公図とは?5つの取得方法や見方、現況とずれている理由などを徹底解説

公図とは 5つの取得方法や見方

公図とは、土地の形状や区画、地番、道路、水路などを示す地図のことで、法務局が管理しています。公図は精度や作成された時代によって、2種類に分けられます。

本記事では、公図の概要や取得方法、見方などについてわかりやすく解説します。現況とずれている理由についても説明するので、ぜひ参考にしてください。

この記事を読むと分かること
  • 公図の概要と見方
  • 公図の取得方法
  • 公図が現況とずれている場合がある理由
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1.公図とは?

公図とは、土地の形状や区画、地番、道路、水路などが記されている地図のことです。公図を見ると、隣接する土地との境界線や位置関係を把握できます。公図は法務局が管理しており、一定の手数料を支払えば誰でも取得可能です。

明治時代に作成された頃には、「字図(あざず)」「字限図(あざきりず)」と呼ばれていました。

2.公図の歴史

公図が誕生したのは明治時代で、公図のベースとなった図面を「改租図(かいそず)」と呼びます。

明治時代以前までは、人々が税として納めていたのは金銭ではなく米でした。しかし、米納では国の財政が安定しないことから、明治政府は税制の改正に着手しました。具体的には、地券(土地の権利証)を発行して土地の所有者を明確化するとともに、地価の3%を金銭で納付するよう定めたのです。この変更を「地租改正」といいます。

そして明治政府は、地券を交付した土地の所有者から地価に応じた税金を徴収するために、改租図を作成しました。

ただし当時は、土地の所有者が自ら測量を行なっており、精度にはばらつきがありました。

1884年(明治17年)になると、役場が課税対象となる土地や所有者を把握するための土地台帳を管理し、土地台帳には付属地図が備え付けられました。しかし、改祖図の多くは精度が悪かったため、1885年(明治18年)から再調査が行なわれ、新たに「地押調査図(ちおしちょうさず)(更正図)」が作られました。

やがて1889年(明治22年)に地券制度が廃止され、更正図が土地台帳付属地図、つまり現在の公図になったのです。

3.公図は2種類に分けられる

公図は、「地図」と「地図に準ずる図面」の2種類に分けられます。それぞれの違いについて、詳しく解説します。

3-1.地図

地図とは、不動産登記法第14条第1項に規定されている図面のことで、地籍調査に基づいて作成されます。土地の面積や距離、位置、形状の正確性が高く、一定の誤差の範囲内で境界を復元できるものです。

不動産登記法第14条第1項に規定されていることから、「法第14条第1項地図」や「14条地図」とも呼ばれます。

国は地籍調査を進めて地図の作成に取り組んでいますが、いまだ完了していない地域もあるのが現状です。なお、地籍調査とは、土地1筆ごとの所有者、地番、地目、境界位置、面積などを測量する調査のことです。

参考:“不動産登記法”. e-Gov法令検索

3-2.地図に準ずる図面

地図に準ずる図面とは、地図よりも土地の面積や位置などの正確性が低い図面のことで、その多くは明治時代の地租改正時に作成されました。地図が作成されるまでの代わりの図面として法務局に備え付けられています。

地図が完成すると取り替えられるため、1つの土地に「地図」と「地図に準ずる図面」の両方が存在することはありません。

公図は、厳密には「地図に準ずる図面」のことですが、地図と併せて「公図」と呼ばれるのが一般的です。

4.公図の見方

ここからは、以下の地図サンプルを参考に、公図の見方を解説します。

公図の見本

引用:“地図サンプル”. 盛岡地方法務局. 2020-02-13. (参照2024-03-15)

4-1.図面の部分

「13」「158」といったように図面上に記載されている数字は、土地の地番です。

なお、土地のなかには、地番が付されていない「無地番地」も存在します。無地番地は国が所有し、住所地を管轄する自治体が管理するのが一般的です。

また、公図の縮尺は250分の1や500分の1、600分の1など地域によって異なります。ただし、必ずしも正確であるとは言い切れません。

なお、地番のない道路は「赤道(赤地)」、河川や水路部に該当する土地は「青道(青地)」と呼ばれます。

194_1

4-2.表題部

図面の下には、地図に関する情報が記載されています。具体的な項目は以下のとおりです。

  • 所在
  • 地番
  • 出力縮尺
  • 精度区分
  • 座標系番号または記号
  • 分類
  • 種類
  • 作成年月日
  • 備付年月日
  • 補記事項

所在には地番以外の住所、分類には「地図(法第14条第1項)」もしくは「地図に準ずる図面」、種類の欄には「法務局作成地図」「地積図」などと記載されます。

5.公図と現地の状況が一致しない場合もある

測量

公図のなかには、実際の現地の状況と一致しないものもあります。

前述のとおり、公図の多くは明治時代の地租改正時に作成されたもので、当時の測量技術は未熟でした。また、土地の所有者たちは税負担を軽減すべく、実際よりも長めに目盛りを打った縄を使い、土地の面積を小さく見せるように測量していたといわれています。

これらの理由から、公図と現地の状況にずれが生じるケースは珍しくありません。

公図と現況がずれていると、土地をうまく活用できなかったり、土地の売買が思うようにいかなかったりする恐れもあるため、注意が必要です。

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ただし、土地の位置や形状を記載した公的な資料がない地域では、土地の大まかな状況を把握できる公図は重宝されます。

6.公図の取得方法

公図を取得するには、以下のような方法が考えられます。

  • 法務局の窓口に行く
  • インターネットからPDFファイルをダウンロードする
  • インターネットからオンライン申請をする
  • 郵送で取り寄せる
  • 市町村役場で閲覧、写しを請求することも可能

6-1.法務局の窓口に行く

法務局の窓口に申請書を提出して公図を取得する方法です。以前は取得したい公図を管理している法務局に出向く必要がありましたが、現在はどの法務局でも全国の公図を取得できるようになりました。

窓口の対応時間は、基本的に平日の午前9時~午後5時までです。申請書の書き方については、後述の「公図の申請書の書き方」で詳しく説明します。

参考:“登記事項証明書(土地・建物),地図・図面証明書を取得したい方”. 法務局

6-2.インターネットからPDFファイルをダウンロードする

登記情報提供サービス」を利用すれば、公図のPDFファイルをダウンロードできます。

また、2023年(令和5年)からは、「G空間情報センター」にログインすることで公開されているデータを無料で利用できるようになりました。

ただし、これらのデータはあくまでコピーに過ぎず、法的な証明力はありません。

手数料がかからず、比較的簡単に入手できることから、「ただ閲覧したい」という方に向いている方法といえます。

参考:
“登記情報提供サービス”. (参照2024-03-15)
“G空間情報センター”. (参照2024-03-15)

6-3.インターネットからオンライン申請をする

「インターネットから申請したい、かつ法的な証明力を持つ公図がほしい」という方に最適なのが、登記・供託オンライン申請システムです。登記・供託オンライン申請システム内の「かんたん証明書請求」から公図の交付申請が可能であり、取得できる公図には法的な証明力もあります。

オンライン申請した公図は法務局の窓口で受け取るか、郵送してもらうかを選べます。ただし、申請手数料はインターネットバンキングやPay-easy(ペイジー)マーク表示のあるATMなどを通じて電子納付する必要があるため、注意しましょう。

参考:“登記・供託オンライン申請システム”. (参照2024-03-15)

6-4.郵送で取り寄せる

地図証明書申請書を作成して不動産所在地を管轄する法務局へ郵送すれば、公図を取り寄せることができます。

郵送で公図を取得する際は、申請書への収入印紙の貼付、返信用の切手を貼って返信先を記した封筒の同封を忘れないようにしましょう。申請数が多い場合は、切手を封筒に貼らずに同封しても問題ありません。

6-5.公図は市町村役場で閲覧、写しを請求することも可能

公図は法務局だけでなく、市町村役場(東京23区は法務局)の税務課で閲覧、または写し(コピー)を請求することも可能です。市町村役場で取得したほうが手数料を抑えられる場合もあります。

ただし、市町村役場(東京23区は法務局)で取得できる公図は、その年の1月1日時点のものです。最新の公図を取得したい方は、法務局や登記情報提供サービスなどを利用しましょう。

7.公図を取得する際にかかる手数料

費用

以下のように、公図の取得方法によって必要な手数料は変わります。

  • 法務局の窓口で受け取る場合:450円
  • 「登記情報提供サービス」を利用する場合:362円
  • 「登記・供託オンライン申請システム」を利用して窓口で受け取る場合:430円
  • 「登記・供託オンライン申請システム」を利用して郵送で受け取る場合:450円
  • 郵送で取り寄せる場合:450円

※ 2024年3月時点

8.公図の申請書の書き方

公図の申請書の書き方は以下のとおりです。

  1. 申請者の住所と氏名を書く
  2. 種別に応じて「土地」「建物」の□にレ印を付ける
  3. 取得したい場所の所在地・地番・家屋番号(土地にレ印を付けた場合は記入不要)・請求枚数を書く
  4. 公図を発行してもらいたい方は「証明書」にチェック、閲覧のみの方は「閲覧」にチェックを入れる
  5. 「地図・地図に準ずる図面(公図)」にチェックを入れる
  6. 受領に必要な額面の収入印紙を貼る

出典:“地図等 地積測量図等の証明書交付 閲覧 請求書”. 法務局. (参照2024-03-15)

地番がわからない場合は、法務局に電話して聞いたり、ブルーマップを利用したりするとよいでしょう。

登記情報提供サービス」の「地番検索サービス」でも地番を調べられます。

9.公図は不動産売却時にも役立つ

境界

不動産の売却時には、土地の面積と境界線の把握が欠かせません。そこで役立つのが公図です。公図を見ることでどこまでが自分の土地か、どこからが隣地所有者の土地かを明らかにできるため、認識の違いによるトラブルを未然に防げます。

例えば「1筆の土地だと思っていたが、実は2筆に分けられている土地だった」というケースも十分あり得るでしょう。

また公図を使うと、土地に接している道路が個人や団体が所有する「私道」か、国や自治体が所有する「公道」かを見分けることも可能です。

10.公図以外にも!土地・不動産に関する図面

最後に、公図以外の土地・不動産に関する図面を4つ紹介します。

  • 建物図面
  • 地積測量図
  • 現況測量図
  • 確定測量図

10-1.建物図面

一般的に建物図面とは、敷地における建物の位置を示した図面と、建物の各階の形状・床面積を記載した各階平面図を指します。建物を新築して表題登記を申請するときや、増改築して変更登記を申請するときなどに必要な書類です。

表題登記の申請時に建物図面の添付が求められるようになったのは、1960年(昭和35年)4月1日からです。それ以前に建てられた建物の建物図面は基本的に存在しません。

10-2.地積測量図

地積測量図とは、1筆の土地の測量結果(面積や計算方法など)が記載された図面のことです。土地の面積を書き換える登記(分筆・地積更正)の申請時に法務局へ提出するものなので、土地の分筆・地積更正登記を行なったことのない土地に地積測量図は存在しません。

地積測量図の精度や信頼性は、作成された年代によって異なります。

地積測量図の取得方法や記載内容について詳しく知りたい方は、「地積測量図とは?取得方法や内容、見方についてわかりやすく解説」も併せてご覧ください。

10-3.現況測量図

現況測量図とは、土地の所有者が主張する境界線をもとに測量して作成した図面のことです。土地のおおよその面積やブロック塀の位置など現況を把握するのに役立ちます。

ただし、隣地所有者の立ち会いのもとで境界線を確定した測量図ではないため、信頼性は低いといえます。

10-4.確定測量図

確定測量図とは、隣地所有者の立ち会いのもとで測量を行ない、互いの合意に基づいて境界線を確定した図面です。現況測量図とは異なり土地の境界線が正確なため、不動産取引では確定測量図を使用するケースが多い傾向にあります。

確定測量に必要な費用や具体的な流れを知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

まとめ

公図とは、土地の形状や区画、地番、道路、水路などが示された地図のことです。厳密には「地図」と「地図に準ずる図面(公図)」に分けられますが、2つの図面を総称して「公図」と呼ぶケースが一般的です。

公図を取得したい方は、法務局や市町村役場へ出向いたり、インターネットで申請したりするとよいでしょう。

また、公図は不動産の売却時にも役立ちます。どこまでが自分の土地なのかを把握できるため、認識の違いによるトラブルを未然に防げるのです。

なお、不動産を売却するにあたって忘れてはならないのが、パートナーとなる不動産会社探しです。不動産会社によっては査定価格に数百万円の差が生まれることも少なくありません。

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