フラット35の審査基準|流れや必要書類、落ちた場合の対処法を全解説

フラット35の審査 流れや必要書類などを解説

不動産の購入にあたって、フラット35を検討している方は少なくないでしょう。しかし、フラット35を利用するには、審査に通過しなければなりません。

そこで本記事では、フラット35の特徴や審査の流れ、必要書類などについて解説します。また、審査に落ちてしまった場合の対処法についても紹介するので、併せて参考にしてください。

この記事を読むと分かること
  • フラット35の特徴
  • フラット35の審査の流れと必要書類
  • フラット35の審査に落ちた場合の対処法
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1.審査の前に知っておきたい、フラット35の特徴

フラット35」は、住宅ローンの一種です。住宅金融支援機構が、全国300以上の金融機関と提携して提供しています。利用するために審査に合格しなければならない点は、一般的な住宅ローンと同様です。

「2022年度 フラット35利用者調査」によると、2022年度(令和4年度)におけるフラット35利用者の平均年齢は42.8歳でした。また、融資区分別(建て方別)では、土地付き注文住宅の割合が最も多く31.3%となっています。

フラット35_年齢別利用割合の推移

引用:“2022年度 フラット35利用者調査”. 住宅金融支援機構. 2023-08-04. (参照2024-03-11)

フラット35_融資区分別(建て方別)利用割合の推移

引用:“2022年度 フラット35利用者調査”. 住宅金融支援機構. 2023-08-04. (参照2024-03-11)

はじめに、審査を受ける前に知っておくべき情報として、フラット35の以下の特徴について解説します。

  • 返済計画を立てやすい
  • 繰り上げ返済の手数料がかからない
  • 金利を下げる方法がある
  • 比較的審査に通りやすい

1-1.返済計画を立てやすい

フラット35は、「全期間固定金利型」の住宅ローンであるため、融資を受けた時点で返済額が確定します。したがって、返済完了まで変わらない金利で、最長35年の住宅ローンを組むことができます。

金利の種類

返済方法については、「元利均等返済」か「元金均等返済」の2種類から選択可能です。また、6ヵ月ごとのボーナス払いも併用できます。

返済の方式(元利均等、元金均等)

以上のことから、フラット35は、家計の状況に合わせて返済計画を立てやすい住宅ローンだといえるでしょう。

なお、固定金利について詳しく知りたい場合は、「固定金利とは?メリット・デメリット、向いている方の特徴を解説」もご覧ください。

1-2.繰り上げ返済の手数料がかからない

住宅ローンを無理なく返済していくには、余裕があるときに繰り上げ返済を検討するのがおすすめです。

フラット35は繰り上げ返済に対応しており、手数料もかかりません。また、一般的な繰り上げ返済には、「返済額軽減型」と「返済期間短縮型」がありますが、フラット35ではいずれの型も選択可能です。

繰り上げ返済の種類(返済額減額型)

繰り上げ返済の種類(返済期間短縮型)

1-3.金利を下げる方法がある

フラット35には、住宅の性能や地方への移住といった条件を満たすことによって、金利を一定期間引き下げることができるメニューが用意されています。

さらに、金利は以下の条件によっても変わります。

  • 借入期間が20年以下か
  • 融資率が9割以下か
  • どの団体信用生命保険に加入するか

つまり、フラット35では利用者自身の選択によって、金利をある程度下げることができるのです。

ただし、具体的な金利は金融機関によって異なるため、申し込み前に確認が必要です。

1-4.比較的審査に通りやすい

フラット35は、民間の金融機関が提供する住宅ローンと比較して、審査に通りやすいといわれています。

民間の金融機関による住宅ローンでは、給与所得者のほうが収入は安定していると判断されるのが一般的です。しかし、詳しくは後述しますが、フラット35では申し込んだ方に十分な返済能力があることを確認するための審査基準が設けられています。これにより、開業してからの年数が少ない個人事業主でも申し込みやすくなっています。

また、住宅金融支援機構がフラット35の債権(ローン返済を求める権利)を買い取っているということも知っておくとよいでしょう。長期ローンは本来、金融機関にとってリスクが高いものです。この仕組みがあるからこそ、フラット35は多くの方にとって利用しやすいローン商品といえるのです。

2.フラット35の審査基準

家と虫メガネ

フラット35には、「ローンを申し込んだ方」と「ローンの対象となる物件」に対する審査があります。

<ローンを申し込んだ方の審査>

  • 申し込みの要件を満たしているか
  • 借入が返済能力を超えていないか

<ローンの対象となる物件の審査>

  • 技術基準を満たしているか
  • 適合証明書が交付されているか

2-1.申し込みの要件を満たしているか

フラット35に申し込むには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 申し込みをする時点の年齢が満70歳未満である
  • 日本国籍がある

ただし、後継者と合わせて2世代で住宅ローンを返済していく「親子リレー返済」の制度を利用するときは、満70歳以上の方でも申し込み可能です。その場合は、以下の要件を満たす方を後継者に指定します。

  • 申し込みをする方の子や孫、または配偶者である
  • 定期的な収入がある
  • 申し込みをする時点の年齢が満70歳未満である
  • 連帯債務者になる

なお、外国籍の方については、永住許可を受けているか特別永住者であれば申し込めます。

2-2.返済能力を超えていないか

申し込んだ方の返済能力を超えるような融資は、原則として行なわれません。

申し込んだ方に十分な返済能力があることを確認するために、フラット35の審査では「返済負担率」について以下の基準が設定されています。

  • 年収400万円未満の場合、30%以下
  • 年収400万円以上の場合、35%以下

返済負担率とは、年収に対して、1年間に返済する金額の合計が占める割合のことです。年収が400万円以上の方のほうが返済負担率の上限が高く設定されているため、借入可能な金額もその分多くなるといえます。

また、審査の際には完済時の年齢も考慮される点に注意しましょう。具体的には、次の式を計算して35年よりも短くなる場合は、その年数が借入期間の上限となります。

「80歳」−「申込時の年齢(1年未満切上げ)」

2-3.技術基準を満たしているか

フラット35で借入を受けるには、住宅金融支援機構が独自に定めた住宅の技術基準を満たす必要があります。

具体的には、主に以下のような基準が定められています。

  • 接道:一般の道路に2m以上接しているか
  • 床面積:住宅部分が70平米(マンションは30平米)以上あるか
  • 間取り:2つ以上の居室と、キッチン、トイレ、浴室があるか
  • 構造:耐火構造、準耐火構造、または耐久性基準に適合しているか

新築物件については、上記に加えて断熱性能やエネルギー消費性能についても基準を満たさなければなりません。マンションの場合は、床が遮音構造(RC造の場合、界床を厚さ15cm以上)になっていることも必要です。

なお、界床とは上下階の間に位置する床部分のことです。

中古物件については、建物の劣化が進んでいないかどうかを問われます。また、1981年(昭和56年)6月1日から施行された新耐震基準を満たす建物でなければなりません。建築確認日が1981年(昭和56年)5月31日以前の場合は、耐震評価基準などに適合している必要があります。

2-4.適合証明書が交付されているか

「適合証明書」は、物件がフラット35の技術基準を満たしていることを証明するものです。フラット35の審査を通過して融資を受けるためには、第三者機関が実施する物件検査に合格して適合証明書を交付してもらわなければなりません。

物件検査の流れは、対象となる物件が新築か中古かによって変わります。

新築の物件検査は、「設計検査」「中間現場検査」「竣工現場検査」の順に実施され、すべてに合格すると適合証明書が交付されます。ただし、ほかの制度による検査を実施済みであれば、設計検査や中間現場検査は省略される場合があります。竣工現場検査では、建築基準法に基づく検査済証が交付されているかどうかも確認されます。

中古の物件検査では、検査の内容やタイミングが新築物件とは異なる点に留意しましょう。「書類審査」と「現地調査」を併せて実施したのち、両方に合格することで適合証明書が交付されます。

物件検査

なお、物件検査を実施する際には手数料が必要です。具体的な金額は、検査を実施する機関によって異なります。

3.フラット35の審査の流れ

ここでは、フラット35の審査のおおまかな流れを説明します。

フラット35の審査の流れ

  • 物件を決める
  • 事前審査を受ける
  • 本審査を受ける
  • 適合証明書を取得する
  • ローン契約を結ぶ

3-1.物件を決める

前述したとおり、フラット35では申し込んだ方だけでなく、物件も審査の対象となります。そのため、購入する物件が決まっていなければ審査を受けることができません。

どのような物件を購入するか考えるには、理想とする暮らしや住まいについて、しっかりとイメージする必要があるでしょう。そのうえで、ハウスメーカーや不動産会社と相談して物件を決めます。

また、この段階からローンのシミュレーションを行なうなどして月々の返済額を把握し、返済計画を立てておくとよいでしょう。

参考:“借入希望金額から返済額を計算”. 【フラット35】

3-2.事前審査を受ける

購入する物件が決まったら、フラット35を提供する金融機関に事前審査を申し込みます。

フラット35の事前審査とは、住宅金融支援機構と提携した金融機関により実施される仮審査のことです。申し込みの際に提出を求められる書類などは金融機関によって異なるため、事前に確認が必要です。また、審査期間は数日程度が一般的です。

3-3.本審査を受ける

事前審査を通過したら、フラット35に正式に申し込みましょう。団体信用生命保険への加入を希望する場合、この時点で申請します。

本審査は、この申し込みをもってスタートします。事前審査は金融機関が行なうのに対し、本審査は住宅金融支援機構によって実施される点が特徴です。

なお、適合証明書については、この時点で取得していなくても問題ありません。審査期間は、10日から2週間ほどです。

3-4.適合証明書を取得する

本審査を通過すると、融資が仮承認されます。最終的な承認を受けるには、この時点で適合証明書が必要となります。

不動産会社や建築会社を通して物件検査を依頼し、適合証明書の交付を受けましょう。これを仮承認の際に受け取った書類に添えて提出すれば、ローン契約の締結に進むことができます。

3-5.ローン契約を結ぶ

最終的な借入金額のほか、金利や借入期間、返済方法などの詳細について確認しましょう。そのうえで、ローン契約(金銭消費貸借契約)を結びます。

融資が実行され購入代金の支払いが完了すると、物件の引き渡しを受けることができます。また、物件にはこの時点で、抵当権が設定されるのが一般的です。

なお、ローン契約についてより詳しく知りたい場合は、「金銭消費貸借契約とは?押さえておきたい住宅ローンのポイントを解説」もご覧ください。

4.フラット35の審査に必要な書類

フラット35の審査を申し込む際に必要な書類について、事前審査と本審査に分けて説明します。

4-1.事前審査の必要書類

前述のとおり、事前審査に必要な書類は、申し込み先の金融機関によって異なります。そのため、詳細については個別に確認が必要です。

ただし、主に以下の書類を求められるため、あらかじめ用意しておくとスムーズでしょう。

  • 本人確認書類:運転免許証やパスポートなど
  • 収入などがわかる書類:源泉徴収票や確定申告書など
  • 借入状況:返済中の住宅ローンなど

4-2.本審査の必要書類

本審査の申し込みでは、住宅金融支援機構が書式を提供している借入申込書への記入が必要です。これに、下記の書類を添えて提出します。

  • 所得を証明する書類
  • 建設費の確認書類(住宅を建設する場合)
  • 売買金額の確認書類(新築・中古住宅を購入する場合)
  • 登記事項証明書(登記簿謄本)

登記事項証明書(登記簿謄本)には、土地と建物のものがありますが、これから住宅を建設する予定の場合は土地の分のみを提出すれば問題ありません。

一方、住宅を購入する場合は、基本的に土地と建物の両方の登記事項証明書(登記簿謄本)が必要です。ただし、申し込みの時点で竣工していない新築物件については、土地の分のみを提出します。

登記事項証明書(登記簿謄本)についてより詳しく知りたい場合は、併せて「不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)の読み方は?注意点もわかりやすく解説」もご覧ください。

なお、提携先の金融機関によっては、申し込みの際に上記以外の書類も必要となる場合があります。また、審査を行なううえでの追加書類として、住民税納税証明書や給与明細などを求められるケースもあります。

5.フラット35の審査に落ちた場合の対処法

家と電卓

フラット35の審査に落ちて、もう一度挑戦したいと考える方は少なくないでしょう。
しかし、審査に落ちた理由を教えてもらうことはできません。再挑戦するには、なぜ審査を通過できなかったのかを考えて対処する必要があります。

ここでは、その際に検討したい対策を3つ紹介します。

  • 収入合算で申し込む
  • ほかのローンを完済する
  • 頭金を用意する

5-1.収入合算で申し込む

返済負担率が審査基準の一つとなっている点は、すでに説明したとおりです。これは、収入を合算して審査を受ければ、基準となる返済負担率の上限を引き上げられる可能性があることを意味しています。

フラット35では、以下の要件すべてにあてはまる方1人分の収入を合算して申し込むことが可能です。

  • 申し込んだ方の親、子、配偶者などにあたる
  • 申し込みをする時点の年齢が満70歳未満である
  • 申し込んだ方と同居している

なお、合算者の年齢や合算額によっては、借入期間の上限が制限される場合があります。

5-2.ほかのローンを完済する

返済負担率は、年収に占める年間の返済額の「合計」であるため、既存のローンを減らすことができれば審査に通りやすくなる可能性があります。再審査は、可能な限り既存のローンを完済してから申し込むのがよいでしょう。

そのためには、返済中の住宅ローンのほか、自動車ローンや教育ローンなどの状況を確認します。カードローンについては、たとえキャッシングを利用していなくても、分割払いやリボ払いによる購入分があれば審査の際に考慮される点に留意しましょう。

5-3.頭金を用意する

近年では頭金なしの「フルローン」を選択する方が増えていますが、再審査を受ける際には、頭金を用意することも考えてみるとよいでしょう。頭金を入れて借入額が減れば、審査にも通りやすくなります。

頭金と借入額の関係

また、前述したとおり、フラット35には融資率を9割以下にすると金利が低くなるという特徴があります。つまり、購入代金の10%以上を頭金でまかなうことができれば、フルローンの場合に比べて金利を抑えられるのです。

持ち家からの住み替えを考えている場合は、現在の自宅を売却して得た資金の一部を頭金に充てることも検討してみる価値があるでしょう。住み替えについては、「住み替えローンの審査は厳しい?審査に通るコツや通らなかった場合の対処法」をご覧ください。

まとめ

フラット35は、返済計画を立てやすい全期間固定金利型の住宅ローンです。借入期間や融資率などの条件により金利を下げることができ、比較的審査に通りやすい特徴があります。申し込みの際は、審査基準や審査の流れ、必要書類などを把握しておきましょう。

フラット35の審査に落ちてしまった場合には、その理由を考えて対処することが大切です。住み替えなら、自宅の売却で得た資金の一部を頭金に充てることも検討してみるとよいでしょう。

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