不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)の読み方は?注意点もわかりやすく解説

不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)の読み方は?注意点もわかりやすく解説

不動産購入のために登記簿謄本(登記事項証明書)を取得して調査したいけれど、「読み方が分からない」という方もいるでしょう。

本記事では不動産購入を検討中の方に向けて、登記簿謄本(登記事項証明書)とは何か、どこをチェックすべきかなど、読み方や注意点について解説します。

不動産売却についての基本をおさえておきたい方は『不動産売却の入門書!売り方の基礎・全体像』『不動産売却の流れ7ステップ』もぜひ併せてご覧ください。

この記事を読めばわかること
  • 登記簿謄本(登記事項証明書)とは何か
  • 登記簿謄本(登記事項証明書)の読み方
  • 登記簿謄本(登記事項証明書)を読むときの注意点

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1.登記簿謄本(登記事項証明書)は「不動産の情報や所有権について記録されたもの」

登記簿謄本(登記事項証明書)は「不動産の情報や所有権について記録されたもの

登記簿謄本(登記事項証明書)は、「不動産の情報や所有権について記録されたもの」を指します。不動産が土地なのか建物なのか、場所はどこで大きさはどのくらいなのか、また所有者は誰なのかなどが記載されている公的な書類です。

なお、「登記簿謄本」と「登記事項証明書」は、呼び方は異なりますが内容は同じ書類です。

登記簿謄本は昔の呼び方で、手書きで紙に書き写していたものを指しますが、現在はデータ化されており、登録されているデータを書類で印刷したものを登記事項証明書と呼びます。

そのため、現在の正式名称は登記事項証明書です。

2.登記簿謄本(登記事項証明書)の読み方

登記簿謄本(登記事項証明書)の読み方_ペン

以下で、登記簿謄本(登記事項証明書)の読み方を見本に沿って解説します。

内容を理解するためにも、見本をチェックしていきましょう。

登記簿謄本(登記事項証明書)の読み方_見本

出典:法務局.”全部事項証明書(不動産登記)の見本”.(参照2024-05-01)

登記簿謄本(登記事項証明書)は、一番上から「表題部」「権利部(甲区)」「権利部(乙区)」「共同担保目録」の4つの項目で構成されています。

ただし、すべての登記簿謄本(登記事項証明書)が見本と同じ構成になっているわけではありません。不動産によっては表題部のみだったり、表題部と権利部(甲部)の2つしかなかったりする場合もあります。

4つの基本となる構成部分を以下で解説していきます。

2-1.表題部は「不動産の物的情報」

表題部は「不動産の物的情報」

出典:法務局.”全部事項証明書(不動産登記)の見本”.(参照2024-05-01)

表題部は、「不動産の物的情報」が記載される項目です。不動産の所在地や使用目的、面積についての不動産情報を確認できます。

上記の見本では、「土地」の物的情報に関しての内容が分かります。

調製

調製は、データ化されるよりも前からある登記簿を、データに写して記載した年月日が入力されます。初めからデータで管理されている場合は、見本のように「余白」と表記されるのです。

不動産番号

不動産番号は、不動産ごとの独自の番号で、不動産1個ずつに付与されます。

地図番号

地図番号は、土地についての地図が整備されている場合に登録される番号です。

筆界特定

筆界特定は、土地についての筆界特定の申し出がされ、筆界が特定された場合にその旨が入力されます。

筆界特定とは、土地が登記された場合に、土地の範囲を区画するものとして定められた線(筆界)を、現地において明確にする制度のことです。

所在

所在は、不動産が存在する場所を確認できます。

地番

地番は、不動産登記する際に付与される番号です。

地目

地目は、土地の用途を表しており、見本の宅地だけでなく、「田」「畑」「山林」「公園」「雑種地」などがあります。

原因及びその日付(登記の日付)

原因及びその日付(登記の日付)は、登記された理由と登記が完了した年月日です。登記された原因がわからない場合は、見本のように「不詳」と書かれます。

2-2.権利部(甲区)は「不動産の所有権」

権利部(甲区)は「不動産の所有権」

出典:法務局.”全部事項証明書(不動産登記)の見本”.(参照2024-05-01)

権利部(甲区)は、「不動産の所有権」について記載されています。不動産の過去の持ち主や、現在の持ち主を確認できる項目です。

順位番号

順位番号は、登記された順番で番号が付与されます。

登記の目的

登記の目的は、登記を申請した際の用途が書かれる欄です。見本では、所有権保存(最初に行われる所有権の登記)が実施され、次に所有権移転(不動産の所有権が移った際に行う登記)が行われたことが分かります。

受付年月日・受付番号

受付年月日・受付番号は、登記の申請を法務局が受け付けた年月日と受付番号です。

権利者とその他の事項

権利者とその他の事項は、土地所有者の氏名や所在地、持ち主が移転した原因が書かれています。

見本の権利部(甲部)の場合、甲野太郎さんが平成20年10月15日に土地を取得して、所有権保存の登記を申請したことがわかります。

その後、法務五郎さんと令和1年5月7日に売買契約を締結し、甲野太郎さんの所有権であった土地を、当日に法務五郎さんに移転したと確認できるでしょう。

そのため、現在の土地の持ち主は法務五郎さんだと判断できます。

なお、所有権保存の登記の場合は、「権利者とその他の事項」の項目に原因までは書かれません。

2-3.権利部(乙区)は「不動産の所有権以外の情報」

権利部(乙区)は「不動産の所有権以外の情報」

出典:法務局.”全部事項証明書(不動産登記)の見本”.(参照2024-05-01)

権利部(乙区)は、「不動産の所有権以外の情報」について書かれています。

所有権以外の情報として代表的なのが、「抵当権」です。抵当権とは、住宅ローンの返済ができなくなった際のために、金融機関が不動産を借金の担保として確保する権利のことを指します。

他にも、賃借権や地上権と呼ばれる権利などがあります。

順位番号

順位番号は、時間的順序に従って付与される番号です。見本では、権利部(乙区)に初めて行われた登記のため、「1」と番号が割り当てられています。

登記の目的

登記の目的は、登記する目的が書かれており、見本では抵当権が設定されていることが分かります。

受付年月日・受付番号

受付年月日・受付番号は、法務局が登記を受け付けた年月日と受付番号が書かれる欄です。

権利者とその他の事項

権利者とその他の事項は、所有権が変更された原因や、所有者の名前や所在地などが確認できます。

見本の権利部(乙区)を見ると、令和1年5月7日に金銭消費貸借契約(お金の貸し借りの契約)の債権者である株式会社南北銀行(南都支店)が、当日に抵当権設定の登記を行なったと判断できます。

具体的な契約内容は、株式会社南北銀行から法務五郎さんに4,000万円を貸し、利息は年2.60%、法務五郎さんが滞納した場合の損害に対する利息(損害金)が、年14.5%だとわかります。

なお、借りた4,000万円の残債が現在いくらあるかまでは、登記簿謄本(登記事項証明書)からは把握できません。

2-4.共同担保目録は「他の不動産に対する抵当権の情報」

共同担保目録は「他の不動産に対する抵当権の情報」

出典:法務局.”全部事項証明書(不動産登記)の見本”.(参照2024-05-01)

共同担保目録は、「他の不動産に対する抵当権の情報」について書かれている項目です。

たとえば、住宅ローンを借り入れて一戸建てを購入した場合、土地・建物の両方を担保に提供し、土地・建物ともに金融機関からの抵当権が設定されます。

そのため、土地・建物の権利部(乙区)の両方に抵当権の設定が書かれており、どちらか一方の登記簿謄本(登記事項証明書)を見れば、土地・建物の両方に抵当権が設定されていることが分かります。

記号及び番号

記号及び番号とは、該当の共同担保に付与される固有の記号と番号が割り当てられている欄です。

見本には「(あ)第2340号」とあり、権利部(乙区)の「権利者とその他の事項」の記号番号と一致するので、権利部(乙区)に記載のある共同担保目録だと判断できます。

番号

番号は、登録順に割り当てられる番号です。後から、共同担保となる不動産が追加される場合もあります。

担保の目的である権利の表示

担保の目的である権利の表示は、担保として抵当権が設定されている不動産の所在や地番、家屋番号が書かれている欄です。

順位番号

順位番号は、抵当権の時間的順序に従って付与される番号で、権利部(乙区)に書かれている順位番号と一致します。

見本の登記簿謄本(登記事項証明書)は表題部に記載があるように、「特別区南都町一丁目101番の土地」の書類です。

番号2に「特別区南都町一丁目101番の土地 家屋番号101番の建物」と書かれているので、家屋番号101番の建物にも共同担保として抵当権が設定されていることが分かります。

したがって、「特別区南都町一丁目101番の土地 家屋番号101番の建物」の登記簿謄本(登記事項証明書)を入手すれば、土地と同じ抵当権が設定されていることが分かるのです。

以上のように、共同担保目録を見れば、他の不動産に対する抵当権情報についても把握できます。

3.登記簿謄本(登記事項証明書)を読むときの注意点

登記簿謄本(登記事項証明書)を読むときの注意点

登記簿謄本(登記事項証明書)を読むときの注意点は、以下の3つです。

  • 不動産情報サイトと表題部の内容で異なる点がないか
  • 権利部(乙区)の「債権額」と「利息」から取引金額を予想する
  • 根抵当権がついている場合は抹消可能かを予め確認しておく

1つ目は、不動産情報サイトと表題部の内容で異なる点がないか事前に確認しておくことです。

表題部には、不動産の所在や地番、地目や地積などが書かれていますが、情報がすべて正しいとは限りません。

理由は、表題部の登記が完成された日から現在に至るまでに、地目を変更したり、分筆が行われたりした際には、所有者が自主的に登記を行わない限りは登記簿謄本(登記事項証明書)に変更された内容が反映されないためです。

そのため、予め現在の不動産の状態と、登記簿謄本(登記事項証明書)の情報を照らし合わせておくと安心でしょう。

2つ目は、権利部(乙区)の「債権額」と「利息」から取引額を予想しておくことです。

「不動産がどのくらいの金額で取引されたのか」「金融機関が不動産に対してどのくらいの評価を下したのか」を判断でき、購入する際の参考になります。

3つ目は、根抵当権がついている場合は抹消可能かを予め確認しておくことです。

根抵当権がついていると、原則不動産を売却できないので購入できません。

根抵当権とは、不動産の担保としての価値を算出し、貸し出せる限度額(極度額)を定めて、限度額の範囲以内であれば何度でもお金を借りたり返したりできる権利のことです。

抵当権と名称は似ていますが、抵当権の場合は借入ごとに設定する必要があるので、金銭的にも時間的にもコストがかかります。

しかし、根抵当権であれば、限度額以内で追加融資を受ける際に、新たに抵当権を設定する手間が省けるのです。

抵当権と同様に、根抵当権がついている場合も原則売却ができないので、抹消可能かどうか事前に確認しておきましょう。

登記簿謄本(登記事項証明書)の読み方を理解し、不動産売却を決めたらまず不動産会社に査定を依頼しましょう。

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まとめ

登記簿謄本(登記事項証明書)について、4つの項目に分けて読み方や注意点を解説しました。

登記簿謄本(登記事項証明書)は、「表題部」「権利部(甲区)」「権利部(乙区)」「共同担保目録」の4つの項目から構成されています。

表題部は不動産の物的情報、権利部(甲部)は不動産の所有権、権利部(乙区)は不動産の所有権以外の情報、共同担保目録は他の不動産に対する抵当権の情報が記載されています。

登記簿謄本(登記事項証明書)を読む際は、不動産情報サイトと表題部で内容が異なる場合がある点に注意が必要です。

また、権利部(乙区)の「債権額」と「利息」から取引金額を予想し、根抵当権がついている場合は抹消できるか予め確認しましょう。