マンションから戸建ての住み替えで後悔しない秘訣!メリットや注意点は

マンション 戸建 住み替え

マンションから戸建てへ住み替える場合は、マンションの売却と家の購入もしくは注文住宅の建築を同時に行うため、しっかりと計画を立てておく必要があります。

何より、戸建て住宅の購入はとても大きなお金の支払いが必要となるため、ぜひとも後悔のない買物をしたいところです。

しかしながら、マンションから戸建ての住み替えは、初めてのことも多いため、なかなかスムーズにいかない方が多いのも事実です。「満足できない結果に終わってしまうかも…」と考えると、なかなか一歩踏み出すことができませんよね。

そこで、この記事では、マンションから戸建てに住み替えを迷っている方実際に検討を進めている方に向けて、以下のポイントを解説します。

  • マンションから戸建てに住み替えるメリットとリスク、またその対策
  • マンションから戸建てに住み替える際に注意すべきこと
  • 住み替えに関する基礎知識(流れ、住宅ローン、お得な税金の特例など)

この記事をお読みいただくことで、マンションから戸建てに住み替える際のポイントや基礎知識が分かるようになります。ぜひ最後までお読みいただき、新居での幸せな新生活への第一歩を踏み出してください。

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この記事の執筆者
竹内 英二
不動産鑑定士事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役を務める。 不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
(株)グロープロフィット

Contents

1.マンションから戸建てに住み替えるメリットとリスク対策

この章ではマンションから戸建てへの住み替えをするメリットとリスクを避けるための対策方法を解説しています。

1-1.マンションから戸建てに住み替えるメリット7つ

家を広くすることができる

マンションから戸建てに住み替える理由として最も多いのが、「部屋が手狭になった」「もっと広い家に引っ越したい」という理由です。戸建てに引っ越すことで、住居となる面積や部屋数を増やすことができます。

家族が増える、またご両親との同居をするなどをきっかけに、マンションから戸建ての住み替えを決める方も多いでしょう。

間取りやデザイン・設備を自由に決められる

戸建てを建てるに当たり、間取りや部屋のデザイン、設備のグレードを一から決めることができることは大きなメリットです。具体的には、主に以下のようなポイントを自由に決めることができます。

  • 部屋数
  • リビングの広さ
  • キッチンや水回りの設備
  • 外装・内装のデザイン
  • 生活導線や家事導線
  • 収納スペースの設置 など

土地を所有できる

戸建てに住み替えると、明確な形で土地を所有できるというメリットがあります。マンションでも敷地利用権という共有の形で土地を持っていましたが、戸建てならより明確な形で
土地を持つことができます。

土地は建物とは異なり、経年とともに価値が下がらない資産です。将来、建物価格がゼロになったとしても、土地値で売却することができます。また土地があれば、建物を取り壊し、小さなアパートや駐車場等の土地活用もできます。

土地は、長期的には価値の高い資産であり、子や孫に引き継げる財産でもあるのです。

維持費が安くなる

戸建てはマンションと比べると、以下の費用がなくなる分、月々の維持費が安くなります。

  • マンションの管理費
  • 修繕積立金
  • 駐車場代
  • 駐輪場代 など

マンションによっては、月4~5万円程度の節約をすることが可能です。固定資産税や建物の火災保険料に関しては、同地域であればマンションも戸建てもほぼ同じです。

住宅ローンの支払額が同額であれば、月々のランニングコストは戸建ての方が安くなると言えるでしょう。

庭や物置が持てる

土地の広さにもよりますが、戸建てには庭が持てるというメリットもあります。具体例として以下のようなことが可能となるでしょう。

  • 駐車場代や駐輪場代も不要
  • ガーデニングやゴルフスイングの練習などの趣味も楽しむ
  • 大型犬を飼う
  • BBQができる

布団を干す、子供の上履きを洗う際にも、庭があった方が格段にやりやすくなるでしょう。

また、庭があると物を置けますので、マンションよりも収納力が格段に上がります。サーフボードやスキー板、大型キャリーバッグなど、マンションでは持ちにくかった大きなものが持てるようになります。

振動や騒音などのストレスがなくなる

マンションでは足音などの振動や騒音などが原因でトラブルに発展することがあります。戸建てに引っ越すことで、そうしたストレスが解消されるというメリットがあります。

お子様がいらっしゃる場合は、マンションの家の中で走り回ることが隣人への迷惑になっているのではないかという不安からストレスを感じていた方も少なくないでしょう。

もちろん過度な騒音などは戸建てでも近所迷惑となってしまいますが、マンションよりも振動や騒音を気にせずに過ごすことができるため、家がより快適になるといえます。

建て替えやリフォームができる

戸建ては、将来的に建て替えをすることもできます。子供たちに残せる資産としては、建て替え可能な戸建ての方が価値はあります。

また、マンションは建て替えには区分所有者の5分の4以上の賛同が必要であるため、ほとんどのマンションは将来立て替えることが不可能といわれています。また、共有部分のリフォームも独断ではできず、さらに設備面のグレードアップにも制限がある場合があります。

不動産売却塾 コラム

戸建てはリバースモーゲージが利用できる

戸建てはリバースモーゲージを利用することができます。リバースモーゲージとは、土地を担保に年金型の融資を受ける制度です。住宅を資産として残すころはできなくなりますが、介護や老後の資金を得ることができるというメリットがあります。

介護などを理由にご実家の売却などを検討している場合は、以下の関連記事をご参考ください。

介護のために親の家を売却するときの税制優遇と成功のコツ

1-2.マンションから戸建てに住み替える際のリスク対策3つ

マンションから戸建てに住み替える際に考えられるリスクと、それに対する対策を解説します。

マンションよりも「セキュリティ性」の注意が必要

一般的に、戸建てはマンションに比べるとセキュリティ性が低いと言えます。警視庁が公表している「令和元年中の侵入窃盗の傾向」によると、侵入窃盗の場所別発生状況は「一戸建て住宅」が34.5%、「4階建て以上の中高層住宅」が7.8%となっています。

住宅はマンションのように高いところにあるだけで、泥棒が侵入しにくくなるため、窃盗数が減ります。低い戸建ては泥棒が侵入しやすいため、マンションに比べるとセキュリティが低いです。

マンションから戸建てに住み替える場合には、セキュリティ性を十分に確認する必要があります。

戸建て住宅の中でも、敷地が前面道路と背面道路に接している二方路地は、泥棒の侵入経路が増えるため、安全上良くありません。道路の接面状況は、一方路に面しているだけの方が安全です。

また、1階の風呂場などの開口部が泥棒の侵入しにくい構造となっているかもチェックが必要です。窓に関しては、2階も含めて補助錠が設置されているかどうかを確認するようにして下さい。

土地の形と建物の向きを確認する

マンションは土地の形を気にする必要はありませんが、戸建ては土地の形も見る必要が出てきます。

土地の形は不整形なほど価値が劣ります。基本的に、土地の形は間口が広くて奥行が短い長方形が最も良い形と言われています。

使いづらい土地の形:旗竿地

戸建て住宅地で良くある不整形な土地の例として「旗竿地」があります。
土地は建築基準法で、4m以上の道路に間口が2m以上接していないと建物を建てることができないことになっています。

旗竿地はこの建築基準法のルールを何とか守るために作られた土地です。細長い棒状の部分の利用効率が悪いため、資産価値を落とす原因となります。

価格は安いですが、使いにくい土地ですので、できれば購入を避け、整形の使いやすい土地を購入するようにしましょう。

また、戸建ての場合、土地の広さによって接面する道路の方位の重要性が異なってきます。

一般的な広さの戸建てであれば、南側に道路が接面した土地が価値は高くなります。道路が南側に接していると、玄関ポーチに陽が差し、家の印象も明るくなるためです。

一方で、広い土地を持つ戸建てであれば、北側に道路が面した土地が価値は高いです。広い土地なら、玄関を北側に配置し、南側に日当たりの良い縁側と庭を作ることが可能だからです。

また、日差しの良い環境を担保された土地を選びたい方には、将来的にも周辺に高い建物が建つ心配ない土地として規制されている「第一種低層住居専用地域」もおすすめです。

建物の瑕疵問題は契約時に注意(中古の戸建て住宅の場合)

中古の戸建て住宅を購入する場合、建物に瑕疵(かし)が発生していないかしっかりチェックする必要があります。

瑕疵とは、以下のような通常は有すべき品質を欠くことをいいます。

  • 雨漏り
  • シロアリによる床下の腐食
  • 家が傾いている など

木造の戸建て住宅は、鉄筋コンクリート造のマンションよりも躯体の劣化が早いため、瑕疵の発生している可能性がマンションよりも高くなります。

瑕疵の有無が不安な人は、売主の同意を得れば購入前にインスペクションをすることも可能です。インスペクションとは専門家による建物の目視調査です。費用としては5万円程度になります。

最近は、買主が費用負担をして購入前にインスペクションを実施するケースが増えています。インスペクションに合格した物件かどうかも、中古住宅を選ぶポイントとなります。

また、数としては少ないですが、売主側で売却前にインスペクションを実施するケースもあります。

民法の改正により、売主は売却する物件に対して「契約不適合責任」を負うことになりました。中古住宅に対する売主側の責任は以前よりも大きくなりましたが、売買契約に特約を付けて、瑕疵への対応を避けるケースもあるため、契約前には必ず確認するようにしましょう。


2.マンションから戸建てに住み替える際に注意すべき7つのこと

この章では、マンションから戸建てに住み替える際にも注意すべき点について、まとめて解説します。この7つの注意点を留意しておくことで、住み替え後に後悔することを防ぐ対策につながります。

2-1.周辺環境

住宅の購入で、一番大切なことは周辺環境です。「家の購入は、環境の購入」と言われることもあり、周辺環境が良い住宅を購入すると、満足できる家を購入できるようになります。

例えば、東京都では武蔵野市などは昔から住環境が良くて有名です。武蔵野市の住宅を購入したら、仮にその物件に多少の難があったとしても、住宅購入に満足感が得られることが、なんとなく想像できると思います。

どんなに性能の良い家を購入したとしても、住みにくい環境の中にある物件であれば、住み替えで満足感は得られません。

住宅の購入は、まず「家そのもの」よりも「住みたい周辺環境」を選ぶことが重要です。

「住宅街として静かである」、「買物に便利なスーパーが近くにある」、「街路樹や歩道が整備され街並みが綺麗である」等々、惚れ込んだ周辺環境の中から物件を探すことがコツです。小さなお子様のいる家庭であれば、学区も大切な要素となります。

まずは住みたい街を良く調査し、購入したいエリアの目ぼしを付けることから始めましょう。

2-2.通勤・通学のしやすさ

周辺環境とともに考慮したいのが、通勤・通学のしやすさです。「勤務先まで乗り換えなしで行ける」「快速停車駅である」等々、交通利便性の良い駅を選ぶポイントとなります。

電車に関しては、夜間のダイヤも調べておくことをおすすめします。日中は便利な駅でも、夜中の10時以降になると「○○駅行」という途中までしか行かない電車が多くなり、夜間帯の本数が激減してしまう路線は結構あります。

夜間に本数が減る駅を選んでしまうと、通勤に便利だと思っていたのに、実は不便だったということもあります。仕事で帰りが遅くなることが多い人は、夜間帯のダイヤも考慮して街を選ぶのが良いでしょう。

2-3.住み替えで購入する戸建ての種類

戸建てには、以下の3種類(新築建売・注文住宅・中古住宅)があります。メリット、デメリットをまとめた一覧を参考に、購入する戸建て住宅を決めましょう。

建売住宅

既に完成している戸建て物件を不動産会社から購入する

メリット
  • 実際の間取りを見学してから購入するかどうかを決められる
  • 購入後はすぐに入居が可能
デメリット
  • 既に完成している物件のため、間取りなどを変更したい場合は、全て実費で行わなければならない
  • 好みの物件を見つけるのに時間がかかってしまう傾向がある
注文住宅

土地から探し、新たに新築住宅を建てる

メリット
  • 間取りや設備を全て思い通りに決めることができる
  • 完成前の物件を確認することができる
デメリット
  • 土地探しが必要になる場合は、さらに時間とお金がかかる
  • 一から設計する必要があるため、費用が高くなる
  • 計画から完成(入居)まで時間がかかる
中古住宅

中古の戸建て物件を購入する

メリット
  • 新築よりも価格が安い
  • 好立地の物件が見つかりやすい
  • 古い物件でもリフォームを行えば新築に近い状態になる
デメリット
  • 将来的な修繕費用が多くかかってしまう
  • 築年数によっては、耐震性に不安が残る

2-4.耐震性・築年数

住宅の購入で大切なのは、耐震性です。1981(昭和56)年6月1日以降に建築確認申請が通っている建物であれば、現在の新耐震基準を満たした建物になります。

新耐震基準の建物は、阪神淡路大震災でも倒壊を免れており、耐震性能の高さは十分に実証されています。新耐震基準の築年数に関しては、マンションも戸建ても同じです。

また、構造には、耐震性能が高い順に「免震」「制振」「耐震」といった3つのレベルも存在します。

耐震構造でも新耐震基準の建物であれば耐震性能は問題ありませんが、さらに高い耐震性を求めたい場合には、「免震」や「制振」の構造を検討してみましょう。

また、中古住宅の場合は、築年数を確認し、1981(昭和56)年6月より前に建てられた住宅には十分に注意しましょう。

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2-5.ハウスメーカーや施工会社

戸建て住宅の場合、ハウスメーカーや建設会社は重要なポイントになります。

ハウスメーカー・建設会社は住宅の品質に影響を与えています。また、建築してお付き合いが終わるわけではありません。その後のアフターメンテナンスまで、長い間お世話になるパートナーです。以下のポイントも考慮しながら検討をすすめましょう。

ハウスメーカー・建設会社で確認したいポイント
  • 技術力(家の性能や独自技術)
  • 実際の建築実例
  • アフターメンテナンスの内容
  • 担当者の対応力や性格 など
  • 実際の顧客による口コミ

ハウスメーカー選びで失敗しない方法!

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2-6.住宅や土地の向き(中古住宅や建売住宅を購入する場合)

戸建ての中でも、中古住宅や建売住宅を購入するとき、リビングやバルコニーの向きを考えることが大切です。採光の多い方角は、南、東、西、北の順番となります。

また、単純な方角だけでなく、周囲の建物も合わせて考える必要があります。近隣にある高いビルやマンションによって影となってしまうケースもあるため、必ず現地に訪れるようにしましょう。

また、窓の数も採光を左右する要素となりますが、あまりに窓が多すぎると、密閉性が低くなり、エアコンや暖房が効きにくくなってしまうというデメリットもあります。一日、一年を通じた過ごしやすさを想定し、気になる点は売主や販売会社に確認しましょう。

2-7.リフォーム履歴(中古住宅を購入する場合)

住み替えで、中古住宅を購入する場合は、必ず修繕・リフォーム履歴を確認しましょう。マンションとは異なり、中古住宅に修繕積立金はありません。しかし、修繕・リフォーム費用は自らが負担するため、ある程度の計画を立てておく必要があります。

また、修繕履歴から住宅の壊れやすい場所や問題点なども知ることができます。リフォームで見た目はきれいになっていても、もしかしたら築年数が経過しており、欠陥を含んだ住宅かもしれません。

中古住宅を購入する前には、必ず修繕・リフォーム履歴を確認し、可能であればインスペクションを行うようにしましょう。

インスペクションとは?不動産売却で役立つ基礎知識を解説

3.マンションから戸建てに住み替える一連の流れ

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マンションから戸建てに住み替えは、上記の手順で進めます。以下、ポイントとなる点を解説します。

3-1.資金計画を立てる

マンションから戸建てへ住み替える際には、まずは綿密な資金計画を立てることが大事です。

現在お住まいのマンションにまだローンが残っている場合には、マンションの売却代金でローンの残債を完済できるかを不動産会社などへ問い合わせてみてください。

預貯金やローンの残債、マンションの売却代金を考慮したうえで、毎月の返済金額を決めます。長期的な計画になるため、今後の生活に支障をきたさないように無理のない資金計画を作成しましょう。

3-2.マンションの査定は複数の会社に依頼する

資金計画と多少前後してしまいますが、現在お住まいのマンションの価値を査定します。査定額は査定する不動産会社によって変動するため、一社だけではなく、複数の不動産会社へ見積もりを依頼することをおすすめします。手間を嫌われる方は、インターネットの一括査定サービスを利用するのも良いでしょう。

マンション売却について基礎から詳しく知りたい方は『【完全版】マンション売却の注意点』も併せてご覧ください。

3-3.内覧は部屋を掃除・整理整頓する

資金計画がまとまったら、マンションを売りに出します。査定してもらった不動産会社と媒介契約を締結し、マンションの売却のために買い手を探してもらいます。

全てが不動産会社任せというわけではなく、売り手自身も協力しなければなりません。例えば、内覧時の印象を少しでも良くするために部屋の片づけや清掃などは欠かせません。

マンションに興味を示している買い手が見つかった場合、売り出し価格で売却できれば良いのですが、価格交渉に移行することがあります。値下げの幅はそれぞれですが、どこまで価格を下げられるかを予め決めておくと、交渉をスムーズに進められるでしょう。

3-4.住み替え時のローン活用はタイミングに注意

買い替えローンを利用する際の注意点

まだ売却するマンションの住宅ローン残債が残っている場合、残債と新居の購入資金を合わせて借り入れできる「買い替えローン(住み替えローン)」の利用を検討しましょう。

通常、不動産はローンの残債がある状態で売却することはできません。しかし、上記のように、住み替え先の住居の購入費用に残債を支払うお金を足し、その合計金額のローンを新しく組むこととなります。

注意点として、マンションの売却金額が予想を下回った場合、ローンの金額が想定より大きくなってしまうというリスクもあります。確実な売却金額を見定めるために、複数の不動産会社の査定金額をしっかりと比較して相場をとらえましょう。

住み替え時の「住宅ローン」の選び方|住み替えローンの条件とは?

つなぎ融資を利用する際の注意点

つなぎ融資」は主に現在住んでいるマンションを売却する前に、住み替え先の戸建て住宅の購入をする場合に便利な住宅ローンです。新居の手付金や購入費が手元の費用では足りない場合、一時的な融資を受けることができます。

マンションが売却されたら、そのお金で返済しますが、返済されるまで「利子」が発生し続けるため、注意が必要です。また、借り入れ期間は通常半年~1年程度となるため、その間に売却を完了しなくてはいけません。

「マンション売却の目途が立っていない」など返済計画が確かではない段階で利用を決めることは避けましょう。

住み替えで登場する「つなぎ融資」って何?使わない方法も解説

4. 住み替えの成功には「スムーズな売却」が大切

住み替えでは購入にエネルギーが必要となるため、今住んでいるマンションの売却をなるべくスムーズに行うことが成功に繋がります。

「良く知っている物件を売る」のと「良く知らない物件を買う」のでは、「良く知らない物件を買う」方がはるかに難しいです。そのため、住み替えでは購入にこそエネルギーを注がなければなりません。

売却をスムーズに成功させるには、信頼できる不動産会社に仲介をお任せするのがコツです。ただ、信頼できる不動産会社といっても、「不動産会社のことを良く知らないし、どうやって見つけたら良いか分からない」という人も多いでしょう。

そのような方には「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」の一括査定サービスを利用するのがおススメです。

あなたの不動産いくらで売れる?

一括査定サービスとは、簡単な入力操作だけで、複数の不動産会社に無料で査定を依頼できるサービスです。

査定依頼も一括査定サービスを使わないと、いちいち不動産会社を探して、電話してアポを取らなければいけないため、かなり面倒になります。一括査定サービスは査定依頼を大幅に楽にしてくれます。

また、「不動産売却 HOME4U」はNTTデータグループが運営しており、実績豊富な信頼できる不動産会社が参画企業として登録されています。一度の入力で複数の不動産会社に査定を依頼できるため、査定結果を比較して、今お住いのマンションを少しでも高く売れる不動産会社を選択することができます。

また、エリアから売却したいマンションにフィットした不動産会社を複数ピックアップしてくれるため、初心者の方にもおすすめです。

マンションの売却が楽になれば、購入にエネルギーを注ぐことが可能です。売却活動は効率的に進めて、住み替える家の購入や建築を検討するための時間を確保してください。

5. マンションから戸建ての住み替えでお得な税金特例

住み替えでは、以下2つの税金特例が使えます。

購入物件:住宅ローン控除
売却物件:居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
(以下、「譲渡損失の買換え特例」と略)

この2つの特例は、マンションから戸建てへの住み替え時だけでなく、戸建てからマンションに住み替える際にも使うことができます。本章では、それぞれの特例についてご紹介します。

5-1.住宅ローン控除

住宅ローン控除とは返済期間が10年以上のローンを組んで住宅を購入した際、自分が住むことになった年から一定の期間に渡り、所定の額が所得税から控除される税金特例です。

住宅ローン控除は、新築住宅でも中古住宅でも一定の要件を満たす住宅を購入すれば適用することができます。

新築住宅の住宅ローン控除

まず新築住宅では、マンションも戸建ても以下の要件が必要となります。

新築住宅の住宅ローン控除の要件

  1. 住宅を新築、または新築住宅を取得し、平成21年1月1日から令和3年12月31日までにその住宅を自己の居住の用に供すること。
  2. 工事完了の日または取得の日から6ヶ月以内に、自己の居住の用に供すること。
  3. 床面積が50平米以上であること。
  4. 居住用と居住用以外の部分(例えば店舗など)があるときは、床面積の2分の1以上が居住用であること。(この場合は居住用の部分のみが控除の対象となる)

要件のポイントとしては、「床面積が50平米以上」であるという点です。この床面積は登記簿謄本に記載された面積のことを指します。

特に、狭い住宅に住み替える人は登記簿謄本の面積をよく確認する必要があります。登記簿謄本の面積は内法(うちのり)面積と呼ばれ、壁の内側から測定している面積です。

ちなみに、マンションの販売図面等に記載されている面積は、壁芯(へきしん)面積です。壁芯面積とは隣戸との壁の中心から測定している面積となります。

パンフレットに記載されている面積が55平米程度でないと、登記簿面積が50平米を超えない可能性がありますので、購入時点で登記簿面積が50平米を超えるかどうかを十分に確認するようにして下さい。

中古住宅の住宅ローン控除

一方で、中古住宅の住宅ローン控除の要件は以下の通りとなります。

中古住宅の住宅ローン控除の要件

  1. 中古住宅を取得し、平成21年1月1日から令和3年12月31日までにその住宅を自己の居住の用に供すること。
  2. 新築住宅の場合の「2」~「4」と同じ。
  3. 次のイ・ロのいずれかに該当すること。

イ)建築されてから20年(耐火建築物の場合は25年)以内の家屋であること
ロ)築後年数に関わらず新耐震基準に適合することが証明されたもの又は、既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入しているもの(その家屋の取得の日前2年以内に保険契約の締結をしたものに限る。)

中古住宅の場合、「建築されてから20年(耐火建築物の場合は25年)以内の家屋」という要件がポイントになります。

木造の戸建てのような非耐火建築物は築20年以内が要件となります。また鉄筋コンクリート造のマンションのような耐火建築物は築25年以内が要件です。

つまり、中古住宅の場合には、とりあえず戸建てなら築20年マンションなら築25年以内であれば住宅ローン控除を受けることができます。

一方で、「築後年数に関わらず新耐震基準に適合することが証明されたもの又は、既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入しているもの」も住宅ローン控除を受けることができます。

「新耐震基準に適合することが証明されたもの」とは、例えば売主が耐震診断結果報告書等の書類を保有している場合を指します。

また、「既存住宅売買瑕疵担保責任保険」とは、売却後、物件に不具合が発見された場合、その補修費用の一部を保険料によってカバーすることができる保険です。

木造の戸建てで築20年超、マンションで築25年超の物件は、新耐震基準の適合証明」や「既存住宅売買瑕疵担保責任保険があれば住宅ローン控除を利用することが可能となります。

新築の戸建て住宅には、補助金・助成金やお得な税金の特例がたくさんあります。
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5-2.居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(譲渡損失の買換え特例)

売却する物件に譲渡損失が発生した場合、住み替えで「譲渡損失の買換え特例」を利用することができます。

譲渡損失の買換え特例とは、譲渡した年に発生した譲渡損失を翌年以後3年間にわたり、他の給与所得等と「損益通算」することができる特例になります。

損益通算とはプラスの給与所得にマイナスの譲渡所得を合算し、全体の所得を下げる手続きです。以下の式のように、計算結果がマイナスとなる損失を「譲渡損失」といいます。

譲渡損失 = 譲渡価額※1 - 取得費※2 - 譲渡費用※3 < 0

※1譲渡価額とは売却額です。
※2取得費とは、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額になります。
※3譲渡費用は、仲介手数料や印紙税、測量費など、家の売却に要した費用のことを指します。(ただし、譲渡費用の中には抵当権抹消関連費用は含まれません。)

給与所得から譲渡損失がマイナスされれば、全体の所得が下がります。
所得が下がれば、給与所得を前提に天引きされていた所得税が払い過ぎていることになり、払い過ぎた源泉徴収税額を取り戻して還付を受けることができます。

初年度で譲渡損失が控除しきれず、まだマイナスの譲渡損失が残っている場合、その譲渡損失は翌年以後3年間にわたって繰り越しながら控除することができます。

尚、「譲渡損失の買換え特例」では、購入資産に以下のような要件が必要となります。

購入資産の要件

  1. 譲渡資産の譲渡した年の前年の1月1日から翌年12月31日までの間に取得される自己の居住用に供する家屋またはその敷地
  2. その家屋の居住部分の床面積が50平米以上であること
  3. その取得の日から取得した年の翌年の12月31日までの間に自己の居住の用に供すること、または供する見込みであること
  4. 繰越控除を受けようとする年の12月31日において、買換え資産に係る住宅借入金等(返済期間10年以上のローン契約等によるもの)の金額を有していること

ここで要件の中で注意したいのが、「返済期間10年以上のローン契約等による」という部分です。

住み替えでは、売却物件によって手持ち資金が入るため、住宅ローンを組まずに物件を購入する人も多くいます。「譲渡損失の買換え特例」を利用するのであれば、10年以上の住宅ローンを組むことを忘れないようにしましょう。

尚、住宅ローン控除を利用する場合でも、「10年以上の住宅ローンを組むこと」は必要な条件となります。

住み替えで10年以上の住宅ローンを組めば、「住宅ローン控除」と「譲渡損失の買換え特例」の両方を併用して利用することができます。

無駄に住宅ローンを組む必要はありませんが、余裕を持った10年以上の住宅ローンであれば、ローンを組むだけで2つの税金特例が使えます。税金特例を利用することも踏まえ、購入物件の住宅ローンの利用についても検討しておきましょう。

6. マンションから戸建ての住み替えでよくある質問

マンションから戸建てに住み替える際に気になる疑問点について回答します。

6-1.ローン残債があっても戸建てに住み替えできますか?

質問の回答

マンションの住宅ローンを既に完済している場合は、特に問題なく戸建てを購入できますが、住宅ローンが残っている場合は抵当権を抹消するという作業が必要です。

マンションの売却代金でローンを返済できない場合は、マンションのローン残債と戸建てのローンをまとめる「住み替えローン」を利用するという手段もありますが、通常のローンよりも審査が厳しいため、予め確認しておいてください。

住み替えを成功させるための重要ポイントは、ローンの設定における資金計画!

6-2.マンション売却と戸建て購入はどちらが先に行うもの?

質問の回答

資金面の負担を減らしたいのであれば、戸建てを購入する前にマンションを売却すると良いでしょう。このように売り先行で住み替えれば、戸建て購入の際の負担を軽減できます。

時間的な余裕も生まれるため、売却交渉でも優位に進められる可能性が高くなります。注意点として、マンション売却から新居への引っ越しまでの間は、仮住まいの用意が必要です。

仮住まいが長期化すると資金的な負担にも繋がるため、できるだけこの期間を短くするように計画を立ててください。ただし、注文住宅の場合は買い先行が基本です。

住み替えたい。売却が先?新居購入が先?

6-3.住み替えにかかる費用はどのくらいですか?

質問の回答

住み替えの際には様々な手数料や、税金の支払いがあります。戸建てとマンションでは必要な費用に違いがありますが、おもに以下のような費用がかかることを覚えておいてください。

  • 仲介手数料

    不動産会社に支払う手数料です。宅地建物取引法で上限が定められていますが、売買価格が400万円以上の場合は速算式と呼ばれる方法で計算します。

    売買価格(税抜)× 3% + 6万円
    例:売買価格が3,000万円の場合 3,000万円×3%+6万円=96万円(税抜)

  • 印紙税

    売買の契約書は課税文書であるため、収入印紙を貼って印紙税を納めます。印紙税は売買価格によって異なりますが、1,000円~6万円程度が目安です。

  • 登録免許税(抵当権抹消費用・所有権移転登記)

    抵当権抹消や所有権移転の登記を行うときには登録免許税が必要になります。抵当権抹消の登記費用は不動産一つにつき1,000円です。土地付きの戸建を売買する場合、家と土地の二つの不動産になるので、2,000円です。

    所有権移転登記の登録免許税は、固定資産税評価額×税率で計算します。税率は移転登記の理由によって変わります。

    参考:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表

  • 譲渡所得税

    不動産などを売ることで得た利益にかかる税金で、おもに所得税や住民税などのことです。この他に住宅ローンの借入費用や、固定資産税清算金、不動産取得税などが必要な場合もあります。

    参考:国税庁「土地や建物を売ったとき

6-4.固定費はマンションと戸建てのどちらが大きいですか?

質問の回答

必要な固定費は「固定資産税」「都市計画税」「修繕維持費」です。

例えば、固定資産税は土地評価額と建物評価額で算出されますが、住宅用土地の特例措置として、小規模住宅用地(面積が200平米以下)であれば、課税標準が1/6に圧縮されます。

一戸建てのほうがマンションよりも土地の割合が高いため、購入価格が同じであれば、一戸建てのほうが固定資産税が安くなります。さらに、建物の耐用年数は、一戸建ては22年に対し、マンションは47年に設定されています。そのため、マンションのほうが減価償却期間は長く、その分の固定資産税が戸建てよりも多くなります。

また、修繕維持費はマンションの場合、毎月の修繕積立金を支払う必要がありますが、戸建てには必要はありません。国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」によると、毎月の修繕積立金の平均は11,243円/月でした。しかし、これは共有部分の修繕費で、個々の部屋に修繕の必要がある場合は、別途用立てる必要があります。

戸建てにも修繕費用は発生するため、ご自身で積立を行う必要がありますが、ランニングコストとしての固定費はマンションよりも下がるといってよいでしょう。

参考:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果 2019年(8ページ)」

6-5.戸建ての購入時のローンはいくら借り入れていいですか?

質問の回答

戸建て購入時のローンは、将来的な収入の減少リスクを考慮して絶対に返済できるという額だけを借り入れるようにしましょう。

目安としては、税込み年収の4倍程度とされています。世帯年収が500万円であれば、2000万円までが理想です。また、戸建てを購入する額の2割程度と住み替え費用は自己資金で用意すると、今後の返済を余裕をもって進められます。

まとめ

いかがでしたか。マンションから戸建て、戸建てからマンションへの住み替えポイントについて解説してきました。

マンションも戸建ても、周辺環境や通勤の利便性、耐震性に関しては共通で検討すべき内容です。売却に取り掛かる前に、購入物件の目星はある程度付けておくことが重要です。

マンションや戸建てには、それぞれのメリットと検討すべきポイントがあります。
住み慣れた家とは多少の勝手が違うので、違いを認識した上で物件探しに取り掛かって下さい。

また、中古物件を購入する際は、住宅ローン控除を受けるためにマンションなら築25年以内、戸建てなら築20年以内の物件を探すことが原則です。

売却で譲渡損失が発生した場合には、「譲渡損失の買換え特例」が使えますので、忘れずに手続きするようにして下さい。

住み替えは、満足のいく物件を購入できてこそ成功です。購入に注力するには売却の負担を少しでも軽くする必要があります。

売却は「不動産売却 HOME4U」を利用してスムーズに行い、素敵な住み替えを実現させましょう。