登記とは?制度の概要や種類、手続きが必要なケースを紹介

登記とは 不動産登記が必要なケース

売買や贈与、相続などで不動産の所有者に変更があった際は、不動産登記の手続きが必要です。登記は財産の権利を証明するために必要な手続きで、登記なしでは、たとえ不動産を所有していたとしてもその権利を証明できません。

本記事では、登記制度の概要や種類、不動産登記が必要になるケースなどについて解説します。

この記事を読むと分かること
  • 登記制度の概要や種類
  • 不動産登記の概要や種類
  • 不動産登記が必要なケース
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1.そもそも登記とは?

司法書士バッジ

登記とは、財産の権利の情報を法務局の帳簿(登記簿)に記録し、公に示す制度のことです。

登記が行なわれると、財産の所在や種類、所有者などが記録・公開され、「その財産がどこにあり、誰によって所有されているのか」が法的に証明されます。

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登記制度は、個人や法人が持つ権利を保護し、安全かつ円滑な取引を行なうために設けられている法制度です。

日本では、1887年(明治20年)に「登記法」が施行されたことで、不動産をはじめとする財産の登記が行なわれるようになりました。

登記法は1899年(明治32年)に「不動産登記法」として改正され、2004年(平成16年)には、利便性向上のために再び改正が行なわれています。

参考:“不動産登記法”. e-Gov法令検索

2.登記にはどのような種類がある?

一口に財産といってもその種類は多く、登記の種類も対象の財産によってさまざまです。

例えば、身近な財産としては不動産が挙げられ、不動産を所有していることを証明するには不動産登記が必要です。

不動産登記以外にも、以下のような登記があります。

登記の種類 対象の財産・権利を証明できるもの
不動産登記 不動産
(土地、建物、立木、橋 など)
商業登記 会社
(株式会社、合同会社、合資会社 など)
法人登記 会社以外の法人団体
(一般社団法人、NPO法人、学校法人 など)
動産譲渡登記 企業が保有する動産
(商品在庫、機械設備、家畜 など)
債権譲渡登記 債権
船舶登記 船舶
(20t以上の推進機関のある日本船舶に限る)
財団の登記 財団
(工場財団、漁業財産、観光施設財団などの物的施設や特許権などを、一括して不動産とみなす)
成年後見登記 後見人となる方が登記する場合:
後見人である事実を証明できる

後見人がいない方が登記する場合:
後見人がいない事実を証明できる

3.不動産登記とは?

不動産登記とは、不動産登記法に基づき、土地や建物に関わる以下のような情報を法務局の登記簿に記録することです。

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  • 土地や建物の所在地や構造
  • 土地や建物の所有者
  • 土地や建物に設定された権利
  • 金融機関からの借入金額や利率

不動産登記を行なうことで土地や建物の所有権が法的に認められ、第三者にその権利を主張できます。

一方で、不動産登記を行なわない場合は、土地や建物を所有している事実やその権利を第三者に主張できません。

不動産登記されていない不動産では、売買などの取引をスムーズに行なえないだけでなく、担保にして融資を受けるといったこともできず、さまざまな不都合が生じます。

不動産登記法第36条では土地の表題登記(次章参照)が、不動産登記法第47条では建物の表題登記が義務付けられており、これを怠ると同164条に基づき、10万円以下の過料が科される可能性があります。

参考:
“不動産登記法 第三十六条(土地の表題登記の申請)”. e-Gov法令検索
“不動産登記法 第四十七条(建物の表題登記の申請)”. e-Gov法令検索
“不動産登記法 第百六十四条(過料)”. e-Gov法令検索

4.不動産登記の種類

家の模型

不動産登記には大きく分けて、次の2つの種類があります。

  • 不動産の権利に関する登記
  • 不動産の表示に関する登記

ここからは、各登記の特徴を詳しく解説します。

4-1.不動産の権利に関する登記

不動産の権利関係を記録する不動産登記には、主に以下のようなものがあります。

  • 所有権保存登記
  • 所有権移転登記
  • 相続による所有権移転登記(相続登記)
  • 抵当権設定登記
  • 抵当権抹消登記

4-1-1.所有権保存登記

所有権保存登記とは、建物の新築時に発生する所有権を記録する登記のことです。

基本的には、建物の表題登記(後述)と併せて手続きされますが、所有権保存登記自体は法律で義務付けられているものではありません。

しかし、所有権保存登記を怠ると、住宅ローンを組んだり、不動産を売ったりすることが困難になるといったデメリットが生じます。

所有権保存登記について詳しくは「所有権保存登記とは?ほかの登記との違いや手続きの流れ、費用を解説」をご覧ください。

4-1-2.所有権移転登記

所有権移転登記とは、土地や建物固有の所有権が移転したことを記録する登記です。

主に、不動産の売買や譲渡により、不動産の所有者が変わる際に手続きします。

所有権移転登記について詳しくは「所有権移転登記とは?どのタイミングで実施する?手続きと必要書類も解説」をご覧ください。

4-1-3.相続による所有権移転登記(相続登記)

所有権移転登記のなかでも、相続によるものは「相続登記」と呼ばれます。

相続により土地や建物の所有権に変更があった場合は、土地や建物を相続した方が所有権移転登記を行なわなければなりません。

また、相続登記は2024年(令和6年)4月1日以降、義務化されることになりました。

参考:“相続登記が義務化されます 2024年(令和6年)4月1日制度開始”. 東京法務局

なお、不動産売買時の所有権移転登記と相続登記では、必要書類などに違いがある点に注意しましょう。

相続登記について詳しくは「相続登記の義務化は2024年4月1日から!申請期限と罰則は事前に把握しよう」も併せてご覧ください。

4-1-4.抵当権設定登記

抵当権設定登記とは、不動産を担保として融資を受ける際に必要な登記のことです。

住宅ローンを利用して土地や建物を購入する際は、抵当権設定登記をしなければなりません。

担保や抵当権については「抵当権とは?設定のタイミングや登記にかかる費用、抹消登記の方法をわかりやすく解説」も参考にしてください。

4-1-5.抵当権抹消登記

抵当権抹消登記とは、不動産に設定されている抵当権を外すための登記です。

住宅ローンを完済すると、抵当権抹消登記が可能となります。

抵当権抹消登記とは?手続きの方法や必要書類、費用などを全解説」では、抵当権抹消登記を行なうタイミングや、手続きしない場合のリスクなどについて解説しています。

4-2.不動産の表示に関する登記

権利関係以外の不動産登記には、不動産の所在地や面積など、不動産そのものの情報を示す、表示に関する登記があります。

不動産の表示に関する登記には、主に以下のようなものがあります。

  • 表題登記
  • 土地分筆登記
  • 土地合筆登記
  • 土地地目変更登記
  • 建物滅失登記

4-2-1.表題登記

表題登記とは、土地や建物の登記記録を新たに作成するための登記のことです。

表題登記を行なうと、所在地や面積など、不動産の基本的な情報が記録されます。

所有権保存登記と併せて登記されるケースが一般的で、土地の表題登記と建物の表題登記をそれぞれ申請します。

4-2-2.土地分筆登記

土地分筆登記とは、1つの土地を2つ以上に分ける際に必要な登記のことです。

土地を複数に分けることを分筆(ぶんぴつ)といい、土地分筆登記を行なうことで、もともと1つだった土地を別々に扱えるようになります。

土地の分筆は、主に、活用しにくい大きな土地を分けて売却する、異なる用途で使用する、といった場合に行なわれます。

4-2-3.土地合筆登記

土地合筆登記とは、隣接する複数の土地を1つにまとめる際に必要な登記のことです。

隣接する土地同士を1つにまとめることを合筆(ごうひつ、がっぴつ)といい、土地合筆登記を行なうと、複数の土地を1つの土地として扱えるようになります。

土地の合筆は、主に、複数の土地をまとめて売却したい場合や、不整形な土地を1つにして使いやすい形にしたい場合などに行なわれます。

4-2-4.土地地目変更登記

土地地目変更登記とは、土地の地目について変更する際に必要な登記のことです。

地目とは、土地ごとに指定されている用途のことで、宅地や畑、山林などさまざまな種類があります。

造成などにより地目を変更する際は、その変更から1ヵ月以内に土地地目変更登記を行なわなければなりません。

参考:“不動産登記法 第三十七条(地目又は地積の変更の登記の申請)”. e-Gov法令検索

4-2-5.建物滅失登記

建物滅失登記とは、取り壊しや災害などにより、登記されている建物がなくなった際に必要な登記のことです。

不動産登記法第57条では、建物がなくなったときから1ヵ月以内に建物滅失登記が義務付けられており、これを怠ると同第164条に基づき、10万円以下の過料が科される場合があります。

参考:
“不動産登記法 第五十七条(建物の滅失の登記の申請)”. e-Gov法令検索
“不動産登記法 第百六十四条(過料)”. e-Gov法令検索

5.登記が必要なケースと手続きするべき登記の種類

不動産相続

ここからは、不動産登記が必要になるケースと、各ケースで申請する登記の種類を見ていきましょう。

登記が必要なケース 申請する登記の種類
土地を購入し住宅を新築したとき
(住宅ローン利用あり)
所有権移転登記(土地)
建物の表題登記
所有権保存登記(建物)
抵当権設定登記
所有している土地に住宅を新築したとき
(住宅ローン利用なし)
建物の表題登記
所有権保存登記(建物)
土地と中古住宅を購入したとき
(住宅ローン利用あり)
所有権移転登記(土地)
所有権移転登記(建物)
抵当権設定登記
土地と住宅を売却し売却金で住宅ローンを完済したとき 抵当権抹消登記
所有権移転登記(土地)
所有権移転登記(建物)
実家を相続したとき 相続登記
相続した土地を兄弟で半分ずつ分けるとき 相続登記
土地分筆登記
相続した実家の建物を取り壊したとき 相続登記
建物滅失登記

不動産の売買や相続では、必ず関連する不動産登記が必要になります。

登記は当事者が自ら手続きする以外に、司法書士や土地家屋調査士に依頼することも可能です(登記の種類により依頼先が異なる)。

不動産売買などで不動産会社を介している場合は、登記手続きを専門家へ依頼する際の費用を、不動産会社の担当者に確認しておきましょう。

登記手続きにかかる費用については、「不動産売却の登記費用の相場は?土地・物件の登記ルールを解説!」をご覧ください。

6.登記記録の確認方法

登記事項証明書

登記記録として保存された内容は、誰でも登記事項証明書(登記簿謄本)で確認できます。

確認したい登記記録があれば、法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得しましょう。

(例)

  • 不動産登記なら、土地・建物の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得
  • 商業登記や法人登記なら、会社・法人の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得

登記見本

出典:“不動産登記のABC”. 法務省

登記事項証明書(登記簿謄本)は、法務局窓口で請求する以外にも、郵送請求やオンライン請求、登記情報提供サービスの利用によるオンラインでの閲覧が可能です。

参考:“登記情報提供サービス”. 一般財団法人民事法務協会

登記事項証明書(登記簿謄本)の取得方法や申請時の注意点、詳しい見方などについては以下の記事も併せてご覧ください。

まとめ

登記とは、不動産登記法に基づいて財産の情報を正しく記録・公開する手続きのことです。

不動産売買や相続などで不動産の所有者が変更されたときは、速やかに登記を行ないましょう。

登記をはじめとする各種手続きに不安があり、「今後の不動産の扱いに困っている」「売却したいが誰に相談すれば良いかわからない」という場合には、信頼のおける不動産会社に相談し、適切な活用方法や必要な手続きについてアドバイスを受けることをおすすめします。

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