不動産売却時は年末調整が必要?確定申告との関係性、配偶者控除に与える影響を解説

不動産を売却 年末調整は必要?

不動産の売却益(譲渡所得)は年末調整の対象ではないものの、確定申告が必要です。また、配偶者控除や配偶者特別控除を受けていると、控除から外れることがあるので注意しましょう。

本記事では、年末調整の概要や譲渡所得に確定申告が必要な理由、譲渡所得が社会保険と配偶者控除・配偶者特別控除に与える影響について解説します。

この記事を読むと分かること
  • 不動産売却をした際の年末調整の必要性
  • 譲渡所得で確定申告が必要な理由と損失が出た際の対応
  • 不動産売却の譲渡所得が社会保険と配偶者控除に与える影響

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1.不動産を売却したら、年末調整が必要?

書類と朱肉

はじめに、年末調整の概要と必要性について解説します。

1-1.そもそも年末調整とは?

年末調整とは、給与所得者を対象に、本来納めるべき所得税額と源泉徴収により納めた所得税の差額を調整する手続きのことです。

会社員の場合、所得税や住民税は勤務先が納税します。しかし、その際の所得税額は概算であるため、給与額の変動や保険料の控除などで所得税に過不足が生じます。

これを正しい金額にするため、控除される金額を差し引き、過不足があるときには精算するのが、年末調整です。

なお、年末調整は給与所得者が対象ですが、給与の総額が2,000万円超となる方など対象外のケースもあります。

年末調整の手続きは勤務先が行なうため、以下の必要書類を勤務先に提出します。

  • 扶養控除等(異動)申告書
  • 基礎控除申告書
  • 配偶者控除等申告書(配偶者控除・配偶者特別控除の適用を受ける場合)
  • 所得金額調整控除申告書(給与の収入金額が850万円超であり、なおかつ一定の要件を満たす場合)
  • 保険料控除申告書
  • 住宅借入金等特別控除申告書(住宅ローン控除の適用を受ける場合)

参考:“給与所得者(従業員)の方へ(令和5年分)”. 国税庁

1-2.不動産売却で得た利益は、年末調整に影響しない

不動産の売却で得る利益は「譲渡所得」といい、給与所得とは別の所得として扱われます。年末調整の対象にはならないため、譲渡所得を得た場合でも、年末調整における手続きは不要です。

ただし、不動産の売却で譲渡所得を得た場合には、譲渡所得税を納める必要があるため、確定申告が必要となります。

参考:“No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)”. 国税庁

2.不動産売却の譲渡所得と確定申告の関係性

税金

続いて、譲渡所得に関する確定申告の必要性や、売却で損失が出たときの対応について解説します。

2-1.不動産売却の翌年は確定申告を行なう

不動産の売却で譲渡所得を得たら、譲渡所得にかかる所得税と住民税を納めるため、翌年に確定申告をしなければなりません。

年末調整ではなく、確定申告が必要な理由は、譲渡所得に分離課税制度が適用されるためです。

分離課税制度とは、一定の所得において、独自の税率と計算式で税額を算出する方法です。一方、給与所得には総合課税制度が適用されるため、ほかの所得と合計して所得税を算出します。

参考:
“No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)”. 国税庁
“No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法”. 国税庁

分離課税制度には、さらに申告分離課税制度と源泉分離課税制度があり、譲渡所得に関しては申告分離課税制度が適用されるため、自身で確定申告を行なわなければなりません。

確定申告はその年の1月1日~12月31日の所得が対象になり、翌年2月16日~3月15日の間に手続きを行ないます。

参考:
“No.2240 申告分離課税制度”. 国税庁
“No.2220 総合課税制度”. 国税庁
“No.2230 源泉分離課税制度”. 国税庁
“No.2020 確定申告”. 国税庁

土地の売却時の確定申告の必要書類については、「土地を売却したら要チェック!確定申告の必要書類を徹底解説」で紹介しています。

2-2.譲渡所得で損失が出たときも確定申告が必要

不動産を売却したものの、譲渡所得がゼロやマイナスになった場合には、確定申告をする必要はありません。

しかし、譲渡所得がマイナスになり損失が生じた場合には、確定申告をすることで所得税を抑えられます。これは、ほかの所得と合算して控除する「損益通算」を利用できるためです。1年分の申告で控除しきれなければ、売却の翌年から3年間にわたって繰り越しで控除することも可能です。

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参考:“No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合”. 国税庁. (参照2024-04-01)をもとに、HOME4Uが独自に作成

また、マイホームを売却した場合に一定の条件を満たすと、3,000万円の特別控除が適用されます。特別控除の特例を受けるときは、確定申告の手続きが必要です。

参考:“No.3302 マイホームを売ったときの特例”. 国税庁

このほかに、土地や建物の売却で一定の条件を満たすと所得税が控除される特別控除には、以下のような種類があります。

  • 収用等により土地建物を譲渡した場合:5,000万円
  • 被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡した場合:3,000万円
  • 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合:2,000万円
  • 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合:1,500万円
  • 2009年(平成21年)および2010年(平成22年)に取得した土地等を譲渡した場合:1,000万円
  • 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合:800万円
  • 低未利用土地等を譲渡した場合:100万円

出典:“No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)”. 国税庁

3.不動産売却の譲渡所得が社会保険・配偶者控除に与える影響

通帳を手に悩む夫婦

家族が扶養に入っている場合、譲渡所得が原因で扶養から外れる可能性を心配する方もいるでしょう。本章では、譲渡所得が社会保険や配偶者控除に与える影響について解説します。

3-1.社会保険の扶養に譲渡所得の影響はほぼない

結論からいうと、不動産を売却して得た譲渡所得は一時的な収入であるため、家族が社会保険の扶養から外れることはほぼありません。これは、一時的な収入を「扶養条件上の収入」に含まないためです。

そのため、協会けんぽなどの健康保険や厚生年金においても、譲渡所得を得たことで扶養から外れることはありません。

参考:
“従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き”. 日本年金機構
“被扶養者とは?”. 全国健康保険協会

なお、マイホームを買い替える際に利用できる税金特例については、「買い替え時の税金特例をわかりやすく紹介!マイホームを住み替えるポイント」をご覧ください。

3-2.譲渡所得で扶養から外れる可能性がある

税金に関しては、譲渡所得を得ることで、配偶者控除・配偶者特別控除が受けられなくなる場合があります。

配偶者控除とは、控除対象配偶者のいる納税者が、一定の金額で所得控除を受けられる制度のことです。これにより、所得税の負担が軽減されます。

配偶者控除が適用されるには、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であり、控除を受ける年の12月31日時点で、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  1. 民法の規定による配偶者であること(内縁関係は該当しない)
  2. 納税者と生計を一にしていること
  3. 年間の合計所得金額が48万円以下(※1)であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと

(※1)2019年(令和元年)分以前は38万円以下

出典:“No.1191 配偶者控除”. 国税庁. (参照2024-04-01)

そして、配偶者控除を受けられない場合に、配偶者の所得金額に応じて一定の金額で所得控除を受けられる制度が配偶者特別控除です。

配偶者特別控除には、以下の適用要件があります。

(1)控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること

(2)配偶者が、次の要件すべてに当てはまること

イ 民法の規定による配偶者であること(内縁関係は該当しない)

ロ 控除を受ける人と生計を一にしていること

ハ その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと

ニ 年間の合計所得金額が48万円超133万円以下(※1)であること。

(3)配偶者が、配偶者特別控除を適用していないこと

(4)配偶者が、給与所得者の扶養控除等申告書または従たる給与についての扶養控除等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていないこと(配偶者が年末調整や確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合等を除く)

(5)配偶者が、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていないこと(配偶者が年末調整や確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合等を除く)

(※1)2018年(平成30年)分から2019年(令和元年)分までは38万円を超え123万円以下、2017年(平成29年)分までは38万円を超え76万円未満

出典:“No.1195 配偶者特別控除”. 国税庁. (参照2024-04-01)

なお、配偶者控除・配偶者特別控除の要件である「合計所得金額」には、給与所得のほかに譲渡所得も含まれるため注意が必要です。譲渡所得を得たことで、配偶者の合計所得金額が以下の金額になると、控除を受けられなくなります。

  • 配偶者控除:配偶者の年間の合計所得が48万円を超えた場合
  • 配偶者特別控除:配偶者の年間の合計所得が133万円を超えた場合

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配偶者控除・配偶者特別控除が適用されなくなるか確認するには、合計所得金額を計算する必要があります。合計所得金額は、以下の計算式で算出しましょう。

  • 配偶者が給与所得のみを得た場合
    合計所得金額=給与収入-給与所得控除55万円
  • 配偶者に給与所得以外の譲渡所得がある場合
    合計所得金額=給与-給与所得控除55万円+譲渡所得

参考:
“専門用語集”. 国税庁
“No.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか”. 国税庁
“No.1410 給与所得控除”. 国税庁. (参照2024-04-01)をもとに、HOME4Uが独自に作成

3-3.配偶者控除・配偶者特別控除が外れた場合の税額とは?

譲渡所得を得たことで配偶者控除や配偶者特別控除が適用されなくなると、世帯主である納税者本人の所得税額が高くなります。

なお、譲渡所得に対する税率は不動産の所有期間によって異なり、5年以下であれば短期譲渡所得、5年超であれば長期譲渡所得の税率が適用されます。

譲渡所得の種類 税率
短期譲渡所得 課税短期譲渡所得金額×30%(住民税9%)
長期譲渡所得 課税長期譲渡所得金額×15%(住民税5%)

出典:
“No.3211 短期譲渡所得の税額の計算”. 国税庁
“No.3208 長期譲渡所得の税額の計算”. 国税庁. (参照2024-04-01)をもとに、HOME4Uが独自に作成

長期譲渡所得と比べて短期譲渡所得は税率が高いので、売却する際は注意が必要です。

不動産の売却に関する税金や特例については、「土地譲渡の「税金の基礎知識」と「特例の節税」をやさしく解説」「不動産売却の税金計算!知って得する5つの特例・控除まとめ」で詳しく解説していますので、ぜひご一読ください。

まとめ

不動産を売って得た利益を「譲渡所得」と呼び、譲渡所得を得た場合には確定申告が必要です。しかし、年末調整の対象ではないため、年末調整をする必要はありません。

また、譲渡所得を得ても社会保険に影響はありませんが、配偶者控除・配偶者特別控除は外れる可能性があります。これは、配偶者控除と配偶者特別控除の適用条件に、譲渡所得を含めた合計所得金額の基準が定められているからです。

したがって、不動産を売却する際には事前に査定を受けて、大まかな売却相場を把握しておくことをおすすめします。

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