説してきました。

住宅の取り壊し費用の相場は150万円前後です。
取り壊し費用は施工条件や解体工事会社の重機保有の有無によって決まります。

解体工事発注時は、ゴミは処分し、近隣への配慮を十分に行うようにしてください。
また、1月1日の状態を意識すると固定資産税で損をせずに済みます。

解体工事会社は、無理に自分で探そうとせず、不動産会社や新築請負工事会社から紹介してもらうようにしましょう。

解体工事を含む不動産売却を行いたい場合は、ぜひ「不動産売却 HOME4U」の一括査定をご利用ください。

この記事のポイント まとめ

取り壊し費用の相場は?

家の取り壊し費用の相場は以下の通りです。

構造 単価 30坪の家の場合
木造 坪4~5万円 120万円~150万円
軽量鉄骨造 坪6~7万円 180万円~210万円
鉄筋コンクリート造 坪7~8万円 210万円~240万円

目安は、木造40坪で150万円前後です。解体費用は建物の構造や広さで変わります。
詳細は「1. 家の取り壊し費用の相場は40坪で150万前後」をご覧ください。

住宅の解体工事の流れは?

住宅の解体工事の流れは以下の通りです。

  1. 見積もり依頼
  2. 現地調査
  3. 見積もりの提示
  4. 解体工事会社の決定
  5. 請負工事契約の締結
  6. 各種届出書類への押印
  7. 近隣への挨拶
  8. 解体工事着工
  9. 整地・解体工事完了
  10. 建物滅失登記

詳細は「2. 家屋の解体工事の流れ」をご覧ください。

家の取り壊し費用が変わる要因は?

家の取り壊し費用が変わる要因は以下の通りです。

  • 施工条件
  • 重機保有の有無

詳細は「3. 家の取り壊し費用が変わる要因」をご覧ください。

住宅の解体工事を発注する際の注意点は?

解体工事を発注する際の注意点は以下の通りです。

  • ゴミは処分する
  • 固定資産税の課税のタイミング
  • 近隣への配慮

詳細は「4. 解体工事を発注する際の注意点」をご一読ください。