【リスト付】土地売却の全費用│仲介手数料・譲渡所得税・特別控除まで解説

土地 売却 費用

この記事では、土地を売却する際にかかる費用や税金について解説します。

土地は売却する際には、ただ売却した代金が入ってくるわけではありません。意外と知られていない費用や税金が掛かります。

土地の売却時に知っておきたいお金の知識とは?

  • 土地の売却にかかる費用(仲介手数料、測量費、譲渡所得税など)
  • 節税のポイントや税金の特例
  • 相続した土地を売る費用、地下埋設物の撤去費用

土地売却にかかる費用が高くなるケースとして、「境界が確定していない」「古い浄化槽が地下に埋まっている」などといった特殊な事情を抱えている物件が考えられます。

また、購入当時の価格が不明な土地は、売却時の税金が高くなります。

ぜひ最後までおつきあいいただき、スムーズな土地売却に向けてお役立てください。

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この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット

土地売却にかかる全費用一覧│内訳と相場

最初に土地売却の費用項目について解説します。一般的な土地を売却するのに必要な費用は以下の通りです。

■一般的な土地の売却にかかる費用一覧
※詳しい解説は費用項目のリンクからご確認ください
費用項目 内容 金額の相場
仲介手数料 不動産会社へ支払う費用 400万円超の物件なら、「取引額の3%+6万円(+消費税)」
測量費 測量会社へ支払う確定測量費
(確定測量図がある場合は不要)
35~80万円前後が相場。
※広さや状況によって、変動幅は広い
印紙税 売買契約書に貼る印紙代 売買金額が1,000万円超5,000万円以下なら1万円。
※令和6年(2024年)3月31日まで特例措置あり
譲渡所得税 売却時にプラスの利益(売却益)が出たら支払う税金 譲渡所得税(所得税・住民税) = 譲渡所得 × 税率
※税率は不動産の所有期間によって変動
抵当権抹消関連費用
  • 抵当権抹消の登録免許税
  • 司法書士手数料
抵当権抹消の登録免許税は、不動産1個につき1千円。
司法書士報酬は1.5万円程度。
登録免許税(所有権移転登記) 一般的には買主が負担するため発生しない。
ただし、契約によって売主が負担する可能性もあり
固定資産税評価額 の2%
※令和6年(2024年)3月31日まで1.5%に軽減される特例措置あり
登記関係書類や土地測量図の作成にかかる費用 必要書類の発行などにかかる諸費用 数百円程度のものが多い。
場合によっては司法書士への報酬も発生。

そのほかにも、場合によっては以下のような費用も発生する可能性があります。

それでは、土地売却にかかる費用の内訳をひとつずつ詳しく見ていきましょう。

1-1.仲介手数料

仲介手数料とは、買主を探してくれた不動産会社に支払う報酬のことです。仲介手数料は成功報酬ですので、売買契約が決まったときにのみ発生します。

仲介手数料は、宅地建物取引業法によって不動産会社が受け取ることのできる上限額が定められています。仲介手数料の上限額の計算式は以下の通りです。

取引額(※) 仲介手数料(別途消費税)
200万円以下 取引額の5%
200万円超から400万円以下 取引額の4%+2万円
400万円超 取引額の3%+6万円

※取引額=消費税抜きの売却額

例えば、3,000万円で売却された場合の仲介手数料の計算例は以下の通りです。

仲介手数料 = 取引額の3% + 6万円
      = 3,000万円 × 3% + 6万円
      = 90万円 + 6万円
      = 96万円(※)

※仲介手数料には、別途消費税が加算されます。

不動産売却塾 コラム

“土地売却費用と消費税”

売主が個人であっても法人であっても、土地の売却には消費税が生じないのがルールです。
ただし、土地の売却で必要となる仲介手数料や測量費等の支払いに関しては、消費税が生じます。
例えば3,000万円の土地を売却したときの税抜仲介手数料は96万円ですが、10%の消費税が生じるため、税込105.6万円ということになります。

1-2.土地の測量費用

土地の売主には境界明示の義務があるため、確定測量図がない場合には、土地の測量費がかかります。

確定測量図とは、全ての境界が確定している場合のみ作成可能な実測図です。確定測量図の作成費用は土地の広さや状況によって異なるため、35万円~100万円と広く見積もっておくとよいでしょう。

境界には、隣地の私有地の境界を示す民民境界と公道との境界を示す官民境界の2種類があります。
確定測量図は、民民境界、官民境界の全てが確定している状態の測量図です。確定とは、境界のラインが定まっていることを指します。

測量費 確定測量図

既に確定測量図を保有している方であれば、測量費は不要です。確定測量図を持っていなくても、売却活動をスタートさせることはできますが、引渡時までに売主側で確定測量図を用意することが一般的となっています。

売却では確定測量図は原則として必要です。確定測量図の作成費用は、境界の確定に関連する所有者の数が多いほど高くなります。ポイントとなるのは官民境界で関連する地権者の数です。

官民境界を確定するには、道路の反対側の所有者との同意も得なければならないため、道路の反対側の地権者の数が多いと費用も高くなります。また、官民境界は境界確定には一般的に半年以上の時間を要します。

土地を売却する場合には、まずは確定測量図の有無を確認しましょう。売却時期にも影響するため、なるべく早い段階で確認しておくことが大切です。

確定測量図は、「確定実測図」とか「確定図」等の名称になっていることもあります。図面の名称に「確定」という2文字が入っていれば、確定測量図のことを指していると理解しておきましょう。

1-3.印紙税

印紙税とは、売買契約書に印紙を貼付して納税する税金です。印紙税の金額は取引額(消費税抜き)に応じて以下のように定められています。

契約書に記載する売買金額 本則 軽減税率※
10万円超50万円以下 400円 200円
50万円超100万円以下 1,000円 500円
100万円超500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円超1億円以下 60,000円 30,000円
1億円超5億円以下 100,000円 60,000円
5億円超10億円以下 200,000円 160,000円
10億円超50億円以下 400,000円 320,000円
50億円超 600,000円 480,000円
金額の記載のないもの 200円 200円

※平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成される契約書

参考・引用:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

1-4.ローンの抵当権抹消にかかる費用

売却する土地に抵当権が設定されている場合、登記簿謄本から抵当権の記載を抹消するための費用が必要です。

抵当権とは、銀行がお金を融資したときに設定した担保権を指します。抵当権を抹消するには、「抵当権抹消の登録免許税」と「司法書士手数料」の2つが必要です。

1-4-1.抵当権抹消の登録免許税

抵当権抹消の登録免許税は、不動産1個につき1,000円となります。例えば土地が3筆*から構成されている場合、抵当権抹消の登録免許税は3,000円です。詳細は以下の関連記事をご参照ください。

*筆とは土地の単位のことを指します。

1-4-2.司法書士手数料

抵当権の抹消を司法書士に依頼する場合は、司法書士手数料が必要です。司法書士手数料は、0.8万円~3.5万円と幅がありますが、平均は1.5万円程度です。

参考までに、日本司法書士連合会が公表している「報酬アンケート結果(2018年(平成30年)1月実施)」による抵当権抹消の司法書士手数料の調査結果を示します。

低額者10%の平均 全体の平均値 高額者10%の平均
北海道地区 8,358円 15,532円 30,120円
東北地区 8,307円 13,863円 22,091円
関東地区 9,536円 15,613円 26,001円
中部地区 9,839円 16,638円 35,220円
近畿地区 9,933円 18,795円 32,444円
中国地区 9,471円 15,289円 26,682円
四国地区 9,917円 14,409円 21,562円
九州地区 9,737円 13,821円 22,676円

1-5.登録免許税(所有権移転登記)

土地の所有権を買主へと移転するためには、所有権移転登記が必要です。所有権移転登記には、固定資産税評価額に対して2%(※令和6年『2024年』3月31日までは1.5%)の登録免許税が課されます。

所有権移転登記にかかる登録免許税の算出方法
固定資産税評価額 × 2%

所有権移転登記にかかる登録免許税は一般的に買主負担とされますが、契約によって、他の取り決めを行うことも可能です。たとえば、買主・売主の折半とする方法・売主負担とする方法などが検討されます。買主とよく話し合い、誰が・どのように負担するかを決めてください。

参照・引用:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表

1-6.登記関係書類や土地測量図の作成にかかる費用

土地売却には本人確認書類や土地測量図や境界確認書など、さまざまな種類の書類が必要です。以下のように費用が掛かることを理解しておきましょう。

本人確認書類
1通あたり300円から600円程度で発行できるため、まとまった費用が発生するわけではありません。
土地測量図、境界確認書の作成
取得に数十万円がかかります。土地の形状が複雑であれば費用もかさみます。詳細は「1-2. 土地の測量費用」をご参照ください。
登記済権利証もしくは登記識別情報通知書
土地を取得した際に発行されたものを使用することから、作成費用は不要です。仮に紛失した場合は司法書士に依頼して本人確認情報を提出してもらうなど手続きが必要となり、所定の費用が発生します。

書類の発行や手元にない場合の対応にかかるお金なものが多いですが、手間や時間がかかります。まずは必要書類がそろっているかどうかを確認しましょう。

土地売却に必要な書類については以下の関連記事をご参照ください。

1-7.土壌汚染調査、水道引込工事などの費用

工場用地として使用してきた土地を売却する際には、土壌汚染調査を行うことが多くあります。土壌汚染調査には10万円前後から何十万円程度かかるケースも目立つことから、まとまった資金の準備が必要といえます。

また、宅地として長年使用していなかった土地を売却する際には、水道管の引き直しや交換工事を要することも多くあります。水道管に関する工事の費用は、大掛かりな工事が必要になる場合もあり、さらに土地の状態や私道などの問題から、困ったトラブルにも発展しかねません。

土壌汚染調査、水道引込工事の必要かあるかをなるべく早い段階で確認し、対策を立てるようにしましょう。

1-8.古家が建っている場合の取り壊し費用

土地の売却にあたって、古い家の取り壊しを行う場合は、当然取り壊し費用が発生します。古家の取り壊し費用は、建物の構造によって以下のような相場となります。

構造 坪単価
木造(W) 4~5万円程度
鉄骨造(S) 6~7万円程度
鉄筋コンクリート造(RC) 7~8万円程度

木造の戸建て住宅は延床面積が30坪~35坪程度が一般的なので、取り壊し費用の総額の相場目安は150万円前後と言えます。

取り壊しには多額の費用がかかるため、慎重に判断する必要があります。まずは古家付きの状態で土地を売却する方法を検討しましょう。

1-9.地下埋設物撤去費用

先祖から地下埋設物が埋まっていることを聞いている場合は、撤去してから売却することをおすすめします。

地下埋設物の撤去は、解体工事会社に依頼するのが一般的です。一般的な戸建の広さの土地を売る場合において、地下埋設物がある場合の撤去費用の相場は以下のような金額感となります。

地下埋設物の種類 物量 撤去費用
コンクリートガラ 10t~20t 20万円~30万円程度
浄化槽※ 4t~8t 10万円~20万円程度
過去の建物の基礎 12t~32t 20万円~30万円程度

※浄化槽:公共下水道が整備される前に建物が建っていたケースでは、地下に浄化槽が残っていることがあります。

例えば浄化槽だけでなくコンクリートガラも埋まっている場合等、地下埋設物の量が多いときは100万円くらいかかることもあります。

地下埋設物がある可能性がある際には、地下埋設物調査を行ったうえで、実際にどれほどの費用がかかるのかを具体的に算出しましょう。

2.土地売却後の譲渡所得と税金の計算方法

この章では土地売却後に発生する譲渡所得と、税金(譲渡所得税)の計算方法を解説します。

2-1.譲渡所得にかかる税金(譲渡所得税)

土地売却では、譲渡所得(売却による利益)がプラスになると税金が生じるというのがルールです。

この税金は「譲渡所得税」と呼ばれますが、その内訳は不動産売却で得た利益に課せられる「所得税」と「住民税」です。

譲渡所得とは、以下の式で計算されます。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

譲渡価額:土地の売却価額
取得費:土地の購入費用
譲渡費用:土地の売却に要した費用

買ったときよりも高く売れれば税金が生じ、安く売れれば税金は生じないことになります。

例えば、もともとの評価よりも非常に高い価格で買った土地などは、売却しても譲渡所得がマイナスとなり、税金が生じないことが多くあります。

また、取得費が分からない場合は、一般的に「概算取得費」というものを計算で用います。概算取得費は「譲渡価額の5%」です。概算取得費を用いてしまうと、譲渡所得が大きくなり、税金も大きく生じてしまいます。

相続で引き継いだ昔から持っている土地は、取得費が分からないため、概算取得費を用いるケースは少なくありません。しかし、その場合は多くの税金を取られてしまうこととなります。

税金を小さくするカギは、購入当時の売買契約書が残っているかどうかが重要となります。

なお、取得費や譲渡費用の金額が高くなるほど、課税の対象となる「譲渡所得」が低くなります。
取得費とは、売主が売却しようとしている不動産を購入するためにかかった費用で、以下のようなものが該当します。

  • 土地の購入費用
  • 仲介手数料
  • 登録免許税
  • 不動産取得税
    など

譲渡費用とは、売主が不動産を売るためにかかった費用であり、以下のものが該当します。

  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 土地を売却するために更地にした際の取り壊し費用と建物の損失額
    など

節税するためには、かかった取得費や譲渡費用を漏れなく計上することが大切です。

2-2.所有期間によって税率が下がる

土地にかかる譲渡所得税(所得税・住民税)は、譲渡所得に対して税率を乗じて計算します。

譲渡所得税(所得税・住民税) = 譲渡所得 × 税率

税率は、所有期間によって異なります。1月1日時点において所有期間が5年超の場合は長期譲渡所得、1月1日時点において所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得と分類されます。
それぞれの税率は以下の通りです。

所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率
短期譲渡所得 5年以下 30.63% 9%
長期譲渡所得 5年超 15.315% 5%

※2037年12月31日まで、所得税には2.1%の復興特別所得税が加算

相続した土地を売却するケースでは、所有期間は被相続人(他界した方)の所有期間を引き継ぎます。

つまり、被相続人の所有期間が5年超であれば、相続後すぐに売却しても長期譲渡所得の税率が適用されます。

2-3.税金計算の具体例

土地の売却では取得費が不明のケースが良くあるため、ここでは取得費が不明の土地を売却したときの税金の計算例を示します。

(前提条件)
売却価格:3,000万円
取得費:不明
譲渡費用:180万円(内訳 仲介手数料:96万円、測量費:83万円、印紙税1万円)
保有期間:30年(長期譲渡所得となる)

(計算例)

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
     = 譲渡価額 - 概算取得費 - 譲渡費用
     = 3,000万円 - 3,000万円×5% - 180万円
     = 3,000万円 - 150万円 - 180万円
     = 2,670万円

所得税 = 2,670万円 × 15%
    = 400.5万円

復興特別所得税 = 400.5万円 × 2.1%
        ≒ 8.4万円

住民税 = 400.5万円 × 5%
    ≒ 20.0万円

税額 = 所得税 + 復興特別所得税 + 住民税 
   = 400.5万円 + 8.4万円 + 20.0万円
   = 428.9万円

3.土地売却時に利用できる特別控除

この章では、「土地売却で利用できる節税特例」について解説します。

3-1.【平成21年・平成22年に取得した土地の売却】1,000万円特別控除

平成21年及び平成22年に取得した土地等を所有期間が5年を超える時点で売却した場合、土地の譲渡所得については、1,000万円特別控除を利用できるという特例があります。

購入時期と特例の適用可能な売却時期の関係を示すと、以下のようになります。

購入時期 仲介手数料(別途消費税)
平成21年に取得した土地等 平成27年1月1日以降の売却
平成22年に取得した土地等 平成28年1月1日以降の売却

1,000万円の特別控除を適用した場合の譲渡所得の計算式は以下の通りです。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 1,000万円

特例の詳細な要件については、国税庁HPをご参考ください。

参考:国税庁「No.3225 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除

3-2.収用に係る5,000万円特別控除

土地収用法やその他の法律で収用権が認められている公共事業のために土地建物を売った場合には、譲渡所得から最高 5,000万円までの特別控除を差し引く特例があります。

5,000万円の特別控除を適用した場合の譲渡所得の計算式は、以下の通りです。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 最高5,000万円

特例の詳細な要件については、国税庁HPをご参考ください。

参考:国税庁「No.3552 収用等により土地建物を売ったときの特例

3-3.居住用財産の3,000万円特別控除

マイホームを取り壊した後の更地であれば、一定の要件を満たすと居住用財産の3,000万円特別控除の適用が可能です。

土地で居住用財産の3,000万円特別控除が適用できるケースは、以下のタイミングで売却したものとなります。

転居後に家屋を取り壊した場合には、転居してから3年後の12月31日までか、取り壊し後1年以内か、いずれか早い日までに譲渡する必要があります。(取り壊し後にその敷地を貸し付けたり、事業の用に供したりすると適用外となります)

居住用財産の3,000万円特別控除

居住用財産の3,000万円特別控除を適用した場合の譲渡所得の計算式は、以下の通りです。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

特例の詳細な要件については、国税庁HPをご参考ください。

参考:国税庁HP「No.3302 マイホームを売ったときの特例

3-4.相続空き家の3,000万円特別控除

相続した空き家で、昭和56年5月31日以前に建築された家屋等の一定の要件を満たす建物は、取り壊して売却した後、3,000万円特別控除を利用でます。

3-3.居住用財産の3,000万円特別控除は自分のマイホームを取り壊した場合ですが、相続空き家の3,000万円特別控除は被相続人(他界した方)のマイホームを取り壊したときに利用できる特例です。

相続空き家の3,000万円特別控除

相続空き家の3,000万円特別控除を適用した場合の譲渡所得の計算式は以下の通りです。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

特例の詳細な要件については、国税庁HPをご参考ください。

参考:国税庁HP「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

さらに詳しい節税対策は、下記の記事でも詳しく紹介しています。併せてご確認ください。

4.土地売却後の確定申告と納税手続き

土地売却によって得た利益に対しては、譲渡所得税・住民税が発生します。土地売却翌年の2月15日から3月15日ごろまでの期間に確定申告を行って、所得税を納めてください。

繰り返しとなりますが、譲渡所得税の課税対象は土地売却によって得た利益で、売却価格そのものではありません。売却価額から取得費・譲渡費用、特別控除額・取得費を差し引きし、売却益を計算します。書類漏れがないよう、事前に確認をしておきましょう。

住民税の納め方は、「市町村から届く住民税納付書を使用する方法」「特別徴収を受ける方法」の2種類があります。特別徴収を受ける方法を選択すると給与天引きで納税手続きが完了するため、支払い忘れの心配がありません。

住民税の課税対象も、土地売却によって得た利益です。売却益に対して9%(土地の所有期間5年以下の場合)もしくは5%(土地の所有期間5年超の場合)の住民税が課されます。

参照・引用:「国税庁 土地や建物を売ったとき

5.相続した土地の売却費用と節税のポイント

相続した土地を売却する場合には、売却前に被相続人から相続人への名義変更が必要です。相続の名義変更は法律上の義務ではありませんが、売却するためには実務上、名義変更を行う必要があります。

名義変更をする際は、登録免許税が必要です。相続を原因とする名義変更の登録免許税は以下の式で計算されます。

登録免許税 = 土地の固定資産税評価額 × 0.4%

※令和7年3月31日まで、相続による土地の所有権の移転登記は免税となり、一切かかりません。

参考:国税庁「相続による土地の所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置について

また、相続には、相続税がかかりますが、3年10カ月以内に相続した土地を売却した場合、「取得費加算の特例」を適用することができます。この特例は、売却した土地に相当する相続税の金額を取得費に加えることができるという特例です。

譲渡利益を小さくすることができるため、節税につながります。売却を検討する際は3年10カ月以内を目途にするとよいでしょう。

参考:国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

6.土地を売却する際の注意点

土地売却の注意点を知ることなく手続きを進めることは、トラブルを引き起こす原因となりえます。土地を売却するにあたって最低限知っておきたい注意点を確認し、取引に備えてください。

6-1.土地の正確な面積・境界のトラブルに注意

まず、土地の正確な面積・境界を調べて確定させることです。代々受け継いできた土地などを売却するにあたり、「隣地との境界や面積が不明瞭」という問題に直面することもあります。土地の売主に境界明示の義務があることは、先に紹介した通りです。

隣の土地と自分自身の土地との間に境界標がない場合は測量を行って、境界を確定させるとよいでしょう。

境界が不明瞭なまま土地売却を進めることは、隣人とのトラブルを引き起こす原因です。長年使用していなかった土地では隣人宅の屋根が越境している・境界標が一次撤去されていたなどのトラブルが発覚するケースもあるので、事前によく確認ください。

6-2.建物や土地に埋まったもの、植木の放置はしない

建物や土地に埋まったものは、地中埋没物と呼ばれます。地中埋没物をそのまま放置すると瑕疵担保責任を問われるリスクがあることから、撤去してから売却するとよいでしょう。土地の売主には、地中埋没物を撤去する義務があります。

事前の調査・撤去を怠って土地売却した場合、裁判沙汰に発展するリスクもあるため、注意を要する対象です。

植木については「売主が処分しなければならない」という決まりはないものの、買主の心象を悪くするおそれがあります。庭木のある土地に対して「以前の所有者の気配を感じ、望ましくない」などのイメージを持つ方もいるためです。

地中埋没物の調査・撤去や庭木の処分を行ってから売却に進む場合、一般的な取引とは異なるステップを踏む必要があります。土地売却を決意した段階で「地中埋没物の調査を行うか」「庭木を撤去するか」をよく考え、結論を出してください。

土地売却に成功するコツと注意点については以下の関連記事もご参照ください。

6-3.売却スケジュールに余裕を持つ

スケジュールに余裕を持って土地売却を進めるためには、売却の手順を把握しておきましょう。
土地売却の一般的な流れは以下の通りです。

転売活動の開始から売却にかかる期間の目安としては、3~6ヶ月はかかると想定しておきましょう。売却を完了させたい時期が決まっている方は、準備を始める期間を不動産会社に相談して進めてください。

6-4.複数の不動産会社に査定を依頼する

土地を査定する際には、複数の不動産会社に依頼しましょう。土地の査定額は、土地の広さ、環境、類似した不動産の売却実績などをもとに算出されますが、不動産会社によって算定ルールが異なるため、査定額にも差が出ます。

なるべく適正で納得できる価格で売り出すためにも、複数の会社に査定依頼することは大切です。

複数の不動産会社に査定を依頼するなら「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」の無料一括査定サービスがおすすめです。

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不動産売却 HOME4U」は、国内で最も古くから運営されている一括査定サービスで、土地を高く売ることのできる不動産会社が数多く登録されているのが特徴となります。

大手だけでなく、地元の力のある不動産会社も査定参画企業に登録されているため、土地売却に最も適切な不動産会社を見つけることができるのがメリットです。

特に、昔からの地元の中小の不動産会社は、土地を欲しがっている地主を知っており、特殊な売却ルートを持っていることが良くあるので、査定は大手不動産会社だけでなく、地元の中小の不動産会社からも受けることが重要となります。

ぜひ様々な不動産会社を比較して、高くスムーズに売るための最短ルートを進んでください。

6-5.相対取引を避ける

土地を売却する際に、値引きされずに土地を高く売るための注意点としては、相対取引を避けることもコツです。相対取引とは、「1対1」による交渉の取引のことを指します。

購入希望者が1人しか存在しないような状態になると、買主の値引き要求等が通りやすくなります。買主の要求を通しにくくするには、購入希望者を2人以上確保し、「1対 複数」による交渉の状況を作り出すことが必要です。

2人以上の購入希望者が存在すれば、購入希望者同士で競合関係が生まれるため、高く売却できるようになります。例えば、Aさんが「値引きして欲しい」といってきても、Bさんが「満額で買います」といってくれれば値引きせずに売ることができます。

相対取引の状態に陥ると、交渉が不利となり高く売却することができません。不動産会社にはなるべく多くの購入希望者を連れてきてもらい、売却が決まるまで「1対 複数」の状況で話を進めることを意識して売却活動を行うことをおすすめします。

実際に売り出した後に土地がなかなか売れない場合の対処法については、以下の関連記事をご参照ください。

まとめ

土地を売却する際は、様々な費用や税金が生じますので、基本知識をしっかり押さえておくことをおすすめします。

また、土地を高く売るコツは、「複数の不動産会社に査定を依頼する」、「土地の欠陥をなくしてから売りに出す」、「相対取引を避ける」の3つです。

スムーズに高額売却を実現させるなら、まずは「不動産売却 HOME4U」で査定を依頼することから始めてください。

この記事でご紹介した内容が、皆さんの土地の売却活動のお役に立てることを願っています。

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この記事のポイント

土地売却にかかる費用の内訳は?

土地売却にかかる主な費用の内訳は以下です。

  • 仲介手数料
  • 土地の測量費用
  • 印紙税
  • 譲渡所得税
  • ローンの抵当権抹消にかかる費用
  • 登録免許税
  • 登記関係書類や土地測量図の作成にかかる費用
  • 土壌汚染調査、水道引込工事などの費用
  • 古家が建っている場合の取り壊し費用
  • 地下埋設物撤去費用

詳しくは「1.土地売却にかかる費用の内訳と相場」で紹介しています。

土地売却にかかる税金と計算方法は?

土地の売却時にかかる税金を譲渡取得税といいます。譲渡取得税を計算するには、まず譲渡取得とは何かをおさえておく必要があります。

詳しくは「2.土地売却後の譲渡所得と税金の計算方法」で紹介しています。

土地売却時に利用できる特別控除とは?

問売却時に利用できる特別控除は主に4つあります。

  • 【平成21年・平成22年に取得した土地の売却】1,000万円特別控除
  • 収用に係る5,000万円特別控除
  • 居住用財産の3,000万円特別控除
  • 相続空き家の3,000万円特別控除

詳しくは「3.土地売却時に利用できる特別控除」をご覧ください。